第2728号(2022年7月25日)の内容

<1面>    
憲法改悪阻止の一大闘争を!

 岸田ネオ・ファシズム政権の極反動攻撃を打ち砕け!
<2面>
ネオ・ファシスト安倍の「国葬」に反対する!
<3面>
悪らつ極まりないプーチンの戦争動員
<4面>
JP労組第15回全国大会
 企業に奉仕する労働運動に突進する本部弾劾!
<5面>
Topics 財政審が社会保障支出の削減を提言
マイナ保険証がないと医療を受けられない!?
スリランカ人民が大統領を放逐
<6面>
プーチンの侵略に加担するトルコ・エルドアン
途上国人民を飢餓地獄に叩きこむプーチン

 「解放」最新号


























  


憲法改悪阻止の一大闘争を!


 岸田ネオ・ファシズム政権の極反動攻撃を打ち砕け!
 

 先の参院選において、政権与党たる自民党が改選議席の過半数を獲得し、公明、維新、国民を合わせた改憲勢力が三分の二以上の議席を制した。岸田自民党は、投票日直前に引き起こされた安倍銃撃・殺害事件をも最大限活用して議席を増大させた。この参院選における自民党の勝利・改憲勢力の伸張によって、日本型ネオ・ファシズム支配体制が一段と強化されたのだ。
 わが同盟は、すべての日本の労働者・人民に呼びかける! 岸田日本型ネオ・ファシズム政権による憲法改悪と軍事費大増額・日本の軍事強国化の歴史的な一大攻撃を、労働者・人民の闘いの力によって絶対に粉砕するのでなければならない! 全国の・あらゆる戦線からただちに総決起せよ! 改憲案の国会発議を絶対に許すな!
 岸田政権による、元首相・安倍の「国葬」の開催に断固反対せよ! 秘密保護法や安保法制の制定など数々の犯罪を重ね、憲法改悪の旗を振ってきた軍国主義者・安倍を国家をあげて「追悼」し・同時にこれを改憲発議に利用するなどということを断じて許してはならない。
 「戦力不保持・交戦権の否認」を謳う憲法第九条の破棄と首相に非常大権を与える「緊急事態条項」の創設反対! 日米軍事同盟にもとづいてアメリカとともに「敵国」に先制攻撃する軍事強国へと日本を飛躍させるという画歴史的な反動攻撃を断じて許すな! 軍事費の二倍増=一一兆円超への増額と空前の大軍拡を絶対に阻止せよ!
 わが同盟は重ねて訴える! 現下の猛烈な物価高騰によって、今このときも、日本全国で、数多の労働者・勤労人民が、そして学生が、日々の食事や月々の家賃・光熱費の支払いに事欠き生活苦に突き落とされている。人民に貧困を強制する政府・独占ブルジョアどもを、断じて許してはならない! 今こそ<生活必需品の価格つり上げ反対! 公共料金の値上げ反対! 社会保障の削減反対!>の一大闘争を断固として創造しようではないか。日本における物価高騰は、安倍政権いらい日銀が「異次元の金融緩和策」をとりつづけていることによってもたらされたものにほかならない。これに頬被りして、岸田政権は、公共料金の値上げの認可や年金支給の減額などの社会保障の削減を次々と強行し、物価急騰のもとで苦しんでいる労働者・人民に追いうちをかけているのだ。人民を貧困に突き落とす岸田政権にたいして、怒りに燃えて断固たる闘いに決起せよ!
 すべての労働者・学生諸君!「連合」指導部の闘争抑圧や日共中央の闘争歪曲をのりこえ、岸田政権による憲法改悪、大軍拡・日米軍事同盟の強化を打ち砕く反改憲・反戦反安保の闘いを、そして生活必需品や公共料金の値上げに反対する政治経済闘争を、労働組合や学生自治会を主体にして断固として創造しよう!
 すべての労働者・学生は全国で開催される8・7第六十回国際反戦集会に総力で結集せよ!

