第2714号(2022年4月18日)の内容

<1面>
プーチンの人民大虐殺を許すな
 ロシア侵略軍とたたかう不屈のウクライナ人民と連帯し闘おう
<3面>
ホロドモール
 ウクライナの数百万人民に餓死を強制したスターリン
◆ウクライナ反戦の雄叫び
<2面>
事業構造改革のための労使協議に歪められた郵政春闘
■「思いやり」→「同盟強靱化」予算
<4面>
22春闘勝利! 電機労働運動の戦闘的高揚を!
<5面>
コロナ感染拡大下
 高齢者に施設療養を強要
Topics 介護労働者「一人あたり9000円賃上げ」の欺瞞
<6面>日本製鉄のトヨタ・宝山鋼鉄提訴の意味するもの 下

週間日誌は6面に掲載
 「解放」最新号

























  

プーチンの人民大虐殺を許すな

ロシア侵略軍とたたかう不屈のウクライナ人民と連帯し闘おう

 プーチンの侵略軍をうち破るためにいま、ウクライナの労働者人民は一致結束し、武器を手にとり命を賭して戦っている。ウクライナ軍と領土防衛隊に志願した人民、そして住民組織とが一体となって、キエフとその周辺都市からロシア侵略軍を叩きだした。
 許しがたいことに侵略軍は、ロシア軍のキエフ侵攻に立ちふさがった近郊のブチャやボロジャンカの人民にたいして、狂気の大虐殺を強行したのだ。プーチンの軍隊は、拷問・処刑など残虐のかぎりをつくし、子どもをふくむ何千人もの住民を殺戮した。われわれはこの蛮行を満腔の怒りをこめて弾劾する。
 プーチンは、不屈に抵抗するウクライナ人民にますます憎悪を募らせ、ドンバスからマリウポリ、さらにはオデッサを含むウクライナ東南部地域の全面占領を策して、大軍を投入し、いま大量殺戮戦を強行している。民族絶滅≠フ意図をむきだしにするこのプーチンの戦争にたいして、ウクライナ人民はいま、侵略軍を叩きだすために勇猛に戦っている。
 われわれは、戦うウクライナ人民と連帯し、ロシアのウクライナ侵略粉砕の闘いのさらなる高揚のために奮闘しよう。すべてのたたかう仲間は、4・24労学統一行動に起て!

ウクライナ絶滅≠狙うプーチンの人民大殺戮弾劾!

