第2829号2024年7月29日)の内容

<1面>
アジア版NATOの構築反対!
 米日―中露激突下の戦争勃発の危機を突き破れ!
<2面>
国学院大学 6・26/7・6
 自治委員会・学生総会かちとる
豪戦闘艦共同開発の候補に海自艦
□治安維持法下の労働者・学生弾圧
<3面>
労働者の怒りに包まれたスナク保守党政権の自滅
人民の怒りの噴出に揺らぐモディ政権
<4面>
ウイグル人民への弾圧許すな
◇「スパイ防止法」によるジョージア人民弾圧
<5面>
JR東海・政府のリニア建設弾劾
Topics 労基法破壊と軌を一にした「給特法」堅持
<6面>
「外資誘致」を号令する習近平
◎アフリカ民族会議単独政権の崩壊
 「解放」最新号




  

アジア版NATOの構築反対!

米日―中露激突下の戦争勃発の危機を突き破れ!


 いま日米両政府は、七月二十八日に東京で開催される日米安全保障協議委員会「2プラス2」の場において、日米両軍の指揮統制の一体化や兵器の共同開発に加えて、米日共同で「拡大抑止」の体制を構築することを史上初めて明文化せんとしている。それは、東アジアにおける中・露・北朝鮮との激突に備えて、日米核軍事同盟を飛躍的に強化することの傲然たる宣言にほかならない。
 いまや五〇〇発の核弾頭を保有し南シナ海沿岸地域に中距離ミサイルを実戦配備している習近平中国、ウクライナと国境を接するベラルーシへの核兵器の前進配備を完了したプーチンのロシア、およびこのロシアを新たな後ろ盾として韓国・日本・アメリカへの核攻撃体制を強化している金正恩の北朝鮮――、これら「敵国」とみなした諸国家にたいして、アメリカ帝国主義の権力者は、「属国」日本を従えての核軍事体制の強化に血道をあげているのだ。
 アメリカ国内においてはこんにち、「アメリカ・ファースト」を呼号するトランプが大統領への返り咲きを狙って攻勢をしかけるなかで、ヨレヨレの醜悪な姿をさらけだしてきたバイデンはついに大統領選挙からの撤退に追いこまれた(七月二十一日)。いまやレイムダックと化したバイデン現政権の有り様は、ソ連邦崩壊いこう軍国主義帝国の座に君臨してきたヤンキー帝国主義の没落ぶりを象徴している。まさにそれゆえにこそ、この没落軍国主義帝国は、日本をはじめとする同盟諸国の軍事力・経済力・技術力を総動員して中・露・北朝鮮の対米挑戦を封じこめることに狂奔しているのだ。
 こうした東アジアにおける戦争勃発の危機のまっただなかにおいて、岸田政権は大軍拡・日米軍事同盟強化の道を驀進しているのだ。
 すべてのたたかう労働者・学生諸君!
 いっさいの反戦の闘いを放棄する日共中央をのりこえ、日本の大軍拡・日米軍事同盟強化と憲法改悪を阻止する反戦闘争をおしすすめようではないか! 米―中・露激突下の戦争勃発の危機を突き破れ!

