第2620号<(2020年5月25日)の内

<1面>
今こそ安倍政権打倒に起て!
 貧窮人民の切り捨てを許すな!
 緊急事態条項創設=改憲阻止!
<3面>
習近平政権のマスク外交
 新型コロナを全世界に蔓延させた世紀の犯罪の隠蔽
<2面>
コロナ禍のロシア
 プーチン支配20年
 「ロシアより愛をこめて」―「医療支援」
 ◆「医療崩壊」の隠蔽
<4面>
新型コロナ感染危機下での郵便労働者の過酷な実態
<5面>
医療現場から安倍政権に怒りの声を!
保健所労働者に犠牲転嫁する安倍政権を許すな!
Topics 「働き方改革」を語らなくなった文科省
<6面>
習近平政権「健康コード」で人民監視
労働者の立場に立ってたたかう決意
◎うた 苦闘する労働者階級と連帯
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号

















  


今こそ安倍政権打倒に起て!

貧窮人民の切り捨てを許すな!
緊急事態条項創設=改憲阻止!

 
 「困窮人民見殺しの安倍政権打倒!」
 沖縄県学連が自民党沖縄県連に怒りの拳
  (5月14日、那覇)
 
 安倍政権・自民党は、今国会で強行せんとしてきた検察庁法改定の断念に追いこまれた(五月十八日)。新型コロナウイルス感染者の治療に尽力している医療従事者への支援や人民の生活補償などはおざなりにしているこの政権が、検察幹部の任期を内閣の判断によって延長できるようにする改定案を押し通そうとしたことにたいして、安倍政権に痛めつけられてきた労働者・人民が積年の怨嗟と憤怒を堰を切ったように噴出させた(数百万を超える人民の反対表明がSNS上でなされたことに、その一端が示された)。革命的・戦闘的な労働者・学生を先頭にした労働者・人民の怒りの沸騰が、安倍政権を震えあがらせ、火事場泥棒的策動を頓挫させたのだ。
 だが安倍は、みずからが関与する数々の疑獄・買収問題での訴追を免れるために、なんとしても現検事総長を退任に追いこみ・安倍政権に忠誠を誓う東京高検検事長・黒川にすげ替えようとするにちがいない。検察庁法改定案も「継続審議」にし、秋の臨時国会で成立させることをたくらんでいるのだ。安倍政権の延命のあがきを断て!
 五月十四日に八都道府県の「緊急事態」継続と三十九県での解除を発表した首相・安倍は、この会見において、第二次補正予算を編成して雇用調整助成金の上限を引き上げるとか被雇用者へ直接助成する制度や家賃負担軽減の給付金を創設するとかと表明した。わが同盟が先頭にたってまきおこしてきた「政府はただちに直接無条件の生活補償・休業補償をせよ!」という労働者・人民の怒りの烈火にうろたえ、押っ取り刀で「雇用と暮らしを守り抜く」というポーズをおしだすことに必死になっているのだ。だが、今月の家賃が払えない、今日・明日の食べ物すら買えない、という貧窮地獄に突き落とされている労働者・人民に向かって、今後あらたな制度を創設する検討を開始します≠ネどと悠長な方針を恩着せがましく説明することじたいが、困窮する人民を足蹴にする所業いがいの何ものでもない。
 労働者・学生・人民諸君! ガタガタの安倍政権を断固として追撃し、怒りの鉄槌をくだせ! 貧窮人民を見殺しにしているこの政権に徹底的に弾劾の嵐を浴びせよ! コロナ・パンデミックを利用して「緊急事態条項」創設の必要性をがなりたてる安倍政権・自民党の憲法改悪策動を粉砕せよ! いまこそ憎き安倍ネオ・ファシスト政権を打ち倒す闘いに総決起しようではないか!

