第2782-2783号 2023年8月28日)の内容

<1面>
9・24革共同政治集会に結集せよ
 革マル派結成六〇周年
 戦争の時代を突き破る反スタ革命的左翼の闘いの前進を!


<2面>
福島第一原発放射能汚染水の海洋放出を許すな!

<4〜5面>
全国で国際反戦集会が高揚
 8・6
 
関西九州
 
北海道北陸


<3面>
佐賀へのオスプレイ配備阻止!

防衛省 空前の概算要求7兆円

<6〜7面>
米中半導体戦争≠ニ深まる台湾クライシス

続発するマイナンバーカード関連トラブル

Topics 39〜47円―各都道府県審議会が超低額引き上げの最賃答申

<8面>
万華鏡2023――情勢の断層を読む
露‐アフリカ・サミット
ニジェールでクーデタ
まるでロシアの報道官

週間日誌〈8月6日〜8月19日〉
 「解放」最新号






































  

9・24革共同政治集会に結集せよ

革マル派結成六〇周年

戦争の時代を突き破る反スタ革命的左翼の闘いの前進を!


 すべてのたたかう労働者・学生諸君。革共同革マル派の結成から六〇周年の本年、わが同盟は九月二十四日に革マル派結成六〇周年・革共同政治集会を開催する。
 ロシアのウクライナ侵略を発火点として、米―中・露激突下の現代世界は、ヨーロッパにおいても東アジアにおいても、まさに熱核戦争勃発の危機に直面している。
 ウクライナ軍と人民の反転攻勢に追いつめられて戦争狂のプーチンが、「核で反撃する」と狂気の恫喝をくりかえしている。東アジアでは、習近平を頭目とする中国ネオ・スターリニスト権力者が、台湾併呑への衝動を強めながら、核戦力の飛躍的増強と東・南シナ海―西太平洋における威嚇的軍事行動を強行している。これにたいして米・日の帝国主義権力者どもは、米日(韓)軍事同盟を中国主敵のグローバル核軍事同盟として飛躍的に強化しつつ、英・豪軍などを含めた大規模軍事演習で対抗している。まさに熱核戦争勃発の危機がいま一挙的に高まっているのである。
 だが、米―中・露によるこの核戦争勃発の危機にたいして、帝国主義各国における自称「左翼」や体制内化≠オた労働運動指導部は反戦の闘いをまったくつくりだそうとしていない。日本においては、ロシアのウクライナ侵略を恰好の口実とした岸田政権の大軍拡・改憲の攻撃にたいして、「連合」指導部は公然と協力しており、日本共産党指導部は「平和外交」の現実的≠ニ称する代案を宣伝するだけで大衆的な反撃を完全に放棄している。
 すべての諸君。まさにわが日本反スターリン主義革命的左翼の責務は重かつ大である。
 われわれは、<プーチンの戦争>をうち砕く闘いを、世界の自称「左翼」の腐敗を弾劾しながら、まさしく仁王立ちになってたたかっている。ウクライナと台湾における熱核戦争の危機に警鐘を乱打しつつ革命的反戦闘争の炎を燃えあがらせてきたのは、世界で唯一わが日本革命的左翼だけなのだ。岸田ネオ・ファシズム政権の大軍拡・改憲の歴史的総攻撃にたいして、そして独占資本家どもによる大量首切り・賃金切り下げの攻撃にたいして、これに完全に屈服し・あるいは協力している既成労働運動指導部の腐敗を弾劾しのりこえ、労働戦線において反戦・反改憲闘争や賃上げ闘争を下からねばり強くつくりだしているのは、わが同盟とともにたたかう革命的・戦闘的労働者たちのみなのだ。
 全世界の・そして日本の労働者階級・勤労人民の現在と未来、その一切は、わが革マル派を中核とする日本反スターリン主義革命的左翼の闘いにかかっている。戦争と貧困と暗黒支配で覆われた二十一世紀を<プロレタリア革命の世紀>へと転化するために、すべてのたたかう労・学は革マル派結成六〇周年政治集会に総結集せよ!

