第2726号(2022年7月11日)の内容

<1〜2面>
8・7国際反戦集会に結集せよ
 米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ!
6・16「辺野古新基地建設阻止!」
 労・学・市民が現地闘争に起つ
6・19 福岡 米領・自民県連に抗議
<3面>
6・19ウクライナ反戦の炎
 労学統一行動 北海道東海
<4面>
「統合抑止」を基軸にすえたバイデン政権の新国防戦略
<5面>
長時間の過酷な集配労働に追いつめられる郵便労働者
用語解説 イノベーション
Topics 独占資本家による最低賃金抑制のゴリ押しを許すな!
<6面>
ウクライナ労働者人民のパルチザン闘争
ベラルーシの「鉄路の闘い」
うた「ウクライナ」
週間日誌は5面に掲載
 「解放」最新号


























  


8・7国際反戦集会に結集せよ

米―中・露激突下の熱核戦争勃発の危機を突き破れ!


 いまプーチンの侵略軍は、東部ドンバス、そしてウクライナ全土の労働者人民にたいして、残忍きわまりない大殺戮戦を強行しつづけている。数百人以上が居住するキエフの集合住宅や幼稚園などにたいする五十発におよぶ大規模ミサイル攻撃(六月二十六日)、一〇〇〇人余の買い物客が訪れていた中部ポルタワ州クレメンチュクのショッピングセンターを狙い撃ちにしたミサイル攻撃(二十七日)、これらによって数多の労働者人民が虐殺された。そして南部オデッサにおいても、黒海上の戦略爆撃機から発射されたミサイルによって集合住宅や穀物倉庫が破壊され、子どもを含む夥しい数の人民が殺害されたのだ(七月一日)。
 われわれは、この憎むべきプーチン・ロシアの蛮行を満腔の怒りを込めて弾劾する!
 すべての労働者・学生諸君! 今こそ<プーチンの戦争>を打ち砕く戦いにうってでているウクライナの労働者人民と連帯してたたかおう。日本の地においてウクライナ反戦の炎を燃えあがらせよ!
 ロシアのウクライナ軍事侵略が開始されてからおよそ四ヵ月、このかん、わが同盟と全学連および革命的・戦闘的労働者は、首都東京のみならず全国各地において獅子奮迅の闘いをくりひろげてきた。わが同盟の国際アピールを全世界に発した『解放』号外の配布を皮切りに、全学連と反戦青年委員会は、駐日ロシア大使館・総領事館にたいする抗議闘争を波状的に敢行してきた。そして、各職場・学園における闘いを基礎として多くの労働者・学生を組織化しつつウクライナ反戦の闘いを断固として創造してきたのである。
 現下のウクライナ侵略戦争にたいして、なにひとつ労働者の闘いを呼びかけもしない「連合」労働貴族、「国連憲章にもとづく解決」などという参院選向けの政策宣伝に埋没する日共中央、これら既成指導部の腐敗を弾劾しのりこえ、わがたたかう労学は烈々たる闘志を燃やして日夜たたかいぬいている。この闘いの地平をうち固め、さらなるウクライナ反戦、反改憲・反戦反安保の闘いをおしすすめようではないか。
 すべてのたたかう労働者・学生は来たる八月七日に全国七ヵ所で開催される第六十回国際反戦集会に結集せよ!

プーチンのウクライナ侵略・人民大殺戮を許すな!

