第2864号2025年4月21日)の内容

<1面>
石破政権・独占資本家階級による
トランプ関税の犠牲転嫁を許すな

<2面>
4・1 小松へのF35配備に抗議
先制攻撃体制構築を打ち砕け
 大分 ミサイル連隊発足
 九州・南西諸島 弾薬庫増設
<3面>
南アフリカ 鉱山労働者大虐殺から12年
<4面>
ネオナチAfDの跳梁と危機に立つドイツ労働者
旧東ドイツ人民の貧困につけ込んだAfD
<5面>
出版2025春闘を粘り強く闘おう!
Topics 日共中央が「職場・労働分野での党づくり」を空叫び
<6面>
離職が相次ぐケアマネ職場の過酷な実態
 「解放」最新号






















  

石破政権・独占資本家階級による

トランプ関税の犠牲転嫁を許すな


 反人民性を剥きだしにする石破政権を打倒せよ!

トランプ関税の発動――
米・中貿易=通商戦争の幕開き


 アメリカ大統領トランプは、四月九日零時を期して世界各国に発動した「相互関税」を、そのわずか十三時間後に――中国だけは「報復措置をとった」という理由で除外して――上乗せ分を九十日間免除し「一律一〇%」だけにする、という修正に追いこまれた。
 「相互関税」の発動を前後して、株価の下落・乱高下だけでなく「安全資産」として投機資金の逃避先とされるアメリカ国債までもが急落し、しかもその背後に中国の影(保有米国債の報復#р閧フ可能性)を見て金融危機の不安が一気に高まったこと、これに慌てたヘッジファンド出身の財務長官ベッセントがトランプを説き伏せ、この軌道修正をはかったのだ。
 トランプは、徹底抗戦する姿勢を崩さない習近平・中国にたいしては、追加関税を合計一四五%にまで引き上げた。けれども、四月十一日に中国が、アメリカへの「報復関税」を一二五%にまで引き上げるとともに、「もうこれ以上アメリカを相手にしない」と表明したことに飛びつき、「中国は本当は交渉したがっている」などと言って中国にたいしても「ディール」をもちかける姿勢をおしだしはじめている。翌十二日に、アメリカが中国からの輸入に大半を依存しているスマホやパソコンなどを――アメリカ国内の反発の高まりに直面して――「相互関税」の対象から外すと発表したことにも、こうした軌道修正はしめされている。〔十三日にトランプは「スマホは別枠の半導体関税に組みこむ」と表明。〕
 まさに、愚帝トランプが「奪われたアメリカの富」を世界各国から「取り戻す」などと勝手に叫んで強行した「トランプ関税」政策は、早くも頓挫を露わにしているのである。
 とはいえ、トランプは、「アメリカの偉大な復興」のために、アメリカを蹴落として世界の覇者≠ノのしあがらんとする習近平・中国を経済的破局に追いこみ、同盟諸国をはじめとする世界各国に中国との経済関係を断ち・アメリカ経済の「再生」を支えさせるために、この「相互関税」をあくまでもゴリ押しすることに狂奔している。
 核軍事力の増強をバックに、台湾併呑を狙い南・東シナ海の内海化≠ノ突き進むネオ・スターリン主義中国。しかも中国は、かのディープシークに示されたように、最先端の軍民両用技術であるAIの開発においてもアメリカの牙城を脅かすまでに急速にキャッチアップを遂げつつある。他方で、アメリカの製造業は「空洞化」を深め、韓国や台湾さらに中国の受託生産企業に依存する傾向を強めてきている。こうした現実を、トランプ政権は、中国に経済安保上の決定的なアキレス腱を握られていると危機意識を昂じさせ、「製造業のアメリカ国内への回帰」をはかるために、「相互関税」の発動に踏みきったのである。
 このトランプの攻勢にたいして習近平は、全面対決する意思をうち固め「報復関税」を次々とうちだしてきているのだ。いま中国は、都市開発・不動産バブルの破綻に陥り、若者の失業が増大しているだけでなく人口減少への突入などのゆえに、経済危機を深めている。こうしたなかでも習近平指導部は、電気自動車や太陽光パネル、風力発電、そしてレアアースなどの希少資源において圧倒的な世界シェアを握っていることを武器にして、アメリカに全面的に対抗しようとしているのだ。アメリカの同盟国であるEU諸国や日本・韓国にトランプのアメリカからの離反を促し、かつトランプに反発するグローバルサウス諸国を政治的にも経済的にもいっそう深ぶかと抱き寄せることを追求しながら。
 こうして、トランプのアメリカと習近平の中国が「関税戦争」のチキンレースをくりひろげ、世界経済が危機を深めているのである。
 そして、トランプが仕掛けたこの「関税戦争」に世界の耳目が集中しているこのときに、この間隙をついて、プーチンのロシアは、残虐なウクライナ侵略をエスカレートさせている。パレスチナでも、ネタニヤフが、ガザ人民ジェノサイドをいよいよ強めている。まさにプーチンのウクライナ侵略を転回点として一挙に激烈化してきた米―中・露の政治的・軍事的角逐は、いまトランプ関税の強行を契機としていっそう熾烈なものとなっているのだ。

