第2642号2020年10月26日)の内容

<1面>
「デジタル庁」創設――NSC
専制体制強化を打ち砕け!


日本学術会議会員の任命拒否を居直る菅政権を弾劾せよ!
<4面>
非正規労働者の低賃金を正当化する最高裁判決弾劾
利用者に負担増を強いる「介護報酬の特例措置」
<5面>
菅政権に「政労使会議」の再開を懇願する「連合」指導部
Topics 三菱自が一時金カット・退職強要
<2面>
「高レベル核廃棄物処分場の建設反対」を呼びかける情宣 10・1 札幌

馬毛島への米軍FCLP移転を阻止せよ

<3面>
アメリカの対中戦争計画に呼応する『防衛白書』
<6面>
万華鏡2020――情勢の断層を読む
◆軍事同盟≠フ証し
◆水面下≠フ戦争
◆重用される元警察官僚
◆生涯アンチ革命

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号































  

「デジタル庁」創設――NSC

専制体制強化を打ち砕け!



行政諸機構再編・人民監視網の強化に突進する菅政権

独占資本家階級の意を体した「産業のデジタル化」の促進


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日本学術会議会員の任命拒否を居直る菅政権を弾劾せよ!

 安保関連法や共謀罪法や特定秘密保護法の制定に反対を唱えてきた学者を日本学術会議の会員に任命することを拒否するという挙にでた菅は、「総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」などとこの任命拒否を正当化し居直っている。菅が何度もくりかえしているこの「総合的・俯瞰的」なる言辞は労働者・人民を愚弄し欺瞞する屁理屈いがいのなにものでもない。
 わが同盟はすべての労働者・人民に呼びかける。学術研究や言論・思想の強権的統制に血道をあげる菅政権を断じて許すな!戦争翼賛機関≠ヨと学術会議を解体的に再編することを策す菅政権の反動攻撃を断固として打ち砕く闘いに、全国から総決起せよ!
 菅は「(学術会議は)国の予算を投ずる機関として国民に理解される存在であるべきだ」などとほざいている。国家のカネを使っているのだから政府の政策に従え≠ニいう意志を公然としめしているのが菅なのだ。
 この菅の号令のもとに、行政改革担当相・河野らは学術会議を「聖域なき行政改革の対象とする」などと脅しつけ、与党・自民党は日本学術会議のあり方を検討するプロジェクトチームを発足し同会議の民間組織への改組にむけて動き始めた(十月十四日)。甘利をはじめとする自民党議員や右派評論家どもは、学術会議が「千人計画(世界の科学者を中国の研究機関に招聘する計画)に積極的に協力している」などというデマ情報をインターネットにたれ流し、同会議に所属する研究者に中国のスパイ≠ニいう烙印を押しつけることに血道をあげているのだ。
 菅政権・自民党がこうした反動攻撃に打って出ているのは、政府・防衛省がすすめようとしてきた軍学共同研究に抵抗する姿勢をしめしている学術会議をがんじがらめに統制し、もって政府の意向に沿う提言をおこなう御用機関≠ヨと再編するためである。二〇一七年に防衛省が軍事応用可能な基礎研究を助成する制度を創設したことに抗して学術会議は、「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」という従来の声明を継承することを改めて表明した。こうして全国の大学・研究機関の軍事研究への参加に釘を刺してきた学術会議。こうした学術会議の抵抗≠封じこめ、政界・官界・財界・労働界・学界・マスコミ界の<鉄の六角錐>を柱とする日本型ネオ・ファシズム支配体制を飛躍的に強化しようとしているのが菅政権なのだ。
 安倍前政権のNSC(国家安全保障会議)の中枢を担ってきた菅は、首相の座を手にしたいま、みずからの官房長官時代に副官房長官として仕えてきた杉田を留任させ強権的支配体制強化に突進している。今回の学術会議会員任命にさいして、警察庁出身であり人民監視・弾圧機関たる公安警察中枢に位置してきたこの杉田を使って、あらかじめ会員の経歴・政治的動向・思想をすべて調査させ、政府に批判的な学者を見せしめ的に排除したのだ。
 この杉田は、二〇一六年の文化功労者選考分科会の委員を任命するにさいしても、候補者リストを提示した文部科学省にたいして「政権を批判する人物を入れるな」と恫喝し排除を命じた輩だ。情報・諜報機関を統括するとともに各省庁幹部の生殺与奪の権を握る内閣人事局長の座にすわってきた杉田を手兵として、あらゆる政府・行政機関から政府に批判的な人物を排除することに狂奔しているのが首相・菅なのである。
 すべての労働者・学生・知識人・人民諸君! 強権をふるい行政機関の官僚のみならず、学界へのファシズム的統制強化を策す菅政権の策動を断じて許すな! NSC専制体制の飛躍的強化のための反動攻撃を打ち砕け! いまこそ菅日本型ネオ・ファシズム政権の反動諸攻撃を打ち砕く<反戦・反ファシズム>の闘いに起て!

