第2654号(2021年2月8日)の内容
<1面>
困窮人民見殺しの菅政権打倒!
日本型ネオ・ファシズム支配体制の強権的強化反対!
<3面>
没落帝国主義の再建≠ノ狂奔するバイデン新政権
<4面>
決裂寸前でEUとのFTA合意にこぎつけたイギリス
習近平政権の「ワクチン外交」
<5面>
北海道「1年単位の変形労働時間制」条例の制定弾劾!
Topics 1・27経団連・「連合」トップ会談
労使一体での「労働移動」促進と賃上げ抑制の宣言
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
<6面>
12・6革共同政治集会に参加して
■『新世紀』最新号(第311号)紹介
<2面>わが同盟の21春闘スローガン
「解放」最新号
困窮人民見殺しの菅政権打倒! 日本型ネオ・ファシズム支配体制の強権的強化反対!
いまや国内の感染者は三九万人を数え死者は五七〇〇人を超え(一月三十一日)、医療崩壊がはじまっている。ところが、この政権は、医療崩壊をくいとめる対策など何もとっていない。廃業・倒産の危機にさらされている事業者や困窮に呻吟する人民への支援策もまったくとっていない。東京だけでも実に四二〇〇人以上が「入院待ち」を強いられている。この人民にたいして、「入院を拒否した者には五〇万円の過料を科す」などと脅しつけているのが極悪非道の菅ネオ・ファシズム政権なのだ。 それだけではない。一九兆円の第三次補正予算の大半は、――「コロナウイルスの感染拡大対策」とおしだされているのとは正反対に――「GoToトラベル」などの追加支援や「国土強靱化」対策や軍事費(潜水艦・輸送機など兵器の契約費)なのである。まさに、これらの対応こそ、困窮する人民の切り捨て、医療崩壊の危機に直面する医療諸機関への無支援そして小規模事業者の切り捨て以外のなにものでもない。 さらに許しがたいことに、この政権は、ワクチン接種にあたって会場確保や医療従事者の協力とりつけに奔走している各自治体当局・労働者にたいして、マイナンバーを利用せよ、とわめいている。まさに、「コロナ感染症対策」に名を借りて、デジタル的手段を活用して全国民の医療情報などを一元的に管理・監視する体制づくりを策しているのである。 すべての労働者・学生諸君! 困窮を強いられている労働者・人民の怒りに包囲されている首相・菅は、いまや死に体≠ヤりを露わにしている。この反人民性をむきだしにするガタガタ菅政権にたいする断固たる闘争を大爆発させようではないか!「連合」指導部は「コロナ危機脱却」のための「政労使協議」を菅政権や独占資本家どもに求めているにすぎない。日共の不破=志位指導部は、近づきつつある衆議院選挙にむけての票田開拓に一切の闘いをねじ曲げ、菅政権の反動的諸攻撃を打ち砕く闘いをなんら組織していない。この既成反対運動指導部の闘争歪曲をのりこえ、「困窮人民切り捨て反対」「大幅一律賃上げ獲得」を掲げて二一春闘の戦闘的高揚をかちとろう。極反動・菅政権を断固として打倒せよ。 コロナ特措法・感染症法への罰則導入を許すな! 独占資本優遇・人民切り捨ての「十五ヵ月予算」 熾烈を極める資本家どもの大量解雇・賃下げ攻撃 労働者・学生・人民の団結で菅極反動政権を打ち倒せ! コロナウイルスの蔓延・感染拡大によって東京五輪開催が絶望的となっている現在、菅政権はボロボロズタズタの死に体≠ノ追いこまれている。菅を首相に担ぎあげた二階がすでに菅に見切りをつけポスト菅をめぐって菅降ろし≠フ策動が強まっているのだ。 菅が元首相・安倍を再起不能に追いこむために仕掛けた「桜ゲート」の暴露。これにたいして、いま河井案里の公選法違反・買収の有罪判決、自民党総裁選挙に際して菅の選対本部長を務めた元農相・吉川の「卵」汚職の暴露によって首相・菅が窮地に立たされている。 新型コロナの感染拡大下、職も収入も奪われ、食べるものも住むところも失い路上生活をせざるをえないほどの困窮者が続々とうみだされている。