「解放」最新号(第2877号2025年7月21日)の内容

<1面>
8・3国際反戦集会に結集せよ
 第三次世界大戦―熱核戦争勃発の危機を突き破れ!
<2面>
地対艦ミサイル実射訓練阻止!
 6・20札幌 労・学・市民300がデモ
 6・24北海道 静内現地闘争
スパイ防止法の制定企む石破政権
<3面>
パレスチナのゲットー
 許すな! ネタニヤフのガザ人民収容計画
人間の滅び≠加速する教育現場への生成AI導入
<4面>
NTT 「全社員総活躍」の名による労働強化を許すな!
能登半島地震 高齢被災者の悲惨
<5面>
シリーズ 労働現場は今…〈4〉 印刷労働者
 労働者を機械扱いし酷使する資本家
Topics 「中小賃上げ支援助成」策の欺瞞
<6面>
万華鏡2025――情勢の断層を読む
グアダルーペ川の惨事
トランプにノーベル賞!?
諸物価高騰の夏
 「解放」
   バックナンバー
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2852/2851/2850/
1750〜2849
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8・3国際反戦集会に結集せよ


第三次世界大戦―熱核戦争勃発の危機を突き破れ!



 わが同盟と全学連・反戦青年委員会は、来る八月三日、全国七都市において第六十三回国際反戦集会を開催する。
 広島・長崎への人類史上初めての原爆投下から八十年――いま全世界の労働者・人民は、新たな核戦争勃発の危機に直面している。
 世界第二の核大国ロシアの皇帝<vーチンは、ウクライナに何度も「核使用」の脅しをかけながら、大量のミサイルとドローンでウクライナ人民を殺戮しつづけている。核武装したイスラエルのシオニスト権力者ネタニヤフは、パレスチナ自治区・ガザ地区を地上から抹殺するために、パレスチナ人民にたいする凄惨なジェノサイドに狂奔している。このネタニヤフと結託したアメリカ大統領トランプは、反米国家イランの核施設をバンカーバスター爆弾で攻撃し、あまつさえこの空爆を正当化するために「これは広島と長崎への原爆投下で戦争を終わらせたのと同じだ」などとうそぶいた。
 「力による平和」なるものを傲然と叫びたて、他国領土の強奪と人民の殺戮に狂奔するこの今ヒトラー≠ヌもは、いつなんどき核のボタンに手をかけるかもしれないのだ!
 ロシアのウクライナ侵略を起点として、まさに世界は激変した。核大国の大戦車部隊による越境侵略と軍事占領、そして全欧州を射程に入れたベラルーシへの核ミサイルの配備は、欧州帝国主義各国権力者を震撼させた。いま欧州各国権力者は、口ぐちに「ロシアの脅威」を叫びたてながら、「欧州再軍備」という名のかつてない大軍拡(核戦力の強化)に突進している。
 他方、一超軍国主義帝国アメリカの力の衰退を見透かした習近平のネオ・スターリニスト中国は、台湾併呑≠フ野望を剥きだしにして西太平洋における軍事的威嚇行動をくりかえしている。金正恩の北朝鮮は、ウクライナ侵略への派兵と引き換えにロシアから得た援助で核とミサイルの開発を一気に加速している。これにたいして米・日両権力者は、一体化した米・日両軍を中軸とし、韓・比・豪などを加えた合同部隊を編成して、実戦さながらの――核ミサイル搭載可能な爆撃機をも投入しての――「共同演習」をくりかえしている。
 ヨーロッパでも中東でも、そしてここアジアでも、新たな戦争が火を噴き、それが核戦争へ、また第三次世界大戦へと転化しかねない危機が日増しに深まっているのだ。
 「反戦平和」を希求するすべての労働者・学生・市民の皆さん。この新たな世界大戦の危機を突き破る反戦闘争の巨大なうねりを、いまこそ日本の地からつくりだそう! ロシアのウクライナ侵略をうち砕け! イスラエルによるパレスチナ人民大殺戮を阻止せよ! 東アジアにおける戦乱の勃発を阻止するためにたたかおう!
 第六十三回国際反戦集会に結集せよ!


プーチンのウクライナ侵略をうち砕け!

