第2781号(2023年8月14日)の内容

<1面>
8・6国際反戦集会の大高揚かちとる
<プーチンの戦争>を打ち砕け!
米―中・露激突下の熱核戦争の危機を突き破れ!
<2面>
8・18米日韓首脳会談反対!
<3面>
関西共闘 ロシア総領事館に抗議 7・26
国学院大 自治委員会・学生総会が成功
<5面>
続発するマイナンバーカード関連トラブル
 岸田政権によるカード取得の義務化を許すな
Topics 超低額の最賃強要を企む政府・資本家階級
<6面>
小松基地―日伊・日豪空軍演習
 対中対露グローバル同盟の構築
「タリスマン・セイバー23」
 対中国の多国間共同軍事演習
スペイン総選挙――政権入りを企む極右ファシスト党「VOX」
<4面>
万華鏡2023――情勢の断層を読む
 今ドゴール°C取り
 インド版「マイナ制度」
 手の平返し
《週間日誌》 7月30日〜8月5日

 ◆お知らせ
本紙8月21日付は休刊とします。
第2782―83合併号(8月28日付)から通常どおり発行します。
「解放」最新号



















  

8・6国際反戦集会の大高揚かちとる

<プーチンの戦争>を打ち砕け!

米―中・露激突下の熱核戦争の危機を突き破れ!


 
 労働者・学生が闘志あふれるシュプレヒコール(8月6日、東京)
 八月六日、わが同盟と全学連・反戦青年委員会は、第六十一回国際反戦集会を全国六ヵ所において開催した(沖縄集会は台風により延期)。東京・銀座ブロッサムでの中央集会に結集した労働者・学生・市民は、本集会の大成功をかちとった。
 プーチン政権とロシア侵略軍がウクライナへの無差別攻撃を開始してから一年半、ウクライナの労働者・人民は反転攻勢にうってでたウクライナ軍とともにロシアの侵略を打ち砕くために英雄的にたたかっている。プーチンを表看板とするFSB強権型支配体制はついにその足もとから崩落を開始した。命を賭して戦うウクライナの労働者・人民と連帯して、<プーチンの戦争>を打ち砕く反戦闘争の炎をさらにいっそう燃えあがらせるために、われわれは総力をあげてたたかおう。
 ロシアのウクライナ侵略を発火点として、現代世界は米・欧・日と中・露との角逐が一気に激化し熱核戦争勃発の危機が高まっている。ウクライナ反戦闘争や岸田政権による日米軍事同盟強化と大軍拡・改憲の一大攻撃を打ち砕く闘いを、たたかう労働者・学生は「連合」指導部の闘争抑圧や日共中央の闘いの放棄を弾劾しのりこえ創造してきた。今春期の闘いを総集約して本集会の圧倒的高揚をかちとったのだ。
 七十八年前にアメリカ帝国主義権力者が広島に原爆を投下した八月六日、この日に開催した本集会において、われわれは米・欧・日―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破る革命的反戦闘争の拠点を築いたのだ。そして、ウクライナの、ロシアの労働者・人民と連帯して<プーチンの戦争>を最後的に粉砕する闘いをおしすすめる橋頭堡を構築したのである。

