第2786号(2023年9月18日)の内容
<1面>
「連合」指導部の大軍拡翼賛弾劾!
労働戦線から反戦反安保・改憲阻止闘争を創造せよ!
<2面>
辺野古
最高裁の反動判決弾劾!
闘う労学が海陸で奮闘 9・5
<4面>
「戦略的自立」を旗印として生き残りを策すマクロン政権
ドイツ極右AfDの台頭
<5面>
無権利・低賃金・超長時間労働を強いられるギグ労働者
Topics 国民民主党代表選―玉木を支えた右派労働貴族
<3面>
万華鏡2023――情勢の断層を読む
インドが月面初着陸/反日排外主義/南沙諸島の攻防/元FSB大佐の拘束
《週間日誌》 9月3日〜9月9日
<6面>
第61回国際反戦集会
海外からのメッセージ B
国際社会主義者同盟/全パキスタン統一労働組合連合/
フランス・ユニオン・パシフィスト/第四インターナショナル書記局
プーチン擁護者・安斎を追及
「解放」最新号
「連合」指導部の大軍拡翼賛弾劾! 労働戦線から反戦反安保・改憲阻止闘争を創造せよ! 高まる熱核戦争の危機 大軍拡に突進する岸田政権 九月九日〜十日にインド・ニューデリーで開催されたG20サミットは、なんの実質ある合意≠烽ネいままに終了し、現代世界が秩序なき戦争の時代≠ノ突入していることを象徴的に示した。習近平は登場することもなく、中国の領土・領海の拡大を勝手に宣言する地図を世界にむかって発信してみせた。習の不在のもとでも没落軍国主義帝国の頭目バイデンはなんのイニシアチブを発揮することもできず力の衰退を露わにした。このなかで、議長をつとめたインドのモディがグローバルサウスの盟主¢Rとふるまい、新たな大国≠ニしての登場を全世界にむけて宣言した。 戦争狂のプーチンは、ウクライナ軍の反転攻勢に追いつめられ、核兵器使用への衝動をいよいよ強めている。台湾や朝鮮半島をめぐっては、アメリカと中国および北朝鮮が核を公然と突きつけあって火花を散らしている。いまやいつなんどき熱核戦争が引き起こされるかも知れぬ危機が急激に高まっているのだ。 強大化する習近平中国を抑えこむために同盟諸国の軍事力・経済力・技術力をフルに動員してみずからの力の衰退を補おうとしているバイデンの要請のもとで、属国の宰相≠スる岸田は対中国・北朝鮮の最前線を担うべく日米同盟の強化と大軍拡に猛然と突き進んでいる。自衛隊=日本国軍を米軍とともに中国と戦うことのできる軍隊へと飛躍的に増強するために、来二四年度予算に八兆円(事項要求を含む)を超える軍事費を計上しようとしているのだ。しかも彼らは「戦争放棄・戦力不保持」を定めた現行憲法の改悪を急ぎ、来たる二四年通常国会で一気に改憲発議にもちこもうとしているのだ。 岸田政権が全体重をかけて戦争態勢づくりの総攻撃を仕掛けている今このときに、日本の既成反対運動指導部は度しがたいまでの腐敗を露わにしている。日共の志位指導部は、岸田政権の大軍拡や改憲に反対する闘いを完全に放棄している。「連合」の芳野指導部にいたっては、先制攻撃体制構築・軍事費倍増を謳った岸田政権の「安保三文書」を礼賛し、防衛省への要請という名の激励行動≠さえおこなった(六月二十六日)。日本およびアジアの労働者人民をふたたび戦争の惨禍に叩きこもうとしている日本帝国主義権力者どもの戦争政策の強行にすすんで協力する大犯罪をまさにいま犯しているのが、「連合」芳野執行部なのだ。絶対に許すな! わが革命的左翼は、この既成指導部の腐敗を弾劾し、全学連の国会・首相官邸・米大使館などへの波状的な闘いを先頭に、あらゆる戦線において断固とした反撃の闘いを創造している。日本労働者・人民の未来は、ひとえにわれわれの奮闘にかかっているのだ。今こそわれわれは、日共中央の闘争放棄を許さず、「連合」指導部のネオ・ファシズム政権への翼賛と協力を弾劾して、労働戦線から岸田政権の大軍拡・改憲を打ち砕く闘いを創造しよう。同時に、大幅一律賃上げ獲得をめざす闘いや「日本経済再生」の名による労働者階級への犠牲強制を打ち砕く政治経済闘争を戦闘的に高揚させよう。9・24革マル派結成六〇周年革共同政治集会に結集し、闘いの橋頭堡をうち固めよ! 政府・自民党に抱きつく芳野―清水執行部の居座り
