第2723号(2022年6月20日)の内容

<1〜2面>
6・19労学統一行動に起て!
 ウクライナ反戦、改憲阻止・反戦反安保の闘いを!
◎ヘルソンの怒り、ひまわりの悲憤
<4面>
<プーチンの戦争>を支えるロシア正教会
<3面>
島根原発の再稼働を許すな!
柏崎刈羽原発――
 「運転禁止命令」の解除を急ぐ政府・規制委
◆物価高騰を居直る日銀・黒田
<5面>
Topics 大軍拡と社会保障大削減を宣言――「骨太の方針」
郵政労働者35000人の人員削減反対!
 容認するJP労組本部弾劾!
<6面>
<プーチンの戦争>下でチェルノブイリ原発事故をふりかえる
 「解放」最新号






















  


6・19労学統一行動に起て!

ウクライナ反戦、改憲阻止・反戦反安保の闘いを!


 ロシアの侵略軍は、ウクライナ東部ルガンスク州のセベロドネツクにたいして、重火器で徹底的な砲撃を加えたうえに、戦車部隊および歩兵部隊を突入させている。ルガンスク州においてウクライナが防衛している要衝都市のセベロドネツクを制圧するために、一万数千人ともいわれる住民もろとも街全体を包囲し破壊・殲滅する総攻撃をしかけているのだ。ロシア軍によるこの残忍極まりない蛮行を断じて許すな! ロシアのウクライナ侵略を粉砕せよ! すべての労働者・学生は、日共および既成労組指導部の闘争放棄・闘争抑圧をのりこえ、ウクライナ反戦の闘いに起て! たたかうウクライナの労働者・人民と連帯してたたかおう!
 ロシアによるウクライナ侵略戦争を契機にして、東アジアにおいても、日本近海、台湾および南太平洋を焦点として米・日と中・露との軍事的な角逐が一挙に激化している。ロシア・中国・北朝鮮などの反米国家にたいする最前線にたつ日本の岸田自民党政権は、来る参院選に向けて、「明日のウクライナになってはならない」などとうそぶきながら、「防衛力の抜本的強化」と憲法第九条の「改正」の旗を公然とうちふっている。岸田政権による大軍拡と憲法改悪の策動は、日米軍事同盟にもとづいて米軍とともに日本国軍が「敵国」の「中枢」に先制攻撃する軍事体制をつくりあげてゆくための、画歴史的な反動攻撃にほかならない。
 すべての労働者階級・人民は、岸田自民党政権によるこの改憲・安保強化の一大攻撃を絶対に粉砕するのでなければならない。「反安保」を放棄する日共系の反対運動をのりこえ、反改憲・反安保の全人民的な一大闘争を全国から巻き起こせ! 米―中・露角逐のもとでの戦乱勃発の危機を突き破る反戦の闘いを創造せよ!
 すべてのたたかう労働者・学生諸君! 首都・東京をはじめ全国各地で開催される6・19労学統一行動に総決起せよ!

セベロドネツクへの総攻撃をしかける侵略者プーチン

東アジアで高まる戦乱勃発の危機――改憲・安保強化に突き進む岸田政権


<プーチンの戦争>を打ち砕け! 反改憲・反安保闘争の爆発を!
 すべてのたたかう労働者・学生諸君!
 われわれは、<プーチンの戦争>を打ち砕くウクライナ反戦の闘いを断固として推進するのでなければならない。たたかうウクライナ人民と連帯してたたかおう。そして同時に、岸田政権による憲法改悪、先制攻撃体制の構築、沖縄の軍事要塞化に反対する反改憲・反戦反安保の闘争を大きく創造するのでなければならない。全国のたたかう労働者・学生は、六月十九日に、首都・北海道・東海・関西・沖縄でおこなわれる労学統一行動に決意もかたく総決起せよ!