失業と困窮を人民に強制し独占体優遇に狂奔

 首相・安倍は5・14会見の質疑において、あらかじめ「回答」が記された手元の原稿を棒読みして言った――「国民の暮らしや雇用を守り抜いていくことが私の責任だ」と。補償なき「緊急事態宣言」の発令によって数多の労働者・人民に失業と困窮を強いている張本人が、どのツラさげてほざくのか。コロナ禍に直撃された資本家どもから首切り・雇い止め・一時帰休・賃下げなどの攻撃をうちおろされ生活の糧を断たれた労働者・人民が、現にいま一日でも早く生活補償を必要としていることを、「ウイルスの前に国と企業に殺される!」という怨嗟と怒りに震えていることを、何も知らず知ろうともしないお坊ちゃま宰相≠フみが、「テレワークが普及」した「コロナの時代の新たな日常のスタートを」などという寝言を吐けるのだ。
 新型コロナ感染拡大に関連して解雇や雇い止めを強制された労働者は五月十五日時点で七七八四人にのぼると厚労省は集計している。これは氷山の一角にすぎない(感染拡大がもしも六月に収束したとしても今年中に一〇〇万人もの労働者が職を追われるであろうと予測されている!)。食いぶちを失った労働者・人民の「支援が遅い! 届かない!」という批判に答えて安倍は、またもやいけしゃあしゃあとほざいた――「目詰まりを解消します」と。ふざけるな! 首相としてのみずからの責任を棚にあげて、窓口業務を担う自治体労働者や金融諸機関の労働者に罪をなすりつけようとするとは、人間のクズの極みというべきである。
 今ごろになって安倍政権は、雇用調整助成金を経営者が申請しない企業で手当なしに休業を余儀なくされている労働者に賃金の八割程度を直接給付する新たな制度を創設する、と言いだした。これから制度の検討をはじめると言うが、いったい誰が給付対象になり、いつから申請を受けつけ、いつになったら現金が手元に届くというのか? 安倍がとくとくと読みあげた「雇用と暮らしを守る強力な対策」なるものは、多くの人民が今日の食費・今月の家賃に事欠く困窮に叩きこまれている現実からあまりにもうきあがったしろものでしかないのである。
 中小・零細企業および個人事業主への支援策にしても、安倍政権はようやくにして「家賃負担を軽減する給付金」の制度を創設すると表明しはしたが、一企業・事業者に上限がわずか五〇万円を給付するというものにすぎない。これでは、とりわけ家賃が高額な都市部では「焼け石に水」にしかならない。売り上げが半減した企業が対象とされる「持続化給付金」は手続きが煩雑すぎて申請を諦める事業者が続出している。諸々の融資を受けようとしても、借入金を抱えた零細企業・事業者は窓口ではねられてしまう。すでに四月だけで宿泊業や飲食業をはじめとして全国で七四三の企業が倒産した(前年同月比一五%増)。これに加えて、倒産として集計されない自主廃業が膨大にうみだされているのだ。
 他面で安倍政権は、大企業・独占体にたいしては、すでにリーマンショック時をはるかに上回る五兆円規模の政策投資銀行による「危機対応融資」を設定してきたことに加えて、事実上の公的資金による資本注入をおこなうという支援策(「優先株」や「劣後ローン」を使ってのそれ)を、第二次補正予算案に盛りこもうとしている。大企業にはいたれりつくせりの支援を施すが、中小・零細企業はこのさい淘汰されればよい――これが安倍政権の腹であることは明らかなのだ。
 中国と韓国ではすでに製造業の生産が再開され、コロナ感染がなお収束してはいない欧米諸国の政府も「経済再開」を合唱し都市封鎖を解除しはじめている。このままでは他国に後れをとってしまうという焦りをつのらせ、「経済のV字回復」をなしとげたいという願望にとりつかれているがゆえに、五月末までに延長した「緊急事態宣言」を前倒しで解除するとともに、大企業・独占体優遇の支援策を矢継ぎ早にうちだしているのが安倍政権だ。この政権に手厚く支えられた日本独占ブルジョアジーは、「デジタル・トランスフォーメーション」の名で従来から企んできた「デジタル化」を「コロナ対策」を名分にしてこのさい一挙に推進しようとしている。この「デジタル化=自動化・効率化・省人化」の推進とは、労働者・人民にさらなる首切り・雇い止め・新規採用減を強制し、残した労働者をIT・AIの奴隷≠ノおとしめる攻撃いがいの何ものでもないのだ。〔たとえば、三井住友フィナンシャルグループが三年で六〇〇〇人削減の方針をうちだすなど、大手銀行経営陣どもはこぞって「事務作業のデジタル化」による大リストラ攻撃を開始している。〕