ウクライナ反戦、大軍拡・改憲阻止闘争の大爆発を!――基調報告

 司会の同志が集会の開会を宣言した。集会の冒頭は、今春の全学連の奮闘を伝えるビデオ上映だ。
 ロシア大使館前でウクライナ侵略弾劾のシュプレヒコールを叩きつけた7・23抗議闘争がスクリーンいっぱいに映しだされる。岸田政権の大軍拡・改憲攻撃にたいして全学連が決起した5・23、5・30、6・6、6・7、6・13、6・16の実に六波にわたる国会前抗議闘争、全国の労学統一行動での白ヘル部隊の勇姿、吹き荒れる自治破壊攻撃をくつがえすための学生大会にむけた激闘など、たたかう学生の獅子奮迅の闘いが画面にあふれでる。
 今春期、各学園で闘いの組織化に活用した『解放』の新入生歓迎特集「ロシアのウクライナ侵略に反対しよう Q&A」の紙面や、ウクライナの左翼機関紙・誌に掲載された全学連のデモや集会の写真もまた画面に鮮やかに映しだされた。誰も彼もが身をのりだしてその映像に見入り、たたかう学生の奮闘に万雷の拍手を送ったのだ。
 いよいよ集会実行委員会を代表して同志・西岡透が基調報告にたった。
 「ウクライナの労働者・人民と軍の勇猛果敢な総反攻に追いつめられたプーチン政権とロシア軍はその内部に亀裂が生じ、ついにFSB強権型支配体制の崩壊が始まった。今こそわれわれは、日本の地において、ウクライナ侵略に反対する大衆的闘いをつくりだし、この闘いを全世界に波及させ、プーチンのロシアを労働者・人民の怒りで包囲しようではないか!」「よーし!」参加者がいっせいに呼応し、会場は一気にたたかう熱気に包まれる。
 六月、みずからの私兵であるワグネルの逆襲に驚愕したプーチンは、モスクワから逃げだし、プリゴジンを処罰することもできない惨めな姿をさらけだした。「ワグネルの反乱」の動きを国家安全保障会議書記パトルシェフは事前に知っていた。知らなかったのは裸の皇帝<vーチンだけだ。
 プーチン一派とパトルシェフ一派の抗争というロシア国家権力の内部対立がいまや白日のもとにさらけだされた。「『ワグネルの反乱』は、まさにプーチンを表看板とするFSB強権型支配体制の終わりの始まりを象徴する事態なのだ。」
 同志・西岡は言を強くして訴えた。「わが反スターリン主義運動の創始者である黒田さんがロシアの国家支配体制をFSB強権型支配体制と規定し暴きだしてきたことの的確性は明らかではないか。」「そうだ!」満場から圧倒的拍手がわきおこる。
 ロシアによるウクライナ侵略戦争を決定的区切りとして、東アジアでも台湾と朝鮮半島をめぐる軍事的緊張が一気に高まっている。「台湾併呑」を狙う中国・習近平政権は、核戦力を強化し威嚇的軍事行動をくりかえしている。朝鮮半島では、北朝鮮・金正恩政権がロシアの技術援助をえて核ミサイルの開発・配備をすすめ弾道ミサイルを連続的に発射している。
 これに対抗して、アメリカは核ミサイルを搭載した米戦略原子力潜水艦「ケンタッキー」を韓国・釜山に入港させ米韓の核軍事同盟強化の策動を加速している。バイデン政権は、もはや一国の力では中国を抑えこむことはできないがゆえに、「統合抑止」の名のもとに同盟国を動員し対中・対露・対北朝鮮の軍事的包囲網づくりに狂奔している。
 そして、アジア太平洋版NATOの中核としての日米軍事同盟の強化に突進しているのが岸田政権だ。首相・岸田は、「安保三文書」でうちだした国家安全保障戦略にのっとって、軍拡財源確保法と軍需産業支援法を制定した。先制攻撃体制を構築するために、南西諸島へのトマホークや長射程ミサイルの配備に狂奔している。軍事強国化の道を突き進み、それにふさわしいネオ・ファシズム憲法を制定する策動を強めている。第九条の破棄と首相に「非常大権」を付与する緊急事態条項新設を核心とする憲法大改悪を策している。
 同志・西岡は、現代世界の様相を鋭くえぐりだし、そして力強く訴える。「ロシアのウクライナ侵略を発火点として、現代世界は、米・欧・日と中・露との角逐が一気に激化して熱核戦争勃発の危機が高まっている。この危機を突破するためにわれわれは、全世界のたたかう労働者・人民と連帯し、その最先頭でたたかおうではないか!」

