第2765号2023年4月24日)の内容

<1面>
南西諸島へのミサイル配備阻止!
 「反安保」を放棄する日共をのりこえ反基地・反安保闘争の爆発を!
<4〜5面>
「構造的賃上げ」を叫び政府・独占資本家に屈従
 『連合白書』の反階級性
Topics 運送業界の「2024年問題」
<2面>
自衛隊が海運業者と協力協定
<3面>
軍需産業基盤強化法の制定に突進する岸田政権
OSA―途上国軍事援助の制度化
<6面>
「スマート農業」――
中小零細農家切り捨てを許すな
酪農家の廃業が続出 北海道
<7面>
原発「建て替え」=「次世代革新炉」建設を阻止せよ!
志賀原発再稼働を許すな!
<8面>
ホンジュラス――台湾と断交
虚偽報告がはびこるFSB
革命と内戦のウクライナ
 1917―1921年 第4回
 「解放」最新号






























  



南西諸島へのミサイル配備阻止!


「反安保」を放棄する日共をのりこえ反基地・反安保闘争の爆発を!


グローバル同盟強化に突進する日米両権力者
 アメリカのバイデン政権は、中国軍が台湾周辺で軍事演習を強行しているタイミングで、台湾の目と鼻の先にあるフィリピンにおいて、マルコス政権とともに過去最大規模の一万七六〇〇人を動員しての合同軍事演習「バリカタン」を開始した(四月十一日)。この演習では、中国軍の艦船に見立てた老朽艦にアメリカ製の高機動ロケット砲「ハイマース」のミサイルを撃ちこんで破壊するという攻撃訓練がアメリカとフィリピンの両軍によっておこなわれた。ウクライナにおいてロシア軍に大きな損害をもたらしている「ハイマース」や対戦車ミサイル「ジャベリン」などのアメリカ製兵器。その威力を目の当たりにしている中国の習近平政権にたいして、アメリカが「中国の台湾武力侵攻」にたいしてはフィリピンとともに中国軍をうち破る軍事的な力をもっていることを突きつけることを狙って、こうした軍事的デモンストレーションをおこなったのがバイデン政権なのだ。
 こうして軍国主義帝国アメリカとネオ・スターリン主義中国とが、沖縄―台湾―フィリピンを結ぶ第一列島線を攻防ラインにして、相互対抗的に軍事演習をくりひろげ、東アジアにおいて軍事的緊張をいっそう激化させている。
 そのまっただなかにおいて、第一列島線上に「ミサイルの壁」を構築しようとしているバイデン政権の軍事的要求にこたえて、沖縄・南西諸島への自衛隊ミサイル部隊の配備と長射程ミサイルの配備という一大攻撃をふりおろしているのが、日本帝国主義の岸田政権にほかならない。
 岸田政権は、沖縄県・石垣島に開設した駐屯地への陸上自衛隊の地対艦・地対空ミサイル部隊の配備を、これに反対する沖縄の労働者・人民の闘いを警察権力を動員し暴力的に弾圧して強行した。この石垣島につづいて、さらに与那国島と沖縄本島へのミサイル部隊の配備にものりだそうとしている。
 「台湾有事」の際に、台湾にほど近い沖縄・南西諸島を拠点にして、日本国軍が米軍とともに中国軍艦船・戦闘機に攻撃を加えることができるような軍事態勢を構築するために、こうしたミサイル部隊の配備に突き進んでいるのが岸田政権なのだ。
 沖縄・南西諸島へのミサイル部隊の配備と同時に岸田政権は、これらの部隊に、アメリカから大量購入する巡航ミサイル「トマホーク」や、能力向上型の「12式地対艦誘導弾」などの長射程ミサイルを真っ先に配備することをたくらんでいる。バイデンからの「同盟における日本の役割の拡大」という要求に積極的にこたえて、日本も「打撃力」=長射程ミサイルを保有するかたちで、アメリカとともに「敵国」を先制攻撃しうる軍事体制を構築しようとしているのだ。
 まさにそれは、主敵≠ニ断じた中国およびこれと結託するロシアを抑えこむために同盟諸国を総動員することを策すバイデンのアメリカと運命共同体的に一体化し、日米軍事同盟を文字どおりの対中・対露の攻守同盟として強化することを意味する。
 沖縄ではいま、アメリカの「遠征前進基地作戦(EABO)」という軍事作戦構想にもとづいて、米日の両軍が一体となって、中国軍のミサイル攻撃をかわしながら南西諸島などの離島に展開し・攻撃拠点を構築して敵軍を撃滅することを想定した実戦さながらの軍事演習を不断にくりひろげている。