 医療・福祉現場への支援ネグレクトを許すな

 安倍が口先で「医療提供態勢や検査態勢の整備に国としてしっかりと責任を果たす」などと言ってのけることほど許し難いことはない。実際には各病院でのコロナ患者受け入れ態勢づくりは自力更生にまかせ、PCR検査センターの設置は医師会・地方自治体・ボランティアが動いたのであって、政府・厚労省は何もしなかったではないか。安倍は5・14会見でも医療・福祉現場への具体的な支援策を一言も語りはしなかった。ワクチンが開発され普及する前にまちがいなくやってくる新型コロナ感染拡大の第二波に備えて専用の病院を建設するとか大規模な検査体制を整えるとかの対策を講じることすらまったく考えてもいないのだ。
 「人口当たりの感染者数や死亡者数はG7のなかで圧倒的に少ない」などと安倍は誇ってみせた。感染の危険のなかで治療に粉骨砕身する医療従事者たちの尽力によってこそ日本におけるコロナ感染死者数は欧米諸国に比して少なく抑えられてきたのであって、これをあたかも自分があげた「成果」であるかのように宣伝するのは浅ましきことこのうえなし。人口当たりのPCR検査数がドイツの十四分の一でしかないにもかかわらず、日本は感染者数が少ないと自慢するにいたっては、おのれの無知と阿呆さの自己暴露でしかない。そもそも、国会で感染者数を問われるや、「こ、これ(質問通告書)に、これに、書いてないじゃないですかっ!」などとわめきちらし、自分では答えることができなかった(四月二十九日)安倍の無様な姿を見よ。この男は、感染対策を専門家会議の研究者に丸投げして、何もわからずのっかっているだけなのだ。
 いま、医療・介護従事者たちは、院内・施設内感染が続出するただなかで極限的な緊張を強いられながら奮闘している。医療機関だけで約六十件の院内感染が発生している。介護施設では、たとえばサービス付き高齢者住宅の入居者が感染しても、近隣の病院に空き病床がなく留め置かれつづけることによって施設内感染がひろがってしまう、しかも職員も感染したり退職したりして減ってしまうことによって「介護崩壊」の状態にたちいたる、というような痛恨の事例があいついでいる。政府・厚労省はこうした実態をまったく把握しておらず放置しているのだ(補正予算に計上された介護事業所「助成」経費はわずか六八億円)。
 院内感染を防ぎながら治療に手を尽くすために必要なN95マスクや防護ガウンや消毒液などがなお不足し、医療従事者たちはゴミ袋で「防護服」を・文房具のクリアファイルでフェイスガードを手作りして代用しつづけている。全国で約一二〇〇の医療機関がコロナ患者を受け入れているが、これら地域の基幹病院では軒並み月一〜三億円もの減収を余儀なくされ、その他の病院も受診患者の激減によって大幅減収を余儀なくされている。みずからも感染の危険に直面しながら医療従事者たちが人命救助に尽力しているさなかに、多くの病院が倒産の危機にさらされているのだ。
 医療・介護の現場で苦闘する医療・介護従事者への支援がまさしく一刻を争って求められている今このときに、ただ手を拱いているのが安倍政権だ。「医療現場の状況は改善傾向にある」などと脳天気にもほざき、医療機関・自治体まかせにしているだけなのだ。現場から浮きあがりきったこの政権の対応たるや、まさに万死に値するといわなければならない。