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非正規雇用労働者の低賃金・劣悪待遇の正当化を許すな

 ――最高裁反動判決弾劾!

 十月十三日に最高裁判所第三小法廷は、非正規雇用労働者が一時金や退職金の不支給を「不当」と訴えた二つの訴訟について、いずれも一部の支払いを認めていた二審・高裁判決を破棄し、労働者たちの要求を全面的に棄却した。われわれは、資本家どもによる非正規雇用労働者への低賃金と劣悪な待遇の強制を正当化したこの反動判決を、満腔の怒りをもって弾劾する!
 二つの判決ともに最高裁は、正社員と非正規雇用労働者とのあいだにある待遇上の差は両者の「責任」や「配置変更の範囲」の違いからして「不合理とは評価できない」と断定し、もって非正規雇用労働者にたいする一時金と退職金の不支給を合法と認定した。
 コロナ・パンデミック恐慌下で、パート・契約社員・派遣などの非正規雇用労働者たち――その数はいまや全就業労働者の四〇%を超えるまでに増大している――は、資本家どもから真っ先に首切り・雇い止めや賃金カットを強制されて、かつてない貧窮と生活苦に直面している。こんにちこのとき下されたこの判決は、資本家どもによる非正規雇用労働者の使い捨て・低賃金強制に「最高裁」としてのお墨付きを与えるものにほかならず、生活苦に突き落とされた非正規雇用労働者に現在のままの低賃金と過酷な労働条件で我慢しろ、と宣告するものなのだ。ブルジョア階級性を剥きだしにしたこの反動判決を、われわれは絶対に許してはならない。

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菅政権に「政労使会議」の再開を懇願する「連合」指導部

国難突破≠フネオ産報運動を打ち砕け


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高レベル核廃棄物処分場の建設反対!

わが同盟が札幌集会で情宣
 10・1

寿都町・神恵内村による「文献調査応募」反対!

 
 「日本の原発・核開発反対!」をも掲げ札幌市で労働者・市民に檄(10月1日) 
 いま北海道では、政府・経済産業省、NUMO(ニューモ)が、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設に向け攻勢を強めている。このかんの用意周到かつ悪らつな利益誘導によって、全国に先駆けて、泊原発近隣の寿都(すっつ)町および神恵内(かもえない)村が最終処分場建設のための「文献調査」の「応募」に名乗りをあげているのだ。
 こうした緊迫した事態のなかで、わが同盟は、十月一日、札幌市で開催された市民団体主催の講演会に参加する労働者、学生、市民にたいして情宣をくりひろげた。
 夕刻の十八時、会場の札幌エルプラザには、札幌市内はもちろん道内各地から労働者、学生、市民が続々と結集した。
 「寿都、神恵内の『応募』に反対しましょう!」「高レベル放射性廃棄物最終処分場の建設に反対しましょう!」わが情宣隊の力強い呼びかけが会場周辺に響き渡る。「政府・通産省、NUMOによる高レベル放射性廃棄物最終処分場の建設反対!」と赤刷りされたビラが次々と手渡される。参加する中年の労働者は緊張した面立ちで手を伸ばし「頑張りましょう」と反対の意志を表明しがっちりとビラを手にした。また参加者の女性や勤め帰りの労働者もビラを見るなり「頑張ってください」とわが情宣隊にエールを送る。わが同盟は、経産省が二〇一七年に公表した「地層処分に関する『科学的特性マップ』」において寿都町、神恵内村が「適地」と「認定」されていることのインチキ性を暴露するとともに、NUMOがふりまく「地層処分は安全」なるデマゴギーを暴きだした。こうして、参加者の熱い共感をかちとったのだ。

