第2790号(2023年10月16日)の内容
<1〜4面>
熱核戦争勃発の危機を突き破れ
岸田政権による大軍拡・改憲・安保強化の総攻撃を打ち砕け
中央学生組織委員会
Topics ヤマト運輸の大量首切りを許すな
<5面>
印刷産業防衛のための労働運動≠のりこえ闘おう!
全印総連2023年度運動方針批判
<6面>
第61回国際反戦集会 海外からのメッセージ E
FLTI―第4インターナショナル再創造集団(下)
◎アラル海消滅の危機はなぜ…
《週間日誌》10月1日〜10月7日
「解放」最新号
熱核戦争勃発の危機を突き破れ 岸田政権による大軍拡・改憲・安保強化の総攻撃を打ち砕け ウクライナ反戦闘争の高揚を! 「反安保」を完全放棄した日共系反対運動をのりこえ闘おう! 中央学生組織委員会 中央学生組織委員会は、すべての全学連のたたかう学生に、全国のたたかう労働者のみなさんに訴える! 岸田政権はいま、辺野古・大浦湾の埋め立て=米海兵隊新基地建設、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の日本国軍への前倒し配備をはじめとする反動攻撃を、強権をふりかざして矢継ぎ早にふりおろしている。 没落軍国主義帝国アメリカのバイデン政権につき従って、対中国の先制攻撃体制の構築とそのための日本列島の軍事要塞化に猛然と突き進んでいるのが岸田政権にほかならない。 今こそ、「反安保」を放棄した日共系反対運動をのりこえ、辺野古新基地建設・大軍拡の総攻撃を打ち砕く反戦反安保の闘いの全国的うねりを巻きおこせ! 台湾をめぐるアメリカ・日本・韓国と中国・ロシアの軍事的応酬反対! 朝鮮半島における米・韓・日とロシア・中国に支えられた北朝鮮との相互対抗的軍事行動に反対せよ! 東アジアにおける熱核戦争=第三次世界大戦勃発の危機を突き破れ! 米下院において「ウクライナへの軍事支援予算」が削りおとされた「つなぎ予算案」が可決されたことに示されるように、アメリカからウクライナへの軍事支援打ち切りの傾動はますます強まりつつある。これにほくそ笑むプーチンは「米欧の支援が止まればウクライナは一週間しかもたない」などとほざきながら、ウクライナ諸都市への無差別攻撃=人民大虐殺に狂奔している。 今こそわれわれは、怒りに燃えて、<プーチンの戦争>を打ち砕くウクライナ反戦闘争の炎を燃えあがらせるのでなければならない。この闘いを全世界に波及させるために奮闘せよ! このときに、日本共産党の志位指導部は、「安保・自衛隊」問題や「ウクライナ侵略」問題をめぐる党内対立のゆえに、いっさいの反戦の運動から召還しているありさまだ。「連合」の芳野指導部は改憲・大軍拡の推進を下支えする今日版「産業報国会」たるの姿をむきだしにしている。 この既成指導部の腐敗を弾劾し、岸田政権によるネオ・ファシズム的な攻撃を打ち砕く闘いに総決起せよ! 岸田日本型ネオ・ファシズム政権の打倒めざして前進せよ! すべてのたたかう学生・労働者は、全国各地における10・15―22労学統一行動の戦闘的爆発をかちとれ! T 熱核戦争の危機高まる現代世界 A 東アジアにおいて熾烈化する米―中・露の角逐
十月四日、米国防長官オースティンは、訪米した日本の防衛相・木原とのあいだで、米国製巡航ミサイル「トマホーク」二〇〇発の日本へのひきわたしを一年前倒しして二〇二五年度から実施することを合意した。米日両権力者は、中国による「台湾侵攻」を阻止し・打ち破る軍事態勢の構築を、「日本の役割」を拡大するかたちで急ピッチでおしすすめているのだ。 こんにちバイデン政権は、保守強硬派グループ「フリーダム・コーカス」を抱えこんだ共和党と民主党との抗争の末に「ウクライナ軍事支援予算」の打ち切り≠ノ追いこまれている。前大統領トランプを支持する保守強硬派が演出した「つなぎ予算」をめぐる乱闘≠ノ示された、アメリカ帝国主義のいっそうの荒廃ぶり。それを眼前にして、このままではアメリカの「対中抑止力」も低下するのではないか≠ニ危惧しながら、バイデン政権にたいしてトマホークの前倒しの提供を求め、さらに自前の長射程ミサイルの開発も前倒しすることを提案したのが岸田政権であった。