生き地獄にあえぐ労働者に、首相・菅は「まず自助で。最終的には生活保護という仕組みがある」とのたまった。生活保護利用者バッシングをくりかえし、申請基準を厳しくして窓口で追い返せと指示したのは誰なのだ。生活保護さえ受けさせず、辛酸をなめる生活に労働者・人民を叩きこんできたのは、お前たち自民党政権ではないか! 飲食業・宿泊業、交通運輸の業種の諸企業が経営難をきわめる他方で、コロナ・パンデミック下で大きく業績を伸ばしたのが自動車やIT産業・電機の諸独占体だ。何千万円もする輸入高級車が販売台数三割増で売れているという。顧客は「ニューリッチ」と呼ばれるIT企業の幹部らだ。リモートやオンライン会議の需要増や、在宅勤務による通販の利用拡大でネット関連企業が収益を大幅に拡大した。大企業は、このコロナ・パンデミック下で内部留保を四五九兆円も溜めこんだのだ。 菅政権は、独占企業やデジタル関連企業には手厚い保護と援助を惜しまず、中小・零細企業には補償や支援策をことごとくうちきっている。中小企業が倒産しようが廃業しようが、傍観を決めこんでいる。「生産性が低い」とみなした中小企業は淘汰すればよいというのが本音なのだ。困窮する労働者・人民には「自助」をつきつけ見殺しにする。こうした菅政権の大企業優遇策と棄民政策の無慈悲な貫徹によって、ますます貧富の差が拡大しているのだ。 この富める者と貧しき者との格差こそは、搾取する者と搾取される者との、すなわち資本家と賃労働者との階級対立が、コロナ危機のなかでむきだしにあらわれたものにほかならない。そうしたことをもわれわれは労働者・人民に呼びかけ闘いに起ちあがるべきことを呼びかけようではないか。 「コロナ感染防止」を口実にして、経営者のみならず組合幹部が、労働者・組合員が数人で集まること、昼食をともにとることも禁じている。この厳しい状況のなかで、たたかう労働者は職場や組合のつながりを創意工夫してつくりだしつつ闘いをくりひろげている。 たたかう学生もまた、キャンパス閉鎖というかつてない困難のもとで、サークル・自治活動をオンラインをも駆使しつつ展開し、菅政権の反動攻撃を打ち砕く闘いを創造するために奮闘している。 労働者諸君! 今二一春闘を日本労働者階級の反撃の突破口にすべく闘いにうってでようではないか。 コロナ・パンデミック下で困窮人民を見殺しにする菅政権を許すな! 労働者・人民への生活補償、失業者への緊急支援をただちにおこなえ! 医療福祉施設に財政・物資・人員を援助せよ! 「コロナ不況」を口実とした資本家による労働者への賃金削減・解雇攻撃を断じて許すな! <大幅一律賃上げ獲得>のためにたたかおう! 日米の対中攻守同盟の強化に反対する反戦・反安保闘争を推進せよ! 憲法改悪阻止! ネオ・ファシズム支配体制の強権的強化反対! 国難突破のための政労使協議≠フ場へと春闘をねじ曲げる「連合」神津執行部を弾劾せよ! 今春闘を総選挙にむけた日共の集票カンパニアと「野党連合政権」づくりのための政策宣伝に解消する「全労連」幹部の闘争歪曲を許すな! 腐敗をきわめる既成労働運動指導部をのりこえ、二一春闘を戦闘的に高揚させよう! これらの闘いのいっさいを集約し、菅ネオ・ファシスト政権を労働者・学生・人民の団結で打倒しようではないか! すべての戦闘的・革命的な労働者は、2・14怒りの総決起集会に結集せよ! |
