第2830号(2024年8月5日)の内容

<1面>
イスラエルのガザ人民虐殺弾劾!
ロシアのウクライナ侵略粉砕!
7・28
全学連
日米核軍事同盟の強化反対!
 日米「2+2」に怒りの拳
<2面>
原発新増設・再稼働推進費の電気代への上乗せを許すな
<3面>
プーチンの代理人<Iルバンの5ヵ国行脚
<4面>
日米同盟強化と一体の「半導体強国」への突進
<5面>
◎防衛省の「AI活用基本方針」
Topics 医療・福祉・介護労働者への春闘低額回答を許すな!
<6面>
ロシア・インド首脳会談
□『新世紀』最新号(第332号)紹介
 「解放」最新号






















  


イスラエルのガザ人民虐殺弾劾!


ロシアのウクライナ侵略粉砕!


<ネタニヤフの戦争>を打ち砕け!

 イスラエルのネタニヤフ政権はいま、ガザの人民への食糧・水の補給を遮断して飢餓状態に追いこみ、その頭上に容赦なく爆弾やミサイルの雨を降らせている。
 七月二十二日にイスラエル軍は、ガザ南部のハンユニスで、「人道地域」と称して住民に避難を指示した地域に戦車と戦闘機で砲爆撃を加え、子どもや女性ら七十人を虐殺した。そして二十七日には、中部デイルバラの学校を空爆し、三十人の住民を爆殺した。
 イスラエル軍は、学校や病院を「ハマスの拠点がある」などとでっちあげ、意図的に標的にし攻撃している。ガザ地区の学校の七割がすでに破壊され、病院のほとんどが機能停止に追いこまれた。この殺人鬼どもは、パレスチナ民族の根≠断つためにこそ、女性や子どもを大量に殺害し、学校や医療機関を破壊しつくしているのだ。
 ヨルダン川の西岸においても狂信的シオニストどもは、パレスチナ人住民を次々に襲撃し殺害し、土地・家屋を強奪している。「入植」と称する襲撃と占領によって消滅させられたパレスチナ住民の村は、昨年十月以降で十六にものぼる。
 まさにシオニスト・ネタニヤフ政権は、パレスチナの民族をこの地上から抹殺し、ガザのパレスチナ自治区そのものをなきものにするために、ガザ人民のジェノサイドに狂奔しているのだ。「ここはユダヤ人の祖先の土地だ」などと喚きたてながら。
 イスラエル軍に殺害されたガザの人民はすでに四万人を超える。虐殺された数多の人民がいまだに瓦礫の下に埋まっている。まさにこれこそは、二十一世紀のホロコースト∴ネ外のなにものでもない。ネタニヤフによるガザ人民ジェノサイドを断じて許すな!
 ネタニヤフは、共和党の極右議員どもに招かれてアメリカ連邦議会で演説した(七月二十四日)。この場においてネタニヤフは、ガザ人民の大殺戮を「野蛮にたいする文明の戦争だ」と傲然と開き直り、「ラファでの戦闘で民間の犠牲者は実質ゼロだ」(!)などと強弁した。そしてバイデン政権の「武器輸送一時停止」への怒りをたぎらせ、「迅速な軍事援助を!」と叫びたてた。他方で、米大使館のエルサレム移転や「アブラハム合意」(二〇二〇年)などのトランプの業績≠絶賛し、このトランプこそ大統領にふさわしい≠ニがなりたてたのだ。