労働者代表と全学連委員長が闘志あふれる決意表明

 
 今春・夏の全学連の闘いの報告に会場から盛大な拍手
(8月6日、東京)
 集会の最後に、全学連の有木委員長が白ヘル姿で登壇した。彼は開口一番、全学連が七月二十三日、侵略者プーチンへの煮えたぎる怒りに燃えてロシア大使館にたいする抗議行動に勇躍決起し、「今こそ<プーチンの戦争>にとどめを刺せ!」という戦闘宣言を叩きつけたことを報告した。
 「ロシア労働者・人民よ、今こそ<ウクライナ侵略反対―FSB強権型支配体制打倒>に起ちあがろう!」「ウクライナ人民は、ロシア人民と連帯し、侵略軍を叩きだせ!」この革命的左翼の呼びかけをロシア・ウクライナの地になんとしても届けるのだ、反スターリン主義革命的左翼の一翼を担うものとしての責務をかけてたたかいぬいた、と力強く表明した。この闘志みなぎる報告に参加者は一段と盛大な拍手を送った。
 またこの五、六月に岸田政権は軍拡二法や改定入管法など反動諸法の一挙的な制定に猛突進した。この極反動法案の採決をまえにして一切の大衆的な反撃の闘いを放棄しさったのが、日本共産党・志位指導部だ。日共官僚どもは、松竹に煽られる右派党員を抱え、ウクライナ侵略の評価をめぐっても深刻化する党の四分五裂に怯えて、大衆運動場面から完全逃亡したのだ。
 有木委員長は誇らかに強調する。「この日共中央の度し難い闘争放棄と、大軍拡を黙認する『連合』芳野指導部を怒りを込めて弾劾し、わが全学連は全人民の最先頭で、岸田政権の大軍拡反対の闘いを『日米グローバル同盟粉砕』の旗幟鮮明にたたかいぬいた。」「まさに既成反対運動の総死滅≠ニいうべき日本階級闘争の萎靡沈滞を突き破り、戦闘的・革命的労働者とともに固く連帯してたたかいぬいたのだ」と。
 こうした闘いを創造しているがゆえにこそ、憎悪をたぎらせた岸田政府・文科省が反動大学当局を突き動かして革命的学生運動を破壊するための攻撃を一挙に強めている。闘いの先頭に立ってきた愛知大学学生自治会のリーダーたちを「えん罪」をデッチあげて「退学」に追いこむという攻撃をしかけてきたのが愛知大当局だ。こうしたネオ・ファシズム的な攻撃を打ち砕くために、全学連の学生たちは敢然とたたかっているのだ。
 「わが全学連は、反戦全学連の責務に燃えて、アジア全域をまきこむ熱核戦争勃発の危機を突き破るために断固としてたたかいぬく。いまこそわれわれは、岸田ネオ・ファシズム政権の打倒めざして突き進もうではありませんか!」有木委員長の気概あふれる報告に、割れんばかりの拍手が鳴りやまなかった。
 たたかう熱気が渦巻くなかで、司会の同志が閉会を宣言した。「今ほど私たち一人ひとりがスターリン主義を場所的に超克し、反スターリン主義者として飛躍すべきときはない。黒田さんが明らかにした反スターリン主義の思想で武装し、現代世界の変革に仲間とともに邁進せん。ともにたたかおう!」
 集会のしめくくりはシュプレヒコールとインターナショナル斉唱だ。舞台上に真紅の旗を手にした労働者・学生が登場し演壇をとり囲む。全学連委員長の音頭に参加者はこぶしを突きあげ、たたかう学生の歌にあわせて会場が一丸となって手拍子で呼応する。全参加者は、明日からの職場・学園でのさらなる闘いにうってでる決意をうち固め集会を大成功のうちにしめくくったのだ。

米日韓首脳会談反対! 憲法改悪阻止! 岸田政権打倒めざして闘おう!

