第2788号(2023年10月2日)の内容
<1面>
日本の軍事強国化阻止!
米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ!
<2面>
破綻寸前に追いこまれた大阪・関西万博
<4面>
中・露がベーリング海で対米の対潜合同演習
米海兵隊と陸自が南西諸島で策す演習「レゾリュート・ドラゴン23」
<5面>
教育のデジタル化がもたらす人間破壊
Topics 岸田政権の反人民的少子化対策
<6面>
対馬市の「文献調査」応募に断固反対せよ
柏崎刈羽原発
東電の「適格性」再審査の欺瞞性
□『新世紀』最新号(第327号)紹介
<3面>
万華鏡2023――情勢の断層を読む
インドから欧州へ
地域盟主≠フつっぱり
雇い兵募集お断り
K‐プログラム
《週間日誌》9月17日〜23日
「解放」最新号
日本の軍事強国化阻止! 米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ! 米・日・韓―中・露・北朝鮮の朝鮮半島・台湾を巡る角逐 九月十三日、ロシア大統領プーチンと北朝鮮の労働党総書記・金正恩は、極東のボストーチヌイ宇宙基地において露朝首脳会談をおこなった。夕食をはさんで五時間半におよんだこの会談において、露朝両国家の権力者どもは、ロシアと北朝鮮との軍事的協力関係の強化を誓いあった。 この会談の場において、プーチンは、金正恩にこれまで以上に大量の砲弾・弾薬の提供を強く求めた。ウクライナ軍の粘り強い反転攻勢をまえにしてロシア軍はいま、砲弾・弾薬の不足という継戦能力の枯渇に直面している。このことに焦りを募らせたプーチン政権は、ロシア軍が即時に使用することが可能な旧ソ連製規格の兵器を保有している北朝鮮にたいして、弾薬・砲弾および短距離弾道ミサイル「スカッド」の提供を求めているのだ。 世界第二位の核大国≠フ地位を誇ってきたロシアが、いまや、米欧から「ならず者国家」と烙印され経済制裁を加えられている北朝鮮の武器にすがらざるをえないほどまでに軍事的・経済的窮状に追いこまれている。その惨めな姿がここに浮き彫りになっているのだ。 このプーチンとの会談に金正恩は核ミサイル・軍事衛星開発担当の党中央軍事委員会副委員長・李炳鉄ら軍幹部をともなって臨んだ。このことからするならば、ロシア側の要求にたいして北朝鮮が保有する旧ソ連製兵器の提供と引き換えに、軍事衛星技術や極超音速ミサイル開発やICBMの大気圏再突入にかかわる高度技術の提供を強力に求めたにちがいない。「国防力強化五ヵ年計画」(二〇二一年発表)において軍事衛星およびICBM打ち上げ・大気圏再突入技術の確立を最優先事項に掲げてきた金正恩政権は、だがしかし、「軍事衛星打ち上げ」と称するロケット発射が今年二度(五月と八月)にわたって失敗するという失態をさらけだした。今年十月に再々度の打ち上げを公言している金正恩政権にとって、ロシアの宇宙技術協力をえることはなんとしても不可欠なのである。 ウクライナへの軍事侵略を強行したプーチンのロシアは、「ロシア領土が攻撃を受ければ戦術核兵器によって報復する」とウクライナおよび西側諸国を恫喝している。この戦争狂は、キンジャールなど核搭載可能な極超音速ミサイルをすでに実戦で使用しており、「使える核」と称する戦術核ミサイルをベラルーシを含む対NATO諸国の前線に配備した。プーチン政権が、これらの核ミサイル技術開発にかんして金正恩政権への協力強化により一段とふみだしたこと、このことは、朝鮮半島のみならず東アジア全域における核戦争勃発の危機を飛躍的に高めるものにほかならない。 露朝首脳会談とほぼ時を同じくして、習近平の中国は、台湾周辺および西太平洋において海・空軍の大規模演習をくりかえしている。中国海・空軍は、「台湾奇襲攻撃訓練」と称して空母「山東」を中心とする戦闘機・艦船が台湾島を包囲するという前例のない大規模な軍事的威嚇行動を強行した(九月十一〜十五日)。台湾南部海域から西太平洋に進出した「山東」と連動して、戦闘機「殱16」など数十機の中国空軍機が、事実上の中台境界ラインである「中間線」を越えて台湾空域を飛行した。