第2769号2023年5月22日)の内容

<1面>
アジア太平洋版NATO構築のための
G7広島サミット反対!

<2面>
大軍拡財源確保法の制定阻止!
「ロシアの敗北」を曝けだした5・9対独戦勝記念式典
<3面>
対中先制攻撃体制構築の基軸―米IAMD
太平洋の軍事拠点強化に狂奔するバイデン政権
<4面>
賃下げ妥結に怒りの声 メーデー
5・1「連合大阪」「連合石川」「愛労連」
<5面>
UAゼンセン指導部による超低額妥結弾劾!
Topics 「新しい資本主義実現会議」が「自己都合退職」のススメ
<6面>
ミャンマー軍政の人民大弾圧弾劾!
プーチン擁護のドイツ「左翼」
志位に怒る日共党員の会話
 「解放」最新号
























  



アジア太平洋版NATO構築のための

G7広島サミット反対!



 五月十九日に、米・日・英・仏・独・伊・加など各国の権力者が広島の地に集結しG7サミットを開催しようとしている。
 <米・中激突>下で現代世界が熱核戦争勃発の危機に突入しているまっただなかで、「議長国」日本の首相・岸田は、バイデン政権とともに日米核軍事同盟の飛躍的強化に血道をあげている。「昨日のウクライナは明日の東アジア」などとうそぶきロシアのウクライナ侵略を最大限に利用しながら、歴代自民党政権が策してきた大軍拡と日米共同での敵基地先制攻撃体制の構築、憲法改悪などの画歴史的な大攻撃をふりおろし一挙になしとげようとしているのが岸田なのだ。
 それだけではない。「温暖化防止」だの「カーボン・ニュートラル」だのという今サミットでの「共同宣言」を大義名分として、岸田政権は、原発・核開発をあくまでも推進しようとしている。全世界的に核軍拡競争が激烈化し、いまや韓国権力者の内部からも北朝鮮に対抗するための核兵器保有の要求が高まっている。こうしたなかで、日本の独自核武装の野望をもたぎらせているのが岸田なのだ。「安倍さんもやれなかったことを俺はやる」などとうそぶきながら。
 この岸田を頭とする日本型ネオ・ファシズム政権の極反動攻撃を断じて許すな!
 わが同盟を先頭とするたたかう労働者・学生は、反戦反安保・改憲阻止の闘い、また、ウクライナ反戦の闘いを日夜わかたず創造している。四月二十二日、全学連のたたかう学生は、「先制攻撃体制の構築阻止」「憲法改悪阻止」「<プーチンの戦争>粉砕」を高だかと掲げて国会・首相官邸・アメリカ大使館にたいする断固たるデモンストレーションに決起した。そして、沖縄のたたかう労学は、「辺野古新基地建設阻止」「南西諸島の軍事要塞化反対」を掲げ4・25海上行動に続いて「5・15平和行進」に連続的に起ちあがった。
 すべての労働者・学生・人民諸君! 日米グローバル同盟粉砕! <米―中・露激突>下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ! ウクライナ反戦の闘いの大爆発を!
 <反安保>を放棄した日共中央を弾劾しのりこえ、「G7広島サミット反対」の闘いに起ちあがれ!

