第2836号(2024年9月16日)の内容
<1面>
侵略者プーチンを包囲せよ!
闘うウクライナ人民と連帯し反戦闘争の爆発をかちとれ!
8・22 札幌
「陸自オスプレイの飛行訓練阻止!」
労学が丘珠現地闘争に決起
<2面>
日米共同実動演習
「レゾリュート・ドラゴン24」
<3面>
中国のEV特化政策の暗部
中国版スターリンク≠フ構築
<4面>
食料供給困難事態対策法の制定を弾劾せよ!
38度線上の壁
<5面>
沖縄製糖業の危機と労働者・農民の苦悩
能登半島地震8ヵ月
復旧工事で労災事故が急増
Topics 「ジョブ型人事」制度の導入を号令する岸田政権
<6面>
万華鏡2024――情勢の断層を読む
自民党総裁選の狂騒
安値買いたたき
「AIには原発を!」
「解放」最新号
侵略者プーチンを包囲せよ! 闘うウクライナ人民と連帯し反戦闘争の爆発をかちとれ! ウクライナ軍の越境作戦に追いつめられたプーチンのあがき 九月三日にプーチン配下のロシア軍は、ウクライナ中部ポルタワの教育施設と隣接の病院に超音速の弾道ミサイル「イスカンデルM」を撃ちこんだ。この爆撃によって、ロシアのウクライナ侵略いこう最多の五十三人の人民が虐殺されおよそ三〇〇人が負傷した。空襲警報直後にシェルターに避難する時間もなく直撃された通信学校の生徒たちは、一瞬のうちに命を奪われたのだ。この憎むべきプーチンの蛮行を断じて許すな! ロシア軍は電力インフラ施設だけではなく学校・病院、ショッピングセンターや集合住宅などの人民が密集している場所を意図的に狙って過去最大規模の攻撃をくりかえしている。 こうした狂気の軍事攻撃は、だがしかし皇帝<vーチンの焦りの表出にほかならない。ロシア西部クルスク州の一部がウクライナ軍の越境作戦によって制圧されてしまったにもかかわらず、約一ヵ月にもわたって領土を奪還することもウクライナ軍を押しかえすこともできない、このことへの焦燥に駆られているのがプーチンなのだ。ナチス・ドイツとの史上最大の戦車戦(一九四三年)を制したロシアの栄光の地<Nルスクをウクライナ軍の電撃作戦によって失い、権威失墜ぶりをさらけだしたプーチン。この血迷った殺人鬼はいま、ウクライナへの狂乱的なミサイル・無人機攻撃をロシア軍に命じているのだ。 プーチンは、ウクライナ東部ドネツク州に展開しているロシア軍にたいして、狂ったように進軍の命令をくだしつづけている。これを受けて侵略軍はいま、ウクライナ軍が補給拠点にしているポクロフスクにむけての強攻作戦にでている。 だがそれは、ロシア軍の「戦果」をおしだしクルスクをウクライナ軍に制圧されたみずからの失態を少しでもとり繕うことを狙ったプーチンのあがきでしかない。 ロシア国民の厭戦気分をいっそう掻きたてることになると恐れているプーチンは、クルスクをめぐる戦闘を今なお「戦争」ではなく「対テロ作戦」などと呼称し偽装しているのだ。クルスクでは、国家反テロ委員会の管轄下でFSB長官ボルトニコフが作戦指揮を執っているのであるが、前線では治安機関直轄部隊とロシア正規軍との対立・衝突が絶えず、指揮系統は混乱の極みをさらけだしている。このゆえにプーチンは、腹心の国家評議会書記(大統領補佐官)デュミンを新たに「作戦監視役」として送りこまざるをえなくなったのだ。 そもそも、プーチン政権・軍指導部は、兵力不足のゆえにクルスクに大量増派することもできなくなっている。クルスクの国境防衛部隊がそうであったように徴兵された新兵を送っても彼らがわれ先に投降してしまうのは目に見えている。契約料を十倍にも引き上げて契約兵を急募しても誰も応じない。ウクライナ侵略においてすでに五〇万人もの戦死者・負傷者をだしているロシア軍の実情が労働者人民のあいだに知れわたりつつあるからだ。 しかもウクライナ軍は、クルスク制圧作戦と並行して、モスクワなどの大都市やエネルギー施設・軍施設を標的としてのドローン作戦を強化してきた。これによって、ロシア軍は通信設備の機能停止に追いこまれ、何箇所もの石油精製施設が炎上し操業不能にたちいたっている。いまやロシアは、燃料用石油精製品の不足、軍の輸送手段の機能麻痺、兵器生産工場の操業休止、これらのゆえの「継戦能力」の低下に見舞われている。 しかも、アメリカが対露制裁逃れに関与した金融機関を、「二次制裁」の対象としていることからして、中国の大手銀行が対露取引を手控えている(三月末の時点で八〇%の決済が停止)。こうしたなかで、ロシアの軍需産業に工作機械、半導体、電子部品などを供給してきた中国が対露貿易を一挙に停滞させている。 