第1737号(2002年9月30日)の内容

<1面>
米帝のイラク先制攻撃を阻止せよ
闘う全世界人民とスクラムを組み反戦闘争の巨大な奔流を創造せよ

<4面>
大リストラ容認の
「労働運動」への変質

日共官僚・荒堀の労働運動論批判


<2面>
矢臼別砲撃演習阻止に起つ
 全学連道共闘が連続闘争(9・8〜10)


9・17日朝首脳会談 生き残りを賭けた金正日の大バクチ

<6面>
防災訓練の名のもとに対テロ戦訓練を強行(9・1、横浜市)
Topics 基金創設*竭閧ナ揺れる「全労連」
「孫悟空の輪っか」を学習して

<7面>
大衆闘争論はいかに形成されたか

<8面>
「自己克服力」? 『黒田寛一のレーベンと為事』を読んで
◆「ヤンキーダム終焉の端初」を読んで
私の客観主義を思いしらされて
みんなで、じっくり音読した

<3面>
万華鏡2002――情勢の断層を読む
英雄の妄動
ホワイト・タリバン
タカの巣
魚は頭から腐る

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

「解放」最新号

 

























































  

米帝のイラク先制攻撃を阻止せよ
闘う全世界人民とスクラムを組み反戦闘争の
巨大な奔流を創造せよ


 フセインのイラクは、九月十六日に国連による大量破壊兵器査察の無条件受け入れを表明した。このフセインの決断≠ノよって、「査察拒否」を口実にして対イラク軍事侵攻への態勢を築きあげてきたブッシュ政権は、決定的孤立を余儀なくされている。窮地にたった大統領ブッシュは、チェイニーやラムズフェルドらの政権内強硬派に引きずられつつ、なにがなんでも「フセインの打倒」をなしとげるために、「国連」をも無視してイラク侵略に突進しようとしている。九月二十日に公にされた「米国の国家安全保障戦略」こそはその号砲にほかならない。今彼らは「先制攻撃」と「単独行動」を合い言葉にして、国連抜きのイラク武力攻撃に向けて狂気の疾走を開始した。中東全域を戦火の坩堝(るつぼ)に叩きこむことをさえもいとわずに。
 これを見て、このかんブッシュの「対テロ戦争」に全面協力の態度を表明しながらも、対イラク戦争にかんしては、中東原油の安定確保という国益優先の観点から慎重≠ネ姿勢をもしめしてきた小泉政権は、いまや対イラク参戦に向けて慌ただしく準備を開始している。
 すべての戦闘的労働者・学生諸君! 凶暴化した戦争放火屋どもが開始した暴走を断固として阻止するために、全世界の勤労人民と連帯して勇躍たちあがれ!

以下、見出し

国連抜きの軍事侵攻に突進するアメリカ帝国主義

「一超」帝国主義にたいする露・中の平和攻勢

金正日政権の捨て身の揺さぶり――日朝首脳会談

米政権内慎重派の対話方針にのった小泉政権

血に飢えた戦争屋の暴走を打ち砕け!
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英雄の妄動
彼方の犯罪 此方の悲劇 彼方の悲劇 此方の犯罪