同日、推薦委員会後の記者会見において芳野は、岸田政権や独占ブルジョアどもへの協力にいっそう身を挺す意思を公然と明らかにした。 芳野は、この二年間の最大の成果≠ヘ「政労使の意見交換会〔三月十五日の首相官邸での政労使会議のこと〕が実現できた」ことだとおしだし、今後も政労使会議を年に何回かやりたいと語った。さらに「政労会見」=首相との直接会談も大会後早期に実現すると宣言した。記者から「政権寄りだとか自民党寄りだと〔「連合」内からも〕批判的な意見があるが」と問われた芳野は、「自民党とよく近づいてるとかいろいろ言われているが、まだまだ足りてないと私は思っている」と開き直った。これこそは、傘下諸労組・下部組合員から噴出している批判・弾劾の声を歯牙にもかけず、いっそう政府・支配階級への奉仕に励むことの傲然たる宣言以外のなにものでもない。 今春闘で「三十年ぶりに高水準の賃上げを獲得した」と彼らはおしだす。だが政府発表の統計でさえ、日本の労働者の実質賃金は消費者物価の高騰のもとで十六ヵ月連続して低落し、その減少幅は月々拡大しているではないか。何が「大幅賃上げを獲得した」だ! しかも超少子高齢化のもとで、とりわけ物流・建設や医療・介護などの産業において人手不足がますます深刻化しており、それらの労働者たちがいっそう殺人的な労働強化と長時間労働に呻吟しているなかでも、「連合」指導部はなんの闘いもつくりだしていない。そもそもOECD加盟国中で最低の賃金水準を日本の労働者が強制されているのも、この苛酷な長時間労働も、すべては労働貴族どもが独占資本家どもの悪辣な諸攻撃を受けいれてきたことの結果なのだ。 九月二日に投開票がおこなわれた国民民主党の代表選挙において、芳野執行部をその中心で支えてきた右派大産別(自動車総連・UAゼンセン・電力総連など)の組織内議員らは、「連立政権入り」をほのめかす玉木をこぞって押したてた。その結果、玉木は「非自民・非共産の野党結集」を主張する前原を大差で破って当選した。昨二二年度政府予算案に賛成したり、国会の憲法審査会で改憲推進の先頭に立つなど、自民党との連携を現におしすすめてきたのが、玉木だ。この男を全面的に支えたのが、右派大産別の労働貴族と彼らを基盤とする芳野執行部なのだ。 〔芳野は九月六日に玉木と会談し、国民の連立政権参加には「懸念を表明した」と伝えられている。彼らは、国民支持労組と立民支持労組との股裂き≠解消するために国民と立民との連携さらに合体を切望している。そのために、立民執行部に日共との「共闘」を否定することをいっそう徹底させつつ、立民内右派にテコ入れし、平和フォーラム系などの「左」派の力を削ぐことに躍起となっている。こうした追求に血道をあげている彼らは、玉木による性急な連立参加≠ヘ「連合」の分裂を引き寄せかねないとちょっぴり危惧を表明したわけなのだ。〕 安保強化・大軍拡・改憲の公然たる支持に突進 「連合」指導部は、六月二十六日にみずからの「政策・制度要求」をひっさげての省庁要請行動のトップを切って防衛省を訪ねた。「要請書」において彼らはほざいた。「わが国をとりまく安全保障環境は急速に変化している」のであり、そのもとでうちだされた岸田政権の「安保三文書」が「十分に検討された内容であることは理解する」、国民にむけてその「丁寧な説明を」おこなうことを要請する、と。――「安保三文書」への公然たる共鳴と賛辞! これは大軍拡を推進する政府・防衛省への激励行動以外のなにものでもない。 「連合」指導部は「安保三文書」の内容を「理解する」などとほざいた。これこそは、「反撃能力」という名の中国や北朝鮮にたいする先制攻撃体制の構築や、これら大軍拡を遂行するための軍事予算の対GDP比二%以上への大増額などの、岸田政権の「安全保障政策の大転換」=大軍拡への突進を積極的に支えることを権力者どものまえで誓約した以外のなにものでもない。