第1744号(2002年11月18日)の内容

<1面>
国連の「イラク軍事攻撃容認」決議弾劾!
「新決議」をタテとした米英のイラク侵略戦争を許すな!


11・9「対イラク安保理決議の採択弾劾!」 全学連が米・露大使館に緊急抗議

<4〜5面>
戦争狂≠フ新たな世界軍事支配戦略
軍事力物神崇拝のブッシュのドクトリン

<8面>
在日朝鮮人民同胞に訴える!
うた かなしき命運

<2面>
自衛隊・察の治安出動訓練に怒り 10・25 札幌
個人情報保護法案ぶっつぶせ大集会 9・12 沖縄
国連安保理の対イラク決議採択を弾劾する!……全学連声明

<6面>
Topics 許すな! 雇用保険制度改悪
リポート労働戦線 イラク攻撃反対の炎燃ゆ/自衛隊指揮下で防災訓練/新卒の就職難/これが「ボランティア」?

<7面>
仲間の貴い遺志をわが胸に
   『内ゲバにみる警備公安警察の犯罪』を読んで
この<場所>を大いに哲学するぞ

<3面>
万華鏡2002――情勢の断層を読む
◆一方的殺人兵器
◆ぷちナショナリズム
◆KGB流
◆「事後保全」
◆「元少年」たちの叫び
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号

 
















































  

国連の「イラク軍事攻撃容認」決議弾劾 
「新決議」をタテとした米英のイラク侵略戦争を許すな!


 国連安全保障理事会は、十一月八日に「イラクに大量破壊兵器の国連査察の再開を求める決議」(決議一四四一)を全会一致で採択した。イラクにたいする軍事力行使を容認する「新決議」が採択されなければアメリカは単独でも決行する、というブッシュ政権の脅迫のまえに、これまで抵抗してきたフランス、ロシア、さらにアラブ強硬派≠フシリアさえもが次々と屈服し、アメリカ提案に賛成した。アメリカ帝国主義権力者ブッシュは、この国連安保理決議によって、「対イラク軍事力行使」に国際的なゴー・サイン≠与えられ、いまや、イラクにたいする軍事侵攻にうってでようとしている。
 すべての労働者・学生諸君! いよいよさし迫っている米英帝国主義のイラク軍事侵攻を断固として阻止せよ。日本の参戦を絶対に許してはならない。極悪非道のウォーモンガーどもに反戦の烈々たる怒りを叩きつけよ!

以下、見出し
アメリカの「対イラク軍事力行使」を認めた安保理決議

ブッシュの強硬策に屈服した仏・露・中権力者

臨戦態勢の一挙的強化に狂奔するブッシュ政権

参戦に向け民族排外主義を鼓吹する小泉政権

反対運動の沈滞をうち破る革命的反戦闘争の火柱を!
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声明
国連安保理の対イラク決議採択を弾劾する!
米英帝国主義のイラク侵略阻止! 日本の参戦・有事法制定阻止!