この「訓練」と称する軍事行動は、「台湾併呑」の野望をたぎらせている習近平政権の軍事的恫喝にほかならない。 この中国・ロシア・北朝鮮権力者の策動は、明らかに米日韓の権力者どもが核軍事体制の飛躍的強化を急ピッチですすめていることへの軍事的対抗にほかならない。 八月中旬の三ヵ国首脳会談において米日韓の権力者どもは、「日米韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げる」(共同声明「キャンプ・デービッド精神」)とぶちあげ、「拡大抑止のコミットメント」の名のもとにアジア太平洋地域における対北朝鮮・対中国・対ロシアの核軍事体制を飛躍的に強化する策動をおしすすめている。それは、米・日・韓および豪を中核とするアジア太平洋版NATO構築・強化にむけて猛然と突進しはじめたことをしめしているのである。 バイデンのアメリカは、韓国・日本の米軍基地を標的とした核攻撃体制の構築に狂奔している金正恩の北朝鮮に対抗して、韓国の尹錫悦政権とのあいだで「米韓核協議グループ」を創設しその運用を開始した(七月)。それは北朝鮮に「核をみせる」かたちでの軍事的恫喝をしかけるというもくろみにつらぬかれたものにほかならない。核ミサイル搭載可能な米戦略爆撃機B1Bや米戦略原潜ケンタッキーなどの攻撃型の核戦力を金正恩の眼前に誇示することをもくろんで、米日韓統合軍による対北朝鮮の軍事的圧力を一挙に高めているのだ。 こうした米日韓の対北朝鮮の準臨戦態勢の強化に直面して「斬首作戦」決行の兆しをみてとり極度に怯えているのが金正恩なのだ。この北朝鮮が韓国および日本の米軍基地を標的に据えて核戦力を急速に強化していることをみすえながら、プーチン政権は、米日韓の権力者に核攻撃の構えを見せつけることを策して、北朝鮮に軍事衛星・核ミサイル技術を供与しようとしているのだ。 こうしていま、朝鮮半島を焦点として、ロシア・北朝鮮と米・日・韓とが相互に核戦力を突きつけあい、そうすることによって核戦争勃発の危機がいやましに高まっているのである。 台湾をめぐっても、米・日と中・露との軍事的角逐が熾烈化している。空母「山東」を中心とする中国軍艦隊による台湾への威嚇的軍事行動、中露両国の海空軍部隊によるオホーツク海や西太平洋・東シナ海における軍事作戦行動、これらに対抗して日米両軍は、北海道および沖縄・南西諸島近海での共同軍事演習「オリエント・シールド」(九月十四〜二十三日)を実施した。 こうして朝鮮半島および台湾を焦点として米・日・韓と中・露・北朝鮮の政治的・軍事的角逐が激化し、まさに東アジアはプレ戦争状態に突入しているといわなければならない。 安保強化・大軍拡・改憲に突進する岸田極反動政権 緊迫化する東アジア情勢、そのまっただなかにおいて対北朝鮮・対中国の最前線に立つ日本の岸田政権は、アメリカ帝国主義のバイデン政権による日本の「軍事的役割の拡大」要求に全面的に応え、日米共同の敵基地先制攻撃体制の強化と日本の軍事強国化に拍車をかけている。 内閣改造直後に岸田は、「今年は防衛力強化元年」であり「防衛力の抜本的強化に踏みだす決断をした」などと、昨年末に「安保三文書」でうちだした大軍拡推進政策を自画自賛してみせた。そして、二〇二四年度の軍事費にかんする防衛省の概算要求では、「スタンドオフ・ミサイル」と呼ばれる長射程ミサイルを導入するための巨額の予算を計上したのだ。二四年度だけで、アメリカ製長距離巡航ミサイル・トマホーク四〇〇発を購入し、最終的には数千発を保有することを策している。これにくわえて、音速の五倍で飛行する極超音速誘導弾や射程一〇〇〇`bに延伸する一二式地対艦誘導弾能力向上型を国内において量産する体制を急ピッチで整えようとしている。 岸田政権は、沖縄・南西諸島を米日両軍の対中国軍事攻撃拠点として強化することに血眼となっている。 最高裁は、沖縄県知事に辺野古への米海兵隊基地建設工事の「設計変更申請の承認」を迫る国交省の「是正指示」を「適法」とする反動判決を下した(九月四日)。この判決をテコとしてこの政権は、沖縄をはじめとする労働者・人民の闘いを強権的に圧殺し一挙に辺野古沖の大浦湾埋立工事を強行しようとしているのである。