この日本側からの申し出を「歓迎」し・これを利用して、日本がたち遅れている「情報保全」「サイバーセキュリティ」分野の抜本的改善を「同盟の根幹」の名のもとにねじこんだのがバイデン政権にほかならない。 まさに今回の日米防衛相会談は、アメリカ権力者に安保の鎖で縛られた「属国」日本の岸田政権が、没落著しい軍国主義帝国アメリカのバイデン政権にたいして、「台湾有事」とあらば日本こそがアメリカの先制攻撃体制の一翼を担い先陣を切る構えを示し・そのための資金も献上する(ミサイルの爆買い)というように、いわば「子分」が「親分」を支えるというこんにちの日米軍事同盟の姿を象徴するものとなったのだ。 こうして米日両権力者は、「日米同盟の抑止力・対処力」の名のもとに対中国の準臨戦態勢を一挙に強化している。とりわけ台湾にほど近いばかりでなく、中国軍が西太平洋に進出するさいに必ず通過することになる南西諸島――これを対中国の軍事要塞としてうちかためることを眼目とした軍事行動に拍車をかけているのだ。「EABO(遠征前進基地作戦)」という名の軍事作戦構想にもとづく日米合同演習「レゾリュート・ドラゴン」(十月十四〜三十一日)を、米日両権力者は今年初めて主戦場≠ニみたてた南西諸島を主舞台として強行しようとしている(過去二回は東日本で実施)。この演習計画においては、台湾の目と鼻の先に位置する与那国島・石垣島に米日統合軍を展開させる作戦が組みこまれているのだ。 この「レゾリュート・ドラゴン」とほぼ同時的に、バイデン政権は、フィリピンのルソン島近海において、「対潜水艦戦」をはじめとする米比両海軍の合同軍事演習を強行している(十月二〜十三日、日本・イギリス・カナダの海軍も参加)。台湾島を東(日本の南西諸島)と南(ルソン島)から挟みこむかたちで中国軍を撃破する軍事態勢を構築するために、バイデン政権は、スカボロー礁の領有権をめぐりその実効支配をたくらむ習近平政権とこの中国に猛反発するフィリピンのマルコス政権との対立につけいって、マルコス政権との軍事的協力関係を強化する策動を一挙におしすすめているのだ。 同盟諸国を総動員して対中国の軍事的包囲網の形成を急ぐバイデン政権。これにたいして、中国の習近平政権は、みずからの手で「祖国統一」「台湾併呑」をなしとげるという「中華民族の復興」に向けた野望を燃やしながら対抗している。 空母打撃部隊を動員して台湾島を包囲する「奇襲攻撃訓練」という名の軍事行動をはじめとして、米第七艦隊およびアメリカ同盟国軍による軍事介入を打ち砕き台湾を一挙に制圧するという軍事作戦計画にもとづく「台湾侵攻」の予行演習をくりかえしているのが中国権力者なのだ。中距離ミサイルや極超音速兵器の開発・配備などの核戦力の強化に狂奔しながら。 こうした軍事行動をくりかえすことによってネオ・スターリニスト習近平の政権は、台湾の労働者・人民にたいしては、来る総統選で民進党政権の継続を選択するならば台湾は戦火に覆われるぞ≠ニいう露骨な恫喝をかけているのである。 それだけではない。習近平政権は、戦略核ミサイルを搭載したロシア軍の原潜を投入した中露合同演習を実施するなど、プーチン政権との軍事的結託を強めている。さらに政治的には、このロシアと組んで、反米のシーア派国家イランを――「戦略的自律」を掲げるインド・モディの反対にもかかわらず――「BRICS」に加えるというように、反米の国際的包囲網の形成にも躍起となっているのだ。 対外的な強硬策をとる習近平政権は、だがしかしその足元では、深まりゆく経済危機に見舞われている。不動産市場の長期低迷と地方政府の財政危機の深刻化、さらには米政府の半導体規制という「見えない弾道ミサイル」のダメージの深まり……。 中国経済の破局に向かっての危機の深刻化があらわとなりつつあるなかで、「一帯一路」と称する中国主導の経済圏を構築せんとする習近平政権による対外投資の規模もしぼんでいる。この中国は、「債務の罠」に苦しむ途上諸国からの反発に直面して、「シルクロード」寸断の危機に逢着しているのだ。 