第2811号(2024年3月25日)の内容

<1面>
労使一体≠フ低額回答・妥結弾劾
 独占体の物価つり上げを許すな
 大幅一律賃上げをかちとれ!
<3面>
ラファ総攻撃を許すな!
◎「日本版DARPA」の創設
<4面>
私鉄春闘の一大高揚を!
<5面>
大幅な格差をつけた春闘妥結弾劾!
 トヨタ労組24春闘方針批判
<6面>
各地の「連合」春闘集会に檄
 名古屋/大阪/金沢
Topics 労基法改悪企む独占資本家
<2面>
ロシア総領事館を包囲
 3・3全道労学統一行動 札幌
闘う学生が〈反安保〉の息吹
 3・2辺野古大行動
<7面>
――能登半島大地震――
 水道インフラ復旧の遅れで続く断水
 看護師が大量離職――奥能登の公立病院
<8面>
3・11福島原発事故から13年
 頻発する高濃度汚染水での被曝事故
 「解放」最新号  















  

労使一体≠フ低額回答・妥結弾劾

 独占体の物価つり上げを許すな

 
大幅一律賃上げをかちとれ!


 春闘集中回答指定日(三月十二日〜十四日)までに製造業・小売り業などの大手企業の多くが「満額(以上)回答」をおこない、各労組の労働貴族どもは次々と妥結に走っている。これをうけて、政府・独占資本家と「連合」芳野指導部は声を揃えて、「最高水準の賃上げを実現した」「賃金も物価も経済も上昇する経済社会へのステージ転換だ」などと大宣伝している。
 だが、この各社の「賃上げ」回答なるものは、平均でもわずか三・七%、大多数の労働者には一〜二%程度の超低額のものではないか。それは、うち続く猛烈な物価高のもとでは、労働者に実質賃金の大幅切り下げを強制するものにすぎない。そもそも「満額(以上)回答」なるものじたいが、大手企業労組幹部の労働貴族が経営者と腹を合わせて賃上げ要求を自制したことの証左なのだ。
 それだけではない。労働者には徹底的な賃上げ抑制を強いつつ、これまで二年間にわたって物価をつり上げつづけ暴利をむさぼってきた独占資本家どもはいま、「デフレ脱却」「賃金と物価の好循環」の名のもとにさらなる物価の引き上げに突き進んでいる。「連合」芳野指導部はこの独占資本家と岸田政権の懐深くとりこまれ、「物やサービスは安ければ安いほど良いというものではない」と語り、値上げ受け入れを労働者に求めているほどなのだ。この先、さらなる生活必需品価格の高騰が労働者人民を襲い、今春闘の「賃上げ」などたちまちにして吹き飛んでしまうのは火を見るよりも明らかなのだ。
 すべてのたたかう労働者諸君! 岸田政権や独占ブルジョアどもとの日本経済・企業発展のための(政)労使協議≠ノ埋没し闘いを裏切る「連合」芳野指導部を弾劾せよ! <大幅一律賃上げ獲得! 賃金支払い形態の改悪反対! 物価つり上げ反対! 事業再編のための首切り・配転攻撃粉砕!>を掲げ、なおも闘いを続行している中小企業や非正規雇用の労働者を先頭に、二四春闘を戦闘的に高揚させるためにさらに奮闘しようではないか!

デフレ脱却のための春闘≠ノ歪曲する「連合」指導部を許すな!

政労使一体≠ナの物価引き上げ促進

 集中回答日の三月十三日に首相・岸田が呼びかけた「政労使の意見交換会」に馳せ参じた「連合」会長・芳野は、岸田および経団連会長・十倉らと「日本経済のステージ転換」なるものを唱和し大宣伝した。
 彼らは、製造業大手や一部小売り業大手などの賃上げ回答=妥結を「最高水準の賃上げだ」などと語り、「賃金も物価も経済も上昇する経済社会へのステージ転換だ」と、口を揃えて自画自賛した。「デフレ脱却」を確実なものとし「賃金と物価の好循環」を引き起こすものであると大々的におしだしているのである。
 この「ステージ転換」の大合唱をテコとしていま、独占資本家どもは、自社の製品・サービス価格のいっそうの引き上げに突進している。見よ! 加工食品最大手の味の素や飲食サービス大手・すかいらーくの経営者は、「満額回答」をおこなったその場において、この「賃上げ」を口実として、「今後も、値上げをしていきます」と傲然と言い放った。鉄鋼大手・JFEの経営陣は春闘回答の翌日に、「新たに発生する労務費・物流費など社会的要請によるコスト増分」などとして正当化しつつ、鋼材価格の大幅値上げを発表した。独占資本家どもは、今春闘をつうじて労働者人民の「デフレマインド」を払拭し物価値上げは良いこと≠ナあるとの社会的合意をつくりだすことができたと強弁して、自社の製品・サービスの価格を引き上げ、もって収益を大幅に増やそうとしているのだ。〔日銀は、春闘結果をうけて開催した三月十八〜十九日の金融政策決定会合において、長らく続けてきたマイナス金利政策の解除を決定した。〕
 ロシアによるウクライナ侵略を契機にエネルギーや穀物などの価格が全世界的に高騰した。強欲な独占資本家どもはこれに便乗してこの二年、食料品、光熱費などありとあらゆる生活必需品・サービスを大幅に値上げしてきた(民間の調査機関によれば、二〇二三年の消費者物価の年間上昇率は、「生鮮品を除く」食料品価格が八・〇%、「頻繁に購入する品目」のうち生鮮野菜は三〇%であるという)。この四月には、食品を中心にさらに数千品目の値上げを強行しようとしているのが資本家どもだ。
 こうした生活必需品価格の大幅引き上げ、さらにはコロナ不況を口実として多くの労働者を解雇・雇い止めしたり、人手不足を理由にいっそうの長時間労働や労働強化を強制したりすることによって、自動車・石油元売り・商社・海運・食品などの独占資本家どもは史上空前の利益を謳歌している。今や大企業の内部留保は五五五兆円にまで膨れあがっているのだ。これこそは、彼ら独占資本家の吸血鬼どもが、労働者からの搾取・収奪をいちだんと強化してきたことの結果以外のなにものでもない。
 それにもかかわらず「連合」芳野指導部は、この独占資本家どもによる物価引き上げを、「賃金も物価も経済も上昇するステージ転換」と称している。あたかもそれが、日本経済を好転≠ウせ労働者を豊かにするものであるかのように吹聴して、独占資本家どもの片棒を担いでいるのである。絶対に許すな!

