第2848号2024年12月9日)の内容

<1面>
反戦の炎を燃えあがらせよ
石破政権による大軍拡・日米軍事同盟強化を打ち砕け!
 
<プーチンの戦争>粉砕!
 
ガザ人民ジェノサイド弾劾!
<2面>
第63回鹿大祭を力強く創造 11・15〜17
モルドバ 政権転覆を策したプーチン
<3面>
「原子力の最大限活用」を叫ぶ経団連
「エネルギー基本計画」見直し提言

「四十年廃炉計画」破綻の居直り
 東電福島第一原発2号機
<4面>
日共式「自由時間拡大」論の反労働者性
「労働時間運動の質的発展」なるもの
<5面>
数万人首切りを企むVW経営陣
ドイツ金属労組がストで闘う構え
Topics 「賃上げ条件」と称して中小企業を恫喝する『日経』
<6面>
インテル帝国の黄昏
失業と貧窮に喘ぐ中国の労働者人民
 「解放」最新号




























  

反戦の炎を燃えあがらせよ

石破政権による大軍拡・日米軍事同盟強化を打ち砕け!


<プーチンの戦争>粉砕!

ガザ人民ジェノサイド弾劾!


米日両権力者による対中国戦争計画の策定を許すな

 自公「少数与党」の石破第二次政権は、「トランプ再登板」を目前に控えた今、退任間際のアメリカ帝国主義バイデン政権とともに、日米軍事同盟の対中国攻守同盟としての強化に拍車をかけている。
 日米両権力者は年内にも、「史上初」とされる・台湾有事を想定した対中国の日米共同作戦計画を策定しようとしている。明るみに出されたその骨子とは、中国軍の動向を米日両軍が平時から監視するとともに、「台湾有事の切迫度が高まった」と米日両権力者がみなした場合には、ただちに南西諸島各地に米海兵隊の「海兵沿岸連隊(MLR)」と自衛隊部隊が展開し、フィリピンに配置する米陸軍の多領域任務部隊「マルチ・ドメイン・タスク・フォース(MDTF)」傘下のミサイル部隊と連携して対中国の軍事作戦行動をおこなうというものだ。
 南西諸島の米海兵隊部隊には高機動ロケット砲システム「HIMARS」を配し、自衛隊の保有する弾薬や燃料をフル活用して、日米共同で軍事行動を遂行するとされている。最前線拠点となるのは、このかん政府・防衛省が南西諸島各地に相次いで建設してきた自衛隊の駐屯地であり、軍事利用を進めてきた民間の港湾・空港にほかならない。沖縄・南西諸島を「戦域」と化すこの計画の策定にたいして、沖縄の労働者人民は今、「沖縄を再び戦場にするな」という怒りの声をあげている。
 「核心的利益中の核心」とみなした台湾の併呑に向け、威嚇的軍事行動と核戦力の大増強に狂奔する習近平の中国。これに対抗し、アジアにおける対中国の軍事的包囲網構築へと突き進んできたバイデン政権は、そのいまわの際に石破政権とのあいだで、日本―台湾―フィリピンにまたがる「第一列島線」上の広大な地域に米日一体でミサイル網を構築し・「有事」とあらば先制的に中国軍を撃滅するという重大な作戦計画を今にも策定しようとしているのだ。
 米日両権力者による対中国戦争計画の策定を断じて許してはならない! それは、米・日・韓―中・露・北朝鮮が激突するここ東アジアにおける戦乱勃発の危機をますます高めるものとなるのだ。
 台湾海峡とならんで、第二次トランプ政権登場を控えた今、戦乱の危機が高まっているのが朝鮮半島である。