そのためにこそ防衛相就任直後の木原をただちに沖縄・南西諸島に送りこみ自衛隊基地の視察をおこなったのだ(二十四日)。 台湾・南シナ海を眼前にのぞむこの地域を軍事要塞化し対中国攻撃のためのミサイル網を構築し、対中国先制攻撃拠点として強化しようとしているのが岸田政権なのだ。 これらのミサイル攻撃部隊は、敵国とみなした北朝鮮や中国の軍事拠点・政治的中枢・基幹的インフラ施設に先制攻撃をしかけ破壊するためにこそ配備されようとしている。明らかにそれは、従来は建て前として掲げてきた「専守防衛」を、岸田日本型ネオ・ファシズム政権が公然と投げ捨てたことをしめしているのである。 日本列島を射程に収める核ミサイル開発に突進する金正恩の北朝鮮、武力による「台湾併呑」の野望をむきだしにしている習近平の中国、これに対抗して岸田政権は、ロシアのウクライナ侵略を渡りに船としてバイデン政権と共に日米軍事同盟を攻守同盟として再編・強化し、米日両軍の一体化を急速になしとげようとしているのだ。 現にこの政権は、米軍との統合作戦を担う部隊として日本国軍を強化するために、米インド太平洋軍司令部のカウンターパートとなり・陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設の「統合司令部」(二四〇名規模)の創設にふみだしている。 このことは、岸田政権がアメリカの「属国」の宰相として、中国を主敵としたバイデンのアメリカの軍事戦略に、日本のそれを完全に従属させたことを意味する。没落する軍国主義帝国アメリカは、「二十一世紀の世界の覇者」の座を狙う習近平・中国を封じこめるために、同盟国を動員して「集団的な力を強化する」ことをその「国家安全保障戦略」でうたっている。もはや単独では中国を抑えこむ力を喪失しているアメリカ帝国主義は、それゆえに日・韓・豪・欧州などの同盟国の軍事力・経済力・技術力をアメリカ国家の国益貫徹のために総動員することを策しているのだ。このアメリカと「運命共同体」的に一体化し、東アジアにおける対中国包囲網の構築に血道をあげているのが岸田極反動政権なのだ。 この政権は、それゆえに同時に、「戦力不保持・交戦権否認」をうたった憲法第九条を葬りさり、首相の非常大権を明示した緊急事態条項を新設することを核心とする憲法大改悪の攻撃に全体重をかけてうってでている。アメリカとともに敵国にたいして先制攻撃をなしうる軍事強国へと日本国家をおしあげるために、ネオ・ファシズム憲法を制定するという戦後史を画する一大反動攻撃をしかけているのだ。 この改憲を強行するためにこそ岸田は、自民党改憲実現本部事務総長たる新藤(経済再生担当相)や同安保調査会幹事長たる木原(防衛相)や安倍チルドレン″ns(経済安保担当相)らの、日本会議や神道政治連盟に所属するゴリゴリの真正ファシスト・タカ派分子十数名を改造内閣にとりこみ布陣を配したのだ。 以下、見出し 日共中央の闘争放棄を許さず革命的反戦闘争の前進を! |
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破綻寸前に追いこまれた大阪・関西万博 膨れあがる建設費――人民へのツケ回しを許すな 九月一日、日本国際博覧会協会(以下「協会」)は、大阪・関西万博(以下「万博」)に参加を表明している国のうちで日本国内の建設業者(ゼネコン)に建設を依頼する方式(「タイプA」)を計画している六十ヵ国すべての国が、八月末日時点で大阪市への正式な建築許可申請を提出していないという惨たんたる状況を公表した。八月末というのは書類の審査を経てパビリオンの建設から内外装と展示の完成が万博の開会(二〇二五年四月)に間に合うギリギリの期限なのだが、この時期にこの惨状なのだ。海外パビリオンがゼロであれば「万国博覧会」としては成立しない。破綻そのものなのだ。 協会はすでに七月七日に、「タイプA」の申請がゼロであることを認めるとともにそののりきり策として「タイプX」なるものを各国に提示していたことをもあわせて公表した。「タイプX」は協会がプレハブの簡易組立施設の建設を代行しそれを希望する参加国に貸しだし内装や展示は参加国がおこなうという方式である。