ウクライナ労働者・人民と連帯して闘おう
 (1)われわれは日本の地において、プーチンのロシアがウクライナを強奪することを狙って強行しているウクライナ侵略を粉砕する反戦の闘いを断固として創造するのでなければならない。セベロドネツクへの包囲・殲滅戦を断じて許すな!
 ロシア軍は、砲撃によってウクライナの街を、住居も・学校も・病院もまるごとすべて破壊し、人民を虐殺し、水・電気・ガスなどのインフラを徹底的に破壊しつくしている。ロシア軍による水や食料の配給ぬきには住民が生きられない状況に追いこみ、そうすることによってその土地をロシア軍の支配下に奪いとっている。支配下においた人民からはウクライナの言語や文化を奪いとってロシア語の教育を強制し、街から追い出したウクライナの人民を「選別キャンプ」なるものに送りこんで拷問・尋問し、「反ロシア的」とみなした者には「ネオナチ」の烙印をおして処刑し、夥(おびただ)しい労働者・人民をロシア各地に強制連行し働かせている。スターリンの末裔にして現代のヒトラー・プーチンの世紀の蛮行をわれわれは絶対に打ち砕くのでなければならない。今こそわれわれは、たたかうウクライナ人民と連帯し、<プーチンの戦争>を粉砕するために奮闘するのでなければならない。
 ロシアによるウクライナへの悪逆非道な侵略戦争に反対する反戦の闘いを、日共の志位指導部や既成の労組指導部はいっさい組織していない。彼らは、憲法や基地問題などを課題とする諸集会において、「ウクライナ侵略反対」のスローガン一つ掲げないのだ。プーチンの世紀の蛮行にたいして、反戦の闘いの組織化を放棄するとは、じつに許し難いではないか! 参院選に向けての票田開拓に没入している日共中央を弾劾せよ!
 日共の志位指導部は、世界には「平和の流れ」があるなどとほざきながら、「国連憲章守れの一点で」「世界は団結」しようなどとつぶやいている。現にロシア軍がウクライナ人民を日々虐殺しているこのときに、そして国連の「機能不全」が誰の目にも明らかになっているにもかかわらず。国連総会においてロシア非難の決議に約一四〇ヵ国が賛成したことを「平和の流れ」などと天までもちあげている始末なのだ。
 日共官僚には、ウクライナ強奪戦争をしかけたプーチン政権にたいする怒りが微塵もない。ソ連邦崩壊後のエリツィン政権下で大混乱と経済的破産に陥った「亡国ロシア」において、謀略を駆使してチェチェン人民を血の海に沈めて権力の座にのしあがり、汚い手口で国有財産を簒奪し、FSBによる強権支配体制を敷いたのが元KGBのプーチンにほかならない。このスターリニストの末裔への怒りも憎しみもなく、ロシア軍の暴虐にたいして血を流しながらたたかっているウクライナ人民と共存共苦することも一切ないのが、転向スターリニスト代々木官僚なのだ。
 この輩どもを突き動かしているものはただ一つ、来る参院選において惨敗するならば党の命脈がつきてしまう、という官僚的な自己保身にほかならない。保守層の票が逃げるのを恐れて、ただただ「共産党=プーチン=旧ソ連」というキャンペーンを恐れて、プーチンとみずからとの区別立てに血眼となっているのである。
 われわれは、腐敗を極める日共中央をはじめとする既成指導部による、ウクライナ反戦闘争の放棄を弾劾し、「ロシアによるウクライナ侵略反対」の反戦闘争を断固として創造するのでなければならない。
 ウクライナ軍事侵略の「長期化」に備えてプーチンはいま、かのスターリンを、ロシアを「大国」にしナチス・ドイツとの戦いを勝利に導いた指導者≠ネどとロシア人民に向かって喧伝している。プーチンによるスターリン礼賛を、断じて許してはならない!
 われわれはロシア人民に声を大にして訴える! ロシア労働者・人民をウクライナへの侵略戦争に動員するために、スターリン時代の「偉大なソ連」への郷愁を煽りたてるプーチンを絶対に許してはならない。FSB強権支配をうち破り、反戦・反プーチンの闘いを創意工夫をこらして創造せよ!
 貧困と圧制に苦しむロシアの人民が現在の悲惨を突破する道は、スターリン主義・ソ連邦のような「強い指導者を戴く大国の復活」にあるのではない。スターリン主義のエセ・マルクス主義としての虚偽性に目覚め、レーニン率いる一九一七年のロシア・プロレタリア革命を現在に再び実現することにこそあるのだ。
 そして侵略軍と命を賭して戦っているウクライナの労働者・人民に呼びかける! ロシアの侵略軍を断固として撃破せよ! 弾圧に抗して「反戦・反プーチン」の声をあげている心あるロシアの労働者・人民と連帯し、かつてのレーニンの時代のように、ウクライナとロシアの地に労働者国家の建設を実現する方向へと前進しようではないか。
 われわれは、ウクライナ反戦闘争のただなかにおいて、ロシアの人民に、そしてウクライナの人民に、右のような呼びかけを声を大にして発するのでなければならない。