 「生存者五人、死亡者八人。」
 聞いた瞬間に、灰褐色と黒のイメージが頭を駆けめぐった。処刑、拷問、強制収容所、慟哭……。在日コリアンのある作家は「これは粛清だ」と思ったという。「五〇年代に帰国した在日同胞十万人の運命がかぶさってくる」と。
 「七〇年代から八〇年代のはじめにかけて、特殊機関の一部に妄動主義、英雄主義があった。……目的は、日本語の習得と南への潜入だった。……」(金正日)
 それにしても、日本人拉致の第一の目的が「日本語の習得」だったとは。……
 拉致された人びとの大半は北朝鮮労働党の特殊機関に組み込まれた。そこはスターリニスト党=国家にとって絶対秘密のダーティー≠ネ仕事をやる機関。本来≠ナあれば、思想的に強固で献身的で身辺清潔≠ネ党員にしか任せられない部署。そこに拉致した外国人を送り込むとは、これは異常なことだ。なぜそんなことを?
 想像するに、七〇年代後半、北朝鮮労働党内には中ソ対立を背景とする深刻な対立があり、日本語に堪能な在日朝鮮人を特殊任務にオルグできない何らかの事情があったのではないか。特殊機関を牛耳っていた金正日一派は、対韓国の軍事工作で成果をあげることに焦っていたのではないか。
 金大中拉致事件をテーマにした「KT」という映画がある。そこには、韓国中央情報部(KCIA)が北朝鮮の工作員と在日コリアンを拉致するシーン、「裏切り者」を処刑するシーンがある。七〇年代、韓国・朴政権は反政府運動を担う在外コリアンを拉致しては韓国に連行しKCIA本部の「地下五階」で密かに処刑していた。
 米・ソが全世界で代理戦争や謀略戦の火花を散らしていた当時、韓国と北朝鮮は謀略合戦をくりひろげていた。金正日一派には日本人を拉致することに躊躇はなかっただろう。米・ソによる世界分割支配のはざまで、どれほど多くの民衆の血が流されたことか!
 ふたたび映画「KT」に話をもどそう。金大中拉致の実行部隊の隊長、KCIAの金車雲〔金東雲一等書記官を模している〕が、怒りにふるえて立ち上がり怒鳴るシーンがある。日本の公安当局から金大中拉致作戦を止めるように警告されたときのこと。
 「日本人がわれわれ〔韓国人〕に〔拉致をやめろと〕言う資格があるのか! 植民地支配の三十年間に日本人は何をしてきたのか!」
 「植民地支配の三十年」……、そう、数十万人の朝鮮人民が日本に拉致・連行された。炭鉱などで働かされ無念の死を遂げたものは数知れず。従軍慰安婦=性奴隷として戦場に駆り出された女性も多数。朝鮮人ひとり残らず本名を捨てて日本人名を名のることを強制された〔「創氏改名」〕。朝鮮・韓国の人民は、当然にも日帝にたいする「恨」を抱いている。
 おそらく、金正日一派は朝鮮人民の「恨」に訴えることで特殊機関員に日本人の拉致を納得させたのではないだろうか。日帝が朝鮮民族にくわえてきた歴史的犯罪に比すれば、われわれの拉致などとるに足らない≠ニいう意識を煽ったのではなかろうか。もしも北朝鮮指導部が「日帝の権力者=支配者と人民大衆とを区別する」という毛沢東的倫理〔故金日成も一応はそのように語っていたはずのもの〕をもっていたのならば、このような民族的心情の悪用≠躊躇したはずだ。彼らは、そのような倫理性のひとかけらも持ち合わせてはいなかったのだ。
 ある在日朝鮮人は言う、「朝鮮民族として恥ずかしい。朝鮮総連の活動家だったことが恥ずかしい。もう日帝の植民地支配の償いなんて言えたものではない」と。
 今、日本国家の原罪≠ノほおかむりし反朝鮮感情を煽る日本のマスコミ・右翼の攻撃に、在日コリアンはさらされている。彼らは同時に、金正日一派の犯罪を祖国の恥として受けとめ苦悩している。
 しかるに、民衆の苦悩など歯牙にもかけない金正日は、醜悪な官僚的自己保身をはかっている。悪いのは「一部の特殊機関」だ、というスターリニスト官僚にふさわしい弁をもって。北朝鮮スターリニスト国家の犯罪を、そして金正日の醜悪な責任転嫁を、絶対に許してはならない。
 同時に、日本人民は、かつて日本帝国主義国家が拉致・連行した数十万朝鮮人民の苦しみと家族の悲しみに想いいたすべきではないか。「北朝鮮=テロ国家=脅威」論をふりまく日帝権力者の悪≠こそ見抜くべきではないか。在日朝鮮人への右翼ファシストどもの嫌がらせや脅迫を許すな!「北朝鮮の脅威」を口実とする有事法の制定や危機管理体制の強化を許すな! 今こそ日・朝(韓)の労働者階級・勤労人民の階級的連帯を築くことが必要なのだ!
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大リストラ容認の「労働運動」
への変質

荒堀式「労働運動の発展方向」論批判 <上>


 前代未聞の<賃下げの儀式>と大リストラの貫徹の場と化した二〇〇二春闘の屈辱的現実に示される日本階級闘争の惨状。これを眼の前にしてもなお、「新しい共同の芽が広がった」とか「新たな胎動の第一歩の開始」とかと評価しているのが、坂内三夫(事務局長)を筆頭とする「全労連」内日共系幹部であり、彼らを背後からあやつっている荒堀広(日本共産党常任幹部会委員・党国民運動委員会責任者)ら日共中央の官僚どもである。彼らは、日本の労働者階級が賃下げとリストラの嵐に翻弄され、日本労働運動の危機がいよいよ深まっているこの現実からまったく昇天して、「新たな運動」の名のもとに、今日版産業報国運動と化した日本労働運動の変質に掉さすことしか意味しない犯罪的役割を果たしている。
 こうした犯罪を牽引する党中央の中心的実体が、このかん「新しい労働運動」なるものを提唱し・その理論的♀礎づけを与えてきた荒堀広にほかならない。荒堀著『職場をたたかいの拠点に―大規模リストラと労働運動の発展方向―』(二〇〇二年三月二十日発行・新日本出版社)はそのことを端的に示している。(以下『拠点に』と略す、本書からの引用はページ数のみ記す。)

以下、見出し

T 大リストラ時代の「新しい労働運動」なるもの
 リストラ反対の闘いの「発展方向」論
 労組幹部・活動家への「活動スタイル転換」の強制

U 「職場の変化」「新たな胎動」論の絵空事
  A 恣意的で観念的な情勢認識
  「労働者の意識の変化」とは?
  日本労働運動の敗北への反省なき展望§_
  「連合」の全面賛美
 