 
 8・18「米日韓首脳会談反対!」全学連が米大使館に拳(東京・港区)
わがウクライナ反戦闘争の革命的意義

 いまウクライナの軍と人民は、物量に任せたロシア軍の無差別砲爆撃によって大きな犠牲を強いられながらも、「ウクライナをロシアに絶対に渡さない」という烈々たる闘志を燃やして、ロシア軍を叩きだすために必死に戦っている。これにたいしてプーチン政権は、穀物積出港のオデーサや、クリビィーリフ、ドニプロなどの工業都市にたいしてミサイルや無人機による凶暴な攻撃を強行し、数多の人民を殺戮している。われわれは、この蛮行を弾劾し、<プーチンの戦争>をうち砕く闘いをさらに一層強化するのでなければならない。
 わが革命的左翼はこのかん、一切の自称「左翼」の闘争放棄やプーチン擁護者≠ヨの転落を弾劾しながら、ロシアのウクライナ侵略に反対する反戦闘争を労・学両戦線から果敢に創造してきた。
 (1)われわれは、ロシアのウクライナ軍事侵略に反対することを日本の地においてみずからが解決すべき課題として設定し、一切の既成指導部の闘争放棄を弾劾しつつ、「ロシアのウクライナ侵略弾劾」の大衆闘争を推進してきた。
 この戦争は、ソ連邦崩壊を「二十世紀最大の地政学的大惨事」とほざいてきた大ロシア主義者プーチン、元KGB将校にしてスターリンの末裔≠スるこの男が、旧ソ連邦の版図を復活するために、ウクライナという国家と民族をこの地球上から抹殺せんとしてしかけた世紀の蛮行にほかならない。――このことをわれわれは反スターリン主義者としての矜持にかけて暴きだし、<プーチンの戦争>をうち砕く反戦闘争に決起すべきことを日本の労働者・学生・人民に訴えたたかってきた。また全世界の労働者・人民にたいして、各国でウクライナ反戦の闘いに起ちあがり、ともに連帯してたたかおうと呼びかけてきた。
 (2)われわれは、このウクライナ反戦闘争を推進するとともに・そのただなかにおいて、ウクライナ人民にたいして、またロシア人民にたいして、反スタ主義者としての熱烈な呼びかけを発してきた。プーチンのロシア軍の侵略にたいして「ウクライナ人民は一致団結してレジスタンスをたたかえ!」と。ロシア労働者・人民にたいしては、「今こそ戦争狂のプーチン政権を打倒せよ!」「ロシア軍兵士はその銃口をクレムリンに向けよ!」と。
 (3)われわれは、日本の既成左翼のウクライナ問題についての腐敗した対応をのりこえていくために、また全世界にわが反戦闘争を波及させていくためにも、反プロレタリア性を自己暴露した世界の自称「左翼」にたいする断固たる批判を展開してきた。――「NATOのほうが悪い」をくりかえす自称「反帝」主義者やプロ・スターリニスト。「どっちもどっちだ」と言い放つ堕落したトロツキスト。