ネオ・ファシズム支配体制の強化を画した参議院選挙

 七月十日投開票の参議院選挙において、自民は改選議席の過半数(六十三・非改選と合わせて一一九)を獲得し、ファシスト政党・維新も六議席増やした(二十一)。他方で立民は六議席減(三十九)、日共も二議席減らして(十一議席)惨敗した。
 投票日の二日前に引き起こされた元首相・安倍にたいする銃撃事件。これを岸田自民党は最大限利用して、マスコミをも総動員して「テロから民主主義を守れ」というムードを煽りたて、そうすることで得票を上積みすることを策した。だがこれにたいして、その策謀を暴くのではなく、むしろ「民主主義を破壊するテロに断固抗議する」というように、先頭に立って「安倍追悼」に唱和したのが日共委員長・志位であった。この日共をはじめとするすべての野党が、政府・自民党への批判をみずから抑制するという愚を犯したのだ。
 選挙戦の最終盤において票を上積みした自民党の「勝利」と野党の死滅とによって、日本型ネオ・ファシズム支配体制は一段と強化されたのだ。そして、「憲法改正」の国会発議に向けた陣形もまた構築されたのだ。
 日本労働者階級にとってのこの重大な意味を自覚し、すべての労働者・学生・人民は、ただちに岸田自民党政権による一切のネオ・ファシズム的な反動攻撃を打ち砕く闘いに起て!
 参院選が終わるや否や自民党政治エリートどもは、安倍という頭目を喪った最大派閥=清和会の後がま(=政界のキングメーカー)の座をかけた血みどろの権力抗争――「ポスト岸田」をにらんでのそれ――を開始している。
 この安倍派(清和会)の下村は、領袖を喪い派閥分解の危機に陥りつつあることへの危機感に駆られながら、岸田にたいして「誰のおかげで首相になれたかを忘れるな」と脅しをかけている。経済・財政政策などの諸政策をめぐって安倍との対立を孕んでいた岸田が、清和会と相対的に距離を置く姿勢に転じることを警戒しタガをはめているのだ。まさにそれゆえに、みずからを羽交い絞めにしてきた安倍の重しがとれた喜びも束の間、緊張した面持ちになっているのが岸田なのだ。
 こうした清和会をはじめとする自民党内の諸派閥が、「岸田おろし」に動きはじめることを封じこめ、政権継続の道筋をつけることを企んで、安倍の葬儀をみずからがとりしきるかたちで「国葬」としておこなうことを決定したのが、首相・岸田だ。改憲を呼号してきた安倍の「国葬」を、同時にみずからがもくろむ改憲と軍事強国化のためにも利用しようとしているのだ。
 まさにいま、岸田を支えるグループと、安倍派を中心とする自民党内の諸派閥・諸グループは、権力抗争を激化させながら、憲法改悪や日本国軍の大増強などの反動政策を、まさに競い合うようにしてうちだし推進しはじめているのだ。今こそすべての労働者・人民は、階級的団結を強化し、日本型ネオ・ファシズム支配体制をうちかためた政府・自民党によるあらゆる反動攻撃を粉砕するために、「ファシズム反対」の旗幟を鮮明にして、闘いに総力でたちあがるのでなければならない。

以下 見出し

 安倍の「国葬」に反対せよ

米―中・露角逐下で高まる世界的戦乱の危機

改憲の濁流に呑みこまれた既成指導部をのりこえ岸田政権の反動攻撃を打ち砕け


 ウクライナ反戦の炎を!

 生活必需品の価格つり上げ反対! 社会保障の切り捨てを許すな!


Top


  


ネオ・ファシスト安倍晋三の「国葬」に反対する!