対中グローバル同盟の強化に突進する米日両権力者

 七月八日、岸田政権はフィリピンのマルコス政権とのあいだで、日・比両軍の共同作戦を迅速に遂行するために武器・弾薬の相互提供や港湾・空港の軍事利用などの取り決めを明記した「円滑化協定(RAA)」を締結した。安保条約のような軍事条約を締結することなく、政府間の一片の合意のみをもって密接な軍事的協力をとりきめたのが日・比の両権力者なのだ。それは、事実上の日比軍事同盟の構築を意味するのである。
 南シナ海アユンギン礁をめぐって日本とフィリピンの両政府は、外務・防衛担当閣僚会議「2プラス2」の共同文書で、フィリピン海軍艦艇にたいする中国海警局船による軍事的威嚇行動を「航行の自由や補給線を妨害」するものだと非難し、中国の「力や威圧により現状を変更しようとする、あらゆる一方的な試みに強く反対する」と叫びたてた。南シナ海の軍事要塞化を企む習近平政権がアユンギン礁に駐留するフィリピン軍を叩きだすために、海警局船による「臨検」という名の放水や体当たりや武装襲撃を恒常化させている。この第二の中国海軍≠スる海警局船による軍事的恫喝に対抗して岸田政権は、マルコス政権と共同して海保の巡視船による軍事的対抗策をとる体制の構築に狂奔しているのだ。
 それだけではない。中国の「台湾武力侵攻」を想定して岸田政権は、フィリピンと台湾に挟まれたシーレーンの要衝たるバシー海峡を米・日・比共同で軍事的に封鎖する作戦構想を練りあげ、これにもとづいてマルコス政権との軍事的連携を強化しているのだ。
 こうしていま、中国とフィリピンとの軍事的激突の焦点となっている南シナ海において、米・日・比共同の対中準臨戦態勢の構築に血道をあげているのが岸田政権なのだ。この政権は、バイデンのアメリカが死に体ぶりをさらけだしているこんにち、アメリカの「属国」にふさわしくアジア太平洋版NATOというべきアメリカ主導の多国間軍事同盟の構築に血道をあげている。それのみならず、この軍事包囲網に欧州のNATO諸国をもだきこむ旗振り役を買って出ているのである。
 NATO首脳会議(七月九〜十一日)に「パートナー国」として出席した首相・岸田は、「欧州・大西洋とインド太平洋の安保は不可分だ」と発言した。そして、この会議に出席したNATO各国および日・韓・豪・ニュージーランドの権力者は、インド太平洋地域は「米欧の安全保障に直接影響する重要地域」であるとする首脳宣言を発し、中国をウクライナ侵略を強行しつづけるロシアの「決定的な支援者」と烙印した。
 アメリカ大統領選をめぐっては、テレビ討論会におけるバイデンの失態やトランプ銃撃事件(七月十三日)を契機として、ロシアが侵略・占領したウクライナ領土の割譲による「和平」を吹聴するトランプの返り咲きの気運が高まっている。こうした状況下でロシアの版図拡大に危機感を募らせている欧州各国権力者は、ウクライナ支援の新たな枠組みをあらかじめつくることで合意したのだ。

 核軍事同盟の構築・強化

 (1)日米安保協議委員会「2プラス2」において、日米両政府は、「拡大抑止」にかんする初の共同文書を発表しようとしている〔非公開で年内に策定予定〕。この文書には、アメリカが日本への攻撃の抑止に核兵器によって貢献する≠ネどという文言をもりこむというのだ。まさに日米核軍事同盟の構築の公然たる宣言!
 (2)同時にこの文書において日米両政府は、在日米軍司令官を大将級に格上げし、この米軍統合作戦司令官の指揮統制下に日米両軍をくみこみ一体的に作戦行動をとることをも明示しようとしている。
 米日両権力者は、米軍作戦司令官のもとに日米共同作戦を展開する「属国軍」にふさわしく日本国軍の情報収集・保全能力を飛躍的に向上させる「能動的サイバー防御」の体制づくりを急ぐとともに、綱紀粛正≠進めているのだ。日米「2プラス2」を直前にひかえて、海上自衛隊を中心に安全保障にかかわる機密情報たる「特定秘密」についての違法な運用や手当の不当受給などがおこなわれていたとして、自衛隊員二一八人の処分を防衛省が発表したことは、そうした権力者どもの意図のあらわれにほかならない(七月十二日)。
 (3)「2プラス2」において日米両権力者は、日本への米軍中距離ミサイルの配備をも最終的に決定しようとしている。中国軍が実戦配備している二〇〇〇発の中距離ミサイルに対抗するために、「第一列島線」上に位置する日本全土に巡航ミサイル「トマホーク」や対空ミサイル「SM6」を発射できる移動式装置を配備することを企んでいるのだ。
 日本の労働者人民を戦火に叩きこむことになる中距離ミサイルの日本配備を断じて許すな! 日米軍事同盟の対中国・対ロシアの攻守同盟としての強化、すなわちアジア版NATOの構築を断固として阻止せよ!

以下、見出し

新たな「世界秩序」の構築を呼号する中露両権力者

国際的反戦闘争の炎を!

