第2822号2024年6月10日)の内容

<1〜2面>
全国で労学統一行動に起て
 大軍拡・憲法改悪阻止!
 日米グローバル同盟粉砕!
 <プーチンの戦争>粉砕!
 イスラエルのガザ人民ジェノサイドを許すな!

<3面>
新大統領ミレイの労組破壊に労働者が反撃 アルゼンチン
ガザ攻撃を擁護するモディ
プーチンの欧州議会選挙介入
<4面>
鉄鋼大手企業による「三万円賃上げ」の狙い
<5面>
Topics 改憲支持・軍拡賛成・原発推進≠立民にゴリ押しする「連合」芳野
◇郵政労働者の闘う決意
<6面>万華鏡2024――情勢の断層を読む
 AIパートナーシップ
 「戦狼」軍人の脅迫
 「不適地」に処分場!?
 後進開発国の優位性?
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号



























  



全国で労学統一行動に起て


大軍拡・憲法改悪阻止!

日米グローバル同盟粉砕!



 すべてのたたかう労働者・学生諸君! 全学連と反戦青年委員会は六月十六日に首都・東京において労学統一行動を開催する。すべての労働者・学生は、この東京をはじめ全国各地で開催される労学統一行動に総決起せよ!
 イスラエルのシオニスト・ネタニヤフ政権はいま、ガザ南部ラファおよび北部にたいして昼夜を問わず空爆を強行し、着の身着のまま逃げまどう人びとを無差別に虐殺している。このシオニスト権力者によるガザ壊滅を狙った人民皆殺し攻撃を断じて許すな! 全世界で起ちあがる労働者・学生・人民とともに、反戦の巨大なうねりでネタニヤフ政権を包囲せよ!
 ウクライナ・ハルキウ州への連日にわたるミサイル攻撃を強行するプーチン政権を満腔の怒りを込めて弾劾せよ! 今こそ<プーチンの戦争>をうち砕くウクライナ反戦闘争の嵐を巻きおこせ!
 アメリカと一体となって対中国・対北朝鮮の先制攻撃をなしうる軍事強国への飛躍を狙った、岸田政権による大軍拡・憲法改悪の一大攻撃を断固としてうち砕け! 沖縄・南西諸島へのミサイル配備・辺野古新基地建設の攻撃をうち砕く反戦反安保の炎を、沖縄から・全国から燃えあがらせようではないか!
 全学連のたたかう学生たちは新歓期の四月以降、全国の大学キャンパスにおいて、「イスラエルのガザ人民虐殺反対」、「ロシアのウクライナ侵略反対」、さらには「日本の大軍拡・安保強化反対」を掲げた怒りのデモ・集会を連続的にくりひろげている。キャンパスから闘いのうねりをつくりだしてきたすべてのたたかう学生は、今こそ総力を結集して、職場深部でたたかう労働者とともに、労学統一行動の一大高揚をかちとれ!
 いっさいの大衆的な反戦の闘いを放棄する日共中央を弾劾し、反戦反安保・改憲阻止、ウクライナ反戦、ガザ・ジェノサイド反対の闘いの炎を燃えあがらせよ!

