第2661号2021年3月29日)の内容

<1面>
21春闘の〝国難突破〟の
労使協議への解消を許すな!

 解雇・賃下げ攻撃をうち破り大幅一律賃上げをかちとれ!
<4面>
大幅一律賃上げ獲得へ私鉄春闘の高揚を!
<5面>
Topics 「雇用を守る慣行」の破壊を叫ぶ独占資本家の広報紙
調布・外環道陥没事故を居直る菅政権・国交省を許すな
<2面>
日米「2+2」に露出した対中攻守同盟を打ち砕け
菅政権・総務省―NTTの黒い癒着
<3面>
関西電力の老朽原発再稼働を阻止せよ!
福島原発事故10年
被曝被害もみ消しを許すな
<6面>
各地で菅政権への怒りの声轟く
3・7大阪「老朽原発再稼働許すな!」
3・7鹿児島「川内原発を止めろ!」
3・13札幌 原発反対集会に情宣
週間日誌は5面に掲載
 「解放」最新号




  

21春闘の〝国難突破〟の


労使協議への解消を許すな!



 解雇・賃下げ攻撃をうち破り

 大幅一律賃上げをかちとれ!


 
 「原発再稼働反対!」神戸大・奈良女大生が奮闘
(3・7「さよなら原発」集会、大阪市)
 日本政府・独占ブルジョアジーはいま、<パンデミック恐慌>下で大量の首切り・賃下げを強行し、労働者・人民を貧窮のどん底に突きおとしている。コロナパンデミックに乗じて「デジタルとグリーン(脱炭素)」を軸とする産業構造の大転換に突進し、そのために労働者に犠牲を強制している。
 二一春闘のJCM(金属労協)大手集中回答日の三月十七日、自動車・電機・機械金属・重工業などの独占資本家どもは、「賃上げゼロ」回答や「一〇〇〇円」(電機)という超低額の回答を相次いで出した。この実質上の〝賃下げ〟回答を絶対に許すな!
 この回答を各労組指導部は直ちに受け入れた。そもそも、自動車・重工・小売・サービス・レジャーなどの業種では、諸企業労組指導部の多くが「業績悪化」を口実としてみずからベースアップ要求を放棄し、「賃金体系維持(定昇実施)」やわずかな一時金の支給を求めてきたにすぎない。独占資本家どもは、この要求ならぬ「要求」さえも蹴飛ばして、一時金や手当を含む賃金総額の抑制・切り下げに狂奔したのだ。この賃上げゼロ回答を組合員たちの賃上げを求める声を無視し唯々諾々として受け入れたのが、労働貴族どもなのだ。
 「連合」傘下諸労組の労働貴族は、「コロナ不況、デジタル化やグリーン化での立ち後れ、少子高齢化」を〝国難〟として捉え、それを独占資本家(および政府)と〝一丸〟となっていかに突破していくかをめぐっての労使協議に埋没していたのだ。断じて許すな!
 今春闘を独占ブルジョア階級とその政府にたいする反撃の突破口たらしめる決意も固くたたかってきた革命的・戦闘的労働者たちは、いまこの賃上げゼロ・低額妥結への怒りに燃えて、「コロナ不況」を口実とした解雇・賃下げ攻撃をうち破り大幅一律賃上げを獲得するために全力で奮闘している。わがたたかう労働者たちは、既成労組指導部による「感染対策」を口実とした職場討議の封殺を許さず、組合員たちに労働貴族の賃上げゼロ回答受け入れを弾劾しようと呼びかけ、ともにたたかっている。たたかう仲間たちはまた、労働貴族が見捨てている非正規雇用労働者の賃上げ・解雇撤回を求めてたたかっている。中小企業労組の内部でたたかう革命的・戦闘的労働者たちは、大企業の「賃上げゼロ」・低額妥結をふりかざして賃上げを抑えこもうとしている資本家どもにたいして、大幅な賃上げをかちとるために粘り強くたたかっているのだ。
 たたかう労働者諸君! 「国難突破と産業・企業の持続的成長のための労使協議」に春闘を歪曲する「連合」・JCMの労働貴族を弾劾し、「大幅一律賃上げ」をかちとるために、さらに奮闘しようではないか。

大企業労組の賃上げゼロ・低額妥結弾劾!