 憎むべきプーチンとその政権は、トランプ政権の対ウクライナ支援の停止に乗じて、首都キーウをはじめとするウクライナ全土に、連日にわたりミサイル・ドローンを雨あられと撃ちこむ凶暴な攻撃に狂奔している。七月八日夜から九日にかけてロシア軍は、過去最大規模の七〇〇発を超える自爆型ドローンを撃ちこんだ。住宅や社会インフラを集中的に狙い、また一発目の着弾で救助に駆けつけた救護隊を狙って時間差≠ナ自爆ドローンを炸裂させる、という卑劣きわまりない攻撃をくりかえしているのだ。〔この六月にロシア軍は、五六六五回・一日当たり一八九回もの空爆をおこなった。〕
 「ディール」を呼びかけるトランプを手玉にとりながら「停戦協議」を蹴飛ばしてきたプーチンは、ウクライナに「領土割譲」をおしつけるために、クリミアおよび東・南部四州の占領にとどまらず、スムイ州やドニプロペトロウシク州にまでその凶手を伸ばしている。
 プーチンは傲然と言い放った。――「ロシア人とウクライナ人は同じ民族だ。その意味でウクライナ全土がわれわれのものだ」と(六月二十日)。ウクライナの国家と民族をなきものにし、「大ロシア」の版図に組みこむという野望を剥きだしにしたのだ。このスターリンの末裔≠フ蛮行を絶対に許すな!
 ウクライナの人民は、これまで以上の大規模空襲に連日さらされながらも、「絶対にロシアに屈しない」「家族や同胞を守りぬく」という決意をバネにして侵略軍とたたかっている。彼らは、最前線の兵士として、防空部隊として、サイバーやドローンを駆使したレジスタンスの戦士として、兵站部隊や医療班として、そしてインフラを守り復旧させるボランティアとして、様ざまな部署で一致団結してたたかっている。そのただなかでウクライナ左翼の人々は、侵略に抗して労働者の団結を強化することを訴えつつ、「オリガルヒと占領者のいないウクライナ」をめざしてたたかっている。われわれは、このようなウクライナの労働者・人民とどこまでも連帯してたたかおうではないか。
 ロシア皇帝気取りのプーチンが強行したウクライナ侵略――この蛮行こそは、一九九一年のソ連邦の自己崩壊を「二十世紀最大の地政学的大惨事」とうけとめた元FSB官僚のプーチンが、みずからに楯突く旧ソ連邦構成国ウクライナをふたたびロシアの属領として組み敷こうとして強行した蛮行である。それは、「ソ連邦=大国ロシアの復活」の妄念にとり憑かれたスターリンの末裔≠フ米・欧帝国主義にたいする逆襲にほかならない。
 わが革命的左翼は、この蛮行に直面してなお「NATOの方が悪い」とか「米露の代理戦争だ」などとほざいてプーチン擁護≠フ宣伝にあけ暮れてきたエセ左翼どもの犯罪性を暴きだしてたたかってきた。このような輩は、侵略者プーチンにたいする怒りもなく、仲間を失い家族を失いながら戦いつづけているウクライナ人民への共感もなく、ただただ自己が護持してきた化石のようなテーゼをふりまわしているだけの冷血漢なのだ。プーチンの擁護者≠ノなりさがったこの連中の腐敗こそは、ロシア革命によって切り拓かれた全世界労働者階級の自己解放の闘いを裏切り蹂躙したスターリンとソ連邦にたいする対決を、ハンガリー人民をタンクで押しつぶしたスターリン主義官僚にたいする対決を、一度たりとも己に課したことのない輩の末路にほかならない。
 いま、こうしたプーチン擁護≠ノ転落した一握りのエセ左翼を蹴散らしつつ、「ウクライナ人民と連帯し支援しよう」と訴える心ある左翼や労働組合の闘いが全世界で広がり強化されつつある。われわれは、このような全世界のたたかう仲間たちと連帯し、ウクライナ反戦の炎を日本の地で燃えあがらせようではないか。

ネタニヤフのパレスチナ人民ジェノサイドを粉砕せよ!

東アジアにおける戦争勃発を許すな!