米―中・露の角逐が熾烈化する現代世界

 いま、台湾周辺・南シナ海において、軍事的強硬策をとる中国とこれに対抗するアメリカ・日本・台湾・フィリピンとの角逐が激化している。
 中国の習近平政権は、台湾総統の就任式で民進党・頼清徳が「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」と発言したまさにそのタイミングで、「台湾独立・分裂勢力への懲罰」として台湾を包囲する一大軍事演習を強行した(五月二十三・二十四日)。台北・高雄沖など台湾島を包囲する五ヵ所の海空域に加えて金門島・馬祖島などの離島周辺をも演習区域に設定したうえで、「中国軍・海警局の艦艇・航空機で海上を封鎖しつつ、太平洋側から接近する米空母機動部隊を爆撃するとともに台湾諸都市をミサイルで破壊する」という作戦シナリオにもとづいて対米・対台湾の実戦的訓練を強行したのだ。
 この演習において中国軍は「封鎖の新モデル」の名のもとに台湾海峡に加えてバシー海峡(フィリピン・ルソン島と台湾との間)にも中国海軍の軍艦をさしむけた。「第一列島線」上に位置し、中国権力者にとっては「米本土を核攻撃できる原子力潜水艦の西太平洋への出口」をなすこの軍事的要衝を「演習」の名で封鎖したのである。そうすることによって、習近平政権は、米軍の来援を阻みながら台湾を制圧しうる軍事態勢を構築しつつあることを、頼政権はもとよりバイデン政権にたいしても誇示したのだ。
 頼清徳を新総統に選出した台湾民衆への軍事的恫喝としても強行されたこの「演習」という名の中国権力者の一大軍事行動。彼らが「同胞」と呼ぶ台湾人民にたいして砲口を突きつけるこの暴挙に、中共ネオ・スターリニスト官僚どもの反人民性がむきだしとなっているではないか。
 同時に習近平政権は南シナ海においても、南沙諸島を中国の軍事要塞としていっそううち固めることを狙って、フィリピン軍が駐留するアユンギン礁の周辺でフィリピンの補給船にたいする放水や体当たり攻撃をくりかえしている。
 これらの習近平政権の強硬策に対抗して、アメリカ・バイデン政権は、日本からフィリピンにいたる海域において、「台湾有事」を想定した米軍の大規模多国間軍事演習「バリアント・シールド」を、今年は初めて日本国軍約四〇〇〇人を参加させるかたちで展開しようとしている(六月七〜十八日)。
 まさにいま「台湾併呑」の野望をむきだしにするネオ・スターリン主義中国と、これを同盟諸国を束ねてなんとしても阻止せんと対抗する没落軍国主義帝国アメリカとが、相互対抗的に軍事行動を強行し、台湾周辺・南シナ海において一触即発の危機が生みだされているのだ。
 これと同時にいま、朝鮮半島をめぐる米・日・韓と北朝鮮・ロシア・中国との応酬が激化している。
 北朝鮮・金正恩政権は、五月二十七日に二機目の軍事偵察衛星を搭載したロケットの発射に踏みきった(失敗)。このロケットにはロシアの技術支援にもとづく新たな燃料や推進機構が用いられた。ウクライナ侵略のための砲弾・弾薬欲しさに北朝鮮にすがりついたプーチン政権、このプーチン・ロシアの全面的な技術支援を支えにした金正恩政権が核ミサイル技術の高度化に邁進していることを、右のことはまざまざと示したのだ。
 この北朝鮮にたいして、バイデン政権と韓国の尹錫悦政権とは、米韓両軍の偵察機を北朝鮮上空に頻繁に送りこんだり、海上の「境界線」に韓国軍艦船を展開したりするなどして、軍事的な威嚇でこたえている。「落下物の迎撃」を名分として、日本の岸田政権とも連携して米日韓三ヵ国の対北朝鮮準臨戦態勢をいっそう強化しているのだ。
