「解放」最新号(第2874号2025年6月30日)の内容
<1〜2面>
米のイラン核施設爆撃弾劾!
イスラエルの対パレスチナ・イラン攻撃を許すな!
ロシアのウクライナ侵略粉砕!
今こそ全世界人民と連帯し反戦の闘いに起ちあがれ!
大軍拡と貧窮を強制する石破政権を打ち倒せ!
「国難突破」の翼賛体制を突き破り反戦反安保・政経闘争の爆発を!
憲法改悪策動を打ち砕け!
美浜原発の増設を阻止せよ!
<3面>
中国のレアアース禁輸に完敗したトランプ
南シナ海・西太平洋で激化する米・日―中の角逐
<4面>
NTT
「リージョナル社員制度」創設
低賃金・出向・労働強化を許すな
<5面>
シリーズ 労働現場は今…… 〈1〉
介護労働者の使い捨てを許すな
AI代理人――職場から放りだされる労働者
Topics 2025年版「骨太の方針」「成長戦略」
<6面>
万華鏡2025――情勢の断層を読む
流された血は忘れない
習近平の悪知恵
ロシアの「死の経済」
「解放」
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米のイラン核施設爆撃弾劾! イスラエルの対パレスチナ・イラン攻撃を許すな! ロシアのウクライナ侵略粉砕! 今こそ全世界人民と連帯し反戦の闘いに起ちあがれ! 六月二十二日の早朝(日本時間)、核大国アメリカのトランプ政権は、イランの首都テヘラン近郊のフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンにある三ヵ所の核施設にたいする爆撃を強行した。 イラン中部フォルドゥの山岳地帯の地下八〇bにあるウラン濃縮施設――核爆弾用に近い六〇%の高濃縮ウランが貯蔵されているとされるそれ――にたいして、米本土から飛びたったステルス戦略爆撃機B2七機が地中貫通爆弾バンカーバスター十四発を集中的に投下した。また米軍は、ナタンズのイラン最大のウラン濃縮施設、およびイスファハンの核燃料製造・加工施設の二ヵ所にたいしては、原子力潜水艦から三十発の巡航ミサイル・トマホークを発射し撃ちこんだ。 軍国主義帝国アメリカのトランプ政権は、自国に盾突く国家にたいしては容赦なく一方的に攻撃するという国家テロリズムをむき出しにして、この攻撃を強行したのだ。 このトランプの全面支援を受けたイスラエルのネタニヤフ政権はいま、ガザとヨルダン川西岸地区を破壊し占領して、「大イスラエル」を樹立するという野望をむきだしにしイランを中核とする「抵抗の枢軸」を壊滅させようとしているのだ。そしてみずからは中東唯一の核武装国家として君臨しつづけ、イラン各都市にたいしては連日連夜にわたって猛爆撃を強行している。 この殺人鬼ネタニヤフ政権は、すべてのパレスチナ人民を飢餓地獄に突き落とし、大量虐殺と域外追放という残虐きわまる蛮行を強行しているのだ。 軍国主義帝国アメリカのトランプ政権とイスラエル・ネタニヤフ政権によるイランへの新たな軍事攻撃とパレスチナ人民ジェノサイドを、すべての人民は満腔の怒りを込めて弾劾せよ! 〔追記〕六月二十四日午前一時半すぎ(日本時間)、イラン軍は「アメリカへの報復」として、カタールのウデイド空軍基地――米兵一万が駐留する中東最大の米軍基地――にたいして十四発の中・短距離ミサイルを撃ちこむという攻撃にうってでた。ちなみに、イランはこの攻撃をアメリカに事前に通告していたとされる。これにたいしてトランプは、「イランはわれわれの核施設の破壊にたいしてとても弱い反応をしめした。この反応は予想どおりだ」「イランがわれわれに早期に通告したことに感謝したい。おかげで命が失われることも誰かが怪我をすることもなかった」「イスラエルとイランは完全かつ全面的な停戦をすることで合意した」と述べた。 