 米・日・欧諸国権力者がドイツにおいてG7サミットを開催していたそのまっただなかで強行されたキエフ、クレメンチュクへの連続的ミサイル攻撃。まさにそれは、西側がウクライナへの武器援助をやめなければウクライナ全土に攻撃を拡大する≠ニいう米・日・欧帝国主義権力者にたいするプーチンの恫喝にほかならない。同時に、プーチンは、不屈の戦いをくりひろげている労働者人民に恐怖を与えるために、住民の生活の場所を意図的に狙い撃ちにしたのだ。だが、そのような策動は、労働者人民の闘争の炎をますます燃えあがらせずにはおかない。
 プーチンの命をうけたロシア軍は、重火器をはじめとしてウクライナ軍の十倍におよぶ膨大な戦力にものをいわせて、東部ルガンスク州のセベロドネツクならびにリシチャンシクにたいして、徹底的な砲爆撃を雨あられと加えたうえに、戦車部隊および歩兵部隊を突入させた。住民もろともに市街地全体を徹底的に破壊しつくすというこの残虐きわまりない侵略軍の蛮行を断じて許すな!
 ロシア侵略軍の猛爆撃のもとで、ウクライナ軍と領土防衛隊の兵士・労働者人民は、一万数千人におよぶ老若男女の住民の避難を完遂したうえで、セベロドネツク・リシチャンシクからの撤収作戦を成功裏になしとげた。多くの仲間の命を奪われながらも必死に戦いぬいてきたウクライナ軍兵士は、ロシア軍による包囲を打ち破り補給路を確保しつつ退却し、新たな防衛ラインを引いたのだ。そしていま、兵力を温存したまま南部ヘルソンをはじめとするロシア軍占領地域の奪還作戦にうってでる態勢を構築しつつある。
 約一ヵ月半にわたってセベロドネツク攻防戦を担ってきたウクライナ軍の部隊は、――マリウポリにおいて製鉄所を拠点として死闘を戦いぬいたアゾフ連隊がそうであったように――化学工場アゾトにたてこもり侵略軍の凶暴な攻撃をはねのけてきた。この正規軍兵士と労働者人民の一致団結した戦いによって、ロシア軍は南部から長期にわたってセベロドネツクに兵力を集中せざるをえなくなり、戦力激減に叩きこまれたのである。
 これらセベロドネツクにおけるウクライナ軍部隊の死闘のゆえにこそ、南部地域における「反占領」の戦いもまた可能となった。ロシア軍の占領下におかれているヘルソン州、ザポロージャ州南部においてはいま、ウクライナ軍が領土奪還のための反転攻勢をかけ市街地目前にまで迫っている。
 この正規軍部隊と連携した労働者人民は「侵略軍を叩きだせ」を合い言葉にして戦いにうってでている。彼らは、ウクライナ国防省が作成・配布した「レジスタンス・マニュアル」にもとづいて、ロシア軍司令部にたいする武装闘争や行政機構にたいする「不服従・非協力」の組織的なサボタージュ闘争など様ざまな形態による創意的な戦いをくりひろげているのである。しかも、ロシア軍によって占領されてきた黒海上のズミイヌイ島にたいしては、ウクライナ軍が地対艦ミサイル「ハープーン」による一斉攻撃を加え、ついにこの島からロシア軍を叩きだし奪還した(三十日)。
 いまや三万人にのぼるロシア軍兵士の戦死者、軍隊の士気低下と膨大な戦費支出、そして米欧諸国の経済制裁によって半導体の供給が停止されハイテク兵器の更新・増強がなしえないという苦境にプーチンは叩きこまれている。だがこの男は、なんとしても「特別軍事作戦の勝利」をとりつくろうために、予備役を動員し、ヤクート人などロシア連邦内の少数民族を選別的に徴兵し、外国移民にはロシア国籍剥奪≠フ脅迫をもって次々と戦地にむかわせ、夥しい戦死者の山を築いているのだ。
 二月末のウクライナ侵略開始にさいしてプーチンは次のようにほざいた。「東部のロシア系住民をネオナチの迫害から守るため」と。だがいまや、鉄面皮にもこの男は、ほかならぬ東部・親露派支配地域のロシア人住民を、まともな訓練をうけさせることもなく一片の指令をもって最前線へと駆りたてている。これらの兵士の五五%(二二〇〇人余)がすでに戦死しているといわれている。
 米欧諸国の経済制裁に直面しているプーチンは、これを逆手にとって、ロシア産石油と天然ガスに依存するドイツ・フランス・イタリアにたいしてその供給量を大幅に絞りあげ、音をあげさせようとしている。「ロシアからのエネルギー資源供給がなければどうなるか思い知らせる」とばかりにである。「戦争の長期化」をはかりながら、エネルギー不足と価格高騰に見舞われている欧州諸国権力者を締めあげることによって、これらの諸国がウクライナ支援を出し渋りはじめるのを待ち、ゼレンスキー政権を弱体化させる、という計略をめぐらせているのがこの男なのだ。
 対露制裁解除を米欧諸国に迫るためにプーチンは、ウクライナ最大の貿易港オデッサを擁する黒海をロシア海軍艦隊と機雷によって封鎖し、ウクライナからの小麦、ひまわりの種、トウモロコシ、ビートなどの輸出を阻止して全世界的な食糧危機をつくりだしている。「食糧危機を解消したければ対露制裁を解除せよ」と米欧諸国につきつけているのがプーチンなのだ。まさにこのゆえに、アフリカ・中東諸国を中心として全世界が食糧不足と価格高騰に見舞われ、貧困と飢餓に苦しむ途上国人民はさらなる地獄に突き落とされているのだ。このプーチンの反人民的所業を断じて許してはならない。