彼ら労働貴族どもは、米・日などの権力者が中国や北朝鮮に対抗して強行している核軍事同盟強化や実戦さながらの軍事演習を、日本の「国益」を守るために絶対に必要不可欠であると盲信し、岸田政権の軍事政策を積極的に支持しているのである。 それだけではない。「連合」大会に提起する「二〇二四〜二〇二五年度運動方針案」において芳野指導部は語っている。「わが国をとりまく安全保障環境の変化は、食料、資源・エネルギーの安定供給確保、経済安全保障などにもかかわる」と。 ロシアのウクライナ侵略を契機として原油・天然ガスなどのエネルギー源および小麦など食糧の供給激減と価格高騰が引き起こされ、また米バイデン政権の対中国デカップリングあるいはデリスキング策とこれへの中国・習近平政権の対抗策がくりひろげられてきた。これに直撃された日本帝国主義権力者は、資源小国であり食糧自給率が三〇%台であるとともに、「グローバル化」のなかで中国に依存してサプライチェーンを構築してきたという、国家安全保障上の決定的な脆弱性を思い知らされた。「連合」指導部が今日「経済安保」に言及したのは、彼らがこの支配者どもと同様の危機感に駆られてのことにほかならない。そのゆえにこそ彼らは、軍事戦略と経済安保戦略とをリンクした岸田政権の「国家安全保障戦略」を日本国家・日本経済の存立を守るために不可欠のものと観念し、これを礼賛しているのである。 「反撃能力」という名の先制攻撃体制づくりにも、軍事予算の対GDP比二%以上への引き上げにも賛成し、下部組合員の反対の声を圧殺しつつ大軍拡・改憲翼賛運動に突き進む「連合」指導部を弾劾せよ! 軍需生産拡大にも軍事研究推進にも全面的に協力する労働貴族を許すな! 岸田政権の憲法改悪への労働貴族どもの協力加担を弾劾せよ! 「経済安保」の名によるサプライチェーン再編・大リストラへの協力を許すな! 戦争と軍拡を翼賛するネオ産業報国運動を打ち砕け! 以下 見出し 「新しい資本主義」という名の犠牲強要策に全面協力する労働貴族 労働戦線から反戦・改憲阻止闘争、賃闘・政経闘争の創造を! |
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最高裁の9・4反動判決弾劾! 辺野古への新基地建設を阻止せよ 最高裁は九月四日、沖縄県知事に辺野古への米海兵隊新基地建設工事の「設計変更申請の承認」をせまる国交省の「是正の指示」を「適法」とする反動判決を下した。岸田政権は、名護市大浦湾埋め立て予定地の軟弱地盤改良の「設計変更」申請を不承認とした沖縄県当局を有無を言わさず屈服させるために、この反動判決を最高裁にださせたのだ。この反動判決を満腔の怒りで弾劾せよ! これにたいして沖縄ではいま、労働者・人民の怒りが沸騰している。岸田政権は、最高裁の反動判決をテコに、いまや一気に新基地建設工事を加速させている。八日には、早ばやと工事の公募をおこない、年内にも大浦湾側の埋め立て工事を強行しようとしているのだ。極反動岸田政権によるこの暴挙を断じて許すな! <米―中・露激突>のもとで、東アジアにおいて戦争勃発の危機が高まっている。このただなかで岸田政権は、アメリカ・バイデン政権の対日要求に積極的にこたえて辺野古への海兵隊新基地建設につきすすむと同時に、南西諸島への陸自ミサイル部隊の配備を次々と強行している。南西諸島を対中国の出撃拠点=軍事要塞としてうち固めるいっさいの策動を、労働者・人民の力を結集してうち砕こう! 反動判決弾劾! 辺野古埋め立て阻止! 闘う労学が海と陸で奮闘 沖縄県学連のたたかう学生と革命的・戦闘的労働者たちは九月五日、沖縄の怒れる労働者・人民とともに、「最高裁の反動判決弾劾! 辺野古大浦湾の埋め立て工事阻止!」の海上行動と那覇市での抗議集会に起ちあがった。たたかう労学は、結集した人民の最先頭で<日米グローバル同盟粉砕>の旗高く全力でたたかいぬいたのだ。