なお、フォルドゥの核施設は完全に破壊されなかったといわれ、濃縮した核物質はすでに移動したといわれる。 トランプ政権は、いわゆる「抵抗の枢軸」からの反撃に備えて、最新鋭ステルス戦闘機F35および駆逐艦、空母三隻を中東周辺に配備するという態勢をとっている。 熱核戦争勃発の危機を突き破る反戦の闘いに起て! アメリカ帝国主義権力者による広島・長崎への原爆投下から八十年。全世界において核武装国家の権力者どもが、自国の国家エゴイズムを他国に貫徹するという蛮行にうってでている。みずからの国家意志に刃向かう他国を、圧倒的優位にたつ核戦力をふりかざして屈服させ隷属させる、この傲岸きわまりない軍国主義帝国アメリカのトランプ政権を断じて許すな! こうした事態は「二十一世紀の暗黒」のさらなる深まりを示すいがいのなにものでもない。そして、かかる事態への推転を決定づけたものこそは、かのウクライナにたいする<プーチンの戦争>であったのだ。 使える核≠ニ称される小型核兵器を開発し、核恫喝をくわえミサイル・無人機攻撃を強行しながらウクライナの民族を抹殺し領土を強奪せんとしているプーチンのロシア。核戦力をふりかざしてイランやパレスチナの数多の人民を殺戮しつづけているネタニヤフのイスラエル。そして、核ミサイルの増強をバックとして台湾併呑と南シナ海の軍事要塞化などの膨張主義的野望をむきだしにしているネオスターリン主義者・習近平の中国。…… こうして現代世界はいまや、熱核戦争勃発の危機を深めているのである。すべての労働者・学生・人民は、この危機を突破する反戦闘争に今こそ起ちあがれ! 日本の石破政権は、アメリカのイラン攻撃について「イランの核兵器保有を阻止するという決意を示したものだ」などと「アメリカの属国」よろしくトランプ政権に追従している。「世界唯一の被爆国」でありながら核兵器禁止条約への参加を拒絶しつづけ日米核軍事同盟の強化に狂奔する、この最末期の石破政権を今こそ打ち倒せ! すべての労働者・学生・人民は、今こそイスラエルとアメリカの対パレスチナ・イランの侵略戦争を打ち砕くために起ちあがれ! ウクライナの地にミサイルを雨あられと撃ちこみウクライナ人民に無条件降伏を迫るプーチンの侵略戦争を粉砕せよ! 本年は、日本軍国主義がアジア諸国にたいする侵略と植民地支配を強行し、数千万人の人民を殺戮したアジア太平洋戦争の終結から八十年。そして日本軍国主義者どもが「本土決戦」を先延ばしする時間稼ぎのために沖縄人民を犠牲にし、そうすることによって地上戦がおこなわれ住民の四分の一が死に追いやられた「沖縄戦」から八十年でもある。日本全国の労働者・人民は、今こそ反戦の怒りの炎を燃えたぎらせたたかいぬかなければならない。 アメリカのイラン攻撃=参戦を発火点としていやましに高まる現下の世界大戦勃発の危機を突き破る反戦の闘いに起ちあがろう! 日共中央の闘争放棄を弾劾せよ! 日共の志位=田村指導部は、ネタニヤフ政権やトランプ政権によるイラン攻撃を「国際法違反だ」と非難し、「国際社会」という名の各国政府に「イスラエルとアメリカに自制と国際法順守を毅然と求める」ことをお願いしているだけである。彼らは、アメリカやイスラエルの侵略者どもの蛮行を打ち砕く反戦の闘いを呼びかけもしないのだ。 われわれは、反戦・平和の闘いを放棄する日共中央を許さず、「アメリカとイスラエルによるイラン軍事攻撃弾劾!」「プーチン・ロシアのウクライナ侵略粉砕!」「日本の軍事強国化・安保強化阻止!」の反戦闘争を断固としておしすすめるのでなければならない。すべての労働者・人民は、イランへの軍事攻撃を許さない闘いを日本全国において燃えあがらせよう! すべての労働者・学生は6・29労学統一行動に総決起せよ! |