全世界労働者・人民への貧窮の強制

 トランプは「アメリカは何十年ものあいだ、略奪の対象となってきた」「今度はわれわれが繁栄する番だ」と叫んでこの高関税を発動した。だが、アメリカの労働者・人民にとって消費税と同様の負担を強いるこの高関税の発動にたいして、多くの労働者・人民がインフレの再加速に反発を強め「高関税反対」の声を噴きあげつつある。こうした状況のもとで、トランプはなおも高関税政策を正当なものとおしだすためにいま、「七十五ヵ国以上が交渉を求めてきている」とその成果≠おしだしている。そのなかでもトランプ政権は、「トランプ氏の提起に応えるパッケージ」を用意すると語って頭を下げてきた「属国」日本の石破政権との交渉がきわめて大きな成果を生みだすかのように宣伝し、それを優先している。石破に農畜産物の輸入拡大や自動車の安全基準の見直し、そして対中国の軍事分担の拡大と軍事費の大増額を誓約させようとしているのだ。そして、これを雛形として、反発し抵抗している諸国にたいしても、みずからの身勝手な要求をなんとしても押しこもうとしているのが、大統領トランプなのである。
 そもそもトランプが被害者意識丸だしで問題にするアメリカの「貿易赤字」と「製造業の衰退」。これは、第二次大戦いご基軸通貨国にのしあがったことに、アメリカ帝国主義支配階級が胡座をかいて世界中から収奪してきたことの帰結ではないか。とりわけ一九九一年のスターリン主義ソ連邦崩壊以降にアメリカ権力者と独占諸資本は、先端技術部門の研究開発と金融部門などに特化した産業構造をつくりだし、「製造業の空洞化」をみずからつくりだしてきた。そのもとで「貿易収支の赤字」をつうじて全世界にばらまかれてきたドルを、証券投資などでアメリカ国内に還流させ、アメリカの世界金融支配を維持し強化してきたのだ。諸外国が「アメリカから略奪してきた」どころか、全世界から莫大な富をアメリカ一国に集中させてきたのが、アメリカ帝国主義が主導してきたグローバライゼーションにほかならないのだ。
 こうしたアメリカン・グローバライゼーションのもとでいまやアメリカを脅かすまでに強大化したネオ・スターリン主義中国を抑えこむために、バイデン式の「同盟諸国の動員」ではなく「アメリカ・ファースト」にもとづく隷属国化戦略にのっとって、全世界にむけて高関税の発動に踏みだしたのがトランプなのである。

以下、見出し

労働者への犠牲転嫁に突き進む石破政権・独占資本家

 安保強化・軍拡大増税、賃下げ・首切りを許すな


救国」産報運動に突進する「連合」指導部弾劾!



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南アフリカ鉱山労働者大虐殺から十二年

 二〇二四年八月十六日  
(1)