経産省・NUMOが莫大な交付金をエサに抱き込み

 政府・経産省、NUMOは、原発から生みだされる使用済み核燃料を再処理して最終的に残る高レベル放射性廃棄物(いわゆる「核のゴミ」)の最終処分場建設がデッドロックに逢着している現状を突破するために、泊原発の近隣自治体のなかから、候補になる自治体を選定して「誘致」を強力に働きかけてきた。人口減少による税収不足に苦しむ寿都町(約二九〇〇人)、神恵内村(約八〇〇人)を標的にして、「文献調査」に応じるだけで二年間に二〇億円、という莫大な交付金を目の前にぶら下げて、町長や村長、あるいは商工会などに攻勢をかけたのだ。
 寿都町ではこのかん、政府・経産省のバックアップのもと町議会議員をはじめ町の有力者による「学習会」が積み上げられ、「応募」の下地づくりが周到に準備されてきた。町長は「反対が過半数でも応募に踏み切る」とまで言い放ち、反対派町民の「子どもたちに核のゴミのない寿都を!」と呼びかける住民投票に向けた取り組みを無視して、十月八日に「賛成と反対がエスカレートすると本当の溝になる」と言って「応募」を表明した。九日に東京に出向いて経産相・梶山に応募を伝えた。
 また、神恵内村では、経産省・資源エネルギー庁が前面に立って九月下旬に連続して住民説明会をもち、これをもって村議会多数派は「議論は尽くした」と十月八日に「臨時村議会」を開き「応募」のための「請願」を決定したのだ。
 最終処分場の候補に挙げられている寿都町や神恵内村には地下に活断層が存在する。地震があれば、この地下の処分場は破壊され、埋設される大量の高レベル放射性廃棄物は膨大な放射能を地上に拡散する。北海道はもとより北日本の大半は取り返しのつかない放射能汚染に晒されるのだ。それはかの東京電力福島第一原発事故をはるかにこえる大惨事に労働者人民を叩きこむものなのだ。
 首相・菅は十月五日の記者会見で「放射性廃棄物の最終処分は必ず実現しなければならないエネルギー政策上の重要課題だ」と力説した。なにがなんでも高レベル放射性廃棄物の最終処分場を造ると並々ならぬ決意を述べたのだ。
 政府・経産省は労働者・人民に一切の犠牲を転嫁して、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設に狂奔している。こんなことが許せるか!
 政府・経産省の高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設を許すな! 寿都町、神恵内村の「応募」を絶対に許すな! 日本の原発・核開発反対!
 共にたたかわん!

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馬毛島への米軍FCLP移転を阻止せよ!

自衛隊訓練基地の新設を許すな

 十月七日、鹿児島県種子島の西之表市長・八板は、政府・防衛省が計画している馬毛島への米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転とそのための訓練基地建設にたいして、騒音や漁業への影響をあげ「同意できない」と反対の態度表明をおこなった。これを聞いた官房長官・加藤は「(訓練は)米空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動するうえで不可欠」「できるかぎり早期に施設の整備がおこなわれるよう取り組む」(八日、記者会見)と、あくまで基地建設に突き進む意志を傲然と語った。
 すでに政府・防衛省は、約一六〇億円で馬毛島の土地の九九%を取得した。その費用捻出方法たるや、辺野古新基地や高江ヘリパッドの工事費(二〇一九年度予算)の一部を流用するという姑息な裏技≠駆使したのだ。また地元自治体当局に知らせることなく、施設設計・現地調査のためにすでに企業と契約を結んだ(一八年度予算の流用)。地元種子島で高まる反対運動を封じこめ、地元自治体当局に有無を言わせぬために、既成事実を積み重ねているのだ。こうした術策を主導してきたのが、前官房長官・現首相の菅なのである。
 防衛省は、馬毛島(面積約八平方`b)に滑走路や港・演習場を備えた新しいタイプの訓練基地を建設する計画にのっとって、今年中に島の環境影響調査に着手しようとしている。いよいよ正念場だ。われわれは、地元で粘り強くたたかう労働者・住民と連帯して、馬毛島への米軍FCLP移転・自衛隊基地建設を阻止するためにたたかうのでなければならない。