こうした連中には、そもそもプーチンのウクライナ人民大殺戮にたいするプロレタリア的な怒りのひとかけらもない。そのような怒りも憤激もなしに、「NATOが戦争の原因をつくった」とか「ロシアは米欧帝国主義と対立する陣営にいる」とかといった、血みどろの現実とはまったく無縁な観念的な言辞をふりまわしているのが、この連中なのだ。そもそも核大国ロシアの軍隊によってウクライナが侵略され数多の人民が殺戮されているときに、侵略されている人民の側に立たない「左翼」などは、なんら左翼ではありえない。われわれは、こうした自称「左翼」なるものの驚くべき腐敗を弾劾し、その根底にあるのが<スターリン主義との対決>の放棄にほかならないことを剔りだし批判してきたのである。
 (4)この六月末に発生した、民間軍事会社ワグネルの頭目プリゴジンによる、国防相ショイグと総司令官ゲラシモフの解任を求めての武装部隊のモスクワ進軍≠ニいう事態。――この事態をめぐってわれわれは、「特別軍事作戦」の理由づけをすべて否定したプリゴジンの主張や、プリゴジンにたいするクレムリンの対応のジグザグなどの分析をつうじて、軍とFSBとの対立だけでなく、クレムリンを牛耳ってきたFSB=シロビキそのものの内部におけるプーチンとパトルシェフらの対立が激化していることを洞察した。もってこの「ワグネルの反乱」の意味を「FSB強権型支配体制の終わりの始まり」としてとらえ暴きだしたのだ。そしてロシアの労働者人民にむかって、「今こそ権力者と特権支配層への怒りに燃えて<ウクライナ侵略戦争反対―FSB強権型支配体制打倒>の闘いをまきおこせ!」と呼びかけたのである。
 同志黒田は、すでに二〇〇三年に、エリツィンに替わって大統領の座に就いていたプーチンの政治体制を「FSB強権型支配体制」と規定した。それは、スターリンの秘密警察=KGBの機構と手口を受け継いだFSB(連邦保安庁)、これを実体的基礎としてつくりだされた強権的=軍事的支配体制の謂である。このプーチンの権力は、たとえイデオロギー的にはスターリン主義とは無縁となっているとしても、スターリン主義ソ連邦の時代と瓜二つの強権的な統治システムにほかならない。この「FSB強権型支配体制」にかんする同志黒田とわが同盟の分析の先見性は、いま燦然と輝いているではないか。
 わが革命的左翼は、このウクライナ反戦闘争の推進をつうじて、労・学両戦線においてわが隊列を拡大し、思想的=組織的にうち鍛えてきたのである。
 まさにわが反スタ左翼の真価と底力を発揮したウクライナ反戦闘争――この闘争の革命的意義をうち固め、<プーチンの戦争>を最後的にうち砕くために、われわれは日本の地においてこの闘争をさらに強化し高揚させ、この闘いを国際的に波及させるために奮闘しなければならない。もって反スターリン主義の運動と思想を全世界におしひろげようではないか!