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イギリス総選挙

労働者の怒りに包まれたスナク保守党政権の自滅

 七月四日のイギリス総選挙で、野党・労働党が単独過半数を上回る四一二議席を獲得し(二一一増)、党首スターマーが新首相に就任した。保守党はスナク政権の現職閣僚や元首相トラスらが相次ぎ落選し、一二一議席(二五一減)という大惨敗を喫した。十四年にわたって数かずの反労働者的政策を実施しイギリスの労働者・人民を貧窮のどん底に突き落としてきた保守党政権は、彼らの怒りの炎に包まれて倒壊したのだ。
 狂乱的インフレ・物価高騰下での賃金抑制と大増税、電気料金上限設定解除などの大衆収奪。教育・医療・公的諸部門においては、労働力不足のもとでの極限的労働強化、そして「反ストライキ法」制定という労働運動の弾圧策動。保守党政権がうちおろしたあらんかぎりの反労働者的諸攻撃にたいして、労働者・人民が怒りを爆発させたのだ。
 イギリスにおいては、EU離脱の「ブレグジット」、コロナ・パンデミックがひきつづき、ロシアのウクライナ侵略を決定的要因として、毎月一〇%以上のインフレが連続した。労働者・人民は家賃も払えず住居を追われ、消費期限切れ食品を食べて暮らすほどの貧窮を強いられている。これに抗議して、この数年、医療・看護、郵便、運輸、教育、自治体など諸産業の労働組合が激烈な闘いをくりひろげてきた。賃上げと労働環境の改善を求め、人員削減・労働強化攻撃に反対して、昨二〇二三年二月のゼネストをはじめとして、資本家・政府にたいするストライキ闘争に連続的に決起した。鉄道・交通の労働者は、今も波状的にストライキ闘争を継続している。
 けれども右派スターマーを党首とする労働党は、この闘いを指導してきたわけではまったくない。彼らはストに決起した労働者にむかっては「労使で話し合いを」とほざいて闘争を抑えこみ、「総選挙の早期実現」を呼びかける圧力手段としてストを利用してきたのだ。イギリスの労働者・人民は労働党政権にたいしても妥協せずにたたかいつづけるにちがいない。

以下、見出し

貧窮強制と社会保障制度破壊

資本家階級にすり寄るスターマー労働党


 保守党と大差ない「中道」路線

 極右の跳梁と労働者の闘い


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 与党・人民党が総選挙で議席激減

人民の怒りの噴出に揺らぐインド・モディ政権


 六月四日に開票されたインドの総選挙において、首相モディの与党=インド人民党は、それまで有していた三〇三議席を大幅に下回る二四〇に終わった。大敗したのである。単独過半数を失った人民党は、ほかの十党と連立を組んで過半数をなんとか維持したことをもって、第三期モディ政権の成立を宣言したのであった(六月九日)。
 モディは選挙前にはG20議長国など外交的成果を大キャンペーンし、四〇〇議席を獲得すると豪語していた。だが人民党は、各地で議席を減らした。
 首都に隣接する大選挙区であるウッタルプラデシュ州では人民党が議席を半減させた(六十二が三十三に)。いわゆる下位カーストやアウトカーストの人民、そしてムスリム人民は九二%が野党に投票したことによって、である。
 明らかにモディ政権・人民党の根本的敗因は、彼らがヒンドゥー至上主義を煽りたてムスリムを排斥してきたことにたいするインド人民の反発と不信の高まりにほかならない。
 モディ政権の選挙公約は「発展したインド」であった。G20の議長国としての華々しい演出を駆使し、「世界の大国への飛躍」という標語のもとで、経済成長などを成果としておしだした。
 だが、その宣伝の裏側でインド人民の生活はどうだ! 貧富の格差はますますはなはだしくなり、ITや医薬業界など一部の財閥系資本家やエリート労働者を除けば、国民の四割以上が世界銀行の規定する「貧困」状態なのだ。高層ビル街の足もとにはスラム街。失業者が蔓延し高等教育を受けても二九%が職がない。貧困を強制される農業従事者は反乱に起つ。GDP世界第五位といわれるが、一人当たり年間所得は二五〇〇j(約三八万円)でバングラデシュと同程度だ。そして新型コロナ感染にたいしては、蔓延防止には役にたたない強権的統制を敷いて世界最多といわれるほどの死者を生みだし、人民に犠牲を強制したのがモディ政権なのだ。しかもこれへの人民の反発を抑えこむために強権をふるった。野党の選挙活動を押さえつけるために指導者を連続的に逮捕し、メディアも弾圧したのがモディだ。

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ヒンドゥー至上主義を煽りムスリムを抑圧
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習近平政権のウイグル人民への苛烈な弾圧を許すな!