この「タイプX」の申し出(「A」から「X」へのきりかえ)の期限を八月末までと設定したという。だが、「タイプX」へ関心を示したのは「タイプA」の六十ヵ国のうちでわずか五ヵ国、一割にも満たず、この方式は拒否されたのだ。「タイプX」では費用も安価で工期も短縮できるとはいえ、「タイプA」だからこそ実現できる万博特有の個性的な独自パビリオンなど建設不可能になり、出展する魅力も意欲も削がれ集客力もなくなるからだ。 参加国が申請できない・しない理由は計画や設計ができていないからではない。各国が計画をたてた昨年秋いこう、建設資材が高騰しただけではなく、作業労働者の労賃上昇と労働力不足が深刻となったことが主要な要因なのだ。このことは歴然としている。 九月一日の記者会見で記者が、当初計画からすでに一・五倍の一八五〇億円へと膨れあがっている会場建設費がさらに上振れする可能性について追及した。協会は「いま精査している段階」などと金額についてはごまかしたが、再度の増額を認めざるをえなかった。 九月二十四日には、会場建設費をさらに約四五〇億円増の二三〇〇億円に引き上げることが判明した。これは当初計画の八割超の増額なのだ。この巨費の大半を政府と大阪府が負担するのであり、つまりは労働者・人民にツケ回ししようとしているのが、自民党と「維新」なのだ。 以下、見出し 維新と自民党政権の腹黒いたくらみ |
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中・露がベーリング海で対潜水艦合同演習 対米核威嚇で結託する両国権力者 中国とロシア両海軍の艦艇十一隻が、七月二十日から八月十七日までのおよそ一ヵ月をかけて、日本海からオホーツク海〜太平洋〜ベーリング海〜太平洋を周航する「海上合同パトロール」と称する軍事行動をおこない、この過程で初めてアメリカ・アラスカ沖のベーリング海において、両軍合同の対潜水艦戦闘訓練を実施した。これはかつてない事態であり、かつ重大な意味をもつのだといわなければならない。 中国北海艦隊副司令官が合同艦隊を指揮 中露両海軍は、日本海においては「北方連合二〇二三」と称する合同軍事演習をおこなったのであるが、特異なことには、この合同演習の司令部を中国海軍のミサイル駆逐艦内に設置し、中国海軍が主導したのだ。 この演習では、上空における敵味方不明航空機への対処や潜水艦が存在する海域の通過、艦載ヘリの発着艦のほか、中国軍機が初めてロシア軍の飛行場を使用し日本海での訓練に向けて離陸するなどの、まさに両軍が一体化するかたちでの実戦に即した訓練が実施されたとされている。 ついで中露両海軍艦隊は、初めてアラスカ沖のベーリング海南西部アリューシャン列島近くの海域において、合同の対潜水艦戦演習を実施した。ロシア国防省によると、中露両軍艦艇から互いの軍のヘリを発着させたり、対潜ヘリによる対潜哨戒活動や爆雷の投下訓練などを実施したり、実際に標的を破壊したりしたという。 これにたいしてアメリカ海軍は、駆逐艦四隻と哨戒機一機を現場に派遣し、監視活動にあたったとされる。 今回、中露両海軍の艦艇が、日本海とベーリング海において連続的に実施したふたつの合同軍事演習のきわだった特徴は、以下の諸点にあるといえる。 第一に、中露合同艦隊が日本海のみならずアメリカのアラスカ沖のベーリング海にまで初めて遠征し、そこで対潜水艦戦の合同演習を実施したことである。いずれの演習においても、中露両海軍がアメリカの原潜を探索・追尾し撃破する対潜水艦戦を想定したきわめて実戦的な演習として実施した。とりわけベーリング海での演習においては、対潜ヘリによる対潜哨戒活動や爆雷の投下、実地に標的を破壊するなどの対潜訓練を実施して、あえてそれを監視にあたる米軍艦船に見せつけたのである。 第二に、中国海軍北海艦隊の副司令官が、中国側の指揮官であり同時に中露合同艦隊全体の指揮を執り、その指揮のもとに両軍の艦隊が一体化するかたちで対潜作戦演習をくりひろげたことである。 