 北朝鮮の国防相・努光鉄は、訪朝したロシア国防相ベロウソフとのあいだで「防衛分野における戦略的パートナーシップの強化」をうたいあげた(十一月二十九日)。ウクライナを侵略するロシアに兵士をさしだした見返りに軍事技術支援をうけた北朝鮮の金正恩政権は今、核弾頭搭載可能なICBMの開発や防空システムの確立へと突き進み、さらに核実験をも構えている。まもなく立ち現れるトランプ第二次政権にたいして、ロシアとの軍事同盟関係をとり結んだ「核保有国」として対峙してゆくために、そしてまた「第一の敵対国」と烙印した尹錫悦の韓国にたいして軍事的に対抗するために、核・ミサイル開発に一気に拍車をかけているのが金正恩なのだ。
 これにたいして尹錫悦の韓国は、米・日帝国主義との連携のもと、対北朝鮮の一大軍事演習(十一月十三〜十五日に米空母「ジョージ・ワシントン」をも投入して強行された「フリーダム・エッジ」など)を、北朝鮮の目と鼻の先で威嚇的にくりかえしている。
 次期大統領トランプが核武装国・北朝鮮の首領・金正恩との「直接対話」をちらつかせているなかで、これを機に韓国権力者は、トランプの「軍事分担の拡大」要求を逆手にとるかたちで、北朝鮮に対抗しての韓国の「独自核武装」(あるいはアメリカとの「核共有」)への傾動をも強めていくにちがいない。
 こうして、南北に引き裂かれた朝鮮半島において、労働者・勤労人民が再び戦火に投げこまれかねない危機が高まっているのだ。
 われわれは、トランプ再登場をインパクトとして高まる東アジア戦乱勃発の危機を突き破る反戦闘争を断固として巻きおこそうではないか!
 「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ第二次政権の登場をまえにして、中国ネオ・スターリン主義の習近平政権は、軍事的には対米対抗の核戦力増強に突進するとともに、政治的には反米の統一戦線≠テくりを夢想して、いわゆる「グローバル・サウス」諸国をみずからのもとに束ねていく追求にいよいよ拍車をかけている。
 このことが示されたのが、十一月中旬に相次いで開催されたAPEC首脳会議(ペルー・リマ)、G20首脳会議(ブラジル・リオデジャネイロ)であった。この場において習近平は、「保護主義反対」・中国との「自由貿易」の推進を掲げて、「アメリカの裏庭」=ラテン・アメリカ諸国をはじめとした「グローバル・サウス」諸国との政治的・経済的関係の強化に奔走した。APEC開催国のペルーでは、APEC首脳会議にあわせて、中国企業が出資するかたちで建設されたチャンカイ港の開港式典が開催された。この大型港湾の開港は、アメリカを経由しないかたちで南米と中国・アジアとを結ぶ海上輸送ルートを開くものにほかならない。こうした取り組みをもテコとして習近平は、南米諸国を中国主導の「一帯一路」経済圏に組みこもうとしているのだ。
 さらに習近平は、APEC首脳会議にあわせて日本の石破とのあいだで「戦略的互恵関係の包括的推進」をうたったのを皮切りに、つづくG20首脳会議の合間には、ドイツ首相ショルツ、フランス大統領マクロン、イギリス首相スターマーとも相次いで会談をおこなった。これらはもちろん、同盟国をも「ディール」の対象とみなすトランプの再登板を目前にして早くも軋み≠あらわにする日米同盟やNATO同盟の諸国にたいする、中共に伝統的な「米日・米欧離間」政策の今日的貫徹にほかならない。