世界大戦の危機を突破する革命的反戦闘争の炎を!

 対露攻守同盟としてのNATOの飛躍的強化

 ロシアによるウクライナ侵略戦争の長期化とそのもとでの「ウクライナ支援」や「NATO拡大」をめぐるNATO内の足並みの乱れ、亀裂の深まりに直面して、アメリカのバイデン政権は再度「NATOの結束」を演出することに血眼となった。
 六月末(二十九〜三十日)にスペイン・マドリードで開催されたNATO首脳会議においてバイデンは、――その直前にキエフ、クレメンチュクで強行されたプーチン・ロシアのミサイル攻撃による人民大虐殺を最大限に利用して――「早期停戦」にむけて蠢いてきたドイツ・フランス・イタリア権力者にもタガをはめ、「専制主義とたたかうNATOの結束」を内外に誇示しようとした。そのために、イラク・アフガン人民の血で染まったアメリカの「自由と民主主義」なるボロ旗をふりかざすことに躍起になったのである。
 ついこのあいだまでは「プーチンに恥をかかせてはならない」(マクロン)などとほざいてきた仏・独・伊の権力者どもは、この首脳会議の場ではバイデンに同調して、「プーチンは勝ってはならない」「ロシアに長期にわたるコストを課さなければならない」などうそぶき、プーチンとの対決姿勢≠おしだすことにつとめたのだ。
 こうして新たに採択された「NATO戦略概念」において、米欧諸国の権力者は、二〇一〇年いらい「戦略的パートナー」と謳ってきたロシアを、「同盟国の安全保障にとって最も重要かつ直接的な脅威」と断じ敵国≠ニ烙印することを宣言したのだ。
 バイデンは、今回の首脳会議の場においてフィンランドとスウェーデンのNATO加盟承認≠全会一致で華ばなしくぶちあげることを策し、これに反対するトルコ大統領エルドアンとの秘密交渉にのりだした。北欧二ヵ国から「クルディスタン労働者党への支援停止」と「トルコへの武器禁輸解除」の確約をひきだすとともに、エルドアンにたいしてこれまでは凍結していたアメリカ製F16戦闘機の供与を提示し、二ヵ国のNATO加盟承認をとりつけるためのディール≠ノ狂奔したのだ。このバイデンの提案を、来年のトルコ大統領選にむけての成果≠アピールするチャンスととらえ、NATO首脳会議開幕直前(二十八日)になって一転して受け入れる意志を表明したのがエルドアンなのだ。
 NATO首脳会議にタイミングを合わせて加盟諸国を恫喝するためにウクライナ全土への砲爆撃を強行したプーチンは、逆にNATOおよびEU加盟諸国の「結束」を促進し、これらの諸国を「反ロシア・非ロシア」に追いやってしまうという結果をみずから招きよせたのである。
 六月中旬、NATO・EU加盟国たるリトアニアの政府は、「EUによる対露制裁の履行」を名分として、ロシア本国からバルト海沿岸の飛び地≠ナあるカリーニングラードに鉄鋼や建設資材・金属製品を輸送する鉄道(およびトラック)貨物の国内乗り入れを阻止する措置にふみきった。そうすることによって、全輸送量の半数におよぶ物資の通過を禁止したのである。「ウクライナの次はわれわれだ」という危機感を募らせたリトアニア政府は、ロシアによる領土強奪を阻止するために、自国と隣接し、バルト海を挟んでフィンランドやスウェーデンと対峙するカリーニングラードのロシア軍の動きを封じこめる策にうってでたのだ。
 ロシア・バルチック艦隊の拠点でありバルト海に面する不凍港を擁する要衝への大動脈≠遮断されたことに激怒したプーチンは、「リトアニアに痛みをともなう対抗措置をとる」「最終手段に訴えることをいとわない」などと叫びたて、核攻撃の軍事的恫喝にうってでている。
 こうしたプーチン・ロシアの軍事的強硬策に対抗して、欧州駐留米軍の増強に拍車をかけているのがバイデン政権なのだ。現にNATO首脳会議において、ポーランドへの米軍司令部の新設やルーマニアやバルト三国への米軍部隊のローテーション配備の拡大、米軍を中軸とする「即応部隊」を四万人から<米ソ冷戦>時代と同規模の三〇万人規模へと一大増強をはかる、という計画を決定したのである。