第二次大戦終結八十年――新たな世界戦争を阻止せよ


 アメリカ帝国主義権力者による広島・長崎への原爆投下と第二次世界大戦の終結から八十年。プーチン、ネタニヤフ、トランプ――この核兵器を手にした今ヒトラー≠ヌもが、「力による平和」を傲然と唱えながら他国への侵略と殺戮に狂奔している。しかもこの戦争狂どもはいま、こぞって「使える核兵器」なるものを開発し配備しようとしているのだ。
 この狂人どもの暴走をうち砕かないかぎり、全世界労働者・人民はふたたび世界戦争の惨禍に、人類を滅亡に導く新たな核戦争の惨禍に突き落とされかねない。
 この危機を突き破りうるのはただひとつ、全世界労働者階級・人民の国境を越え民族を超えた階級的連帯の強化であり、それにもとづく反戦闘争の国際的高揚いがいにはありえない。
 いまこそ日本のわれわれは、「連合」労働貴族の抑圧に抗し、日本共産党系平和運動の腐敗をものりこえ、全世界の労働者・人民と連帯して、巨大な反戦闘争をつくりだそうではないか! <プーチンの戦争>粉砕! <ネタニヤフの戦争>粉砕! 第三次世界大戦の勃発を阻止せよ!
 すべての労働者・学生・市民は、8・3国際反戦集会に結集せよ!

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新たな大戦前夜

「スパイ防止法」の制定を公約に掲げた石破自民党


 自民党は、参議院選挙の公約に「国家情報戦略」とともに「スパイ防止法」の「導入の検討」を掲げた(六月十九日発表)。石破の自民党は、「外国のスパイ」をとりしまる法律を戦後初めて制定する意志を表明したのだ。
 自民党と連動して国民民主党や日本維新の会もまた、「スパイ防止法」の制定を参議院選挙の公約に掲げた。これらの翼賛勢力を従えて自民党は、早期に国会に上程し可決・制定することを策しているのだ。
 自民党は、この「スパイ防止法」を「諸外国と同水準」にする、と強調している。特定秘密保護法などこのかん制定してきた法律では中国などによる「スパイ活動」に対応できないと、ことさらにおしだしているのだ。
 アメリカ権力者は日米同盟を基軸に対中国の多国間軍事同盟を確固として構築せんとしている。日本がその中軸を担い、アメリカやオーストラリアなどの「同盟国・同志国」とのあいだで軍事機密などの「重要情報」を漏洩させることなく共有するにあたっては、日本が中国などのスパイを逮捕・処罰する法制度と機関を有していないことが桎梏となっていると彼らは考えている。アメリカは日本を「ファイブ・アイズ」(アメリカを中心にしたアングロ・サクソン五ヵ国の諜報網)に実質上くみこもうとしている。このことが軍事のみならず政治・経済・技術などの「重要機密情報」を日本に提供することになるがゆえに、「無防備」とみなした日本にアメリカ並みの「防諜」制度の確立を要求しているのだ。
 それだけではない。自民党政権は五月に「能動的サイバー防御法」を成立させた。サイバー空間上のあらゆる通信情報を傍受・盗聴・収集するサイバー・スパイ活動≠アメリカの指揮下でおしすすめようとしている。彼らは、「敵国のサイバー攻撃を防ぎとめる」と称して、先制的にサイバー攻撃をしかけるサイバー防御=攻撃体制≠構築せんとしているのだ。
 まさにアメリカの要求を受けて、「情報力」をもつ軍事強国をめざし「スパイ防止法」制定を企んでいるのが自民党政権なのだ。

治安維持法型弾圧体制の構築を許すな!

