第2778号(2023年7月24日)の内容

<1面>
米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ!
 労学両戦線から大軍拡・改憲阻止の炎を!
<2面>
「大軍拡反対・改憲阻止!」
 闘う学生が香林坊デモ 7・2 金沢

SCO首脳会議―孤立する雷帝

<4面>
中国に対抗したインドのグローバルサウス抱き込み
<5面>
Topics 岸田政権の「職務給導入」提言
CO2地下貯留事業の反人民性
松竹問題で意気消沈――沖縄の日共
<6面>
「防衛技術指針」――「軍民融合」の軍事技術開発に突進
中国のガリウム・ゲルマニウム輸出規制
海自がインド太平洋派遣訓練
<3面>
万華鏡2023――情勢の断層を読む
アッバス‐習近平会談
台湾総統選
イラン・アフガン「水争い」

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号































  

米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ!

労学両戦線から大軍拡・改憲阻止の炎を!


対中対露グローバル核軍事同盟構築への突進
 
――NATO首脳会議

 バルト三国のリトアニアの首都ビリニュスで開かれたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議(七月十一〜十二日)において加盟国の権力者どもは、共同声明に「中国の野心と威圧的政策は、NATOの利益や安全、価値観への挑戦である」とうたい、NATO同盟として結束して習近平の中国と対抗する意志を鮮明にした。昨年六月の首脳会議において、「中国は体制上の挑戦」と記した「新戦略概念」をうちだし中国に政治的軍事的に対抗することを位置づけたNATOは、今回の首脳会議をもって、対ロシアのみならず対中国の軍事戦略を位置づけたグローバルな核軍事同盟として飛躍的に強化されたのだ。
 そのことは、「インド太平洋はNATOにとって重要な地域」と宣言し、この会議に参加したオーストラリア・日本・ニュージーランド・韓国の「アジア太平洋四ヵ国(AP4)」権力者とのあいだで、旧来とり結んでいた「国別パートナーシップ協力計画」(IPCP)を発展させた「国別適合パートナーシップ計画(ITPP)」をとり交わしたことに端的に表現された。この新たな合意文書において、NATOとこれら四ヵ国は、「相互運用性」の名のもとに、軍事情勢認識上および軍事作戦行動上の一体性を確立することを規定したのだ。
 NATO東京連絡事務所の設置については、ゴーリズムの継承者を自負して「対米追随」を拒否し中国との独自の外交・貿易関係の維持をもくろむマクロンのフランスが反対したことのゆえに、無期延期となり頓挫した。とはいえ、NATOとこれら「AP4」の権力者どもは、NATOをアジア太平洋を含むグローバルな核軍事同盟として強化する合意をとり交わしたのだ。
 それとともにNATOは、ウクライナへの軍事侵略を現に強行しているプーチンのロシアに対抗するために、フィンランドの加盟につづいてスウェーデンの加盟を決定した。トルコのエルドアン政権が、アメリカからのF16戦闘機の供与確約と引き替えにスウェーデンの加盟容認に転じたことのゆえに、NATOの三十二ヵ国への拡大が現実のものとなったのだ。