以下 見出し

 東アジアでの米・日・欧―中・露の激突

ウクライナ反戦、反改憲・反安保闘争の大高揚を!

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「統合抑止」を基軸にすえたバイデン政権の新国防戦略


 三月末にアメリカ国防総省が議会に提出した「二〇二二年国家防衛戦略」は、現時点のアメリカ・バイデン政権が構想している中国主敵の軍事戦略の新たな骨組み≠如実に表現するものにほかならない。
 〔その全文は現時点で機密指定されたままであり、ただわずかにA4判両面一枚だけの「ファクトシート」(情報メモ)が公表されているにすぎない。〕
 
 「最も重大な戦略的競争者」中国への対抗

 アメリカ権力者はこの「国家防衛戦略」において、これまで「唯一の戦略的競争相手」と規定してきた中国を「国防上の挑戦を速めている最も重大な戦略的競争相手」と規定しなおし、この中国にたいする「抑止」を維持・強化することを第一義的に優先する、と宣言している。
 ペンタゴン官僚は「防衛の優先順位」という項目の第一に、「増大しつつある中国による多次元領域の脅威からアメリカ本土を防衛する」とうたい、「インド太平洋における中国の挑戦〔に対処すること〕を優先し、次に欧州におけるロシアの挑戦をおき、必要とあれば衝突に打ち勝つ備えをしつつ攻撃を抑止する」というように、戦略上の「優先順位」を明確にしている。
 今年二月にウクライナ侵略にふみきったロシアにたいしては「NATO同盟国・パートナー国とともに堅固な抑止を強化する」と述べるにとどめ、中国にかんしては再度「アメリカ本土にたいする有形・無形の脅威が増大していることをふまえ、われわれは強靱性を、すなわち持ちこたえ・戦いぬき・そして混乱を速やかに回復しうる能力を強化するために、必要な行動をとる」と強調している。ここに、アメリカ権力者が何よりも中国を国防戦略上の主敵としていることが鮮明にしめされているといえる。
 〔「国家防衛戦略」の発表以後三ヵ月を経た今日、プーチンのロシアによるウクライナ侵略戦争に震撼され、欧州においてNATOとロシアとが真正面から激突する危機が高まっている。この国際環境の大激変の渦中において、バイデン政権がこの国防戦略にのっとって中・露にどのように対応しているかについては、後述する。〕