 大虐殺がなされたブチャ、ボロジャンカ、ホストメリ、マカリウなどの街や村は、キエフのウクライナ大統領府に通じる幹線の周辺に位置している。これらの地域の住民たちが、身を挺してロシア軍のキエフ突入を阻止したのだ。
 キエフ直近のイルピンでは、住民自警団がバリケードを築き塹壕を掘ってロシア軍を迎え撃ち、ロシア軍の車列を足止めにした。そして、イルピン北西のブチャやボロジャンカの自警団が国軍・領土防衛隊との連携のもとに、身動きのとれなくなった車列に携行式の対戦車ミサイルを撃ちこむゲリラ戦を展開し、ロシア軍戦車部隊に壊滅的な打撃を与えた。「数日でキエフを制圧する」などというプーチンの作戦を、彼らは完全に打ち砕いたのだ。
 この人民の不屈の抵抗に逆上したプーチンとその軍隊は、ブチャやボロジャンカの住民に、老若男女の区別もなく子どもにまで拷問を加え、処刑し、移動する者はすべて射殺し、遺体を切断するというあらんかぎりの暴虐をつくしたのだ。遺体は捜しだされただけですでに一二〇〇を超え、その九割に銃弾が撃ちこまれていたという。これこそが、<プーチンの戦争>の姿だ。ウクライナ民族を大ロシア民族の一部とみなし、抵抗する「民族主義者」の絶滅をも公言するプーチンの、大ロシア民族主義の軍事的貫徹のまぎれもない姿が、これなのだ。
 それだけではない。殺人鬼プーチンは、住民大虐殺が暴かれるや否や、これを「ウクライナ軍のしわざ」などと居直り、マリウポリでは証拠湮滅のために遺体の焼却まで始めている。
 スターリニストの末裔=プーチンによるウクライナ人民の大虐殺を許すな!
 キエフ占領作戦を打ち砕かれたプーチンはいま、「対独戦勝記念式典」の五月九日までに、なんとしてもウクライナ東部のドネツク・ルガンスク両州(いわゆるドンバス)を完全占領するために、この地域にロシア軍大部隊を送りこみ、ドンバスの人民に襲いかかっている。さらには、オデッサを含む黒海沿岸を制圧することを狙っているのだ。
 プーチンは、ウクライナ東部・南部の領土を奪いとるために、マリウポリをはじめとする主要都市で、街にとどまる民衆を皆殺しにし、市街を文字どおり廃墟にするような残虐きわまりない焦土作戦≠次々に強行している。
 四月八日にロシア軍は、ドネツク州の塹壕線のウクライナ側に位置しウクライナ軍の東部戦線司令部が存在するクラマトルスクにたいして攻撃をしかけた。駅に集結していた何千人もの避難民を狙いすまして、クラスター弾装着のミサイルを撃ちこみ、一瞬にして五十七人を虐殺したのだ。
 プーチン政権は、チェチェンやシリアで市街戦を戦ってきた凶暴な殺戮部隊を東部に送りこみ侵略軍を増強するとともに、作戦の総司令官にドボルニコフを任命した。チェチェンのグロズヌイとシリアのアレッポで住民皆殺しの都市壊滅作戦を指揮したこの男に、化学兵器をも使った残虐な作戦を強行させようとしているのだ。〔四月十一日に、ウクライナ軍は「マリウポリでロシア軍が化学兵器を使用した」と発表した。〕
 これにたいしてウクライナ人民は、ドンバス地方においても、国軍部隊や領土防衛隊と連携し、みずから自警団や物資調達・医療などの体制をつくりながら、徹底抗戦をくりひろげている。
 ロシア軍に重包囲され、すでに街の八割を破壊しつくされ水も電気も食糧も途絶えたといわれるマリウポリにおいて、住民は地下シェルターにこもって水と食糧を調達しあい、この街を死守している。
 これにたいしてロシア軍は住民を「敵」とみなして見境なく虐殺し、避難民にさえ発砲して脱出を妨害している。そして万余の人民にたいしてロシアへの連行=シベリア・サハリン送りを強制しているのだ。まさしく、スターリンがかつておこなった犯罪とまったく同様に、プーチンは、マリウポリという都市そのものの存在を住民もろともになきものにしようとしている。死者二万人超(人口の五%)といわれるほどの犠牲を強いられながらも、たたかう人民は、侵略軍の暴虐に屈せず、街に残ってたたかっている。「たとえ街が灰燼と化そうともマリウポリは死なない」と叫びながら。
 ウクライナ北方のロシア国境に近い人口第二の工業都市ハリコフでもまた、国軍・領土防衛隊と連携した労働者人民は、ロシア軍の重包囲下で徹底抗戦を続け、西方から迫っていた侵略軍を撃退した。マリウポリやハリコフのたたかう人民は、キエフ侵攻軍を身を挺して阻止したブチャなどの住民の英雄的な闘いにはげまされ、どんな犠牲をはらっても必ずロシア軍に勝つ、という確信に燃えてたたかっているのである。

