第2675号(2021年7月5日)の内容
<1面>
反戦反安保闘争の大爆発を!
米-中激突下で一挙に高まる戦争勃発の危機を突き破れ
<4面>
トヨタ21春闘
企業生き残り策を巡る労使協議に埋没
<5面>
日立資本が「ジョブ型雇用」の導入・拡大に狂奔
Topics 菅政権の「最賃引き上げ」の欺瞞
<2面>
プーチン政権が北方諸島で軍備増強・演習を強行
米軍が有害物質たれ流し 福岡空港
◇「戦争ロボット人間」づくり
<3面>
インド コロナ感染大爆発を招いたモディ政権
中国 広がる「寝そべり主義」
<6面>
「デジタル通貨開発」に狂奔する中・米・欧の権力者
□Beyond 5G
「解放」最新号
反戦反安保闘争の大爆発を! 米‐中激突下で一挙に高まる戦争勃発の危機を突き破れ 現代世界はいま、新型コロナウイルスのパンデミックと経済的破局に覆いつくされているだけではなく同時に、一挙に先鋭化しつつある米・中の政治的・軍事的角逐によって戦争勃発の危機が高まっている。 二〇二八年にはGDPでアメリカを抜きさり世界一になるといわれているネオ・スターリン主義の中国は、コロナ感染拡大と社会的分断をバイデンのアメリカがさらけだしている今が好機とばかりに、このアメリカを「世界の覇者」の座から一挙に追い落とし「人類運命共同体」のリーダーとなるという世界制覇戦略を実現するために、その策動を加速している。この習近平・中国の対米攻勢にさらされているがゆえに、落ちぶれきった軍国主義帝国の威信をとりもどすために、「自由で開かれたインド太平洋」の名による対中軍事包囲網の強化や「人権・民主主義」のボロ旗を掲げての経済制裁にうってでているのがバイデンのアメリカである。 パンデミック恐慌と<米中冷戦>の熾烈化という現代世界の激動のまっただなかにおいて、アメリカ帝国主義に日米安保の鎖で縛られた「属国」たる日本帝国主義の菅政権は、バイデン政権とのあいだで「強固な日米同盟」をうたいあげ、日米軍事同盟を対中攻守同盟として飛躍的に強化するための諸策動に血道をあげている。経済的には、日本独占資本の延命のために、最大の貿易相手国である中国との通商関係を強化せざるをえないというジレンマに陥りながらも、あくまでも菅政権は、在日米軍指揮下で「敵国」とみなした中国や北朝鮮のミサイル基地にたいする先制攻撃をしかける軍事体制を構築することに狂奔しているのだ。しかも、中国が「管轄海域」と宣言する南シナ海・東シナ海、およびインド洋にまで日本国軍を派遣し、グローバルな規模で米軍(ならびに豪・英・仏・独)と共同での軍事作戦を展開する体制を構築しようとしている。 まさにいま、米・日―中(・露)の権力者どもが政治的・軍事的角逐の火花を散らし、このもとで南シナ海・台湾・尖閣諸島を焦点とする東アジアにおいて、そしてイラン・パレスチナを焦点とする中東において、一触即発の戦争的危機が一気に醸成されている。すべての労働者・学生は、いまこそ反戦・反安保闘争の巨大な前進をかちとるために奮闘しようではないか! 熾烈化する米―中露の政治的・軍事的角逐 米・欧・日の帝国主義権力者どもがイギリス・コーンウォールに参集したG7サミット(六月十一〜十三日)。その影の主役≠ヘ習近平の中国であった。近い将来のアメリカとの激突を予測し、「戦争に備え、受動的な戦争への対応から主動的な戦争の設計に転換する」(二〇二〇年十月の五中全会)と豪語する中国の傲岸な攻勢をまえにして、「対面会談」にのぞんだアメリカ大統領バイデンを筆頭とする帝国主義各国の権力者どもは、この中国をいかに抑えこむかの方策を額を寄せ合い協議したのであった。だが、結集した各国権力者どもが発表した「首脳宣言」に盛りこまれた文言は、「ルールにのっとった国際秩序」だの「人権擁護」だの「法の支配」だのを中国に求めるという泣き言でしかなかった。そして、こうした「G7宣言」を「小さなグループの利益にもとづくもの」と一蹴し、G7サミットを「最後の晩餐」に模して皮肉りあざ笑っているのが習近平の中国なのである(「環球時報」英語版などインターネットをつうじて風刺イラストを拡散)。 ここにこそ、今世紀半ばまでに軍事的にも経済的にもアメリカを凌駕し「社会主義現代化強国」にのしあがらんとしている習近平の中国と、この中国を「戦略的競争相手」とみなし何ととしても抑えこむために同盟諸国にすがりつくバイデンのアメリカとの激突の構図が、二十一世紀現代世界の特質が象徴されているのである。 