憲法改悪を絶対に阻止せよ! 日米軍事同盟の強化反対!
 (2)第二にわれわれは、岸田自民党政権による憲法改悪、先制攻撃体制の構築、沖縄の軍事要塞化に反対する反改憲・反戦反安保の闘いを創造するのでなければならない。
 @岸田政権は、来る参院選に向けて「戦力不保持・交戦権否認」を謳った憲法第九条の破棄と「緊急事態条項」の創設を公然と掲げている。岸田政権による憲法改悪の策動は、米―中・露の<新冷戦>の激化のもとで、日米軍事同盟にもとづいて日本がアメリカとともに「敵国」へと先制攻撃ができる軍事強国にのしあがることをめざした巨大な攻撃にほかならない。われわれは岸田政権による憲法改悪の攻撃を絶対に粉砕するのでなければならない。改憲と戦争の道をひらかんとする自民党をはじめとする一切の右翼ファシストどもの跳梁を打ち砕け!
 ユーゴ・アフガニスタン・イラクにたいする戦争をはじめ数々の侵略戦争をくりかえし人民を血の海に沈めてきた軍国主義帝国アメリカ。この世界最大の核大国アメリカとの軍事同盟にもとづいて、「敵国」への先制攻撃をできる軍事強国へと日本がのしあがることを断じて許してはならない。岸田政権がめざしている軍事費の一一兆円への倍増をなしとげるならば、日本はアメリカ・中国に次ぐ世界第三位の軍事費を投じる軍事大国となるのだ。
 われわれは、憲法改悪阻止の闘いを、「大軍拡反対、軍事費の大増額反対、日本の軍事強国化反対」のスローガンのもとにたたかうのでなければならない。
 現在、改憲の旗を先頭でうちふっている元首相・安倍をはじめとする自民党のファシストどもは、かつて日本軍国主義が強行した中国・アジアにたいする侵略戦争を聖戦≠ニ美化している軍国主義者である。この輩どもによる「軍国日本」の復活の策動を断じて許してはならない。
 岸田政権による憲法改悪の策動を木っ端みじんに粉砕せよ!
 Aわれわれは、憲法改悪と一体のものとして岸田政権がおしすすめている、アメリカと共同での先制攻撃体制の構築、沖縄・南西諸島の軍事要塞化、軍事費の大増額などの、日本の軍事大国化をめざした一切の策動に反対するのでなければならない。辺野古への米海兵隊新基地建設阻止! EABO構想にもとづく米軍ミサイル部隊の南西諸島への配備反対! 南西諸島への自衛隊ミサイル部隊の配備反対!
 先制攻撃体制の構築、沖縄・南西諸島の軍事要塞化などは、日米軍事同盟強化のための現実的な諸攻撃にほかならない。そして岸田政権が企む憲法改悪もまた、岸田とバイデンとの日米同盟の「抑止力・対処力の強化」の確認にもとづいて、日本をアメリカとともに先制攻撃をおこなう軍事大国に飛躍させるという野望にもとづく攻撃なのである。まさにそれゆえにわれわれは、日米軍事同盟の対中・対露の攻守同盟としての強化に断固として反対するのでなければならない。安倍ら極右タカ派の政治エリートどもが唱える「日米ニュークリア・シェアリング(核共有)」を絶対に許すな! 日本の核武装化反対! 日米核軍事同盟反対! <基地撤去・安保破棄>をめざしてたたかおう!
 米日韓の権力者は、三ヵ国の外相会談(シンガポール)において、対北朝鮮の共同訓練を再開することを決定した。米日韓三ヵ国合同訓練の実施反対! 米日韓三角軍事同盟の強化を許すな!
 日米の両帝国主義権力者が日米軍事同盟にもとづいて先制攻撃体制の構築や沖縄の軍事要塞化の攻撃に突き進んでいるのは、台湾併呑の野望をむきだしにしながらアメリカ・日本にたいする軍事行動をエスカレートさせているネオ・スターリン主義中国、そしてまた中国と結託して対米・対日の軍事的威嚇行動をとっているロシアに対抗するためにほかならない。米・日による軍事同盟の強化と中・露による対抗的な軍事行動とによって、東アジアにおいて戦乱の危機が高まっているのだ。
 われわれは、日米両帝国主義権力者による日米軍事同盟の強化に反対するとともに、ネオ・スターリン主義中国およびこれと結託するロシアによる軍事行動にも断固として反対するのでなければならない。
 米・日と中・露の新冷戦下で高まる戦乱勃発の危機を突き破る反戦の闘いを創造しようではないか!
 日本共産党の代々木官僚どもは、「ウクライナ戦争に乗じた『力対力』のくわだてを止め、『外交による平和』をつくりだす」などと称して、「九条を生かした平和外交」で「東アジアサミット(EAS)を強化する」などという参院選に向けての自党の安保外交政策の宣伝に一切をきりちぢめている。現に台湾や日本近海、東シナ海・南シナ海さらには南太平洋を焦点にして、米・日と中・露との激突が激化しているこのときに、当の権力者どもによる「外交」によって平和が実現するなどというのは、白昼夢でしかないではないか。
 彼ら代々木官僚は、「九条を生かした平和外交」という「わが党の外交ビジョン」は、「軍事同盟に対する立場の違いを超えて、多くの方々の共感を得られる」などと主張している。みずからの安保外交政策の代案を、日米軍事同盟が存在するもとでも実現可能なものとしているのだ。かの日米首脳会談に示されたように、日米両権力者が「日米同盟の対処力の強化」を謳い中国・ロシアにたいする日米軍事同盟の飛躍的な強化に突き進んでいるときに、「反安保」を完全に放棄しているのだ。
 われわれは、こうした日共中央の「反安保」の放棄をのりこえ、憲法改悪、先制攻撃体制の構築、沖縄・南西諸島の軍事要塞化に反対する闘いを、「日米軍事同盟の対中・対露攻守同盟としての強化反対」の旗幟を鮮明にしてたたかうのでなければならない。そして、米―中・露の激突のもとで高まる戦乱勃発の危機を突き破る反戦の闘いを創造しようではないか。
 憲法改悪反対の運動や反戦の闘いにたいする、権力による一切の破壊攻撃を打ち砕け! 反動大学当局者による反改憲・反戦をたたかう学生自治会破壊を粉砕せよ! 一切のネオ・ファシズム的な弾圧を打ち砕き、ウクライナ反戦、反改憲・反戦反安保闘争の高揚をかちとれ!
 すべてのたたかう労働者・学生は6・19労学統一行動に起て!