対中対露の核軍事包囲網の構築・強化
 今回のG7サミットにおいて、アメリカ帝国主義のバイデン政権は、「専制主義・権威主義」国家とみなした中国・ロシア・北朝鮮を封じこめるための軍事的・政治的・経済的の包囲網を重層的に構築するために、「法の支配にもとづく国際秩序の維持」の名のもとに独・仏などの欧州帝国主義諸国との結束を固め、またアジア諸国権力者との協調をはかろうとしている。
 そして、このバイデンの先兵として、対中・対露・対北朝鮮の核軍事包囲網の強化をG7で合意することに狂奔しているのが、「サミット議長国」日本の岸田政権である。
 今回のG7サミット開催にあたってバイデンとのあいだで最終的な腹合わせをするために、岸田は、その直前(五月十八日)に日米首脳会談を設定した。そこにおいて岸田は、バイデンとのあいだで、東アジアにおける対中・対露の多国間軍事同盟、すなわち「アジア太平洋版NATO」の中軸をなすものとして米日韓の核軍事同盟を――AUKUSなどとリンクしつつ――飛躍的に強化するという合意を改めて確認しようとしている。
 すでに、米韓両権力者は、首脳会談(四月二十六日)をワシントンで開催し、そこにおいて、核兵器搭載可能な米原子力潜水艦の韓国への派遣、朝鮮半島における核兵器使用に備えての・NATOの「核計画グループ」をモデルとした米韓の「核協議グループ」の創設などを合意した(「ワシントン宣言」)。
 この合意にもとづいて、サミットのアウトリーチ(拡大)会合に韓国大統領・尹錫悦を招請し、米・日・韓のあいだで対中国・対北朝鮮の核軍事包囲網の「対処力と抑止力」なかんずく「拡大抑止」=米軍の「核抑止力」の強化をうたいあげようとしているのが岸田なのだ。
 文在寅前政権の日韓GSOMIA破棄通告を区切りとして崩壊した米日韓三角軍事同盟の再構築を最優先せよというバイデンの要求に応えて、岸田政権は、米日韓の「抑止力と対処力」およびアメリカの「拡大抑止」の強化を確認するとともに、徴用工問題の政治的決着≠はかるために、尹錫悦との首脳会談を連続的におこなってきた(三月十六日、五月七日)。そこにおいて、岸田は、数多の朝鮮人民を日本に強制連行し重労働を強制した日本軍国主義の犯罪には頬被りしたうえで、口先だけで「心が痛む」などと表明してみせた。「歴代内閣の立場をひきついでいる」などと称して、一片の日韓共同宣言(一九九八年十月)をもって、かつての日本軍国主義の朝鮮半島への侵略戦争・植民地支配を傲然と居直り正当化しているのだ。
 今回のサミットにおいて、軍事的・政治的分野のみならず、「経済安全保障」の分野においてバイデン政権が、対中戦略の柱としているのが、中国の半導体をはじめとする高度技術のサプライチェーンを遮断することであり、5Gなどの国際市場から中国を駆逐することである。
 「技術強国化」を呼号しAI・量子・バイオといった軍事技術に直結する最先端技術開発を急進展させている習近平中国を排除し、高度技術開発・保護の協力体制、半導体や先端技術の開発・製造に不可欠のリチウムなど希少資源の世界的なサプライチェーンの確立・強化をバイデン政権は確認しようとしている。そのためにこそ、バイデン政権は、日本の岸田政権を従えながらサミットに直続して米・日・豪・印のクアッド首脳会談を開催しようとしている。
 同時に、アメリカおよび日本の権力者は、中国を最大の貿易相手としながらも、過度な中国依存≠ゥら脱却(「デリスキング」)する姿勢を強めているドイツ・フランスをはじめとする欧州諸国を、中国に対抗しての半導体などの先端技術のサプライチェーンおよび研究開発協力体制に抱きこんでいくことを策しているのである。
 それだけではない。バイデンとの腹合わせにもとづいて岸田は、四月末からアフリカ四ヵ国(エジプト、ガーナ、モザンビーク、ケニア)を訪問し、またG7サミットのアウトリーチ会合に途上国・新興国八ヵ国(インド、ブラジル、インドネシア、コモロ、クック諸島、オーストラリア、韓国、ベトナム)を招請している。
 「グローバル・サウス」と呼ばれるアフリカなどの途上諸国は、米欧諸国の対ロシア経済制裁が食糧・エネルギー価格高騰を招きよせたという反発を強めている。これらの諸国権力者・人民は、「人権と民主主義」をふりかざしている米欧帝国主義が中洋・アフリカにたいしてむごたらしい暴虐と収奪を強行してきたこと、この「ダブルスタンダード」にたいする怒りと不信を募らせてもいる。このゆえに、いまや多くのアフリカ・中洋諸国は、政治的には国連におけるロシア制裁決議に「棄権」を表明するなど、次々に中露主導の反米国家連合≠ノからめとられつつある。
 このような中・露の策動を突き崩し、より広範で緩やかな中・露包囲網を構築するために、途上諸国・新興諸国を米・日主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)や日本が世界銀行などとともに主催するアフリカ開発会議(TICAD)の枠組みに抱きこむことを策しているのだ。

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軍事強国化に狂奔する岸田ネオ・ファシズム政権

G7サミット反対! 反戦反安保闘争に起て!

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大軍拡「財源確保法」の制定を阻止せよ!