 「統合抑止」なるものの構造

 「統合抑止」という新たな戦略概念をその中心にすえたことが、新「国防戦略」の最大の特徴をなしている。
 ペンタゴン官僚は、この概念を次のように説明している。――「統合抑止は以下のことを含意する。戦闘の諸ドメイン・もろもろの戦域・紛争の諸スペクトラム・合衆国の国力の他の諸手段・およびわれわれの同盟諸国とパートナー諸国の比類なきネットワーク、これらを切れ目なく横断して活動することにより、われわれの強さを発展させ結合させ最大限の効果をうみだすことである」と。
 右のなかの(a)「戦闘の諸ドメイン」とは、いうまでもなくアメリカ帝国主義軍隊が行使する軍事力の陸・海・空・宇宙・電磁波・サイバーという六つの戦力分野をさす。そして(b)「戦域」とは、欧州NATO正面・インド太平洋・中東アフリカなどの、世界の各地域において起こりうる紛争を想定しアメリカ各統合軍司令部がその守備を分担している地理的な区画をさす。さらに(c)「紛争の諸スペクトラム」とは、一国内の内戦・局地戦争・戦域レベルの中規模戦争などの、起こりうる国際紛争の強烈度≠フ違いや性格の相違をさしているといえるであろう。――以上は、いずれも直接にはアメリカ国家の軍事力行使にかかわる規定である。
 他方、(d)「国力の他の諸手段」と表現されているのは、国防総省が管轄する軍事力以外の、アメリカ国家の他の諸部局が管轄する諜報力・情報力・外交力・経済力・金融支配力・高度先端技術の開発・競争力およびエネルギー資源や希少資源の独占支配力などをさしているといえる。
 これにたいして、(e)「同盟諸国・パートナー諸国のネットワーク」とは、没落帝国主義国家アメリカが同盟諸国のもつ軍事・情報・経済・金融・技術などの種々の「国力」を総動員するとともに、それらの外郭に友好諸国をもひきつけ囲いこむことにより、衰弱したみずからの「国力」の発揮を補完することをさしているといえるであろう。
 現にいまバイデン政権は、ウクライナを侵略したロシアのプーチン政権にたいして、なお事実上の基軸通貨としての地位を占めているドルの圧倒的な支配力を行使し同盟諸国を総動員するかたちで、SWIFT(国際銀行間通信協会)の国際決済網からロシアの金融諸機関や諸企業を排除し、ドルによる貿易上・金融上の決済を不可能にする挙にでている。さらに、日・豪・韓・欧の同盟諸国や台湾などの友好諸国を束ねつつ、ロシアにたいする半導体輸出を途絶することをはじめとする経済制裁を科している。こうした軍事力以外の「他の諸手段」による、しかも同盟諸国さらには友好諸国のそれらをも総動員しての主敵・中国(およびロシア)にたいする「国力」の行使を、バイデン政権は「国防戦略」の主軸をなす核軍事力を補完するものとして、その副軸に位置づけているのである。