以下、見出し

米―中・露激突下の熱核戦争の危機を突き破る闘いを!

岸田政権による憲法改悪・大軍拡を阻止せよ

わが反スターリン主義運動の前進をかちとれ


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福島第一原発放射能汚染水の海洋放出を許すな!

 八月二十二日、岸田政権は東電福島第一原発の放射能汚染水の海洋放出にかんする関係閣僚会議を開催し、海洋放出を八月二十四日にも強行すると決定した。福島の漁業者をはじめとする労働者・人民の圧倒的な反対の声をふみにじるこの暴挙を断じて許すな!
 前日の二十一日、岸田は全漁連会長を首相官邸に呼びつけ、「風評被害対策」と称する基金(計八〇〇億円)の創設をもって、海洋放出に同意するように迫った。これにたいする全漁連会長の「反対に変わりはない」が「安全性への理解は深まってきた」という発言をひきだし、岸田は「関係者の理解を得た」などと強弁したのだ。この政権は「処理水」放出にむけた協議は完了し準備は整ったと宣言している。九月一日からは福島県沖合で底引き網漁が始まる。その前に海洋放出を強行し、この既成事実を力ずくで漁業者に押しつけようとしているのである。
 この放出決定にむけて岸田は八月十八日、キャンプ・デービッドにおいて米・韓両権力者の同意を改めて確認した。アメリカ大統領バイデンの支持発言につづいて、韓国大統領・尹錫悦もまた「IAEAの調査を信頼している」などと韓国政府としての放出容認を改めて表明したのであった。
 この権力者どもが錦の御旗≠ニしたのがIAEAの「報告書」なるものだ。だがそれは、国際原子力村≠ノタムロする御用学者どもが、トリチウムによる内部被曝も・食物連鎖によるトリチウムの濃縮(生物濃縮)効果もまったく無視してデッチあげたものにほかならない。これを岸田政権は、「科学的」に「安全」が証明されたなどとおしだして、労働者・人民を欺瞞しているのだ。
 加えて岸田政権は、福島の復興=廃炉をすすめるためには、作業場確保のために汚染水タンクを撤去する必要がある≠ネどと、反対派の労働者・人民に恫喝を加えている。だが、「廃炉にむけたデブリ取り出しの作業場作り」などというのは、まったくのマヤカシだ。政府・東電経営陣は、わずか数グラムのデブリの試験的取り出しを、あたかも八八〇トンものデブリ取り出しにむけた工程がすすんでいるかのようにキャンペーンし、もって汚染水放出の口実としているのだ。
 岸田政権は、ロシアのウクライナ侵略を引き金とする化石燃料価格の高騰・エネルギー危機を格好の口実として、福島第一原発事故以後に歴代政府がとってきた原子力政策を転換し、原発の積極的推進政策をうちだした。そして危険極まりない六十年超の老朽原発の再稼働を可能とし、原発の新増設の支援に多額の公的資金を投入する法整備を先の通常国会で強行してきた。この政権は、原発・核開発に拍車をかけるために、福島第一原発の廃炉にむけた作業が遅々としてすすんでいないことを象徴する巨大な汚染水タンク群を、労働者・人民の健康被害や生活破壊など意に介すことなく、その場しのぎの海洋放出という手段で処理しようとしているのだ。
 放射能汚染水の海洋放出を阻止せよ。原発再稼働・新増設反対! すべての原発・核燃料サイクル施設を即時停止し廃棄せよ。
 東アジアにおける米・日・韓と中・露・北朝鮮の軍事的角逐の激化、熱核戦争勃発の危機の高まりのもとで、岸田政権はいま、米日韓核軍事同盟の強化に狂奔し、その背後では独自核武装の野望をたぎらせて日本の潜在的な核兵器製造能力の維持・強化のために、高速炉や再処理などの核燃料サイクル技術開発にやっきになっている。岸田政権の大軍拡・改憲攻撃を粉砕する反戦・反改憲の闘争と結合して、原発・核開発反対闘争の高揚をかちとれ!
 (八月二十二日)

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陸自オスプレイの佐賀配備を阻止せよ!

「佐賀駐屯地」の建設着工弾劾!


 六月十二日、防衛省九州防衛局は、佐賀空港に陸上自衛隊のオスプレイを配備するために、自衛隊「佐賀駐屯地」(仮称)建設工事を強行した。この日、オスプレイ配備に反対する漁民・地域住民がプラカードを手にして、身体を張って九州防衛局の職員に抗議した。これを、岸田政権・防衛省は警察権力を使って暴力的に抑えこみ工事着工を強行したのだ。十九日には土砂搬入を強行した。
 そしていま、連日、土砂を満載し「九州防衛局」の黄色の横断幕をつけた何百台ものダンプカーが田園地帯を走りまわっている。地域住民の「夜間の工事反対」「通学時間帯の搬入反対」「宝の海を汚すな」という切実な声をもごう然とふみにじって。この陸自オスプレイの佐賀配備とそのための新たな基地建設を断じて許すな!