 この「戦争犯罪人」の演説にたいして、上・下両院の共和党議員が中心となって何度もスタンディング・オべーションで応えるという愚劣で許しがたい光景がくりひろげられた(民主党議員は八十名がボイコット)。連邦議会議事堂は、シオニスト国家のジェノサイドを熱狂的に讃える狂気の場所と化したのだ。こうしてトランプと共和党は、十一月の大統領選に向けて、民主党を分断しつつ、キリスト教福音派と右派ユダヤ系を固めるために、このネタニヤフ演説をお膳立てしたのだ。
 他方、大統領選挙からの撤退を強いられレイムダック≠ニ化したバイデンは、ネタニヤフにか細い声で「停戦への努力」を求めた。「後継」に指名された副大統領ハリスは、ネタニヤフ演説の場を欠席するとともに、直接会談の場ではガザ攻撃にたいする「深刻な懸念」を表明してみせた。トランプとの違い≠おしだしたこの対応は、ガザ問題でバイデンと民主党を見放した多くの若者や黒人・マイノリティ層やリベラル層などの票をとりもどすためのそれでしかない。バイデンとハリスは、中東における唯一の同盟国たるイスラエルを守りぬくというアメリカの国家戦略にもとづいて、ともに「イスラエルへの変わらぬ支援」を誓約したのだ。ガザ人民大殺戮の共犯者=アメリカ帝国主義権力者を弾劾せよ!
 いまネタニヤフは、トランプの「復活」に期待を託しながら、みずからの政権の延命のためにもガザ侵略をつづけ、さらに戦火を中東全域に拡大しようとしている。
 イスラエル軍が占領しているゴラン高原の町にたいしてなされたロケット弾攻撃(七月二十七日)――これを「ヒズボラの攻撃」と断定したネタニヤフ政権は、「報復」と称して、レバノンのヒズボラの拠点をミサイルで攻撃し、地上侵攻にも踏みきる態勢をとっている。また二〇〇〇`b以上離れたテルアビブをドローンで攻撃したイエメンのフーシにたいしても、港や発電所、燃料タンクへの攻撃に踏みきった。
 イスラエル国内で燃え広がる「反ネタニヤフ」のデモに包囲されているこのシオニスト政権は、こうした動きを抑えこむためにも、ヒズボラやフーシとの「戦争」を煽っているのだ。ネタニヤフ政権による中東全域への戦火の拡大を許すな!
 いま世界中で、多くの労働者・人民が、「ジェノサイドをやめろ」と怒りの声をあげている。ネタニヤフが演説した米連邦議会を数千の人民が取りまき、「武器援助をやめろ」の声をあげた。日本においては、わが全学連が、全国の大学キャンパスにおいて「ガザ人民へのジェノサイド弾劾」の集会とキャンパスデモを多くの学生たちとともにたたかっている。労働戦線においても革命的・戦闘的労働者たちは、「ガザ大殺戮反対」の闘いを創造するために奮闘している。
 今こそ全世界の労働者・人民と連帯し、<ネタニヤフの戦争>を打ち砕く反戦闘争をさらに大きく創造しよう!