大多数の労働者への低賃金強制を許すな!

二四春闘をさらに戦闘的にたたかいぬこう!

「賃上げのための価格転嫁」要求の犯罪性を暴け!

<大幅一律賃上げ獲得>めざして闘おう!

 すべてのたたかう労働者諸君!「連合は経営者と同じ方向を向いている」などと吹聴し、「日本全体の生産性向上」と「企業の生産性向上・改善」をめぐる政労使交渉および労使交渉に埋没してきた「連合」労働貴族。彼らは、いままた「継続的に賃上げができる環境を政策面と労使コミュニケーションの両面からつくっていく」などと強調し、労使協議や政労使協議に春闘を押しこめることに必死となっている。彼らは、コロナ感染拡大による収入減やそれにつづく二年にもおよぶ物価急騰に襲われてきた組合員のなかから――わが革命的・戦闘的労働者の各戦線における奮闘に支えられて――「大幅賃上げを」「一律賃上げを」の声が湧きおこりつつあることに怯えている政府・支配階級と、まさに「同じ方向」を向いているのだ。
 いま世界的な物価高騰に怒る労働者が、アメリカで、ヨーロッパで、南米で、オーストラリアで、まさに世界中で賃上げを求めてストライキに起ちあがり実力で賃上げや労働時間短縮をかちとっている。ここ日本でも昨年夏、そごう・西武労組がストライキをうちぬき、多くの労働組合がこれに絶大な共感を抱き、連帯・支援のとりくみをくりひろげた。耐えがたい貧困の拡大と既成指導部の闘いの抑圧にたいする怒りが、ストライキをうちぬきたたかうべきだ、という声へといま高まりつつあるのだ。
 芳野は、「日本の企業内労組は交渉のやり方が全然ちがう」「労使一体で経営をチェックし、企業を発展させる考え方だ」とストにたいして嫌悪感をむきだしにし、その抑圧に躍起となってきた。この芳野指導部にたいする怒りの声が、いま「連合」傘下労組の組合員のなかから湧きあがっているのだ。わが革命的・戦闘的労働者が、下から「連合」指導部の抑圧を打ち破りつつ職場深部から闘いを着実につくりだしていることに、「連合」指導部は心底恐怖しているのである。
 すべての諸君! 今こそ政労使一体≠標榜し、資本家どもによる物価引き上げを促進するキャンペーンへと春闘をねじ曲げ破壊する「連合」指導部を弾劾し、大幅一律賃上げ獲得をめざしてたたかいぬこう。
 大手企業労組の労働貴族による低額妥結を弾劾しよう。中小企業でたたかう労働者は、企業・産別や雇用形態をこえて団結を広げ強化して、二四春闘を戦闘的にたたかいつづけよう。「仕事・役割・貢献度」基準や「ジョブ型」の賃金支払い形態の導入・改悪を許すな。産業構造・事業構造転換のあらゆる犠牲転嫁に反対しよう。解雇・転籍・配転の強制反対! 非正規雇用労働者の賃上げ・労働条件の抜本的改善をかちとろう。裁量労働制の対象拡大や解雇の金銭解決制度の導入を阻止しよう。
 「生活必需品・公共料金の値上げ反対! 岸田政権による大増税・社会保障切り捨て反対!」の政治経済闘争と結びつけ、<大幅一律賃上げ獲得>めざして二四春闘を高揚させよう。
 われわれは、この春闘のただなかで、岸田政権による大軍拡・軍事費大増額、日米軍事同盟の飛躍的強化に反対する反戦反安保の闘いを創造しよう。憲法改悪反対! 今国会での改憲発議を阻止せよ! 米―中・露の核戦力強化競争反対!
 それと同時に、プーチン政権によるウクライナ侵略戦争に反対する闘いを、たたかうウクライナ人民と連帯して断固創造しよう。イスラエル・ネタニヤフ政権によるガザ人民虐殺に反対しよう。
 これらの闘いを結びつけ、岸田ネオ・ファシズム政権の打倒に突き進め!
 二四春闘の戦闘的高揚をかちとろう!
Top



  

イスラエル軍によるラファ総攻撃を許すな!

ネタニヤフ政権のガザ人民ジェノサイドを打ち砕け!