いまや中国の若者の失業率は公式発表でも二〇%をはるかに超えている(実際は四〇%ともいわれている。どんどん増加するので発表を停止した)。これほどに、労働者・人民を貧窮のどん底に叩きこみながら、莫大な国家資金を核戦力の強化や半導体の国産化などの国策に集中的にふりむけているのが習近平政権なのだ。外に向けては「中華民族の復興」をなしとげるという反米ナショナリズムを鼓吹しつつ、「台湾併呑」に向けた軍事的強硬策に、そして南シナ海の南沙・西沙諸島を軍事要塞化する策動にいっそう拍車をかけているのである。 まさにいま、「台湾の中国化」をめぐる米・中の軍事的角逐はいっそう緊迫の度を強めている。これと時を同じくして軍事的緊張が一挙に激化しているのが、朝鮮半島情勢にほかならない。 九月十三日に極東ロシアのボストーチヌイ宇宙基地でおこなわれた露朝首脳会談において、ロシア大統領プーチンと北朝鮮の総書記・金正恩は、「戦略的および戦術的な軍事協力の推進」をうたいあげた。プーチンは正恩に軍事偵察衛星や原子力潜水艦の開発にかんする技術支援を約束し、正恩は北朝鮮の砲弾・弾薬などのさらなる提供および北朝鮮人民の労働力としての提供というプーチンの要求に応じたのであった。 この露朝首脳会談は、ウクライナ軍事侵略によって「亡国化」がすすむプーチンのロシアが、自国人民を飢餓におとしいれている破産国*k朝鮮からの軍事援助にすがらざるをえないほどに断崖絶壁にたたされていることを全世界にさらけだしたのである。 ロシアとの軍事協力の合意によって金正恩政権は、米本土を攻撃しうる大陸間弾道ミサイルの獲得に、さらには韓・日に照準を合わせた戦術核兵器の獲得に、独自開発の期間を飛びこえて一挙に近づいた。このゆえに金正恩は、憲法に「責任ある核保有国」と新たに明記し、「(北朝鮮の核戦力は)誰も手出しできないように、国家の基本法として永久化された」などと宣言したのである。 この金正恩政権にたいして、十年ぶりとなるソウルでの軍事パレードの挙行(九月二十六日)をもってこたえたのが、韓国大統領・尹錫悦であった。このパレードにおいては、在韓米軍部隊とともに行進する韓国軍部隊が、「三軸体系」(先制攻撃・ミサイル防衛・報復攻撃)と称する先制攻撃体制の要をなす長距離ミサイルを初公開するという演出がこらされた。「北朝鮮が核を使用したなら、圧倒的な対応で政権を終息させる」(軍事パレードを閲兵した尹錫悦の演説)と叫びながら、アメリカ帝国主義のバイデン政権とともに対北の臨戦態勢を一挙に強化しているのが尹政権なのだ。 対北軍事的強硬策を鮮明にしているこの尹政権、および日本の岸田政権とのあいだで、バイデン政権は「核協議グループ」なるものの運用を開始し、対北朝鮮の核戦争遂行計画のねりあげを急ピッチでおしすすめている。 こうしていま東アジアにおいて、台湾および朝鮮半島を焦点として、三角核軍事同盟の構築・強化に走る米・日・韓と、「アジア版NATO反対」でそろい踏みしている中・露・北朝鮮の権力者どもが軍事的角逐を熾烈にくりひろげている。この軍事的角逐は、軍事利用可能な最先端技術開発のための半導体や稀少鉱物の輸出規制・囲いこみ競争や、「グローバル・サウス」諸国のからめとり合いといった政治的・経済的角逐とも結びついて、いよいよ激化しているのだ。このゆえに熱核戦争=アジア発の第三次世界大戦勃発の危機が高まっているのである。 B ウクライナの反転攻勢とプーチンの断末魔 U 対中国先制攻撃体制の構築に突進する岸田政権 V 腐敗した既成反対運動と全学連の革命的闘い W <米―中・露激突>下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ! A 総選挙に向けた政策宣伝に埋没する日共中央を弾劾せよ! 東アジアで高まる熱核戦争勃発の危機と、そのただなかでの岸田政権による大軍拡・改憲への突進というきわめて緊迫した内外情勢のただなかで、日本共産党・志位指導部は、大軍拡・改憲に反対する運動も、反戦の闘いもなんら大衆的につくりだそうとせず、逃亡しつづけている。 