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同盟国・パートナー国の「国力」を総動員

「使える核」の先制使用を位置づける核戦略

東西で高まる熱核戦争の危機を突破せよ

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開始されたウクライナ労働者人民のパルチザン闘争

抵抗の主戦場―メリトポリとヘルソン

 侵略ロシア軍が制圧したウクライナ南部の占領地域――ヘルソン州やザポリージャ州などでは、ロシア軍の弾圧に抗して労働者や市民が、「不服従」やサボタージュで抵抗しているだけでなく、果敢なパルチザン戦闘でロシア軍やその手先どもに痛撃を加えている。
 ザポリージャ州の人口一五万人の都市メリトポリ――マリウポリとヘルソンの中間に位置すると同時にクリミア半島への中継点でもある要衝――では、ロシア軍に占領された三月初め以降、占領軍およびそれに押したてられた親露派の幹部にたいするゲリラ的攻撃が波状的に敢行されている。
 五月十八日には、ロシア軍部隊を乗せた装甲列車が爆破されるとともに、ロシア軍の現地司令部に手榴弾が投げこまれた。同時に市街地では、二人のロシア軍将校の死体が発見された。その四日後にも、クリミアにつながる鉄道のレールが爆破された。そして五月三十日には、市の中心部で、ロシア軍がデッチあげた自称「新市長」の車が爆破された。
 ウクライナ軍とともにたたかっているメリトポリの市長は「わが国の人民は占領軍の足下で地面が燃えるようにありとあらゆる手段を講じている」と言明し、「この地域ではパルチザンが一〇〇人以上のロシア軍兵士を殺害した」と発表した。
 メリトポリでは、ロシア軍の進駐直後から住民たちが自発的に抵抗組織を結成し、ロシア軍のトラック部隊などを攻撃した。けれどもこの戦いは、送りこまれたFSB直轄部隊の凶暴な弾圧によっていったんは抑えこまれた。五〇〇人以上の市民が拉致されて「行方不明」となり、人口の半分が市外に逃れたといわれている。それでもメリトポリの人民は屈しなかった。彼らは、ウクライナ政府のテコ入れをうけてパルチザン部隊を再建し、いまウクライナで最も激しいパルチザン戦を戦っているのである。
 事態は、隣のヘルソン州でも同様である。
 六月十八日に、ロシアによってヘルソン州の刑務所長に指名された男の車が爆破された。同二十四日には、占領当局の親露派幹部が車ごと爆殺された。この日は、プーチン直轄の暴力装置=国家親衛隊の総司令官であるゾロトフがヘルソンを視察していたという。ウクライナ側のヘルソン市幹部は「われわれのパルチザンの新たな勝利だ」と発表した。ヘルソン州では、ロシア軍の支配地域での爆発事件が二十回以上も起きている。
 ヘルソンとザポリージャを中心とする南部のパルチザンは、当初の数百人規模からすでに数千人規模に拡大している、という。
 ロシア軍は当初、これらの占領地域で、ルガンスクやドネツクの支配地域(自称「人民共和国」)のように、住民投票をおこなって「ロシアへの編入」を決定させることを企んでいた。だが、ロシア軍が軍事力で押さえ、それをバックに「親露派」のなかから傀儡の首長を選んだとしても、圧倒的多数の住民は侵略者ロシアへの強い反発を募らせている。ロシア語を話す人たちでさえそうなのだ。彼らの多くは、面と向かって反逆しないばあいでも、占領者に「非協力」「不服従」の態度をしめしたり、親露派のための仕事をサボタージュしたりしている。そもそもこれらの地域では、占領下でもロシア軍に対峙しながら公然たる「反ロシア」デモが何度も展開されているのだ。
 この「反ロシア」感情の強烈さに怖じ気づいたロシア軍と親露派勢力は、この住民投票方式を諦めて、ロシアへの直接併合の方針に切り替えた。そのためにいま、ロシア製パスポートの発行やロシア語教育の義務化、ルーブリの流通、ウクライナの放送局の停波とロシア国営テレビだけの放送など、いわゆる「ロシア化」政策を強引に貫徹しているのだ。こうした「ロシア化」政策にたいして、ヘルソンやザポリージャの労働者・人民は、いよいよ憤激し闘志を燃やしてパルチザン闘争をくりひろげているのである。

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「不服従運動」と毒入りパイでの「歓待」

息づくウクライナ・パルチザンの伝統


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ベラルーシの「鉄路の闘い

ロシア侵略軍の補給列車を労働者が止めた!