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大軍拡と貧窮を強制する石破政権を打ち倒せ! 「国難突破」の翼賛体制を突き破り反戦反安保・政経闘争の爆発を! 七月の参議院選挙の前哨戦となった東京都議会選挙(六月二十二日投開票)において、石破の自民党は労働者・人民の怒りに包まれて大敗し、第一党の座を失った。政治資金パーティー収入の不記載を理由に非公認とした候補者らを追加公認しても史上最低の二十一議席(九議席減)しか確保できなかったのだ。 政府・自民党の権力者どもは、参院選にむけて、低落する支持率の回復を狙って備蓄米の放出による価格低下≠ネるものを大宣伝してきた。この権力者然としたやり口ほど労働者・人民を愚弄するものはない。石破自民党政権は、独占資本家どもから巨額の献金を受けつつ、「デフレ脱却」の名において独占資本家どもの物価つり上げを後押しして、米などの生活必需品価格の高騰に拍車をかけてきた。このことに、低賃金にあえいでいる労働者・人民は激怒し、石破自民党に怒りを叩きつけたのだ。 しかし、少数与党に転落しダッチロールになりながらも石破自民党政権は、この自民党政権の危機をみずからが政権与党の一角に加わるチャンスととらえて政府・自民党にすり寄る立民・国民・維新らに支えられて、大軍拡などの反動諸攻撃を貫徹してきた。この極反動政権の延命を断じて許してはならない! すべての労働者・学生・人民に呼びかける。野党を翼賛体制下に組み従えて反動攻撃をふりおろしている石破政権を包囲する闘いに起て! 生活必需品価格・公共料金の引き上げや社会保障制度改悪に反対する政治経済闘争を断固としておしすすめよう! 大軍拡・日米軍事同盟強化・改憲に反対する反戦反安保・改憲阻止闘争の爆発をかちとれ! これらの闘いを総集約し、労働者・人民に大軍拡と貧窮を強制する石破日本型ネオ・ファシズム政権打倒にむけて前進せよ! 以下 見出し 野党を抱きこみ反動法を次々と制定した石破政権 生活必需品価格つり上げ・貧窮の強制を許すな! 大軍拡・日米軍事同盟の飛躍的強化を打ち砕け! 翼賛体制を下支えする「連合」指導部を弾劾せよ |
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憲法改悪策動を打ち砕け! 改憲条文「骨子案」を提示した自民・公明・維新・国民 六月十二日の衆議院憲法審査会において、自民・公明・維新・国民・「有志の会」の五会派が、憲法改定条文「骨子案」なるものを提出した。「緊急事態(自然災害、感染症まん延、武力攻撃、テロ・内乱、これらに匹敵する事態)」において「国会機能を維持するため」と称して現行憲法に「国会議員任期延長」などの条項を加えろというのがその内容だ。通常国会最後の衆院憲法審査会に提出されたこの「骨子案」を、会長・枝野(立民)が幹事会で正式に受理することを受け入れた。これをもって自民党と維新の政治エリートどもは快哉を叫んでいるのである。「改憲条文案の一歩手前まできた。秋の臨時国会の論議の出発点になる」「次のステップに向けての大きな前進だ」(自民・船田元など)、「さいは投げられた。秋の臨時国会では速やかに(改憲条文案)起草委員会を設置し、骨子案を土台に憲法改正原案の作成にはいるべきだ」(維新・馬場)と。 この動きを主導したのは高市や旧安倍派などの自民党内極反動分子どもだ。この連中は審査会の与党筆頭幹事・船田を突きあげ、公明や維新や国民などを抱きこんで、改憲条文案を策定する一歩手前のところまで審査会審議をおしすすめさせたのだ。 