「解放」最新号(第2880号2025年8月11日)の内容
<1面>
国際反戦集会が大高揚 8・3
ロシアのウクライナ侵略粉砕!
パレスチナ人民大虐殺弾劾!
核戦争を阻止する拠点築く
<3面>
特集 戦後80年
20世紀の人類史的犯罪―広島・長崎への原爆投下
2000万人を殺戮した日帝の中国・アジア侵略戦争
<2面>
治安維持法100年――「国体の変革」取り締まりを叫ぶファシスト
<4面>
トランプのAI覇権戦略
<5面>
「障害者就労支援」の切り捨てを許すな
Topics 日本製鉄のUSスチール買収の悪辣な狙い
<6面>
国学院大学
自治委員会・学生総会かちとる
◆「属国」軍統合の要 JCT
◆「使える核」をイギリスに配備
◎お知らせ
本紙8月18日付は休刊とします。
第2881―82合併号(8月25日付)から通常どおり発行します。
「解放」
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国際反戦集会が大高揚 8・3 ロシアのウクライナ侵略粉砕! パレスチナ人民大虐殺弾劾! 核戦争を阻止する拠点築く
第二次世界大戦の終結から八十年、そして広島・長崎への原爆投下から八十年となる今、われわれは、新たな熱核戦争が勃発する危機のまっただなかにおいてこの集会の大高揚を断固としてかちとった。集会に結集した労働者・学生は、トランプ、プーチン、ネタニヤフなどの核兵器をもった今ヒトラー≠ヌもが暴虐の限りをつくす<暗黒の二十一世紀世界>を、世界プロレタリアートの階級的力によって覆すのだという決意を熱く燃え立たせたのだ。そしてわが革命的左翼に課せられた使命をわがものとした労働者・学生は、この集会をステップにして<プーチンの戦争>粉砕! <ネタニヤフの戦争>粉砕! 日本の大軍拡阻止! の反戦の闘いをさらにさらに前進させるべく奮闘することを固く誓いあったのである。 世界大戦の勃発を阻止しよう!――基調報告 中央集会の会場である東京・銀座ブロッサムには、首都圏の労働者・学生が続々と結集してくる。座席はみるみる埋まっていく。 午後一時、集会開始だ。 司会の同志の開会あいさつに続いて、同志・広郷力が基調報告に立った。 彼はその冒頭、先の参院選挙において自民党が惨敗し、他方で「日本人ファースト」を叫ぶ参政党が伸張をとげたことを、そして衆参両院において少数与党に転落した自民党が内部抗争を激化させ、政府危機が長期化する様相を呈していることを明らかにした。 われわれは警戒しなければならない、と同志・広郷は提起した。ブルジョア階級とその権力は、形式的には維持されてきた議会制民主主義をさらに形骸化させ、日本に全体主義的な統治形態を創出することを企んでいるのだ、そしてそのために治安機関などの国家暴力装置を肥大化させ、労学両戦線にガッチリと根を張り労働者階級人民の闘いを牽引しているわが革命的左翼にたいする治安維持法型の弾圧にでようとしているのだ、と。 「われわれ革命的左翼は仁王立ちになってたたかう。すべての労働者・学生に、わが革命的左翼とともに<日本型ネオ・ファシズム粉砕>の壮大な闘いに起ちあがるべきことを呼びかけましょう!」 「よし!」労学が大きな拍手で呼びかけに応えた。 同志・広郷は続ける。人民が自民党に激しい怒りを叩きつけたその裏面において、参政や国民などへの支持が拡がった。その基底にあるものは、非正規雇用労働者の拡大や就職氷河期世代の経済的困窮というかたちでの階級間格差の拡大、階級分裂の「可視化」にほかならない。野党がオール翼賛政党化し「連合」が労働運動をネオ産業報国運動へと変質させてきた。日共もまたブルジョア秩序党としての本性を剥きだしにした。