<プーチンの戦争>を粉砕せよ!

 ロシアによるウクライナ侵略の開始からおよそ二年半のこんにち、今こそ全世界の労働者・人民は<プーチンの戦争>を粉砕する闘いをより強力におしすすめるのでなければならない。イスラエルのネタニヤフ政権によるガザ人民虐殺と同様のジェノサイドが、ドネツクで、ハルキウで、キーウで、全ウクライナで連日連夜にわたって強行されている。
 七月八日、プーチンは、キーウのウクライナ最大の小児病院や産科病院などを狙い撃ちにし、医療機関や教育機関など一〇〇におよぶ諸施設をミサイルで攻撃・破壊した。この攻撃によって子どもを含む四十六人を殺害し、一九〇人以上を負傷させたのだ。
 プーチンの狙いは明らかである。ウクライナ民族の文化・伝統・歴史の世代を超えた伝承を断ち切りそれらをこの地上から根絶するために、次代を担う子どもたちの命を奪いさったのである。そして、ウクライナの労働者・人民が生活する基盤を徹底的に破壊するために、エネルギー・発電施設を執拗に狙い撃ちにし人民の居住地を焦土と化すことをたくらんでいるのである。
 全世界の労働者・人民は、たたかうウクライナ人民と連帯してこれまで以上の大きな闘いのうねりを巻き起こすのでなければならないのだ。
 ウクライナのドネツク州やハルキウ州で攻勢を強めているロシア軍にたいして、ウクライナ軍は、米欧諸国から供与された防空兵器や自前で開発した航空・海上ドローンを自在に駆使して不屈に反撃している。これによってロシア軍は膨大な兵力や戦車を失い、一日あたり一二〇〇人を超える戦死者を生みだし撃退されている(五〜六月)。
 この窮状をのりきるためにプーチン政権は、札びらを切り甘言を弄して「契約軍人」を大量に採用したり、アフリカ諸国などからの募兵や受刑者を駆り集めるなどして部隊を編成し、これを肉弾≠ニして最前線に送りこんでいる。
 それだけではない。プーチン政権は、ウクライナ軍事支援をめぐって「結束」を確認したNATO加盟の欧州諸国を揺さぶることを策して謀略的破壊工作を連続的に強行している。ゼレンスキー政権の要請に応じて欧州諸国がウクライナによるロシア領内への攻撃を許可する姿勢をしめしはじめたまさにそのとき、バルト三国やフィンランド・スウェーデン・ポーランド・チェコ・ドイツなどで頻発した放火・爆破・鉄道妨害事件、それはロシア軍参謀本部情報総局(GRU)や連邦保安庁(FSB)などの謀略機関がしかけたところの、いわゆる「闇の戦争」あるいは「ハイブリッド戦争」にほかならない。
 それは明らかにウクライナ支援を強化している欧州各国政府へのプーチン政権による政治的恫喝である。プーチンの側近たるメドベージェフ(ロシア国家安全保障会議副議長)は、「(ウクライナを支援する)欧米に最大級の損害を与える。エネルギーや産業、交通、銀行を破壊する。すべての重要インフラの崩壊が迫る恐怖を抱かせる」などとSNSで公言しているのだ。
 そして、パリ・オリンピック開幕直前(七月二十六日未明)に惹起したフランス高速鉄道にたいする放火事件(電気設備や通信ケーブルなど三ヵ所)。これもまた、ロシアの情報・謀略機関の仕業にちがいない。〔専門家によれば、こうした高速鉄道への破壊工作は、高度な専門知識と熟練した特殊技術・技能を備えた組織でなければ不可能であるといわれている。〕
 いま、ドイツやフランスなど欧州諸国政府は、「ウクライナへの支援をやめろ」と叫ぶ極右勢力の突きあげに直面し政治的動揺に見舞われている。このもとでウクライナへの軍事支援は早晩途絶える≠ニ見越して長期戦を構えウクライナ東部への攻撃に狂奔しているのがプーチンである。
 アメリカでは、「二十四時間で戦争を終わらせる」とほざき・ウクライナにたいしてクリミアや東部四州の領土割譲を迫ろうとしているトランプが大統領選の共和党候補として登場している。プーチンはいま、このトランプが民主党候補ハリスに競り勝ち大統領の座に返り咲くことを待望しながら、ウクライナ政府に屈服を強いる道筋をつけることに狂奔しているのだ。
 すべての労働者・学生諸君! 今こそ、たたかうウクライナ人民と連帯し侵略者プーチンを包囲する全世界的な闘いを創造すべきときだ! ウクライナ人民を絶対に孤立させてはならない。われわれは、<プーチンの戦争>を打ち砕く反戦闘争と<ネタニヤフの戦争>を粉砕する闘いを固く結びつけて、日本の地から国際的反戦闘争の火柱を高くうちあげようではないか!

以下、見出し

日米核軍事同盟の飛躍的強化を許すな!
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 7・28 全学連
 
 全学連の闘う学生たちが首都中枢で弾劾の雄叫び
 (7月28日、東京・首相官邸前)
 
  「日米2プラス2の開催を許すな!」全学連が首相官邸に怒りの拳
 (7月28日、東京)

日米核軍事同盟の強化反対!