もとより自民党は、憲法第九条に自衛隊を明記して「戦争放棄・戦力不保持」の理念を否定し、首相に「非常大権」を与える非常事態条項を新設することを謳う改憲案を掲げている。彼らがたくらむ憲法改悪は、まさしく現行憲法の全面破棄であり、ネオ・ファシズム新憲法の制定にほかならない。それにむけた地ならしとして自民党は、まずは「緊急事態における国会機能の維持」などという低い∴齟v点での改憲発議を早期に実施するために、今回のような改憲条文「骨子案」なるものを憲法審査会にかけたのだ。 真性ファシスト党=維新と、改憲・軍需生産拡大を叫ぶ電機・電力・自動車・UAゼンセンの労働貴族に支えられた国民民主が「共同提案者」として名を連ねた。「連合」芳野指導部によって「憲法改正論議の積極推進」を約束させられた野田の立民は憲法審査会での論議そのものを拒否することができない。まさにこうした政治力学を見すかしている自民党の極反動分子どもは、この秋の臨時国会での改憲案起草委員会の設置を現実的目標にすえて、今回の「非常事態における国会機能の維持」を名分とする改憲「骨子案」提示を強行したのである。 すべての労働者・学生諸君!「日本は中国との戦争を準備せよ」(米国防長官ヘグセス)というアメリカ・トランプ政権の対日要求を渡りに船として石破政権は、軍事費一〇兆円に届くほどの大軍拡に突進するとともに、「国難突破」の名のもとに野党を糾合し国会を完全に翼賛議会化させているのだ。そうしたなかで自民党内外の極反動分子どもは、「大東亜戦争」を讃美する世論を煽りたてるために、沖縄戦における日本軍の犯罪を告発した「ひめゆり平和祈念資料館」の展示に唾を吐きかけてもいるのだ。こうした、日本を「戦争をやれる国」に改造することをたくらむ極反動分子どもの蠢動と軌を一にしているのが、今回の改憲「骨子案」提示にほかならない。 いまこそ大軍拡反対・改憲阻止の闘いの大高揚をかちとろう! |
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中国のレアアース禁輸に白旗を掲げたトランプ 環境被害を人民に強制し世界シェア九割を握った北京官僚 六月九〜十日にロンドンで開催された米中の輸出制限をめぐる閣僚級協議は、中国主敵の関税戦争を仕掛けたトランプ政権が、習近平政権のレアアース輸出規制発動という反撃のまえにぶざまにも完敗し白旗を掲げたことを、全世界にさらけだした。 協議後の記者会見で、アメリカ商務長官ラトニックはほざいた。――「中国がレアアースの輸出許可を出せば、われわれの半導体輸出規制も緩和されるだろう」と。だが、表向き強気≠装ったこの言い草とは裏腹に、協議の実態は、トランプ政権の閣僚どもがもっぱら中国側に平身低頭して、ひたすらレアアースの輸出再開を懇願した惨めきわまる内実のものであったのだ。 アキレス腱≠突かれた軍国主義帝国 それもそのはずである。トランプが「追加関税」の第三弾として中国にたいする三四%の「相互関税」発動をテレビ中継の鳴り物入りで発表(四月二日)して以降、中国はこれにたいする報復措置として、周到に準備してきたアメリカのもっとも入手困難な七種類のレアアース(希土類)の輸出制限を実行に移した(四月四日)のだからだ。 中国は、レアアースの世界採掘量の七割、その精錬事業では九割以上もの圧倒的なシェアを握る。しかもアメリカにとってそれらの鉱物はいずれも、EV(電気自動車)はもとより主力戦闘機をはじめとする最新兵器の製造に必要不可欠の戦略的な重要鉱物であり、中国からの供給がほんの一〜二ヵ月でも止まればたちまち在庫が底を突いて製造が停止してしまう軍国主義帝国アメリカのアキレス腱≠ネのだ。(アメリカの主力戦闘機F35一機に必要なレアアースは約四〇〇`c、最新の原子力潜水艦一隻には四d、標準的なミサイル駆逐艦一隻には二・二dと、最新兵器にはレアアースがふんだんに使われているという。) 