 こうして、台湾周辺で、南シナ海で、さらに朝鮮半島で同時多発的に高まっている戦争勃発の危機。それはまさしく、プーチン・ロシアによるウクライナ軍事侵略開始を震源として一挙に熾烈化した<米―中・露対決>のもとで切迫している軍事的な危機にほかならない。
 ロシアと結託するネオ・スターリン主義中国の習近平政権による、「二十一世紀半ばまでにアメリカをしのぐ社会主義現代化強国として屹立する」という世界戦略にもとづく、台湾併呑の策動のエスカレート。この中国およびロシアの「力による現状変更」(アメリカ権力者の言葉)をおしとどめるために、「専制主義にたいする民主主義の戦い」を旗印に同盟国を糾合せんとする、老衰した軍国主義帝国アメリカ・バイデン政権の対抗。この没落の帝国主義権力者と、あい結託するネオ・スターリン主義権力者および「スターリンの末裔」との激突のもとで、ここ東アジアを舞台とした戦乱勃発の危機は急速に高まっているのだ。
 バイデン政権は、対中国の多国間軍事同盟を構築・強化するために、米軍主導の多国間軍事行動に同盟諸国軍を動員したり、半導体の供給網構築や人工知能などの先端技術開発、兵器の共同開発・生産などに同盟諸国を巻きこんだりすることに躍起になっている。だがそれは一国で中国を抑えこむ力を喪失して久しい没落軍国主義帝国のあがきにほかならない。
 これにたいして、中国の習近平政権は、軍事的には、空母三隻体制の構築(これにより、実戦配備・訓練・保守点検のローテーションで恒常的に空母を運用できるようになる)をはじめとした対米対抗の核軍事力の増強と軍指揮系統の再編に血眼となっている。
 他方政治的には、中国権力者は、いわゆる「もしトラ」(もしトランプが次期アメリカ大統領になったら)に欧・日・韓などの権力者が脅えているいまこのときに、アメリカとその同盟諸国とを離間することをねらった外交的攻勢に一挙にうってでてもいる。
 それを示したのが五月二十七日に開催された中・日・韓首脳会談であった。この場において中国首相・李強は、岸田および尹錫悦との間で「FTA締結協議の再開」などで合意し、日韓との政治的・経済的な協力関係の強化をうたいあげた。それは――習近平が約五年ぶりに訪欧しフランス大統領マクロンとのあいだで「AI開発の共同宣言」などをうちだした中仏首脳会談(五月六・七日)とともに――軍事・「経済安保」の両面で対中包囲網を築こうとしているアメリカとその同盟国との間にくさびを打ちこむことを狙った術策にほかならない。
 こうして同盟国のアメリカからの離間をはかりつつ、同時に旧東欧や中央アジアの諸国権力者をば、陸路による交易の強化をテコにしてユーラシアに位置する諸国との広域での経済的な連携(「一帯一路」経済圏)構築・強化に抱きこもうと躍起になっているのが習近平政権なのだ。〔もちろん習近平が、米主導のNATO軍による在ユーゴ中国大使館空爆(一九九九年)からちょうど二十五年の五月七日にセルビアを訪問したのは、そのセルビアが「一帯一路」の要衝であるからだけではない。「一超」アメリカの横暴を眼前にしながらも中国が味わわされた当時のかの屈辱をそそぎ、必ずアメリカをしのぐ「超大国」となって逆襲するという習の復讐心の表明にほかならない。〕
 このような米―中の熾烈化する軍事的・政治的および経済的の全部面での激突のもとで、台湾・南シナ海および朝鮮半島において戦乱勃発の危機がいや増しに高まっているのだ。