 こうした軍事演習をつうじて、日米両軍の一体化に拍車をかけるとともに、最前線で米軍とともに戦う軍隊として自衛隊を増強する追求にも着手しているのが岸田政権なのだ。沖縄の海兵隊部隊を改編して創設されようとしている離島戦闘即応の「海兵沿岸連隊(MLR)」、これと一体となって最前線で戦闘を担う陸自の第15旅団(那覇)を師団に格上げすること、そして沖縄以外の十四の師団・旅団も南西諸島に展開させる「機動運用部隊」に再編・強化することが、それである。
 岸田政権がこうした陸自の再編・強化にのりだしたその最中に、「台湾有事」ともなれば、いち早く南西諸島に展開することをその任務としている陸上自衛隊第8師団(熊本)のヘリが、宮古島の周辺海域で墜落するという事故が起きた。第8師団の師団長らエリート幹部八名が勢ぞろいして搭乗していたこの陸自ヘリは、宮古島から下地島を超低空で飛行していたことが、島民に目撃されている。このことからして、「有事」において第8師団の部隊が南西諸島に展開したならば、「軍事目的での使用が認められていない」はずの下地島空港などを軍事利用することを見越して、第8師団長ら幹部みずからが上空から偵察することを一つの任務として飛行していたと推測しうる。このヘリ墜落事故は、岸田政権が中国との「有事」を構えて南西諸島を文字どおりの軍事要塞とするための策動を押っ取り刀でおしすすめていることを浮きぼりにしたのであった。
 こうした日本の岸田政権を従えながら、バイデン政権は、日米軍事同盟を一段と強化するとともに、この日米軍事同盟を米比軍事同盟や米韓軍事同盟、米・英・豪のAUKUSなどと連結し、もって「アジア版NATO」を構築することに血眼となっている。
 バイデン政権は、先述した軍事演習「バリカタン」の開始とあわせて、フィリピンのマルコス政権とのあいだで、「2プラス2」会合をワシントンにおいて開催した。この「2プラス2」においては、米比両軍が軍事演習で実施しているような対中国の戦争計画を「防衛協力の指針」(ウォーマニュアル)として策定することなどが確認された。さらに、「強固な米比協力を日・豪を含む多国間のネットワークに統合していく」というアメリカ権力者の要請にもとづいて、日本とオーストラリアを加えた多国間の軍事的連携を強化することをも確認したのであった。習近平・中国による台湾への武力侵攻を阻止し・いざ「有事」となればフィリピンと沖縄・南西諸島から挟み撃ちにするかたちで中国軍を撃滅しうる軍事態勢を構築するために、比・日・豪との軍事的連携に拍車をかけているのがバイデン政権なのだ。
 〔中国・ロシアを封じこめるために「同盟の再構築」を旗印として掲げてきたバイデン政権はいま、アメリカ政府の「機密文書」流出という事態に直面させられ、同盟諸国権力者からの不信と反発を買っている。
 この「機密文書」の流出によって、バイデン政権が韓国・ウクライナ・エジプトといった同盟国・友好国の政府内の電話や電子メールを盗聴・傍受していたことが暴露された。まさにアメリカ帝国主義が、盗聴帝国・謀略帝国にほかならないことが白日のもとにさらけだされたのである。
 アメリカ空軍の州兵がオンライン通信サービス「ディスコード」のグループ内で共有するために、流出させたとされる「機密文書」。だが、その内容の一部は、――たとえばウクライナ侵略戦争にかんして、ロシア軍の戦死者は少なくし、ウクライナ軍のそれを多くするというように――書き換えられていた。このことは、内容を改ざんして拡散した第三者≠ェ存在することを示している。〕

以下 見出し

対米の軍事的・政治的攻勢を強める中国

反戦反安保・反改憲闘争の高揚をかちとれ


 ウクライナ侵略粉砕の反戦闘争を創造せよ!

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「構造的賃上げ」を叫ぶ政府独占資本家への屈従宣言


二〇二三年版『連合白書』の反階級性


ネオ産業報国運動に陥没する「連合」芳野指導部を許すな!