以下、見出し

強圧と懐柔策で漁協を抑えこんだ岸田政権

日本版海兵隊の出撃拠点の新たな構築



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米中半導体戦争≠ニ深まる台湾クライシス

A 先端半導体をめぐる米・中激突の新転回

 八月一日を期して中国・習近平政権は、半導体などのハイテク製品の製造に必要なガリウムやゲルマニウムの輸出を許可制にするという規制措置を発動した。
 この措置は、アメリカ・バイデン政権が昨二〇二二年十月七日にうちだした対中国の包括的な先端半導体禁輸措置、そして日本政府がバイデン政権の要請にもとづいて今年七月から実施した半導体製造装置の輸出規制、これらにたいする中国政府としての報復的反撃にほかならない。
 ガリウムは中国が世界生産量の九四%を占めており、EV(電気自動車)用などの次世代半導体の素材として需要が急増しつつある。ゲルマニウムも中国に世界埋蔵量の四〇%があり、赤外線装置や光ファイバーなどのハイテク製品に必要な稀少金属である。
 中国政府官僚(元商務次官)は、「これは反撃のはじまりにすぎない。もし中国にたいするハイテク規制をアメリカが引き続きエスカレートさせるならば、中国の反撃措置も一段とエスカレートさせることになる」とうそぶいた。中国はリチウムやコバルトなど、より重要な稀少金属の生産で大きな世界シェアをもっている。習近平政権は、これらの戦略物資≠フ段階的な輸出規制によって西側の半導体産業・ハイテク産業に音(ね)をあげさせ、もってアメリカの対中規制に風穴を開けようとしているのである。

バイデン政権による異次元の対中半導体封鎖

 昨二〇二二年の十月七日に、バイデン政権は、それまでの水準をはるかに超える強烈な対中国半導体規制を決定した。
 その特質は第一に、AIやスーパーコンピュータなどに使用される高性能半導体(ロジック半導体のばあい回路線幅一四〜一六ナノb以下の微細半導体)製品だけでなく、その製造装置や素材・部品やメンテナンス(サービスマンの派遣)、アメリカ国籍の技術者の就労などのすべてを含む包括的な規制措置であるということだ。製造装置では、最重要な露光装置だけでなく成膜装置(シリコンウエハーに薄膜をつける装置)の輸出にも規制を加えた。
 第二に、中国メーカーにとどまらずTSMC(台湾積体電路製造)や韓国サムスン電子などの外国資本の中国工場への輸出をも対象にしていること。
 第三に、日本やオランダなどの同盟国の企業が生産している半導体製造装置についても、それがアメリカ製の部品や材料を使用していれば対中輸出を禁止するとしていることである。
 このようなバイデン政権のなりふりかまわぬ禁輸措置は、中国による軍民両用の先端半導体の製造を絶対に許さないというアメリカ権力者の意志を剥きだしにしたものにほかならない。
 すでにアメリカ政府は、昨年八月に成立させたCHIPS法(先端半導体の米国内工場建設に莫大な補助金を供与する法律)のなかに、補助金供与の制限事項として中国立地の先端半導体工場への新規投資を今後十年間禁止するという措置を盛りこんだ。これによって、アメリカ政府から補助金を受けて米国工場の新設を進めているTSMCやサムスンは、中国工場への追加的投資ができなくなった。
 ところが、このCHIPS法の成立と時を同じくして、中国のSMIC(中芯国際集成電路製造)が七ナノbの先端半導体の製造に成功した(二〇二二年七月)。これに慌てたバイデン政権は、十月に右のような追加規制に踏み切ったのである。
 同時にアメリカ政府は、日本やオランダの政府にたいしても、同様の対中規制措置をとることを強く要求した。これに応えて日本政府は、二〇二三年七月から、成膜装置・露光装置など二十三品目の対中輸出規制を開始した。またオランダ政府も、世界でオランダのASMLだけが製造しうる最先端のEUV(極端紫外線)露光装置の対中輸出を禁止した。
 中国半導体産業は、製造工程の要所をなす露光装置・成膜装置についてはほとんど輸入に頼っており、このような米・日・蘭の新たな規制によって中国における先端半導体の生産は壊滅的な打撃をこうむることになった。〔新たな先端半導体工場の建設がことごとくストップしたと言われている。〕
 この日・蘭を従わせてのアメリカの対中規制は、その包括性と拡張性のゆえに、まさしく中国半導体産業の糧道を断つ≠謔、な、従来とは異次元の半導体封鎖にほかならない。