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没落帝国主義の再建≠ノ狂奔するバイデン新政権 T アメリカの分断と荒廃を象徴した大統領就任式 U 「融和」と「国際協調」の高唱 バイデン政権は、その発足直後から「中国はわれわれの最も重要な難問だ」(国防長官オースティン)とか「米国の安全と繁栄、価値観に挑戦している」(大統領報道官サキ)とかとがなりたて中国への敵対心をむき出しにしている。それは、アメリカ国家が新型コロナウイルス感染拡大と大統領選挙をめぐる騒乱におおわれている間隙をついて、ネオ・スターリン主義中国が一気に対米攻勢を強めていることにバイデン政権が危機感を募らせているのだからである。 習近平は「『新冷戦』で他国を脅し、デカップリングや制裁をするのは世界を分裂、ひいては対抗に向かわせる」と叫び、トランプ式の対中強硬政策からの転換をバイデン新政権に要求している。軍事的には、習近平の中国は、プーチンのロシアとの反米軍事同盟を基礎として対米核戦力を強化し、南シナ海における軍事的デモンストレーションをくりひろげている。また、アメリカの軍事的支援を受けている台湾の蔡英文政権にたいしては、周辺海域での船舶による威嚇と空軍戦闘機の防空識別圏への連続的進入をくりかえすなどの軍事的恫喝を強めている。 経済的には、主要国のなかで唯一中国が、二〇二〇年のGDPでプラス成長(二・三%)を記録した。民間調査会社の予測統計によれば中国のGDPは二七〜二八年にもアメリカを抜いて世界第一位の座を占めるという。 政治・軍事・経済のあらゆる場面において中国がキャッチアップするときが間近に迫っていることに促迫されているバイデン政権は、中国による覇権の奪取を阻止する策を練りあげている。その基軸をなすのが、日・豪・韓ならびに欧州の同盟国の軍事的・経済的力を動員していくという対外政策なのである。 しかも、国内的には新型コロナ感染拡大と経済格差の拡大にあらわとなっているアメリカ国家の衰退ぶりを眼前にして、そのたて直しに躍起になっているのがバイデン政権なのだ。 このゆえにこそ、この政権は、外にむけては「国際協調主義」を、内にむけては「融和」をシンボルとした諸政策の策定を急いでいるのだ。 A 「感染対策」と「格差是正」の押し出し 現在のアメリカ国内では新型コロナウイルスの感染者は二六〇〇万人超、死者にいたっては第二次世界大戦のアメリカの戦死者を超える四四万人に達するほどにまで増加している(一月三十一日現在)。また、失業者は新型コロナ感染拡大まえの二〇年一月には五八〇万人であったが、同十二月時点ではその二倍にあたる一〇七四万人にまで達している〔二〇年四月には二三一一万人にまで達した〕。 新型コロナウイルス・パンデミックのもとで、トランプの感染対策の放棄=経済政策優先によってアメリカが世界最大の感染国になってしまっただけではなく、経済が凍りついてしまったことに驚愕した資本家どもによって多くの労働者が路頭に投げ出され貧富の格差がむき出しになっている。 こうした事態を眼前にしてバイデン政権は、一・九兆j(約二〇〇兆円)の新型コロナウイルス対策をうちだし、「国防生産法」を適用しワクチン製造を加速し就任後一〇〇日間で一億回分を接種することを明らかにしている。そして、「経済格差是正」「ワーキングクラスを守る」と称して有給病気休暇、有給介護休暇の企業への義務化、一五jの最低賃金、労働組合活動の支持、富裕層や企業の税負担を増やす「フェアな税制」をうちだしている。 これらは、社会保障費の増額や軍事費の抑制を主張している「プログレッシブ」と呼ばれる「左派」の要求を一定程度は汲み取る姿勢をとったものではある。民主党が獲得した下院二二二議席のうち、九十五議席前後を「左派」が占めているのであって、政権運営にとってバイデンとしてもこれらを無視することはできないのだからである。 しかし、バイデンは、国民皆保険制度や学費全額免除などを主張してきた民主党「左派」のオカシオコルテスやサンダースらを新政権から排除した。アメリカ資本主義のもとでの経済格差の拡大や人種差別に怒りを募らせている人民、なかんずく「ミレニアル世代」や「Z世代」と呼ばれる若者に支持されたサンダースらの「民主社会主義」的な政策をとることを拒否しているのがバイデンなのである。 