 自動車諸独占体の経営陣は、そのほとんどが「労組の要求通り」(!)に「賃上げゼロ」を回答した。ホンダ・マツダ・三菱自動車の各労組指導部が、いわゆる「賃金改善」分の要求を放棄しただけではない。昨秋から業績が回復しつつあるトヨタ・日産・スバル・スズキ・ダイハツの各労組指導部も、「賃金格差是正」を口実として「賃金改善」分の有無を非公表とし、実質上は賃上げ要求を放棄したのだ。なにが「満額回答」だ!
 彼ら労働貴族は、「業績悪化のため」とか「電動化にむけての研究開発投資分を確保するため」とかとほざいて、「賃上げ」要求を投げ捨てた。この輩どもは、労使交渉でも「CASE(コネクテッド化・自動運転化・シェアリング化・電動化)」をめぐる国際競争の現状とその生き残り策について経営陣と協議し、事業再編をおしすすめつつ「生産性」を高めるための人事労務施策への協力を誓約したのだ。三年前から「賃金改善」要求の〝目安〟を示すことさえ放棄した自動車総連、その傘下の大企業労組の労働貴族は、春闘における労使交渉の課題を「賃上げ」ではなく「企業の国際競争力強化」のための経営労務施策をいかに組合員に徹底するかに絞りあげたのだ。
 パンデミック下で需要が拡大したデジタル関連事業において労働者をこき使って収益を上げてきた電機諸独占体の労組指導部も、賃金要求を自制したうえで超低額回答を受け入れた。「統一要求二〇〇〇円(昨年比一〇〇〇円減)」を掲げて形ばかり「産別統一交渉」をおこなった電機連合・十三中闘組合の指導部は、各経営陣が示した「引き上げ額」や「項目」が異なる低額の回答を「妥結目標(一〇〇〇円以上)を満たした」とぬかして直ちに受け入れた(パナソニックとNECの総額一〇〇〇円には確定拠出年金の掛け金増加分や福利厚生ポイント増分を含み、「賃金改善」分は五〇〇円にすぎない!)。電機連合指導部は、各社の異なる回答を「妥結の柔軟性」の名において受け入れ、もって「統一要求・統一交渉・統一妥結」を掲げる産別統一闘争方式を事実上放棄したのだ。
 他方、コロナ・パンデミックによって業績が「悪化」している重工業、航空業、小売業(食品スーパーやドラッグ・ストアなどを除く)、サービス業などの労組指導部の多くは、一時帰休・賃金カット・残業削減などによる収入激減で生活苦にあえいでいる組合員たちの「賃上げ」を求める声を押しつぶして、「賃金改善」要求を放棄し一時金要求も自制した。鉄道各社やJP(日本郵政)などの労組指導部は、「業績悪化」を口実とした「賃上げゼロ」という経営者の回答を〝粛々〟と受け入れた。
 これら大企業労組指導部は、<パンデミック恐慌>下でもっとも過酷な犠牲を強いられている非正規雇用労働者を見殺しにしている。自動車産業では、大企業の犠牲を転嫁された下請け中小企業において、多くの外国人派遣労働者が雇い止めにされている。だが、大手メーカー労組の労働貴族は、完全に見て見ぬふりを決めこんでいる。多くのサービス業でパート・アルバイトの労働者が雇い止めされたり、シフトを減らされながら休業手当も支給されずに困窮に追いこまれたりしても、大企業労組の労働貴族は何もやろうとしない。自企業・自産業で働く非正規雇用労働者の低賃金と劣悪な労働条件を放置したまま、「一定の成果を得た」などとほざいているのが、JCMや大企業労組の労働貴族なのだ。
 「連合」指導部は、今春闘にむけて「それぞれの産業における最大限の『底上げ』に取り組む」と称して掲げた「二%」という「底上げ」の〝目安〟(賃金水準の低い中小企業労組むけのもの)――中小企業労組からの突きあげを受けて形ばかり掲げたそれ――さえも棚に上げ、〝産別自決・各単組自決〟を促したのであった。このような「連合」の〝公認〟のもとに、各産別・大企業の労組指導部は、〝賃金は個々人の人事考課にもとづいて決定するものだ〟と称して賃金交渉を横にどけ、春闘を、それぞれの産業・企業の「持続的成長」のために労使が一丸となって何をなすべきかをめぐる協議に完全に純化させたのだ。
 この回答=妥結について経団連会長・中西は、「労使で自社の経営状況や危機感をただしく共有しながら、事業継続と雇用維持を最優先に徹底的な議論を重ねてきた結果」などと傲然とほざいた。許し難いことに、これに「日本経済・社会の将来を見据えた労使の責任を重く受けとめた結果であると認識する」などと唱和し低額妥結を居直っているのが、「連合」会長・神津だ。
 すべての労働者にさらなる低賃金と貧窮を強制する大企業労使の賃上げゼロ・低額妥結を弾劾せよ!