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<プーチンの戦争>を支えるロシア正教会

 プーチンの侵略戦争には宗教的狂信性が刻印されている。彼がみずからの大ロシア主義を――スターリン再評価や「ネオ・ユーラシア主義」と称する「地政学」とともに――ロシア正教会の教義によって基礎づけているからにほかならない。
 以下、ロシア人民を侵略戦争に駆りたてる役割をはたすロシア正教会モスクワ総主教庁とキリル総主教、その戦争翼賛のイデオロギーと活動を暴露する。<プーチンの戦争>を、さらに怒りをこめて弾劾し粉砕するために。

1 ウクライナ侵略戦争の聖化

 キリルのロシア正教会モスクワ中央は、プーチンがウクライナ侵略を開始するやただちに、この戦争という行為そのものを「神」の名において称賛した。四月十日の礼拝においてキリル総主教は、「国家が困難なとき、神は国民が政権に寄り添い、団結して内外の敵を打ち倒す能力を授けてくださる」と説法したのだ。時あたかも、ロシア侵略軍がキエフ総攻撃に敗退し、撤退後にブチャなどで人民虐殺の衝撃的な事実が暴露された直後であった。この事態に直面してロシア国内に動揺が広がるのを抑えるために、キリルは、反戦を呼びかける者を「国内の敵」と烙印したのである。
 キリルはまた、プーチンの戦争を「正義と悪の黙示録的戦いであり」、「神の加護を受けられるか否かという人類の行方を決めることになる」とまで言いきっている。ロシア侵略軍の残虐きわまる行為を「黙示録」の名において肯定するとは、まさに戦争礼賛宗教ではないか。
 そもそも、ロシア正教会中央はキリルの主導のもとに、「ルースキーミール(ロシアの世界)」なる理念を称揚してきた。ロシア・ウクライナ・ベラルーシの三民族が一体であるとするこの虚偽の「理念」をもって、プーチンはウクライナの領土強奪戦争を正当化したのである。
 「ルースキーミール」をロシア正教会は厳密に規定している。「共通の政治的中心(モスクワ)、共通の精神的中心(キエフ)、共通の言語(ロシア語)、共通の教会(ロシア正教会モスクワ総主教庁)、および共通の総主教(モスクワ総主教)、共通の大統領」というものだ。二〇二一年七月にプーチンは、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」と題する論文を発表したのであるが、この論文は、まさにこの理念を「私の信念」として述べたものにほかならなかった。
 プーチンはこの論文で、「私たちの親族関係を大きく左右する聖ウラジーミルの精神的な選択」(九八八年にキエフ公国のウラジーミルがギリシャ正教の洗礼を受けたこと)を強調した。この「ルーシ受洗」がロシア・ウクライナ・ベラルーシ三民族の「共通の精神的源」だというのである。キエフを国のまほろば≠ニする、このような建国神話を「私の信念」と称して大ロシア主義をファナティックに煽り、侵略戦争にロシア人民を動員しているのがプーチンにほかならない。
 〔二〇一六年には「ウラジーミル聖公記念碑」が建立され、開幕式典でプーチンとキリルが並んで祝辞を述べ、「聖ウラジーミルを父とするすべての民族が一つであることのシンボル」として記念碑を讚えたのだ。〕
 さらに、驚くべきことに正教会中央は、戦争のみならず軍事力そのものを神聖化し崇拝してさえいる。「ロシア軍事力大聖堂」なるものを二〇二〇年にロシア国防省と共同で建設し、ここでキリル自身が祈祷をおこなっていることが、それだ。この「聖堂」は、あろうことか兵器や「大祖国戦争の英雄」のレリーフをイコンと並べて陳列し、殺人兵器を聖なる偶像≠ニして崇める場所なのだ。そしてキリルは四月三日に、ここで「私たちの軍は強くあらねばならない」と兵士に向かって説教したのだ。