ウクライナ侵略問題にかんして日共官僚どもは、わが革命的左翼から集中砲火を浴びた2・24「委員長談話」いらい「ウクライナ侵略反対」を唱えることすらできなくなった。委員長・志位は消耗感もあらわに言う――「ロシアによるウクライナ侵略を契機とした大逆流」によって「わが党の訴えへの冷たい反応が一挙に広がりました」と(六月二十四日開催の八中総)。ここには、代々木官僚がウクライナ問題にとりくめば革マル派に批判されて党員は離れ・票も逃げる≠ニ完全に腰砕けになっていることが示されているではないか。 プーチンを公然と擁護するオールド・スターリニストの党員、そしてこの連中に譲歩して「ロシアのウクライナ侵略」を非難することを後景化させる志位指導部。この輩どもの犯罪的対応こそは、彼らがスターリンの末裔・プーチンへの怒りのひとかけらもなく、プーチンの侵略に抗してたたかうウクライナ人民の側にたつことをはなから放棄している腐敗分子であることを自己暴露するものではないか。彼らもまた世界革命を裏切ったスターリン主義との対決をなにひとつとしておこなっていないスターリンの末裔であるからこそ、スターリニスト官僚であったプーチンの世紀の犯罪と対決できないのだ。 このことを満天下に暴きだすわが革命的左翼のイデオロギー的=組織的闘いの断固たる貫徹によって、良心的な党員・活動家のあいだに、党中央への反発が、そしてわがウクライナ反戦闘争への共感が全国的にひろがっている。この党組織の深まりゆく瓦解状況のなかで、ウクライナ反戦のとりくみから逃げまわっているのが代々木官僚なのだ。 ウクライナ問題にかんする深刻な内部対立を抱えているだけではない。かの党外に追いだされた松竹某に共鳴しつつ、党内に残って「自衛隊合憲・安保堅持」の党への改革・「党首公選制」を求める右翼的党員の続出。右傾化著しい志位指導部に反発する「左翼的」な党員による造反。こうした事態が進行し、日共党組織は分解的危機にある。まさにそれゆえに志位は顔をひきつらせて悲鳴をあげている始末なのだ――「支配勢力による攻撃は、わが党の内部にも一定の影響を及ぼし……党の政治的・思想的な解体につながっていく危険もあります」と(八月五日、全国都道府県委員長会議)。 こうした党組織の惨状が現出しているのは、志位指導部が「保守層との共同」という統一戦線政策にもとづいて「急迫不正の侵害」にさいしては「自衛隊の活用」も「安保条約第五条の活用」も容認するように安保政策を超右翼的に改変してきたことや、「市民と野党の共闘」の名のもとに「労働運動は敷き布団」などと労働運動に悪罵を投げつけてきたこと――これらを根底的に批判してきた革命的左翼のイデオロギー闘争に揺さぶられて、下部党員のたまりにたまった指導部への不信・反発が噴きだしているからなのだ。 われわれは、心ある日共党員・活動家にたいして、わが革命的左翼とともに、<プーチンの戦争>を打ち砕くウクライナ反戦闘争を、そして反戦反安保・改憲阻止の闘いを巻きおこすべきことをよびかけ、今秋期闘争の大爆発をかちとるのでなければならない。 「反安保」ぬきの日共式「大軍拡反対」方針の犯罪性 日共中央がうちだしている「大軍拡・九条改憲反対」の運動方針の特質は以下のようなものである。 @岸田政権による大軍拡や九条改憲の策動について、その「震源地となっているのはアメリカ」であり、「米国の対中国軍事戦略の最前線基地」と化した「日本に戦火を呼び込む深刻な危険につながる」とか、「対米従属のもとでの戦争国家づくり」とかと特徴づける。 Aこうした岸田政権の「米国の核戦略に縛られた屈辱的な姿」を明らかにし、「国民の世論と運動」を巻きおこすことを圧力手段にして、岸田政権の「異常な対米従属・軍事一辺倒」の安保政策を転換させ、日共が提示している「外交ビジョン」や「日中関係の前向きの打開のための提言」という政策(代案)の採用を政府に求める。 B右の代案を実現するために、議会内政党間力学をかえるという観点から、総選挙において「日本共産党を伸ばすことに徹するたたかいをやり抜く」。