 イスラエルのネタニヤフ政権はいま、ガザ地区の北部・中部から追いたて最南端の街ラファに閉じこめた一五〇万の人民にたいして総攻撃をしかけようとしている。そしてガザ地区への食料や水の補給を断ち、パレスチナ人民に餓死を強制しようとしている。このイスラエル・シオニスト権力によるパレスチナ人民大殺戮を、われわれは絶対に許してはならない!
 ネタニヤフの命を受けたイスラエル軍は、イスラームの断食月ラマダンのまっただなかの三月十四日に、ガザ地区の二ヵ所で支援物資の配給を求めて集まった民衆を狙って攻撃し、三十人以上を殺害した(二月二十九日には、支援物資を求める一一九人の人民を虐殺した)。ガザ地区への食料や医薬品・生活物資の供給を遮断するために、イスラエル軍は、国連機関などの支援施設を破壊し、援助物資を求める人民にミサイルを撃ちこんでいるのだ。イスラエル軍はすでに三万一〇〇〇人を超えるパレスチナ人民を虐殺した(ガザ地区保健省発表)。
 シオニスト権力者どもは、「ハマスと民間人を区別することなど不可能だ」と叫びたて、まさしく抵抗の根≠断つために、女性も子供も無差別に殺戮している。モスクや病院や学校を徹底的に破壊しつくし、医師や医療従事者を次々に殺害している。そしてあらゆる食料補給ルートを封鎖し妨害し、乳幼児や子供・老人などを意図的に飢餓と栄養失調に追いこんでいるのだ。ガザ人民の五七万人(約四分の一)が餓死寸前の状態に直面させられている。これこそはまさしく、ナチスがおこなった民族絶滅のホロコーストと同断の蛮行ではないか!
 全世界に巻きおこる「ラファ攻撃反対」の声にたいしてネタニヤフは、「ラファでの軍事作戦をやめろと言うのは戦争に負けろと言うのと同じだ」と傲然とはねつけ、「あくまでもハマスの完全殲滅を完遂する」と叫びたてた。
 このネタニヤフを首班とする極右連立政権はいま、パレスチナ解放闘争の拠点でありハマスが統治するガザ地区をなきものにすることをパレスチナ絶滅≠フ第一段階の目標に据えて、ガザを廃墟にして軍事的に占領・支配する作戦を強行している。ヨルダン川西岸地域にたいしても、腐敗にまみれるPLO=ファタハのパレスチナ自治政府を無力化させ、イスラエル軍が援護する狂信的シオニスト集団による「入植地」の暴力的拡大によって、イスラエル国家の支配下に完全にくみしこうとしているのである。
 アフガニスタンとイラクから遁走したアメリカ帝国主義、その中東における力の歴史的喪失を見てとったイスラエル・シオニスト権力者どもは、「イスラエル国家の生存」を守るためにはもはやアメリカに依存することはできないと腹を固めている。シオニストどもは、故郷の土地を奪われたパレスチナ人民が抵抗の拠点としているガザとヨルダン川西岸の「自治区」を、そして彼らの民族的結束そのものを、地球上から抹殺するという戦略を明確にうちだし、それにもとづいて猛進しているのだ。
 シオニスト権力者によるパレスチナ民族絶滅≠フジェノサイドを断じて許すな! 全世界の労働者・人民は、「ラファ総攻撃阻止」の闘いに起ちあがれ!

以下見出し

大殺戮の共犯者=バイデン政権を弾劾せよ!

パレスチナ人民大殺戮反対・ウクライナ侵略反対に起て!

Top

 

  

 
「賃上げ原資」確保のための運賃値上げを求める私鉄総連指導部弾劾!

二四私鉄春闘の一大高揚をかちとろう!


 能登半島地震から約三ヵ月、いまだ仮設住宅の建設もままならず多くの被災民が避難生活を強いられている。私鉄総連・北陸地連の仲間たちも自宅の全壊・半壊の被災をこうむりながらも、鉄道・バスの復旧・運行のために日夜奮闘している。それにもかかわらず、救援・復興のための早急な手立てを講ずるのではなく、「北陸応援割」なる復興・観光キャンペーンでお茶を濁しているのが岸田政権なのだ。被災民を見捨てる岸田政権を許すな!
 岸田政権のもとでうち続く物価高騰に労働者・人民は塗炭の苦しみを味わわされている。政府・独占資本家どもが「いまがデフレ完全脱却のチャンス」と叫びたてるなかで、これに「経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換を図る正念場」だ、と唱和しているのが「連合」芳野指導部だ。そして、「労使は運命共同体」と叫ぶこの芳野に追随し、「事業者と共通認識を持つ」のだと称して、「賃上げ原資」確保のための運賃値上げを私鉄経営者に求めているのが私鉄総連指導部なのだ。
 たたかう私鉄の労働者諸君!
 今春闘を「賃上げ原資」を獲得するための「適正な運賃の実現」に歪曲する私鉄総連本部を弾劾し、大幅一律賃上げ獲得をめざしてたたかおう!
 諸物価引き上げ・公共料金値上げ反対! 大軍拡・憲法改悪反対!
 二四私鉄春闘の戦闘的爆発をかちとろう!