日米「2+2」に怒りの拳 

 七月二十八日、全学連のたたかう学生たちは、日米両政府による日米安保協議委員会「2プラス2」の開催に反対して、首相官邸前での闘争に断固として起ちあがった。
 日米協議開催を前にした午前十時三十分、早稲田大学をはじめとする首都圏のたたかう学生たちは、首相官邸前に登場した。彼らは、「日米核軍事同盟の強化反対! 辺野古新基地建設阻止!」と大書した横断幕を拡げ、真紅の全学連旗を翻すと、ただちに闘争を開始した。
 「日米2プラス2開催反対!」「『核抑止』共同文書の策定を許さないぞ!」「米軍中距離ミサイルの配備阻止!」「先制攻撃体制の構築反対!」「大浦湾埋め立て反対!」「日米グローバル同盟粉砕!」
 たたかう学生たちは、日米両権力者にたいする怒りに燃えて、眼前の首相官邸にたいしてシュプレヒコールを浴びせかける。
 全学連のたたかう学生たちは、闘争放棄を決めこむ日共中央を弾劾しつつ、<日米核軍事同盟の強化反対><米日―中露激突下の核戦争勃発の危機を突き破れ>の旗幟鮮明に断固としてたたかいぬいたのである
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原発新増設・再稼働推進費の電気代への上乗せを許すな

以下、見出し

新増設の費用をすべて電気料金に

再稼働にも巨額の資金援助
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プーチンの代理人<Iルバンの五ヵ国行脚