岸田政権の増税攻撃を許すな


「復興特別所得税」収入を軍事費に転用

 岸田政権は今国会において、巨額の軍事費をなんとしても確保するために「軍事費財源確保法」を成立させようと躍起になっている。労働者人民に犠牲を強いるこの反動法の成立を絶対に許すな。
 岸田政権は、昨年十二月に閣議決定した「安保三文書」にもとづいて、敵基地先制攻撃体制構築を基軸とする軍事強国化に突進している。アメリカ製殺戮兵器「トマホーク」の大量購入、長射程ミサイルの開発・配備などの財源として、二三年度の軍事予算を六・八兆円に大増額した。
 首相・岸田は、今後五年間で総額四三兆円を軍事費に投入し、二七年度にはGDP比二%の一一兆円に倍増(二二年度比)するとぶちあげている。この額は、アメリカ・中国に次ぐ世界第三位に相当する! この莫大な軍事費を確保するために、岸田政権が今国会での成立を狙っているのが「軍事費財源確保法」である。その柱として五兆円強の「軍事費強化資金」を創設し、そのうち三・五兆円を決算剰余金や歳出改革で充当し、残り一兆円強を増税で補填すると岸田は公言している。岸田政権は大軍拡のための財源を捻出するために労働者人民に重犠牲を強制する攻撃にうってでようとしているのだ。

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先制攻撃体制の構築・軍事強国化に反対せよ

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「ロシアの敗北」を曝けだした5・9対独戦勝記念式典



追いつめられたプーチンの悲鳴

 五月九日にクレムリンの赤の広場で開かれた対独戦勝利記念式典は、ウクライナに襲いかかったプーチンのロシアの惨たんたる敗北を象徴する惨めきわまりない儀式となった。
 プーチンの演説はわずか十分。暗殺を恐れ警護隊に囲まれて登壇したこの男は、憔悴しきった表情で次のような泣き言をくりかえした。――
 「わが祖国にたいして、またもや本物の戦争がしかけられている。」「西側エリートたちは相も変わらず、人々を煽って社会を分断し、血なまぐさい闘争を扇動し、憎悪とロシア嫌いと攻撃的ナショナリズムの種を撒き散らして、伝統的価値を破壊している。」「欧米の目的は、ロシアの崩壊と消滅であり、第二次世界大戦の結果を覆すことだ。」……
 一年二ヵ月ほど前に四方八方から一九万の侵略軍をウクライナになだれこませたことなどなかったかのように、ロシアはいま西側がしかけた本物の戦争から祖国を守るための防衛戦争を強いられているのだ≠ネどと黒を白と言いくるめる弁解に終始したのが、プーチンなのだ。国家の安全が危殆に瀕している≠ニ叫びたて、「大祖国戦争」を引きあいに出しながら国民にもっぱら「祖国愛をもて」と説教することに明け暮れたのだ。
 国外から賓客を集められないがゆえに、急きょCIS(独立国家共同体=旧ソ連邦構成諸国)の権力者たちを脅しをかけて引っ張りだしはした。「偉大なソ連邦」への郷愁をかりたて、「CISの結束」をとりつくろおうとするこの演出も、なんの役にも立たなかった。無理やり集められたこの連中は笑みのひとつも浮かべず、ベラルーシのルカシェンコにいたっては途中退場してしまった。動員された兵隊たちの、ロボットのように無機質な「ウラー」の声が虚ろに響くのみ。
 軍事パレードに登場した戦車はT‐34という八十年前の骨董品≠ェたった一両。航空機の一機も飛ばせず。まさしく、ウクライナ軍と人民の反撃に撃滅されて戦力喪失・兵器払底に直面しているロシア軍の惨状をみずから暴露するようなパレードであった。
 毎年おこなわれてきた戦没者遺族が遺影を掲げて行進する「不滅の連隊」の行事も、プーチン政権は、ウクライナでの膨大な戦死者の存在が露わになることを恐れてとりやめた。
 まさにこの式典は、この一年余にわたってウクライナ軍と人民の強烈な反撃のまえに敗北に次ぐ敗北を重ねてきたプーチンとロシア軍の、その追いつめられた姿を全世界に曝けだす儀式となったのである。

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「バフムト陥落」作戦の完全な破産

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対中(対露)の先制攻撃体制構築の基軸

バイデン政権の「IAMD」とは何か

 岸田政権が「国家防衛戦略」とともに閣議決定した「防衛力整備計画」(昨年十二月十六日)に、整備すべき「自衛隊の能力」の筆頭として「スタンド・オフ防衛能力」および「統合防空ミサイル防衛能力」の保有がうたわれた。
 その記述には、「ネットワーク化による効果的かつ効率的な対処の実現」とか「各種誘導弾システムをネットワークで連接する」とかというように、「ネットワーク」という用語がことさらに多用されている。
 こうした「防衛力整備計画」の記述は、アメリカ軍統合参謀本部が構築をすすめる「IAMD(統合防空ミサイル防衛)」の指揮統制体系――AI(人工知能)ソフトを組みこんだコンピュータ・ネットワークで構成される全地球的な規模のそれ――のもとに日本国軍をまるごと組みこむという、岸田政権・防衛省の意志を如実に体現しているといえる。

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米軍統合参謀本部のIAMD構想

米インド太平洋軍の「IAMDビジョン2028」
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UAゼンセン指導部による超低額妥結弾劾!