 ガザ人民ジェノサイドに狂奔するネタニヤフ政権

 イスラエルのネタニヤフ政権は、全世界で高まる「ジェノサイド反対」の声を無視して「ラファでの兵力を増強し軍事作戦を拡大する」と傲然とほざき、ラファの人口密集地に空と地上から猛攻をしかけ、数多の人民を血の海に沈めている。イスラエル軍は、ラファとエジプトの境界を完全に封鎖し、支援物資の搬入も避難も不可能にしたうえで、ガザ人民を皆殺しにせんと襲いかかっているのだ。このナチス・ヒトラーのごとき蛮行を怒りをこめて弾劾せよ!
 シオニスト権力による八ヵ月にもわたる軍事作戦によって、すでに三万六千人ものガザ人民が虐殺され、ラファに身を寄せていた一〇〇万もの人民が水も食料も医薬品もないなかで、イスラエル軍に蹂躙された中部・北部への再避難を余儀なくされている。この人々にたいしても虐殺者どもは容赦なく砲弾・ミサイルを撃ちこんでいるのだ。
 いまネタニヤフ政権は、国際刑事裁判所(ICC)から戦争犯罪容疑で逮捕状を突きつけられ、国際的孤立にたたきこまれている。
 さらにイスラエル国内においては、ネタニヤフは、軍事作戦の長期化のなかで、労働者・人民の「ネタニヤフ退陣」のデモに直撃されている。戦時内閣の閣僚の中からさえも「総選挙」の要求が巻きおこっている。こうしたなかで殺人鬼ネタニヤフは、自身の「詐欺容疑」での監獄行きを回避するために、連立を組む極右シオニスト政党にしがみついて政権延命をはかり、ガザ人民ジェノサイドにますます狂奔しているのだ。
 このネタニヤフ政権を、二〇〇〇ポンド爆弾などの殺戮兵器の大量供与をつうじて支えているのがアメリカ帝国主義のバイデン政権にほかならない。大統領選でのユダヤ・ロビーからの献金を喉から手がでるほど欲しているがゆえに、バイデンは、「イスラエルがラファに侵攻すれば武器・砲弾の提供を停止する」と述べたその舌の根も乾かぬうちに、ラファの難民キャンプにミサイルを撃ちこんでいる殺人鬼への一〇億ドル規模の武器売却をはじめたのである。
 このバイデン政権に支えられたイスラエル・シオニスト権力の蛮行をまえにして、いま「虐殺やめろ」のデモの波が中東・東南アジア諸国、さらにはアメリカ・欧州諸国などの全世界に広がっているのである。

 ハルキウ攻撃を強めるプーチンのロシア

 プーチン政権はいま、ウクライナ北東部のハルキウ州に、ロシア領内にかき集めた新たな侵略軍部隊を突入させ国境付近の村々を蹂躙している。さらにハルキウ州や東部ドネツク州の工場や商業施設などの人口密集地域にたいして、ロシア領空から「滑空爆弾」(数十発で小型核兵器なみの破壊力をもつとされる)を撃ちこみ、数多のウクライナ人民を殺戮している。
 ウクライナ軍の防空兵器の欠乏という隙をついたこの卑劣な攻撃にたいして、ウクライナ政府・軍は、米欧諸国から新たに供与された兵器で武装しつつ、ウクライナ領爆撃に用いられているロシア南部の軍事拠点を直接攻撃しうる戦闘態勢を急ピッチで構築している。〔このウクライナ政府にたいして、アメリカのバイデン政権は、供与した兵器によるロシア領内への攻撃を一部承認する措置に踏みだした。〕
 このウクライナ軍を、米製兵器の到着をまえにして少しでも国境地帯から遠ざけるために、「緩衝地帯」の確保をねらった攻勢をしかけているのがプーチン政権なのだ。
 プーチン政権は、同時に、同盟国ベラルーシのルカシェンコ政権をも参加させて、戦術核兵器の発射訓練を強行した。ウクライナに軍事支援をおこなっている欧州諸国の権力者どもにたいして、ウクライナの戦場で核兵器を使用することも辞さない≠ニ威嚇しているのがプーチンなのだ。
 米欧の経済制裁下でウクライナ侵略を継続しているがゆえの経済的な苦境にあえいでいるプーチン政権は、中国の習近平ネオ・スターリニスト政権にますますすがりついている。ロシアの閣僚や実業家などをひきつれてプーチンが訪中し、習近平にたいして軍事転用可能な半導体を含む製品や火薬原料などの輸入を継続するよう哀願したことがそれである(五月十六日、中露首脳会談)。
 同時に、国内的には「経済の専門家」といわれ軍歴のないベロウソフをショイグに代えて国防相に据えた新内閣の陣容にも示されるように、ソ連時代を彷彿とするような軍需産業の再編・強化を中心とした「戦時経済」というべき総動員体制を構築しようと血眼となっているのが、プーチンを大統領として担いでいるFSB権力者どもにほかならない。だがそれは、「亡国の道」いがいのなにものでもありえない。
 これにたいしてウクライナの労働者・人民は、プーチンの差し向けた侵略軍の蛮行にたいする怒りをますます燃えたぎらせ、ある者は軍や領土防衛隊に加わって幾たびも最前線におもむき、またある者は兵站やボランティアに志願し、不屈にたたかいぬいている。その先進的部分は、労働組合の団結を強めつつ、欧州諸国の労働者・人民に連帯をよびかけながらたたかっているのである。