「和平協議」に向けてのウクライナの攻勢 こうしたプーチン・ロシアの窮地をみすかしたウクライナ政府は、「クルスク越境作戦は勝利に向けた計画の一つだ」(ゼレンスキー、八月二十七日)とうちあげている。ここに、クルスク制圧作戦にかけたウクライナ政府の思惑をみてとることができる。 クリミアと東南部四州をロシア領とするプーチンの「停戦案」を打ち砕き、「ロシア軍の占領地からの撤退」を前提とする「和平協議」にプーチンをひきずりだすこと、そのためにこそ二年半にわたってロシア人民を騙しつづけてきたプーチンの嘘を暴きだし、ロシア軍・FSB内部の抗争に火をつけその支配体制をグラグラに動揺させる――これこそがクルスク制圧作戦の眼目にほかならない。 秋に開催する予定のウクライナ政府主催の第二回目の「和平協議」においてウクライナ提案への支持をとりつけるために、ウクライナ政府は外交交渉にのりだしている。インドのモディを招いて「主権と領土の一体性を尊重する」との言質をひきだした(八月二十三日)のも、その一環をなす。〔九月下旬にはゼレンスキーが訪米して、「戦争終結計画」を発表するといわれている。〕 これにたいしてプーチンは、十月にロシアで開催するBRICS首脳会議を「米欧の支配秩序に代わる新たな国際秩序形成」を華々しく謳いあげるセレモニーとして実現することに躍起になっている。モンゴルを公式訪問し、大統領フレルスクをBRICS首脳会議に招聘した(九月三日の会談)のは、そのための地ならしであった。〔国内のエネルギー需要の大部分をロシア産石油に依存しているモンゴルの政府は、国際刑事裁判所(ICC)に自国が加盟しているにもかかわらず、「戦争犯罪者」プーチンへの逮捕状を執行しなかった。〕 こうしてプーチンは、ウクライナ侵略によって深まる国際的孤立化を打破することに血道をあげているのだ。 以下、見出し 反戦インターナショナリズムに立脚して闘おう <プーチンの戦争>を粉砕せよ! イスラエルのガザ人民大虐殺を弾劾せよ |
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「自動車強国」の名による中国のEV特化政策の暗部 中国経済は、不動産バブルの崩壊と地方政府の過剰債務の累積、そして製造業における生産設備の過剰を抱えこみ、行き詰まりを露わにしている。しかもアメリカ・バイデン政権による先端半導体規制とEV(電気自動車)などの中国製品にたいする関税の大幅な上乗せという対中国包囲網の強化に見舞われている。 この内外の「困難」をのりきるために習近平政権は、「新質生産力」と称して先端製造業の振興策に、年間一兆六〇〇〇億ドル(約二四三兆円)もの莫大な予算をつぎこもうとしている。 失業と低賃金にあえいでいる労働者や不動産不況により住居を失った労働者・人民の救済をそっちのけで、大軍拡ならびに半導体・EV企業支援などに莫大な予算をつぎこみ、かつ「国家安全」の名のもとに治安弾圧体制を強化しているのがネオ・スターリニスト習近平の政権にほかならない。ここでは、習近平政権が苦境にあえぐ労働者・人民を犠牲にして「自動車強国」の名のもとにEV覇権≠めざしてつきすすんでいること、その反人民性を暴きだす。 以下、見出し 「EVの普及・加速化」を号令する習近平政権 EV覇権≠ノ向けた諸施策の反労働者性 過剰生産に陥りEV企業の倒産が増加 労働者への犠牲転嫁を許すな |
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食料供給困難事態対策法の制定を弾劾せよ! 岸田政権は、自民、公明、維新の賛成多数によって、「食料供給困難事態対策法」を成立させた(六月十四日)。二〇二二年二月のプーチン・ロシアによるウクライナ侵略をインパクトとした国際的な穀物不足・価格高騰に直面した岸田政権は、「食料安全保障の確保」をスローガンに掲げ、現行の「食料・農業・農村基本法」(一九九九年制定)の改悪にのりだした。同時に、「改訂農業基本法案」の「不測時における措置」(第二十四条)を、具体化して、日本国家としての対処方針を新たに法文化し「食料供給困難事態対策法」を制定したのだ。岸田政権は、二月二十七日に閣議決定し、五月二十三日衆院可決、六月十四日参院で可決成立させるというまさに強行スケジュールで国会審議をすすめ、この反動法案をおし通したのである。 現下、中国・北朝鮮と最前線で対峙している日本の岸田政権は、対中国の準臨戦態勢構築に血まなこになっている。