 激しい物価高騰のただなかでむかえた二〇二三春闘はいま、わが革命的・戦闘的労働者たちの職場・生産点での奮闘にもかかわらず、大多数の労働者が物価高騰分の取り戻しにもならない超低額・率の「賃上げ」に抑えこまれ、中小企業労働者や非正規雇用労働者の「賃上げゼロ」も相次ぐなかで、収束させられようとしている。三月中旬の大手集中回答期間に自動車や電機などの独占資本家どもが示した「満額回答」なるものの内実は、彼ら独占資本家どもが国内外で争奪戦を激化させている一部のデジタル技術労働者や「経営幹部」として確保・育成をはかる労働者などの賃金引き上げを中心としたものでしかない。こうしたいわゆる高度人材≠フ獲得に資金を投じるためにも、他の多くの労働者の賃金についてはこのインフレ下においても徹底的に抑制・切り下げをはかってきているのが独占資本家どもなのだ。
 にもかかわらず「連合」労働貴族は、この悪辣な賃金抑制攻撃をうちくだくための闘いをつくりだすどころか、高度人材¢奪をかけた自動車独占資本家などの「満額回答」・「高額回答」なるものを天までもちあげ、「二〇一四年闘争以降で最高となる賃上げ」であり「労使が粘り強くかつ真摯に交渉した結果」だ、などと浮かれている始末なのである。これこそは、独占資本家どもが――現下の物価高騰にたいする「賃上げの必要性」を岸田政権に呼応してうそぶきつつ――賃金抑制攻撃を熾烈にかけてきていることへの屈服の宣言以外のなんであるか。まさに今春闘はいま、「連合」労働貴族どもの腐敗した指導のゆえに、大敗北の途を突き進んでいるといわなければならない。
 今二三春闘がこのような危機に陥っているのは、なによりも「連合」労働貴族どもが、<「人への投資」を起点とした「成長と分配の好循環」実現のために、「政労使」一体で取り組む>などという「方針」のもとに、岸田政権と独占資本家どもに抱きつき、そうすることによって、彼ら日本支配階級がいま血道をあげている産業構造・事業構造のデジタル化・脱炭素化を基軸としたものへの転換とそのための「構造的賃上げ」という賃金・雇用・労働政策の改変の策動に、全面協力を誓って立ち回っているからなのだ。
 賃金を引き上げたければ「リスキリング(学び直し)」でデジタル技術を習得し、「円滑な労働移動」=成長分野≠ヨの転職・配転を不断にはかれ、そうすることによってより高い賃金を得られるようにしろ、というのが政府・独占資本家どもの言う「構造的賃上げ」なるものにほかならない。日本支配階級が、日本帝国主義の生き残りを賭して、デジタル人材≠確保・育成するために労働者たちを「リスキリング」のふるいにかけ、そこから落ちこぼれる者は超低賃金で酷使し使い捨てるという階級的意志をむきだしにして襲いかかってきているまさにこのときに、階級協調主義に骨の髄まで冒されることによって、こうした攻撃のまえに膝を屈し労働者たちに屈従を強いているのが「連合」労働貴族どもなのである。
 革命的・戦闘的労働者たちは、今二三春闘を大敗北へと導きつつある「連合」指導部のこの腐敗した対応を弾劾しのりこえ、春闘の戦闘的高揚のために最後まで奮闘するのでなければならない。「連合」二三春闘の現実的破産とそのイデオロギー的根拠を徹底的に暴露しのりこえていくためのイデオロギー的=組織的闘いを、労働組合員として、また労組役員として、いまこそ断固としてくりひろげようではないか。こうした闘いをおしすすめるために、ここでは『連合白書』(二〇二三春季生活闘争の方針と課題)で展開されている「連合」二三春闘方針の反階級性をあばきだすことにしたい。