T 「事業構造改革」のために賃金抑制を強める経営者と屈服する総連指導部

 私鉄総連本部は二月八日、民鉄協(私鉄経営者団体)と日本バス協会にたいして春闘要求書を提出するとともに、翌九日には労使協議会を開催した。この場で民鉄協は、私鉄独占体の総意として「物価高による継続的な賃上げや人材確保の厳しさなど難しい経営環境である」とうそぶき、今春闘においても賃上げを抑制していく姿勢をしめした。同時に、「私鉄産業の回復のためには労使が協調して公共交通の重要性を訴えていくことが肝要」であるとして、「私鉄産業の回復」にむけての労使一体での取り組みを総連本部に呼びかけた。狂乱的な物価高騰のもとで私鉄労働者が生活苦にあえいでいるにもかかわらず、賃金抑制を徹底するというのだ。私鉄経営者のこの強欲さにたいして抗議の声を発するどころか、「交通政策の是正で持続可能な産業を構築していきたい」と呼応したのが総連本部である。彼らは、「産業の維持・存続」のために協力することを誓約し、「『人財』の流出を防ぐためには人への投資が極めて重要」であるとほざいて、「人への投資」としての僅かばかりの「賃上げ」を経営者に懇願したわけなのだ。
 大手私鉄の経営者どもは、「難しい経営環境」だ、と馬鹿の一つ覚えのように叫んでいる。だが、彼らの懐は昨年実施した運賃値上げによって、さらに岸田政権がコロナ感染症をインフルエンザ並みの五類に位置づけ、訪日外国人の入国規制を緩和したことによるインバウンドの拡大(昨年、約二五〇〇万人・コロナ前の八割の水準に回復)、その取り込みによって、急速に業績回復≠オ利潤を膨らませているのだ(大手十五社の経常利益は対前年比八四%増、約四二〇〇億円)。
 大手私鉄の経営者はいま、賃金抑制を徹底しつつ、次のような経営戦略の実現に狂奔している。日本社会の少子高齢化・人口減少社会への突入とコロナ・パンデミックを契機としたリモートワークの社会的定着などの「働き方の変化」を受けて(輸送人員は現在もコロナ前の九割)、アフターコロナ時代の生き残り戦略==u事業構造の改革」の実現に必死となっているのである。彼らは「固定費削減、生産性向上による事業基盤の強靭化」を叫びたて、そのための設備投資(デジタル技術諸形態の導入)に莫大な資本投下をおこなっている。とりわけ政府主導のDX化を軸にした産業構造の変革の進捗に促迫されて、「(私鉄の)DX推進」は「経営視点でもIT視点でも後れている」と危機感をあらわにしているのが大手私鉄の経営者なのだ。
 彼らは一方では「移動する」ための鉄道、バス、タクシー、レンタサイクル、キックボードなどの交通諸手段の連携による利便性の向上(MaaS)を基礎に、みずからの沿線エリアを「住む・働く・学ぶ・遊ぶ」などの諸機能の充実する「まちづくり」によって移動人口・沿線人口の創出を追求している。それとともに、他方ではグループ企業(交通・不動産・ホテル・商業など)がバラバラに管理している膨大な「顧客データ」の統合=データ基盤の一元化、その管理・運営のための「ローカル・プラットフォーマー」の立ち上げ=DX推進に必死となっている。そうしなければ「ヒト・モノ・カネ」の膨大な顧客データをアマゾンなどの既存の「プラットフォーマー」に奪い取られてしまい、データを活用した新たな需要の創出=「リアルとデジタルの融合」した「デジタル都市」づくりを運営する私鉄企業への脱皮・発展が阻害されかねない、と焦っているのだ。この情報を管理・運営する能力をもつ「優秀なデジタル人材」の獲得にいま大手私鉄経営者は血眼になっているのであり、こうした「人材」には相対的に高い賃金を約束し、その他方で大多数の労働者には低賃金を強制しようとしているのだ。
 バス経営者は、本年四月から実施される労働時間規制の改変=「二〇二四年問題」(@残業時間の上限規制一年間九六〇時間以内〔なんと休日労働は含まれていないのだ!〕とA「改善基準告示」の改定――勤務間インターバルを現行より一時間延長し九時間以上とする、拘束時間は一時間短縮し十五時間以内とする、というもの)に促迫されている。五年間の猶予期間(自動車運転業務、医師、建設業以外の業種の時間外労働の上限規制は二〇一九年に施行されている)のあいだ、バス経営者はこの問題についての対策を埓外にして、不規則かつ長時間拘束勤務でヘトヘトになっているバス運転士に長時間の残業を強制し強搾取してきたのだ。コロナ禍にあっては「経営悪化」を理由に、バス運転士の賃金・一時金、諸手当を徹底的に切り下げる攻撃をかけてきた(バス運転士の平均年収は三九九万円、他産業より約一〇〇万円も低い)。その結果、離職するバス労働者が多発し、いまやどの職場においても「運転士不足」が慢性化している(日本バス協会によれば二〇三〇年度には三万六〇〇〇人もの運転士不足になるという)。
 バス経営者は、「運転士不足」の深刻さがマスコミ報道で社会的に浸透しているいまが「経営効率化」のチャンスとみて、路線バスの減便・不採算路線の廃止をドシドシ強行している。現に働いているバス労働者にたいしては「残業時間の平準化」を叫びたて、上限規制ギリギリまで働け≠ニ労働強化を強制しているのが強欲なバス経営者なのだ。
 過労死寸前まで時間外労働を強制され「もう疲れてクタクタだ、死にそうだ!」と悲鳴をあげているのがバス労働者の過酷な現実にほかならない。低賃金・劣悪な就業形態をそのままにしたうえで、「バス運転士」応募者を募るための「初任給大幅アップ」の小手先細工で「運転士不足」をのりきろうと画策しているのが経営者なのだ。いまバス労働現場から物価高騰で苦しんでいるのは皆同じだ。賃金を一律に、大幅にアップしろ≠ニいう組合員の怒りの声が広範にまきおこっている。
 このようななかでたたかう私鉄労働者は、「連合」指導部に唱和し「経済社会のステージ転換」を叫ぶ総連指導部を弾劾し、今春闘の一大高揚を実現するために奮闘している。各地連本部主催の春闘討論集会や単組機関会議や春闘決起集会の場で、「この賃上げ要求では物価上昇においつかない」「『人への投資』ではなく賃金はたたかってとるものだ」「ストライキでたたかおう」と、超低額の賃上げ要求を掲げた総連指導部をつきあげ、多くの組合員とともに今春闘を戦闘的に塗りかえるために奮闘しているのである。

以下見出し

U 貧窮に喘ぐ労働者の現実を無視した超低額要求

V 総連本部の闘争抑圧に抗し大幅一律賃上げを獲得しよう

Top



    

「挑戦の余力づくり」のための協議に終始したトヨタ労使

大幅な格差をつけた春闘妥結弾劾!