「産業・企業の持続的成長のための労使協議」への純化

「デジタルとグリーン」に対応した事業再編への協力

二一春闘の戦闘的高揚にむけてさらに前進せよ!

 すべてのたたかう労働者諸君! われわれは、労働貴族による「国難突破のための政労使協議」「産業・企業の持続的成長のための労使協議」への春闘の歪曲を突き破るために、さらに奮闘しなければならない。春闘破壊に手を染めた「連合」労働貴族を徹底的に弾劾せよ。「野党連合政権づくり」にむけた政策宣伝に埋没する日共中央につき従う「全労連」指導部による春闘の議会主義的歪曲を許すな。「中小企業経営者との共同」を自己目的化したJMITUや全国一般などの日共系ダラ幹たちの指導をのりこえてたたかおう!
 正規雇用労働者も非正規雇用労働者もともに団結して、大幅の賃上げを一律でかちとることをめざしてたたかおう。これから労使交渉をはじめる中小企業労組の内部でたたかう革命的・戦闘的労働者たちは、大企業による犠牲転嫁を許さず、中小企業経営者による解雇・賃下げ攻撃をうち砕こうではないか。非正規雇用労働者の抜本的待遇改善のためにたたかおう!
 われわれは同時に、困窮する労働者・人民への生活補償の実施を菅政権に迫りつづけるのでなければならない。菅政権は、首都圏における緊急事態宣言の解除に際しても感染対策や生活支援を労働者・人民の批判を受けて場当たり的におこなうにすぎず、貧窮人民を見殺しにしている。これによって労働者・勤労人民は感染拡大の危険とさらなる困窮に苦しめられているのだ。
 しかも菅政権は、三月十六日の日米外交・防衛協議(2+2)において中国を名指しして日米軍事同盟を対中攻守同盟として強化することをバイデン政権とともに確認した。われわれは春闘のただなかにおいて、米日両権力者による日米軍事同盟の強化に反対し、菅政権によるデジタル庁創設をテコとした国民総監視体制の構築を粉砕するために奮闘しようではないか。
 これら一切の闘いを集約して、貧窮人民見殺しの菅ネオ・ファシズム政権を労学の実力で打ち倒せ!
 革命的・戦闘的労働者は、今春闘を戦闘的にたたかうただなかで、職場生産点に種々のフラクションを創造・強化し、それを基礎として労働組合の戦闘的強化をかちとろう。今日版産業報国会=「連合」を脱構築せよ!
 たたかう労働者諸君! コロナ・パンデミックのもとでいま、世界でも日本でも、多くの労働者・人民が生活苦と失業と感染の危機に叩きこまれている。その他方で株式市場の異常な活況によって資本家どもが日ごとに資産を増やし、「デジタルとグリーン」を掲げてあらゆる産業部門で労働者の搾取を強化している。<貧富の差>がさらに拡大し、その根底にある<階級分裂>がむきだしになっているのだ。
 いまこそ日本労働者階級は、労働貴族の腐敗をつき破り、資本家階級にたいする反転攻勢にうってでるのでなければならない。われわれは、今春闘のただなかにおいて、労働者に「雇用主に期待され労働報酬を期待する」即自的な被雇用者意識から脱却することを促し、労働者階級の一員として自覚し階級的に団結して共にたたかうように働きかけていこうではないか。
 たたかう労働者は、二一春闘の戦闘的高揚のために<大幅一律賃上げ獲得>をめざして、さらにさらに奮闘しよう!
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大幅一律賃上げ獲得にむけて私鉄春闘の戦闘的高揚を!