 首相・岸田は、選挙中に銃撃され殺害された元首相・安倍晋三の「国葬」なるものを今秋に実施すると発表した(七月十五日)。われわれは、極悪ネオ・ファシスト安倍にたいする「追悼」を労働者人民に強要する「国葬」の実施に断固として反対する!
 安倍晋三こそは、八年八ヵ月ものあいだ<戦争と貧窮とファシズム>の刃を労働者人民の頭上にふり下ろしてきた張本人にほかならない。この男は、安保関連法=戦争法や今日版治安維持法たる秘密保護法・共謀罪などの悪法を、国会を包囲した巨万の労働者人民の闘いを傲然とふみにじって、次々に制定してきた。そして、「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を謳う憲法第九条の破棄、「自衛隊」の明記と緊急事態条項の新設――これらを柱とする憲法大改悪に血道をあげてきたのがこの輩なのだ。
 「異次元の金融緩和」をはじめとする「アベノミクス」諸政策は、貧富格差の極限的な拡大をこそもたらした。安倍政権は、株や資産をもつ富裕層・資本家だけに莫大な富を獲得させ、独占資本による大リストラと首切りを促進して労働者人民を困窮のどん底に突き落とした。
 しかも、許しがたいことに安倍は、東電福島第一原発事故によって避難を強いられた福島県人民を無慈悲に切り捨てた。「事故はアンダーコントロールだ」などという真っ赤な嘘を臆面もなく垂れ流し、オリンピックを東京に招致したのだ。「愛国心」の宣揚=国威発揚とゼネコンへの利益供与のためにである。
 森友・加計学園疑獄や「桜ゲート」こそは、長期政権のもとで、首相・安倍がみずからの「岩盤支持層」としてきた右翼分子のお友達≠ノ破格の便宜供与をはかってきたことを白日のもとにさらけだした。この事態が露見するやいなや、財務省官僚らに証拠書類の偽造・湮滅を強いたのも安倍だ。このゆえに、公文書偽造を強要された財務省職員が自殺に追いこまれたのだ。
 それだけではない。統一教会によって家庭崩壊を強いられた元自衛官が惹き起こしたこの銃撃事件によって、安倍および清和会と反共右翼宗教集団=「統一教会」との黒い癒着が一挙に明るみにでた。そもそも、安倍晋三の祖父・岸信介が韓国権力者・朴正煕と結託して、「統一教会」を核とした「国際勝共連合」なる反共団体を立ち上げたのは一九六〇年代であった(初代会長は右翼の笹川良一)。この祖父からの遺産≠引き継ぎ、秘書や運動員や資金を供給させる強固な支持団体として「統一教会」を活用してきたのが安倍晋三と清和会なのだ。この極悪集団=「統一教会」は、「霊感商法」などの数々の反社会的悪行が露見したにもかかわらず、安倍らタカ派政治家に庇護されて、名称を変え生き延びてきたのである。彼らの毒牙にかかり身ぐるみ剥がされた犠牲者は数知れず、その家族は「統一教会」とそれと癒着した安倍晋三に怨念を募らせてきたのだ。まさにいま、このような安倍政治≠フどす黒い底流が赤裸々に暴きだされているのだ。
 このような極右集団に支えられて改憲・大軍拡に突進してきた安倍晋三。――この軍国主義者を「国葬」をもって天までもちあげ、この極悪人への「追悼」を労働者人民に強制しようとしているのが、首相・岸田にほかならない。この徒輩は、政権延命をはかり改憲発議を遂行するために――みずからを羽交い締めにしてきた安倍の重しがとれたことへの喜びを押し隠しながら――、国費=血税を投じてこの「国葬」を大々的に実施しようとしているのだ。
 すべての労働者・学生・人民諸君。岸田政権によるネオ・ファシスト安倍の「国葬」に断固として反対せよ! 改憲発議・軍事強国化・日米軍事同盟強化の総攻撃を粉砕せよ!
(七月十六日)
Top
 

   