このすべての既成政党に、困窮する労働者人民は幻滅しているのだ。 「それゆえに、わが革命的左翼の責務は大きい。われわれのみが、貧窮に苦しみ『既成政党』に幻滅している労働者人民にすすむべき道を照らしだすことができるのです。貧窮と圧政と戦争を強制され憤激を募らせている労働者人民を組織し、反ファシズムの広範な戦線を構築するために奮闘しよう! もって日本型ネオ・ファシズム権力を打倒しよう!」 「そうだ!」会場から力強い拍手がわき起こる。 プーチンの戦争・ネタニヤフの戦争を打ち砕こう 同志・広郷はつづいて、この世界を覆う大戦勃発の危機を何としても突破していくために、革命的反戦闘争の嵐を巻きおこそう、と呼びかける。 こんにちロシアのプーチン政権は、「ロシア人とウクライナ人は同じ民族だ。ウクライナ全土はロシアのものだ」とほざきながら、狂ったようにウクライナ全土に極超音速ミサイルや巡航ミサイル、自爆型無人機を撃ちこんでいる。占領地では子どもたちを連れ去り、女性を陵辱し、反抗的とみなした人民を逮捕し拷問して虐殺している。ウクライナ侵略の拡大に狂奔するプーチン・ロシアを絶対に許してはならない。そしてレジスタンスを戦いぬいているウクライナ人民を絶対に孤立させてはならない、と呼びかけた。 彼は続ける。ウクライナにたいして「無条件降伏」を迫るかのような態度をとっているプーチンは、実のところ満身創痍だ。一〇〇万人を超えるロシア軍死傷者。インフレ・消費物資の払底でロシア人民の怒りはマグマのように充満している。加えてアメリカのトランプが、ウクライナに兵器を売却し、停戦に応じなければ新たな制裁をかけるなどと言いはじめた。だがこれは「TACO」と侮蔑されたトランプの得点稼ぎを狙った対露強硬姿勢にすぎない。それを見透かしたプーチンは、侵略の拡大にますます狂奔しているのだ。 「殺人鬼プーチンを戴くロシア帝国によるウクライナ侵略を打ち砕くために、われわれは、ウクライナ人民と連帯して、そして『ウクライナとの連帯』を掲げる全世界の人民と連帯してウクライナ反戦の壮大な闘いを全世界から巻きおこそう! プロレタリア・インターナショナリズムに立脚した闘いこそが、侵略者の暴虐を打ち砕くのです。」 会場の労学から大きな拍手がわき起こる。 同志・広郷は続ける。シオニスト国家イスラエルのネタニヤフ政権による非道なガザ人民ジェノサイドを絶対に許してはならない。シオニスト権力はヨルダン川西岸でも人民を虐殺し、シリアやレバノンにも軍事占領を拡げている。これは「大イスラエル」を建設するというネタニヤフの野望にもとづく世紀の蛮行にほかならない、と。 同志・広郷は怒りをほとばしらせて語る。今や世界は核戦力にものをいわせた強者が「力による平和」などという欺瞞の旗のもとに弱者を蹂躙し従わせるという「弱肉強食」の時代に突入したかのようだ。だがわれわれは、それを断じて許しはしない。「核兵器で武装した『二十一世紀のヒトラー』どもによる狂気の蛮行、これを打ち砕く反戦の闘いを、全世界の労働者階級人民とともに怒濤のごとく大きく巻きおこそう。」 さらに同志・広郷は、次のような事態を弾劾した。米―中露激突下の東アジアにおいても戦争的危機が高まり、石破政権は日本の軍事力増強に拍車をかけている。日米合同演習のなかで自衛隊幹部が米軍幹部に中国に「核攻撃の脅し」をかけるように要請した。被爆国・日本が原爆を投下したアメリカにこんな要請をしたのだ。こうしたことの一切は、日米安保同盟を対中攻守同盟=核軍事同盟として飛躍的に強化する攻撃にほかならない。 「われわれは、『反安保』を放棄した日共系反対運動をのりこえ、石破政権による日米軍事同盟の強化と大軍拡を打ち砕くために、反戦反安保闘争の大爆発をかちとらなければならない。反戦闘争、政治経済闘争などの一切を集約し、労働者・学生・人民の壮大な闘いで石破日本型ネオ・ファシズム政権を打倒しよう!」 この呼びかけに、労学が「よしっ!」と呼応する。