ウクライナ侵略をめぐる米―中の激突

 いまキエフ近郊での人民大虐殺が暴露されたことをきっかけにして、米・欧と中・露とが国家エゴイズムをむきだしにして醜悪な駆け引きをくりひろげている。
 この虐殺を非難する声が全世界から噴きあがったのを絶好のチャンスとみたバイデンのアメリカは、「プーチンは戦争犯罪人だ」と喚きたてながら、対ロシアの政治的包囲網をおし拡げるために狂奔している。アメリカ帝国主義のベトナム、アフガニスタン、イラクへの侵略などまるでなかったかのように、だ。
 これにたいして、「住民虐殺はウクライナ政府の自作自演」などという大嘘をついて居直っているのがプーチン政権であり、「調査の結論が出るまで各国は無責任な非難を避けるべきだ」というようにプーチンを擁護しているのが習近平政権である。プーチンのロシアは、インドなどの地域大国やアフリカ・中南米の発展途上諸国にたいして、軍事援助などのエサを与えながらウクライナ問題でロシアを非難しないように迫っている。そして、このロシアを強力にバックアップしているのが習近平の中国にほかならない。
 四月七日の国連総会緊急特別会合において、ロシアを国連人権理事会から追放する決議が賛成多数で可決された。「専制主義国」にたいする「民主主義国」の勢力を国連において挽回することを策すバイデンのアメリカは、住民虐殺問題を利用してこの決議案を提出した。これにたいしてロシアは、中国の強力な支援を得つつ、「人道問題の政治利用反対」などというキャンペーンをくりひろげた。この結果、ロシアのウクライナ侵攻への二度の非難決議(三月)のさいに賛成票を投じた一四一ヵ国(二度めは一四〇)のうちの五十ヵ国近くが反対と棄権にまわり、賛成は九十三ヵ国にとどまった。
 中・露と反米諸国が反対(二十四ヵ国)しただけでなく、バイデンがとりこもうとしてきた諸国、インド・ブラジル・南アフリカ(BRICS)、ASEAN、中東湾岸諸国、メキシコなどがこぞって棄権したのである。
 これらの諸国、とりわけバイデン政権から「専制主義」の烙印を押され「人権侵害」の非難を浴びてきた諸国の権力者にたいして、習近平政権は経済援助などを手段にして、このロシア排除の決議案に賛成票を投じないように猛烈に迫ったのだ。
 しかも習近平中国は、バイデン政権の中・露分断策にたいしても、これを一蹴している。ロシアとウクライナの和平交渉の仲介をとれ、と電話会談で迫ったバイデンにたいして習近平が返した回答――問題を引きおこしたアメリカが責任をとれというそれ――を、今日もつらぬいている。また、ロシアに武器を援助するならば中国をも制裁対象にする、というバイデン政権の脅迫にたいしても、「アメリカの一方的な基準」には従わない、とこれをはねつけている。アメリカの非難を蹴とばしながら習近平政権は、米・欧による経済制裁のエスカレートで深刻な経済危機に陥りつつあるロシアを、あくまでもバックアップしているのである。
 スターリニストの末裔たる姿をむきだしにしてウクライナを侵略しているプーチンのロシア。この国を政治的・経済的に全面的に支えているのが、ネオ・スターリニスト習近平の中国にほかならない。プーチンの侵略戦争をバックアップする習近平政権を弾劾せよ!

プーチン非難を叫ぶ代々木官僚の醜悪な自己保身

 プーチンのウクライナ軍事侵略にたいして、代々木官僚は、日本共産党をロシア=ソ連と同一視するのはとんでもない誤解です≠ニいう選挙向けの弁明にあけくれている(志位和夫の四月七日「全国総決起集会」での「幹部会報告」など)。ウクライナ人民が大虐殺にも屈せずにたたかっている今このときに、参院選の票田を失うことだけを心配するとは何ごとか! だが同時に、「ソ連と同一視」の一言に、代々木官僚が、スターリニストとしての過去と・消しさることのできないその痕跡を暴かれることを死ぬほど恐れていることが示されているのだ。
 志位は、ロシアとウクライナ、ロシアと米・NATOの両方が悪いとする「どっちもどっち論」なるものをとりあげて、これを否定する。わが党は「ロシアを免罪する」この論を採用いたしません、と。
 志位は、ロシアの侵略を「許しがたい」とひとこと言うだけだ。しかも、「侵略国を免罪しない」という根拠は「国連憲章」でしかなく、住民虐殺を非難する根拠は「どんな性格の戦争でも守らなければならないジュネーブ条約に反する戦争犯罪」だから、ということでしかない。彼らは、この侵略を弾劾する闘いを呼びかけもしなければ、ウクライナ人民に連帯の意思を示すこともない。そもそも、プーチンへの怒りもウクライナ人民の闘いへの共感も、この連中にはカケラほどもないのだ。あるのはただ「どっち」を支持したほうが政治的に損をしない・票が逃げないですむか、これだけなのである。
 志位は、「危機のなかで日本共産党の先駆的立場が発揮されている」と自己宣伝につとめる。なんと、彼らがもっとも力をこめておしだすのが、「どんな国であれ覇権主義を許さない」という「歴史と綱領」をもっているのが日共だ、ということだ。その証しとして志位は、ソ連共産党が解体したさいに「歓迎する」声明を出したことを見せびらかす(宣伝チラシに「巨悪の党の終焉を歓迎する」の大文字が刷られた当時の『赤旗』を証拠写真≠ニして載せているほどだ)。
 一九九一年のソ連共産党解散にさいして、当時の代々木官僚・宮本顕治指導部は「もろ手をあげて歓迎する」とほざいた。それは、そのときどきのクレムリンの権力者に(時に反発しつつも)盲従をこととしてきたおのれの過去をなかったことにし、スターリン主義的な「社会主義」を投げすてて延命をはかるという、醜悪な打算にもとづく自己保身以外のなにものでもなかった。
 今日彼らが三十年まえの過去をわざわざ引っぱりだすのは、彼らがみずからのスターリニストとしての本性をなんとしてもおし隠したいからにほかならない。だが、「どんな国であれ覇権主義を許さない」という日共の「歴史」なるものは、真っ赤な大嘘だ。
 一九五六年にソ連軍がハンガリー労働者を血の海に沈めたとき、日共中央はソ連政府をはっきりと支持したではないか。「アメリカその他の外国帝国主義によってこの〔ハンガリー政府の〕弱点が利用され、武力によるファシズム復活の運動が陰謀として計画されて」「反革命目的の武装闘争にまでもっていかれた」と(宮本顕治『前衛』一九五七年二月号)。「ソビエト軍の援助は崇高なプロレタリア国際主義のあらわれである。」「ソビエト軍にたいして連帯の意志を表明せずにはいられない」と(『アカハタ』一九五六年十一月六日)。
 一度だけではない。代々木官僚がスターリニスト・ソ連邦の歴史的犯罪に加担した事実を、われわれはいくつでも列挙することができる。ソ連邦の共犯者としての過去をぬぐいさって生きのびようとすることを、われわれは絶対に許さない。