「産業の維持・存続」を掲げ賃上げ要求を放棄した総連本部弾劾!

 昨年来の新型コロナウイルス感染拡大に直撃され、それまで私鉄労働者に超低賃金・長時間労働を強制しつつ「インバウンド需要」をとりこみ「右肩上がりの好業績」を謳歌していた私鉄資本家どもは、一転して「大幅な業績赤字」をおしだして〝経営危機〟をあおりたて、いま私鉄労働者の頭上に、賃下げ、首切り・出向・配転・転籍などのあらゆる攻撃をふりおろしてきている。
 この私鉄資本家の〝危機感〟をわがものとして、「コロナ禍における交通産業の維持・存続」のために「難局を乗り越えよう」と叫びたてているのが私鉄総連本部なのだ。彼らは、「雇用と職場を守る」ためには「事業の維持・存続」が最優先だと言い放ち、今春闘の賃上げ要求を事実上放棄した。この大裏切りによって、今春闘では〝ベースアップ・ゼロ〟どころか定昇(定昇相当分)の確保すらままならず、さらに臨時給(一時金)の大幅カット、人員削減・労働強化が私鉄労働者に強制されようとしている。
 私鉄のたたかう労働者諸君!
 私鉄総連本部による賃上げ要求の事実上の放棄を弾劾しよう! 賃金闘争を放棄し、それを「産業政策」要求を前面に掲げた「交通政策闘争」に歪曲する総連本部の闘争歪曲に抗して、大幅一律賃上げを断固としてかちとろう! 人員削減・労働強化を許すな! 今二一私鉄春闘の戦闘的高揚を実現するために全力で奮闘しよう!

以下見出し

<Ⅰ> 賃下げ、解雇・出向・配転・転籍攻撃にさらされる私鉄労働者

 「事業構造の改革」に狂奔する大手私鉄経営者

<Ⅱ> 〝労使協議の徹底〟を叫ぶ総連本部

<Ⅲ> 大幅一律賃上げ獲得、菅政権打倒めざして闘おう
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調布・外環道陥没事故を居直る菅政権・国交省を許すな

リニア新幹線建設の強行反対!


 昨年十月、東京都世田谷区と隣接する調布市つつじヶ丘の閑静な住宅地で、市道が幅五㍍、長さ三㍍、深さ五㍍にわたって陥没し、住宅約一〇〇〇軒が損傷を被る重大事故が発生した。原因は、東日本高速道路(NEXCO東日本)が建設中の東京外郭環状道路(通称・外環道)の地下トンネル構築のために、いわゆる「大深度地下」(地面から四〇㍍以深の地下)で強行されていた「シールド工法」による工事であった。
 この地域では、多数の住宅にひび割れが生じたり、ひどいところでは家が傾いたりしてしまった。現在、住民たちは連絡会を立ちあげ、施工主NEXCO東日本と補償などをめぐって協議している。しかし、こうした工事をおこなう法的根拠となっている「大深度地下使用法」をタテにするNEXCOとのあいだで、補償交渉は進展していない。
 しかもNEXCOとこれをバックアップする政府・国土交通省は、この事故の原因を「特殊な地盤と施工上のミスが重なった」とし、責任を現場に押しつけている。まさに菅政権・国交省は、NEXCOにテコ入れしてこの事故を早期に収拾し、リニア新幹線建設などの国家プロジェクトをなおも同様の工法で施工しようとしているのだ。