習近平指導部は同時にレアアースを含む高性能磁石にも輸出規制をかけたことからして、EV用モーターなどの部品製造に支障をきたしたフォード・モーターは一ヵ月後の五月には自動車工場の一部稼働停止に追いこまれ、アメリカ自動車工業会と自動車部品工業会のブルジョアどもは、トランプ政権にたいして「きわめて高い水準の懸念」を訴え「ただちに対処を!」と絶叫に等しい悲鳴をあげたのであった。 愚かにも予想だにしなかったこの事態に驚きあわて浮き足立ったトランプ政権は、急きょトランプみずからが五月十〜十一日のスイスでの米中閣僚協議開催を習近平に電話で直接申し入れ、この閣僚協議をつうじて追加関税の一一五%相互引き下げとともに、中国のレアアース輸出規制の緩和をやっとのことでとりつけた。 ところがこの合意の以後も、習近平指導部はレアアース輸出の再開を意図的に遅らせて、トランプにあえてダメ押しの揺さぶりをかけた。これに苛だったトランプは、「中国は合意の重要な部分で違反している!」と精一杯虚勢を張って中国非難のボルテージを高めつつ、その実は再度の閣僚級協議を習近平政府に頭を下げてお願いし、五月の合意を守ってもらう≠スめだけにロンドンでの二回目の閣僚級協議を開いてもらう羽目におちいったのである。 このトランプ政権の惨めな敗北は、二回目の協議後に習近平政権の高官が「レアアース輸出規制の緩和措置は六ヵ月間の限定的なものになるだろう」とうそぶいているところにも如実にあらわれている。習近平政権は、トランプよ、もしも新たな敵対行為にでるならば、いつでもレアアースの輸出を止めるぞ、わかっているだろうな≠ニ、凄みを利かせているわけなのだ。 こうして、中国にたいする最大一四五%の追加関税を大上段に振りかざして対中関税戦争を挑んだトランプは、惨めな敗北を喫したのだ。 「TACO(タコ)(Trump Always Chickens Out. トランプはいつもビビって逃げだす)」――いまアメリカ人民大衆のあいだで大流行りのこのフレーズどおり、習近平のレアアース輸出規制に縮みあがり尻尾を巻いて退却したのは、もっとも痛い急所≠習近平に締めあげられて音を上げた愚帝トランプの方であった。レアアースの圧倒的なシェアを武器に中国が発動した輸出規制のまえに、トランプはひとたまりもなく敗退したのである。 希土類をめぐる争闘の陰に中国人民の惨苦 |
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南シナ海・西太平洋を焦点に激化する米・日―中の軍事的角逐 「中国の脅威」切迫を喚くトランプ政権 五月末にシンガポールで開催された「アジア安全保障会議(シャングリラ会合)」に出席したアメリカ国防長官ヘグセスは、次のような演説をした。「中国がもたらす脅威は現実のもので、さしせまっている可能性がある」「台湾を征服しようとすればインド太平洋地域および世界は壊滅的な結果に陥る」と(五月三十一日)。アメリカ権力者は、これまで以上に中国の台湾侵攻などの脅威をがなりたて、この中国との戦争を現実的に構える意志をあらわにしたのだ。 同じシャングリラ会合で日本の防衛相・中谷は、「OCEAN(オーシャン)(One Cooperative Effort Among Nations)」構想――「インド太平洋のためという視点をもって、共通の価値と利益を共有しあう諸国が協力をつうじて一つの大きな組織としていく〔演説後『組織』を『取り組み』に訂正〕」――なるものを提唱した(五月三十日)。 