ハイテク軍拡競争と連動する激烈な攻防戦

 バイデン政権によるこのような対中半導体封鎖=包囲網づくりは、NATO・AUKUS・米日韓軍事同盟などを軸とする対中・対露のグローバル核軍事同盟の構築と一体のものであり、こんにちのハイテク兵器開発競争での中国の猛烈なキャッチアップを阻止するためのそれである。
 こんにち米・中間の核戦力強化競争において、いわゆるゲームチェンジャーとなる高度技術、たとえばAI、極超音速ミサイル、量子コンピュータ・量子暗号通信、5G(第五世代高速無線通信)などの開発において、中国は明らかにアメリカに先行したり追いついたりしている。だが中国は、それらのAIシステムやハイテク兵器の核心を形成する最重要デバイス(電子部品)たる先端ロジック半導体を自前で生産する能力をもっておらず、そのほとんどを輸入に依存してきた。バイデン政権は、この先端半導体自給能力の欠損を「中国のアキレス腱」とみなし、その軍事的・技術的な抬頭を抑えこむために、右のような禁輸措置を波状的に仕掛けているのである。
 バイデン政権のこの相次ぐ規制強化にたいして習近平政権は、今年五月に、米マイクロン・テクノロジーズ製の半導体について国内の重要インフラ用としての調達を禁止する、という報復措置を実施した。それにつづいて実施されたのが、今回のガリウムなどの輸出規制なのだ。
 この中国の報復措置発動直後の八月九日に、バイデンは、半導体・量子技術・AI(人工知能)などの軍民両用技術三分野でのアメリカの企業・個人による対中国投資を禁止するという新たな大統領令に署名した。
 かくしていま、米・中半導体戦争≠ヘ、日本・EU・台湾・韓国などのアメリカの同盟諸国をも巻きこみつつ、日増しにエスカレートしているのだ。
 もちろんこうしたバイデン政権による対中半導体規制のさらなる強化は、アメリカ半導体産業にとっては諸刃の剣≠ノなりかねない。
 じっさい、昨年の10・7規制にたいして、AI用半導体のトップ企業であるエヌビディアのCEO=ジェンスン・ファンは、こう不満をぶちあげた。「半導体をめぐるワシントンと北京との争いがエスカレートしたら、アメリカ・ハイテク産業には甚大な損失になる。」「中国がアメリカから半導体を買うことができなければ、彼らは自力でつくるだけだ」と。さらに今年の七月十七日にはアメリカ半導体工業会(SIA)が、「過度に広範囲な規制は、アメリカ半導体業界の競争力を奪い、中国からの報復を招く」という声明を発して、バイデンに「慎重な対応」を求めた。彼ら独占資本家たちは、市場としても製造拠点としてもすでに不可欠な存在になっている中国との関係を断ち切るならばアメリカ半導体産業じしんの首を絞めることになる、とバイデン政権に異を唱えたのだ。このような反発に直面したバイデン政権は、これを抑えるために「アメリカの対中規制は安全保障分野に限ったもので、それ以外の分野では中国とデカップリングはしない」(財務長官イエレン)と言明し、対象はあくまでもハイテク兵器開発と直結している先端半導体である、とおしだしているのである。
 たとえ対中規制によって米ハイテク産業が多大な返り血を浴びたとしても、「アメリカの安全保障」そのものにかかわるAIや量子関係などのハイテク軍拡の分野では中国の先行を絶対に許さない、という構えで突っ走っているのが、バイデン政権なのだ。そのためにこそこの政権は、中国による先端半導体の自力開発を阻止するための強力な諸規制を相次いでうちだしているのである。

以下、見出し

B 「シリコンアイランド」をめぐる角逐

台湾併呑の衝動を強める習近平中国

激化するTSMC誘致合戦

蔡英文政権のシリコン・シールド戦略

C 中国包囲の半導体アライアンスの形成

「Chip4」結成への突進

EU・オランダの囲い込み

D 「ハイブリッド戦争」と先端半導体争奪戦
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続発するマイナンバーカード関連トラブル