以下見出し

危険きわまりない「大深度地下」の開発・利用

高度の技術・技能を要する「シールド工法」

 〝現場のささいな作業ミス〟と強弁

「陥没事故」を無視しリニア新幹線建設に突き進むJR東海・菅政権
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日米「2+2」に露出した対中攻守同盟を打ち砕け

 バイデン政権と菅政権は、三月十六日に東京において開催した日米安全保障協議委員会(2+2)において、習近平の中国にたいする非難を並べたて・これに対抗して日米軍事同盟を強化することを謳う「共同発表」をうちだした。それは、文字通りの対中国の日米攻守同盟が公然と宣言されたことを意味する。
 この日米2+2を「米・日がグルになった中国への内政干渉だ」と声高に非難しているのが習近平政権だ。この政権は、急きょ中国海軍最大のミサイル駆逐艦を初めて日本海に展開する軍事的示威行動にうってでた(三月十八日)。
 今まさに米・日両帝国主義国家と中国ネオ・スターリン主義国家とが、互いに台湾・尖閣諸島・南シナ海での軍事的激突に備えて戦争準備に突入している。東アジアに戦雲急を告げる危機がさし迫っているのだ。
 たたかう労働者・学生諸君! <日米軍事同盟の対中攻守同盟としての強化反対! 米―中・露の核戦力強化競争反対!>の反戦・反安保闘争の奔流を創造するために、総力をあげてたたかいぬこうではないか!

〝中国封じこめ〟の宣言

 バイデン政権は、国務・国防両長官の初の外国訪問先として日本を選び、バイデンの初の対面首脳会談の相手に菅を指名した(四月予定)。これに雀躍した菅政権を、インド太平洋地域において対中国包囲網を米・日・豪・印の「クアッド」を基礎として構築してゆく策動の尖兵として利用しつくそうとしているのだ。
 日米2+2でうちだされた「共同発表」は、およそ四分の一が中国への糾弾――尖閣・台湾・南シナ海や香港・新疆ウイグル自治区をめぐる中国の行動は「ルールに基づく国際体制」を損なうものであり「自由・人権・民主主義」の価値観と相容れないとするそれ――で埋めつくされた。過去四回の2+2では中国を名指ししてはいなかったことから転じて、中国をこそ〝米日共通の主敵〟とみなすことを誇示し・中国を封じこめるために日米軍事同盟を「更に強化する」と宣明したのが米日両権力者なのである。
 習近平の中国が、今世紀半ばまでにアメリカを追い抜き「社会主義現代化強国」という名の超大国として君臨するという世界制覇戦略を実現するために、経済危機にあえぎながらも核戦力大増強と中国主導の「新型国際関係」構築へ歩をすすめている。この中国の挑戦にうち勝つためにバイデン政権は、「同盟の再興」の名で対中国際包囲網をつくりだすことを基軸にすえた世界戦略をねりあげている。この戦略を、アジアにおいては日本(とオーストラリア)・ヨーロッパにおいてはイギリス、これを〝両輪〟として実現する――こうした追求の最重要環としてバイデン政権が位置づけているのが日米攻守同盟の強化なのである。