このことは、バイデン新政権が、結局のところ東部系の金融独占資本家をはじめとするいわゆる東部エスタブリッシュメントやGAFAなどICT産業資本家どもの利害を体現する代弁者でしかないことをしめしている(後述)。それは昨秋の大統領選挙において、トランプ陣営に比しても独占ブルジョアどもから莫大な献金が流しこまれたことにもしめされている。 B 対中国包囲網の形成 外交政策の面では、バイデン政権は、トランプのように「アメリカ・ファースト」を掲げ同盟国にさえも制裁関税をしかけたり国際協定から一方的に離脱したりするといった国家エゴイズム丸出しの政策は修正し、「国際協調」や「同盟関係重視」をうちだしている。 大統領就任直後から一週間のうちにバイデンは、地球温暖化対策の「パリ協定」への復帰、WHO(世界保健機関)からの離脱撤回、メキシコ国境の壁の建設中止など四十の大統領令に署名した。また、閣僚人事においても、国務長官にブリンケンを、国家安全保障担当大統領補佐官にサリバン、気候変動問題担当の大統領特使にはジョン・ケリーなど、かつてのオバマ政権の中枢を担ってきた政治エリートを起用したこと、このことは「同盟の重視」を再び対外政策の基調としておしだそうという意図のあらわれなのである。現に、政権発足直後からバイデン、ブリンケンがあいついで、フランス・ドイツ・イタリアや欧州委員会の外相との電話会談において「米欧関係の復活」を謳いあげ、またNATO事務総長ストルテンベルグとも電話会談をおこなった。 バイデン政権がこうした「国際協調主義」や「同盟重視」へと舵を切ったのは、トランプ政権のように国家エゴイズムをむきだしにして国際協定から一方的に離脱したり同盟国に軍事的・経済的な負担要求をごり押しするならば、アメリカの国際的孤立化を促進し・かえって中国を利することになると判断しているがゆえなのである。 「中国との戦略的競争は二十一世紀を決定づける要素だ」とバイデン政権が明示していることからして、中国の対米挑戦を封じこめるための政治的・軍事的包囲網を全世界的に構築することを安保・外交政策の環としていることは明らかである。現に、バイデンの大統領就任と時を同じくしてアメリカ海軍は、フィリピン北部のバリンタン海峡を通過してセオドア・ルーズベルト空母打撃群を南シナ海に突入させたのであって、中国による南沙・西沙諸島を軍事拠点としての南シナ海の制海権掌握を絶対に許さないという意志を習近平政権に突きつけたのだ。 バイデン政権は、対中包囲網を構築するためにこそ、トランプ流の「アメリカ・ファースト」を明確に破棄し、「人権・民主主義」とか「法の支配」とかという「共通の価値」を旗印として日・韓・豪および欧州のNATO同盟諸国の軍事的・経済的な力を総動員していくことに血道をあげているのだ。国務長官ブリンケンの「民主主義的な同盟国と足並みをそろえて強い立場から(中国にたいして)アプローチする」という発言に、バイデン式対外政策の基調が端的にしめされている。 アジアにおいてもバイデン政権は、「属国」である日本との日米同盟を強化し、日本の軍事的・経済的な力を総動員して対中国包囲網を形成するという政策をとっている。そのことは、アジア・太平洋地域の安保政策の司令塔≠スる新設の「インド太平洋調整官」にジャパン・ハンドラー≠フ異名をとるキャンベルを起用したことに如実にしめされている。日米首脳の電話会談(一月二十八日)において、バイデンは「自由で開かれたインド太平洋」構想(FOIP)を引き継ぐことを日本の首相・菅とのあいだで確認した。〔トランプ政権が謳ったFOIPの表現を嫌ってバイデン政権は、「繁栄し安全なインド太平洋」などという名称を一時使用していたのであったが、日本政府の要請に応じて従来の表現にもどした。〕 バイデン政権は、南シナ海の軍事要塞化を完遂しつつある中国およびこれを後ろ盾とした北朝鮮をにらんで、日米攻守同盟を強化するために日本国軍に(敵基地先制攻撃体制構築などの)より多くの役割を担わせることを策している。