 アメリカを凌駕する「社会主義現代化強国」として世界に覇を唱えることを国家目標として掲げている習近平は、アメリカの政治的・経済的孤立化をいっそう促進させようと蠢いているのだ。
 こうした追求をおこないながらバイデンとの最後の首脳会談(十一月十六日、ペルー・リマ)に臨んだ習近平は、「台湾問題」「民主・人権」「中国の政治制度」「中国の発展する権利」を並べて「越えてはならない四つのレッドライン(四条紅線)」だと傲然と突きつけた。これこそは、中国をば「アメリカの復活」にとっての最大の障害にして主敵とみなすトランプにむけて、習がその再登板に先立って叩きつけた挑戦状にほかならない。
 この習近平中国との対決の舞台にまもなく再びあがろうとしているのが、――中国を「最大の敵対国」と呼ぶマルコ・ルビオ(国務長官候補)をはじめとして――「対中強硬派」を要職に配した第二次政権の陣容を整えつつあるアメリカ次期大統領トランプである。
 このトランプは、「中国産合成麻薬の流入阻止」を名分として、中国からの輸入品に一〇%の関税を上乗せすると発表した(十一月二十七日)。「中国がアメリカの富を奪っている」とみなして中国にたいする高い関税障壁を築くことを策しているトランプとその一派。彼らは、「貿易戦争」をたたかう中国を軍事的に抑えこんでゆくために、「力による平和」の名のもとに、核軍事力の増強とその前方配備に狂奔するにちがいない。
 内に向かっては行政府・官僚諸機構をみずからの忠臣で固めることを基礎にして、ブルジョア的「三権分立」をもなきものにし、ナチス型の全体主義国家をつくりあげようとしているトランプは、外に向かっては「アメリカ・ファースト」の名のもとに、むきだしの国家エゴイズムを世界に向けて貫徹しようとしているのだ。だがそれは、ソ連邦崩壊直後には「自由・民主主義・市場経済」の旗印のもとに「世界独覇」をすら夢想し全地球を蹂躙した軍国主義帝国アメリカの、もはや昔日の面影さえとどめぬほどに凋落した末の断末魔のあがきだといわねばならない。
 こうした米―中の政治・軍事・経済のあらゆる部面における激突のはざまで、アメリカ権力者に日米安保の鎖≠ナ締めあげられながら対中国・対北朝鮮の戦争遂行体制の構築へと突き進んでいるのが日本の石破ガタガタ政権にほかならない。
 石破政権は、米軍と一体となって先制攻撃を遂行しうる軍隊へと日本国軍を飛躍させるために、岸田前政権が決定した五年間で四三兆円をも上回る莫大な軍事費を投入しようとしている。トランプ新政権が発足し、米軍駐留経費のさらなる負担や高額な米製兵器の大量購入などを要求することに備えて、石破政権はこれに応えるためにさらなる軍事費の増額を策そうとしているのだ。
 その他方で石破政権は、こうした莫大な軍事費の財源を確保するために――国民民主党が要求する「一〇三万円の壁」の引き上げについてはできるだけ低額に抑えこみ――社会保障費の削減や各種保険料の引き上げなどを強行しようとしている。みずからは企業・団体献金の存続など、独占ブルジョアジーと癒着して汚いカネ≠懐に収める構造を温存しながら、低賃金と物価高に苦しむ労働者人民にはどこまでも貧困を強制しようとしているのだ。