 「軍事力大聖堂」なるものは、戦死者を「英霊」にまつりあげ崇拝する靖国神社と同様に、国家のために喜んで死ねと迫る戦争宗教のシンボルにほかならない。これこそは、兵士に死を強制するプーチンやキリル、そしてFSB強権体制の権力者どもの意図のむきだしにされた姿なのだ。
 プーチンがキリルの正教会をとりこんでみずからの支配体制を強化したのは、二〇〇四年にさかのぼる。この年に大統領に再選されたプーチンはクレムリンに正教会の主教・司祭たちを列席させ、キリルと並んで演壇に立って宣言した。「これからは国家が教会に〔積年の抑圧という〕負債を返してゆく。国家を強化するために力を貸してくれ」と。満場の聖職者たちは鳴りやまぬ拍手で応えたのであった。
 われわれはすでに、〇三年十二月のロシア下院選挙でプーチン与党が圧勝したとき、ロシアにおいて「FSB強権体制の選挙をつうじての強化確定」と断じたのであった(黒田寛一『ブッシュの戦争』二〇〇頁、二〇四頁)。このプーチンが再選を跳躍台にして強権体制の強化に突進した。その第一弾がロシア正教会のとりこみにほかならなかったのだ。
 しかも、このことは偶然ではない。キリルその人は、ソ連時代は「ミハイロフ」というコードネームをもつKGB(=現FSB)のエージェントであった。正教会がゴルバチョフによって公認≠ウれる一九八八年(「ルーシ受洗千年祭」)以前の、正教会の活動が制限をうけていた時代に、KGBと正教会の二重スパイ的活動をおこなっていた人物こそ、キリルにほかならない。今日の彼のプーチンへの忠誠は、レニングラードでKGB員として活動していた両者の過去の経歴を基礎にして、歴史的に形成されてきたものなのだ。
 プーチンがメドヴェージェフに大統領の座を一期だけ譲ったあとの大統領選(二〇一二年)にさいしても、キリルはプーチンの統治を「神の奇跡」と讚えた。大統領プーチンに神権≠伝授する役割を演じてきたし、いま現に演じているのがキリルにほかならない。

 以下 見出し

2 「反米欧・反民主主義」の排外主義的煽動

3 下からの戦争動員

4 大ロシア主義の「神」による補強


 いまこそスターリン主義の超克を!

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岸田政権・中国電力による島根原発再稼働を許すな!

 六月二日、島根県知事・丸山は、中国電力島根原発2号機の再稼働を「容認する」と表明した。地元自治体で最後となった島根県の「同意」をとりつけた中国電力経営陣と岸田政府・自民党はいま、「原発一基を動かすことができたならば一〇〇万トンのLNGを供給するのと同じ」(岸田)などと叫びたてながら、東京電力福島第一原発と同型のBWR(沸騰水型軽水炉)再稼働第一号となる島根2号機の再稼働に突進している。いまだなお収束のメドがつかない福島第一原発大事故、この事故によって塗炭の苦しみをなめさせられている労働者・人民の存在をなきものにしながら強行されようとしている島根原発2号機の再稼働を絶対に阻止せよ。

以下 見出し

島根県知事が2号機再稼働を「容認」

エネルギーの「供給制約・価格高騰」を口実に


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