 トヨタ労働組合は三月十三日、第四回の労使協議会において二〇二四春闘の賃上げと年間一時金の要求にたいして経営陣が「満額回答」したことをうけて最終的に妥結した。経営陣の満額回答は四年連続ではあるが昨年は第一回の労使協議の冒頭に満額回答したこととは異なり、第四回の最終回答まで「労使協議」が続行され、そのうえで回答されたのである。
 回答内容は「満額」とはいわれるものの、例年通り職種・職能資格ごとに組合の側から大幅な格差をつけた要求にたいしてそのまま経営陣が回答したものである。全組合員平均の要求額は今年も非公表であり、職種・職能資格ごとの賃上げ額は月額で最大二万八四四〇円、最小は七九四〇円と三倍にもおよぶ格差がつけられている。しかも、それはあくまでもそれぞれの職種・職能資格における標準額であり、各組合員の賃上げ額は査定によってAランクからEランクまでランクづけされてさらに大幅な格差がつけられているのである。比較的高い賃上げを提示された高度スキル人材≠ェ「選ばれる企業」として他企業から引き抜かれることがないようにするためである。そして多くの組合員は、数千円〜ゼロの低額妥結を強いられたのである。
 年間一時金は過去最高水準の七・六ヵ月分といわれてはいるが月例賃金が組合員間で格差がつけられているので、それに応じて一時金も同一職種・同一職能資格の組合員間で大幅に格差がつけられているのだ。
 賃上げの経営側の回答が第四回の労使協議の最終回まで引きのばされたのであるが、労使協議において「賃上げ」をめぐってはまったく協議されていない。労・使双方ともに「満額回答」することは暗黙のうちに前提にされ、「協議」の内実は「挑戦の余力づくり、足場がため」(社長・佐藤恒治)の協議に終始したのである。これが、今年の労使協議の最大の特徴にほかならない。
 トヨタ本体が史上最高の利益をあげた裏で直系子会社のダイハツ、トヨタの開業の祖たる豊田織機、日野自動車の認証不正、そしてデンソーやアイシン製の欠陥部品によるリコールが続発し、さらには系列の販売店の車検不正が頻発した。この原因は前社長・豊田章男の下で進められた「トヨタ生産方式」という名のもとで「能率・生産性の向上」が強制されたことにある。「開発日程が優先され安全リスクに関して不安の声」が労働現場に蔓延したにもかかわらず、労使協議会を「全員参加の『経営会議』〔豊田章男〕、『家族の会議』」へと変質させ、労使一体化して無視してきたのだ。その結果、不正認証・欠陥部品の大量発生の続発に見舞われた。経営陣の責任も、同調した労組指導部の責任も棚上げし、認証不正をひきおこしたダイハツの労働者組合員には見せしめのために「賃上げ」要求を放棄させただけで「総決算の場」だとか「踊り場」をつくろうなどの相も変わらない「労使」のおしゃべりに終始したのである。

グループ企業の認証不正続発下でのトヨタ春闘


トヨタ労組二四春闘方針批判


 ダイハツ工業、豊田自動織機などトヨタグループ各社によって引きおこされた認証試験の不正行為の数々によって、トヨタ車の品質、安全性への信頼が揺らいでいる。それでもトヨタ自動車は、二〇二四年三月期決算において、日本企業として過去最高となる四兆五〇〇〇億円の純利益を計上することを公表した。円安や車両価格の値上げによる増益とともに、前年の半導体不足による減産によって積み増した受注残を解消するために増産につぐ増産によって労働者から搾りとったのだ。ここで搾りとった莫大な利益を研究開発や設備投資、新車投入に振り向けようとしているのがトヨタ独占資本である。
 だが、このような空前の好業績の背後では、トヨタ本体においてもグループ各社で不正が続発する要因となった、限られた開発期間でのあいつぐ新車投入によって、開発・製造現場への苛酷な負担が強いられている。まさにグループ各社と同様の事態を引きおこしかねない危機的な状況の真っ只中で「トヨタ春闘」がとりくまれている。
 トヨタ労組執行部は、二月九日開催された評議会において、「二四春の取り組み」方針を提案した。その特徴の第一は、「グループ各社での不正事案など自動車産業・トヨタの基盤を揺るがす課題が顕在化し」ていることに危機感を募らせ、これをトヨタが直面する最大の課題にあげていること。また「人手確保に向けた産業としての魅力向上」などの課題にたいし「自動車産業・トヨタの変革に向けた基盤を強固なものとする」ために「何をすべきかを労使で話し合う」ことを掲げていることである。
 第二は、賃上げ要求については、過去三年と同様の職種、職能資格ごとに十七のパターンに分け、それぞれの「職種、職能資格ごとの標準要求額」を掲げている。その際、以前は公表されていた「組合員一人平均の要求額」や組合員が賃金水準を知る基準となる「基準内賃金、勤続年数、扶養家族」などのデータはいっさい組合員には知らされていない。また一時金については、過去最高の七・六ヵ月要求を掲げている。

