第2660号2021年3月22日)の内容

<1面>
貧窮人民見殺しの菅政権を労学の実力で打ち倒せ!
中国主敵≠フ多国間軍事同盟構築に狂奔する
バイデン政権

 日米共同の先制攻撃体制の構築反対!
<3面>
NTT春闘の戦闘的高揚を!
<4面>
トヨタ
 「人間力」を評価基準とした新「職能給」の導入
<5面>
春闘の完全破壊に突き進むトヨタ労働貴族を弾劾せよ
Topics 政府が「失業者」と認めない「実質的失業者」は146万人!
◆2・14労働者怒りの総決起集会に参加して
<2面>
原発・核開発に怒り渦巻く
 3・11 沖縄平和運動センター集会 那覇
ノーブル・フューリー21
 米海軍と在沖米海兵隊が対中国の統合演習
<6面>
革共同政治集会に参加して
◆12・6革共同政治集会に想う
 「解放」最新号





























  

貧窮人民見殺しの菅政権を

労学の実力で打ち倒せ!


 すべての労働者・学生諸君! 菅政権は、人民への生活補償も営業短縮を強いている事業者への補償もなおざりにしたまま緊急事態宣言を一都三県で再延長し、労働者人民に塗炭の貧苦を強制している。この極反動・菅政権を弾劾し打ち倒す闘争の炎を今こそ燃えあがらせようではないか!
 新型コロナ感染拡大の第三波が収束しないなかで、あらゆる業種の資本家どもが「コロナ不況」を口実としていっそうの首切り・雇い止めと賃下げに狂奔している。二月時点で二〇〇万人近くの労働者に失業を強制しているうえに、さらに数多の労働者の首を切っているのだ。くわえてシフトが半分以下に減らされた実質的な失業者が約一五〇万人(その七割が女性)、休業を強いられている労働者が約二五〇万人にものぼっている。にもかかわらず「失業者は極めて低い水準にある」などと強弁し路頭に迷わされている人民を切り捨てているのが首相・菅だ。なんたる破廉恥漢!
 春季賃金交渉にあたって経団連の独占ブルジョアどもは「雇用維持や事業存続を優先すべきで一律賃上げは難しい」とほざいている。首を切られたくなければ賃金カットに甘んじよ≠ニ労働者を脅しているのだ。これに屈服して賃上げ要求を実質的に放棄し、「企業の持続的発展」のための労使協議の場に春闘をねじ曲げているのが「連合」労働貴族だ。この大裏切りを断じて許すな!
 戦闘的労働者・学生を先頭にした人民の怒りに包囲されおののいた菅政権は、激減した政権支持率の回復を狙って「低所得の子育て世帯への現金給付」などの「緊急支援策」を急きょうちだした。大企業経営者から休業手当が支払われていない非正規雇用労働者向けの「休業支援金」も二月末になって開始したが、非正規労働者の多くが申請をできずにいるのが実態だ。菅が生活困窮者向け支援としておしだしている「緊急小口資金・総合支援金」は三月末の申請打ち切りを場あたり的にわずか三ヵ月間のばしただけ。菅政権が新たに開始する「コロナ対策に伴う支援」策の多くは企業向け、しかも業態転換のための「事業再構築補助金」とか「IT導入補助金」とかであって、売上減にあえぐ小規模事業者を救済するものではない。そして「デジタル化・脱炭素化」による産業構造再編を一挙におしすすめるための独占資本支援には湯水のごとく血税を注ぎこんでいるのである。
 貧窮に苦しむ労働者人民を「公助」の前に「自助」≠フ名で見殺しにし独占資本の救済・支援に狂奔する菅政権の棄民政策を階級的憤怒を込めて弾劾せよ!