次に同志・広郷は、現代世界の構造的特質を明らかにした。アメリカ、ロシア、中国、そしてBRICSのグローバルサウス諸国が、それぞれの国家戦略・対外戦略を構想しつつ自国利害を相互に貫徹しようとしている、と。さらに、@米―中・露の政治的・軍事的な対立、Aそれぞれの国内において統治形態をより強権的・軍事的なものとしてうちかためるとともに、それぞれ固有の統合イデオロギーを流布していること、B経済的対立――戦争準備という意味をもつ「戦略物資」の囲いこみ――を、構造的に把握すべきであると提起した。 さらに同志・広郷は、米・欧・日の帝国主義とネオ・スターリン主義中国および「破産国」ロシアとの激突というかたちで世界が東西に引き裂かれ、その谷間で、今ヒトラーに率いられた「帝国」による侵略が強行されていると喝破した。「この『世界大戦前夜』というべき現代世界の戦争的な危機を革命的反戦の闘いによって突破するために、われわれはこうした『暗黒の二十一世紀世界』がうみだされる軍事的・政治的・イデオロギー的根拠、経済的根拠とともに、その歴史的根拠は何であるのかを問わなければなりません。」 一九九一年のスターリン主義ソ連邦の自己崩壊によって「亡国」と化したロシアが、<米中対決>の間隙を縫うかたちで「強いロシアの復活」を掲げてうごめき、「使える核兵器」を携え「旧ソ連の版図」復活をめざしてウクライナを侵略した。これはスターリン主義時代と瓜二つの統治形態を築いたFSB権力による世紀の犯罪にほかならない。 「このことは、『暗黒の二十一世紀』を覆さんとする全世界の労働者人民に、なぜ世界の人民が『ソ連=労働者の母国にして平和の砦』という神話に翻弄されてしまったのかが今なお問われていることを意味すると思います。」 そして同志・広郷は、ソ連邦自己崩壊の意味をより深く問い返した。――マルクスは『共産党宣言』で新しい世界を創造せんとする万国のプロレタリアートの国際的な闘争を呼びかけた。このプロレタリアートの世界革命実現という目的を、ロシアの労働者・農民が一九一七年のロシア革命によって実現した。ここに世界革命への扉が開かれたにもかかわらず、スターリンとその一派が「一国社会主義」という虚偽のイデオロギーを捏造し「革命ロシア」を簒奪し・全世界のプロレタリアートを裏切った。そしてスターリニストたるゴルバチョフが、ソ連型「社会主義」の自滅的自己解体に導いたのだ。 「もしもスターリンとその一派が世界革命を裏切り・各国階級闘争を敗北に導きつづけなければ、これほど世界の労働者人民が『ネオ・ヒトラー』どもによって虐殺され、圧制下で虐げられ、貧困のもとで苦しむような『暗黒の世界』とはならなかったはずです。このように私は怒りを噛みしめながら日々瞬間瞬間に思わないわけにはいかない。そしてファイティング・スピリットを燃やさないわけにはいかない。」 「そうだ!」あちらこちらから声があがり、拍手が会場を揺らす。 以下 見出し 海外からの連帯メッセージ 労学両戦線から決意表明 弾圧をはねかえし革命的反戦闘争を推進――全学連 |