岸田政権の泥縄的「総点検」

労働者への犠牲転嫁を許すな


「総点検」に労働者を駆りたてる岸田政権

 岸田政権は、マイナンバーカードを「デジタル社会のパスポート」と位置づけ、カードの普及に狂奔してきた。
 だが今年の五月以降、マイナンバー制度のトラブルが相次ぎ、岸田政権にたいする労働者人民の怒りと不満が一挙に巻き起こった。岸田政権は、高まる人民の怒りに直面し、急きょ、マイナンバーをめぐるトラブルの泥縄的な収拾にのりだした。「マイナポータル」全二十九分野の全データについて、今秋をめどに自治体・健康保険組合の約三六〇〇機関に総点検させることを閣議決定した。この閣議で岸田は、異例にも、デジタル相・河野、総務相・松本、厚労相・加藤を名指しし、点検を指示したのだ。この指示を受けて、「マイナンバー情報総点検本部」(本部長・河野デジタル相)が設置されるとともに、厚生労働省は加藤自身をトップとする「オンライン資格確認利用推進本部」を設置した。そして、マイナポータル二十九項目の誤登録有無確認を八月上旬に中間報告、十一月までに最終報告することを決定した。
 マイナンバーカードと、マイナンバーとの紐づけをめぐる主なトラブルは次のとおり。
 @コンビニ交付サービスでの証明書誤発行、Aマイナポイントを別人に付与、Bマイナポータルでの他人の年金情報の閲覧状態、Cマイナ保険証に別人の情報の登録、D公金受取口座に家族や別人の登録、E療育手帳の別人情報の登録、F障害者手帳の別人情報の登録、などなど。
 これらのトラブルの主な原因について、政府は「ヒューマンエラー」だと強調し、窓口業務を担う自治体職員や入力作業をおこなう健康保険組合の職員に責任転嫁した。だが実態は、「ヒューマンエラー」などといえるようなものでは決してない。マイナカードの人物と口座の人物とが同一であることをチェックする機能がないというように、システム自体に不備があった。マイナポイント事業では膨大な申請に短期間で対応するために、本人確認を二回から一回に簡略化するシステム変更をも政府の指示にもとづいておこなっているのだ。それだけではない。公金受取口座の入力では、銀行口座で使われるカナ氏名とマイナンバーで使われる漢字氏名が照合できないようなシステムがつくられたがゆえに、別人の口座でも登録できてしまう始末だ。だからこそ、デジタル相・河野は、「現状のシステムでは(誤登録は)防げない」と弁明するほかなかったのだ。このような現実・トラブルの一切の責任は政府そのものにあるのだ。政府による責任転嫁は絶対に許すわけにはいかない。
 また、マイナカード取得の増大を急ぐために政府が始めたマイナポイント事業で、問題はさらに拡大した。自治体からは「申請手続きのマニュアルがわかりにくい。制度設計した国の担当者が現場を理解していない」と指摘されていたし、さらにポイント付与の登録システムは「煩雑すぎる」と申請者から苦情が出されていた。これにたいして、なんとデジタル庁は、本人確認を二回から一回に省略せよと指示した。このことによって誤付与が起きたのだ。
 また健康保険組合には、総点検にあたって追加費用が生じるという。なぜならば、マイナンバーに紐づけしたデータが正しいか確認するためにJ―LIS(地方公共団体情報システム機構)に情報照会しなければならないからだ。一件につき十円を要するといわれている。だがこの費用をどの機関が負担するかについてはいまだ決まっていないというのだ。
 自治体職場では、政府がスケジュールだけを区切って費用も実務負担への対応もあいまいなまま作業を押しつけることへの怒りが渦巻いている。市町村合併や民間委託、正規職員の会計年度任用職員への置き換えなど、極限的に削減された自治体職場の人員で、入力作業に追い立てられ、自治体職場は疲弊している。「総点検」の名によるさらなる労働強化を許すな!