それとともに、三月末に交渉期限切れを迎える来年度いこう五年間の在日米軍駐留経費の日本側負担(「思いやり予算」)を菅政権から、より多くむしり取ることを策している。こうした対日要求を呑ませることを企んで、尖閣諸島への日米安保条約第五条の適用を確約する、というリップサービス≠、バイデン政権は与えたのである。 失効期限(二月五日)を目前に控えている新START(戦略核兵器削減条約)をめぐっては、バイデン政権がロシアのプーチン政権の要求に応じるかたちで五年間の延長に合意した(一月二十六日)。グアムの米軍基地や米空母を標的とする中距離弾道ミサイルを増配備している中国を条約締結交渉にひきずりだすという、――トランプ前政権いらいの――追求は棚上げしたうえで、バイデン政権は当面はロシアとの条約を維持することを選択した。同時に、このSTARTにおいては規制対象とはなっていない小型の戦術核兵器の増配備をおしすすめ、中国・ロシアへの軍事的圧力を強化しようとしているのである。 C 独占資本救済のための「クリーン・エネルギー革命」 中国との通商をめぐってバイデンは、「懲罰的な手法はとらない」と言及しつつも、トランプ前政権が発動した最大二五%の対中制裁関税については「すぐに動かすつもりはない」と言明している。このかんトランプ政権が課してきたところの、中国の対米輸出の七割を超える三七〇〇億j相当の追加関税を、「中産階級のための外交」の名のもとに護持しているのだ。中国にたいしてだけではなく日本やEUなどの海外で生産された製品に追加の税を課す「メイド・イン・アメリカ税制」の導入、連邦政府の調達契約でアメリカ製品の優先を義務づける「バイ・アメリカン」法の適用を徹底する大統領令にバイデンは次々と署名した(一月二十五日)。同時に、次世代通信規格「5G」やAIをめぐる中国の技術覇権の確立は絶対に許さない、という意図をこめてファーウェイなどの中国企業をアメリカや同盟諸国、さらには中南米諸国の市場から排除する措置をとりつづけている。 こうした保護貿易主義的通商政策をバイデン政権が維持しているのは、トランプを支持してきた鉄鋼・アルミニウムなどの製造業独占体の経営者や労働組合が制裁関税の解除に反対していることを背景としている。トランプの支持層となってきた白人中間層の労働者をとりこむために、選挙戦においてもバイデンは「雇用の創出」を経済対策の最優先課題としてきたのであって、製造業の衰退をもたらす制裁関税解除にただちにふみきるわけにはいかないのである。 バイデン政権が掲げる「雇用の創出」の最大の目玉は、「クリーン・エネルギー革命」なるものである。それは、四年間で電気自動車や再生可能エネルギー普及にむけたインフラ建設に二兆j(約二〇七兆円)という巨額の投資をおこなうというものである。二〇三五年までの発電セクターの脱炭素化、電気自動車(EV)用バッテリーの開発や充電ステーション建設に投資する計画をぶちあげている。こうした諸施策をおしすすめるために、自動車産業の中心地ミシガン州で二〇一五年までに再生可能エネルギー比率を一〇%に引き上げた功績≠もつ元知事であるグランホルムをエネルギー長官に起用したのである。 就任直後からバイデンは、温暖化ガス排出規制を促進する大統領令に矢継ぎ早に署名した。原油パイプラインの建設許可取り消し(二十日)、化石燃料生産企業への補助金削減、石油・ガスの生産用地向けの政府管理地貸し出し停止(二十七日)など……。 これにたいしては、石油・天然ガスなどのエネルギー産業や、EV化にたち後れている一部の自動車産業独占資本家から猛反発が巻き起こっている。しかも、これらの産業に従事する多くの労働者には首切り・賃下げ攻撃がしかけられようとしているのだ。だが、バイデン政権は、「雇用を失うのではなく、われわれは雇用を創りだす」などとうそぶきながら、職を失いかねない石油・天然ガス・石炭などの労働者を見殺しにしようとしているのだ。 