二三春闘を最後まで戦闘的に闘おう

 四月五日、UAゼンセン本部は「二三労働条件闘争三月末の妥結状況」を以下のように発表した。@四月三日十時時点で一一三万人強(約六割)の組合員の賃上げが決まった。A四一五組合の正社員組合員の妥結額(制度昇級=定昇、ベア等込)は一万二三五〇円(四・一六%)、このうち賃金引き上げ分は七七三一円(二・五四%)。B一一七組合の短時間(パートタイム)組合員の妥結額(制度昇級、ベア等込)は時給五九・二円(五・六八%)。C契約社員の五十一組合の妥結額(制度昇級=定昇、ベア等込)は九一六四円(四・一〇%)。〔以上の妥結額・率はすべて加重平均〕
 UAゼンセン会長・松浦は、この回答を「UAゼンセン結成後、最大の賃上げ」だと胸を張り、「UAゼンセン全体では物価上昇に見合う賃上げができている」とか「八年連続で短時間(パートタイム)組合員が正社員組合員の賃金引き上げを上回り、雇用形態間での格差是正の流れが加速している」とか「中規模・小規模の加盟組合でも最大限の賃上げ≠ェ続く」とかと得意満面で記者会見をおこなった。だがこのような「賃上げ額・率」での妥結は、狂乱的な物価高騰が続いているなかでは、実質賃金のいっそうの低下をまねくものでしかない。現に困窮に苦しんでいる組合員は視野の外ではないか。
 UAゼンセンの今二〇二三春闘においては、大手労組(二十三組合)の労働貴族が、あらかじめ物価上昇にも追いつかない超低率の賃上げ要求に自制した。彼らは、独占資本家どもがこの自制要求に応えてだした「満額」や「高額」の超低額回答に飛びついて第一回集中回答日(三月十五日)を待たずに妥結し、UAゼンセンの二三春闘を実質上収束させたのだ。悔しいことに置き去りにされたUAゼンセン傘下の中小企業労組の労働者たちは、いま困難な闘いを強いられているのだ。

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「物価上昇に見合う賃上げ」と得意顔で居直る本部

「賃上げで生産性向上の尻を叩く時代」とほざく会長・松浦

「同一労働同一賃金」の法制化をテコに労務管理を強化する経営陣

中小諸労組の労働者は粘り強く闘おう!

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賃下げ妥結に怒りの声 5・1
 

わが同盟の檄に圧倒的共感


「連合大阪」メーデー
 五月一日に、「連合大阪」主催の「第九十四回大阪地方メーデー」が大阪城公園で開催され、組合員二万名が結集した。わが同盟は、林立する組合旗のもとに続々と結集する労働者に、「賃下げ回答=妥結弾劾! 改憲阻止! 大軍拡を許すな!」という大見出しのメーデービラを配布する情宣をくりひろげた。
メーデーに結集する労働者に檄
(5月1日、大阪市)
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労働者二千名が集会・デモ


「連合石川」メーデー
 「連合石川」は五月一日に、第九十四回石川県統一メーデー金沢中央大会を、金沢市のいしかわ四高記念公園で開催した。 わが同盟の情宣隊は、会場入り口で「メーデーを戦闘的にたたかおう」「大幅一律賃上げをかちとろう」と呼びかけ、「賃下げ回答=妥結弾劾!」「改憲阻止! 大軍拡を許すな!」と訴えるビラを、結集する労働者に次つぎと手渡していった。
賃下げ妥結に抗してメーデー会場で奮闘を誓う
(5月1日、金沢市)
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改憲・軍拡阻止の熱い訴え


「愛労連」メーデー
 五月一日、名古屋市中区の白川公園において、「愛労連」を中心とした実行委員会の主催による第九十四回愛知県中央メーデーが開催され、一八〇〇名の労働者・市民が参加した。  わが同盟の情宣隊は、会場の各入口で、結集する労働者・市民たちに「賃下げ回答=妥結弾劾!」「改憲阻止! 大軍拡を許すな!」と大書したビラを次々と配布した。
第94回愛知県中央メーデーに結集した労働者
(5月1日、名古屋市・白川公園)
  わが同盟が賃下げ回答を弾劾して情宣
(5・1、名古屋市)
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