ウクライナ反戦闘争のさらなる高揚をかちとれ!

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 ホロドモール


ウクライナの数百万人民に餓死を強制したスターリン

 ウクライナの軍・民兵と人民は、壮絶な戦いを展開して首都キエフに迫るロシア侵略軍を撃退した。完全包囲下のマリウポリにおいては、いままさに敢然と戦いつづけている。命をかけ団結して戦う彼らの心には民族の歴史≠ェ刻みこまれているにちがいない。在日のウクライナの人々は訴えていた、「ウクライナ人はスターリンとずっとたたかってきた」と。ウクライナ人民はプーチンとスターリンとを重ねあわせ、彼らの祖父母・曽祖父母らにたいするスターリンの抑圧・弾圧にたいする怒りと憎しみとを強く強く燃やしているのだ、と私は感じる。
 ウクライナの人々がスターリンの歴史的犯罪の第一にあげているのは「ホロドモール」、一九三二〜三年にウクライナにおいて数百万人もの人民が餓死させられた大事件である。〔ウクライナ語で「ホロド」は飢饉、「モール」は疫病を示す。〕
 私は思う。われわれ反スターリン主義者は、スターリンがウクライナの人民に加えた歴史的大犯罪を、決起したハンガリー労働者にたいする残忍な弾圧などのスターリニストの数多の大罪と重ねあわせて身体的な憎しみをもって弾劾せずにはいられないのだ。われわれはウクライナ人民の怒りと闘志を共有し、彼らと連帯してたたかうのである。
 同時に、プーチンが鼓吹しロシアのスターリニスト残党が唱和しているスターリン神話――重工業化と対独戦勝利によって超大国ソ連を建設したというそれ――の虚偽性をロシアの労働者階級・人民に暴きださなければならない。そのためにも、「ホロドモール」の大犯罪を暴きだすことが不可欠であると私は思う。