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二十世紀の人類史的犯罪 広島・長崎への原爆投下 ここから米ソ核軍拡競争が始まった ロシアのプーチン政権は、「ロシアは最強の核兵器保有国である」などとほざいて米欧諸国を抑えこみながら、ウクライナ侵略をつづけている。アメリカのトランプ政権は、「核開発疑惑」を口実にして反米のシーア派国家イランに一方的な軍事攻撃をしかけ、これを「広島・長崎への原爆投下と同じだ」と誇示した。 いま世界は、核を保有する大国が国家エゴイズムをむき出しにして他国の領土略奪・他民族抹殺の蛮行をほしいままにする弱肉強食の時代に突入した。核戦争勃発の危機が高まっている。 この核時代の歴史的出発点をなしたものこそ、八十年前のアメリカ帝国主義による広島・長崎への原爆投下であった。 広島・長崎を一瞬で壊滅させたアメリカのジェノサイド 一九四五年八月六日、アメリカ軍の爆撃機B29は広島に一発の原子爆弾を投下した。三日後の八月九日には長崎に二発目を投下した。たった一発の原爆で、広島で一四万人、長崎で七万人が年末までに死亡した(一九五〇年一月までに合わせて三四万人以上が死亡)。「日本軍国主義にとどめをさす」ことを錦の御旗にして、銃後の人々が、子供から老人まで無差別に殺戮されたのである。 人々は、原爆の爆風・熱線・高放射線によって即死ないし数日のうちに死にいたらしめられた。即死でない人々は高放射線によってあらゆる臓器が破壊され、赤痢のような下痢症状をおこして死亡した。 それだけではない。放射線被曝の影響が時限爆弾のように被爆者に襲いかかった。原爆投下から一ヵ月後の九月五日に、世界で初めて英紙『デイリー・エキスプレス』の記者が、「原爆病」と題して広島の悲惨さを伝えた。「三十日後の広島では人がなおも死んでゆく。それは神秘的な、そして恐ろしい死であった。その人たちは、あの大激変の時には無傷であったというのに」と。占領軍最高司令官マッカーサーはただちに海外特派員に被爆地の取材禁止命令を発した。 さらに五年後には白血病患者が増えはじめた。放射線によって傷つけられた遺伝子(DNA)は親から子へ受け継がれ被爆二世の悲劇も生みだされた。 すでにアメリカ権力者は四五年三月十日に、三三四機のB29を投入して東京に焼夷弾を投下し一夜にして一〇万人の命を奪った。原爆はこれに匹敵する人民の命を一発で奪ったのだ。第一次大戦以後帝国主義諸国権力者どもは、「総力戦」と称して全国民・全産業を戦争に動員し、これを相互に破壊・絶滅しあう帝国主義戦争をくりひろげてきた。アメリカ帝国主義権力者がブルジョア科学・技術の粋を結集して開発した原爆は、敵国の兵士のみならずすべての人民を無差別に・大量に殺傷することを是とする帝国主義権力者の反人民的な思想≠ェ現実化したものにほかならない。まさしく原爆はジェノサイド兵器として誕生したのである。ここには現代技術文明の「悪」が如実に示されてもいるのである。 人類史的犯罪行為というべき広島・長崎への原爆投下、これを当時のアメリカ大統領トルーマンは「狂信的抵抗をつづける日本を降伏させ数十万人の米兵の命を救うためであった」と正当化した。核兵器の使用を美化するアメリカ権力者の思想≠ヘ今日のトランプにいたるまで連綿と受け継がれているのである。 「日本軍国主義の壊滅」を名目として強行されたアメリカ権力者の原爆投下(日本の降伏は時間の問題だった)、それは第二次大戦後の国際政治場裏においてみずからが主導権をにぎるために、スターリンのソ連にたいして圧倒的な原爆の威力=アメリカの巨大な軍事力を見せつけることをこそ目的としていた。戦後世界の動向を決する米・ソ角逐がすでに始まっていたのである。 同時にアメリカ権力者は、原爆という新型爆弾を実際に人民の頭上に落としてその威力・効果を確かめるために、日本を実験場としたのだ。広島にはウラン濃縮型の原爆を、長崎にはプルトニウム型のそれを投下し、日本が降伏した後にはただちにそれぞれの地に調査団を派遣して長期にわたって被爆者を調べた。 