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「戦略的自立」を旗印として生き残りを策すマクロン政権 NATO東京事務所設置をめぐる米・仏の角逐 七月のNATO首脳会議において、米日両権力者がもくろんできたNATO東京事務所の開設は、フランスの大統領マクロンの反対のゆえに無期延期となり頓挫した。「北大西洋条約には北大西洋という地理的範囲が明記されており、ここに位置しない日本への事務所新設には賛成できない」と真っ向からNATO東京事務所開設反対を唱えたマクロン、ここに、NATO加盟国でありながら同時に「戦略的自立」を標榜しアメリカ帝国主義とは異なる対中国・対ロシアの安保外交戦略を策定しているフランス帝国主義権力者の姿が象徴的に示されている。マクロンは、NATOをアジア太平洋地域をも作戦範囲とする対中の攻守同盟へと改変しようとしているアメリカの策動を阻もうとしているのだ。 今春いこう、アメリカ大統領バイデンは、NATOと米日韓三角軍事同盟および米英豪のAUKUSとを一体化した対中・対露のグローバル同盟を構築することに血道をあげてきた。アメリカ一国のみでは中国を封じこめる力を喪失して久しいがゆえに、日、韓、豪、フィリピンなどの同盟諸国をかき集めアジア太平洋版NATOを創出するのみならず、これとNATOとを結びつけユーラシア大陸の東西にまたがる対中・対露の軍事包囲網を構築することに狂奔してきたのがバイデン政権である。その足がかりを構築するためにこの政権は、NATO首脳会議(七月十一〜十二日)の合意文書で「インド太平洋はNATOにとって重要な地域」と再確認し、この場に招いた日本・オーストラリア・ニュージーランド・韓国などのアジア太平洋四ヵ国(AP4)とのあいだで――従来の「国別パートナーシップ協力計画(IPCP)」を格上げするかたちで――「国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」と称する新協定を締結したのである。 このITPPなるものは、直接的には、サイバーや宇宙、偽情報対策などについてNATO諸国と連携することを目的とするとされているが、同時にこれに参画するAP4はアジア太平洋地域におけるNATOと一体の多国間軍事同盟を構築するための基盤として位置づけられているのである。そして、このAP4の連絡拠点として意義づけられたNATO東京事務所設置要請に、没落帝国主義アメリカの権力者との腹合わせにもとづいてふみきったのが日本の岸田政権なのだ。 こうした米日両権力者の追求に「ノン」を突きつけたマクロンの対応は、アメリカ帝国主義主導の対中・対露軍事包囲網強化の策動とは明らかに一線を画するというフランス帝国主義権力者の意志表示にほかならない。現に、台湾をめぐる米中の軍事的角逐についてもマクロンは、「台湾での緊張の高まりに、われわれの利害はない、最悪なのは欧州がアメリカに追随せねばならないと考えることだ」などと公言してはばからない。 中国との貿易・通商関係にかんしてもこの政権は、「対中デカップリングに陥ることなく、中国と相互利益となる協力を拡大する」と称して貿易拡大を追求している。四月に訪中したマクロンは、六十人の財界陣を引き連れ、航空機大手エアバスは中国から一六〇機の大量受注をとりつけた。これらフランスの航空宇宙産業や自動車産業の大部分が中国市場に依存しているだけではなく、原子力開発、食糧安保、環境問題などでもマクロン政権は中国との協力関係の形成を狙っている。 西側陣営に属しながらも同時に、ネオ・スターリン主義中国との通商・貿易関係の拡大にフランス帝国主義の生き残りの道を見いだしているマクロンにとって、中国敵視≠フ意志をあからさまにしめすことになるNATO東京事務所設置などを肯んずることは決してできないのである。 以下 見出し ドゴール主義の継承 マクロン式「インド太平洋戦略」 |
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