以下 見出し

大軍拡と改憲に突進する岸田反動政権

「反安保」を放棄した日共中央をのりこえ闘おう!



 
<プーチンの戦争>粉砕!

イスラエルのガザ人民ジェノサイドを許すな!


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アルゼンチン

新大統領ミレイの労組破壊に抗する労働者の闘い



二度にわたるゼネス
 アルゼンチンにおいて五月九日に、「リバタリアン」を自称するミレイの新政権に反対する二回目のゼネストがうちぬかれた。四四〇万余の組合員を擁する労組センターCGT(労働総同盟)と公務員を中心にするCTA(アルゼンチン労働センター)が、一月の十二時間ストに続けて今回は二十四時間ストを提起したのだ。
 鉱工業部門をはじめ多くの企業で生産はストップし、航空・鉄道・バス・港湾作業も止まり、病院・学校・銀行やスーパーもストに突入した。
 「通貨ペソを廃してドル経済化」だの「中央銀行廃止」だのと叫んでミレイが、正義党の前任者から大統領の座を奪い、昨年十二月に就任してまずおこなったのは、ペソの対ドル・レートの約五〇%という大幅切り下げであり、燃料費等への価格補助金の廃止であり、そして省庁数を半分にして人も予算も大幅に減らすことであった。すでに進行するインフレに苦しめられてきた勤労人民は、ただちにそれを数倍する超ハイパー・インフレのなかにたたきこまれた。食料品や家賃など生活必需品価格は、今や、三〇〇%以上(前年同月比、四月現在)に高騰している。生活に窮する貧困層は一挙に拡大し、その割合は人民の過半数を優に越え、今世紀に入って以降最悪の水準を更新しつつある。勤労人民は苦しみ、そして怒っている。
 ミレイのこの強引な「改革」を、IMFは「予想以上」の成果をあげている、と絶賛し八億ドルの支援を決定した。許しがたいことだ。また、この男は、前政権が決定した「BRICS加盟」を就任後ただちに撤回し、かわりに何度もアメリカに飛び、親米ぶりを披瀝している。

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「イスラエルとの連帯」を公言

ガザ攻撃を擁護するインド首相モディを許すな!

 まさに今このとき、パレスチナ自治区ガザ・ラファの中心部にイスラエル軍が侵攻し、人民を虐殺している。狂信的シオニスト・ネタニヤフによる世紀の蛮行・ジェノサイドを許すな!
 このイスラエル軍のガザ攻撃にインド製ドローンが投入されているということが、二月上旬にインドのメディアで報じられた。インド・モディ政権はイスラエルによるパレスチナ人民大虐殺に手を貸しているのだ!
 このモディこそは、ハマスの10・7対イスラエル決起の直後ただちに、イスラエル支持を公然と明らかにした輩だ。「この困難な時期にイスラエルと連帯する」――二〇二三年十月七日に、モディは、このようにSNSに書きこんだ。そしてハマスの決起を「テロリズム」「市民の無差別殺傷」だと非難したのだ。
 モディはハマスの攻撃をムスリムによる一般市民にたいする「テロ」だから反対だとおしだす。だが、イスラエルが報復と称してガザ人民にたいして無差別殺戮攻撃に狂奔していた十月二十七日に、国連総会に提案された「人道的即時停戦」を求める決議の採択にたいして、インド政府は、この決議案が「ハマスを非難していない」などという理由で「棄権」し、イスラエルを擁護したのだ。モディのハマス非難を許すな!
 このモディの対応は、ハマスの決起をインド国内のイスラーム勢力への排外主義的攻撃に利用するためであると同時に、強国インド≠確立する国家目標に向けてイスラエルとの政治的・軍事的・経済的協力をさらにおしすすめるためにほかならない。