 そのことによってNATOは、バルト海に面するロシアの地域をすべてNATO加盟国で包囲することになり、第二の首都<Tンクトペテルブルグや飛び地カリーニングラードはNATOの海≠ノ完全にとり囲まれることになった。「NATOの東方拡大阻止」を名分にウクライナ侵略にふみきったプーチンは、みずからの誤算の結果をまざまざと突きつけられることになったのだ。
 またNATOは、今回の首脳会議で「地域防衛計画」をソ連邦崩壊以後初めて大幅に見なおし、欧州を北部・中央部・南部の三地域に分けて部隊と装備の配置を増強するとともに、加盟各国の国防費の水準を「GDPの最低二%」に引き上げた。
 NATO首脳会議に招待されたウクライナ大統領ゼレンスキーが求めていたウクライナのNATO加盟の問題をめぐっては、「全加盟国の同意」と「加盟の条件」が整ったあかつきにはウクライナを「招待」するという抽象的な文言だけにとどめ、それまでのあいだ、NATOに設置してきた既存の「ウクライナ委員会」を「理事会」に格上げし、ウクライナが招集してNATOに要望や意見を述べる場を設けることで最終合意した。
 それは、何よりもアメリカ・バイデン政権が、アジア太平洋において台頭する習近平中国を政治的・軍事的・経済的に封じこめる包囲網の構築を最優先し、ウクライナの「加盟」をうたうことは欧州正面におけるNATOとロシアの核戦争につながりかねないとみなして、これを回避することを強硬に主張したがゆえにほかならない。
 そしてウクライナの「加盟条件」(ロシアとの戦争終結)が整うまでのあいだの、ウクライナに武器支援を供与する枠組みづくりをめぐっては、ロシアからのガス輸入を維持したいハンガリーをはじめ加盟国としての財政負担の増大を嫌う一部諸国の反対により、NATOとしては合意することができず、G7を中心にした各国ごとのウクライナとの二国間とりきめによる支援の供与にゆだねることとなった。
 アメリカのバイデン政権は、このかん手控えてきた長射程ミサイルなどを当面ウクライナに供与する方向に転じはじめている。まさにいま、ウクライナ人民に支えられたウクライナ軍が、東部および南部地域の各前線において領土奪回の大規模な反転攻勢を開始している。このときを見定め、プーチンのロシアがFSB強権支配体制の動揺と混乱をあらわにしている機を逃さずロシアの弱体化を促進するために、ウクライナを利用する観点から武器支援を強化しようとしているのだ。
 だがそれは、あくまでも中国主敵の世界戦略を最優先し、プーチンを追いつめすぎて核兵器の使用という最後の手段≠ノ走らせることのない程度にロシアを弱体化させるかぎりで、ウクライナが求めている武器供与に応じるという、まさに国家エゴイズムむきだしの対応にほかならない。バイデン政権は、米大統領選挙戦が事実上開始される来年初め以降には共和党トランプ陣営が猛反対しているウクライナへの多額の武器支援ができなくなることをみこして、年内にもロシアとの停戦交渉の仲介にのりだす腹であることをCIA長官バーンズをつうじてゼレンスキー政権に伝え、年内いっぱいで反転攻勢を終結し停戦交渉を開始することをうながしている。
 まさにそれゆえにゼレンスキーは、各国の支援供与の約束には「感謝」を表明しつつも、「ウクライナは自国の領土を、NATO加盟権や『紛争の凍結』と取り引きするつもりはない」とあらためて強調しないわけにはいかなかったのだ(十二日、首脳会議閉幕時の記者会見)。
 NATO首脳会議は、バイデンを頭目とする米欧の帝国主義権力者どもの狡猾きわまる国家エゴイズムと御都合主義をあらためてむきだしにしたのである。