自国の囚人や「余命が短い」と決めつけた重病患者にたいして、プルトニウムを注射する人体実験などをおこなっていたのが、アメリカの人非人的医学チームであった。被爆地に入ったアメリカの調査チームは、被爆者を裸にして体を詳しく調べながらも治療は一切おこなわなかった。それどころか放射線の影響を調べるために日本人医師から患者のカルテを没収したりして治療を妨害したのだ。 アメリカは「残留放射能の影響はない」ことを公式見解としており、カルテの没収は報道統制としても証拠湮滅としても位置づけられていた。こうして日本の全国の人民は、被爆地の惨状を長いあいだ知らされずにいたのであった。 以下 見出し 対抗的な原水爆開発に狂奔したスターリンのソ連邦 |
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二〇〇〇万人を殺戮した中国・アジア侵略戦争 日本軍国主義権力の大罪 物心ついてから、私は、父が関東軍兵士であったことを知った。二十歳のときに召集され中国侵略戦争に駆りだされた電気工の腹・足には、銃創が刻まれていた。それ以上に、精神の傷は、いかばかりか。終戦とともに元二等兵はシベリア抑留を強制され、ラーゲリでの強制労働を強いられ、スターリン配下の輩による「民主化」運動の渦に巻きこまれた。これをくぐり抜け「ダモイ」(帰国)した父は、産別会議を中心とした戦後の「戦闘的」労働運動にかかわり、政府・資本による合理化攻撃と激烈な弾圧とレッドパージの荒波に直面した。そして屈した。……この話も、母から聞いたことだ。父は辛酸をなめた戦中・戦後の体験には口をつぐみ、鬼籍の人となった。 こうした「負の歴史」を背負った日本人民の子孫たる私たち「戦争を知らない」世代の者は、日本軍国主義の中国・アジア侵略を日本プロレタリアートが阻止できなかったことを痛憤の念をもってふりかえり、わが反戦の闘いの現在的バネたらしめなければならない。 殺しつくす・奪いつくす・焼きつくす 一九三一年の「満州事変」からアジア・太平洋戦争の終結までの十五年間、日本国軍は二〇〇〇万人もの中国・アジア人民とアメリカ・イギリス・オランダなどの兵士・人民を殺戮しさった。とりわけ「日本鬼子(リーベングイズ)」と恐れられ侮蔑された日本軍による中国人民にたいする虐殺は一〇〇〇万人にもおよぶ。 天皇制ボナパルチズム国家のもとで事実上権力を握った軍部は、北京郊外の盧溝橋で起こした「発砲事件」(一九三七年七月七日)を機に、中国全土に侵略の火の手を拡大した。時あたかも、アヘン戦争いらい大英帝国ら列強の侵略・植民地支配に呻吟してきた中国において、中国共産党と国民党とが「第二次国共合作」(一九三七年)にもとづいて「抗日民族統一戦線」を結成し、「打倒日本軍国主義」の遊撃戦を中国全土で展開した。この中国の「国民政府」の首都は南京におかれ、アメリカ・イギリスなどの連合国が中国を支持し支援した。 中国人民の抵抗を押しつぶし、中国全土を植民地支配することを狙って、日本国軍は、中国全土に戦火を拡大した。杭州・上海に上陸した一〇〇万の日本軍陸戦隊は、首都・南京に進軍・占領し中国兵・人民のすべてを撃ち殺し斬り殺す残虐を働いた。上級兵士たちは「敗残兵狩り」と称して「一〇〇人斬り」を競いあい、食糧を略奪し、婦女子にたいする陵辱の限りを尽くした。南京では実に、三〇万人もの中国兵捕虜・人民を虐殺した(南京大虐殺、一九三七年十二月)。 「(揚子江の)川幅いっぱいに、数えきれないほどの死体が浮游していたのだ。見渡す限り、死体しか目に入るものはなかった。それは兵士ではなく、民間人の死体であった。少なくみても五万人以上、まさに、揚子江は屍の河≠ニ化していたのだ。」