全日本学生自治会総連合


 国連安全保障理事会は十一月八日午前(日本時間九日未明)、米英共同提案の「対イラク武力行使容認」決議案を十五ヵ国の全会一致で採択した。採択された決議一四四一は、イラクにたいして武装解除を義務づけ、義務違反を重ねたならば「深刻な結果に直面する」と警告している。このような決議を国連安保理が採択したことは、米英両帝国主義権力者が強行しようとしているイラク侵略戦争に国際社会の合意≠ニいう大義名分を与える犯罪行為にほかならない。わが全学連は、米英提案の「対イラク武力行使容認」決議案の国連安保理事会による採択を満腔の怒りをこめて弾劾する! われわれは米英両帝国主義によるイラク侵略を断固として阻止するためにたたかう!
 わが日本の転向スターリン主義党=共産党は、採択された国連安保理決議について「これまでの内容を若干緩和し、米英両国が自動的に武力行使に向かうことは避けている」などと客観的報道を装いながら論評している。あたかも決議に賛成した中国権力者の弁明を代弁するかのように。
 だが、これこそ労働者人民を武装解除するデマゴギーではないのか? そもそもブッシュ政権の高官は、「大統領がすぐ行動する必要があると判断すれば、国連安保理の協議の間にも、友好国を募って行動を起こせる」などと傲然と公言しているではないか。アメリカが、フランスやロシア、中国に歩み寄ったのではない。いわんや、アメリカがユニラテラリズムを投げ捨てたわけではない。フランス、ロシア、中国が「一超」軍国主義の横車押しに屈服したのだ。
 すでに米軍は、イラク攻撃に向けて周辺地域に六万人近い兵力を展開し、十二月中にはペルシャ湾岸に空母四隻を集結させようとしている。臨戦態勢を着々と整えているのだ。一九九一年の湾岸戦争においてアメリカ軍が使用した劣化ウラン弾の放射能によって小児がん患者が急増し、イラクの妊娠中の女性は「生まれてくる子が男の子か女の子かに関心をもてない。生きられる子が生まれるかどうかが心配なのだ」(イラクの女性医師)という。このイラク人民に、軍事力を物神崇拝する戦争狂どもは、核兵器を含むありとあらゆるハイテク兵器を駆使して襲いかかろうとしているのだ。
 危機がさし迫る今、一切は、世界各国の労働者・学生・人民が国際的に連帯し、血に飢えた戦争狂どものイラク侵略を阻止する反戦闘争を創造しうるか否かにかかっているといわなければならない。
 同時に、われわれは、ロシアと中国の権力者どもがアメリカ提案の決議案に賛成したことを満腔の怒りをこめて弾劾する! モスクワの劇場を占拠したチェチェンのムスリム戦士を、人質のロシア人もろともに皆殺しにしたプーチン政権。新疆ウイグル自治区の民族分離=独立運動にたいして血の弾圧を加えている江沢民政権。彼らは、これらの蛮行を「テロとの戦い」などと正当化しアメリカ政府の支持をとりつけるとともに、イラクでの石油資源開発の利権を確保することを企んでいる。まさにそのために、アメリカ提案の決議案に賛成するという犯罪行為に手を染めたのだ。いったい何が「反覇権主義」だ! 恥知らずにもアメリカ帝国主義との瞞着に走っているロシア・中国の権力者どもは、全世界民衆の怒りの業火で焼きつくされなければならない。
 さらにわが全学連は、ブッシュ政権からの要請に応えて、小泉政権が対イラク戦争に参戦・戦費協力を強行しようとしていることを絶対に許さない! 彼らは、有事法の制定をたくらむとともに、テロ対策特措法にもとづく基本計画を改定しインド洋における自衛隊の米軍支援活動の期間を半年間再延長しようとしている。まさにそれは、米英両帝国主義が対イラク開戦に踏み切った際に、自衛隊を米軍支援の任務に動員するためにほかならない。
 この小泉ネオ・ファシスト政権は、北朝鮮国家の過去の日本人拉致行為の「自白」にたいして、鬼の首でもとったかのように「国家テロ」などと非難し排外主義的ナショナリズムを煽りたてている。このことに、われわれは痛憤と恥辱の念を覚えずにはいられない。空前の民族排外主義のキャンペーンにたいするわれわれの回答はただ一つ、プロレタリア・インターナショナリズムに立脚し全世界のたたかう労働者・人民と連帯して反戦闘争を推進し、米英両帝国主義によるイラク侵略戦争と日本の参戦を絶対に阻止することである。
 われわれ日本全学連は、全世界の人民に声を大にして訴える! 今こそ共に力を合わせてアングロアメリカン帝国主義のイラク侵略を阻止しよう! 自国政府の参戦・協力・加担を許すな! すべてのムスリム人民は「アラブの眠れる兵士は覚醒せよ」というアヤト・アフラスの熱烈な殉教の訴えに呼応しつつ、イスラミック・インター‐ナショナリズムにもとづいて全世界で「反米・反シオニズム」の闘争をまき起こせ! わが日本全学連の真紅の旗は常に必ず、全世界のたたかう人民の先頭で翻るであろう!
二〇〇二年十一月九日
   