以下、見出し

アジア太平洋において激化する米・日―中・露の角逐

公然たる核威嚇を強めるバイデンのアメリカ

反戦反安保・改憲阻止の大闘争を巻きおこせ!

今こそウクライナ反戦闘争の大爆発をかちとれ!



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 SCO首脳会議

孤立する雷帝

とりしきる習近平


 七月四日に上海協力機構(SCO)首脳会議がオンライン形式で開催された(議長国・インド)。この会議は、かの「ワグネルの反乱」(六月二十四日)以降、プーチンが初めて出席する国際会議となった。「どのツラ下げて出てくるのか」と各国権力者が待ちうけるなか、画面に現れたプーチンの表情は、目もうつろで憔悴しきり。力のない声で、「SCO各国首脳がロシア指導部の行動を支持してくれたことに感謝する」などとつぶやくことしかできなかった。このプーチンの発言を、列席した中央アジア諸国をはじめとする権力者どもは、シラケきった表情で聞き流したのであった。
 プーチンが各国権力者に冷たい態度であしらわれたのと対照的に、各国権力者たちを前にして、「外部勢力がこの地域で『新冷戦』を強く煽ることに警戒し、内政干渉に断固反対する」とアジテーションをおこなったのが、習近平であった。ロシアの孤立ぶりを横目で見ながら、習近平は、いまやSCOにおける唯一の盟主≠ナあるかのようにおのれをおしだしたのであった。
 こうしたオンライン会合の様相が示すものは、中央アジア諸国(カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン)のロシアからの離反と、その反面での中国への接近にほかならない。
 旧ソ連邦構成諸国でありロシアの政治的・軍事的な統制を受けてきた中央アジア諸国は、ロシアによるウクライナ侵略の開始以降、「ロシアは同じ論理で自国を侵略してくるのではないか」とプーチン政権への不信感を募らせてきた。とりわけ、カザフスタン大統領トカエフは、ロシア・ベラルーシ・カザフスタン三国の「核共有」というベラルーシ大統領ルカシェンコの提案を拒絶したのである(今年五月)。彼はまた、「ドネツク・ルガンスク人民共和国の独立承認」問題をめぐっても、公然とプーチンを批判し反旗を翻してきた(昨年六月)。このトカエフをはじめとする中央アジア諸国権力者は、支配体制そのものの揺らぎを露わにしたプーチンを、いまや見限りつつあるのだ。〔ちなみに、トカエフは「プリゴジンの反乱」に直面したプーチンの支援要請を、「これはロシアの内政問題だ」とにべもなくはねつけたという。昨年一月には、自国の反政府運動の鎮圧をテコにしてナザルバエフ一派を権力から一掃した際にプーチンに支援を仰いだ過去があるにもかかわらず。〕
 プーチン・ロシアにたいする中央アジア諸国権力者の反発の高まりをにらみながら、これらの諸国を「反米」の政治的陣形に組みこんでゆくために、さらには「一帯一路」を看板とする中国主導の経済圏に組みいれてゆくために、「領土的一体性の保全」を掲げてみずからのもとに束ねる追求をおしすすめてきたのが、中国の習近平政権だ。そのことを全世界に知らしめたのが、中国の「いにしえの都」西安において、唐と北方・西方の諸民族との「冊封」関係を現代によみがえらせるかの演出をこらして開催された中央アジアサミットにほかならない(五月、SCOに加盟する先の四ヵ国およびトルクメニスタンが参加)。ロシアを除くSCO発足時からの全加盟国を集めた枠組みを、わざわざSCOとは別に発足させたことのなかに、ロシアに代わって中央アジア諸国を束ねてゆくという習近平の企みが如実に示されているのだ。
 かつては中露を二大大国とする反米の政治的・軍事的な枠組みとしてつくられてきたのがSCOであった。だがいまやSCOは、イランの正式加盟に示される外見上の「拡大」にもかかわらず、その内部における軋みを露わにしている。それは、二大大国の一角をなしていたロシアが、ウクライナ侵略戦争において敗走し支配体制の動揺に叩きこまれているがゆえにもたらされているのだ。