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パレスチナのゲットー


許すな! ネタニヤフの悪逆なガザ人民収容計画


 イスラエルの国防相カッツが、許しがたい「ガザ人民収容計画」を明らかにした(七月七日)。現在ガザ地区南部マワシ地域に避難を余儀なくされている六〇万のガザ人民を、南部ラファの廃墟に設けた一角に閉じこめ、やがてはそこにガザの全人口である二〇〇万人超を収容する、というものだ。「収容」にさいしては、「ハマス関係者でないかどうか」のセキュリティー・チェック≠ェ一人ひとりにたいしておこなわれる。そして、ひとたび収容された者は、外部に出ることは許されない、という。
 カッツはこの計画を称していう、「人道都市」建設計画と! ふざけるな!
 それは、まさしくナチス・ドイツの「ゲットー」を思わせるものではないか。かつてナチス・ドイツは、ポーランドなど占領地のユダヤ人を、有刺鉄線と金網で囲まれた狭い区画に強制的につめこみ、わずかな食糧だけを与えて徹底的な監視下におき、逃亡を図るものは容赦無く射殺したのであった。シオニストどもの計画は、この「ゲットー」を、二十一世紀のガザによみがえらせるものではないか!
 この「人道都市」計画は、このかんイスラエルが国連を追い出し「ガザ人道財団(GHF)」を先兵としておこなってきた「南部四ヵ所のみでの食糧配布」なるもの、そこにこめられたドス黒い目的をよりいっそう赤裸々にした。南部に建設した「人道都市」という名の「強制収容キャンプ」に、「ハマスと無関係」とみなしたガザ住民を閉じこめ、それ以外の者は抹殺する。そして、閉じこめた住民を順々にガザ域外に叩きだし、最終的には一人残らず追い出したうえで、ガザ地区全域をイスラエルに併合する――。これが、シオニスト権力者の計画なのであって、この悪逆な計画の第一段階こそが、かの「人道財団」による、ガザ住民を南部におびき寄せるための「食糧配布」なるものであったのだ。
 「人道都市」なるものの運営主体として見込まれているのは、例によって「GHF」であるという。GHFとは何なのか?
 この怪しげな団体は、イスラエルが二ヵ月以上にわたってガザへの物資供給を遮断し、ガザ住民が極限の飢餓地獄に追いこまれた五月二十六日に、突如としてガザ南部での「食糧配給」活動を開始した。それはアメリカの民間慈善団体という触れ込みになってはいるが、その資金源はいっさい不明。そしてこの団体は、トランプ政権にたいして、かねてより「ガザ住民が一時的に暮らし、過激思想をとり除き、希望があれば移住の準備ができる場所を整備すべき」と提案していたとされる。イスラエルの国防相カッツのこのたびの「人道都市」計画なるものと完全に符合する! 明らかに、トランプ政権がシオニストのガザ人民追放計画を促進するためにデッチあげた、民間団体の仮面をかぶった工作機関がこのGHFなるものにほかならない。
 GHFが運営する配給所に並んだ人民を、イスラエル軍はすでに六〇〇人以上も射殺した。イスラエル軍と結託して、ガザ人民を殺戮するための「死の罠」をしかけてもいるのが、トランプ肝煎りのGHFなのである。
 このトランプの手先が運営する「パレスチナのゲットー」への、ガザ人民の強制収容をわれわれは断じて許してはならない。ネタニヤフとトランプによる「第二のナクバ(大破局)」を許すな!

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人間の滅び≠加速する教育現場への生成AI導入


独占資本家階級の意をうけた文科省の「ガイドライン」


 今春いこう、教育委員会が教師たちに「生成AIの活用」を授業や授業準備に採り入れることを強制する動きが全国に広がっている。「自由進度学習と生成AIを組み合わせて授業を改善する」だとか、「グーグルの生成AI『ジェミニ』を使って指導案をつくる」だとかといった具合に。そのためにいま教師たちには、文部科学省がつくった「模範授業」の動画の視聴や総務省が作成したデジタル教材の研修が強いられている。

 とにかく生成AIを使え≠ニ大号令をかける文科省

 昨年末に文科省が出した「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」では、まず生成AIを「有用性の高い出力をすることが可能であり、教育分野においても様々な利活用が考えられる」とみなし、その積極的利用を説いている。「(誤りもある)生成AIの出力はあくまで『参考の一つ』」といいつつ、「必要以上に不安に思ったりするのではなく」「使い方によって人間の能力を補助、拡張し、可能性を広げてくれる有用な道具になり得るものと捉えるべき」というのだ。
 要するに生成AIは有用だ。不安を気にせずドンドン使え≠ニいいたいのである。

 混乱する教育現場

 「日本独自のAI開発」を叫ぶ独占資本家への呼応


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NTT

「全社員総活躍」の名による労働強化を許すな!