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一方的殺人兵器
「肉食獣」と「地獄の火」とは……


 「アルカーイダ幹部ら六人がアメリカのミサイル攻撃で死亡」「CIA無人機が米艦爆破容疑者らをミサイル攻撃」――十一月三日にアラビア半島イエメン共和国で起きた事件を、新聞は実に淡々と、あたかもアメリカによる正当な行為であるかのように報じた。「作戦はイエメン中部で敢行された」(「毎日新聞」)と。
 ふざけるのもいい加減にしろ!奴は「アルカーイダ幹部」だ、奴を殺せ≠ニいうのは、正真正銘の暗殺行為ではないか。何が「作戦を敢行」だ!
 「アルカーイダ幹部」とみなされて殺された六人は、イエメンの首都サヌア東方約一七〇`のマーリブ地区を車に乗って移動中であった。これをCIAが、攻撃機能を兼ね備えた無人偵察機「プレデター」を使って追跡。偵察機から発射されたミサイルの直撃をうけ、六人全員が一瞬にして爆殺された。六人のうち一人はカエド・アルハレシで、彼は「ビン・ラディンの側近」にして「米駆逐艦コール爆破事件(二〇〇〇年)の首謀者」であるとされている。
 この事件にかんして、アメリカ政府は公式声明を何も出していない。イエメン政府も、口を閉ざしている(無法な暗殺行為であるがゆえに!)。だが沈黙はオモテむきのこと。「非公式コメント」と称して、ホワイトハウスの戦争狂どもは次つぎと戦果を讃えた。「〔アルハレシが〕仕事から離れることになったとすれば非常によいことだ」(ラムズフェルド)、「作戦は大成功」(ウォルフォヴィッツ)。
 警戒せよ!「プレデター」は、これまではアフガニスタンにおいて、各所に潜伏するアルカーイダやタリバンの戦士たちを発見し攻撃するために用いられてきた。このような、攻撃する側は絶対に安全な場所にいる一方的殺人兵器を、アメリカはアフガニスタン以外の国においても使いはじめたのだ。「テロリスト」と烙印した過激派の殺戮のために!
 「プレデター」を用いての攻撃がいかに野蛮でむごたらしいものかは、アフガニスタンにおける米軍の数々の蛮行が示している。今年五月、カルザイに反旗を翻すイスラム党指導者ヘクマティアルが、車で移動中に「プレデター」に追跡されミサイル攻撃を受けた(ヘクマティアル自身は危うく難を逃れた)。今年初めには、米軍がアフガニスタン東部で「ビン・ラディンの乗った車を爆撃し彼を殺害した」と発表したものの、じっさいに殺されたのは別人でありアルカーイダと何の関係もないことが後日になって判明した。これは、「プレデター」の電脳に「身長一八〇a以上の男性を追え」という驚くほど単純な条件をインプットしたヤンキー的粗野の必然的結果。これと同様のむごたらしい「誤爆」事件が、アフガニスタン東部において頻発している。(今回イエメンで暗殺された人物が本当に「アルカーイダ幹部」なのかどうかも疑う余地がある。)
 遠隔操縦可能な無人機「プレデター」は、発見した標的の映像を六秒以内に基地に送信してくる。四・五`b離れた道路標識を識別できる精度をもつ。人間の体温を感知して敵を発見するセンサーを備えてもいる。このような一方的殺人兵器は、ブッシュ言うところの「戦争の新たな形態」、すなわち「見えない敵」としての「テロリスト」にたいする「非対称型戦争」の野蛮を象徴している。
 「プレデター」という名称はPredatorすなわち獲物を追いかけ食い殺す肉食獣を意味する英語に由来する。そして、この「プレデター」から発射され六人を焼き尽くしたミサイルの名称はHellfireすなわち「地獄の火」。みずからが血に飢えたケダモノであり、地獄の使い=悪魔であることを誇示するかのごとき名称を用いてはばからない戦争狂いのヤンキー帝国主義権力者を許すまじ!
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戦争狂≠フ新たな世界軍事支配戦略
軍事力物神崇拝に憑かれたブッシュのドクトリン