また、「野党共闘」を「再構築」するために、「安保条約を肯定する人」や「多少の軍事費増は必要」という「保守層」も含めた「岸田政権の大軍拡反対」の一点での「国民運動」を発展させる。 以上のような大軍拡・改憲問題にかんする日共中央の方針、その犯罪性のまず第一は、この方針からは「日米軍事同盟の強化反対」が完全に抜きさられていることである。 こんにちの代々木官僚は、――「反安保」をおしだすべきと主張する党員たちを日共組織につなぎとめるためにも――「震源地はアメリカ」とか「対米従属のもとでの戦争国家づくり」とかという主張をおしだしている。こうした主張は一見すると、こんにちの「敵基地攻撃能力保有」の攻撃をば日米軍事同盟の強化の問題としてとらえようとしているかのように見える。だがしかしその実は、「(日本は)米国の核戦略にがんじがらめに縛られている屈辱的な姿」という言い方に示されるように、日米軍事同盟の問題を、アメリカ政府の政策に日本政府の政策が政策上で追随しているというように、つまるところ日本政府の政策選択上の自主性があるか否かという観点から特徴づけたものにほかならない。 日本の「屈辱的な姿」などと否定的にあげつらうことによって代々木官僚がポジティブにおしだしたいことは、実のところ「日米軍事同盟が存在するもとでも平和の外交政策をとることが可能だ」ということにある。このように代々木官僚は帝国主義階級同盟たる日米軍事同盟の存在を肯定的前提とし・そのうえで日本政府はもっと自主性をもて≠ニ主張しているにすぎないのだ。だが、これは、現下の岸田政権の攻撃をまえにして実に犯罪的なのだ。 いうまでもなく岸田政権による先制攻撃体制構築への突進、それはアメリカ帝国主義に安保の鎖でつながれた「属国」である日本が、中国・北朝鮮への先制攻撃に駆りだされることを意味する重大な問題にほかならない。まさにこれじたいが、日米軍事同盟を対中国のグローバル同盟として飛躍的に強化する攻撃にほかならず、その法的根拠が日米安保条約なのである。 この安保の鎖を断ち切らないかぎり、日本帝国主義はアメリカ帝国主義に政治的・軍事的に従わざるをえないのだ。日米軍事同盟(その法的根拠をなす日米安保条約)は日本帝国主義の屋台骨をなすのであって、労働者階級の階級的団結によってのみ、その破棄をかちとることができるのである。 にもかかわらず代々木官僚は、日米軍事同盟の飛躍的強化の攻撃を打ち砕く労働者・人民の階級的力をいかに創造するかという核心問題を完全に放擲しているのだ。 第二には、代々木官僚どもが言うところの「日米軍事同盟が存在するもとでも」とることのできる「平和の外交政策」なるもの、すなわち彼らが現在岸田政権にその採用を求めている「東アジアに平和をつくる外交ビジョン」および「日中関係の前向きの打開の提言」なる政策的代案――その反プロレタリア性についてである。 「日中関係の前向きの打開のための提言」たるや、「日本の敵基地攻撃能力保有に反対する」ことも「中国の覇権主義に反対する」こともみずから引き下げたうえで、ただただ日中両権力者に「対話」のテーブルにつくことを懇願するというシロモノだ。それは、党の分解的危機を食いとめるために、自衛隊・安保問題については口をつぐみ、いっさいの反戦のとりくみから召還していることを覆い隠すための免罪符いがいのなにものでもない。 このような「提言」は、「新たな軍事的枠組みをつくり、インド太平洋地域のブロックによる分断を強め」るのではなく、「地域のすべての国を包摂する安全保障の枠組みを推進する」(八月二十日、米日韓首脳会談にかんする「委員長談話」)というような「外交ビジョン」から出てくるものである。 岸田政権にたいして「分断」ではなく「包摂」の外交を対置するという日共中央のこの「ビジョン」においては、米日両権力者による日米軍事同盟強化の攻撃にたいして、――ネオ・スターリン主義中国の対米対抗の核軍拡とともに――断固として反対するということが完全に放擲されているではないか。その根拠は代々木官僚が、日米軍事同盟の帝国主義階級同盟としての本質を無視抹殺して日米軍事同盟の存在を肯定し・NATOのもとでもアメリカと「対等・平等」な関係をつくりだしているとみなしたドイツ・フランスの外交政策を彼らの目標としていることにあるのだ。