  B 大リストラの「二つの弱点」論

  「成果主義的賃金制度」破綻の結果解釈
  「合理化」分析の破綻
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「防災訓練」の名のもとに「対テロ戦」訓練を強行 9・1横浜市

「テロ攻撃」への対処≠織りこんだ総合防災訓練

 九月一日に神奈川県下では、七都県市合同防災訓練の一環として、総合防災訓練が実施された。神奈川県は小田原アリーナを、横浜市は石川島播磨重工業横浜事業所(磯子区)構内のグウランドを、川崎市は多摩川緑地を、それぞれメイン会場にして。
 日本政府は、一昨年、昨年の首都圏の防災訓練を自衛隊の大量の隊員と最新装備を投入し、米軍の支援のもとに、治安出動訓練として大々的に強行してきた。この実績にふまえて、今年の防災訓練では、いずれも自主防災訓練を主体的に担わせることに重点をおいた訓練となった。政府は、「地域の特性を踏まえたヨリ実践的な訓練」と銘うって、防災関係諸機関を総動員して連携の強化をはかり、地域住民を町内会や自治会をつうじて組織化したのである。同時に、昨年の9・11事件をうけて、小泉政権は、原発や電力・石油コンビナートにたいする「テロ攻撃」を想定した防災訓練≠、自衛隊を中心に自治体・住民を動員しておこなうことをうちだした。

機銃掃射音≠号砲に自衛隊が出動

 小泉政権のテコ入れのもとに横浜市が実施した総合防災訓練は、震災訓練と同時に、「テロ攻撃」を想定した訓練を初めて公然と強行したものであった。
 会場を提供した石川島播磨重工業は、護衛艦など艦船製造部門に大きなシェアを誇る有数の軍需独占体である。
 その広大な横浜事業所の正門入口から一キロメートル以上も奥にある構内グラウンドで、この訓練は実施された。「市内直下で起きたマグニチュード六・五、震度六強の地震」を想定して。この防災訓練≠ヘ、「見学可」という表看板を掲げて報道関係者にも公開され地元住民に公然と知らしめ、宣撫工作≠ニしてもおこなわれた。
 「住民による自主防災訓練」を皮切りに「防災機関による訓練」が第一ステージから第三ステージまで実施された。その後、最後の第四ステージでは訓練の内容が一変した。「救出救助活動訓練」と「火災防御訓練」の二つが実施された。
 会場正面に設置された仮設ビルの壁面に、用意された火薬が突如、轟音とともに爆裂し、さながら機銃掃射≠ェおこなわれたかのようであった。会場全体が一瞬緊迫感に包まれる。壁面の各所に火花が飛び、ビルの裏側から火災が発生、中にいた数人が屋上に上がって救援を求める(写真上)。と同時に、陸海の自衛隊、県警機動隊、市消防局部隊が一斉に登場し連携しながら、消火と救出の作業をおこなったのである。
 そのかん、迷彩服を着用した陸上自衛隊第三一普通科連隊の部隊が四列縦隊で掛け声をあげながら会場を横切り、再び登場するというデモンストレーションをおこなったのだ(写真下)。そして、この訓練が終わると同時に、一瞬静まりかえっていた会場から、あらかじめ組織されていた住民によって「拍手」が演出されたのだ。

小泉の意を受けた反動中田・市当局

 機銃掃射≠模し実施されたこの「防災訓練」は、今秋、何がなんでも有事法を制定しアメリカのイラク侵略戦争に日本国家として本格参戦しようとしている国家権力者の意図を、あからさまに体現しているといわなければならない。
 小泉政権は、反米ナショナリストたる地金をもち小泉同様のタカ派である横浜市長・中田にテコ入れし、軍需生産をおこなっている石川島播磨重工業にたいするテロ攻撃≠想定した防災訓練≠強行したのである。

戦争体制づくりを許すな!

 テロ攻撃≠ヨの対応をも盛りこんだ今年の防災訓練にたいして、県下の社・共既成指導部や既成労組指導部は、「監視活動」さえ組織化せず、これを容認した。
 それもそのはず、彼らは、昨年の9・11事件を口実としてブッシュ政権が煽動した「テロ撲滅」の「国際的」大合唱にまきこまれ、小泉政権による危機管理体制=戦争体制づくりに完全に屈服してしまっているからだ。
 われわれは、このような既成指導部に抗して今秋の有事法制定阻止の闘いの高揚のために、神奈川県下の労学両戦線において今、奮闘している。
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  矢臼別砲撃演習阻止に起つ
 全学連道共闘が連続闘争(9・8〜10)
アメリカ海兵隊に抗議の拳
全学連道共闘が現地闘争に決起(北海道根室・中標津空港)9月9日
一五五ミリ榴弾砲の陸揚げに抗議して、全学連道共闘は根室・花咲港で現地闘争をたたかいぬいた-9月10日
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