「民族主義の基盤を破壊せよ」――抵抗する農民の絶滅

 一九三二年から三三年の春にかけてウクライナの数百万の人民とりわけ農民たちが、スターリンとその手下どもによって餓死を強制された〔*1〕。重工業化のフォンド(資金)捻出のための苛酷な穀物供出ノルマが穀倉地帯ウクライナに課された〔詳しくは後述〕だけではない。スターリンはウクライナ民族主義を絶滅する≠ニいう意図のもとに、民族主義の基盤とみなした富農(クラーク)の絶滅と個人農の全面集団化とを、他の地域よりも徹底的かつ激烈に強行したのだ〔*2〕。それが大飢饉を招くことを承知のうえで、むしろ民族主義に染まった農民が絶滅すれば民族問題は解決する≠ニいう計略を立てていたのだ。まさに吸血鬼スターリン!
 「民族問題は農業問題である」「ウクライナの集団化には民族主義の基盤を破壊するという特別の任務がある」(一九三〇年一月二十二日付『プラウダ』論文)と称してスターリンは、ウクライナにおける農業集団化を徹底的に遂行せよと命令した。スターリンはウクライナ共産党を民族主義に偏向しているとみなしていた。当時のウクライナ共産党指導部は、おそらくは一九一九年の「レーニンの手紙」〔*3〕にもとづいてウクライナの民族的文化・風習とこれを護持する農民たちを尊重していたのであろう。これをみずからの「大ロシア主義」的政策および重工業化の障害物とみなしたのがスターリンであった。〔レーニンの民族政策をスターリンがいかに破壊したのかについては、別稿に譲る。〕
 「ウクライナの不良分子を叩き潰せ」と号令したスターリンは子分であるモロトフ、カガノビッチをウクライナに派遣し、仮借なき穀物徴発と、それにたいする抵抗を根絶するための集団化と「富農」追放を地元政府に強制した。加えてロシアの諸都市から共産党員・共産党青年団の武装部隊をウクライナの農村に送りこんだ。彼らは農民に血みどろの弾圧を加えた。スターリンが制定した「コルホーズの農産物は国家の財産であり、窃盗した者は死刑に処す」という法律をタテにして武装部隊は、農家の一戸一戸に押し入って床板や壁を破壊してまで食料を奪った。食料を隠していた者を逮捕し、種もみを含む穀物と家畜を強奪した。
 こうしてウクライナの農民たちは食料と作付けのための種子と農耕馬を奪われた。成員全員が死に絶えたコルホーズもあった。町や村の路上には死体が放置され、回収用の荷馬車や貨車には累々たる死体が積まれた。生き延びるために人民は、雑草、木の皮、ネズミ、ミミズまで食べつくした。ついには死者の肉や殺した家族の肉を食した。
 ウクライナを飢餓地獄に叩きこんだスターリンは、しかしロシアのヨーロッパ部では飢餓を生じさせなかった。そしてウクライナの人民がソ連外に出ることはもとよりロシアに出ることも禁じることによってウクライナの飢餓を――北カフカスなどでのそれをも――完全に隠蔽した。少数の外国人ジャーナリストが暴露・告発を試みたのだが、多くは「反ソ=反共のプロパガンダ」と烙印されて葬られた。その手先となったのがイギリスの「社会主義者」シドニー・ウェッブなど、トロツキーが「ソ連邦の『友たち』」と名付けて弾劾したエセ社会主義者や人道主義者どもであった〔*4〕。
 この大犯罪の幕開きは、一九二八年のスターリンによる「重工業化」の号令であった。「第一次五ヵ年計画」の名のもとにスターリンの政府は、製鉄所、石油化学工場、飛行機や戦車などの軍需工場の建設に突進した。増大する都市住民の食料を確保するために、また重工業に必要な機械類を外国から輸入する資金=外貨を獲得するために、スターリンの政府は農村から穀物を強制的に徴発し、その一部を輸出にまわした。
 この食糧徴発に農民が抵抗した。これを暴力的に押し潰すためにスターリンは、一九二九年の十二月には「クラーク(富農)階級の絶滅」と全面的な集団化を号令した。農業を集団化・大規模化するためのトラクターや農機具の供給などをなおざりにして、ただただ土地と家畜を強奪し農民を集団農場か国営農場に強制的に加入させた。二〜三頭の牛を飼っているだけで「富農」と烙印した農民を土地・財産を没収して極北やシベリアに追放した。
 これにたいして農民の抵抗はさらに猛烈になった。中農は自身が「富農」と烙印されないために、そして富農は「ボルシェビキ」への報復のために、家畜を屠殺して暴食したり農機具を破壊したりした。――そうした「家畜の屠殺と狂宴」の後には「農場には馬もなく、播く種子もなかった」「一九三一年と三二年には、広大な土地が耕されずに放置され、農場の畦のあいだには、餓死したムジーク〔貧農〕の死体がいっぱいに散らばっていた」(ドイッチャー『追放された予言者・トロツキー』一二九〜三二頁)。
 ウクライナでは一九三〇年の穀物生産が二一〇〇万dだったが翌年(三一年)と翌々年(三二年)は一四〇〇万dへと激減した。強制的集団化が招いたこの不作にもかかわらず、スターリンはウクライナに苛酷な穀物徴発ノルマ(七六〇万d)を課しつづけた。
 集団化の先兵となった当時のウクライナ共産党の指導部でさえ、穀物徴発ノルマの軽減をスターリンに嘆願したほどだ。だがスターリンはこれを頑として拒絶した。それだけでなくウクライナ共産党書記長を民族主義的偏向と断罪して自殺に追いこみ(三三年七月)、約一〇万人の党員をただちに処刑あるいは流刑に処したのだ。