まさに日共中央の「反安保の完全放棄」こそが諸悪の根源≠ネのだ! だが、米・日・韓―中・露・北朝鮮の権力者どもが相互に軍事力を突きつけあい角逐していることそのものに反対する反戦・反軍事同盟の闘いを創造することの彼岸において、この権力者たちに「対話をしてください」とお願いすることほど犯罪的なことがあるか! それは、岸田政権が対中国の軍事政策と統一しておしすすめている瞞着外交を補完することにしかならないのだ。 こうした政策的提言は、「すべての国を包摂する平和の枠組み」としての発展≠ニいうみずからの「願望」を「未来的現実」として実在化したうえで、これとの対比で「現在的現実」(日米軍事同盟の強化)を「排他的なブロック的対応」と特徴づけ、この「現在的現実」から「未来的現実」に向かう過程を実在的に想定し・これをもっておのれの「代案」=「政策」を基礎づける、という哲学的誤謬の産物にすぎない。それは、代々木官僚どもが、<情勢分析と方針の二重写し>というスターリニスト哲学に特有の錯誤に、――思想的にはスターリンの正統派スターリン主義から転向した今もなお――呪縛されていることを示しているのだ。 われわれは突きだしてやるのでなければならない。中国による「台湾併呑」や南シナ海の軍事拠点化の策動を「最大の戦略的挑戦」とみなし・この中国を包囲する核軍事包囲網の形成をたくらむ米日権力者と、「社会主義現代化強国」という世界戦略にもとづいて対米の核軍事力の増強に突きすすむネオ・スターリン主義中国の権力者。この米・日と中国の権力者がそれぞれの階級的および党派的の利害をかけて角逐しているというこの非和解性を無視抹殺して、両者が「対話」のテーブルに着きさえすれば「平和」が実現できるかのように吹聴するのは、反プロレタリア的な犯罪なのだ。 米日―中露の激突のゆえに高まる熱核戦争勃発の危機を突き破るためには、それぞれの権力者に支配されている労働者・人民の国境を越えたプロレタリア的な団結を創造し、これにもとづく反戦闘争を推進するいがいにありえないのである。 第三の問題は、日共中央の「大軍拡・改憲反対」の運動方針からは、「反安保」ばかりか、岸田政権による「戦争する国」にふさわしい強権的=軍事的支配体制を強化する攻撃に反対すること、すなわち「ファシズム反対」もまた完全に欠落していることである。そもそも代々木官僚は、岸田政権による国内支配体制の強化の問題について言及すらしないのだ。 これはあまりにもボケきっているというだけでなく、致命的な犯罪にほかならない。米―中・露が激突するもとで日本国家がいわばプレ戦時下≠フネオ・ファシズム国家として・その支配体制が強化されているという認識も、このもとで対政府のあらゆる運動とそれを創造する労働組合や学生自治会の壊滅を狙った治安弾圧体制がうち固められつつあることへの警戒心も完全に喪失しているのだからである。ネオ・ファシズムの濁流をまえにして、たたかわずして屈服しているのが日共中央なのだ。 いうまでもなく岸田政権はいま、対中国の先制攻撃体制の構築に突きすすむと同時に、官民あげての先端軍事技術の研究開発、全国の空港・港湾の軍事利用など、「国家総力戦」を遂行する体制をうち固めようとしている。 まさにこのゆえに、岸田政権による大軍拡・改憲攻撃を粉砕するためには、「日本型ネオ・ファシズム支配体制の強化反対」の旗を高く掲げた闘いが組織されなければならない。今こそ、「ファシズム反対」の旗のもとに、労働者・学生・人民の階級的団結を創造しなければならないのである。 以下 見出し B 反戦反安保・改憲阻止、ウクライナ反戦の闘いの大爆発をかちとれ! 反戦反安保のうねりを巻きおこせ! <プーチンの戦争>を打ち砕け! 革命的学生運動への破壊攻撃を打ち砕け! |
||
Top |