 米―中・露激突下で東アジアにおいて熱核戦争が勃発する危機がいよいよ高まっている。既成指導部が反戦闘争の組織化をいっさい放棄している惨状をつくりかえ、今夏・今秋の闘いを断固としてたたかいぬこう。
 すべてのたたかう労働者・学生諸君! 今国際反戦集会においてわれわれは、プーチン・ロシアの蛮行を打ち砕くウクライナ反戦闘争をさらに推進することを誓いあった。ウクライナとロシアの労働者・人民との連帯を強化し、労働者階級の国際的団結の力で<プーチンの戦争>を最後的に打ち砕け!
 バイデン政権は今、米日韓三角軍事同盟の構築・強化に血道をあげている。バイデンは、今月十八日に尹錫悦と岸田をキャンプ・デービッドに呼びよせ米日韓首脳会談をおこない、三ヵ国の同盟関係の強化を謳いあげようとしている。この米日韓三角軍事同盟や米英豪の核軍事同盟AUKUSを基軸としてアジア太平洋版NATOを構築・強化し、NATOとリンクさせるかたちで対中露のグローバル核軍事同盟をつくりあげようとしている。この策動を阻止するために、8・18米日韓首脳会談に断固として反対しよう!
 米日韓三角軍事同盟の核軍事同盟としての飛躍的強化を打ち砕け! アジア版NATOの構築反対!
 中国・習近平政権の「台湾併呑」を狙った軍事的威嚇に反対しよう! ネオ・スターリニスト政権による反プロレタリア的策動を怒りを込めて弾劾せよ! 習近平とプーチンとが結託しての中・露の合同軍事演習を許すな!
 米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突破する革命的反戦闘争の火柱を燃えあがらせよう。
 岸田政権の改憲・大軍拡の一大攻撃を打ち砕け! 日共・志位指導部の「反安保」なき改憲反対運動をのりこえ、「連合」右派労働貴族の改憲翼賛を弾劾したたかおう。安保同盟強化に突進する岸田ネオ・ファシズム政権の打倒にむけて、労働者・学生の階級的団結を強化せよ! 本集会の成功にふまえ、闘いの爆発をかちとろう!

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8・18米日韓首脳会談反対!

アジア版NATOの構築・強化を許すな


 八月十八日にアメリカ大統領バイデンは、日本の首相・岸田および韓国大統領・尹錫悦をワシントン郊外のキャンプデービッドに招いて、米日韓首脳会談を開催しようとしている。この会談についてバイデン政権は「三ヵ国関係の新たな一章を祝う歴史的な会談」(NSC報道官カービー)などと前宣伝している。従来は国際会議の合間におこなってきた米日韓首脳会談を、バイデンは今回はじめて単独で開催する。しかも大統領の山荘に招待するという異例の厚遇を岸田と尹に与えたのだ。これはバイデンが二人に授ける褒美≠ナあり、さらなる軍事的経済的負担を両者に約束させるためのものでもある。
 「今日のウクライナは明日の東アジア」とうそぶいて安保三文書を策定し、日米同盟をグローバルな対中・対露攻守同盟たらしめるために大軍拡とその費用=軍事費のGDP比二%までの増額に突進している岸田。文在寅前政権の容北・親中%I政策を全面的に転換し、米ミサイル防衛システムへの参加、対日軍事協力の再開=米日韓三角軍事同盟の復活・強化にふみきった尹錫悦。この二人を招く三国首脳会談をバイデンは、米日韓軍事同盟をより一段と飛躍的に強化する出発点たらしめようと企図しているのである。
 二十一世紀世界の覇権奪取をめざして軍事・政治・経済のあらゆる部面において対米挑戦に狂奔する習近平・中国。これを独力で封じこめる力を喪失した没落軍国主義帝国アメリカのバイデン政権は、東アジアにおける対中・対露・対北朝鮮の軍事包囲網を構築・強化するために、米日・米韓の軍事同盟にもとづいて日韓両国の軍事力・経済力・技術力を動員することを企んでいるのだ。
 バイデン政権はこの首脳会談の共同声明に次のような諸項目を盛りこむことを狙っている(英紙『フィナンシャルタイムズ』七月二十九日付などで報道)。その概要は、@韓・日が攻撃を受けた場合にアメリカとだけではなく日・韓が相互に軍事協力を協議することを義務づける、A三国首脳間の「ホットライン」の開設、B米日韓合同演習とミサイル防衛の強化、そしてC経済安全保障およびサイバーセキュリティにかんする協力強化、である。
 @は、たとえば「朝鮮有事」においては米軍とともに日本国軍が参戦する、あるいは「南西諸島有事」においては米軍とともに韓国軍が参戦するという「集団的自衛権」にもとづくNATO型の同盟に道を開くものだ。この「協議義務」について韓国の国家安保室長・趙太庸(チョ・テヨン)が「そのような文言は〔今回の共同声明には〕入りそうにない」と語っているように、この項目の合意を、さしあたり今回の首脳会談では先送りにすることを尹政権はバイデン政権に要請している。とはいえ、米日韓の軍事同盟を実質的に集団的自衛権にもとづくNATO型のそれに変えていくことが三国間の協議の議題となっていることは明らかではないか。
 すでにこのかん米・日・韓の権力者どもは、対北朝鮮のミサイル防衛と対潜水艦演習に限定して三国共同演習を定例化させてきた。それをさらに陸海空全領域での合同軍事演習へと拡大し・かつ定例化することを、アメリカ国防総省が提案している(七月二十一日発表)。おそらくは米日韓の三国にオーストラリアやイギリスなどをも加えたかたちでの多国間合同演習の定例化を米国防総省は構想しているにちがいない。
 このようにバイデン政権は、アメリカを三角形の頂点にして米日と米韓の両軍事同盟を結びつけてきた従来の米日韓三角軍事同盟を、文字通りの三国核軍事同盟として、しかも米・豪・英の核軍事同盟「AUKUS」と一体化したアジア太平洋版NATOと呼ぶべきものへと飛躍的に強化することを企んでいるのだ。そのための跳躍台として今回の三国会談を位置づけているのである。この策動はまさしく、東アジアにおける米・日・韓―中・北・露の軍事的角逐の炎に油を注ぎ熱核戦争勃発の危機を一気にたぐり寄せる重大な意味をもっているのである。