マイナンバー制度容認の自治労・自治労連の本部

 マイナンバーカードをめぐって問題が噴出する事態にたいして、七割の国民が健康保険証廃止に反対の声をあげるなか、自治労本部は、やっと「マイナンバーの総点検等にたいする総務省への申し入れ」なるものを表明した。
 その内容は、通常業務と並行した点検作業は極めて難しいので、「的確な点検手法とスケジュール感の明示」とか、「市民や自治体への説明の充実」とか、「自治体の負担にならないように財政面や人事面への支援」などにすぎない。
 通常国会で成立したマイナンバーカードと健康保険証の紐づけ(マイナ保険証)の問題にも、個人情報の漏洩多発化の問題にも、自治体労働者や健保組合職員のヒューマンエラー≠ナ片付けられている問題にも、一言も触れていないのだ。
 そもそも自治労は、行政のデジタル化については、その「効率性」や「利便性」に足をすくわれ、マイナカードも事実上は容認しているのだ。そのうえで説明責任や丁寧な手順の提示を要求しているにすぎないのである。
 他方の自治労連本部は、「セキュリティーの安全性」については問題としつつも、「マイナンバーカードの取得は個人の自由」であることを前面におしだす。そのうえで保険証の廃止などは、「法律の建前と違うやり方で事実上変質させている」と政府の「違法かつ強引な手法」が「大問題」とし、「住民の立場に立った見直し」を求めているにすぎない。
 行政のデジタル化についても自治労連本部は、「地方自治体の個人情報を国に一元化し、そのデーターを民間に提供することが狙い」であると問題にするにすぎない。政府がマイナンバーカードをめぐって問題が噴出しても強引に取得をすすめるのは、経団連の意向に応えるためだ、と。そのうえで、大企業だけを儲けさせるのではなく「労働者・国民の声に応えよ」と、要求しているのだ。
 だが自治労も自治労連も、ビッグデータの利活用には多少の危機感を表明しつつも、ネオ・ファシズム的支配体制を飛躍的に強化する岸田政権の攻撃にはいっさい触れることができない。それは政府が地方自治を尊重してくれさえすれば、行政のデジタル化は時代の趨勢であると認めたうえで、むしろ人員削減がすすむなかで「デジタル化」に期待さえしている始末だからである。
 政府権力者による、「利便性」と業務の効率化の宣伝に足をすくわれ、国民総監視≠フためのマイナンバー制度を実質的に容認する自治労ならびに自治労連本部の闘争放棄をのりこえたたかおう!
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全国で第61回国際反戦集会が大高揚 8・6

〈プーチンの戦争〉粉砕の雄叫び

関西集会


 八月六日、関西地方のたたかう労働者・学生は、第六十一回国際反戦関西集会を成功的にかちとった。猛暑のなかを、会場の大阪・大正区民ホールにたたかう労働者・学生が結集した。
「ウクライナ反戦闘争を怒濤のごとくまきおこせ!」関西の闘う労学が固い決意(8月6日、大阪市)
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全国で第61回国際反戦集会が大高揚 8・6

「九州の対中国出撃拠点化阻止!」

反戦反安保闘争の前進誓う


九州集会
  八月六日、九州のたたかう労働者と学生は、福岡市博多市民センターにおいて第六十一回国際反戦九州集会を盛大に開催した。
「朝鮮半島・台湾をめぐる熱核戦争の危機を突き破れ!」労学のシュプレヒコールが轟く(8月6日、福岡市)
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全国で第61回国際反戦集会が大高揚 8・6

 
ウクライナ反戦の決意固く

北海道集会
  八月六日、北海道のたたかう労働者・学生は、札幌市東区民センターにおいて、第六十一回国際反戦北海道集会を開催した。
全世界の労働者・人民がわが闘いの前進を待っている! 決意をうち固める北海道の労学(8月6日、札幌市)
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全国で第61回国際反戦集会が大高揚 8・6

 米日韓核軍事同盟反対の拳

北陸集会
  八月六日、北陸のたたかう労働者・学生は第六十一回国際反戦北陸集会を開催した。
「岸田政権打倒めざして闘おう!」―決意をうち固めた北陸の労働者・学生(8月6日、金沢市)
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