 
およそ3000名の鉱山労働者が、南ア共産党系の労組NUM指導部配下の警備員に抗して座り込む
 
自動小銃を乱射しながらスト労働者に襲いかかる警察の治安部隊
 マリカナ鉱山労働者虐殺事件
 二〇一二年八月十六日、南アフリカ共和国のマリカナ鉱山(イギリス系鉱物資源会社の所有するプラチナ鉱山)で、賃上げと労働条件の改善を要求してストライキを敢行していた労働者たちに向かって、ズマ政権(当時)の警察治安部隊が自動小銃を乱射して襲いかかり、三十四名の労働者が虐殺され、少なくとも七十八名の労働者が負傷した。鉱山会社理事としてこの大弾圧を要請したのが、現大統領のラマポーザだ。
 FLTIのカルロス・ムンセール氏より革マル派に、「南アフリカ 鉱山労働者大虐殺から十二年」と題する対談が送られてきた。対談は昨二〇二四年に、ジンバブエ国際主義労働者同盟のジェームズ・S氏とFLTIのカルロス・ムンセール氏が、南アフリカをはじめとするアフリカの黒人労働者階級の階級闘争について語ったものである。日本ではあまり報道されていないアフリカ階級闘争の現状を日本の労働者人民にも広く知ってもらうために、この対談を本紙上で紹介する。
 アフリカの国々は形のうえでは独立国となっているが、実際は今も帝国主義諸国の植民地・半植民地同然の状態に叩きこまれており、黒人労働者階級は資本の賃金奴隷であると同時に、いわば「奴隷としての奴隷」のような、極限の人間疎外に突きおとされている。そしてまさにこのゆえに彼ら黒人労働者階級はいま、帝国主義とその独占資本、および一部の黒人ブルジョアジーにたいして、激しく果敢な階級闘争をくりひろげているのだ。
 だが同時に、この闘いにたいして、カストロ主義者やチャベス主義者などのスターリン主義の残党どもが「プーチンの代理人」とも一緒になって、闘争の破壊者として立ち現れている。
 アフリカは、「死の苦悶」にあえぐ資本主義にとってみずからが延命するための「最後のフロンティア」ででもあるかのようにみなされている。だがそれは「大いなる幻影」にすぎないことを、黒人の階級闘争そのものが告知している。しかし、世界の労働者階級から見向きもされなくなったスターリン主義の残党どももまた、このアフリカの大地をおのれの最後の延命の地にしようとして、闘争の破壊者として暗躍しているのだ。
 「ソ連型社会主義」は歴史の舞台から退場したとはいえ、世界の労働者階級人民は帝国主義とスターリン主義によって、いまなお二重に苦しめられている――このことを対談はリアルに暴きだしている。<反帝・反スターリン主義>の旗を掲げてたたかうわれわれの責務はいよいよ重大なのだ。
 〔編集局〕

以下、見出し

二〇一二〜一四年の鉱山労働者の闘争

アフリカ大陸に刻まれたスターリン主義者の裏切り


マリカナの闘いの教訓
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ネオナチAfDの跳梁と危機に立つドイツ労働者

 ドイツの二月総選挙で第一党となったキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第三党に転落した社会民主党(SPD)は、四月九日に連立協定で合意した。
 CDUの党首フリードリッヒ・メルツは、第二党となった極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」とは絶対に組まないことをあらかじめ言明し、AfD外しの大連立≠追求した。総選挙直前にCDUは移民規制強化の決議案をめぐってAfDと連携したことで労働者・人民の囂(ごう)々たる非難を浴び、予測を大幅に下回る得票率しか得られなかった。このゆえに保身に駆られたメルツは、AfDにたいする「防火壁〔ナチスを肯定する政党とは協力しないというドイツ既成政治の原則〕」を守るという姿勢を再びおしださざるをえなくなったのだ。
 メルツは、SPDとの連立を基礎にして「ヨーロッパ防衛の中核を担う」ための歴史的な大軍拡に突進すると同時に、メルケル以来の移民・難民の受け入れ=保護政策から規制強化政策への明確な転換をも宣言している。
 このような移民・難民政策の転換は、ロシアのウクライナ侵略の衝撃波をうけたドイツ経済の破綻、急激な物価高や失業増大と貧困化にたいする人民の不満の高まりをのりきるためである。それと同時に、ネオナチ政党AfDのこれ以上の伸張と政権奪取をくいとめるという支配階級主流の意志を体現した防御策にほかならない。今次総選挙でAfDは、前回から得票率を倍増させ(二〇・八%)、定数六三〇議席中の一五二議席を獲得した。AfD党首アリス・ワイデルは、「歴史的な勝利だ。次はCDUを追い抜く」と息巻いた。
 ナチスのホロコーストへの贖罪≠ノはじまった戦後ドイツ政治において、ナチスを公然と擁護する政党が議会内第二党の座を奪うまでに台頭したというこの危機的な事態は、だがいったいなにゆえにもたらされたのか?

以下、見出し

トランプ政権の援軍を得たAfD

「反移民」排外主義の煽りたて

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二〇二五出版春闘

大幅一律賃上げ獲得、反戦・反改憲を粘り強く闘おう!