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鉄鋼大手企業による「三万円賃上げ」の狙い


 金属労協(JCM)の集中回答指定日であった三月十三日に鉄鋼大手高炉メーカー三社の経営陣は、各企業労組から提出された「賃上げ三万円」の統一要求≠ノたいして、JFEスチールと神戸製鋼所が「満額」を回答し、日本製鉄は要求を上回る三万五〇〇〇円の回答をした。六十年以上にわたって統一回答≠続けてきた日鉄が、はじめて差をつけて回答した。この回答について日鉄の経営陣は、「総合力世界ナンバーワンの復権にむけ、製造業トップクラスの賃金への回復を図った。国内外の課題克服にむけ有為な人材を確保する狙いもあった」(三好・人事労政部長)などとその「狙い」をあけすけに述べている。
 高炉メーカー三社が定昇分込み三万六九〇〇円(日鉄は四万一九〇〇円)という他産業に比して高額≠ネ賃上げ回答をしたのは、彼らが「有為な人材」の獲得競争において苦境に追いこまれていたからである。日鉄・三好が「製造業トップクラスの賃金への回復」などと語っているように、鉄鋼大手経営陣はこれまで過剰生産諸設備の休・廃止に狂奔して鉄鋼労働者に犠牲を転嫁しつづけ、賃上げはこの四年間でたったの五〇〇〇円しか実施してこなかったのだ。
 しかも賃上げ回答をした翌日の三月十四日には、いちはやくJFEスチールの経営陣が「四月から全品種・全分野の鋼材価格をトン一万円値上げする」と発表している。「労務費を含むコスト増分を製品価格へと転嫁する」ことを名目として、強欲な彼らはつぎつぎと鋼材の独占価格を引き上げ、企業収益を確保・拡大するために突進しているのだ。
 鉄鋼大手の経営陣は、いま産業・企業の生き残りを策して政府からの巨額な財政援助や税制優遇支援をひきだしつつ、GX(グリーントランスフォメーション)に対応するために鉄鋼素材の製造を脱炭素化する方式(いわゆる脱炭素製鉄)にむけた事業再編をどしどしと進めている。彼らは<米―中激突>のもとで、わが国の製造業が国内回帰を進めていることや政府の大軍拡政策にともなう軍需生産の拡大などを見据えて、政府主導による日本経済の「好循環」をつくりだすために「物価値上げに負けない賃上げ」にふみだし、それを口実とした労務費の「価格転嫁」を率先しているのだ。
 そして鉄鋼の労働者に向かっては、「一流の処遇の下で一流の実力を最大限発揮してもらいたい」(日鉄・三好)と公言して、より一層の労働強化を強制していくことを宣言している。にもかかわらず、許しがたいことに鉄鋼大手企業の労組指導部は今回の賃上げ回答を「鉄鋼春闘の歴史に刻まれる回答である」と大歓迎し、脱炭素製鉄にむけた事業再編に責任感を持って邁進する≠ニ誓約しているのである。われわれは、こうした鉄鋼労働貴族どもの反労働者性をあばきだしつつ、職場生産点でのたたかいを大きく切り拓いていかなくてはならない。

以下 見出し

<一> 「優秀な人材の確保・定着」にむけた賃上げ

<二> 政府に支援された脱炭素化の事業再編

<三> 鉄鋼労働貴族の反労働者性を暴きだし闘おう


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