コロナ感染拡大下での病床削減・弱者切り捨てを許すな

 菅はみずからの政権延命のために何がなんでも東京オリンピックを七月から強行せんとしている。だが、新型コロナ・パンデミックがうち続いているさなかに五万人規模の外国選手団・関係者を迎え入れ、日本全国から観客を東京に集め、医療体制の逼迫にあえぐ全国の病院から一万人もの医師・看護師をオリンピックのために動員する、などというのはまさしく狂気の沙汰ではないか。
 新型コロナ感染が「下げ止まり」になっているだけではなく、感染力がより強い変異株が市中でひろまりつつある。このただなかで菅政権は、自治体当局にたいして「コロナ病床の拡充」を要請しているが、同時に、あろうことか今このときに病床を削減した病院に給付金を配る事業などを盛りこんだ「医療制度改定一括法案」を国会に提出している。国家財政からの医療費支出を削減するために、「地域医療構想ガイドライン」にのっとって二〇二五年までに病床を大削減するという既定方針をあくまでも護持し・貫徹しようとしているのだ。しかも、七十五歳以上の高齢者の医療費窓口負担を現行一割から二割へ倍増する法改定をも強行しようとしているのだ。
 このかん医療労働者は極限的な労働強化を強いられてきたうえに、一時金カットなど賃下げにさらされている。コロナ患者の受け入れいかんにかかわらず多くの病院が深刻な減収・経営難におちいっている。菅政権が医療機関への直接的な援助を拒否しつづけていることによって、医療体制の危機が深まっているのだ。
 病床を大削減し・高齢者を切り捨て・医療労働者に重犠牲をもたらす医療制度大改悪を絶対に許すな! 菅政権は医療福祉・保健衛生現場にただちに資金・物資・人員を支援せよ!

「デジタル化」の名による国民総監視体制の構築阻止!

 菅政権はデジタル改革関連法案を四月中にも可決・成立させることを企んでいる。首相を「長」として「社会・行政のデジタル化」を統括するデジタル庁の創設、全国民の銀行口座や国家資格とマイナンバーとのひも付け、各省庁・各自治体の業務・情報システムの統合など――これらの法制化とマイナンバーカードの実質上の取得義務化を、あらゆる個人情報をNSCのもとに一元的に管理し監視するデジタル国民総背番号制≠完成させるために強行せんとしているのだ。
 すでに菅政権は、新型コロナワクチンの接種情報をマイナンバーとひも付けして政府のデータベースに登録することを全国自治体に強制したり、マイナンバーカードの健康保険証との一体化=医療機関での顔認証を開始したりもしている。
 デジタル庁の創設阻止! 一億総監視=総管理体制の構築反対!デジタル監視網≠駆使した治安弾圧体制の強化を許すな! 日本型ネオ・ファシズム支配体制強化の攻撃を打ち砕け!

疑獄まみれの菅政権弾劾!

 菅が総務相時代にみずからの政務秘書官にしていた長男の勤める放送事業会社から総務省高級官僚が受けていた超高額接待。これの暴露につづいて、官僚のみならず歴代総務相ら政務三役の政治家がNTT経営陣から接待を受けていたことが明るみにだされた。<パンデミック恐慌>下で労働者人民が食費を削ってしのがざるをえない困窮に突き落とされているときに、一食数万円もの饗応接待に興じてきたのがこの徒輩だ。
 通信・放送の事業・電波使用を許認可する総務省と巨大通信会社や放送事業者との贈収賄が、菅肝煎りの政策(「携帯料金引き下げ」と5G整備)の実行や自民党政府のメディア統制と結びついていることは明白である。しかも、露わとなった接待問題は氷山の一角にすぎない。たとえば、総務省が管轄するマイナンバー事業のシステム整備・管理やカード製造などを大量受注しているのがNTTグループ企業(および日立、NEC、富士通など)であり、マイナンバーとあらゆる個人情報をひも付けしNSCが管理するシステムの構築が同時に独占体に巨大な利権(カネとビッグデータ)をもたらすのだ。こうした総務省―NTTの結びつきをはじめとした「政・財・官の癒着」は、首相・NSCを頂点とする<鉄の六角錐>にビルトインされている構造的腐敗なのである。
 疑獄まみれの菅自民党政府を徹底的に弾劾せよ!