 NTT東・西会社経営陣は、収益悪化を「二〇二七年度までに回復」すると称して、「地域通信事業の成長戦略」にもとづく諸施策をおしすすめている。NTT西日本社長・北村は、持続的に事業成長していくためには「全社員総活躍」で「生産性を上げろ」と号令している。「新たなビジネスを開拓する人材」と会社が認めた社員には、新たに「トップガン」という称号を与え管理職と同水準の賃金を支払うことを明らかにした(『日経新聞』電子版 三月五日付)。さらに「既存ビジネスをいかに効率化し、それでできたリソースを成長ビジネスにどれだけ持って行けるかが重要」と言い、一万人人員削減攻撃とAI活用技術のリスキリングの強要とさらなる労働強化を労働者の頭上に振りおろしているのである。

収益増に向け労働者を生産性向上に駆り立てる経営陣

 NTT東・西経営陣は、一般むけ光回線販売の鈍化をのりきるために、新たな光高速サービス(フレッツ光クロス)を投入してシェア拡大を図ろうとしている。彼らはさらに、ビジネス関係での営業収益拡大のため、行政、民間企業ともにDX、クラウド化、AIなどの需要が増していることに踏まえ既存の光通信設備を最大限活用し、法人むけの新たな高速大容量ネットワーク事業(IWAN)の拡大をめざすとしている。そのために「地域通信事業の成長戦略」の具体化として「@顧客基盤の維持・拡大、A法人事業強化、B新たなビジネス・成長分野の拡大」などをあげている。
 だがこれらの施策の実施は、労働者にとってさらなる労働強化を強いるものなのだ。

以下 見出し

1 マンション全戸一括契約で一挙に労働強化

2 アナログから光へ≠フ新たなサービスで四苦八苦する労働者

3 公共企業対応で休日労働の増加

4 「内製化」による過重労働

5 リスキリングの強要


NTT労組指導部の協力加担を許すな!

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シリーズ

労働現場は今……  燃えあがる怒り 4



印刷職場から労働運動を力強く創造しよう!


 私は中規模の印刷会社で働いている。大手印刷会社は受注しても利益の上がらない仕事を下請けに安く流すのだが、私が働く会社ではそうした仕事を受けてチラシや冊子などの印刷・製本を主な業務としている。大手からの受注があったときには仕事が非常に多く集中し深夜残業や長時間労働が当たり前のようにやられ、納入後は残業すらない落差が激しい職場だ。
 会社の経営陣どもは、取引先から印刷価格(単価)を低くおさえられたといって、われわれ労働者には食うのがやっとの低賃金を強いている。また、「コスト削減」の名のもとに、長時間労働や労働強化を強制している。低賃金で転職せざるをえない労働者や、無理な労働がたたって体調を崩し退職せざるをえない労働者が後を絶たない。しかし経営陣は退職者がでたからといっても人員を補充しようとはしない。残った労働者に退職者の分も働けとさらなる労働強化を強制しその場をしのごうとするのだ。そのゆえに経営者どもへの不満が労働者たちに充満している。
 印刷産業はコロナ・パンデミックを経て、コミックや新聞、広告チラシやパンフレットなど、「何でもデジタル化」が進められ多くの中小会社が倒産し、二万社ほどあった印刷関連会社は約一万三〇〇〇社まで急激に減少した。生き残った中小印刷会社は、倒産や印刷事業から撤退した会社が請け負っていた仕事を奪い合い、仕事を増やしている。こうしたなかで現場ではますます「コスト削減」と「生産性向上」が叫ばれ、われわれ労働者に一切の犠牲が転嫁されている。そうすることで資本家・経営者どもは利益を上げているのだ。