日米共同の敵基地先制攻撃体制構築への突進

 米日両権力者は2+2において、「安全保障政策を整合させる」という名で、アメリカの軍事戦略にのっとって陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の全戦闘領域を横断する米日共同作戦体制を強化すること、アメリカの「拡大抑止」=核戦力の強化に日本が協力することを謳った。「尖閣有事」を想定した日米共同の「実践的な訓練」の強化、辺野古新基地の「早期建設完了」、そして日・米・韓三ヵ国の軍事協力の「再活性化」なども「共同発表」に明記された。
 さらに、第一列島線上に前進基地を設置し中国軍をミサイル・電磁波攻撃する米軍の最前線戦闘部隊や南シナ海で「航行の自由作戦」を遂行する艦隊に日本国軍を組みこむこと。中国によるグアムや在日米軍基地を射程におさめるミサイルの大量配備に対抗してアメリカの中距離ミサイルを日本に配備すること。在日米軍駐留経費の来年度以降の日本側負担を増大すること。――これらの要求をバイデン政権が菅政権に突きつけたにちがいない。
 すでに米インド太平洋軍は中国軍に艦船や戦闘機の配備数で劣勢にたたされている。しかも、もしも中国から中距離ミサイルの飽和攻撃を受けるならば在日米軍基地の壊滅は避けられない。この事態に慄(おのの)いたバイデン政権は、大増強されつづける中国の軍事力を撃破しうる軍事体制を再構築するために、日本国軍の米軍化を一気にすすめることを菅政権に命じたのだ。これに積極的に応えて米軍とともに敵基地を先制攻撃しうる体制の構築へ突進しているのが菅政権なのである。

中国の〝技術覇権〟奪取阻止に狂奔

 軍事的にだけではなく「政治的、経済的、技術的」にも中国にたいして日米共同で対抗することを、日米両権力者は確認しあった。中国の「市場歪曲的な補助金」や「知的財産権」侵害への対抗、「強靱・多角化・安全」を看板として中国に依存しないかたちでサプライチェーンを再構築すること、「気候変動問題」や新型コロナ・ワクチンの確保・途上諸国への供給での協力、「(中・露の)悪意あるサイバー活動」の追及など――あらゆる分野で習近平政権の蠢動を抑えこむために協力することを、菅政権はバイデン政権に誓約したのだ。
 バイデン政権は、日米2+2の直前に公表した声明において、合意すべき事項として、インド太平洋地域諸国へのインフラ整備・デジタル化の支援やエネルギー安全保障、量子科学・AI・宇宙などでの科学技術協力、「安全な(=ファーウェイを排除した)5Gネットワーク」の構築など、中国と競合するあらゆる分野での日米協力を列挙し、日本政府に押しこんだ。中国の「一帯一路」経済圏づくりに対抗し・〝技術覇権〟の奪取を阻止するために、日本の経済力・技術力をとことんひきだそうとしているのだ。このバイデン政権の要求に従わされているのが、日米軍事同盟の鎖で締めあげられている「アメリカの属国」日本の菅政権なのである。

<反安保>の火柱を!

 日米両権力者による対中攻守同盟強化の画歴史的攻撃をまえにして、既成平和運動指導部を任ずる日共・不破=志位指導部は、「軍事対応の強化には反対」とつぶやくだけで、菅政権に「中国の外交的包囲」を尻押ししている始末なのだ。「健全な日米安保」を掲げる立憲民主党との「政権合意」を願望して反安保の闘いに敵対する代々木官僚を弾劾し・のりこえたたかおう!
 今こそ日米攻守同盟に反対し東アジアで高まる戦争的危機を突き破る反戦・反安保闘争の火柱をうちあげようではないか!