 稀代の戦争狂<Wョージ・W・ブッシュのアメリカ帝国主義は、「大量破壊兵器の開発・使用の阻止」をふりかざしてサダム・フセインのイラクにたいする軍事侵攻に向けて猛突進している。アメリカ政府はイギリス政府とともに、イラクにたいする軍事攻撃を明記した「新国連決議案」を提出し、その採択を中国・ロシアそしてフランスにたいして強引に迫っている。「新国連決議の採択が妨げられるならば、アメリカは単独でイラクにたいする先制攻撃にふみきる」という傲岸な意志を挑発的につきつけながら。戦争屋ども=アングロ・アメリカン帝国主義の権力者どもがイラクにたいする核攻撃を含む大規模軍事侵攻を開始する時は刻一刻と迫っている。
 それと同時に、米朝協議の場で「核兵器開発の継続」を自白した金正日の北朝鮮にたいしても、ブッシュ政権は「核武装の解除」を強硬に突きつけ政治的・軍事的圧力をよりいっそう強化している。
 いままさにブッシュ政権は、アメリカ帝国主義の世界「一超」支配に刃向かうムスリム急進主義の諸グループや反米¥剥痩ニを「テロリスト」とか「テロ支援国家」とかと烙印し、これらの殲滅(せんめつ)を目的として「非対称的戦争」と称する戦争放火にうってでているのだ。このヤンキー帝国主義のイラク侵略戦争を阻止しうるか否かこそが、いま、全世界の労働者・人民に鋭く問われている。
 わが革命的左翼は、アメリカ帝国主義の戦争放火と暴虐・暴圧とに抗して不屈にたたかっている全世界各国の労働者・人民と固く連帯して、<アングロ・アメリカン帝国主義のイラク攻撃阻止>の闘いをプロレタリア・インターナショナリズムに立脚して力強く推進するのでなければならない。
 本稿では、アメリカ帝国主義のイラク侵略阻止の闘いの高揚をきりひらくための一助として、ブッシュ政権がうちだした新たな軍事戦略・世界制覇戦略とそのイデオロギーの分析・批判を深めていくことにしたい。

以下、見出し
〈1〉〈アメリカの敵〉にたいする先制攻撃の宣言

〈2〉「新たな脅威」への強烈な危機感と憎悪

〈3〉絶大な核軍事力による「一超」支配

〈4〉ブッシュ流〈侵略するナショナリズム〉
 
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在日朝鮮人民同胞に訴える!
「日本人拉致問題」を利用した反朝鮮の排外主義の嵐に抗して闘おう
日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派


 (1)
 すべての朝鮮人民よ! とりわけ、この日本の地において、あらゆる民族差別と迫害に抗しながら日本労働者人民の兄弟としてたたかってきた在日朝鮮人民同胞よ!
 われわれ日本の革命的左翼は、いま日本の地で嵐のように吹き荒れている「北朝鮮による日本人拉致問題」をめぐるキャンペーンに、腹の底からの憤りを禁じえない。この悪意に満ちたキャンペーンにさらされながらも、挫(くじ)けることなく不屈にたたかっているすべての在日朝鮮人民同胞との心からの連帯をわれわれは表明する。