このG7サミット直前(十日)、バイデンは英首相ジョンソンとのあいだで、第二次大戦のさなか(一九四一年)に米英が発表した「大西洋憲章」になぞらえた「新大西洋憲章」なるものを合意した。かつて米軍を主力とする連合軍によって実行されたノルマンディー上陸作戦(一九四四年)、この前段に発表された「大西洋憲章」をバイデンは喧伝している。それは、ナチス・ドイツからのヨーロッパ解放≠ニいうアメリカの恩≠売りこみ、いまこそ対中包囲網を構築するために「専制主義」にたいする「民主主義諸国」の闘いという旗印のもとに結集せよということを欧州帝国主義諸国に懇願しているからにほかならない。 米・欧・日の帝国主義権力者が集った今回のG7サミットを、中国の習近平政権は「少数者のグループ」と烙印した。中国権力者は、みずからがプーチンのロシアとの同盟的結束を固め、中東の大国イランなどとともに「反米」の陣形を形成し、「内政干渉反対」を掲げて世界の「多数」をなす新興諸国・発展途上国の権力者の「支持」をも得ていることを誇示しているのだ。 習近平の中国は、政治的・経済的には、ミャンマー、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、フィリピンなどにたいして「ワクチン外交」をくりひろげている。まさにそれは、中国の「債務の罠」への途上諸国権力者・人民の反発が高まり「一帯一路」経済圏形成が暗礁にのりあげているなかで、RCEP(地域包括的経済連携)に参加している東南アジア諸国との政治的・経済的な関係の強化をはかることを狙ったものにほかならない。 中国国内において習近平政権は、アメリカのトランプ前政権による経済制裁と、みずからひきおこした新型コロナ・ウイルスのパンデミックによる、中国経済の低迷に直面している。一部の大企業や国有部門の生産が回復しているその他方で、数多の労働者・農民工が大量解雇と賃下げを強制され困窮に突き落とされている。こうした労働者・人民の怒りの矛先が共産党専制支配体制にむけられることを恐れているがゆえにこそ、習政権は「貧困脱却達成」なるものを喧伝し、勤労人民を欺瞞することに血道をあげているのだ。 また、この政権は、熾烈化するアメリカ帝国主義との激突に備え、コロナを封じこめた共産党に感謝せよ≠ニいう狂乱的キャンペーンをくりひろげ、「中華民族の夢」というナショナリズムをあおりたてているのだ。「中国共産党創設一〇〇年」の国家的セレモニーをつうじてこうした中華ナショナリズムの宣揚はますます加速している。しかも、AI、ICTをつかって労働者・人民を監視・統制し、またこの党と国家への隷従を拒む香港やウイグルをはじめとする人民には凶暴な弾圧を加えているのが中国権力者だ。 ロシア権力者プーチンは、ロシアの版図たる旧ソ連圏諸国を侵食≠オ、しかも経済制裁さえ科している米欧帝国主義への憎悪をたぎらせている。それゆえにプーチン政権は、国内の勤労人民をFSB強権型支配体制のもとにくみしくとともに、対外的には、中央アジア諸国に影響力をもつ中国との事実上の軍事同盟をよりいっそう強化することを基礎として、「大国ロシア」復権の野望をはたそうとしているのだ。 この中国・ロシアとアメリカとの相互対抗的核戦力の強化が、戦争勃発の危機をいよいよ高めているのである。 以下、見出し 台湾・東アジア、中東を焦点として激化する戦争的危機 愛国主義に転落した日共中央を弾劾し反戦反安保・改憲阻止に起て! |
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「トヨタの生き残り」策を巡る労使協議に埋没した労働貴族 トヨタ「21春闘」の反労働者性 「デジタル化」と「カーボンニュートラル」を二本柱として、今後三年間、労使で取り組みを進める。 トヨタ社長・豊田章男は、トヨタ労組指導部が「'21ゆめW」と称する春季労使交渉の会社側回答として右のように言い放った(三月十七日)。これをうけてトヨタ労働組合執行部は「五五〇万人の自動車産業の発展のためにトヨタ労使が一丸となって取り組むべき方向性を示すものとしてうけとめ」、「感謝の念」をもってうけいれると表明したのである。 例年であれば「ゆめW」と称するトヨタの春季労使交渉は、形ばかりは賃金をめぐる交渉としてもたれてきた。