プーチンの領土割譲要求を欧州理事会議長国の名で宣伝

 ハンガリーの首相オルバンは、同国がEU欧州理事会の輪番制議長国となった七月のはじめに、ウクライナ、ロシア、アゼルバイジャン(トルコ・エルドアンとの会談の地として)、中国、そしてアメリカ(NATO首脳会議への参加およびトランプとの会談)の五ヵ国を歴訪した。欧州委員会の委員長フォンデアライエンや「EU大統領」ミシェルらには七月二日のキーウ訪問だけを予告していたが、プーチン、エルドアン、習近平、トランプらと会うことについては秘密裏に・あるいは制止を振り切って、勝手にEU議長国の肩書きで会談をおこなったのがオルバンであった。この男は「ロシアとウクライナとの平和を誰かがつくらなければならない」などとほざき、みずからの五ヵ国行脚を「平和ミッション5・0」と自称したのだ。
 オルバンは行く先々で会談の断片を明かしている。真っ先に訪問したキーウにおいては、「ウクライナが超えられない一線は何なのか、平和のためにどこまで動くことができるのかをゼレンスキーに質問した」と語った。オルバンは得意満面でウクライナはロシアにどこまで領土を割譲できるのか≠ニいう質問をゼレンスキーに投げかけたことを公言したのである。
 その三日後にモスクワでは、「プーチンから、先にロシアが示した和平案をお忘れなくと言われた」とオルバンは語った。プーチンの「和平案」とは、ルガンスク・ドネツク・ザポリージャ・ヘルソンの四州をすべてロシアに割譲せよという、まさに今ヒトラー≠フ領土要求だ。それをオルバンは「お忘れなく」と紹介したのである。まさしくプーチンの代理人だ!
 「ウクライナ危機の外交的解決に貢献する」と語る習近平と、和平交渉の仲介役に名乗りをあげてきたエルドアンとの会談ののちに、オルバンは「自分が大統領になればウクライナへの軍事支援を停止する」「二十四時間でロシアとウクライナの戦争をやめさせる」とほざいてきたトランプとの会談をもった。こうした連中やプーチンとウクライナ問題についてオルバンが会談をもったこと自体が、ロシアが求める領土割譲にウクライナが応じれば戦争が終わる≠ネどという国際世論≠扇動するものにほかならない。
 こうしてオルバンが自称「平和ミッション」を展開している最中の七月八日に、プーチンの命を受けたロシア軍は、キーウの小児病院や民間病院などを標的にした大規模空爆を強行して、子どもを含む数十人のウクライナ人民を虐殺した。攻撃が残酷であればあるほどウクライナ人民の戦意を挫けると思いこんでいるソ連KGB出身のプーチンと「シロビキ」ども。この連中はウクライナ全土の発電所を滑空爆弾などの巨大爆弾で破壊し、ウクライナ人民に停電を強制している。そのうえでウクライナの病気の子どもたちを標的にした爆撃を強行したのである。オルバンがウクライナの領土割譲による平和≠吹聴しているときにピッタリとタイミングを合わせて今ヒトラー≠ヘこの攻撃を強行したのだ。断じて許すな!
 プーチンを表看板とするロシアの権力者どもは、ウクライナ軍が弾薬不足に苦しみながらも果敢にロシア軍の侵攻をくいとめているうえに、欧州諸国とアメリカが大規模な武器支援を再開し、さらにそれらの武器を駆使してロシア領内を攻撃することも承認したことに焦りに焦っている。欧州の主要諸国が、右派のイタリア・メローニ政権もふくめて、こうした姿勢に転じたことは、プーチンにとって大誤算であった。
 それゆえにプーチン政権は、欧州NATO諸国政府にたいして戦術核兵器使用の演習をベラルーシ西部で強行したり、欧州各国において謀略的な破壊工作を強行するなどのあらゆる手口で西欧の権力者どもを恫喝しているのである。
 それと同時に、オルバン政権や、ロシア政府が金銭的にも政治的にもテコ入れしてきた欧州の極右勢力をつきうごかして、EU内でウクライナ支援反対≠フキャンペーンを展開させているのだ。すなわち、戦争の長期化による物価高騰などに不満を募らせている欧州諸国人民にむけてウクライナがロシアに譲歩すればすぐに戦争は終わる∞ウクライナに武器援助をすることは戦争を長引かせる≠ネどという宣伝をやらせているのだ〔これに手を貸しているのが悪質な自称「左翼」だ〕。
 まさしくオルバンの「平和ミッション」なるものは、侵略国ロシアとたたかいつづけるウクライナの政府・軍・人民を欧州において孤立させ・屈服を迫ることを狙った外交的パフォーマンスいがいのなにものでもない。

以下、見出し

欧州議会第三会派の首魁に成り上がったファシスト

ハンガリー人民への「反社会主義・反EU」の扇動

 ◇ハンガリー転向スターリニストの犯罪
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日米グローバル同盟強化と一体の「半導体強国」への突進

A 日本帝国主義の存亡を懸けた半導体産業再興戦略

 七月二十四日に北海道を訪れた首相・岸田は、千歳市に建設中のラピダスの工場を視察し、その場で「次世代半導体の量産等に必要な法案を早期に国会に提出する」と言明した。
 二〇二二年八月に「世界最先端の半導体を量産する」というアドバルーンを掲げて政府・経産省の主導のもとに設立された和製ファウンドリー(受託製造企業)・ラピダス――この国策会社に、岸田政権はすでに九二〇〇億円もの補助金の供与を決定している。これに加えて製品量産化に必要な約五兆円を調達するために、財政資金の追加投入と民間からの投融資を促進する仕組みを法改定によってつくりだすというのだ。たとえば、実績ゼロ≠フラピダスへの融資を躊躇している民間金融機関にたいして、その融資に「政府保証」をつけるという奇手≠ェそれである。計画が頓挫して債権が焦げついても政府が血税を投じて返済を肩代わりする、というのだ。岸田は同時に、「AI(人工知能)や半導体分野での国内投資を継続的に拡大していく」と宣言した。
 このようにあらゆる手を使い莫大な国家資金を投入して、先端半導体をはじめとする半導体産業の「再興」に突進しているのが、岸田政権なのだ。