「一国社会主義」神話の捏造による革命の破壊

 スターリンを突き動かしたものは、「一国で社会主義建設を達成した」というように強弁することであった。ロシア一国における工業化を達成するとともに生産諸手段を基本的に国有化し、もって「一国社会主義建設」の勝利を宣言すること、これこそがトロツキーの弾劾に脅えるスターリンを「工業化」と「農業集団化」に突き動かしたのである〔*5〕。
 「第一次五ヵ年計画」において年率二十数%の経済成長をスターリンは号令した。経済の急拡大のためには重工業部門にできるかぎり大量のフォンドをつぎこみ、食料などの生活諸手段の生産を徹底的にきりちぢめる(労働者と農民に極貧生活を強制する)という人非人な経済計画を実行した。労働者には「出来高払いノルマ制」――資本制的搾取のもっとも苛酷な形態としての出来高払賃金制に酷似したそれ――を強制した。しかも「一国社会主義」を帝国主義諸国から防衛するために軍需産業を重点分野にするという奇形的な産業構造の創設に狂奔したのだ。スターリンとその党は、革命の主体たるべき労働者・勤労人民の上に君臨し、彼らに「一国社会主義建設」のためのあらゆる犠牲を強制したのである。
 「農業集団化」の名のもとにスターリンは、農民を強制的に集団化し徹底的に監視・弾圧した。それは絶対に強制的手段をもって集団化してはならない≠ニ厳命したレーニンに真っ向から敵対するものであった。
 一九一九年にレーニンは次のような農業政策を示した(第八回党大会演説)。
 @ソビエト権力は「協同耕作組合や農業コミューンを奨励する」が、その創設にあたって「いささかも強制手段をとってはならない。農民自身の自由な発意によって実施し」なければならない。A強制手段をとる者には「厳重な責任をとらせ、農村活動から遠ざけなければならない」。乱暴な徴発をおこなった者を「仮借なく追及」せよ。B「国家は改良農機具、種子、および農業技術を高める資材を供給する」。こうした「援助をもとにしてのみ彼ら〔農民〕の信頼をかちとることができる」。
 レーニンは、革命によって土地を手にした農民が土地に執着するのは当然だということから出発し、そうした農民をいかに社会主義建設の担い手に組織化するのかを追求した。それは農民への配慮でも譲歩でもない。そもそもプロレタリア革命とは、労働者階級を「支配階級へと高める」こと(『共産党宣言』)でありプロレタリアートの自己解放いがいのなにものでもない。プロレタリアートの自己解放をつうじて同時に人間の人間的解放を実現するというマルクス的理念を貫徹し後進国ロシアにおいて具体化するならば、労働者階級を革命の主体として組織するとともに膨大な農民をその同盟軍へと組織することが絶対に不可欠なのである。
 このレーニンの追求をスターリンは完全に否定し、プロレタリア自己解放の理念そのものを破壊したのであった。スターリンは土地に固執する農民を憎悪し「富農の絶滅」と強制的集団化とによる農業問題の解決≠ノ突進したのだ。
 しかもスターリンは「富農の絶滅」を「理論化」さえした。ソビエト権力によって死滅させられつつある資本家と富農はしゃにむに反抗するがゆえに階級闘争は激化するという「プロレタリア独裁下の階級闘争激化」論をでっちあげ(二九年四月)、さらには「『労働者』『農民』の仮面をかぶり党内にさえもぐりこんだ敵階級の残存分子との闘争」なるものを呼号した(三三年一月)。このような「理論化」を背景にしてスターリンとその手下どもは、「富農」「人民の敵」と烙印した者たちの徹底的な絶滅=粛清に突進したのである。〔今日ウクライナ民族の絶滅≠叫ぶ元KGB将校プーチンは、その意味においても、まさにスターリン主義者の末裔にほかならない。〕
 こうしたスターリンの犯罪の一切の源は、レーニン死後(一九二四年)に彼が「一国社会主義」論をうちだしたことにある。地上から戦争と搾取と階級支配を根絶するために世界革命を完遂するというロシア十月革命の精神を、党書記長スターリンが破壊したのである。
 「一国社会主義」の神話の創造によって革命的変革の精神を完全に投げすてたスターリンとその党は、前衛性を喪失して官僚主義的に変質し、革命の主体である労働者・勤労人民の上に君臨して彼らを上から支配・抑圧し、官僚特権をほしいままにする存在へと転落した。ロシア・プロレタリア革命の理念を完全に破壊し、革命を簒奪したのがスターリンであった。
 そして党とソ連社会から十月革命の記憶を完全に消し去るために、トロツキー、ジノビエフ、カーメネフ、またブハーリンなどを次々に党から追放しただけでなく、最後にはレーニンとともにたたかったオールド・ボルシェビキのほぼ全員を殺害したのである。まさしくスターリンとその末裔どもは、労働者・人民の血に飢えたプロレタリア階級の敵にほかならない。
 今日、ウクライナをはじめとする旧ソ連圏の労働者・人民にとって、「コミュニズム」は憎悪の対象でしかない。私は、いわゆる「コミュニズム」がスターリン主義でありニセのマルクス主義でしかないことを、ウクライナとロシアの労働者・人民になんとしても明らかにしたい。そしてレーニンが率いた一七年革命の精神を二十一世紀によみがえらせるべきことを断固として訴えていきたい。