 労働者・学生諸君!
 菅政権の棄民政策を弾劾し、今国会でのデジタル改革関連法制定と医療制度大改悪を阻止しよう!
 菅政権とバイデン政権による日米軍事同盟の文字通りの対中国攻守同盟としての強化に断固として反対しよう! 敵基地先制攻撃体制構築のための大軍拡・日米共同演習反対! 米軍辺野古新基地の建設・埋め立て工事強行を阻止せよ! <安保破棄・基地撤去>めざしてたたかおう!
 「脱炭素化」を名分とした原発再稼働阻止! すべての原発・核燃料サイクル施設を廃棄せよ!
 次期総選挙で立憲民主党主導の「野党連合政権」を樹立し・その与党となることを夢想する代々木共産党の不破=志位指導部による闘いの議会主義的・市民主義的歪曲をのりこえたたかおう! 今こそ菅日本型ネオ・ファシズム政権の打倒をめざして起ちあがれ!
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中国主敵≠フ多国間軍事同盟構築に狂奔するバイデン政権

 日米共同の先制攻撃体制の構築反対!


米・日・豪を中核とする対中包囲網の強化

 新政権発足いご二ヵ月を経たこんにち、アメリカのバイデン政権は、中国を封じこめるための政治的・軍事的包囲網の構築にむけて本格的に突進しはじめた。三月十二日、バイデンは日・豪・印の三ヵ国の権力者に呼びかけ、初の「クアッド」(四ヵ国の枠組み)首脳会談をオンラインで開催した。その共同声明において四ヵ国の権力者は、「自由で開かれたインド太平洋のための共通のビジョンの下で結束」することを「米日豪印の精神」として確認し「海洋の安全保障」のための協力をうたいあげた。
 同時に、バイデン政権が今回の協議の柱として前面におしだしたのは、――アメリカ製新型コロナワクチンを日米の資金援助のもとでインドが生産する、オーストラリアがアジア域内各国に供給するという――「ワクチンの国際分業体制」なるものであった。
 だが、こうした押し出しは、「非同盟」を国是≠ニし「全方位外交」を標榜しているインドのモディ政権をこの多国間安全保障の枠組みに抱きこむための術策にほかならない。〔「ワクチン協力」というこのバイデン政権の術策は、習近平・中国がいわゆる「ワクチン外交」によって「一帯一路」という名の経済圏づくりをさらにおしすすめようとしていることへの対抗策としても位置づけられている。〕あからさまな対中包囲網への参加には二の足を踏んでいるこのインド政府を引きずりこむことを策して、バイデン政権は「東南アジアでのワクチン不足に対処する」と喧伝して「四ヵ国でのワクチン協力」なるものを協議の柱に据えたのだ。
 いま、インドのモディ政権は、対中貿易赤字の拡大や対中国境紛争(チベット・カシミール間のラダック地域など)を抱え、中国への政治的・軍事的対抗策を練りあげることに血道をあげている。これを絶好の機会として、インドを対中包囲網に抱きこんでいくことを策しているのがバイデン政権なのだ。
 今回の「クアッド」声明においては中国をそれとして名指しし非難することは避けられた。とはいえ、バイデン政権が「自由・民主主義」「法の支配」という「普遍的価値」なるものを高唱したことは、今回の「クアッド」首脳会談を、グローバルな対中包囲網を構築する、その橋頭堡たらしめるというアメリカ帝国主義の野望をしめしているのだ。
 バイデン政権がこうした策動にでているのは、習近平の中国が政治的・軍事的・経済的にアメリカ帝国主義をキャッチアップし二十一世紀世界の覇権奪取に向け猛突進していることへの危機感を募らせているからなのだ。こんにち、中国は南シナ海の軍事拠点化をおしすすめるのみならず、武器使用権限を明記した海警法の施行(二月)を区切りとして、尖閣諸島や台湾周辺海域において海警局の武装艦船による日本・台湾など他国船舶への威嚇・軍事的デモンストレーションをくりかえしている。いまや、対外膨張主義をむきだしにして東アジア・西太平洋地域の制海権・制空権を奪取することに血道をあげているのが習近平の中国なのだ。
 この中国を封じこめるためにバイデン政権は、東アジア地域における中国主敵≠フ多国間軍事同盟を、「自由で開かれたインド太平洋の実現」という名のもとに構築することに狂奔しているのである。