執行部方針への反対・保留票の噴出

続発する認証不正問題の労働者への犠牲転嫁

新車開発によって逼迫する開発・製造現場

「高度人財」確保に向けた賃上げ要求


 トヨタ労組執行部は、賃金については昨年と同様の「職種、職能資格」ごとの十七パターンを設定し、それぞれの項目に「標準的な考課を前提とした」要求額を掲げている。その最大の特徴は、「事技職」(事務総合職および研究技術職)の若手組合員(二十〜三十代の指導職、担当事技職が該当)の要求額が突出して高く設定されていることである。事技職の指導職資格では二万八四四〇円(昨年は九三七〇円)、他方、業務職(一般職)三級の資格では、八一四〇円であり、同じ組合員でありながら、三倍以上の格差をつけて要求している。
 しかも、それぞれの職能資格の額を基準にして、経営者による職能考課によって組合員はAからEの五段階に評価され、優秀とみなされた一部の組合員には大幅な賃金引き上げがおこなわれる一方で、最低評価の組合員(Eランク)は賃上げゼロになるなど、大多数の組合員はこれまでより低い水準の賃上げを強いられることになるのだ。
 こうした賃金要求をトヨタ労組の労働貴族どもは、「人財定着の観点で事技職の(若手)指導職、担当事技職は競合他社にたいして優位性を持つ必要がある」などと経営陣と見まごう言辞で基礎づけている。「労働市場の変化も念頭に」と彼ら労働貴族が言うように、自動車産業ばかりでなく電機、情報通信をはじめ、あらゆる産業におけるITなどの高度先端技術をもつ労働者の熾烈な獲得競争が激化している。まさにトヨタの生き残りのために、トヨタ経営陣と「共通の基盤」に立って、新規採用した技術労働者を引き留め、またITスキルを身につけた若手のソフトウェア人材の中途採用や自社で高度人材の育成をすすめていくうえで、若手の技術労働者を対象にした労働条件の引き上げは不可避であり、そのための賃上げ要求なのだ。
 労組の側から、組合員の賃金格差を容認する反労働者的な賃金要求をおこなうことによって、組合員が統一した賃上げ要求のもとに労働組合のもとに団結し、賃上げをかちとる春闘方式は最後的に消滅した。組合員はみずからの賃金引き上げをかちとるために、相互に競って自身の職能考課を上げるしかない。こうした賃金要求は賃上げをかちとるための組合員の団結を破壊する以外のなにものでもないのだ。
 トヨタ労組が一九春闘以降、ベア要求を含むか否かを公表しない「総額要求方式」に転換し、「春闘相場のリード役」から撤退した。さらに二二春闘からは、労使の事前の腹合わせにもとづいて労組の「賃上げ要求」に、初回の「労使協議」において経営陣が満額回答で応えた。賃金交渉をいっさいおこなうことなく決着させることで春闘を破壊してきたのがトヨタ労働貴族どもである。
 二四春闘では、各産別・労組がそれぞれの企業・産業の利害を代弁した要求を掲げている。それは、春闘相場のリード役を先頭に労働者の賃金引き上げを要求して「企業別組合の産別勢揃い」という方式でとりくまれてきた日本型賃金闘争としての春闘方式が、大企業労組の労働貴族が牛耳る「連合」指導部によって、完全に放棄し破壊されてきたからにほかならない。春闘破壊を先導したトヨタ労働貴族どもを弾劾せよ!

「共通の基盤」にたった新経営陣への献身
Top

 

  

 ――能登半島大地震――

水道インフラ復旧の遅れで今なお続く断水

上下水道一体の民営化==uウォーターPPP」を許すな

 能登半島地震から一ヵ月半、犠牲者はわかっているだけでも石川県内で死亡者二四一人、安否不明者九人であり、いまも約一万三〇〇〇人の被災した人びとが避難生活を強いられている(二月十六日時点)。「震災関連死」が十五人もうみだされるほどに劣悪な環境のもとに放置されたままなのだ。この被災人民が被っている災害は、たんに自然災害≠ニしてすますわけにはいかない。軍事演習を優先して自衛隊の大型ヘリコプターの投入を遅らせるなど、岸田政権の無為無策≠フゆえの、まさに被災人民を見殺しにした人災≠ノほかならない。ふざけるな!
 いまだ断水≠ヘ石川県内(能登地方)で二万七〇〇〇戸で続いており、珠洲市ではほぼ全域である。連日報道されている上下水道インフラの破損と復旧作業の遅れ≠ヘ、岸田政権による無為無策≠あますところなく示している。しかもそれは、歴代自民党政権による平成の市町村大合併≠竅u行財政改革」「公共サービスの産業化」の名による上下水道事業における業務委託拡大などの反労働者的な諸施策がうみだしたものにほかならない。これらの施策によって、上下水道職場では人員が大幅に削減され(ピーク時から四割減)、残された水道労働者は極限的な労働強化を強制されるとともに、技術継承は途絶え現場力の喪失≠ニいう深刻な事態をも招いているのだ。
 許せないことに岸田政権はいま、この震災と断水の長期継続を利用して、上下水道事業の危機≠謳い「ウォーターPPP」(公共施設等運営事業:「民間資金等活用事業」)なる現場(運営)部門を民間企業に委ねる方策を導入して、現在の水道労働者を切り捨てようとしているのだ。盗人猛々しいとはこのことではないか。
 歴代自民党政権およびこれを引き継ぐ岸田政権・自治体当局が遂行してきた人員削減や業務委託によって、水道管や諸施設の老朽化、人手不足=現場力の喪失、という危機≠ェ、身動きができないほどに深刻化している。たとえばこれまでのペースで老朽管の交換をやっていては、すべてを終了するのに一四〇年はかかるといわれている。彼らはこの危機≠のりきるためであるかにおしだして、民間企業の参入を促し、彼らに利殖の場を提供しようというのだ。それによって、これまでの経験を蓄積してきた現場の水道労働者を放逐(クビ切り)しようとしている。だがそれは、今回のような災害時の全国的な応援体制をも破壊するものにほかならない。自治体労働者は「ウォーターPPP」の導入を阻止し、反人民性をむきだしにしている岸田政権を打ち倒すのでなければならない。