訓練場として島を丸ごと米軍に提供

 アメリカ・トランプ政権は、日本政府にたいして、現在のFCLPの実施場所である硫黄島(小笠原諸島)が米軍岩国基地から遠く・天候も不安定で・火山活動も活発であるがゆえに「不適」として、日本本土に移すことを強硬に迫っている。
 南シナ海を軍事拠点化し、さらに東シナ海から西太平洋にまで中国海軍の行動範囲を広げ制海権の奪取に突進し、さらには「台湾独立」の策動には武力行使も辞さずと公言する習近平・中国。彼らの対米挑戦に直面し焦りにかられているトランプ政権は、中国軍と対峙するために、核空母を中心とした米第七艦隊を動員して「航行の自由」作戦を強行するなど対中国の準臨戦態勢をとっている。彼らは米日共同の対中国戦争遂行体制の構築に血眼となっているのだ。
 これにこたえて日本政府・防衛省は、沖縄・辺野古新基地建設や自衛隊基地の米軍仕様≠ヨの再編工事に狂奔するとともに、沖縄と岩国の中間にある馬毛島にFCLP用基地の建設に突進しているのである。防衛省の「馬毛島における施設整備」なる計画書(以下「計画」)において、彼らは、FCLPを「年間概ね一〜二回」「一回の訓練は約一〇日間」「日中から深夜」におこない、そのつど「米軍関係者は約一ヵ月馬毛島に滞在」するとはじめて明示した。これは猛烈な爆音をともなう艦載機訓練の影響を小さくみせるゴマカシだ。訓練地が本土近くになれば米軍の訓練内容も変わる。米軍は沖縄でも本土でも地元との「確認」を踏みにじった訓練をくりかえしている。
 米軍の訓練のために、防衛省は「計画」で主滑走路(二四五〇b)と副滑走路(一八五〇b、横風用)の二本もの滑走路を敷設するだけでなく、管制塔、駐機場、格納庫、燃料施設、訓練用隊舎もつくることを具体的に明らかにした。これはまさしく、対中国の威嚇的な軍事行動をくりかえしている米軍にたいし、巨額の血税を投入して基地を造りどうぞお使いください≠ニ丸ごと差しだす暴挙なのだ。

上陸演習場・軍港も備えたマルチ訓練基地

 しかも菅政権は、馬毛島基地を日米共同(および自衛隊独自)の様ざまな軍事訓練をおこなえる基地としてつくりだそうとしている。
 防衛省は「計画」で、空港施設だけでなく、船舶係留施設、訓練場までもつくると明示した。そして「一五〇〜二〇〇名の自衛隊員」を常時配置するという。
 訓練内容も「計画」で具体的にうちだした。「連続離着陸訓練(F35、F15、F2等)」「模擬艦艇発着艦訓練(F35B)」「〔オスプレイやヘリからの〕展開訓練」「〔水陸両用車やホバークラフト型揚陸艇を使った〕水陸両用訓練」「空挺降投下訓練」などを写真つきで列挙している。
 「模擬艦艇発着艦訓練」と称する短距離離陸・垂直着陸の訓練は海自の空母型「護衛艦」に搭載されるステルス機F35Bのためだけではない。米軍佐世保基地配備の強襲揚陸艦(=軽空母)に搭載したF35Bの訓練にも使用するにちがいない。
 さらに菅政権は、日米共同の敵前上陸作戦の訓練にも使うつもりだ。「計画」では、主滑走路の南西側の一帯に「訓練施設」設置を計画し、陸自の水陸機動団や空挺部隊の訓練を「実施予定」として列挙している。このかん日本版海兵隊たる水陸機動団は米海兵隊の一翼に組みこまれるかたちで、戦闘訓練を国内や世界各地で積み重ねてきた。
 今後その内実は、米海軍・海兵隊がたてているEABO(遠征前方展開基地作戦)構想などの海域・離島での機動的な作戦計画に呼応するものにもなるにちがいない。米軍は沖縄・伊江島でEABO構想にもとづく離島分散展開・対艦攻撃の訓練を昨秋以降くりかえしている。有事の際に中国軍のミサイル攻撃を回避しつつ、中国の空母艦隊にたいして「第一列島線」の離島に分散展開して先制攻撃を加えることを狙った作戦計画をたてているのが米軍なのだ。
 こうした米軍と一体化するかたちで日本国軍を強化しようとしているのが菅政権だ。水陸機動団と一体で前線に投入される電磁波戦部隊を来春にも熊本市の陸自健軍駐屯地に創設する計画である。陸自オスプレイの佐賀空港配備も虎視眈々と狙っている。彼らは、日米両軍の様ざまな離島上陸訓練を可能にするために、馬毛島を部隊の軍事訓練場にしようとしているのである。