「人を機械扱いしている!」
資本家に酷使される労働者


 ある印刷職場では、古くなった印刷機の修理費がかかりすぎることを理由に経営者が一部を売り払った。そして印刷機が減ったことを理由に印刷労働者を削減し、かつ日勤のみであった勤務形態を日勤夜勤の二十四時間体制に変更したのだ。つまり日勤担当者・夜勤担当者とを週替わりに勤務させ、印刷機を絶え間なく稼働させるというのだ。
 印刷労働者は、こうした昼夜二交替制の不規則勤務を強いられるとともに、それまでは一応担当が分けられていたカラー印刷機とモノクロ印刷機の両方を担わされることになり、しかもその配置も稼働状況に応じて直前に指示される。つまり手すき時間なく徹底的に労働者をコキ使おうということだ。業務命令された担当者は休暇も休憩もとれないありさまだ。労働者たちは「会社は人を機械あつかいしている!」とか「機械だってこんな無理なあつかいされねぇよ」と苛立ちをつのらせている。
 またある印刷検査職場の労働者は、印刷機の轟音が響くなか、毎分約一五〇枚という高速で刷りあがる新聞紙見開きほどの大きな印刷物を五〇〇枚ごとに抜き取って点検をしている。猛スピードで刷り出される印刷物の色ムラ・傷・カスレなどを点検し不良品を取り除かなければならず極度に緊張する作業だ。しかも印刷機二台分の点検作業を担わされることも頻繁だ。二〜三分毎に表裏を隅々まで点検するためトイレに行く暇もない。印刷物が膨大にあり帰宅が二十三時になるときは睡眠不足と過労でふらふらになる。体調不良で有給休暇を申請すると上長は「休みをとるとほかの従業員に迷惑がかかる」などと言い放ち、さらには「自己の健康管理の問題だ」と叱責する始末だ。
 また製本作業担当から印刷作業担当へと無慈悲な移動を強制する経営者や、閑散期には製本機や断裁機など複数の機械を操作できるよう無理な配置転換を進める経営者が増えている。
 このように中小印刷会社の経営者どもは、異なる作業を担うことのできる、あるいは複数の機械を操作できる労働者の育成に躍起となっている。これは少人数でも無駄なく効率的に働かせることを狙った、「多能工化」の強制なのだ。まさにわれわれ労働者を酷使することで収益を上げているのである。

低賃金に怒り渦巻く職場

 印刷会社・経営者どもは許しがたい低賃金を労働者に強制している。正社員の基本給は月二〇万円以下、過労死ラインの八十時間残業をしても二五万円程度なのだ。職場の仲間はうちつづく生活必需品の価格高騰で怒りと苦悶の声をあげている。たとえば「早く娘が嫁に出て行けば食いぶちが減らせるのだが」、「残業しないと教育費が払えない」、「結婚はあきらめ考えないようにしている」などなど。そもそもある職場では昇給や一時金が一切ないのだ。「就業規則」の「賃金規定」には昇給や夏季冬季に一時金があると記載されている。だが会社経営者は、補則の「ただし会社の業績等によりこれを行わないことがある」ことを盾に「赤字で苦しい」と言い張り、賃上げもせず一時金もビタ一文払おうとしない。ところが当該の会社は最新で高額な印刷機システムを導入したのだ。現場からは「俺たちが印刷し作ったもので稼いでいるのに一時金は払えないのか!」と怒りの声があがっている。
 別の職場では数年前に「精勤手当」を廃止した。その際に「他を充実させる」と称して。ところが、「他を充実」などということはまったくなされないどころか、今や「査定制度」を導入しようとしている。それは経営者どもが労働者の「業績・仕事ぶり・態度」を恣意的に評価・選別し、賃金を減額・増額するというものだ。だが評価基準も定かではないこの「査定制度」の導入の理由は、労働者を資本の軛のもとに一層強く従属させ労働力を搾り取るためなのであって、資本家・経営者に「評価」されるように労働者を仕向けるためにほかならない。同時にわれわれ労働者を競わせ分断させるまったく許し難く卑劣な制度なのである。
 このように中小印刷会社の経営者どもがわれわれ労働者を低賃金に抑えこんでいるのは、大手印刷資本の動きにも規定されている。
 すなわち大日本印刷は収益率が低いとみなした印刷出版部門をきりはなして子会社化したうえで規模を縮小(大量にクビ切りをおこない多くの労働者を路頭に放り出した!)、TOPPANホールディングス(旧凸版印刷)は化学素材の開発販売など印刷以外に業種を変えるデジタル改革≠ノ突き進み、紙媒体の印刷・製本産業から部門縮小を進めている。その他方で、出版大手のKADOKAWAや講談社は高性能のオンデマンド印刷を導入することで、印刷会社に発注せずとも自社で印刷し販売するシステムを構築しようとしている。中小印刷資本家にとっては下請けの市場規模がさらに縮小してしまう事態であり、みずからの生き残りをかけてさらに労働者を強搾取しているのだ。そのため組合の無い職場では「三六協定」など無視したサービス残業や「不当労働行為」など印刷資本家・経営者の横暴がまかり通っている。このうえさらに労基法改悪が政府権力者・独占資本家によって進められているのであり、これを絶対に許してはならない!

今こそ労働者の団結を強化し闘うぞ!