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 中国に対抗した「グローバルサウス」諸国の抱き込み

インド・モディの「戦略的自律」外交

 五月二十二日に、インド首相モディは、南太平洋のパプアニューギニアにおいて、太平洋島嶼国十四ヵ国の権力者を集めて「インド太平洋島嶼国協力フォーラム(FIPIC)」の首脳会合を開催した。ここでモディは、太平洋島嶼国が抱える気候変動・海洋環境悪化や食料供給不安にたいする対応、医療体制強化や経済振興などへのインドの支援強化を約束した。このインドの大盤振る舞いにたいしてパプアニューギニア首相マラペからは、インドこそ「グローバルサウスのリーダー」だという賛辞が送られたほどであった。
 この会合と同じ場所で同日に、太平洋島嶼国権力者との会議をもちパプアニューギニアとの防衛協力協定を結んだのが、アメリカの国務長官ブリンケンであった。右のFIPIC首脳会合そのものが、モディ政権がアメリカ・バイデン政権との連携にもとづいて開催したことは明らかだ。バイデン政権とモディ政権はともに、この地域の権力者の抱き込みや企業進出を加速する習近平・中国に対抗するために、この地域の諸国にたいする経済・政治・安全保障上の「協力」を米・印が連携して強化することを謳う会議を同時開催したのである。
 こんにち中国・習近平政権は、経済援助にものを言わせて、太平洋島嶼諸国にたいして台湾との「国交断交」を迫り、中国海軍艦船の寄港承認などの軍事協力関係をもつくりだしつつある(ソロモン諸島など)。太平洋島嶼諸国をはじめ全世界の「グローバルサウス」と呼ばれる新興諸国・発展途上諸国の権力者をとりこむために、中国権力者は、「内政不干渉・発展権」の旗を振りつつ、経済支援を特定諸国・地域に集中している。この中国に対抗して「グローバルサウスのリーダー」たるの地位を獲得しようとしているのが、モディのインドなのである。
 そのためにモディ政権は、米・日・豪・印の「QUAD」の一員であり、また米・日・韓を中心とした経済・技術協力(とりわけ先端半導体製造・供給)の緩やかな枠組み≠スるIPEFの中心的な国であることを利用しているのだ。米・日との連携のもとでモディ政権は、中国がもたない先端的技術を餌にして、後進諸国権力者の抱きこみに狂奔しているのである。
 だが同時にインドは、中国主導の上海協力機構SCOおよびBRICSの一員でもある。ロシアのウクライナ侵略に制裁措置をとるという欧米諸国権力者の国連諸決議案にたいしてモディ政権は、一貫して、「国連決議にもとづかない制裁反対」を掲げる中国に同調して「棄権」の態度をおしだしているのだ。そして実際、インドはロシア産石油の輸入をウクライナ侵略前より十倍以上に増やしている。先進国の紛争によって被害を被っている後進国≠ニしての権利をば、後進国ナショナリズムにもとづいて主張してもいるのである。
 ロシアのウクライナ侵略を契機として激化した米―中・露の激突のもとで、モディ政権は、この機をインド国家の第三の超大国≠ヨの成長の絶好のチャンスとみなしているのだ。みずからを「グローバルサウスの旗手」であり「グローバルサウスと先進国との橋渡し」をなしうる国家とおしだしつつ、あくまでも自国の経済的・政治的利害の貫徹に狂奔しているのである。
 こうした対外政策を「戦略的自律」とシンボライズしているのが、インド外相ジャイシャンカルである。この「戦略的自律」と称するモディ流の対外政策は、米―中激突のもとでインドの国家的利害(大財閥などの支配階級の利害)をあくまで第一義とするものであり、「ヒンドゥー至上主義」にもとづくインド・ナショナリズムの外への貫徹にほかならない。

以下、見出し

1 「グローバルサウスの旗手」を自任

2 「第三の大国」への飛躍の野望

3 ヒンドゥー至上主義にもとづく苛烈な人民弾圧


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「大軍拡反対・改憲阻止!」

 闘う学生が香林坊デモ 7・2 金沢
 
 七月二日、金沢大学共通教育学生自治会の執行委員会が、岸田政権による大軍拡・憲法改悪とロシアのウクライナ侵略に反対する「7・2香林坊デモ」を開催した。たたかう金大生は、この日かけつけた早稲田大学と名古屋大学のたたかう学生とともに、軍拡二法など数々の悪法を制定し大軍拡・改憲に突進する岸田ネオ・ファシズム政権への怒りに燃えて、そしてウクライナの反転攻勢に追いつめられたプーチンによるカホフカダム爆破を弾劾しザポリージャ原発への攻撃を許さない決意に燃えて、デモに決起した。  
 金沢大・早大・名大の学生が金沢市街をデモ(7月2日、香林坊)

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