他方では、バイデンの「クリーン・エネルギー革命」なるものにいち早く「歓迎」の意を表明したのがゼネラル・モーターズ(GM)経営陣である。彼らGM資本家どもは、バイデン政権に呼応して二〇三五年までに全面的にEV生産に切り替えること、四〇年までには操業にともなう炭素排出をゼロにすることを公式に表明した。すでに中国・上海でのEV生産・販売を拡大しつづけているテスラのみならず、フォード・モーターやクライスラーなどの自動車産業独占体もこれに後続するにちがいない。 バイデンが脱炭素化・再生可能エネルギー分野への巨額投資をおしすすめようとしているのは、中国やEU諸国があいついで「カーボン・ニュートラル」を掲げて新産業分野での国際市場のシェアを拡大しつつあることに焦りを募らせているからなのだ。中国やEU諸国の諸企業に対抗して、EVや再生可能エネルギー部門におけるアメリカ企業の国際競争力を高めること、そしてこれへの投資によって巨万の富を獲得しようとしているICT企業や金融独占資本家を支援すること、――こうした独占ブルジョアジーの利害のためにこそ、バイデン政権は「地球温暖化防止」や通商問題をめぐる国際的政治交渉の場において、アメリカに有利となる「環境基準」や「知的財産権の保護」などの「国際ルール」の遵守を中国に押しこもうとしているのである。 V 米・欧帝国主義国間で高まる不協和音 |
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北海道「一年単位の変形労働時間制」条例の制定弾劾! 各自治体における導入を阻止しよう 昨二〇二〇年十二月十一日に、北海道・鈴木当局は定例道議会本会議において、二一年四月から学校現場に「一年単位の変形労働時間制」を導入するための北海道条例の制定を、全国の先陣を切って強行した。道当局・道教育委員会は、道内自治体にたいしておこなった調査ではコロナ感染蔓延下の困難さゆえに「二〇二一年度からの導入」は自治体の六割しか予定していないことに危機感を募らせて、この条例制定を強行した。道知事・鈴木は、政府にさきがけての「道独自コロナ非常事態宣言」の発令や「全道一斉休校」の強行(二〇年二月)、「高レベル廃棄物処分場文献調査申請」の容認(十一月)など、安倍および菅ネオ・ファシスト政権による諸施策を先頭で担っているのだ。「一年単位の変形労働時間制」の導入にかんしても、神奈川県など全国の多くの教育委員会が「環境が整っていない」と導入を見送っているなかで、先陣を切って条例制定を強行したのが道当局・道教委だ。鈴木道当局によるこの全国初の暴挙をわれわれは怒りをこめて弾劾する! われわれは、この道条例にもとづいて、今後すべての道立学校・各市町村自治体当局が超長時間労働・労働強化を固定化する年間変形労働時間制を導入することを断じて許さない。日教組・北教組本部による闘いの歪曲をのりこえて奮闘しよう! 残業代ゼロ・働かせ放題の悪法=「給特法」の撤廃! 能力主義・国家主義的教育再編攻撃を打ち砕こうではないか! (以下、見出し) 「コロナ対策」に追われる労働者に更なる犠牲強要 超長時間労働・労働強化の固定化を許すな 文科省を尻押しする日教組本部をのりこえ闘おう! 給特法撤廃! 能力主義・国家主義的教育再編反対! |
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「革命の新時代を切り拓け」 ――高らかに呼びかけ 二一春闘の戦闘的高揚を! 人民見殺しの菅政権打倒! 本号は、新型コロナ・パンデミックと<米中冷戦>下におけるわが同盟の基本的な指針を提起した「革命の新時代を切り拓け」を巻頭に掲げた。さらに中央労働者組織委員会の「二一春闘の戦闘的高揚を!」、「革共同第三次分裂の最終決着を宣言する」の重要論文を掲載した。 ▼巻頭論文は熱く訴える。