印刷産業防衛のための労働運動≠のりこえ闘おう! 全印総連二三年度運動方針の批判 「価格転嫁」「中小企業支援」を呼号した日共系本部 ――第七十三回定期大会 七月一日に「全労連」加盟の全印総連は、第七十三回定期大会をオンラインとリアル併用の八十名で開催した。 今大会において全印総連の日共系指導部は、社会・経済のデジタル化にともなう産業・企業の再編のもとで「縮小する印刷産業」「消滅する組合」の現状を「反転」するために、昨年に比してもさらに声を荒げて「印刷出版産業を守れ」「価格転嫁できない中小企業を守れ」とわめきたてた。「〔産業の〕転換期の運動を追求」すると称して、「産業や企業の持続的発展」を前面におしたて、「社会保障制度の充実」とともに「全国一律最賃一五〇〇円以上」「中小企業支援」など対政府の制度政策要求を組合の運動方針の重点項目としておしだした。まさに対政府要求を前面に出したこの運動方針は、労働組合運動の弱体化をもたらす方針以外の何ものでもない。 急激な物価高騰に直面して、全印総連の大半を占める中小零細印刷企業で働く大多数の労働者が低賃金を強いられ生活苦のどん底に叩きこまれている。この状況のなかで、われわれ革命的・戦闘的労働者は本部の裏切りを許さず、大幅一律賃上げ獲得をめざして、職場や組合から二三春闘を高揚させるために奮闘した。さらに「コロナ不況」やデジタル技術を活用した印刷産業の構造改革のもとで吹き荒れるリストラ・首切り攻撃を粉砕する闘いをもつくりだしてきた。このことを基礎にしてわれわれは、今大会を戦闘的につくりかえるために奮闘したのだ。 柳沢全印総連委員長は開会挨拶で以下のように述べた。「デジタル社会が浸透し、紙への情報掲載がマイナーになってくる。需要が縮小し、設備過剰による単価競争が続いている」。だが、「印刷産業にひしめきあう中小零細企業には、賃上げや価格転嫁を迫る労働組合は少ない」。だからこそ、全印総連本部がとりくんだ円卓会議「6・6共存共栄の地域経済を考える院内集会」のような、価格転嫁の促進、取引慣行の改善を求める、中小企業庁や公正取引委員会、国会議員を巻きこんだ労使協同の運動こそが重要だ、と力説した。 つづけて田村書記長は、二三春闘は「賃上げは高水準となりつつも、物価高騰を補うまで達成しなかった」。「交渉力をもっと高めて」「上向きになった回答をさらに引き上げる」、そのために「適正な価格転嫁の促進」と「中小企業支援」「全国一律最賃一五〇〇円以上」などを求める、と今二三年度の方針を提起した。 討論では、発言者はほぼ日共系幹部の直接的指導下にある地連や単組の代表であり、多くは本部の方針を補強する発言に終始した。そのなかで、東京地連の代議員から「本部の組織体質の改善を求める」という発言が、またユニオン京都の傍聴者から「総括は主観や希望論ではなく、事実をふまえて客観的に冷静におこなう必要がある」という発言がなされた。このように、本部にたいする批判が相次ぐこと自体が異例であり、全印総連本部にとっては予想外であったに違いない。 だが田村は、「十七人の発言で方針が補強された」と、これらの批判を無視して居直った。そのうえで、「本部体質の改善」を求める東京地連代表の発言にたいして、「大会ではなじまない発言」とかわしたのである。〔ちなみに、七月二十五日発行の機関紙『印刷出版労働者』大会特集号では、「本部の役員は現場にも来ず、地道な活動を放棄している」という東京地連発言で本部に都合の悪い部分は削除した。さらに、本部方針の採択で反対票が投じられたことは意図的に外したのである。〕 今大会にむけてわれわれ革命的・戦闘的労働者たちは、反戦・平和のとりくみや賃上げ闘争を粘り強くたたかっている組合員たちに全印総連本部の闘争歪曲を許さず共にたたかおう!≠ニ呼びかけ、討論をつくりだしてきた。このわれわれの闘いに共感した良心的な組合員や一部の日共系組合員から本部方針にたいする疑問や批判的発言がなされたのだ。 このようなわが闘いをさらに前進させるために、以下、「二三年度運動方針(案)」を批判する。 以下 見出し 賃金・労働条件改善闘争を対政府要請にねじまげ 「社会的賃金闘争」の名による賃金闘争の放棄 労働者的団結の創造を放擲した「組織拡大」方針 ウクライナ反戦、軍拡・改憲阻止闘争の完全放棄 |
Top |