JP労組第15回全国大会


 「未来創造」を唱え企業に奉仕する運動に突進する本部弾劾

 JP労組第十五回全国大会が、六月十五日から十六日にかけて、岡山県倉敷市で開催された。JP労組本部は、今大会を事業危機突破のための「事業ビジョン案」の豊富化・具体化を意思一致するセレモニーの場にしようと目論んだ。そのために本部は、労働現場に殺人的な労働強化をもたらし組合員から不満が噴出している「土曜休配・送達日数見直し」の総括を大会議案から意図的にはずし、夏期冬期休暇制度の全廃案の提示も先送りした。そしてJP労組の運動を、「JP労組未来創造プラン」なる事業の持続的発展に奉仕する労働運動に形骸化させることをはかったのだ。
 われわれは大会を戦闘的に塗りかえるために、職場・生産点から論議をまきおこし、ウクライナ反戦闘争への決起と郵政労働者三万五〇〇〇人の人員削減反対を訴える郵政労働者委員会ビラを全国の職場に配布してきた。こうした革命的・戦闘的労働者の奮闘により、大会において、救援カンパでお茶を濁す本部の思惑を突きやぶるかたちでウクライナ侵略戦争反対の声が続出するとともに、大幅人員削減に全面協力する本部への批判・意見があいついだ。そして本部がWeb方式による一票投票などの官僚統制を敷いたにもかかわらず、運動方針案には六十三票の反対票が投じられたのだ。
 われわれは、本部の「事業ビジョン案」を掲げた全面協力を弾劾し、職場から大幅人員削減に反対する闘いを創りだそう!「未来創造プラン」を掲げて企業に奉仕する運動に突進する本部を弾劾し、JP労組の戦闘的強化を勝ちとろう!

 以下 見出し

ウクライナ侵略に抗議し改憲・防衛費増額反対を訴える代議員

春闘低額妥結を正当化し手当・休暇制度改悪に協力する本部

日本郵便三万人の人員削減を容認する本部を弾劾

「事業再生」に奉仕する運動への突進を許すな!


Top


    


プーチンの侵略に加担する現代のスルタン<Gルドアン

バイデンと取り引きし北欧二国のNATO加盟に同意

 NATO首脳会議開幕の直前(六月二十八日)、トルコ大統領エルドアンは、フィンランドとスウェーデンの両政府がトルコ政府の要求を全面的に受け入れたがゆえに両国のNATO加盟に同意すると発表した。トルコ政府の要求とは、同国内で民族独立の武装闘争を展開するクルド労働者党(PKK)と親米ムスリム組織=「ギュレン派」にたいするトルコ政府の弾圧を正当なテロ対策≠ニして是認すること、トルコ政府の「テロ容疑者」送還要求に応じること、対トルコ武器禁輸措置の停止などであった。この要求を、ロシアの軍事的威圧に抗するためには直ちにNATOに加盟したい北欧二国の政府が、すべて丸呑みした。ただし法的拘束力のない「覚書」というかたちで。
 同時にアメリカ政府も、バイデンがエルドアンとの電話会談において、対トルコ制裁の一環として拒絶してきた米戦闘機F16の売却についての協議を再開することとトルコに経済協力することを約束した。
 こうした回答を受けて「トルコが要求したものはすべて獲得した」と外交的勝利を誇示したのがエルドアン政権であった。PKK指導者を多数保護してきたスウェーデンがこの要求を呑んだことを、トルコ国内のPKK弾圧やシリア・イラクに侵攻してのクルド人武装勢力攻撃などを欧米が「テロ対策」として認めたと凱歌をあげたのである。だが同時にエルドアンは「約束が実施されなければ北欧二国のNATO加盟を批准しない」と、これまでトルコに非難・制裁を加えてきたアメリカ政府やEU諸国政府にたいして、警告を突きつけてもいるのだ。
 このかんアメリカとEU諸国の権力者は、エルドアン政権の国内治安弾圧を「人権侵害」と非難してきただけでなく、ロシア製防空システムS400の導入にたいしてはアメリカ政府が、ギリシャ、キプロス領海・EEZ内における油田開発の強行にたいしてはEUが、それぞれ政府関係者の資産凍結や武器売却禁止などの制裁を科してきた。これに反撥し上海協力機構やBRICSへの加盟希望を語るなど中国・ロシアと協調する政治的姿勢を強めるエルドアン政権にたいしてアメリカ政府は、NATO内通敵分子∴オいをしてきたのだ。
 だがロシアのウクライナ侵略によって状況は一変した。バイデン政権は六月末のNATO首脳会議を「専制主義にたいする民主主義の団結」のセレモニーたらしめ、もってアメリカ同盟諸国の結束を中・露や新興諸国の権力者に見せつけようとしたのだ。とりわけフィンランド、スウェーデンのNATO加盟=NATO北方拡大を全会一致で決定してNATOの結束≠誇示しようとしたのである。ロシアを敵国と烙印し中国を体制的脅威と断じた「NATO新戦略概念」を策定するとともに。
 それゆえバイデンは、エルドアンから北欧二国のNATO加盟への同意を獲得するために、二国の権力者にはトルコの要求を丸呑みさせ、みずからもトルコの対米要求に応じる意向を示したのだ。
 このバイデンの足もとを見たエルドアンは、制裁を解除させるなどの様ざまな利得を得るための取り引きに応じたのだ。