中距離ミサイルのアジア配備への突進

 こうしてバイデン政権は、米・日・豪三ヵ国を中核とする対中の多国間軍事同盟をアジア・太平洋地域において構築することを安保・外交政策の中軸の一つにすえている。これをなしとげるためにバイデン政権は、「属国」日本にたいして敵基地先制攻撃体制の構築やアジア・太平洋地域への中距離ミサイル配備への協力など、軍事的・経済的役割の拡大をよりいちだんと強力に迫るにちがいない。
 いまバイデン政権は、国務長官ブリンケンと国防長官オースティンの初の海外訪問先に日本を選定し「日米2プラス2」(三月十六日)を、四月には菅をアメリカに招き日米首脳会談(米新政権発足いご初の対面会談)を相次いでおこなおうとしている。これらの会談は、日米軍事同盟の対中攻守同盟としての飛躍的強化をなしとげる画期をなす跳躍台としての意味をもつ。この日米攻守同盟を要として、バイデン政権は、アジア・太平洋地域における対中軍事包囲網を構築することを策しているのだ。
 このかんトランプその人は、対日貿易赤字の解消など、経済・通商上での自身の成果に直結することにのみ執心してきたのであったが、アメリカ国家としては、あくまでも対中包囲網の形成に日本国家の軍事力・経済力を動員することに狂奔してきた。いまバイデン新政権は、改めて中国を「経済、外交、軍事、先端技術の力を組み合わせることで、国際システムに対抗しうる唯一の競争相手」(「国家安全保障戦略の指針」)と断じ、この中国の封じ込めを「二十一世紀最大の地政学上の試練」(三月三日、ブリンケンの外交政策演説)であると意義づけている。この政権は、対中の軍事包囲網構築の策動をこれまでにも増して加速するにちがいない。
 すでに昨年八月いらい、中国軍が南シナ海において対艦弾道ミサイル「DF21D(空母キラー)」とか「DF26B(グアム・キラー)」とかの中距離ミサイルの増配備・発射実験を急ピッチですすめている。
 現状においては、もしも中国軍が大量の中距離ミサイルを一斉発射する飽和攻撃にうってでたならば、グアムなどの米軍基地および空母は甚大な打撃をこうむるであろうことを、バイデン政権は予測している。このゆえにこそこの政権は、本二〇二一年中にも新型中距離ミサイルを沖縄をはじめ日本全土やフィリピンに配備するための準備を開始しているのだ。三月一日には、米インド太平洋軍が、こうしたミサイル配備計画に関連して四六億ドルの予算を求める要望書を連邦議会に提出した。
 このかんバイデン新政権は、「第一列島線に沿って精密攻撃ネットワーク」を構築するという戦力配置構想の策定を急いできたのである。そして、この構想にもとづいて、地上配備型中距離ミサイルを、フィリピンから日本の南西諸島を含む「第一列島線」上の島嶼部に配備しようとしているのだ。

(以下、見出し)

「民主主義の価値観」を旗印としたNATO同盟の再構築
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NTT春闘の戦闘的高揚を!

経営陣の「生産性向上」策に全面協力
する労組本部を弾劾せよ


 <パンデミック恐慌>のもと、独占資本家どもによる大量首切り、雇い止め、賃金切り下げが強行され、数多の労働者が路頭に放り出されている。とりわけ非正規雇用労働者への首切り、雇い止めが強行され、自殺者も増大しているのだ。われわれは、いっさいの犠牲を労働者に強いる政府と独占資本家どもへの怒りを燃えたたせ、労働貴族どもの「コロナウイルス感染抑止」を口実にした闘争放棄を許さず、今二〇二一春闘を職場深部から戦闘的に創造するために奮闘しなければならない。
 NTT労組指導部は、二月十日に中央委員会を開催し、「NTTグループ事業の変革への対応」を前面に掲げた二一春季生活闘争方針を決定した。
 彼らNTT労組指導部は、今次春闘を、「事業の現状や将来展望」を論議する場であると位置づけているだけではない。一応は掲げている「賃金改善」要求についても、「月例賃金および特別手当等、年間収入の二%程度の引き上げをめざす」などという方針を提起し、事実上「月例賃金」の引き上げ要求を後景化させているのだ。とりわけ非正規雇用労働者については「月例賃金改善」をいっさい求めない方針を労働組合として決定したのだ。こうしたNTT労組指導部による大裏切りを、われわれは、満腔の怒りをもって弾劾する。
 春闘を企業の競争力強化のための労使協議≠ニして純化させ、「NTT春闘」の最後的破壊に手を染めるNTT労組指導部に抗して、われわれは大幅一律賃上げの獲得をめざして奮闘しよう!