 (2)
 われわれは、キム・ジョンイル(金正日)が自白した「日本人拉致」という過去の行為について、スターリニスト官僚専制国家が犯した日本人民にたいする国家的犯罪行為として弾劾する。けれども同時に、この「拉致」の自白を利用して、有事法の制定を正当化するとともに、かつての日本国家の朝鮮人民にたいする数多の犯罪を帳消しにしようとして騒いでいる日本政府権力者とその手先どもの悪辣なやり口を、われわれはその数倍も弾劾する。
 彼らはいま、「北朝鮮はテロ国家だ」と鬼の首でもとったかのようにがなりたて、北朝鮮人民にたいする、そしてまた在日朝鮮人民にたいする民族排外主義を煽りたてている。それは、アメリカ・ブッシュ政権が世界中でくりひろげている「テロリスト根絶」を名分とした侵略戦争に、日本国家として参戦するという彼らの野望を日本人民に受け入れさせるためなのだ。「テロ国家がすぐ隣に存在し、このテロ国家を支持する特定民族集団が国内に存在する以上、武力攻撃や内乱にたいする備えが必要だ」――このように強弁して「有事法制定は当然だ」という世論をつくりだすためなのだ。「戦争のできる普通の国」として復活するという日本帝国主義権力者としての悲願を実現するために、そのためにこそ「日本人拉致問題」を被害者面して騒ぎたてているのが、彼ら日本政府権力者どもなのだ。われわれは、このような日本政府権力者の悪巧みを断じて許してはならない。
 それだけではない。彼らは、「南京大虐殺などはなかった。戦争で民間人に多少の犠牲者がでるのは当然だ」「従軍慰安婦などはいない。彼女たちは自由意志で体を売ったのだ」「朝鮮人強制連行などはない。彼らは日本国民として当然の移住をしたまでだ」などと、いまだにほざいている卑劣きわまりない連中だ。韓国パク・チョンヒ(朴正煕)政権と日本政府との間で交わされた戦後補償についてのとりひきを盾にして、「戦後補償問題はもう解決済みだ」などと強弁し、従軍慰安婦にされた朝鮮女性からの告発を蹴飛ばしている恥知らずな連中だ。かつての日本国家の汚辱にまみれた犯罪行為を傲然と正当化し、そのために「日本人拉致問題」を利用しているこのような連中こそが、労働者人民の鉄槌をうけるべきなのである。
 在日朝鮮人同胞よ。このような卑劣な連中の、悪巧みに満ちた在日朝鮮人民への非難と攻撃に、諸君は断じて膝を屈するべきではないのだ!

 (3)
 在日朝鮮人同胞よ。諸君が、「拉致などでっち上げだ」という北朝鮮政府のこれまでの見解を信じ、それに追随してきたことへの慚愧(ざんき)と悔恨(かいこん)の念にいま身を震わせていることをわれわれは知っている。みずからが信じて疑わなかったキム・ジョンイル政府に裏切られたことへの諸君の失意と痛憤はいかばかりであろう。
 だが在日朝鮮人同胞よ。だからといって諸君は、日本帝国主義の過去の植民地支配と戦争犯罪にたいする正当な弾劾と責任追及の闘いまでをも、ここで放棄すべきではない。
 いったい何十万の朝鮮労働者人民が有無を言わさず強制連行され、賃金も払われずに奴隷労働を強制されて、あげくのはてに異国の地で非業の死を遂げたのか。これこそが、「大日本帝国」による大量拉致犯罪と言うべきではないか。いったい何万人の朝鮮人婦女が祖国から強制的に連れ去られ、日本軍兵士専用の「慰安所」で性奴隷にされて辱めを受けたのか。これらの歴史的事実を、諸君は、――そしてそれに加担させられた日本人労働者人民も――絶対に忘れてはならない。諸君は、その責任を当時の「大日本帝国」政府の正統な継承者に、あくまでも問い続けるべきである。このことは、「拉致」問題をめぐって北朝鮮政府が日本人民から受けるべき責めとは何の関係もないし、それによって相殺されるような性格のものでは断じてありえない。
 いやそれだけではない。日本政府は、昨年十二月に、いまではキム・ジョンイルが北朝鮮特務機関の「工作船」と認めた武装船を公海上で捕捉し撃沈した。この戦闘では、十数人の北朝鮮機関員が船とともに海の藻屑(もくず)と消えた。この行為は、戦後日本国家がはじめておこなった公海上での戦闘行為であり殺戮行為である。これは、憲法第九条で禁じられているはずの交戦行為そのものにほかならない。この日本国家の公然たる殺戮行為を当時において弾劾したのは、日本ではわが革命的左翼ただひとりであった。すべての自称革新政党もマスコミも、この戦闘行為で海上保安庁側にケガ人がでたことには大騒ぎしたが、「不審船」乗組員の殺害にはなにほどの問題もないという態度をとった。現におこなわれ、そして今後もおこなわれるに違いない日本国家の白昼公然たる国家的テロ行為を、そしてそのことを当然の「防衛的対応」ででもあるかのように言いつのる日本のマスコミや革新政党の度し難い腐敗を、諸君は、――わが日本革命的左翼とともに――声を大にして弾劾すべきなのだ。