 米中冷戦を剥き出しにしたアラスカ外交会談



 三月十八~十九日に米アラスカ州アンカレジで「米中外交トップ会談」に臨んだアメリカ国務長官ブリンケンと中国共産党政治局員・楊潔篪は、冒頭から報道カメラの前で罵りあう泥仕合を一時間以上にわたってくりひろげた。
 両者ともに、自国内で「弱腰」との批判があがることを封じるために〝強硬姿勢〟を見せつけることに躍起になったというだけではない。ブリンケンは、「同盟国・パートナー国と共有している懸念」と称してのっけから中国の香港・新疆ウイグル自治区での弾圧や台湾併呑の策動などを非難した。米日豪印オンライン首脳会合(3・12)―米日2+2(3・16)―米韓2+2(3・18)をつみかさねてきたことをバックとして、対中包囲網の形成を促進するために、中国がアメリカ同盟諸国政府の信奉する価値観(「自由・人権・民主主義」)とは敵対する「権威主義国家」であることを浮きたたせようとしたのだ。
 いきなり面罵されて逆上した楊潔篪は、憤然として「世界の大部分の国はアメリカの価値が国際的な価値だとは認めていない」と逆襲し、「中国式の民主主義」(中共党による統治)の方が優れているのだと、延々とわめきたてた。〝もはやわれわれの方が多数派だ。核心的利益では妥協も譲歩もしない〟と突きつけたのだ。〔この激突を開幕劇として、二日間で計八時間にわたり気候変動問題など様ざまな課題をめぐって相互瞞着的会談がおこなわれた。〕
 こうした価値観の相剋というべき米・中の応酬に、「二十一世紀最大の地政学的試練」と称して中国を「民主主義」のボロ旗を掲げて包囲し封じこめんとしているアメリカ帝国主義権力者と、このアメリカを凌駕する「社会主義現代化強国」を実現し「人類運命共同体」の頭目にのしあがらんとしている中国ネオ・スターリン主義官僚政府との対立が、根本的に非和解的であることが露出しているのだ。
 厳寒のアラスカで演じられた外交的白熱戦は、現時点の<米中冷戦>をまざまざと示したのである。
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菅政権・総務省―NTTの黒い癒着

疑獄まみれ政権を許すな!
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関西電力の老朽原発(高浜1、2号機、美浜3号機)再稼働を断固阻止せよ!

 関西電力経営陣は、運転開始から四十年を超えた老朽原発三基(高浜1、2号機、美浜3号機)を次々に再稼働しようとしている。原子力発電を「技術的に確立した脱炭素技術」などと賛美する菅政権は、この日本初の四十年超原発の再稼働を実現するために、関電経営陣を全面的にバックアップするかたちで立地自治体との交渉にものりだしている。
 東京電力福島第一原発事故発生からちょうど十年を迎えたこんにち、菅政権は、この人類史上最大の核惨事をもたらした歴代自民党政権の責任に頬かむりするばかりか、福島の事故後は「安全性はさらに強化されている」などと強弁しながら、老朽原発の再稼働に突進しているのだ。われわれは、第二、第三の「フクシマ」をもたらしかねないこの策動を断固として粉砕するのでなければならない。

立地自治体抱き込み工作の前面にたつ菅政権

危険な老朽原発運転延長を策す電力資本

 新増設の展望がたたない状況のもとで当面の利益を獲得するために老朽原発の再稼働に狂奔する電力諸資本、たまりつづける核廃棄物を押しつけられる地方自治体――、政府・支配階級が煽りたててきた「安定的」「安価」「安全」という神話はすべて崩壊しさり、原子力発電の終焉の鐘が鳴り響いている。だが菅政権は、米中冷戦下での日本帝国主義の生き残りをかけて、「グリーンエネルギー」「エネルギー安全保障」の旗を掲げつつ、潜在的な核兵器製造能力を維持・強化するという国家戦略にもとづいて、原発・核開発に狂奔しているのである。
 関西電力の老朽原発再稼働を阻止せよ! すべての原発・核燃料サイクル施設を即時停止し廃棄せよ!
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 福島原発事故10年



菅政権による被曝被害のもみ消しを許すな!


 世紀の核惨事=東京電力福島第一原発の事故から十年、いまだに事故は収束せず、福島県では、県の集計でも三万五〇〇〇人余り・県内各自治体の集計の総数では六万七〇〇〇人余りの被災人民が避難生活を余儀なくされているという。現下のコロナパンデミックともあいまって、被災人民は塗炭の苦しみを強制されつづけている。にもかかわらず菅政権は、「原発事故収束・福島復興」をかかげ、「被災者の自立をうながす」と称して、被災人民を最後的に切り捨てているのだ。安倍・菅の両政権をつうじて、住宅提供などの被災者支援策はすでにほとんどが打ち切られた。菅政権は、「あとは自己責任で何とかしろ」とばかりに避難者を無慈悲に切り捨てているのだ。ネオ・ファシスト的冷血さをむきだしにする菅政権を許すな!
 他方で、安倍前政権と同様に、菅政権は、甲状腺がんなどの原発事故にともなう放射線被曝による健康被害の一切をもみ消すばかりか、〝風評被害撲滅〟の名のもとに、被害をうったえる被災人民を〝風評を煽る非国民〟と烙印し社会的にパージしてきた。なんたる人非人か!
 反人民的なコロナ対策のゆえに、労働者人民の怒りにつつまれ支持率の低下にあえぐ菅政権。この政権は、「復興五輪」と称した東京オリンピックの開催も危うくなるなか、みずからの政権の延命のために、「被災地復興・日本の再興」の仮構をでっちあげるとともに、「脱炭素」を掲げ原発再稼働・新増設に血眼になっているのだ。