野党・労組弾圧に狂奔する尹政権を支える米政府

 加えてバイデン政権は、尹政権にたいして「経済安保」についての米日韓の結束強化を迫っている。先端半導体生産にかんする同盟たる米・日・台湾・韓国「Chip4」への韓国の本格的参加を、すなわち半導体製造技術の中国への移転・漏洩の全面禁止を要求するにちがいない。これを全面的に呑むことについては、中国に巨費を投じて半導体製造工場を建設してきたサムスン電子やSKハイニックスさらに中国を最大の輸出市場としてきた韓国の資本家階級が抵抗している。それゆえ一定の猶予と例外措置を尹政権は米政府に求めている。それとひきかえに尹錫悦は、米韓軍事同盟の強化にかんするアメリカの対韓要求を全面的に呑んでいるといえる。
 この米韓同盟を基礎にして尹錫悦政権は、対北朝鮮の強硬策に狂奔しているのだ。同時に国内にむけては議会内多数を握る野党「共に民主党」や文在寅前政権を支えてきた民主労総などを「反米・反日・親北勢力」と烙印し、強権的弾圧に狂奔している。おそらくはこれに米CIAが手を貸していると推測できる。
 米・日との結託強化に突進する尹錫悦政権は、「元徴用工」問題を日本軍国主義の犯罪を居直る日本政府に全面屈服するかたちで「解決」したことを出発点にして、「軍事情報相互提供協定」(GSOMIA)の文在寅政権による停止宣言を撤回して効力を復活させるなど、韓日の条約なき軍事同盟関係の構築に――岸田政権と連携して――狂奔しているのである。
 今回の首脳会談の場を利用して岸田は、東電福島第一原発の放射能汚染水を海洋放出することへの米・韓両政府の最終了解をとりつけ、もって八月下旬にも汚染水放出にふみきろうとしている。断じて許してはならない!

 すべての労働者・学生諸君! 8・18米日韓首脳会談に断固反対せよ! 米日韓三角軍事同盟=核軍事同盟の飛躍的強化を許すな! アジア太平洋版NATOの構築・強化の策動を打ち砕け! 日米軍事同盟強化反対の闘いを完全に放棄する日共・志位指導部を弾劾し、辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとする闘いを断固として推進せよ! いまこそ「日米グローバル同盟反対!」の旗高く、反戦反安保闘争の炎を高々と燃えあがらせよう!
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続発するマイナンバーカード関連トラブル

岸田政権によるカード取得の義務化を許すな!