三月末の米日国防相会談で、ヘグセスから「日本は西太平洋でわれわれが直面する可能性のあるあらゆる事態の最前線に立て」とねじこまれた中谷は、これに積極的に応えて「日米豪、フィリピン、韓国などを一つのシアター(戦域)ととらえ、連携を深めていく」という決意を表明した。この「ワンシアター」構想とは、朝鮮半島、東・南シナ海、西太平洋をまるごと「一つの戦域」ととらえ、この地域に形成されるべき対中国の多国間軍事同盟の中軸を日本国家が担うという新たな軍事的構想にほかならない。〔この構想を、ASEAN諸国の権力者が居並ぶシャングリラ会合の場では中谷は、「OCEAN」構想と、軍事的協力だけではない広い協力≠ニ言い換えたのだ。〕 まさにこの米日国防相会談において両国権力者は、「台湾有事」に際して中国軍を「第一列島線」内に封じこめるために、アメリカ軍とともに日本国軍が率先して同盟諸国軍を束ね、対中国の先制攻撃をアメリカ軍とともに担うことで合意したのだ。 ヘグセスの一連の発言は、トランプ政権が現在ねりあげつつあるアメリカの国防戦略にふまえたものにほかならない。アメリカの「暫定国家防衛戦略(NDS)」指針〔三月中旬に配布され米紙に暴露された〕においてヘグセスは、「中国がアメリカ国防総省にとって唯一の脅威であり、中国の台湾奪取を否定する」と明記した。ヘグセスは、このNDS暫定指針をもとに国防戦略の最終案を八月末までにまとめるように国防次官コルビーに指示した(五月一日)。コルビーが提唱している「中国によるアジアでの地域覇権」を拒否することを核心とする「拒否戦略」にのっとってトランプ政権は、国防戦略を練りあげようとしているのだ。 石破政権は、シャングリラ会合での中谷演説によって、<中国主敵>のアメリカ軍事戦略に日本国家が「属国」としてつき従い、インド太平洋地域において対中国多国間同盟をその最先頭で牽引することを、あらためてトランプ政権に誓約したのだ。 以下 見出し 米・日中心の多国軍が共同演習を連続的に強行 対抗的軍事演習をくりかえす中国軍 |
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NTT 「リージョナル社員制度」創設 低賃金・出向・労働強化を許すな NTT西日本会社は、「新正社員」の「リージョナル社員制度」を昨年十月に創設し、無期契約社員(非正規雇用)全員(一部の会社を除く)を選考・選別することなく、「リージョナル社員」の「ジョブコース」へ、エリア社員(地域限定正社員)全員を同「エキスパートコース」へ移行させた。 昨年九月に「地域通信事業の成長戦略」を発表したNTT東日本会社とNTT西日本会社の経営陣は、デジタル技術・AIを業務過程に導入し、労働組織の再編を強行している。二〇二七年度までに営業系や設備系の業務における人手対応業務の徹底的な効率化と無人化を策しているのだ。それによって一万人余の労働者を削減する他方で、優秀≠ニみなした労働者を「成長ビジネス分野」に配置転換することを策している。こうした施策を貫徹するために、NTT西日本会社の経営陣は名ばかり正社員≠ナしかない「リージョナル社員制度」を創設したのである。 NTT西日本会社経営陣(以下、経営陣と略記)は、二〇二四年度の固定音声収入の減少などの経営環境の「厳しさ」をことさら強調し、その打開のために「稼ぐ力の復活」と称してこの制度新設を正当化している。だがそれは、無期契約社員の「正社員化」への切実な要望を大きく裏切るものにほかならない。「リージョナル社員」になっても賃金は現行の水準に据え置かれ、生涯にわたって低賃金を受容しなければならない。それだけでなく大多数の労働者は現場作業で「生産性向上」に駆りたてられ、職種転換、出向・転籍、広域的な異動と労働強化を強いられるのだ。 われわれは、この「リージョナル社員制度」の悪辣さを暴きだし、新たな労働強化・低賃金固定化に反対してたたかうのでなければならない。 以下 見出し T 「リージョナル社員制度」導入のもくろみ 1 「ジョブコース」―「基準内賃金(グレード賃金)」の大幅切り下げ 2 「エキスパートコース」―「基準内賃金」(グレード賃金上限の低額設定) U 「新制度への移行に伴う各種経過措置」の欺瞞性 V いかさま新正社員制度%ア入に全面協力するNTT労組西日本本部を弾劾せよ |