以下、見出し

日共中央の闘争放棄を許さず<反安保>の旗高く闘おう!

ウクライナ反戦・ガザ人民虐殺弾劾の闘いを推進せよ



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「原子力の最大限の活用」を叫ぶ独占資本家

経団連「エネルギー基本計画」提言


 十月十五日に経団連は、「エネルギー基本計画見直しに向けた提言」を発表した。この提言は、発足間もない石破新政権にたいして、岸田前政権の原発再稼働・新増設の推進策をあくまでも引き継ぐことを強力に求めるものにほかならない。
 この「提言」の「電源の確保」について論じた二十一頁分のうち、実に十二頁を使って経団連は、「原子力・核エネルギーの最大限の活用」を叫びたてている。

屁理屈とこじつけの「原発再稼働の加速」要求

 彼らが強く求めているのは第一に、「既設発電所の再稼働の加速」である。――再稼働が遅れているから東日本の電気料金が高い≠ニいったこじつけで、東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働を声高に叫んでいる。さらには停止期間が長引けば安全性の確保が困難になる≠ネどという因と果をひっくりかえした驚くべき脅し文句を吐いてもいるのだ。
 第二は、「原発のリプレース〔立て替え〕と新増設」である。それがなければ二〇四〇年代以降に国内の原発容量が急減するから絶対に必要だ、とブルジョアどもは喚く。とりわけ、小型モジュール炉(SMR)などの開発と建設にもっと力を入れろ、と要求しているのだ。これはいうまでもなく、SMRを日本の新たな輸出商品として確保するという、原子力独占体にとっての生き残りの方策にもとづいているのだ。
 さらに彼らは叫ぶ。――「国が前面に立ったバックエンドの課題解決」を、と。「核燃料サイクルの確立」のために、六ヶ所再処理工場の竣工に総力でとりくみ、高レベル放射性廃棄物の中間保管施設や最終処分場の整備・建設についても、国が全責任を負え、と。
 もとより、二十七回も竣工を延期せざるをえなくなっている六ヶ所再処理工場の完成などとうていおぼつかないということを、独占資本家どもは知らないわけではない。いまや、原発から出たプルトニウムを再処理したうえで燃料として再利用するという核燃料サイクル計画は、高速増殖炉建設の頓挫とあいまって儚(はかな)い夢≠ニ消えた。げんざい六ヶ所村の工場の敷地は、全国の原子炉から出た使用済み核燃料の保管場所=核のゴミ置き場≠ニなっているのである。もしも政府が「六ヶ所建設断念」などと言おうものなら、青森県は「六ヶ所はゴミ捨て場ではない。約束どおり使用済み核燃料を各電力会社に返す」と言いだす。そうなれば、各原発のプールは満杯となり、電力会社はただちに各原子炉の運転を停止せざるをえなくなるのだ。だからこそ政府と日本原電は、口が裂けても「建設断念」とは言わないのであり、何の展望もないままに「竣工延期」をくりかえしているのである。
 経団連の独占資本家どもは、こうした事情を百も承知で、あたかもそれが実現可能であるかのように強弁して「核燃料サイクルの確立」を政府に要求しているのである。それはひとえに、停止中の原発をとにもかくにも動かすためなのだ。もちろん彼らは同時に、米―中露激突下で新たな核戦争の危機が高まるなかで日本が核武装をなしうる潜在的能力を確保しておくべきだ、という観点から「核燃料サイクルの確立」を主張してもいるのである。

以下、見出し

「依存度低減」から「最大限活用」への改変を主張

後は野となれ山となれ≠地でゆく独占資本家ども



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日共式「自由時間拡大」論の反労働者性


「労働時間運動の質的発展」なるもの


A 「自由時間拡大推進」方針の惨めなパンク

 今次総選挙において日本共産党の志位=田村指導部は、「自由時間の拡大を」という脳天気な宣伝で票を集めようと策して惨めな破産を遂げた。
 選挙前に委員長・田村は言った。――「〔資本主義社会で〕搾取されているのは、『カネ』や『モノ』だけなのでしょうか。今の日本の長時間労働をみれば、自分のための『自由の時間』が搾取されている、奪われている」。この「『自由に処分できる時間』――『自由な時間』を取り戻し、広げよう」、と(七月十三日、「党創立一〇二周年記念講演」)。こうして彼らは、「自由時間拡大推進法制定」なるものを総選挙における看板政策に掲げたのだ。
 だが、先進国でも群を抜く長時間の労働を強いられながらも低賃金ゆえに残業をしなければ生活できない多くの労働者たち、彼らにむかって、ただただ「自由時間を広げよう」などと猫なで声で説いてまわるこのキャンペーンは、当然にも労働者たちから総スカンを食らった。この「自由時間拡大推進」の方針にたいしては、「全労連」内の日共系活動家からさえ「労働者の厳しい現実から乖離している」といった批判が噴出した。「全労連」傘下のほとんどの労組は、今夏の労組大会でこのような党官僚がおしつけた方針をことごとく無視した。かくして総選挙において日共は、多くの労働者から見放されて無惨な敗北を喫したのだ。