 いま中国の習近平政権は、不動産バブルの崩壊と地方政府の過剰債務の累積、生産設備・生産能力の過剰による企業倒産と失業の増大という経済的諸矛盾の噴出にあえいでいる。頼みの「一帯一路」経済圏づくりが欧州との交易の玄関≠ナあったイタリアの離脱と後進諸国の債務の罠≠ヨの警戒に直面して行き詰まっているなかで、習近平はアメリカ・欧州による経済的包囲網を打ち破り「質の高い新たな十年の一帯一路を建設」するとほざいて、欧州への輸出拠点をハンガリーに構築しようとしている。
 習近平政権は、そのために、中国と欧州を結ぶ陸路の重要な戦略的拠点≠ニ位置づけるウイグル自治区において、ウイグル族人民の反政府運動を絶対に許さない強権的な弾圧にでている。昨年異例にも二年連続で新疆ウイグル自治区を訪れた習近平は、自治区の党書記らを前にして「新疆の戦略的位置づけを把握し……決して手を抜かず建設せよ」「中華民族の共同体意識をがっちりと固め……イスラム教の中国化を進めよ」と党官僚の苛立ちと傲岸さをむきだしに訓辞した。
 ネオ・スターリニスト習近平が叫ぶ「イスラム教の中国化」政策なるものは、ウイグル族人民の北京官僚政府にたいする反抗を徹底的に封殺するために彼らの独自の言語・文化・宗教を根絶やしにし、漢族中心の「中華民族」としての帰属意識を強権的に植え付け、さらには親戚関係を結ばせて漢族への「同化」を強制するという反プロレタリア的なものにほかならない。

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漢族への「同化」を強制する北京官僚

「習近平思想」への絶対服従の強要

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「外資誘致の加速」を号令する習近平政権

A 「インベスト・チャイナ」の呼号

 中国・習近平指導部は、不動産バブルの崩壊をはじめとして深刻化する国内経済の危機を打開する一策として、「対外開放の拡大」・「外資誘致の加速」を号令している。二〇二四年三月に開かれた全国人民代表大会(全人代)で首相・李強はこう叫んだ。――「ハイレベルの対外開放を拡大し互恵ウィンウィンを促進する。」「外資誘致にいっそう力を入れる。対中国投資への政府の支援を強化し、『インベスト・チャイナ(投資中国)』のブランドを構築する」、と。
 李強があげた「外資誘致加速」策とは、次のようなものである。
 @対中投資ネガティブリストの縮小――製造業にかんしては参入規制を全面撤廃する(すでに自動車産業では二〇一九年以降に段階的に出資比率の制限が廃止されてきた)。
 A対中投資奨励産業目録を形成し、外資系企業の収益の再投資を奨励する。
 B外資系企業の内国民待遇を徹底し、政府調達・入札・標準形成などへの平等な参加を保障する。
 Cデータ越境移転にかんする規制の再検討。
 これまで中国政府が外国資本の直接投資に課してきた様ざまな規制を大幅に緩和するというのである。
 こうした施策にもとづいてこのかん習近平指導部は、EUや米・日の企業にたいする「対中投資拡大」の働きかけをいっそう強化している。ドイツ・ショルツの訪中(四月)や習近平訪仏(五月)での独・仏それぞれの経済界との会合、五月末の日中韓首脳会談での三ヵ国ビジネスサミットなどにおいて、北京官僚は各国政府と独占資本家にむかって「中国への投資拡大」を強力に呼びかけたのである。

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B 深まる経済危機と米欧日企業の中国離れ

 対中直接投資急減の諸要因

C 対中ハイテク封鎖突破のためのあがき
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国学院大学


自治委員会・学生総会かちとる

活発に討論、革命的執行部を再確立

 国学院大学のたたかう学生は、六月二十六日に自治委員会をかちとった。この場に結集した五十七人の自治委員は、「軍事研究のための学費値上げ反対」「全国の先頭で自治弾圧とたたかう愛大生と連帯」を表明した特別決議を満場の一致で採択した。続けて七月六日には三三二人の代議員の参加のもとに学生総会が開かれ、自治会方針をはじめとする学生自治五団体の議案が、参加した代議員の九割による圧倒的多数で採択された。また第一四二回若木祭を<自治と文化の祭典>として成功させることを宣言する特別決議も採択された。
 この自治委員会・学生総会をつうじてたたかう国学院大生は、今春期のいっさいのとりくみを総集約し、<学費値上げ阻止>・<反戦>・<新たなファシズム反対>の闘いの大きなうねりをつくりだしてきたのだ。

改憲阻止・ウクライナ反戦・ガザ人民虐殺反対の方針を採択 6・26自治委員会

「学費値上げ反対!」「公認規程の適用反対!」 7・6学生総会

 高学費・戦争協力・ファシズム化粉砕の闘いを全国の先頭で推進
「軍事研究のための学費値上げ反対」「愛大生と連帯」の特別決議を満場一致で決議した自治委員会
(6月26日、国学院大学)
  代議員332名が参加した学生総会
(7月6日) 
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