(『揚子江が哭いている』) 「俘虜ぞくぞく投降し来り数千に達す。激ミせる兵は上官の制止をきかばこそ片はしより殺戮する。」(『ある軍人の自伝』) これは、日本軍国主義の国策なのだ。日本軍は、中国人民の抵抗の根を断つという策略のもとに、特に華北部では、悪名高い「三光政策」を強行した――「殺光(殺しつくす)、搶光(奪いつくす)、焼光(焼きつくす)」という皆殺し焦土作戦を強行したのだ。食糧・家畜を奪い、民衆をすべて「共匪」(共産主義の匪賊=jとみなして殺戮し、死体もろともに家屋を焼き払った。そして河川の堤防を破壊し村々を水没させた。…… 言葉もでない。「皇軍」たる日本軍は、中国で一〇〇〇万人の兵士や多くの民衆を殺戮しさった。まさに、ヒトラーのユダヤ人ホロコーストと同断の、日本軍国主義の犯罪は世界史に刻まれ、その記憶は中国人民の子々孫々に語り継がれている。わが日本のプロレタリアートは、この日本軍国主義権力の大罪を、歴史から抹殺することを許してはならない。 以下 見出し 「八紘一宇」の「大東亜共栄圏」 |
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治安維持法制定百年の今 「国体の変革」取り締まりを叫ぶ反共ファシスト <戦後八十年>である今年は、同時に悪名高き治安維持法の制定から一〇〇年という節目の年でもある。当時の日本軍国主義権力は、満州事変(一九三一年)にはじまる十五年におよぶ侵略戦争を、治安維持法にもとづく熾烈な弾圧を労働者・人民にふりおろしながら遂行したのであった。 こんにち、この稀代の悪法たる治安維持法を賛美しているのが、参政党の党首・神谷宗幣である。神谷は、「(治安維持法は)悪法だ、悪法だっていうけど、それは共産主義者にとっては悪法でしょうね。共産主義を取り締まるものですから。だって彼らは皇室を打倒し、日本の国体を変えようとしていたからです」(七月十二日、鹿児島市での街頭演説)などとうそぶいている。 それはたんに過去の治安維持法の評価にとどまる問題ではない。「極左の考え方をもった人が社会の中枢に入っている。これを洗い出すのがスパイ防止法だ」などとわめきながら、秋の臨時国会に「スパイ防止法案」を提出しようとしているのが神谷の参政党なのだからである。「国家体制を否定」するとみなした労働者・人民に厳罰を科した治安維持法、これと同様の弾圧法の必要性を叫んでいるのが真正ファシストたる神谷なのだ。 ちなみに、この神谷の参政党は、前文に「國體」を明記し、日本は「天皇のしらす君民一体の国家」、主権はこの「国」にある、国民は「日本を守る義務を負う」などと明記した改憲案を披瀝している。神谷は、低賃金と米価・物価高騰のもとで生活苦にあえいでいる労働者・人民の怒りを、外国人労働者に向けさせるデマ宣伝をSNSで垂れ流すとともに、日本の「国家体制」に反対する者を「共産主義者」「国賊」と烙印する反共宣伝をさかんに吹聴しているのだ。 治安維持法は、一九二五年五月十二日、普通選挙法の制定・施行と抱き合わせで、時の加藤高明内閣によって施行された。それは、普通選挙法の施行をも契機とした階級闘争の高揚と「無産政党」の伸張を恐れた当時の政府・支配階級がつくりあげた弾圧法であった。この治安維持法には、「国体の変革」「私有財産制度の否認」を目的とした「結社」活動を禁止することが規定された。「国体の変革」を処罰の対象とすることが明記されたのは治安維持法が初めてである。 当時、一九一七年のロシア・プロレタリア革命の影響を受け、日本でも労働者・人民が全国で労働組合を結成し、団結して賃上げや労働条件の改善を求める争議を起こしていた。こうしたなかで一九二二年には、当時の共産党が非合法で結成されるにいたった。