労働者に責任転嫁する岸田政権を許さない
 マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いで明らかとなっている。マイナ保険証で病院に受診しようとしたら別人の情報が登録されていた、あるいは保険加入資格を確認できずに医療費が十割負担にされた、または別人の受診履歴をもとに薬剤が処方されたなど、その数、政府発表でさえ実に七三〇〇件以上にのぼる。いまや、カード返納者が続々と増えている。
 このような事態に直面したデジタル相・河野は、「返納したからといって問題は解決しない」「問題は制度ではなく人為的ミスにある」と、自治体と健康保険組合の職員にいっさいの責任を転嫁している。だが、これらトラブルの詳細をみれば、いっさいの責任はマイナンバー制度の構築に狂奔する政府にあることは一目瞭然なのだ。
 デジタル庁は、医療保険を運営する地方自治体や各健康保険組合にたいして、マイナンバーと医療保険の加入者情報を紐づけるさいには「基本情報を使って照合せよ」と指示をだした。この「基本情報」とは、「漢字氏名、カナ氏名、性別、生年月日、住所」であり、厚生労働省は、これらの情報を健康保険組合が基準通りに確認しなかったことがトラブル発生の原因であるなどと、健保組合などに責任を転嫁している。
 しかし医療保険制度の管理・運営は、国民健康保険の広域連合や大企業の労働者が加入している健康保険組合、共済組合、協会けんぽなど、実に多くの団体によりおこなわれている。もともと、それぞれの健康保険組合などが保有している個人情報(特に住所)は、自治体に届けられている情報とは必ずしも一致しないのだ。住所変更や住居表示の変更が反映されていないケースもあれば、アパートやマンションの名称・部屋番号の表記や、○丁目○番地などの表記方式が違うなど、住所の不一致≠ヘごまんとあるのだ。これらの情報の不一致に突きあたるたびに、健康保険組合の職員は紐づけの作業を中断し、情報の確認をしなければならない。
 しかも、岸田政権がマイナンバーカードの普及率を上げるために、期間限定のマイナポイント付与をエサにしてカードの取得を急げ≠ニ大宣伝した。自治体のマイナンバーカード担当窓口に住民が殺到し、カード作成と同時に医療保険との紐づけを申請する数も倍増した。申請が短い期間に一挙に集中したのだ。そうであるがゆえに、健康保険組合などの多くが、膨大な業務をスピードアップするために、氏名・性別・生年月日の三点の情報のみを確認するとしてきたのだ。自治体に届出されている住所と健康保険組合で掌握している住所が合致していることは前提とされた。「人為的ミス」の一言で片づけられることでは決してない。多くのトラブルを発生させたのは、この岸田政権による強引なマイナンバーカード普及策にほかならないのだ。
 そもそも、医療保険や年金など、住民の個人情報はそれぞれの機関において、それぞれのルールのもとで管理・運営されてきた。ところが岸田ネオ・ファシズム政権は、これらの情報を紐づけ、無理矢理に一元的に管理しようと目論んでいる。明らかに、マイナンバーカードをめぐるトラブルの続発は、政府により引き起こされている事態なのだ。「マイナンバー制度そのものには問題はない」などと居直り、トラブルの一切の責任を自治体や健康保険組合の労働者に転嫁している岸田政権を、決して許すことはできない。