(以下、見出し)

「事業再編」に突進する経営陣

「事業変革への挑戦」を提唱する春闘方針の反労働者性

 非正規雇用労働者を見殺しにする労組指導部

 「企業の競争力強化」に全面協力する労働貴族

大幅一律賃上げ獲得をめざして奮闘しよう!
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トヨタ

「人間力」を評価基準とした新「職能給」の導入

労働者に重犠牲を強いる「賃金制度」改定


「個々人の頑張り」に見合う昇給制への一本化

 トヨタ自動車労働組合指導部は、二〇二一年春闘において賃金を底上げするベースアップ(ベア)に相当する「賃金改善分」を要求に含めたかどうかを非開示とすると決めた。労働組合員にすら「賃金改善」要求の有無を公表しないのだ。トヨタ労働貴族どもは、ベア分を開示しないことをもって、これまで金額重視になりがちだった交渉が「働き方改革」などの質的な成果を求める交渉に重点をおくことができるようになる≠ネどとうそぶいている。だがこれこそは、資本家の意にそって「賃上げ要求」を放棄するのみならず、そもそも従来の賃金支払い形態のなかにわずかに残っていた「一律定期昇給」制を破棄し、査定にもとづいて各人ごとに昇給額を決めるという、労働者を競争にさらし分断する反労働者的な制度を導入したことを居直るものなのだ。トヨタ労組執行部は、昨年九月三十日に開催された定期大会において、会社経営陣が提案し「労使専門委員会」で検討を続けてきた「賃金制度見直し」案を受け入れることを決定した。そして二〇二一年度から実施することに合意した。
 トヨタの「賃金制度」は、四つの職種別――「事技職」、「業務職」、「技能職」、「医務職」――に分かれ、それぞれ異なる賃金支払い形態がとられている。しかし、いずれの職種においても基本給は、資格(職能資格)と連動している賃金等級に応じて昇給額が一律に決まる「職能基準給」と、個人への評価にもとづいて決まる「職能個人給」とから構成されていた。
 今回の改定においてはこの二つが廃止され、かわって各個人への評価にもとづいて変動する「職能給」が新設される。「職能基準給」に残されていた年功的で一律的な昇給部分はなくなり、評価に応じて各人の昇給額が決まり、各人のあいだに大幅に差をつける方式になる。
 トヨタ労組執行部は、会社側の提案は「一〇〇年に一度の大変革期」において「(自動車メーカーから『モビリティ・サービス企業』への)トヨタのフルモデルチェンジに向けて、組合員に働きがいに軸を置いて取り組むことを促すものであり」、「『頑張った人』がより報われるもの」であると称して積極的に受け入れることを表明したのだ。会社経営陣と「危機感を共有し」組合(員)も一体となって資本の競争力を強化するために邁進することを表明し、組合員全体に同調するように促しているのだ。
 今回の「賃金制度改革」において、新設される「職能給」に賃金支払い形態が一本化されるのは、「事技職」および「業務職」の労働者である。「技能職」については「技術習熟給」も「職能給」に統合されるものの、「職位手当」「技能発揮給」「基礎給」については技能の積み重ねにより着実にステップアップしていく≠ニいうように他職種とは異なる働き方にもとづくものであるとみなして従来どおり残し、賃金等級が上がったときに定額で一律昇給される。また「医務職」の「医務職給」は専門的な職務内容である≠アとから従来どおり残される。
 このように、「年功」による一定の一律定昇部分をすべてなくして、「個々人の頑張り」=考課による反映によってのみ昇給が決まる制度に一本化されるのは、「事技職」および「業務職」なのである。
 「事技職」「業務職」といわれる職種は、開発・設計・市場調査・開拓などの職務に従事する労働者からなるが、彼らは相互に競争を促され、「頑張った」と評価された者だけが「頑張り」度合いを評価されて昇給が決められるという、労働者にとっては実に苛酷な賃金支払い形態に変えられたのだ。
 新たに導入される「職能給」制度においては、個々の労働者は同一の資格・賃金等級のなかで、時々の考課によって最上位のAランクから下位のDランク、特殊的といわれるが最下位のEランクに分けられる。このランク分けにあたっては、今回の「賃金制度」改定の大きな狙いとされる「人一倍頑張った人に報いる」ことを主眼に「頑張り」度合いをランク分けの基準にするとされている。すなわち、「頑張り」度合いを、@人一倍頑張っている、A緊張感を持ち続ける、B安心感の担保、の三つの面から評価し、「人一倍頑張っている者」は年齢・学歴に関係なく高く評価し、「頑張りに乏しい者」は奮起を促すというように「頑張り」度合いなるものを基準に評価し「相対評価」でランク分けがされるのだ。最高評価のAランクは上位一〇%程度の労働者、二番目に高いBランクは三〇%程度の労働者がランクづけされる。それ以外のC、Dランク、特殊的といわれるがEランクの労働者が合わせて六〇%を占めることになる。
 新たに制定された「職能給」の各ランクごとに分配される昇給原資≠ネるものは、これまでの「職能個人給」と「職能基準給」の昇給原資≠合算したものとされているのであるが、AランクおよびBランクの労働者に重点的に分配され昇給額を従来よりは増やすのだ。他方、CランクおよびDランク、Eランクの労働者の昇給額は、従来の「職能基準給」の一律・定額分は廃止されているから極めて低くなり、Dランクでは昇給は従来の半分とかゼロとかと査定されるのだ。特殊的とはいわれているがEランクの労働者は昇給ゼロであるばかりか、六十歳定年以降の再雇用は再検討するといわれ、実質上、退職勧告さえされるのだ。「事技職」の上位資格である主任職の労働者を「頑張り続ければ上限なく昇給し続ける」などとあたかも頑張れば天井知らずに昇給するかのように煽りたてながら、他方「頑張らない」とみなした労働者を退職へと追いこむことさえも狙った無慈悲きわまりないものなのだ。