これと軌を一にして、岸田政権は、有事において日本国家の食料供給を確保する≠ニ呼号し、現行の食料供給、食糧管理の諸方策を、政府による統制を強権的に強化するかたちで改編する策動にふみだしたのだ。日本の多くの農民や畜産業者を経営破綻に追いやり、食料自給率を三八%にまで低落させてきた歴代自民党政権の所業に完全にほおかむりしたうえでである。「食料供給困難事態対処法」の制定を弾劾せよ! NSC直轄の食料管理システムの構築 新たに制定されたこの法律の要旨は、次のようなものである。 (1)まず、岸田政権の食料危機≠めぐる現状認識について。法案を所管する農林水産省が法案を作成するにあたって提出した「食料供給困難事態対策法について(詳細版)」(以下、「詳細版」)において、彼らの危機意識が開陳されている。現下、彼らが、もっとも危機意識を高めているのは、ロシアのウクライナ侵略など政治的要因を契機とする「食料貿易の制限」、そして「中国などの輸出規制」、「農林水産物の買い付けをめぐる(中国との)輸入競争の激化」である。 (2)こうした現状認識にたって、現行法の体系には、「政府の意志決定や指揮命令をおこなう体制やその整備に関する仕組みが存在しない」がゆえに「新たな法制度が必要だ」とがなりたてている。 (3)そして、以下のような内容の新法を決定した。 (イ)「内閣総理大臣を長とし、全閣僚を構成員とする政府の本部を立ち上げる」。新法では、首相をトップとするNSC(国家安全保障会議)によって直ちに事態を掌握するとともに、対処方針を決定し、事態の対処をおこなう体制を確立する。 (ロ)次に、政府が、法規制をかける対象を決定した。政府が、重要食料とみなしたものを<特定食料>、食料生産のための物資や資材を<特定資材>と規定した。 (ハ)さらに、「事態の深刻度」に応じて、以下の三段階を設定した。@「食料供給困難兆候」――<特定食料>の供給が大幅に不足ないしそのおそれが発生した場合。A「食料供給困難事態」――食料供給の二割減少またはそのおそれにより国民生活・国民経済への支障が発生した場合。B国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されない状況にたちいたったとき。 (ニ)これらの段階に応じて、「農家、農産物生産団体」、「流通・販売・加工業者」、「輸入業者」ごとに必要な「指示・命令」をおこなう。特に第三段階では、「農家、農産物生産団体」にたいしては「生産転換」を、「流通・販売業者」には「割り当て・配給の実施」を命令することができるとしている。 (ホ)NSCが下した指示・命令に従わない業者の氏名を公表し、それでも指示を拒否する業者にたいしては「二〇万円の罰金」を科すことができるように罰則が明記された。 以下、見出し 「有事」を想定した食料供給体制 国家総動員体制の構築・強化を打ち砕け |
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三十八度線上の壁 人民の反逆に怯え、弾圧に狂奔する金正恩政権 朝鮮半島を南北に分断する「三十八度線」。この「軍事境界線」の南北それぞれ二`bには「非武装地帯」(DMZ)――実際は韓国軍と北朝鮮軍が対峙する重武装地帯だ――が広がっている。この北側DMZの一`b付近で、いま金正恩政権が壁≠フ建設に突進している。 高さおよそ四〜五b、戦車の突入を阻むほど分厚いコンクリートの壁が、「軍事境界線」に沿うかたちで、あわせて四ヵ所、最長のもので数百bにわたってすでに設置されている。その周辺地域一帯には、新たな地雷が次々と埋設されている。韓国・文在寅前政権時代に「南北融和」の象徴とされた開城(ケソン)、金剛山(クムガンサン)の南北連絡道路も夥しい数の地雷で埋めつくされた(六月現在)。 今年四月、金正恩政権は数百人の北朝鮮軍の兵士を動員して、壁建設を開始。兵士たちの手にシャベルやツルハシを握らせて、ほぼ人力だけで工事にあたらせた。たび重なる地雷の爆発事故で多くの兵士が死傷した。だが兵士の犠牲など歯牙にもかけずに、彼らを突貫工事にかりたてているのが、金正恩政権なのだ。 金正恩政権は昨年十二月、韓国を「第一の敵対国」と烙印し、南の人民を核攻撃の対象とすることを宣言した。プーチン政権によるウクライナ侵略を震源として熾烈化する米―中・露の激突のもとで、プーチンのロシアと抱きあって生きのびる途を選択した金正恩は、「南北朝鮮の統一」という祖父以来の基本戦略を投げ捨てたのだ。 