マイナンバーカード義務化の狙い
 許しがたいことに首相・岸田ならびにデジタル相・河野は、「デジタル行政改革」を推進すると叫びたてながら、医療保険情報をはじめとした公共サービスに関連する二十九情報のマイナンバーへの紐づけを強行し、今まさにカード取得の義務化と健康保険証の廃止に突進している。岸田政権は、個人番号に紐づけたすべての個人情報を一元的に管理し、労働者・人民を総監視=総管理するという、ネオ・ファシズム支配体制の確立に狂奔しているのだ。
 岸田は、マイナンバーカードを「デジタル社会のパスポート」だという。つまりこの「パスポート」がなければ生活できない社会をつくりだすという謂いにほかならない。すべての住民がカードを使わないと行政サービスを利用できなくなる「デジタル社会」――これを目指す、と。
 それは行政サービスにたずさわる自治体労働者にとっては、一定の専門的知識と熟練≠ェ要請されてきた行政事務が、デジタル技術を駆使することによりマニュアル化され、単純作業に置き換えられるということだ。政府は、行政のデジタル改革(機構・組織の改編・簡素化)を強行することにより、熟練労働者の駆逐、正規雇用労働者の非正規雇用への置き換えなどを強行し、自治体労働者の人員削減を目論んでいるのだ。
 政府がマイナンバーカードを義務化する狙いはそれにとどまらない。
 現在、カードのICチップに搭載されている電子証明書という本人確認機能を使って、銀行のオンラインサービスを利用する時や携帯電話を契約する時などの本人確認が、民間企業でもおこなわれている。政府は民間企業に、このマイナンバーカードを使っておこなう公的認証サービスの利用を奨励してさえいる。だが、このICチップに搭載されている電子証明書は、総務省のマイナポータル(個人番号や医療情報を含む二十九情報に紐づけられたプラットフォーム)にログインする際の利用者確認の機能をもっている。同時に民間企業が提供する諸サービスを利用する際の本人確認にも使われる。官民がそろって電子証明書が使えることで、官民統一のプラットフォームができあがる。公的サービス以外の民間の諸サービスをつうじた個人情報の集約・管理も可能となるのだ。
 すでに政府は、民間企業がこれらの個人情報を利活用するために桎梏となる各自治体の個人情報保護条例などを、国の新たな個人情報保護法のもとに統一した。情報保護の規制を完全に緩めたのだ。また、今回、マイナンバー法が改定されたことにより、個人番号に紐づけられたデジタルデータを利活用する範囲や事業を拡大する場合に、これまでは法律の改正が必要であったものを「政省令」で可能とするとされた。まさに時の政権の意向で自由に制度を変更することのできる手段を、岸田政権は手に入れたのだ。
 岸田政権は、マイナンバーカードを取得しないと、住民が行政サービスや福祉・医療サービスを受けることすらできなくなる、民間企業が実施する民間のサービスをも利用できなくなる、そういう制度を構築しようとしているのだ。そうすれば、政府・NSCは、誰が・いつ・どこで何のサービスを受けたかを把握できるようになる。マイナンバーカードをもっている人が、今・どこで・何をしているのかを、中国政府がそうであるように、監視し、プロファイリング(趣味、思想、交遊関係をふくめた)できるようになるのだ。
 岸田政権は、このような「デジタル社会」を実現するために、人民から搾り取った税金を投入して、デジタル化をすすめる自治体には交付金を、民間企業には補助金をばらまいている。デジタル化に必要不可欠な半導体を手に入れるために、半導体産業などには莫大な補助金をだしている。岸田政権は、大軍拡・改憲と表裏一体となった「社会のデジタル化」を、膨大な国家資金を投入して実現しようとしているのだ。この攻撃の要としてのマイナンバーカードの義務化を打ち砕こう!