検察庁法改定案の「成立見送り」に追いこまれた安倍政権

 新型コロナウイルスの感染拡大を収束させるための対策はすべて「専門家」に下駄預けしている首相・安倍が、全体重をかけて強行せんとしたのが検察庁法の改定であった。検察官の定年を六十三歳と定めた検察庁法を、内閣が必要と認めれば検察幹部(検事総長および次長検事・検事長)の役職定年を最大三年間延長できるように改変することは、検察官の人事権=生殺与奪の権を内閣が握ることを意味する。この悪らつきわまりない安倍政権の策動にたいして、労働者・人民の反対の声が燎原の火のごとく燃えひろがり、内閣支持率も急落した。〔これを背景として元検事総長ら検察OBまでもが「検察組織を政権の意のままに動く組織に改変させようとする動き」だと断じて「阻止」を訴えるにいたった。〕
 人民の怒りの噴出に腰を抜かした安倍は、慌てて自民党幹事長・二階と鳩首会談したすえに、目もうつろな憔悴しきった面持ちで、「国民のみなさまの批判にしっかりこたえていく」などという心にもない言葉をつくろいながら今国会での法案の「成立見送り」を表明せざるをえなくなったのだ。安倍政権は、まさに墜落寸前のダッチロール状態をさらけだしている!
 安倍政権の御用聞きに徹する東京高検検事長・黒川を検事総長に就けることを法律上正当化するために、検察庁法改定を強行しようとしたのが安倍政権であった。かの森友疑獄問題をめぐって告発された元財務省理財局長・佐川ら三十八人を全員不起訴とするように、官邸の番犬≠ニして立ち回ったのが当時の法務省事務次官であった黒川だ(一八年五月)。「桜を見る会」とその「前夜祭」をめぐる安倍じしんの政治資金規正法および公職選挙法違反、自民党本部が破格の一・五億円もの選挙資金を与えた参院議員・河井案里とその夫であり安倍が任命した前法相・河井克行の買収容疑、公文書改ざんを強制されて自殺に追いこまれた近畿財務局職員の妻が真相究明を求めて告発している森友疑獄問題など。安倍じしんがかかわる疑獄・汚職問題をめぐって検察の動きを封じ・訴追を逃れるために、黒川をなんとしても検事総長に――七月に就任二年を迎える現検事総長・稲田に代えて――就けようとしているのだ。そのためにこそ安倍政権は、黒川の検事長定年の半年間延長を突如として閣議決定したのであった(一月三十一日)。検察庁法の定年規定に反するこの決定に合わせて、法律そのものを後から改変するという横車を押そうとしたのだ。
 この卑劣な法律改定の策動は当面は粉砕されたとはいえ、安倍政権は「黒川検事総長」を――検察庁法改定とは無関係とかと称して――なんとしても実現しようとするにちがいない。しかも秋の臨時国会での検察庁法改定を目論んでいる。そのためにこそ、国家公務員法改定案など十本もの法案を束ねたなかに検察庁法改定案をもぐりこませるという姑息きわまりない手口を弄した「一括法案」をあえてそのまま継続審議にしたのが政府・自民党なのだ。
 内閣人事局が官僚の人事権を掌握することによって官僚機構を意のままに操ってきた安倍ネオ・ファシスト政権が、首相・NSC専制体制をさらに打ち固めるために、検察をもみずからに従わせる制度的保障≠ニして、検察幹部の定年延長を決定する権限を内閣が掌中にする――この日本型ネオ・ファシズム支配体制を強化する極反動攻撃を断じて許してはならない。みずからの延命のために黒川を検事総長に据えようとしている安倍に弾劾の嵐を浴びせかけよ!

感染禍に乗じた改憲阻止!