以下 見出し

A 「慢性デフレ」克服を口実とした賃上げ自制

 「連合」二〇二三春季生活闘争方針の特徴

 物価高騰下での超低率の賃上げ「自制」要求


B 「構造的賃上げ」なるものへの全面協力

C 「労働を軸とする安心社会」の階級的本質


 「安い日本」脱却のための政労使協議に春闘を解消

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軍需産業基盤強化法の制定に突進する岸田政権


 四月七日に岸田政権は、日本の軍需産業を飛躍的に強化するための諸施策を盛りこんだ「防衛産業の生産基盤強化」法案の国会審議を、大軍拡のための「防衛費財源確保」法案のそれとともに本格的に開始した。日本国家をアメリカとともに戦争をやれる国家へと飛躍させようとしている岸田ネオ・ファシスト政権は今、両法案の可決=成立に向けて突進しているのである。
 ロシアのウクライナ侵略を発火点にして東アジアにおいても戦争勃発の危機が一気に高まっている。岸田政権は今、アメリカ・バイデン政権とともに、日米軍事同盟を文字通り対中・対露・対北朝鮮の攻守同盟へと飛躍的に強化する一大攻撃に狂奔しているのだ。<同盟国の軍事力・経済力・技術力を総動員して対中・対露包囲網を構築する>という「統合抑止」戦略にもとづくバイデン政権の対日要求にも応えるかたちで、岸田政権は、日本国軍を飛躍的に強化すると同時に、軍需産業を再建・強化する策動に突進しているのである。
 この政権は「防衛生産・技術基盤は『防衛力そのもの』」と「安保三文書」に明記した。日本の軍需産業の支援に、そして「軍民両用」の先端的技術の開発に、政府が全面的な支援を注ぐと宣言したのである。
 これに三菱重工業やIHI、川崎重工業などの軍需部門をもつ独占体の資本家どもは絶好の「事業成長の機会」と欣喜雀躍し、いっせいに軍需生産の拡大・強化にのりだしている。「死の商人」どもは「五年で四三兆円」という莫大な軍事予算に垂涎しハイエナのごとく群がっているのだ。そしてこの独占ブルジョアどもにつき従っているのが、ネオ産業報国会たる「連合」の芳野指導部や基幹労連などの労働貴族どもなのだ。

以下 見出し

軍需産業の立て直しに狂奔する政府・防衛省

「防衛産業を成長事業にせよ」と叫ぶ独占資本家

「五年間で四三兆円」の軍事費に群がる軍需独占体


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原発の「建て替え(リプレース)」=「次世代革新炉」建設を阻止せよ!


 岸田政権は、二月の閣議において「GX実現に向けた基本方針」を決定し、廃炉が決定した原発の敷地内に新たな原発の「建て替え(リプレース)」を進めることをうちだした。東京電力福島第一原発の大事故いこう、歴代の政権が原発の新増設は「想定していない」としていたことからの大転換である。
 プーチン・ロシアのウクライナ軍事侵略を契機として、米欧―中露をはじめとする各国の権力者どもはいま、自国の核戦力の増強にこぞってのりだした。この核軍拡競争の激化のもとで、アメリカとの核軍事同盟の強化と同時に、独自核武装の野望をも秘めて、日本の潜在的核兵器製造能力の維持・強化に突進しているのが岸田政権なのだ。
 この岸田政権が、「建て替え」のために導入しようとしている新たな原発とは、「次世代革新炉」と称されるものである。政府は「安全な次世代革新炉」などと、さも革新的で安全性が飛躍的に向上したものであるかのようにおしだしているが、これは欺瞞であり、労働者・人民を原発事故の惨禍にたたきこむ反動的なものなのである。

以下 見出し

危険極まりない「革新軽水炉」の建設計画

日本の原発・核開発を阻止せよ


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革命と内戦のウクライナ

1917―1921年  <第4回>


U ウクライナ・ソビエトの統一と共産党結成〔承前〕

 (3)ウクライナ共産党とボロチバ派との合同
 一九一七年以降のウクライナ・ソビエト革命を領導したウクライナのボルシェビキは、だがしばらくはロシア共産党(社会民主労働党ボルシェビキが一九一八年に改称)の地方組織のままであった。ソビエトの統一をめぐるウクライナ・ボルシェビキ内での苛烈な論争(「第三回」参照)を経て、彼らは一九一八年七月にウクライナ共産党を結成した。とはいえこの時点でもなお、この党のロシア共産党のウクライナ支部≠ニいう位置づけは否定されてはいなかった。
 ウクライナ共産党が名実ともにウクライナの前衛党として確立されるのは、一九二〇年三月のボルシェビキとエスエル左派=「ボロチバ派」との組織合同をつうじてである。両組織の合同は、ロシアとウクライナの両党関係、両党と第三インターナショナルとの関係、ロシアとウクライナ両国家の関係という原則問題を徹底的に論議し解決してはじめて達成された。このようなかたちでウクライナの前衛党が創造されたことには大きな意義がある。

 (4)ウクライナ化の推進

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