パンデミック恐慌のもとで、十九世紀的=古典的な階級分裂がむきだしになっている。これこそは現代資本主義の死の痙攣を意味する。マルクスの唯物史観を背骨とするわれわれにとって「ポスト・コロナ社会」が何であるかは自明だ。末期性を露わにする現代資本主義を根底から覆し・開かれる「つぎの今」とは、真実の社会主義・共産主義の創造以外にはありえない。それを導きうるのはわが反スタ革命的左翼にほかならない。歴史の創造的先端を切り拓く決意に燃えて決起しよう、と。 没落する「一超」軍国主義帝国アメリカは大統領選においてその社会的荒廃・分断を露わにした。このアメリカの凋落を好機とみてとりネオ・スターリン主義中国は「社会主義現代化強国」への飛躍という世界制覇戦略の実現にむけて突進している。いまや<米中冷戦>が激化し戦乱勃発の危機が高まっている。アメリカとのBC兵器開発競争にしのぎを削る中国・武漢の研究所から漏出したと思われるコロナ・ウイルスが「グローバル経済」の波にのって世界に広がりコロナ・パンデミックとなった。世界経済は突然奈落につきおとされ、労働者・人民は貧窮の犠牲を強いられている。 「現代資本主義の末期的破綻とネオ・スターリン主義の悪と腐敗がむきだしになっている。今こそ、われわれは、戦争と貧困と暗黒支配に覆われたこの二十一世紀世界を<反帝国主義・反スターリン主義>の世界革命戦略にもとづいて覆し、全世界プロレタリアートの階級的自己解放をめざして奮闘するのでなければならない」。反スタ運動の飛躍をかちとるために組織建設の原点を噛みしめ内部思想闘争を躍動的にくりひろげようと論文は訴える。 ▼中央労働者組織委員会は「二一春闘の戦闘的高揚を!」と訴える。コロナの第三波感染爆発と医療崩壊を招いた一切の責任をタナにあげて泥縄式に「緊急事態宣言」を発した菅政権は人民への罰則強化のみに狂奔し、休業・廃業を余儀なくされる店舗や首を切られる労働者にたいする政府としての十全な補償をまったくおこなっていない。政府には、困窮人民に直接無条件に生活補償せよ、と突きつけよう。さらに解雇・雇い止めを許さず大幅一律賃上げを獲得しよう。反戦反安保・反ファシズムの闘いをおしすすめ、これらを集約して菅政権打倒をめざしてたたかおうと論文は訴える。そしてわが同盟および革命的・戦闘的労働者は、労働者が被雇用者意識から脱却し階級意識をわがものとして共に起ちあがるように働きかけるのでなければならない。組合員たちと「格差と失業と階級対立の問題」「階級と国家と戦争の問題」「社会主義とスターリン主義の問題」などについて論議しよう、と。 革共同第三次分裂の最終決着を宣言 ▼「革共同第三次分裂の最終決着を宣言する」は、12・6革共同政治集会の特別報告である。同志・常盤哲治は、ブクロ派お飾り議長=廃人・清水丈夫を引っぱりだした「政治集会」の大破産と、おぞましい腐敗のあげくの果ての旧政治局員全員の辞任とを暴きだす。そして、「まさにわれわれは、わが党派的闘いによって、国家権力の走狗集団=ブクロ派を最後的崩壊にまで追いこんだ。われわれは、ここにブクロ=中核派の残骸を解体しつくしたのである!」と高らかに宣言する。 同志・常盤は、ブクロ派の今日の姿は、「人間変革」を放擲した政治動物の末路であると、革共同第三次分裂の意義を語り、最後に、革マル主義者として生きぬいた同志・吉川文夫の生涯を熱く語り、「彼とともにたたかおう」と訴える。 ▼<日米の対中国攻守同盟強化を阻止せよ>では、「統合実動演習キーン・ソード21」などの諸実態を分析した六論文を収録した。また労働戦線における闘いの指針として、「連合」の春闘「基本構想」批判、人事院勧告弾劾、NTTのドコモ子会社化、教育労働者への長時間労働強制反対、郵政年末始繁忙期の労働強化反対などの七論文を掲載した。 本号を闘いの武器として大いに活用しよう。 |
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