 首相・安倍は、櫻井よしこら極右分子が主宰する改憲派フォーラムに寄せたビデオ・メッセージにおいて、「緊急事態において国民の命や安全を守るため」に「緊急事態条項」の新設と「自衛隊」の存在を明記する「憲法改正」が必要と主張し、これを「必ずや成し遂げるという決意」なるものを披瀝した(五月三日)。この安倍の意をくんだ自民党の改憲推進本部長・細田は「コロナ対応に私権を制限する緊急事態条項が必要」「首相の任期中の改憲を大いにめざしていく」などと叫び、野党を憲法審査会再開にひきずりこむことを画策している。
 感染拡大防止のために外出・営業を制限することと牽強付会に結びつけて「緊急事態条項」創設=改憲の必要性をがなりたてるのは、コロナ禍を利用した詭弁でしかない。首相が「緊急事態」を宣言すれば国会審議を抜きにして「法律と同等な効力を持つ政令」を制定する権限を内閣に与える、とされているのが自民党改憲案の「緊急事態条項」だ。それが「自然災害」に備えたものであるかのようにおしだされているのは目くらましにすぎない(ましてやウイルス対策など想定してもいない)。戦時に一切の権限を首相・NSCに集中し、労働者・人民の「団結権」をはじめとする階級的権利(「社会権」)およびブルジョア民主主義的諸権利(「基本的人権」)を剥奪して人民を戦争遂行に動員する国家総動員体制を構築することこそが、安倍政権の狙いなのだ。この「緊急事態条項」の新設および「自衛隊」の明記=第九条改悪こそは、日本国憲法を日本型ネオ・ファシズム統治形態にふさわしく「交戦権」と首相の「非常大権」を備えたものへ改変する、安倍政権の労働者・人民にたいする一大攻撃にほかならない。
 新型コロナ禍に乗じた安倍政権による憲法大改悪の策動を断固として粉砕せよ! 強権的=軍事的支配体制の強化を許すな!

 米・中激突下の日米新軍事同盟強化

 新型コロナ・パンデミックのただなかで、トランプのアメリカと習近平の中国との角逐が新たな次元で激烈化している。アメリカ権力者は、ウイルスの起源は中国・武漢の研究所だと断じ、情報を隠蔽し感染を拡大させたことへの制裁と称して全中国製品の関税引き上げに踏みきろうとしている。「全面断交」を口にするほどのトランプの狂乱的な中国非難にたいして、中国政府は、みずからがパンデミックを引き起こした張本人であることには頬被りして、感染の爆発的拡大を抑えられなかった米欧諸国を非難する逆襲にでている。両者は国家的威信と莫大な利権をかけてワクチン開発競争にしのぎを削ってもいる(ワクチン開発はウイルスを使った生物兵器の研究と表裏一体なのだ)。
 空母セオドア・ルーズベルト艦内の九〇〇名以上をはじめとして一万名以上のコロナ感染者を出した米軍が作戦展開に支障をきたしている。この隙を突いて、中国軍の空母「遼寧」艦隊が台湾海峡や東シナ海・西太平洋で対米挑戦的な軍事的示威行動を展開するとともに、中国政府は軍事要塞を築いた南シナ海の南沙・西沙諸島への新たな行政区設置に踏みきった。とりわけ台湾海峡において米・中両軍が互いに「中間線」を侵犯し一触即発の危機が醸成されている。
 さらに、いわゆる「マスク外交」の大々的展開をもつうじて「一帯一路」という名の中国主導の巨大経済圏の構築に突進する習近平中国にたいして、あらゆる工業製品・部品・医療物資などを中国からの輸入に頼っている現状を「国家安全保障にかかわる重大問題」とみなしたトランプ政権は、中国を排除してサプライチェーンを再構築すべきことを日・豪・韓など各国政府におしこみはじめた(四月二十九日に国務長官ポンペオが表明)。
 政治・軍事・経済の全領域でアメリカを追い落とし世界のリーダー≠フ座を奪取せんとして突進する「市場社会主義国」中国のネオ・スターリニスト官僚と、世界最大のコロナ感染国と化し国際的威信が地に墜ちた落日のアメリカ帝国主義権力者とが、まさに雌雄を決さんとする激突に突入しているのである。
 米・中角逐が激烈化するただなかでトランプ政権から日米新軍事同盟の鎖でますます締めあげられている安倍政権は、新型コロナ感染が日本で拡大しているさなかにも日米共同の対中作戦体制強化のための軍事演習(日本国軍空軍戦闘機がアメリカ本土から飛来する米軍戦略爆撃機を「護衛」する共同訓練など)を強行している。軟弱地盤の存在が明白となっているにもかかわらず米軍辺野古新基地の建設に突進し、中東派遣の交代艦船を出航させ対イランのアメリカ有志連合を補完しつづけている。米・中の軍事衝突―戦争勃発に備えてアメリカとともに戦争をやれる国家≠ノ日本を改造するためにこそ、「戦力放棄・交戦権否認」を明記した日本国憲法第九条を実質的に葬りさり・「緊急事態条項」を創設する憲法大改悪をなしとげんとしているのが安倍ネオ・ファシスト政権なのである。