このことを決定的区切りとして、「軍事境界線」をはさんで、北と南との軍事的・政治的緊張が一挙に高まっている。バイデン政権とともに対北朝鮮の臨戦態勢に突入した尹錫悦政権は、文在寅前政権時代に全面停止していた「軍事境界線」付近での軍事演習の再開を決定した。しかも尹錫悦政権は、金正恩政権を批判するビラや韓国ドラマがはいったUSBなどを反北団体が大型風船で北朝鮮に散布することを許可。さらに拡声器での北朝鮮むけ放送を再開し、金王朝≠ヨの反発を煽る放送を、二`bのDMZを超えた一〇`b先まで響きわたらせている。 尹錫悦政権によるこうした北朝鮮人民にむけた大宣伝攻勢に危機感を募らせた金正恩は今、北朝鮮人民の南への敵愾心を煽りたてることに躍起となっている。韓国を「第一の敵対国とする」と憲法に明記することを決定したこの政権は、テレビで放映する自国の地図から三十八度線以南を削りとったり、韓国を「南」という名で呼ぶことを禁止したりしている。それだけではない。金正恩政権は、韓国の映像が北朝鮮人民のあいだで秘密裏に流布され、南への憧憬と金正恩政権への不信と不満とが浸透することに危機感を昂じさせて、これを排除することに狂奔してもいる。許し難いことにこの徒輩は、韓国の映像を視聴すれば最高刑は死刑という法≠ふりかざし、人民への見せしめ≠ニして若者を公開処刑したのだ。 明らかにこの政権は、「敵国」=韓国に核をもって対峙する姿勢を北朝鮮人民に誇示することで彼らの「南の同胞」への思いを暴力的に圧殺するとともに、人民が南に逃亡することを阻止するために、この壁の建設を強行しているのだ。 以下、見出し 貧困と飢餓の強制 朝鮮半島の新たな戦争勃発の危機を突き破れ |
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沖縄製糖業の危機と労働者・農民の苦悩 収入減・失業の不安に苛まれる製糖業労働者 「働き方改革関連法」にもとづく時間外労働(残業)の上限規制が、五年間の猶予期間の終了により四月一日から鹿児島・沖縄両県の製糖業で導入された(いわゆる二〇二四年問題)。サトウキビが収穫期を迎える十二月〜翌年三月ごろに作業が集中するため、これまで季節工と社員による長時間労働で繁忙期をしのいできた。今後(今年の年末から)は繁忙期でも現行の一日十二時間の二交代制ではなく、八時間ごとの三交代制に移行する必要がある。 季節工労働者(繁忙期など特定の期間に限定して雇用される生産労働者)の多くは、高収入が得られる仕事を求めており、働き方改革による残業減=収入低下を嫌って製糖業を離れていく人もいるという。中学・高校・大学生の三名の子供を養育する女性労働者は、月に一日から二日の休みで一日十一時間ほど働いて月給三五万円を得ている。これが大幅減額になると生活がなりたたないと不安をつのらせている。月給が一〇万円以上減ると予測されていて、季節労働者の一部は転職を検討している。ある事業所の経営者は、わずかばかりの国からの補助金で、工程を部分的に自動化したり、季節工の宿舎を増設するなどしてきたが「季節工がこれ以上少なくなると仕事が回らなくなる」「残業が減った分、賃金水準を上積みするなど対策が必要だがどの程度できるか」と悲鳴をあげている。 こうした展望の見えない現場で働く製糖業労働者たちは、会社倒産・失業の不安に苛(さいな)まれているのだ。 以下、見出し 危機に瀕するサトウキビ生産農家 自民党政権による地域農業切り捨てを許すな |
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8・22札幌 「陸自オスプレイの飛行訓練阻止!」 労学が丘珠現地闘争に決起 |
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八月二十二日、全学連北海道地方共闘会議の学生と反戦青年委員会の労働者は、陸上自衛隊が「北海道訓練センター第三回実動対抗演習」の一環として強行しようとしていた陸自V22オスプレイの飛行・輸送訓練を阻止するために、丘珠現地闘争に起ちあがった。 |
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飛び立つオスプレイに怒りの拳をつきあげる北海道の労働者と学生 (8月22日、丘珠空港緑地) |
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