しかし、今年は「トヨタの今後のあるべき道」を協議する、すなわち、「トヨタ資本の生き残りのための経営戦略」をめぐる協議の場として純化されたのである。そもそも労組委員長・西野は、要求書提出時に「賃上げ」についてひと言もふれず、経営陣は労使協議会の初回に「トヨタは特別に高い賃金を支払っているから協議の対象にしない」と通告したのであった。「賃金」については社長が回答≠フ最後にわずかに「要求どおり」とふれただけである。だが、組合執行部の「要求」じたいが「賃上げ分」を非公表とし、実質上賃上げ要求を放棄したものではないか。何が「要求どおり」だ。フザケルナ! 「賃上げ」要求を放棄し、経営陣につき従って「トヨタの生き残り」のための労使協議に埋没した労働貴族を弾劾せよ! (以下、見出し) 自動車産業の「リード役」を自任する経営陣 「企業内組合に徹する」と表明した労働貴族 「EV開発競争」たち遅れのトヨタ式とりもどし策 自動車労働者はいまこそ団結して闘おう! |
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「ジョブ型雇用」の導入・拡大に狂奔する日立独占資本 労働強化、賃下げ・配転・解雇を許すな 日立製作所の独占資本家どもは、米欧諸国や中国の諸企業とのグローバルな競争に生き残るために、総合電機メーカーから社会インフラサービスを主軸とするIT・重電企業への事業構造の転換をはかる「全社的な改革」に狂奔している。そしていま、この事業転換に呼応した「働き方改革」の名のもとに、旧来の「日本式雇用慣行」を一掃し、「ジョブ型」雇用制度の導入・拡大をおしすすめているのだ。 「ジョブ型」雇用制度の全社的導入 日立製作所の経営者どもは、二〇二四年度中に国内の全社員一万六〇〇〇人を対象として「ジョブ型雇用システム」(雇用・人事・賃金諸制度)を完全導入することをめざしている。彼らは現在、そのために不可欠な「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」の作成(十年前からすすめてきたそれ)を、九月までに完了させることに躍起となっているのだ。これは日立の経営者が「それぞれのポスト・ジョブに最適な人材を社内・社外から配置・採用するため」の手段として、雇用する労働者に示すところの三〇〇〜四〇〇種類からなる書類である。彼ら経営者どもは、各ポスト(部署)のジョブ=職務の内容・範囲やそれに必要なスキル・資格・経験などを明記する作業を連日フル回転で遂行しているのだ。 他方、すでに日立経営者どもは、「デジタル人材採用コース」なるものを新設し、今年の新卒採用者の一定数(いわゆる「高度IT人材」など)を「ジョブ型雇用システム」にもとづいて採用することに踏みきっているのだ。 昨二〇二〇年初頭の一月二十五日、病気療養から復帰した経団連会長(当時)・中西は、春闘をまえにした各企業経営者にたいして、「年功序列、終身雇用を前提にしていては会社組織は硬直化してしまう」「新卒一括採用はもうやめるべきだ」(『文藝春秋digital』)などと、「日本式雇用慣行」を一掃するべきことをあらためてブチあげた。これを号砲として、中西が会長(当時)をつとめる日立製作所を先頭にして、富士通やKDDIなどの経営者どもは、いっせいに自企業への「ジョブ型」雇用制度の導入に踏みだしたのだ。 そして今二〇二一年版『経営労働政策特別委員会報告』において経団連は、「ジョブ型」雇用制度を各企業に導入するにあたっての必要な課題と実践的方策を積極的かつ具体的に提示した。中西は、新型コロナウイルス感染下でテレワークやリモートワークなどの働き方を就労形態のひとつとして社会的に定着させてきたことをも基礎にして、ICT(情報通信技術)系企業が牽引するかたちで普及させてきた「ジョブ型」雇用制度の導入をさらに促進し拡大することを、すべての産業・業種の企業経営者に呼びかけた。 まさに、その最先頭を走っているのが、中西が社長・会長をつとめてきた日立なのだ。 (以下、見出し) 生き残りをかけた事業転換 「日本式雇用慣行」の一掃 労働者に地獄≠強制する「ジョブ型」雇用制度の導入に反対しよう |
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