安倍ネオ・ファシスト政権を労学の実力で打倒せよ!

 安倍政権の反人民性がこのうえなく露出しているこのときに、日本共産党の不破=志位指導部は「私たちは、いまの国会審議で『安倍政権打倒』とはいっていません」などということをおしだしている(五月十三日の志位会見)。「コロナ収束にむけて与党も野党も知恵をしぼり力をあわせることが重要」だ、と。何を言っているのか! 怒れる労働者・学生・人民を反安倍政権の闘いに組織化することの彼岸で、ただただコロナ対策の代案の採用を安倍政権に請願する野党共闘にいそしんでいるのが代々木官僚だ。議会政治の平面で与野党間の政治的交渉に没入することによって彼らは、困窮人民を見殺しにし独占資本を優遇する「経済対策」をとっている安倍政権が野党の要求の一部をとりこんで「世界で最も手厚いレベル」に引き上げたかのように吹聴することを、許してしまっているではないか。首切り・雇い止め・賃下げにさらされ困窮に突き落とされている労働者・人民の怒りを今こそ総結集すべきなのだ。労働組合の団結を強化して、安倍政権を弾劾し・一切の犠牲を労働者に転嫁する資本家どもの攻撃に反撃する闘いに起ちあがるべきことをこそ呼びかけるべきなのである。
 われわれは、脳死状態≠ノおちいっている安倍政権の延命に事実上手を貸している代々木官僚の議会主義的対応をのりこえ、いまこそ安倍ネオ・ファシスト政権を打倒する闘いの奔流を創造するために総力をあげてたたかうのでなければならない。労働者・学生・人民の怒りを総結集し、労働組合・学生自治団体の団結を打ち固めつつ、<補償なき「緊急事態宣言」継続反対! 政府は即時・無条件・直接の生活補償・休業補償をせよ!>を掲げてたたかおうではないか。革命的・戦闘的労働者は、既成労組指導部の統制を突き破り、職場生産点から首切り・雇い止め・賃金切り下げに反対する闘いをまきおこそう! 全学連の学生は、困窮する学生への直接支援と学費無償化を要求し、安倍政権にたいする断固たる闘いを推進しよう!
 「緊急事態条項」を創設し・「自衛隊」を明記する憲法大改悪を阻止せよ! 対中攻守同盟=日米新軍事同盟の強化反対!
 すべての労働者・学生・人民はガタガタの安倍ネオ・ファシスト政権を打倒する闘いに今こそ起ちあがれ! わが同盟は全人民の最先頭にたってたたかいぬく!
Top


  