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シリーズ 労働現場は今…… 燃えあがる怒り 1 横行する「スキマバイト」 介護労働者の使い捨てを許すな! 「スキマバイト」に駆られる介護労働者 私が働くA特別養護老人ホーム(入居者一〇〇名余)では、日中に高齢者のお世話をする介護労働者全体のうち、二〜三割が「その日だけ」「その時間だけ」の「スキマバイト」で占められている。あらゆる介護業務(食事介助・排泄介助・入浴介助・見守り・移乗介助等々)の担い手として一日に五〜六名が、四時間〜八時間、日雇いで働いている。私は彼らとともに働きながら、何人かの人と話をした。まず驚いたことは、A施設に「スキマバイト」でやってくる介護労働者の多くが本業≠もつ、他の介護施設や病院等で無期あるいは有期で雇用されているダブルワークの労働者だということだ。 Aさん(四十代男性)‥老人保健施設で正規雇用労働者として働いている。一ヵ月八日の公休日に「スキマバイト」を数ヵ所入れている。早朝の食事介助・日中の入浴介助等で毎月三〜四万円分の収入を補っている。 Bさん(三十代女性)‥有料老人ホームでフルパートで働く外国人労働者。夜勤をやった後にそのまま眠らないでA施設に来て、午後四時まで六時間、入浴介助に入った。 Cさん(五十代女性)‥有料老人ホームで非正規雇用で働くシングルマザーの看護師。「今朝起きてアプリを見たらこの施設の募集が出ていた。住まいが近所なのですぐ応募してきた」とのこと(この日は前日にバイトで来る予定の人のキャンセルがあった日。アプリ仲介業者は当日ギリギリまで募集する仕組みを作り、介護事業所への売り≠ノしているのだ。まさにアプリ仲介業者は現代版口入れ屋≠セ!)。 Dさん(四十代女性)‥有料老人ホームで働く介護士。そこは「私以外はスキマバイトの人たちばかり」「ここに来る時とは逆で、私はバイトの人たちを束ねる立場で働いている。とても大変……どうしたらうまく束ねられるか勉強しようと思って……お小遣い稼げるし」。彼女も公休日を削って働いている。 Eさん(二十代女性)‥病院で看護助手として働く三才児の母親。子供が熱を出すたび休まざるをえず、パートの収入が激減。「とにかく働ける日に『スキマバイト』を入れていかないと無理」「病院は辞めさせられそう」と、悲痛な叫びをあげた。 正規雇用・非正規雇用を問わずフルタイムで働いている介護労働者が、「スキマバイト」という日銭稼ぎ≠フ副業に駆りたてられているのだ。しかも「スキマバイト」の時間賃金は決して高いわけではない。介護労働者は、あまりに低賃金におとしこめられている! 「スキマバイト」を活用する介護事業所経営者 一方でみずからが雇用する労働者を低賃金に甘んじさせつつダブルワークを推奨し、他方で自分の事業所の人員不足を「スキマバイト」で穴埋めしているのが、介護事業所経営者どもだ。彼らは、「スキマバイト」を人員確保のための「打ち出の小槌」であるかのように観念している。 