(以下、見出し)

「実行力」「人間力」の名による大幅な格差づけ査定

国際競争での生き残りをかけた人事・労務政策の改変

労使一体で労働者に「社長の危機感の共有」を強要

労働組合の戦闘的再生のために闘おう!
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春闘の完全破壊に突き進むトヨタ労働貴族を弾劾せよ

「賃金改善」要求の有無をも非公表に

 トヨタ労組は、二月十日に開催した評議会において、二一春闘方針を正式決定した。その内容は、「賃金引き上げ・人への投資を合わせて、(非正規を含む)全組合員一人平均で九二〇〇円を要求する」。一時金については、要求額の算出基準をトヨタ単独からグループの連結営業利益に変更することによって昨年より〇・五ヵ月マイナスの基準内賃金の六ヵ月分を要求するというものである。
 昨年を九〇〇円下回る超低額の要求を掲げた、この方針の最大の特徴は、要求内容に「賃金改善分」(ベースアップ相当分)を含むか否かを組合員にたいしていっさい明らかにしていないことにある。
 すでにトヨタ労組の労働貴族どもは、「連合」が「賃金改善分二%程度」という二一春闘方針を正式決定した昨年十二月一日の翌日、『読売新聞』に「トヨタ労組ベア要求せず」というリーク情報を大々的に報じさせた。また、昨年十二月十八日に開催された全トヨタ労連の支部代表者会議において会長の鶴岡(前トヨタ労組委員長)は、労連傘下の各単組が「新型コロナで業績が厳しい企業もあり、ベア要求しない」ことを容認するとうちあげた。まさに「企業別労組の産業別勢揃い・横並び」という形式をとって推進されてきた日本型賃金闘争としての春闘を完全に破壊する画策に踏みだしたのだ。このトヨタ労働貴族どもを絶対に許すな!
 一八春闘での経営側の「賃金改善分非公表」という回答を受け、トヨタ労組指導部は、一九春闘から「賃金改善」要求の金額を非公表にした「賃金改善分を含む総額賃上げ要求」方式ヘと転換した。昨二〇春闘では「賃金制度維持分(定昇相当分)と改善分を含む賃金引き上げ・『人への投資』で全組合員一人平均で一万一〇〇円」の要求を掲げていた。だが、今二一春闘方針では「賃金制度維持分」や「改善分」という用語はいっさい使わず、「賃金改善分」を要求するのか否かも明らかにしていないのだ。しかも、今後も「賃金改善」要求の有無を公表しないだけでなく、一時金要求の算出基準をトヨタ単独の営業利益から連結営業利益に変更したのだ(従来はトヨタ単独の営業利益と連動して一時金額を決めていたが、営業利益が厖大になり連動して一時金も高くなることを問題視している経営陣につき従って、この方式をやめた)。
 それだけではない。トヨタ労組指導部は、昨二〇春闘までの取り組みにおいて、賃金闘争をすすめるうえで不可欠な「組合員の基礎情報」、すなわち組合員がみずからの賃金水準を知るうえで必要な基礎的なデータである「賃金制度維持分」の金額や「平均基準内賃金、平均年齢、勤続年数、扶養家族」などを提示していた。だが、今二一春闘において彼らは、これらの賃金にかんする情報をいっさい組合員に明らかにしていないのだ。