習近平政権のマスク外交

新型コロナを全世界に蔓延させた世紀の犯罪の隠蔽


「アメリカの世紀は終わった」と叫ぶ北京官僚

 中国・習近平政権は、一五〇以上の国々にマスクなどの医療物資を供与し、十九ヵ国に医療専門家チームを派遣している(五月六日現在)。「感染症との戦いにおいて中国は大国としての責任を果たしている」などとぬけぬけと自画自賛しているのがこの政権だ。だがそもそも、武漢発新型コロナウイルスの感染地獄に中国と全世界の労働者・人民を叩きこんだ張本人が習近平ではないか。幾十万の人民を死にいたらしめた世紀の大犯罪から習近平は絶対に逃れることはできないのだ。
 ところが習近平指導部は、みずからの犯罪をおおいかくすために、アメリカが世界最悪の感染国に転落したことにほくそ笑みながら、いまや感染症と戦う世界のリーダー≠テらをおしだしているのである。「新型コロナウイルスがアメリカの世紀を終らせた」(『環球時報』三月三十一日)と北京官僚は公言している。彼らは感染爆発にあえぐアメリカを居丈高に見下し、アメリカから二十一世紀世界の覇者の座を奪取する策動にうってでているのである。WHO事務局長テドロスや医療物資を供与した諸国権力者に「習近平主席の卓越した指導のもとで中国は感染抑制で成功をおさめた。世界の模範だ」などというお世辞を語らせて、あたかも中国がアメリカに代わる世界のリーダー≠ニして各国から評価されているかのように大宣伝しているのがこの政権だ。
 この習近平政権にたいしてアメリカ・トランプ政権が「ウイルスを世界に蔓延させた責任がある」と非難を投げつけ、「ウイルスは武漢の研究所から漏れだした」と追及している。トランプ政権は感染対策を一ヵ月以上も放棄しアメリカ国内の感染爆発をみずから招いた。その責任の一切を中国に排外主義的に転嫁し、もって十一月大統領選挙にむけての敗勢を挽回するために、中国非難のオクターブを上げているのである。このトランプ政権の感染対策失敗を非難している米民主党もまた、中国にたいする非難では政府・共和党と一致している。いまやアメリカ政府・支配階級総体が、習近平・中国にたいして政治的・経済的・軍事的のあらゆる部面で反撃にうってでているのである。
 五月十八日に開会するWHO総会(テレビ会議)を焦点にして米中が激突している。トランプ政権は総会に台湾をオブザーバー参加させることを要求し、台湾の参加を認めないテドロスへの非難を強めている。そして新型コロナウイルス発生・蔓延の真相を国際的独立機関が調査するべきだと叫んでいる。この政権はWHOを「中国の操り人形」となじり拠出金を停止した(総会初日にトランプは、WHOが変わらなければ拠出金停止を恒久化し加盟も見直すと言い放った)。
 このトランプ政権にたいして中国・習近平政権は、「ウイルス発生源問題を政治問題化したりWHOを攻撃するのは感染症と人類の戦いへの妨害だ」と応酬している。彼らはアメリカが拠出金提供を保留するや、ただちにWHOに支援金五〇〇〇万ドルを提供した。
 このかん中国政府は、外相・王毅や外務省報道官などを先頭にして、トランプ政権にたいする非難のボルテージを上げている。習近平じしんが新興諸国や西欧諸国の権力者、とりわけ事実上の同盟国ロシアの大統領プーチンと電話会談をかさねている。習近平との電話会談においてプーチンは、「一部の者がウイルスの発生源問題で中国を中傷することは受けいれられない」と、この問題でトランプ政権をいち早く批判した(三月十六日)。このプーチンと習近平は、トランプ政権にたいして連携して対抗することを確認したのだ。
 彼らは「ウイルス発生源問題の政治問題化反対」と「WHOへの攻撃反対」(=事務局長テドロスへの非難反対)のふたつを一致点≠ノして新興諸国・途上諸国を連携して抱きこんでいくことを意志一致した。これにもとづいて、ロシア外相ラブロフが議長となったBRICS外相会議(四月二十八日)では、新型コロナ感染対策に完全に背を向けているボルソナロのブラジル政府もふくめて「WHOを守る」ことが確認された。
 彼らはWHO総会において、トランプ政権の要求を、抱きこんでいる新興諸国・途上諸国の数の力によってはねかえそうとしているのである。

(以下、見出し)

マスクによる口封じ=\―医療物資支援

「反米・愛国」扇動を煙幕とする人民弾圧の強化
Top
 

   

新型コロナ感染危機下での郵便労働者の過酷な実態
業務優先で労働者を見殺しにする郵政経営陣弾劾!