 出版労連は、三月十二日の統一回答指定日の翌日に、第一波統一行動・ストライキとして総決起集会を開催した。ここで労連の中心である教科書共闘の代表は、物価上昇を大きく下回る実質賃下げ回答であったにもかかわらず、多くの単組が前年を超えたので妥結方向である≠ニ報告し、二五出版春闘の幕引きをはかったのであった。
 労連傘下の多くの組合は、昨年を下回る二・四八%という超低率の妥結を強いられた。しかもこの率は定昇込みのそれであって、妥結した二十二組合の半数がベースアップゼロなのだ。
 こうした屈辱的な結果は、出版労連本部の賃上げ闘争の方針と指導によってもたらされたのであり、われわれは怒りをもって弾劾する! ストライキを敢行する単組もあり、多くの単組が大幅賃上げ獲得をめざして今なお粘り強くたたかっている。われわれは大幅一律賃上げ獲得をめざし、最後までたたかう決意である。(三月十三日)

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A 出版春闘をめぐる情勢

 激変する産業構造と資本家どもの攻撃

 内部対立を激化させる出版労連本部

B 出版労連二五春闘方針の批判

 1 賃上げ闘争の放棄・歪曲

 賃金闘争方針の右翼的変質

 2 改憲反対闘争と反戦平和の完全な消失

 3 反リストラ、労働強化・長時間労働反対の放棄


C 大幅一律賃上げ獲得!
  反戦・反改憲の炎を!


 出版労連組織を戦闘的に強化しよう
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 職場だより 


離職が相次ぐケアマネ職場の過酷な実態

 私はケアマネージャー(介護支援専門員、通称「ケアマネ」)として地域包括支援センターで働きつつ、自分の日々の過酷な労働を見つめ考えている。私が働く包括支援センターではずっと募集しつづけているが応募がない。二〇二三年度に厚生労働省が実施した調査によるならば、ケアマネが不足している多くの職場で、「募集にたいして応募がない」ということを、採用が難しい要因としてあげている。
 新たに職員を確保できないため、私は担当限度といわれる四十件をこえ五十件を担当せざるをえなくなっている。日常生活や体調管理に支障をきたしている高齢者にたいして、センターが「保険サービスの導入が必要」と判断するとその人の受け入れを断ることはできない。センター職員は、介護保険サービスに加えて困窮高齢者のための在宅福祉サービスの対応もしながら利用者・家族、事業所との連絡調整をおこなう。そのため休憩時間もまともにとれない日々がつづく。
 政府が介護報酬を大きく引き上げないことを口実にして、介護事業所経営者は、介護労働者にたいして低賃金を強いてきた。だがあまりの「介護現場の人手不足」が社会問題ともなるにおよんで介護職員の人材確保のため、介護労働者の賃金などの「改善」にあてる分として、介護報酬には微々たる「処遇改善加算」がつけられるようになった。だが「ケアマネの処遇改善」という加算はいっさいつかない。
 ケアマネ一人が三十件以上の介護サービス利用者を担当しないと居宅介護支援事業所の経営はなりたたないと言われる。ある事業所経営者は、ケアマネ一人が担当する件数が三十件に満たない場合、一件につき六〇〇〇円を給料から差し引くという悪辣な対応をしたため新規社員が三ヵ月後には退職した。あるケアマネは、「ストレスの大きい仕事なのにこんな賃金では引き合わない。処遇改善加算がつく介護職に」と転職した。
 政府・厚労省はケアマネが不足することによりサービスを受けられなくなる高齢者が増えることを見越して、二〇二四年の介護報酬改定でケアマネ一人当たりの取り扱い件数を修正し、現行の四十件未満を四十五件未満に増やした(二五年実施)。「ICT機器の活用または事務職員の配置」をすれば「仕事が軽減される」ので担当する利用者を増やすことができると弁明して。ケアマネの負担を軽減するのではなく逆に重くしているのだ。さらなる労働強化に労働者は「たまったものではない」と怒り心頭である。
 退職していくケアマネたちが仕事を継続できない大きな要因にあげたのは「賃金・処遇の低さ」である(ケアマネ協会のアンケート)。事務労働の多さや業務範囲の広さに見合った賃金ではない≠ニいう怒りの声が圧倒的に多いのだ。ある地方では、十年近く働いてきたのに賃金の手取りが月額一八万円ほどしかなく、これでは生活がなりたたない。家族を抱えたケアマネ労働者は、現下の物価高に見舞われ困窮し、生きるために転職するしか選択肢がないのである。

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高齢者介護を「地域」に押しつける政府・厚労省

あからさまな棄民政策を許さない

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4・1
 

小松へのF35配備に抗議


 政府・防衛省が航空自衛隊小松基地へのF35Aステルス戦闘機の初配備(三機)を強行しようとした四月一日早朝、これに反対する緊急集会が、石川県平和運動センター主催のもと、小松基地ゲート前で開催された。傘下の労組員など約七十名が結集し、金沢大学のたたかう学生たちも闘いの高揚のために奮闘した。 
結集した70名が空自小松基地に怒りのシュプレヒコール
(4月1日)
   闘う金沢大生が<反安保>の旗高く奮闘
(4月1日、小松基地ゲート前)
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