「ベースアップ要求」そのものの否定

労働貴族どもの反労働者性を暴き出し闘おう

 トヨタ独占資本は、自動車メーカーのみならずIT企業との激烈な競争に勝ちぬくために、優秀な若年層や高度人材、海外人材を獲得し、また人材の流出リスクを防ぐために労働貴族どもの全面協力によって「人事・処遇制度」の抜本的見直しをすすめ、今年から「新賃金制度」を導入した。
 その内容は、「職能基準給」と「職能個人給」を「職能給」に一本化し、職能考課によって組合員を六段階(A、B、C、D1、D2、E)のランクにふり分け昇給額を決定するというものである。あわせて、職能考課の評価基準の見直しもおこなわれた。新たに「人間力」や「実行力」などという極めて抽象的な、労務管理の観点から構想された評価基準が導入されている。そして、これにもとづく考課によって優秀とみなされた一部の組合員には上限のない賃金引き上げがおこなわれる一方で、最低評価の組合員は賃上げゼロになるなど、大多数の組合員はこれまでより低い水準の賃金を強いられることになるのだ。
 このように「新賃金制度」なるものは、組合員相互が競って自身の職能考課を上げることで、より高い「職能給」を獲得し、それによって個々の組合員はみずからの賃金引き上げを実現するという代物なのである。その意味で、「新賃金制度」は、組合員の団結を基礎にベア要求を掲げてたたかい、賃上げをかちとるという春闘を根本から破壊するものなのである。このような「新賃金制度」の導入を受け入れたトヨタ労働貴族を許すな!
 トヨタ労連傘下の各単組でたたかう革命的・戦闘的労働者は、トヨタ労働貴族どもの反労働者性を春闘のただなかで暴きだし、二一春闘の戦闘的高揚に向けて奮闘しようではないか。
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原発・核開発に怒り渦巻く


3・11 沖縄平和運動センター集会
 被災人民を切り捨てる菅政権を糾弾
 東日本大震災・東京電力福島原発事故から十年の三月十一日に、那覇市の県民広場において「さようなら原発・核兵器 沖縄集会」(主催:沖縄平和運動センター)が開催された。
 菅ネオ・ファシズム政権は、被災民にたいする支援策を次々とうち切った。そして、「グリーン社会の実現」の名のもとに原発の再稼働につき進んでいる。潜在的な核兵器製造能力を維持・強化するためだ。彼らは、対中国の最前線であると位置づける沖縄において、アメリカ・バイデン政権とともに、核兵器の貯蔵可能な弾薬庫を備えた辺野古新基地をなんとしても建設しようと遮二無二つき進んでいる。
 たたかう労働者たちは、この菅政権にたいする怒りをあらたにして、職場深部において組合員を、また各地域の住民を組織化し、この日の集会の高揚のために奮闘した。わが県反戦の労働者は「沖縄への核ミサイル配備反対! 核安保の強化反対!」のプラカードを掲げてたたかいぬいた。
菅政権の原発・核開発、辺野古新基地建設に怒りの拳
(3月11日、那覇市・県民広場)
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