 *1 ウクライナにおける大飢餓の事実は、ソ連邦崩壊後になって公式に認められた。研究者たちは餓死者を三五〇万〜六〇〇万人と推定している。北カフカスでの餓死者が一〇〇万人でその他の地域(ウラル、カザフスタンなど)が合計して一〇〇万人だという。
 *2 当時のウクライナの穀物生産量はソ連全体の二七%であった。だが、ウクライナに課された供出ノルマはソ連全体のうちの三八%であった。農業集団化率(三〇年当時)はロシアでは五九・三%だったがウクライナでは七〇%だった。
 *3 レーニン「デニーキンにたいする勝利にさいしてウクライナの労働者と農民に送る手紙」(『レーニン全集』第三〇巻)
 *4 トロツキー『裏切られた革命』の付録「ソ連邦の『友たち』」参照。
 *5 「生産手段の国有化=社会主義の実現」とするのはスターリンが捏造した神話である。生産諸手段のプロレタリア的国有化は社会主義社会実現のための物質的拠点の確立であって、価値法則の止揚などをめざした種々の過渡的方策がこれを拠点にして実施されなければならない。
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七年連続のベアゼロ妥結弾劾!

事業構造改革のための労使協議に歪められた郵政春闘

 三月十六日、郵政経営陣は、@一般職一人あたり一〇〇〇円、地域基幹職一号〜五十八号俸までの若年層にたいして一〇〇円〜一〇〇〇円引き上げ、A正社員一時金、各社年間四・三ヵ月、B日本郵便の正社員登用数を予定より三〇〇人上積みという回答をした。この回答は、JP労組本部の要求@一般職全体と地域基幹職の若年層の賃金改善に充当する財源として、正社員一人平均六〇〇〇円の引き上げ、A正社員の一時金四・五ヵ月、B月給制契約社員六〇〇〇円、時給制契約社員の時間給四十円の引き上げを要求する、この財源をもって時給制契約社員等の正社員化の拡大に要する賃金等に充当する、という要求への回答なのだ。
 経営陣は居丈高に、一般職と地域基幹職の若年層以外の正社員の七年連続ベースアップ・ゼロ、月給制・時給制契約社員の賃上げゼロ、一時金も四・三ヵ月に据え置くというゼロ回答≠労働者に突きつけた。にもかかわらず本部はこの回答を、「一般職の賃金改善の実現、正社員の一時金四・三ヵ月の確保、正社員登用数及び地域基幹職へのコース転換の拡大」ができたとして、唯々諾々と受け入れた。
 本部労働貴族による二二春闘の大裏切りを満腔の怒りで弾劾しよう!

以下見出し

実質上の賃下げ妥結弾劾

一般職労働者の生活改善にもならない千円妥結

正社員の一時金四・三ヵ月据え置き

非正規雇用労働者の賃上げ要求を放棄した本部

「病気休暇」の制度改悪を許すな
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二二春闘勝利! 電機労働運動の戦闘的高揚を!