 (4)
 もちろんわれわれは、帝国主義の悪辣な攻撃のまえではキム・ジョンイル政権を擁護すべきだ、などと――堕落したトロツキストのように――言っているわけではない。
 キム・ジョンイル軍事ボナパルチスト権力者は、飢餓と洪水に苦悶する労働者人民から浮きあがり、人民のうえに君臨している特権的軍事官僚にほかならない。「人民民主主義共和国」と称される国家は朝鮮労働党に従属し、朝鮮労働党は「チュチェ思想」を根幹としてこの政府を創り出してきたキム・イルソン―ジョンイル親子に従属する、――こうした絵に描いたようなスターリニスト官僚専制国家が、北朝鮮国家なのだ。このことは、彼らピョンヤン官僚が、労働者人民のたゆまざる組織化と人間変革をつうじてプロレタリア国家を建設する、というマルクス・レーニン主義の大道を、朝鮮型社会主義建設と「チュチェ思想」の旗のもとに放棄してきたことの証左なのだ。だが、キム・イルソン(金日成)の「チュチェ思想」さえもが、――経済的破滅と大洪水と干ばつの繰り返しを決定的な条件として――いまや風化させられているではないか。
 労働者階級の階級的全体性への献身と、それを「体現する」と自称する特定の指導者への「忠誠」という名の個人崇拝とは似て非なるものである。われわれ日本の革命的左翼は、朝鮮の労働者人民がつねにかならず「偉大な将軍様のおかげで」という「挨拶」をかわすことに限りない違和感と不快感を感じてきた。「偉大な将軍様」などと人民大衆に呼ばせて悦に入っている指導者などは、個人崇拝によって専制体制を維持してきたスターリンの末裔だというべきではないか。このように労働者人民から浮きあがっているからこそ、彼は、自国経済の破滅から脱出するために、しかも中国およびロシアの官僚指導部の強い要求のもとに政策的急旋回をやってのけた。すなわち、米日両国の「国家テロ」や「海賊行為」にたいする批判を後景におしやり、拉致問題を公然と認め、「米朝枠組み合意」および「核拡散防止条約(NPT)」を無視して核開発をしてきたことを告白したのであった。このことは、自国の経済的危機をのりきるために緊急な経済援助を日本政府から受けるという意図の明白なあらわれにほかならない。
 在日朝鮮人同胞よ。諸君がまずもって弾劾すべきは、キム・ジョンイルが日本政府からひもつき援助を引き出すために、日本国家の侵略行為・植民地支配・戦争犯罪についての賠償請求を後景におしやり朝鮮労働者人民の日本帝国主義への積年の怒りに水をかけるというこの裏切り行為についてである。
 階級への献身・革命への献身と個人への崇拝が相容れぬことは、日本の反スターリン主義革命的共産主義運動の創始者が、すでに半世紀も前から明らかにしていることである。いまこそ諸君は、「偉大な将軍様」の呪縛からみずからを解き放ち、朝鮮人民の革命的統一をめざした永続的闘争に、決意も新たに決起すべきである。

 (5)
 「北朝鮮の核開発」をめぐっても、いま政府と政治家どもとジャーナリズムが大騒ぎしている。キム・ジョンイル政府の核兵器開発はあらゆる意味で反人民的である。そんなことはわかりきっている。だからといって、世界で最大の核兵器をもち「大量破壊兵器」を保有して、USナショナリズムをあおりたて国益第一主義のもとに、自国に逆らう諸国を世界中で恫喝してまわっているアメリカ帝国主義権力者に、北朝鮮の「核兵器開発」を非難する資格などはありはしないのだ。そして、世界唯一の被爆国であるにもかかわらず、アメリカ軍の核ミサイルで自国を「防衛」し、この在日米軍の核軍事力を周辺諸国にたいする外交上のバーゲニング・パワーに使っているのが、日本政府なのだ。いや、いつでも核兵器に転化できるように大量のプルトニウムを蓄蔵しているだけでなく、「非核三原則の見直し」や「核兵器保有は合憲」といった発言を「政府首脳」が平然とくりかえしているのが、日本国家なのである。このような核武装志向≠フ日本政府が、カマトトぶって他国の核武装を非難するなどは、片腹痛いというものだ。このことだけは、何べんでも声を大にして叫ぶべきではないか。
 われわれは、アメリカ帝国主義の核武装強化と、対イラク軍事侵略・核攻撃に、絶対に断固として反対する。それと同時に、英・仏帝国主義や中・露の核戦力強化にも反対する。そして最後に、これらに対抗するための北朝鮮やイラクの貧者の核兵器開発≠ノも反対する。
 在日朝鮮人同胞よ。いまこそわれわれとともに、キム・ジョンイル政府の「核兵器開発」に反対すると同時に、このような「核兵器開発」を口実にしたアメリカ・ブッシュ政権による朝鮮人民にたいする「核攻撃」の恫喝に反対してたたかおうではないか!