 以下 見出し

 通貨暴落・経済危機に瀕するトルコ

オスマン帝国再興の夢に憑かれたエルドアン

Top
 

  


途上国人民を飢餓地獄に叩きこむプーチンを許すな

ウクライナ産小麦の輸出を阻むロシアの黒海封鎖

 ロシアのプーチン政権はいま、ウクライナからの小麦や穀物の輸出を阻止し、世界中を食糧危機に叩きこんでいる。
 プーチンは、黒海艦隊からミサイルを発射するとともに黒海沿岸におびただしい数の機雷を敷設し、ウクライナ最大の貿易港たるオデッサから黒海・地中海を経て中東へとつながる輸送ルートを封鎖した。それは、ウクライナへの侵略を強行したロシアとプーチンを対象とする経済制裁――国際的な送金ネットワークからのロシア系金融機関の排除やルーブル決済の禁止、主要産品の禁輸措置など――、バイデン政権が主導したこの西側諸国の制裁措置への傲然たる報復なのだ。
 ウクライナ産の小麦が輸出できなくなれば、世界のとりわけ中東やアフリカの途上諸国が飢餓や食料不足に襲われる。このことをプーチンは重々承知のうえで、経済制裁にたいする逆制裁≠ノうってでた。食糧危機を意図的につくりだし、何千万の人民が飢餓に苦しもうが餓死しようが、西側陣営の経済制裁こそが悪いのだ、これを避けたければ対露制裁を解除せよ≠ニつきつけているのだ。途上諸国の人民を飢餓地獄に叩きこみ、これを利用してバイデンの経済制裁をうち破ろうとうごめいているのが、極悪人プーチンにほかならない。
 ロシアのウクライナ侵略いこうの三ヵ月間で世界の七〇〇〇万人以上が日々の食料に事欠く窮乏状態に突き落とされた。プーチンは、ウクライナ人民への無差別虐殺をくりかえし、その他方でウクライナからの穀物輸出を封じて世界の人民を兵糧攻め≠ノしているのだ。
 「世界のパンかご」と呼ばれるウクライナは、小麦の輸出量が二〇二〇年で世界第五位の小麦大国である。第一位のロシアとウクライナとをあわせると、世界の小麦輸出量の約三分の一を占める。この両国で、世界で取り引きされる穀物総量のカロリーの約八分の一、四億人を養うに足る分量を供給している。この膨大な供給源をプーチンは遮断したのだ。
 ロシアの侵略以前には、ウクライナは小麦輸出の九八%を黒海の港からの貨物船による海上輸送に依存していた。船舶が出航できない今、港の倉庫には小麦の在庫が積みあげられている。
 船の代わりにウクライナ政府が検討している列車・トラックによる陸路での輸送は困難をきわめる。ウクライナの鉄道は周辺国とは線路幅のゲージが異なり、国境での貨物の積み替えが必要となる。作業をする労働者も不足し時間も労力もかかる。トラックは積載量が船とは比べものにならない。ロシア軍の攻撃によって橋や道路も破壊され、砲弾が襲ってくるなかでの車両輸送は命がけだ。
 生産農家も、ロシア軍の爆撃をうけ農作業や手入れができず農地や畑は荒れ放題だ(おびただしい数の地雷や不発弾が埋まってもいる)。砲撃をかいくぐって収穫しても輸出ができず、売れ残った小麦が農家の穀倉にあふれている。作物が売れず資金を調達できないので、今年の作付けもできない。ウクライナの農家や輸出業者は、侵略者プーチンとロシアへの怒りと憎しみをたぎらせているのだ。

 以下 見出し

 アフリカ・中東で深刻化する食糧危機

 盗人猛々しい「回廊」設置

Top