 ロシア軍がウクライナに軍事侵略を開始して一ヵ月余り、いまウクライナの兵士と労働者人民の果敢な反撃の闘いによって、ゼレンスキー政権を倒し傀儡政権を樹立するというプーチンの当初の狙いは完全に打ち砕かれた。いま全世界の労働者人民がプーチンの蛮行を弾劾して陸続と反戦闘争に起ちあがっている。だが電機連合指導部は、「国際法を守れ」などと弱々しい声明を出しているにすぎない。われわれは、このような電機連合指導部を弾劾しのりこえ、いまこそ職場生産点からウクライナ反戦の闘いをきりひらいてゆかなくてはならない。
 こうしたなかでわれわれは、今二二春闘をたたかっている。三月十六日の回答指定日に日立製作所、東芝、NEC、村田製作所の資本家は「三〇〇〇円」の満額回答≠、富士通、三菱電機、パナソニックなどの資本家は「一五〇〇円」の回答をそれぞれが提示した(パナソニックは年金拠出額を含めて)。一%以下の超低額かつバラバラなこの回答を、電機連合指導部と電機十二中闘の労働貴族どもは軒なみ、「スト回避基準」を満たし「組合員の意欲に応え、電機労使の社会的責任を果たすもの」などと評価して今春闘の集約を図ると宣言した。もって、いまなおたたかっている中小労組を超低額の回答でも妥結するように追いこんでいるのだ。
 コロナ禍≠窿Eクライナ侵略戦争の影響のもとでの食料品や生活必需品の価格高騰や光熱費や燃料費の値上げ、社会保険料・医療費負担の引き上げ、さらには社会保障費の抑制やテレワークなどの「働き方改革」による賃金切り下げなど。これらによって労働者は生活が日々苦しくなり追いつめられている。電機大手企業労使の談合≠ノよる欺瞞的な満額回答≠ネどは、生活苦にあえぐ労働者にとって実質賃金の切り下げでしかないのだ。
 われわれは、電機労働者の苦しい生活実態を無視した大手企業経営者の超低額回答とその労働貴族による受け入れを弾劾し、ひきつづき中小企業労組において大幅一律賃上げ獲得をめざして戦闘的にたたかいぬいてゆこうではないか。

以下見出し

T 事業構造の転換にむけた賃金抑制と「働き方改革」

 
「ジョブ型制度」導入の拡大

 
労働貴族の闘争歪曲とこれに抗した革命的労働者の闘い

U 「電機産業発展のための労使協議」への闘争歪曲を許すな!

 
大幅一律賃上げをかちとろう!
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コロナでも入院できず相次ぎ死亡

高齢者に施設療養を強要する岸田政権

クラスターの頻発にあえぐ介護施設

 岸田政権は、三月二十一日をもって「まん延防止等重点措置」の解除にふみきった。岸田は、「新規感染者数か病床使用率のどちらかが〔一方だけでも〕下がっていれば解除する」などというように基準を大幅に下げて、とにかく「経済を回す」ことを先決したのだ。
 岸田は「重症病床の使用率が減り医療の負担が軽くなった」と喧伝する。さらに「濃厚接触者が増えて仕事を休まざるをえず、業務に支障をきたしていると聞いている」と称して、「職場での濃厚接触者の特定も不要」とした。
 岸田政権は、「軽症者が多く医療の負担は軽い」などとぬけぬけと言うが、新型コロナウイルスに感染した多くの高齢者はその「医療」の対象から排除されているではないか。高齢者が入院もできず治療を受けられないまま亡くなっていることに、岸田政権はまったく触れようともしないのだ!
 今、高齢者施設では利用者・職員のコロナ感染が後をたたず、いたるところでクラスター(感染集団)が出ている。
 一月以降明るみになったことは、介護施設の入居者・職員が次々とコロナウイルスに感染して働き手がいなくなるほどになったことである。全国の介護施設では、たとえ介護労働者の陽性が判明しても無症状であれば出勤して働くというように、陽性者が陽性者を介護する「陽陽介護」をせざるをえなくなっているということだ。そればかりか喉の痛みや微熱を自覚してもわざと検査を受けずに出勤して介護しつづけている施設管理者たちもいる。二月、三月もこのような事態は続いているのだ。以下はその一端である。

以下見出し

高齢者施設での療養を強制する政府・厚労省

高齢者と介護・看護労働者への犠牲転嫁
生き残りを図る経営者

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