以下、見出し

 未曽有の補助金投入

 「経済安全保障」の環としての半導体確保策

 米・中激突下の日米半導体同盟≠フ形成

B 米日半導体連携≠フ要としてのラピダス

 アメリカIBMの下請けファウンドリー

 軍民両用AI半導体の製造

C 人民に犠牲を強いる国家プロジェクト

 国策貫徹に狂奔する政府・経産省

 大増税と環境破壊の強制
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防衛省の「AI活用基本方針」

AI兵器開発への大学・研究機関・企業動員の企み

 七月二日、防衛省は、「AI活用推進基本方針」なるものを明らかにした。防衛省が「AI活用」についての「基本方針」を発表するのは今回がはじめてだ。
 明らかにされた「基本方針」において、防衛省は、「科学技術の急速な進展」により「従来の戦闘様相が大きく変化」しているなかで「新たな戦い方に対応する」ことをAIを活用する「目的」として掲げ、AIを導入する「重点分野」として、@「目標の探知・識別」、A「情報の収集・分析」、B「指揮統制」、C補給や整備などの「後方支援業務」、D無人機などの「無人アセット」、E「サイバーセキュリティ」、F「事務処理能力の効率化」を挙げている。
 こうした防衛省による「AI活用基本方針」の発表は、アメリカ・イスラエル・中国と同様に、日本もまたAIを軍事利用してゆくことの公然たる宣言にほかならない。その内容は、たとえば右に記した@〜Bを見るならば、攻撃目標を「探知・識別」し・その目標についての「情報の収集・分析」をおこない・攻撃の「指揮」を出す……というように、この「基本方針」の策定を指示した岸田や防衛相・木原らの権力者どもやその策定を直接担った防衛官僚どもが、いかに実際の戦闘場面をリアルに想定し、「敵」とみなしたものを撃滅する軍事作戦行動にAIを活用しようとしているのかが歴然としているではないか。
 われわれが怒りを込めて暴きだしてきたように、イスラエル権力者は二〇〇万人を超えるすべてのガザ人民のデータをAIに読みこませ、「反イスラエル」とみなした者やパレスチナの文化や歴史を発信する文化人などを優先的≠ノ標的にするよう設定し殺害している。こうした残虐きわまりない犯罪を日々犯しているイスラエル権力者が使っているのと同様の殺戮兵器の開発に、岸田政権は公然と踏みだしつつあるのだ。
 さらに注意すべきことは、こうした「基本方針」を岸田政権・防衛省がなんのためにあえて公にしたか、ということである。政府・防衛省はいう、「予見可能性」を高め、「企業や研究機関、他国との協力」をつくりだすことが必要だ、と。権力者どもの言いたいことは何か。明らかに、軍需独占体やスタートアップ企業、そして大学をはじめとする種々の研究機関にたいして、防衛省がどのようにAIを活用しようとしているのかを見定めさせ(「予見」させ)、防衛省・日本国軍がAIを軍事利用することに役立つような研究をおこなうように誘導すること。しかも他国=アメリカとの協力のもとにそれを推進すること。これこそが、AIの活用についての「基本方針」を対外的に公表した政府・防衛省の企みにほかならない。
 すでに政府・防衛省は、大学・研究諸機関・諸企業をAIの軍事利用についての研究に動員する策動を開始している。防衛装備庁が管轄している「安全保障技術研究推進制度」の公募テーマは、昨年度から、AIにまつわるものが急増している(たとえば「複数の無人機の運用者の支援」「脳科学とAI技術の融合」など)。そして、岸田は、バイデンとのあいだで、日本の大学(筑波大・慶応義塾大)とアメリカの大学とがAI研究を共同でおしすすめることを、国家間の正式な合意事項として確認した(四月の日米首脳会談)。これらにふまえて、政府・防衛省は、多くの大学・研究諸機関さらには諸企業を、「AIの軍事利用」についての研究・開発に動員してゆくことを企んでいるのだ。
 岸田政権による、大学・研究諸機関・諸企業を動員してのAI兵器の研究・開発に断固たる反対のうねりを!
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ロシア・インド首脳会談