第三に、これまで日本海をはじめとする海域で「海上連合二〇××」と銘うって実施してきた例年の中露両海軍の合同演習とは決定的に異なって、今回の合同軍事演習はその名称を「北方連合二〇二三」とし、中国海軍からの参加部隊の構成を、これまでの東海艦隊・南海艦隊をも含む混成部隊ではなく初めて北海艦隊だけに絞り、これとロシア海軍太平洋艦隊とが合同するという枠組みで実施したことである。 ロシア戦略核ミサイル原潜を巡る海面下の攻防 ベーリング海に、中露の合同艦隊が進出して対潜水艦戦闘訓練を実施したことは、有事においてはベーリング海に潜むアメリカの攻撃型原潜を中露が結託してまっ先に撃破する、という意志をアメリカ権力者に露骨に突きつけたいがいのなにものでもない。もとより中露両軍のこうした作戦行動は、両国権力者が対米核戦争の火ぶたを切ることを決意したばあいに、ロシアの戦略ミサイル原潜をミサイル発射海域であるオホーツク海へと無事に潜航させて対米核攻撃の任務を遂行させるために、最初に発動する作戦行動なのだからだ。このゆえにそれは、アメリカ国家にたいする核恫喝そのものとしての重大な意味をもつのである。 以下、見出し アジア太平洋で高まる核戦争の危機を突破せよ |
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長崎・対馬市の「文献調査」応募に断固反対せよ 高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設阻止! 交付金をエサに「誘致」を迫る岸田政権・NUMO 九月十二日、長崎県対馬市議会は、高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料の再処理によって生じる)の最終処分場の選定に向けた「文献調査」の受け入れを市当局が推進するように求めた請願を十対八で採択した。地元の商工会や建設業組合などが「交付金が入れば観光振興や雇用創出に活用できる」などと称して「調査推進」の請願を市議会に出したのだ。市長・比田勝は近く態度を決めるという。これにたいして労働組合や地元の主要産業である漁業・観光業の団体などが「被爆地長崎県に『核のゴミ』を持ちこむな」「一部業界の利益のために美しい島を売るな」と訴え「調査受け入れ反対」の運動に起ちあがっている。 経済産業省とNUMO(原子力発電環境整備機構)は、新型コロナの蔓延による韓国などからの観光客の減少を条件として観光業・飲食業の撤退が進み急激な過疎化に直面している対馬市に狙いをつけて、「文献調査」の受け入れを迫る攻勢をかけてきた。二〇二一年十一月の厳原地区での「対話型説明会」開催前後から、資源エネルギー庁とNUMOの職員たちが「『文献調査受け入れで二年間・二〇億円交付』『概要調査受け入れで四年間・七〇億円交付』」というニンジン≠ぶら下げて、商工会・建設業組合の幹部や市議の籠絡に狂奔してきたのだ。 日本海全域の核汚染の危険を無視 政府は高レベル放射性廃棄物の最終処分場を国内に一ヵ所つくるとしている。原発から出た使用済み核燃料を再処理(ウランとプルトニウムの回収)した後に残る放射性廃液を、ガラスに溶かし合わせてキャニスター(直径四〇ab・長さ一三〇abのステンレス製の筒)に入れ固めたものを「ガラス固化体」という。これを地下深くの岩盤に埋める計画だ(地層処分)。 このガラス固化体は、製造直後に人が触れると強力な放射線によって二十秒ほどで死にいたる危険極まりないものであり、「天然ウランなみの放射能になるまで約一〇万年かかる」(NUMOの説明)というシロモノなのだ。これを四万本以上も一ヵ所に埋めて「数万年隔離」する計画なのである。 日本全地域がそうであるように、対馬も大きな活断層(海域活断層)に取り囲まれている。一七〇〇年にマグニチュード7の地震が発生したことがわかっており、二〇二二年に政府の地震調査委員会が大地震の可能性を発表している地域なのだ。このような場所で数万年のあいだに一度でも地殻の異常や地震によって処分場が壊れガラス固化体も破壊されて中身がむきだしになるならばどうなるのか。地下からの放射能漏れが起こり、海に漏れ出し、対馬海流によって、日本海全域が放射能汚染に叩きこまれることになるのだ。 こうした危険性を重々承知していながら、本土から離れている対馬を高レベル放射性廃棄物の最終的押しつけの候補地としているのが政府・経産省なのである。断じて許すことはできない。 以下、見出し 「核燃料サイクル開発」にしがみつく政府 原発・核開発を打ち砕け! |