以下見出し

なぜここまで上下水道インフラの復旧作業が遅延するのか

七尾市の一ヵ月半後の現実

老朽管の更新の遅れが被害を拡大

全国的な災害時の水道応援体制の弱体化

上下水道は一体で復旧するもの

現場業務を直営≠ナ守ることの意義


岸田政権による「創造的復興」の名の被災人民切り捨てを許すな!

上下水道の民営化阻止! 災害時の応援体制破壊を許すな
Top

 

   

3・11東電福島原発事故十三年

頻発する高濃度汚染水漏洩・飛散―被曝事故

岸田政権・東電による汚染水のさらなる海洋放出を阻止せよ

 年初の能登半島地震にさいして、福島の被災人民は、厳冬の能登半島において労働者・人民が大地震と津波に襲われ生死の境に叩きこまれている姿を前にして十三年前のあの日≠ェ現前化した。放射能禍にさらされた自分たちにたいしてそうであったように、能登半島の被災人民を見殺しにする岸田自民党政権に怒りを燃やしている。われわれは、第二の<3・11フクシマ>を絶対に許すわけにはいかない!
 政府と東京電力経営陣が、漁業者をはじめとする被災人民や圧倒的な労働者・人民の反対の声を押しつぶして福島第一原発に溜まる汚染水の海洋放出を強引に開始して半年。「漁に出るのがつらい」――漁業者は、みずからの労働にたいする自信と誇りを踏みにじり苦境に立たせた張本人たちが、したり顔で「魚を食べて応援!」などと叫ぶことに憤激し、みずからが手にする魚が放射能汚染されていないことを願いながら出漁しているのだ。にもかかわらずさらなる汚染水の海洋放出の強行を策す政府と東電を、絶対に許すな!

ALPSで放射性廃液が飛散、労働者が被曝
――二〇二三年十月

 漁業者だけではない。岸田政権と東電経営陣は、汚染水を海洋放出するために、福島第一原発で働く労働者にたいしても耐え難い犠牲を強制している。
 昨年十月二十五日に、汚染水を処理する多核種除去設備(ALPS)の中で配管の洗浄作業をしていた五名の労働者が、飛散した高濃度の放射性廃液によって被ばくし、そのうち直接廃液を浴びた二名が福島県立医科大学に搬送される、という重大事故が発生した。
 廃液のβ線を出す放射性物質の濃度は、なんと四三億七六〇〇万ベクレル/g。この設備で処理する前の高濃度汚染水(つまり建屋に溜まる汚染水からセシウムをわずかばかり除去した汚染水)ですら一〇〇万ベクレル/g前後。その四〇〇〇倍以上というとてつもない濃度である。これとて、東電は猛毒のプルトニウムやウランが発するα線の測定値はごまかして公表せず加えていない値であることからして、じっさいの廃液はもっと高濃度であったにちがいない。
 最大に被ばくした労働者は、この高濃度廃液を数gかぶってしまった(東電はこの事故の重大性をおし隠すために、当初「一〇〇_g程度」と公表)。廃液は、二枚重ねで着ていたタイベックスーツや作業服を通って身体にしみこんだ。放射線測定器は振り切れ、身体の線量は放射線管理区域から外に出る場合の退域基準をはるかに超えた。体毛を剃るなどあらゆる除染を九時間にわたって試みたが線量は下がらず、病院へ緊急入院せざるをえなかったのだ(註1)。三日後には二人は退院させられ、その後の体調について東電は明らかにしていない。
 彼らが従事していた配管洗浄作業は、ALPSを稼働するうえで欠かせない作業である。ALPSは汚染水の中のトリチウム以外の放射性物質六十二核種を吸着材に吸着させて除去することを目的とする設備だが、配管に付着する炭酸塩の泥を洗浄除去しないとストロンチウム90の濃度が高い「処理水」が生みだされてしまうのだからだ(註2)。
 この配管に付着した炭酸塩の泥を溶かして洗浄するために硝酸が用いられる。事故が起きたのは、この硝酸を用いての作業中のことだ。硝酸と炭酸塩の化学反応によってガスが激しく発生し、洗浄廃液を配管から排出するために設置したホースから噴出した。ホースは暴れて受入タンクから飛び出し、廃液が飛散したのである。この高濃度の、しかも硝酸が混じった汚染水を彼らはかぶってしまったのである。
 東電は、当初、労働者は「一次下請けの五人」と発表。彼らが着るべきカッパを着ていなかった問題として、事故の原因を労働者に押しつけた。しかし、じつは、「三次下請かつ三社」の労働者であり、統括すべき班長もいない作業チームであることが明るみにでた。しかも先の最大被ばく労働者は、二十代で福島第一原発での作業経験はわずか四ヵ月。このチームの中で監視補助係だったのだが、このとき急きょ交代させられ、洗浄廃液に接近しての受入タンクの監視作業に就かされたのだ。この作業に使われているホースやタンクは仮設のものであり、暴れたホースはといえば付近の金属柱に紐でところどころ縛りつけただけの杜撰(ずさん)なもの。じつに東電は、このようなにわか仕立ての連携をとりようもない作業チームに、劣悪な労働手段を与えて、高濃度の汚染水と法的にも劇物に指定されている硝酸を使っての極めて危険な作業を担わせているのだ。「そもそも廃液の濃度は人が扱えるレベルだったのか」と、福島県廃炉安全監視協議会のメンバーですら苦言を呈するほどである。事故が起きるのは必然ではないか!
 そもそも、ALPS設備は「各機器から一bの距離において一_シーベルト/h以下となるよう設計」されており、このような高線量の機器が林立する設備内は、東電じしんが認めるように「β線線量率の高い作業環境」(二〇一三年三月東電発表「ALPSの概要等」より)・すなわち人が働くにはあまりに危険な場所なのである。だからこそ、ALPSの運転・監視操作は、この設備から九〇〇b離れた制御室において遠隔操作でおこなっている。しかし東電は、配管洗浄作業のような設備内での作業は、低賃金の下請けの労働者におこなわせ、そして彼らを被ばくさせては使い捨てているのだ。
 このような、労働者の犠牲ぬきには決して実現できないのが、汚染水の海洋放出なのである。これを何十年もつづけることは断じて許されない!