このことに震撼した日本軍国主義権力は、ただちに共産党の結社を禁止(一九二三年六月)するとともに、体制転覆をねらう「国賊」として共産主義者への憎しみを煽りたてた。関東大震災(同年九月)を利用して戒厳令を発し、憲兵隊に「国賊」とみなした社会主義者や無政府主義者を虐殺させた。これを跳躍台として、天皇制国家権力は「国体」という文言を明記した治安維持法を成立させた。この治安維持法にもとづいて、特高警察は治安維持法違反で検挙した者にたいして「天皇の敵であるから殺しても構わない」と放言し、死にいたらしめるような拷問をくわえたのである。そして弾圧の刃を共産主義者のみならず、宗教者、自由主義者、反戦・非戦・厭戦を唱える者にまで向けていったのが日本軍国主義の権力者であった。 治安維持法制定から一〇〇年。反共ファシストどもによる治安維持法の美化を許してはならない。 |
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トランプ帝国のAI覇権戦略 熾烈化する米・中の生成AI開発競争 A対中競争に勝つ≠スめの「AIアクションプラン」 アメリカ・トランプ政権は、七月二十三日に、「アメリカのAIアクションプラン(行動計画)」をうちだした。 「レース(競争)に勝つ」という副題を付したこの文書の冒頭で、トランプは次のように言っている。――「われわれのグローバルな競争相手がこれらの技術〔AI〕の活用を競いあっているなか、誰にも脅かされないグローバルな技術的優越(支配)をうちたて維持することが、アメリカにとっての国家安全保障上の責務である」、と。このような「アメリカ・ファースト」主義丸出しの宣言ではじまるのがこの「アクションプラン」であり、その特質は、次の諸点にある。 (1)中国との競争に勝利するために、バイデン政権が敷いたいっさいの規制(「安全性の担保」などを理由にしたそれ)を撤廃し、あらゆる資源と資金を総動員して最先端AIの開発を加速するということ。その目標は、「アメリカのAIを世界のゴールドスタンダード〔『金本位』転じて世界の最高基軸=lとして確立」することにある。 (2)「イデオロギー的偏見からの自由」の名において、リベラル的傾向≠フ強いテキストをつくりだす生成AIを徹底的に排除すること。同時に、「連邦政府でのWoke AIの防止」と称する大統領令を発令した〔「Woke」とはリベラル派を嘲笑するときに使う言葉で、日本風に言えば「意識高い系」〕。 (3)「AIインフラの構築」と称して、半導体製造工場、大規模なAIデータセンター、それに電力を供給するエネルギー源〔原発など〕の新増設を、あらゆる規制を緩和して急速に推進すること。 (4)最先端の米国製AI・半導体技術の中国への流出をブロックするとともに、国際場裡での「中国の影響拡大」を阻止すること。それ以外の諸国にたいしてはAIシステム・データセンター・AI半導体などの「パッケージ」での輸出を促進し、もってアメリカのもとに経済的・技術的・軍事(安全保障)的に従属化せしめること――これを、彼らは「アメリカのAI同盟(America's AI alliance)への参加」などと呼んでいる。 これらはまさに、AI開発において急速にライバルとしてのしあがってきた習近平中国の猛追を叩きつぶし、「アメリカンAI」を「世界標準」とすることをつうじて世界各国をアメリカのテクノロジーのもとに従属化させることを企むものである。だが、カネとデカップリングと強権によってAI覇権≠うちたて、それをテコとしてMake America Great Again≠なしとげんとするこのような企みは、没落帝国アメリカの産業的・技術的基盤の衰退と荒廃の凄まじさをまったく顧みることのないわが愚帝の白日夢でしかない。 