 ロシア侵略軍のキエフ総攻撃にたいして、民族の独立を守りぬく決意に燃えたウクライナの労働者人民は、国軍・領土防衛隊・住民組織が一体となってこれを撃退した。この「兄弟姉妹」と連帯して、キエフに向かう侵略軍の補給列車をブチ止めたのが隣国ベラルーシの鉄道労働者たちだ。
 ロシア軍は、同盟国ベラルーシを出撃してキエフ方向に向かう部隊に、ベラルーシ国有鉄道を経由して軍事物資を補給する準備を整えていた。プーチンは、盟友ルカシェンコにキエフへの鉄道輸送を任せたのだ。貨車には予備の戦車や弾薬、燃料、食糧やトラックが満載されていた。
 この列車を止めるために、ベラルーシの鉄道労働者たち――彼らは「鉄道労働者パルチザン」と呼ばれている――は闘いを開始した。二月二十四日の開戦時、軍用列車への乗務を拒否して八名の労働者が逮捕された。別のメンバーたちは、確実に列車の運行に影響を与える信号設備の破壊を計画した。自動信号が動かなければ、列車は減速運転を強いられ、大混乱が生じる。二月二十六日以降、彼らはキエフに向かう鉄道路線の信号設備を破壊し、線路を封鎖して列車の運行を妨害する闘いを五波にわたって敢行した。ある地点では、警戒中の治安部隊から発砲を受けながら命がけで作戦を遂行した。こうして三月二十日までに、軍用列車を完全にブチ止めたのだ。
 またIT労働者からなる「サイバー・パルチザン」も、鉄道労働者と連携して国鉄のサーバーに大規模なサイバー攻撃を敢行した。これによって国鉄は、手動での運行管理を強いられ列車の運行が大幅に遅延した。この二つの闘いによって、ロシア軍は列車による補給を断念しトラック輸送に転換せざるをえなくなった。
 怒りを露わにしたプーチンとその下僕ルカシェンコの意を受けて、ベラルーシ検察は「鉄道パルチザン」の闘いを「テロ行為」と断じ、「懲役二十年」の刑に処すると布告した。さらに五月十八日になって、大統領ルカシェンコが「テロ行為の準備」に死刑を適用する法律を承認した。KGB(国家保安委員会)は、四十名以上の鉄道労働者を次々と逮捕している。だが鉄道労働者たちは政権の脅しや逮捕攻撃に怯むことなく、ウクライナの「兄弟姉妹」と連帯し、鉄道労働者の誇りにかけてロシア軍の軍事物資輸送を阻止すべく英雄的にたたかいぬいているのだ。

以下 見出

兵站線をズタズタにした「鉄道パルチザン

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辺野古新基地建設を阻止するぞ
労・学・市民が現地闘争に起つ   6・16
 六月十六日、琉球大と沖縄国際大のたたかう学生たちは、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前での座り込み行動(主催:オール沖縄会議)に起ちあがった。およそ二年ぶりとなるこの日の「集中行動」には、平日にもかかわらず、全県から多くの労働者・市民が結集した。たたかう学生たちは、<反安保>の旗幟鮮明に先頭でたたかいぬいた。
「ゲート前座り込み行動」に決起した労働者・学生・市民が米軍キャンプ・シュワブに怒りの拳
(6月16日、第1ゲート前)
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米領事館・自民党県連に抗議
6・19 福岡
 六月十九日、福岡中央地区反戦青年委員会のたたかう労働者は、全国の労学統一行動と連帯し、在福岡アメリカ領事館と自民党福岡県連にたいする抗議闘争に決起した。
米領事館めがけシュプレヒコール
(6月19日、福岡市)
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 6・19 ウクライナ反戦の炎立つ
札幌に改憲阻止の声轟く
全道労学統一行動
 六月十九日、全学連北海道地方共闘会議のたたかう学生と反戦青年委員会のたたかう労働者は、札幌市中心部において全道労学統一行動に総決起した。労働者・学生は、ウクライナ反戦、反改憲・反安保の闘いを創造したのだ。

白ヘル部隊が自民党道連に怒りの拳
今こそ反戦反安保闘争の大高揚を!――総決起集会
〈プーチンの戦争〉を打ち砕け!
 わが同盟が連帯挨拶
札幌の市街に「ロシアのウクライナ軍事侵略弾劾!」の声を轟かせる全学連・反戦の隊列
(6月19日、札幌市)
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名古屋市街をデモで席巻
全東海労学統一行動
 六月十九日、全学連東海地方共闘会議と名古屋地区反戦青年委員会は、名古屋市内において、ロシアのウクライナ侵略を弾劾し、岸田政権の大軍拡・憲法大改悪への突進を阻止する労学統一行動に決起した。

米―中・露激突下の戦乱の危機を突き破れ!――総決起集会
ファシズム的な自治会破壊攻撃を許すな!――闘う愛大生が決意表明
「改憲阻止! 日米軍事同盟の強化反対!」名古屋市・栄を進撃する白ヘル部隊
(6月19日)
   愛知大学の闘う学生が岸田ネオ・ファシズム政権による
革命的学生運動破壊攻撃を打ち砕く闘いの決意を表明
(6月19日、名古屋市中区)
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