侵略者プーチンとの醜悪な抱擁をかわしたモディ

 七月九日にモスクワにおいてインド首相モディは、ロシア大統領プーチンとの首脳会談をおこなった。米欧諸国の権力者がプーチン・ロシアのウクライナ侵略を非難しウクライナ支援の結束≠確認しようとしていた7・9NATO首脳会談、これに対抗する反米欧≠フ包囲網を構築するために「グローバル・サウス」の旗頭を任ずるモディを政治的に抱きこむ策動にうってでたのがプーチンである。ウクライナ侵略にたいする米欧の制裁およびウクライナ労働者・人民の不屈の反撃に直面して苦境にたたされたプーチンは、国連のロシア非難決議に棄権票を投じ「中立」姿勢をおしだしてきたインドを、「特権的戦略的パートナーシップ」なるものを掲げ政治的にからめとることに腐心した。
 このプーチンの企みを重々承知したうえで、ロシア製兵器や軍事技術の提供、安価なロシア産原油の販売というプーチンのエサ≠ノ飛びついたのがモディである。この輩は、モスクワ訪問中に侵略者プーチンとクレムリンで何度も抱擁を交わした。プーチンの命を受けたロシア軍がウクライナ・キーウの小児病院などを空爆し、子どもや母親や医療従事者などの無辜の人民を虐殺したまさにその当日(八日)、このむごたらしいジェノサイドを強行した殺人鬼の血塗られた手を握り肩を抱き寄せたのがモディなのだ。テレビ・カメラに向かっては、「子どもたちの命が失われるのは痛ましい」などと実に空々しい言辞を弄しながらである。
 <米―中・露激突>の狭間において、インドのモディ政権は、中国に伍して「アジアの軍事強国・経済大国」にのしあがるという国家戦略にもとづいて、「全方位外交」を旗印としてロシアからも米欧帝国主義諸国からも軍事的・経済的・技術的協力をひきだすという八方美人♀O交に血道をあげている。そして、北西部カシミール帰属問題をめぐって対立するパキスタンおよび中国の軍事的動向を抑えこむために、インド国軍の核戦力の強化に突進しているのだ。

以下、見出し

「特権的戦略的パートナーシップ」の呼号

米欧のウクライナ軍事支援強化へのプーチンの巻き返し

中国との政治的角逐を熾烈化させるインド
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最新号紹介
新世紀
The Communist
第332号
2024年9月


<プーチンの戦争><ネタニヤフの戦争>を粉砕せよ!