甲状腺検査の中止を策す政府・福島県当局

 今年の一月十五日に開催された福島県「県民健康調査」検討委員会で、昨二〇二〇年六月末までに甲状腺がんと診断された子どもは、その疑いも含め二五二人になったことが報告された。このなかには事故当時〇歳と二歳であった女児二名も含まれるという。
 福島原発事故までは一〇〇万人に一~二名程度とされてきた小児甲状腺がんが、その一〇〇倍以上の水準で多発しているのだ。これは明らかに福島原発事故による健康被害であり、労働者人民の反対を押しつぶして原発・核開発を推進した挙句に大事故をひきおこした政府・東電の大罪である。
 小児甲状腺がんだけではない。事故後十年がたつ今日でも、福島県内外で、様ざまながんなど放射線被曝が原因と考えられる健康被害は増えつづけているのだ。
 ところが政府・福島県当局は、これらの健康被害の一切を、原発事故と無関係だと言い張っている。小児甲状腺がんの多発についても「命に別状のない微小ながんを広く検査することで見つけてしまう過剰診断が原因だ」と強弁している。しかしこのような主張は、まさに〝黒を白と言いくるめる〟ものにほかならない。

(以下、見出し

国際機関と共謀した菅政権の隠蔽策
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 3・11福島原発事故10年

菅政権への怒りの声轟く


3・7大阪

「老朽原発の再稼働を許すな!」

労・学・市民550名が決起
  三月七日に、大阪市において「さよなら原発二〇二一 関西アクション」が開催された(主催は同実行委員会)。
 菅政権・関西電力は、高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の再稼働に突進している。福島原発事故から十年の今もなお五万もの人民が避難生活を強いられているこのときに、運転開始から四十年を越える老朽原発を再稼働させることは<第二、第三のフクシマ>を生みだす犯罪ではないか。神戸大と奈良女子大のたたかう学生たちは、菅政権と関電経営陣への怒りに燃えて、結集した五五〇名の労働者・市民に「すべての原発・核燃施設を即時停止し廃棄せよ! 原発・核開発反対!」「日米核安保粉砕!」と力強く訴え、戦闘的にたたかいぬいた。
  「菅政権打倒!」の声を響かせ労働者・市民と共にデモする関西の闘う学生
(3月7日、大阪市)
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3・7鹿児島

川内原発を直ちに止めろ!

鹿大生が労働者・市民と連帯し奮闘
 三月七日、鹿児島市中心部の天文館において「ストップ川内原発! 3・7かごしまアクション」と銘打った集会がおこなわれた(主催は「ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委員会」)。<3・11福島原発事故>から十年の節目となるこのときに、菅政権は「脱炭素」の名のもとに原発再稼働・新増設に突き進んでいる。九州電力経営陣は川内原発・玄海原発を稼働させつづけている。これにたいする怒りに燃えて、鹿児島県各地から約四五〇名の労組員・市民が結集した。鹿児島大学のたたかう学生たちも参加し、この集会を戦闘的に高揚させるために奮闘した。
怒りに燃えて結集した労働者・市民と鹿大生が熱く連帯
(3月7日、鹿児島市・天文館公園)
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3・13 札幌

「全原発・核燃施設を廃棄せよ」
わが同盟が熱烈な情宣

「さようなら原発」北海道集会
結集する労働者・市民に戦闘的檄
(3・13、札幌市)
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