以下見出し

排気口から五・五dも漏洩
――二〇二四年二月


事故の責任を労働者におしつける東電を許すな
Top





  

「<プーチンの戦争>粉砕!」

札幌ロシア総領事館を包囲

3・3 全道労学統一行動
 三月三日、全学連北海道地方共闘会議のたたかう学生と全道から結集した反戦青年委員会のたたかう労働者は、在札幌ロシア総領事館にたいするデモンストレーションに決起した。全世界・全国でウクライナ反戦闘争に決起している労働者・人民と連帯して、「<プーチンの戦争>粉砕!」の火柱を北海道の地からぶちあげたのだ。同時に、たたかう労働者・学生は、イスラエル軍によるラファ総攻撃を許さない声を断固として轟かせたのだ。
白ヘル部隊が戦闘的デモ
 午後四時、白い雪に覆われた山鼻公園(札幌市中央区)で隊列を整えた労学の部隊が、たたかう学生の合図でデモ行進を開始する。白ヘル・ゼッケン姿のデモ隊は、シュプレヒコールをあげながら石山通りを南進する。「ウクライナ侵略粉砕!」「プーチンの世紀の犯罪を許さないぞ!」隊列の先頭には「<プーチンの戦争>粉砕! イスラエル軍のラファ総攻撃を許すな!」と大書した横断幕がひるがえる。「侵略粉砕!プーチン打倒!」デモ隊は力強く行進する。対向車線の車から男性が拳をつきだし、「オー!」と連帯の声をあげる。
 いよいよデモ隊の左手に在札幌ロシア総領事館が見えてきた。たたかう学生が凛とした声でよびかける。「侵略を強行しつづけるプーチン政権を満腔の怒りをこめて弾劾しよう!」「ヨシ!」労学は拳に怒りをこめ、屋上のロシア国旗がはためく領事館にたいしてシュプレヒコールを嵐のように叩きつける。「<プーチンの戦争>粉砕!」「ロシア人民は弾圧に抗して起ちあがろう!」「FSB強権型支配体制をうちやぶろう!」
 こうして全道の労学はこの日のデモを最後まで戦闘的にたたかいぬいたのだ。
屋上に三色旗がはためく在札幌ロシア総領事館に「プーチン打倒」の怒りを叩きつける労・学
(3月3日、札幌)
  全世界の闘いと連帯して「侵略粉砕!」の声を轟かす全道の労・学
(3月3日、札幌) 
Top
  

3・10

「陸自勝連分屯地へのミサイル部隊配備を許すな」

沖縄県学連 車両搬入阻止に決起


沖縄県学連の学生たちは、怒りに燃えて起ちあがった労働者・市民と連帯しその最先頭で、自衛隊車両が陸揚げされた中城湾港で、そして陸上自衛隊勝連分屯地入口で、列をなす自衛隊車両の前に座りこみ実力阻止闘争を貫徹した
Top
  
南西諸島の軍事要塞化阻止!

闘う学生が<反安保>の息吹

3・2「辺野古大行動」
 三月二日、琉球大と沖縄国際大のたたかう学生たちは、名護市辺野古のキャンプシュワブ・ゲート前でおこなわれた「県民大行動」(主催・オール沖縄会議)に起ちあがった。
 いま沖縄では、辺野古・大浦湾の埋め立て工事強行や陸自ミサイル部隊の勝連分屯地への配備策動など南西諸島を軍事要塞化するための諸攻撃をふりおろす岸田政権にたいする労働者・人民の怒りが爆発している。日米共同演習「アイアン・フィスト24」(二月二十五日に開始)と連動するかたちで強行されようとしている米海軍イージス・ミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」の石垣港寄港にたいして、全港湾沖縄地本がストライキ闘争をかまえている。また、うるま市石川への陸自訓練場の建設計画をうちだした岸田政権・防衛省にたいして、地元住民をはじめ全県の労働者・人民が怒りの声をあげている。こうしたなかで、「辺野古大行動」には一〇〇〇名を超える労働者・市民が結集した。琉大・沖国大のたたかう学生たちは、怒れる人民の先頭で集会の戦闘的高揚のために奮闘したのだ。
闘う学生が労働者と共に「辺野古大行動」で奮闘
(3月2日)
Top