経営者にとって「スキマバイト」は、@従来の人材派遣とは異なり「一日数時間から・必要な日だけ」利用できる、A雇用にかかる費用が安い、Bその労働者を気に入れば介護事業所が直接オファーをかけて何週間も先まで確保できる、C逆に気に入らなければその労働者が応募できないように「ブロックをかける」(その人のスマホのアプリには求人情報を載せない)ことができる――経営者どもにとってはどこまでも使い勝手のよい代物なのだ。これほど労働者を使い捨てのモノ扱いするものがあるか! 介護労働者に一切の犠牲を転嫁する経営者どもを許すな! 無権利状態に突き落とされる介護労働者 「スキマバイト」で働く介護労働者は労働基準法で定められた労働時間の基準をはるかに越えて働かされている。前述したAさんたちは週四十時間を越えて働いているが、割増賃金は支払われていない。彼らを日雇い雇用する介護事業所経営者に、割増賃金を支払う義務があるが、経営者どもはこれを無視している。彼らは、日雇い雇用する労働者の他の就労状況を知らない≠ナすませている。労働者じしんが申請しないからだけでなく、アプリ仲介業者も関与しないからだ。これをいいことに、経営者どもは「スキマバイト」で雇用する労働者にたいして割増賃金を支払う法的責任を意図的に逃れているのだ。三六協定に縛られることもなく経営者どもは、労働者を使いたい放題で使っているのだ。 ところで、「スキマバイト」が介護職場に浸透しはじめたのは、新型コロナウイルス感染症によるクラスターが全国の介護施設で頻発したただなかでだ。入居者のみならず職員が次々と感染し働き手がいなくなるなか、施設経営者が頼ったのが、「感染対策のできる」日雇いの介護労働者だった(実際、彼らはクラスターで立ちゆかなくなった施設を転戦≠オており、わが身を守るために感染対策としては必須の「標準予防策」を身に付けていた)。 まさに経営者にとって、感染症対策等に備えて正規雇用労働者を手厚く配置するよりも、非常時には巷にあふれる「スキマバイト」の介護労働者を使えばいいと考えているのだ。経営者よ、入居者の命を守る、労働者の生活を守るということは二の次三の次になっているではないか! 石破政権の社会保障削減攻撃 介護労働者が低賃金と働かせ放題≠フ状態に貶められているのは、政府・厚生労働省が人材仲介アプリの活用を経営者にたいして奨励しているからにほかならない。厚労省は何と「配置基準にスキマバイトを含めるのは原則問題ない」(『週刊東洋経済』二〇二五年四月十九日号)と言い放っている。政府・厚労省は、人員確保が難しくなっている(低賃金ゆえだ!)介護事業所経営者を生き残らせるために、従来は介護職場になじまないとされていた「スキマバイト」を奨励≠オているのだ。「配置基準の弾力化」をはかろうとしているのが政府・厚労省なのだ――ICTの活用による夜勤人員数の引き下げ・介護業務を切り分けて有償ボランティアに担わせる等々。政府・支配階級は、儲からない産業・分野≠ナある介護分野に人材を集中させるのはよくない≠ニ考えているのだ。同時に労働法制の「規制緩和」をすすめ「八時間労働制」など無きものにしようと企んでいるのが支配階級なのだ。 今こそ全国の介護労働者は、石破政権による社会保障費大削減・労基法改悪の攻撃を打ち砕こう! <大幅一律賃上げ獲得>を掲げて起ちあがろう! 介護労働者が低賃金におとしこめられている今、「全労連」指導部は何をやっているか。「人員配置基準の引き上げ」と「介護・診療報酬の引き上げ」を「国に陳情しよう」などとほざいている。 怒りと悲鳴をあげている介護労働者を労働組合に組織し、経営者どもと石破政権にたいして断固たたかおうと呼びかけるべきだ! 全国の介護労働者たち、今こそ労働者の団結を打ち固めよう!! |
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