 厳しい職場の現状は労働者一人で変えることはとてもできない。変えるためには職場に労働組合が必要だ。それは「非正規」労働者や「正規」労働者が団結して資本家どもと対峙するたたかう労働組合である必要がある。その組合運動は労働者階級のヒューマニズムに立脚し、闘いの前進で労働者の権利と団結の強化をかちとる、真にマルクス主義で武装した運動であるべきなのだ。
 だが、既成労組指導部はいったい何をやっているのか。「連合」労働貴族どもは、「円滑な労働移動の推進」の名において出向・配転・転籍・リストラなど、独占資本によるこれらの攻撃を容認している。しかも「賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せる」と称して、二〇二五春闘を裏切ったばかりか、大増税・大軍拡をすすめる石破政権の主催する諸会議に喜び勇んで参加し、そうすることによって政府・支配階級にますます深く抱きこまれているのが「連合」芳野指導部だ。まさに今日版の産業報国会ではないか!
 他方の「全労連」指導部はどうか。ダラ幹どもは印刷資本の懐具合を慮るゆえに、「ストライキを背景に交渉」しろと下部組合員に号令するのみで、会社資本・経営者との闘いを完全に放棄している。まさに資本のもとで苦心する組合員から浮いた姿をますますさらけだしている。あまつさえ共産党中央に盲従し、組合員を参院選カンパニアに引き回しているのだ。「組織拡大」どころか下部や一般組合員から不満・反発・離叛が巻き起こるのは当然ではないか。
 一〇〇年以上前にマルクスは『経済学=哲学草稿』の「疎外された労働」のなかで、生産主体である人間がモノとして商品として扱われている、そういう状態を「疎外」と呼んだ。そして後年には「資本は、生きた労働を吸収することによって吸血鬼のように活気づき、それを吸収すればするほどますます活気づく」(『資本論』)と述べた。まさに現代の印刷現場でも日々くりかえされている現実だと身をもって感じている。
 マスコミ戦線深部で奮闘するわれわれたたかう労働者は、「連合」労働貴族どもと「全労連」ダラ幹どもの反労働者性を徹底的に暴きだし弾劾し、労働運動の戦闘的高揚をかちとろう!
 物価つり上げや公共料金値上げを許すな! 大幅にかつ一律に賃上げを印刷資本家・経営者に迫りたたかいとるために奮闘しよう!
 労基法改悪を絶対に阻止しよう! 同時に反戦平和の闘いをも断固として創造し、暗黒の世紀を輝かしい未来へと逆転させよう!
 ともにがんばろう!
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地対艦ミサイル実射訓練阻止!


労・学・市民三〇〇が決起
6・20 札幌
  六月二十日午後六時から、札幌市大通公園で北海道平和運動フォーラムと、同フォーラム日高・胆振地域協議会主催の陸自「地対艦ミサイル射撃訓練」抗議集会が開催された。陸上自衛隊北部方面隊静内射撃場(日高管内新ひだか町)において強行されようとしていた国内初の地対艦ミサイル実射訓練に反対するために、全道各地から北教組、自治労北海道をはじめとした約三〇〇名の労働者、学生、市民が結集し怒りの声をあげた。職場深部から反戦闘争を組織化してきている戦闘的・革命的労働者の突き上げをうけて北海道平和運動フォーラム指導部は、静内射撃場のある日高地区と隣接する胆振地区でつくる日胆地域協議会との共催でこの集会を開催したのだ。
  「ミサイル実射訓練反対!」横断幕、組合旗を掲げデモ行進する労働者・学生・市民
(6月20日、札幌市)
  300名が怒りに燃えて結集し集会かちとる
(6月20日、札幌市)

闘う労働者が静内現地闘争
6・24
 反戦青年委員会のたたかう労働者は、六月二十四日、日高管内新ひだか町の静内射撃場で陸上自衛隊が強行しようとしていた地対艦ミサイル実射訓練を阻止する現地闘争に起ちあがった。石破政権・防衛省は、六月二十四日から二十九日までのあいだに、陸自北部方面隊の地対艦ミサイル部隊約三〇〇名を動員し、国内初の地対艦ミサイル実射訓練を強行すると発表していた。たたかう労働者は、政府・防衛省による対中国先制攻撃体制を飛躍的に強化する攻撃を阻止するためにたたかったのだ。
  射撃場ゲート前で奮闘する闘う労働者
(6月24日、静内)
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