高齢者・障害者無視のなりふりかまわぬマイナの手直し
 マイナンバーと個人情報の紐づけにかんする混乱が続いている。岸田政権は、この原因を「人為的ミス」と強弁し、自治体や健康保険組合などの労働者に責任を転嫁している。それだけではない。紐づけ作業を担った自治体や健康保険組合などに泥縄的な「総点検」の号令を発したのだ。これによって当該職場で働く労働者は、通常業務があるうえにさらに、一方的に期限を定められた「総点検」業務に駆りたてられ膨大な作業を担わされるのだ。政府はあくまでも、マイナンバーカードと健康保険証を一体化するとして従来の健康保険証の廃止を強行しようとしているのである。
 この岸田政権にたいして、認知症や障害をもつ人たちが入居している福祉施設からは「入居者たちのマイナンバーカードの暗証番号を管理できない」と、いっせいに声があがった。自身でマイナンバーカードを取得した高齢者たちからも「暗証番号を覚えられなくて保険証が使えない」などの不安や不満が噴出するなど、いたるところで岸田政権にたいする反発が渦巻いている。
 これらの諸問題がマイナンバーカードと健康保険証の一体化ならびに従来の健康保険証の廃止の阻害要因となること、さらには岸田政権の延命じたいが危うくなることに危機感をもった政府は、驚くべき方針をうちだした。総務相・松本が、今年十一月には暗証番号を設定しなくてもマイナンバーカードの申請や交付ができるようにすると表明したのだ。いわく、「暗証番号を設定しない場合はマイナポータルの利用はできないが、健康保険証と一体化されたマイナカードは顔認証や目視で本人確認をおこない保険証として使うことができる」、「こうした取り組みによって、多くの人がカードを取得する環境整備を進める」、と。
 しかし、これほど医療や福祉の現場が理解できていない場当たり的な対応はない。マイナ保険証で受診するためには顔認証付きカードリーダーが設置されている医療機関に本人が行き、顔認証をやらなければならないが、施設にはそこに行くことすらままならない人たちが大勢いる。そもそも、顔写真を添えてマイナンバーカード作成を申請し役所に出向いて本人確認にもとづいてカードを受け取るということが施設入所者には難しいのだ。
 また、たとえマイナンバーカードを受け取れても「健康保険証との一体化」を、誰がどのようにおこなうのかは示されていない。通常は、マイナンバーカードへの健康保険証の利用登録は、カード所有者本人がマイナポータルから個人認証にもとづいておこなう。だが、顔認証付きカードリーダーもない施設に入居する体の不自由な人たちはどうなるのか。暗証番号を使わずに、つまり個人認証の方法がないままにマイナカードを「保険証として使う」手続きを誰がおこなうというのだ。施設で働く労働者に責任を押しつけるつもりなのか。
 問題はこうしたことにとどまらない。暗証番号はいうまでもなく個人識別のためのものであり、個人でおこなうことのできるセキュリティ対策である。政府はマイナンバーカードが安全であることの証として「誤った暗証番号を複数回入力するとロックされる」ことを強調してきた。にもかかわらず、セキュリティ対策の根幹である暗証番号を設定しないマイナンバーカードを交付するということは、個人情報がダダモレになるであろうことが歴然としている。すなわち、岸田政権は、国民皆保険制度のもとで誰もが必要な健康保険証を人質としたマイナンバーカードの取得義務化を個人情報保護など二の次三の次でなりふりかまわず強行する、ということにほかならない。マイナンバーを使った個人情報の国家による一元化=総監視を許すな。
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7・26大阪


「プーチンの戦争を打ち砕け!」

関共闘が露総領事館に抗議

 七月二十六日、全学連関西共闘会議のたたかう学生は、<プーチンの戦争>を最後的に打ち砕くために、在大阪ロシア総領事館にたいする抗議闘争に断固として起ちあがった。
 午後三時半、関西のたたかう学生は、豊中市のロシア総領事館前に断固として登場した。赤ハチマキとゼッケンで身を包んだ学生たちは「<プーチンの戦争>粉砕!」と赤字で大書された横断幕を掲げ、怒濤のシュプレヒコールを叩きつけた。「プーチン政権による無差別攻撃弾劾!」「ロシア軍による黒海の封鎖弾劾!」「困窮人民を餓死に追いやるプーチン政権弾劾!」「戦うウクライナ人民と連帯してたたかうぞ!」三色旗がはためくロシア総領事館はたたかう学生の怒りの炎に包みこまれる。
 ロシア総領事館にたいする抗議闘争を終えた学生たちは、午後五時、JR天王寺駅前に登場した。学生たちは、「<プーチンの戦争>粉砕! 改憲阻止! 日米グローバル同盟反対!」と大書された横断幕を掲げるとともに、「戦うウクライナ人民と連帯していまこそ<プーチンの戦争>を打ち砕こう! 岸田政権による大軍拡・改憲・安保強化に反対しよう!」と呼びかける関西共闘のビラを配布しながら、行き交う労働者・市民に闘いへの決起を訴えた。
ロシア総領事館に怒りの拳を叩きつける全学連関西共闘の学生
(7月26日、豊中市)
   熱きアジテーションがJR天王寺駅前に響きわたる
(7月26日)
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