ディープシーク登場がもたらした衝撃 このようなAI戦略がうちだされたのは、いうまでもなくディープシークをはじめとするメイド・イン・チャイナ≠フ安価で高性能な生成AIが連続的に登場したことを決定的な条件としている。 二〇二五年一月に登場した対話型生成AI「ディープシーク―R1」は、アメリカ政府と米ビッグテック企業を震撼させた(『新世紀』第三三六号「ディープシーク・ショック」参照)。それは、それまで「世界最先端」とされてきたアメリカのChatGPT(オープンAI)などと同等の性能をもちながら、その一〇〇分の一程度のコストで開発され、しかもオープンソース(プログラム・ソースを無償公開する方式)で投入されたのだからである。この「中国純国産」の生成AIは、その安さと自由に改造できる手軽さのゆえに、グローバルサウスの諸国で受け入れられ、欧米の諸企業さえもそれを次々に導入しはじめた。 しかもディープシークが、バイデン政権の対中半導体規制のもとで、アメリカ・エヌビディアのハイエンドAI半導体(GPU)を使わず、対中輸出用にダウングレードされたGPUを確保し、もっぱらソフトウェアの技術改良(データの盗み取りも含む)によって「R1」を開発したこともまた、一大衝撃を巻き起こした。アメリカのAI開発諸企業(オープンAI、グーグル、アンソロピック、xAIなど)はそれまで、エヌビディアの最先端GPUをライバルより大量に確保し、できるだけ巨大なAIデータセンターを構築するという、いわゆるBigger is Better(大きければ大きいほど良い)&式でしのぎを削ってきたからである。 加えて中国の巨大ICT企業ファーウェイは、エヌビディアの最先端品よりも性能は劣るとはいえ、そこそこ高性能で安価なAI用半導体「アセンド」を市場に投入し、それを後発国に売りこみはじめた。このようなかたちで、アメリカの先端半導体禁輸にもかかわらず「自力」で安価な生成AIとAI半導体を開発し、それを世界に売りこんでいるのが、中国政府とその庇護下にある中国テック諸企業なのだ。 中国習近平政権は、このアメリカのアクションプラン発表からわずか三日後の七月二十七日に、それに対抗して「グローバルAIガバナンス・アクションプラン」なるものを発表した。そこで彼らは、「公平性と包括性」「オープンさと共有の精神」「世界的な連帯」を前面におしだし、「包摂的で公正な多国間グローバルデジタルガバナンスシステムの確立」を唱えている。そのすべてはトランプ版アクションプランへのアンチ≠ナある。習近平指導部は、トランプ式AI政策のアメリカ第一主義≠竍排他的独占≠竍過剰な投資と資源の無駄遣い≠ノ対抗するという旗を掲げてグローバルサウス諸国を惹きつけ、もって中国製AI・半導体の勢力圏≠築こうとしているのだ。 いまやメイド・イン・チャイナ≠フ高性能AIと半導体の新たな組み合わせの登場によって、生成AIの開発および売り込み競争は、それまでの「米テック企業間の競争」から「アメリカ vs 中国の競争」へと構図が一変した。トランプのAIアクションプランは、このような新たな次元に転回した「レース」のなかで、それになんとしても「勝つ」ための国力総動員$略にほかならない。 B 「イノベーション加速」という名の暴走 あらゆる「安全規制」の撤廃 リベラルAI≠フ撲滅 C アメリカ製AIによる「世界標準」獲得の策略 D 国家の存亡を決する生成AI開発競争 E AI拡散による人間と自然の破壊 |
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