志位の恣意的思いつき

 労働者の苛酷な現実から浮きまくったこの「自由時間拡大推進」なる方針は、「党勢の後退」に追いつめられた党首℃u位和夫の政治的思いつきに端を発する。
 代々木の奥の院≠ナ、何か良い言葉はないか≠ニ『資本論』と『資本論草稿集』(いわゆる『経済学批判要綱』)を漁っていたこの男は、或る日『草稿集』のなかに「資本家は、労働者によってつくりだされた社会のための自由な時間、すなわち文明を横領する」という言葉を発見した。これだ!=\―浅はかで軽薄なこの男は、<奪われた自由時間の取り戻し>のフレーズでわが党のイメージを刷新できる!≠ニ色めきたったというわけなのだ。
 近づく総選挙にむけて立憲民主党からソデにされ、顔面蒼白となって「党の躍進こそが課題」と叫びたてはしたものの、党勢逆転≠ノむけてのセールスポイントがみつからない。おまけに松竹除名をめぐる醜態で、「共産党には党内民主主義も言論の自由もない」という宣伝がジャーナリズムからしかけられた。このようななかで、「社会主義・共産主義は自由がない」という「国民のなかにあるこのイメージを、いかにしてプラスに転じるか」――このように思い悩んだすえに志位が発見し飛びついたのが、「マルクスの言う『自由に処分できる時間』」の蜃気楼であり、その後光で飾った「自由時間拡大推進」の方針なのだ。
 かくして志位は、全党に号令した。「マルクスの言う『自由に処分できる時間』――何にでも自由に使える時間を拡大することそのものを目的にすえた、労働時間運動の質的発展」に邁進せよ、と(六月二十五日の全国都道府県学習・教育部長会議での講義、『前衛』二〇二四年九月号収録)。
 ここで志位の言う「質的発展」とは、「労働時間短縮」というようなネガティブなかたちではなく「自由な生活時間を拡大する」というポジティブでバラ色の要求内容を前面におしだせ、というものであって、労働現場での闘いとは無縁な純然たる政策宣伝でしかない。
 このような日共官僚の上からの号令は、独占資本による苛烈な搾取のもとで呻吟している日本の労働者たちの怒りに水をかけ、彼らを賃労働制の枠内での自由時間拡大♂^動の泥沼に引きずりこむ犯罪的な代物にほかならない。しかもいま独占資本家どもとその政府は、現行労働基準法の労働時間規制の破壊にのりだしている。この決定的なときに、それへの一大反対闘争を呼びかけるのではなく、もっぱら「自由時間拡大推進法制定」を求める日本共産党への集票運動を呼びかけるのは、まさに労働者の闘いを上から解体するもの以外の何ものでもない。

B 小ブルジョア的俗人の「自由時間の取り戻し」論

非労働時間は「自由に処分できる時間」なのか?

disposable timeの逆さ読み%I切り抜き

C 未来社会と地続きの自由時間拡大運動≠ネるもの

賃労働制の撤廃なき「社会主義・共産主義」!?

「自由時間拡大」方針による労働運動の破壊


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数万人の首切りをたくらむフォルクスワーゲン経営陣

ストライキ闘争を構えるドイツ金属労組

 欧州最大の自動車会社フォルクスワーゲン(以下VWと略)の労働者代表「事業所評議会」は、十月二十八日にドイツ北部ヴォルフスブルクの本社工場内で組合員集会を開き、経営陣が一大リストラを計画していると発表した。
 事業所評議会の代表によれば、VW経営陣はドイツ国内に所在する生産拠点十ヵ所のうち、少なくとも三つの工場を閉鎖し数万人の労働者を解雇しようとしており、他の工場の縮小も検討している。しかも、工場に残る労働者の賃金を二〇二五年から一割削減し、昇給も二年間にわたって停止するというのだ。
 VWの組合員は、一九九四年に労使で締結した「雇用保証協定」により解雇を免れることがとり決められ、その期限は二〇二九年までとされてきた。それにもかかわらず経営陣は、この協定の一方的な破棄を九月に組合側に通告し工場を閉鎖する方針をうちだしたのだ。
 事業所評議会の代表は、「経営悪化の原因は、経営陣が割安なEV(電気自動車)の開発にたち後れたことにある。その始末を付けるために彼らは労働者を切り捨てようとしている。この工場閉鎖には断固反対する」と経営陣を弾劾した。VW社との交渉にあたっているドイツ最大の金属産別労組IGメタルの代表も、「経営陣がこの凶暴な計画をひっこめないなら、相応の反撃を覚悟しなければならない」と、十二月の「雇用保証協定」破棄を期して本社工場でのストライキも辞さずたたかう意志を表明した。
 VWの労働者たちは、そしてドイツ金属産業で働くすべての組合員たちは、VWの一九三七年の創業いらい八十七年にして初めての国内における工場閉鎖という一大攻撃を打ち砕くべく、まさに正念場の闘いを構えているのだ。
 〔IGメタルは十二月二日警告スト≠ノ決起した。〕

以下、見出し

欧州域内生産拠点の縮小再編に突き進む経営陣

中国・南米での生産拡大に莫大な投資を集中

ショルツ政権によるEV補助金の打ち切り




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