 <プーチンの戦争>と<ネタニヤフの戦争>を粉砕する反戦闘争の思想的武器を満載した『新世紀』第三三二号を、すべてのたたかう仲間におくる。
 ◆巻頭の「8・4国際反戦集会に結集せよ」は訴える。ロシアのプーチンとイスラエルのネタニヤフという核兵器を持った今ヒトラー≠ヌもが人民の大殺戮を強行している。これらはそれぞれ、ウクライナおよびパレスチナという民族と国家をその文化・歴史もろともに抹殺することを狙ったものであり、ナチス・ヒトラーのホロコーストと同断の、世紀の蛮行だ。この<プーチンの戦争>と<ネタニヤフの戦争>の二つの戦争を打ち砕く闘いを固く結びつけ、全世界の人民と連帯しその最先頭にたってたたかおう、と。
 つづく「第62回国際反戦集会 海外へのアピール」は、全世界の、とりわけ欧州の労働者に呼びかける。先の欧州議会選挙では「ウクライナ支援をやめて国内経済対策を優先せよ」という極右の主張を一定の部分の労働者・人民が支持してしまった。また一部の西欧「左翼」は、「悪いのはロシアよりもNATOの方だ」と叫んで<プーチンの戦争>を弁護している。だが、「ウクライナの同胞を身捨てることは、労働者階級としてのみずからの首を絞める行為ではないか!」と「アピール」は言う。「労働者は共に資本主義社会の底辺に生きる者として、同胞の犠牲のうえにみずからの利害を追求することはできない」「本質的に国境をもたない労働者階級の団結の質は、国家の壁によって隔てられた兄弟にたいする態度の中にこそ示される」。だから「ウクライナへの支援反対」などというスローガンを決して掲げてはならないのだ、と。
 沖縄県委員会は満腔の怒りをこめて「米兵の少女暴行弾劾! 辺野古大浦湾の埋立て阻止!」を訴え、<全米軍基地撤去・安保破棄>めざしてたたかおうと檄を飛ばしている。
 ◆政府・文科省は学生からむしりとった学費を原資にして大学に「軍民両用」の名のもとにAIなどの先端技術の開発をおこなわせ、これを兵器開発・生産に活用しようと企んでいる。「国公私立大学の学費大幅値上げを阻止せよ!」(マル学同・革マル派)は、政府・文科省にテコ入れされた国公私立の大学当局による学費値上げに反対する闘いを、「大学の軍事研究拠点化反対」、「大軍拡・改憲阻止」の闘いと結びつけて推進し、大学のファシズム化≠打ち砕けと呼びかける。
 地方自治体に対中国戦争への協力を強制する策動を暴きだした「地方自治法の改悪を許すな!」(地見登)もあわせて検討されたい。

闘うウクライナ人民と連帯して

 ◆本誌で連載中の「闘うウクライナ人民と連帯して」の続編を掲載した。その6「腐敗きわめる西欧の自称『左翼』への怒り」(立山弘)は、ウクライナ・レフトの人たちが「西欧左翼の多くはウクライナが直面している物質的現実を知ろうともしない」、「唯物論ではない」と語り、われわれの西欧「左翼」にたいするイデオロギー闘争を熱い共感をもってうけとめてくれたことを報告する。
 その7「海を越えた階級的連帯」(若原里菜)は言う。「命がけの闘いを続け」ているウクライナ左翼の人たち、彼らの姿を見て「私は、謀略粉砕・走狗解体の闘いをたたかってきた過去のわれわれの闘いにも思いをはせました」と。そして、彼らとの連帯は「私たちの実存そのものにかかわる、いわばおなかの中からの連帯なのだ」と感想を述べ、これを思想的に掘りさげていく。彼らは<プーチンの戦争>にたいして、「ウクライナの大地に根を張って、生き、闘い、生活している。」「ウクライナに土着した真のマルクス主義の左翼だ」と筆者はとらえる。そして「マルクス主義の土着化」という黒田さんの追求を思い浮かべ、「土着化したマルクス主義こそが真に普遍的なものとなる」、「民族の枠を超え海を越えた連帯をさらに深めよう」と決意を語る。
 「FSB強権型支配体制を打ち倒せ」(井司健吾)は、ロシアの統治形態の独自性、その反人民的本質を暴きだす。諜報機関=FSBの官僚どもが主導するプーチン・ロシアの支配体制は、旧ソ連スターリニストの強権的統治を模倣したものであり、反対運動を潰す主要な手段としては謀略・殺人を駆使してきたのだ、と。
 ◆岸田政府・日銀が金融緩和策からの脱却≠宣言しながらも、なお緩和策を維持しつづけているがゆえに、円安・物価高騰がつづき、労働者は実質賃金の低下にみまわれ困窮を深めている。この政府・日銀の政策の反人民性を暴きだしているのが「『異次元』金融緩和脱却≠ノあがく植田・日銀」(奥入瀬清)である。
 本号ではさらに、郵政、NTT、医療、教育などの労働戦線において奮闘する革命的労働者の諸論文を掲載した。
 本号を闘いの武器として大いに活用されたい。
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