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「米日韓核軍事同盟の強化反対! アジア太平洋版NATOの構築を許すな」――この論文を巻頭に置いて『新世紀』 第三二七号をすべてのたたかう仲間におくる。 米大統領バイデンは日本首相・岸田と韓国大統領・尹錫悦をキャンプ・デービッド山荘に招き、日米同盟と米韓同盟 の戦略的連携を「新たな高みに引き上げる」ことを謳う「共同声明」を発表した。この声明こそは、「核戦力強化を猛然とおしすすめている習近平中国および北朝鮮との激突に備えて、米・日・韓が共同してグローバル核軍事同盟を構築・強化し戦争準備をおしすすめることの宣言にほかならない」。東アジアにおいて、まさに熱核戦争の危機がさし迫っていることを、論文は一点の曇りもなく明らかにしている。 ◆ロシアの支配体制を揺るがした反乱の頭目プリゴジンが、「ワグネル」の中枢をなす二人とともにジェット機ごと爆殺された。「プリゴジン暗殺の深層」(K・F)は、邪魔とみなした者を白昼公然と抹殺し真相を闇に葬るマフィアのような国家と化したロシアの権力抗争を剔りだす。FSB強権型支配体制の末期の姿を浮きぼりにする、透徹した分析だ。 ◆われわれは全国七ヵ所で第六十一回国際反戦集会をかちとった。たたかう気魄みなぎる基調報告や決意をうち固める参加者の熱気を中央集会の報告「8・6国際反戦集会の大高揚かちとる」が伝える。 この集会に、わが闘いへの熱い共感と連帯のメッセージが寄せられた。ウクライナからは、仲間が侵略軍との戦いに斃れるという厳しく緊迫したただなかから、勝利までたたかう固い決意が届けられた。ロシアから、「戦争に反対する者は増えている」とメッセージを寄せたカガルリツキー氏は、その十日後にFSBに逮捕された。この二つのメッセージに会場は共感と弾圧への怒りに包まれた。(海外からのメッセージは原文と邦訳文をともに掲載した。) ◆米・中に次ぐ第三の超大国≠めざし「グローバルサウス」のリーダーの座を中国と争うインド、その外交戦略を浮きぼりにしているのが「インド・モディの『戦略的自律』外交」(筑摩菖二)である。「米中半導体戦争≠ニ台湾クライシスの切迫」(深水新平)は、台湾をめぐる米―中激突を、現代戦争においてその勝敗を決するほどの重要性をもつにいたった最先端半導体製造技術の争奪戦という側面から掘り下げる。「地球大規模の米軍主導演習」(屋宜健児)も掲載した。 マイナカード取得強制を許すな ◆「続発するマイナンバーカード関連トラブル」と題して、自治体労働者の怒りあふれる五論文を掲載した。膨大な業務を期限付きで強制し、住所の照合の省略など、数かずのデタラメな指示を下した政府こそがトラブルをひきおこしたのだ。それでも強行した目的は「国民総監視のネオ・ファシズム支配体制の強化」にあると、五論文は暴き弾劾する。 新型コロナの「五類移行」いご、教育労働者は長時間・高強度の労働をますます強制されている。「定額・働かせ放題」を合法とする稀代の悪法を最大限活用せんとする政府・文科省を怒りをこめて弾劾しているのが「今こそ給特法撤廃をかちとろう」(教育労働者委員会)だ。合わせて、「ストライキで起ちあがったそごう・西武労働者を支援せよ」(無署名)、NTT労組第二十六回全国大会とJP労組第十六回定期全国大会での労組員の闘いの報告(雨竜沼遙、二見宗孝)の三論文を掲載した。 ◆放射能汚染水の海洋放出を、岸田政権が強行した。米―中・露激突下で熱核戦争勃発の危機が高まるもとで原発・核開発を推進するために、「事故処理の進展」をおしだそうとする、この犯罪を許すな。「福島第一原発 放射能汚染水の海洋放出弾劾!」(田辺敏男)と、岸田政権の原発推進を弾劾する三論文とを掲載した。 |
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