火薬庫を備え有事には前線出撃基地に転用

 そればかりではない。防衛省は、あらたに「島嶼部にたいする攻撃への対処」にも活用することを明らかにした。馬毛島に計画する訓練基地を、いざとなれば対中国の出撃拠点に転用♂ツ能なものにするというのだ。東シナ海を臨むこの無人島を有事の際の集積・補給拠点(=出撃基地)として機能させるために、滑走路と船の係留施設に加えて火薬庫を設置しようとしている。それは、南西諸島に構築されつつある基地網の一部として、陸・海・空いずれの部隊も使用可能な新たな軍事拠点を築く追求にほかならない。菅政権は、アメリカ権力者とともに対中国(対北朝鮮)の「敵基地」先制攻撃体制の構築を急ピッチで進めているのだ。

<反安保>の旗高く闘おう!

 この馬毛島へのFCLP移転・基地建設にたいして、地元の種子島・屋久島の住民は「騒音・事故の危険性」や「漁業の壊滅」への危機感をバネに抗議の声をあげている。
 われわれは、「反安保」を完全に放棄した日共中央を弾劾し、<日米新軍事同盟の強化反対>の旗幟を鮮明にして、馬毛島への米軍FCLP移転阻止・自衛隊基地建設反対の闘いを高揚させるのでなければならない。

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  日米安保の鎖
条約改定60年 17


アメリカの対中戦争計画に呼応する20年版『防衛白書』

 菅政権はいま、敵基地先制攻撃体制を構築することに全体重をかけて突き進んでいる。「衛星コンステレーション」=大量の小型衛星網によって中・露・北朝鮮のミサイルの軌道を把握するとともに、「敵基地」や移動式ミサイル発射装置などの攻撃目標を丸裸≠ノする。敵とみなした国家のレーダー・衛星通信網を破壊し防空システムを無力化しつつ、あらゆるミサイル発射拠点に戦闘爆撃機・各種ミサイルなどで先制攻撃をしかけ殲滅する。――こうした敵基地先制攻撃作戦を米軍と一体になって日本国軍が遂行する軍事体制を構築することをめざしているのが菅政権なのだ。
 こうした敵基地先制攻撃体制を構築せんとする日本帝国主義権力者の策動は、従来の日米共同作戦上の「役割分担」――米軍が攻撃を担い、自衛隊が「後方支援」をするというそれ――の枠≠完全にとりはらうものであって、日米新軍事同盟を文字通りの攻守同盟として新たな次元で強化することを意味する。
 現代世界は、新型コロナパンデミックおよび経済破局にのたうちまわるアメリカを一気に抜きさろうとしている中国と、これをいまのうちに叩きのめさんとあがくアメリカとが、あらゆる部面で激突している。このまっただなかにおいて、日米安保同盟の首輪をガッチリとはめられアメリカ権力者から対中・対露の「打撃部隊」の一翼を担うことを迫られている日本帝国主義権力者は、憲法第九条を完全になきものにし、米軍とともに日本国軍が敵国へ先制攻撃をしかける軍事体制を築かんとする一大反動攻撃にうってでているのである。
 菅政権は、年内に「防衛計画の大綱」および「中期防衛力整備計画」を改定し、敵基地先制攻撃体制の構築を基軸とする新たな安保=軍事政策を策定しようとしている。この安保=軍事政策の歴史的転換をはかろうとしている政府・防衛省の国際情勢認識および軍事戦略上の問題意識が如実に示されているのが二〇二〇年版『防衛白書』(七月十四日発表)である。

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