 (6)
 われわれ日本の革命的左翼は、日本帝国主義権力者とその走狗どもによる民族排外主義の煽りたてに、なによりも危機感と憤激を燃やしている。新聞やテレビは、毎日のように北朝鮮を「テロ国家」にしたてあげるためのキャンペーンをくりひろげている。週刊誌には「これは北朝鮮との戦争だ」という見出しが踊っている。この民族排外主義は、日本を「戦争のできる国家」として飛躍させるためにこそ鼓吹されているのだ。かつての日本帝国主義のアジア侵略を「欧米からの東亜の解放のためだった」などと強弁している連中が、その先頭に立っている。「俺だったら戦争をしてでも拉致された人びとを取り戻す」――このように吠えたてたタカ派都知事・石原の暴言は、戦争好きのネオ・ファシストの咆哮(ほうこう)そのものだ。
 われわれはチマ・チョゴリを着ている朝鮮学校生にたいするネオ・ファシストや右翼無頼漢の暴行や脅迫を断じて許さない。革命的教育労働者や学生は、朝鮮学校の仲間とともに、このような嫌がらせを体を張って阻止するだろう。われわれは「朝鮮人強制連行などなかった」「従軍慰安婦などなかった」などと言いくるめて恥じない「自由主義史観」グループの跳梁と彼らの作成した破廉恥な「歴史教科書」の採択を絶対に許さない。
 在日朝鮮人同胞は、日本帝国主義による非道の強制連行によって心ならずも日本に定住させられて以降、一貫して日本のたたかう労働者階級の戦友であり兄弟であった。われわれ日本の革命的左翼は、その共苦をけっして忘れない。
 在日朝鮮人同胞よ。狂気に満ちた民族排外主義の鼓吹に抗して、ともに力を合わせてたたかおうではないか! いまこそキム・ジョンイル朝鮮型スターリニスト政権の呪縛からみずからを解き放ちつつ、全世界の・そして日本の革命的労働者人民とともに、「アングロ・アメリカン帝国主義のイラク攻撃阻止」「日本の参戦阻止・有事法制定阻止」の闘いを爆発させようではないか!
 プロレタリア国際主義に立脚した日本と朝鮮の人民の戦闘的連帯万歳(マンセイ)!
 (10月21日)
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うた かなしき命運

天津(あまつ)空ふりさけ見れば北鮮の自壊の炎あがりけるかも

煽らるる〔北鮮〕テロへの憎悪、一皮むかば顕はるる有事法制

過ぎし日の犯罪行為〔植民地化〕えぐりだせ!「チュチェ」体制の悪をも暴け!

おぞましきや日本型の家族主義、雪つもりたり日朝会談に

ふるさとの佐渡の荒海ふぶき舞ふ 被拉致者の悩みいやましゆくらむ
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11・9「対イラク安保理決議の採択弾劾!」 全学連が米・露大使館に緊急抗議

11月8日の国連安保理における「対イラク軍事力行使」容認決議を弾劾し、全学連150の部隊はアメリカ大使館にたいする抗議行動に起ちあがった。(11月9日)

 「対イラク軍事力行使」を認めた安保理決議案に賛成したプーチン政権を弾劾し、全学連の学生は、ロシア大使館前で抗議行動をくりひろげた。(11月9日)
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自衛隊・警察の治安出動訓練に怒り 10・25 札幌

意気高くシュプレヒコールを轟かせる(10月25日、陸自札幌駐屯地ゲート前)
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