 いま郵便労働者は、新型コロナの感染拡大にともない、命と健康の危険に脅かされている。外出自粛の影響で、メルカリ・ネット通販など対面配達すべき郵便の利用が激増している。しかも、なんの役にもたたず首相・安倍の愚かさをさらけだしたにすぎないアベノマスク≠フ全戸配布がこれに拍車をかけている。また差し出しのために郵便局窓口に来る利用者も激増している。このようななかで郵政経営陣が、感染防止対策をまともにやらず、郵便労働者に業務を強制しているからだ。
 すべての郵政労働者のみなさん! 労働者の安全対策を投げ捨て今が儲けるチャンス≠ニばかりに業務優先を貫く郵政経営陣を弾劾せよ! 同時に、この経営陣に全面協力するJP労組本部を許すな! すべてのたたかう労働者は、いまこそ組合員を守るために、組合の団結を強化してたたかおう。そのために、東京管内を中心とする郵便職場の実態を怒りをもって明らかにする。

1 感染拡大の危機にさらされる郵便職場

 全国の郵政職場において新型コロナ感染が拡大している。三月中は五局であった感染発生局が四月に入って二十局以上と急拡大し、感染者も三十一名以上に達している(四月二十五日時点)。感染者は、集配労働者(郵便外務)や郵便局窓口労働者に多く、業務中に利用者との接触によって感染したものと思われる。
 いくつかの局で外務労働者が発熱後に出勤し、その後新型コロナ陽性と判明するという事態がうみだされている。局当局者は、口先では「発熱した場合は休め」というが、ほとんどの職場で徹底化されていない。このことによって七名以上の集団感染が発生した局さえある。
 郵便労働者は、発熱したとしても「他の労働者の負担が増え迷惑がかかるので出勤せざるをえない」という意識にかられている。経営陣が絶対的な人員不足を放置し、発熱者が出てもその穴埋めすらせず、しかもコストコントロールと称して超勤削減を労働者に強いている。このゆえに、休みたくても休めない状態においこまれているのだ。こうして、複数の感染者がうみだされ、川崎市の登戸局のように長期業務休止となり、ゆうパック一万二〇〇〇個と郵便物三四万通の滞留を発生させる事態さえうみだされている。

2 インチキ感染対策と集配職場の現実(東京管内)

 四月八日に郵政経営陣は、安倍政権の「緊急事態宣言」(四月七日)を受けて対処方針をだした。しかも、内容は「お客さまと社員の安全確保」措置(混雑を避ける程度でしかないそれ)への協力要請と、集配局(普通局)などでのゆうゆう窓口開設時間の一時間程度の短縮などであり、いわば利用者むけのそれにすぎなかった。ようやく十七日に、現場における「密閉」・「密集」・「密接」(三密)を避ける対応策なるものをうちだした。彼らの「感染対策」は、(a)出勤時間のシフトの変更、(b)大区分抜きだし(郵便内務が区分したものを班ごとに抜き出す作業)時の混雑緩和、(c)ミーティングの簡素化、(d)アルコールチェッカー使用時の感染リスク回避、(e)社員が隣り合わせの区分函(郵便物をエリアごとに区分するための棚)での作業をなくすこと、(f)道順組み立て(郵便物を配達順に並べ替える作業)ゆうメイト配置班は作業テーブル・作業場所の確保、(g)早出出勤者は遅出出勤者の大区分・道順組み立てをおこない遅出出勤者が出勤時にすぐ出発できるようにする、(h)携帯端末授受時、エレベーター内、休憩室の混雑緩和。
 おもに集配職場を対象として打ちだされたこれらの諸施策は、感染対策をとっているかのようにおしだすためのアリバイ的なものにすぎない。経営陣は、現場に一片の「指導」を出しただけで、経費や要員を確保することもなく、実施状況の点検すら放棄している。それゆえに、各郵便局当局の対応はバラバラでかつおざなりなものでしかなく、郵便労働者はいわゆる「三密」状態のまま放置されているのだ。
 @外出自粛している多くの市民が、ネット販売・メルカリ、現金書留、レターパック、ゆうパックなどを多用し、取り扱い数が年末繁忙期並みとなっている。しかもこれらの郵便物は受取人と対面授受(配達)しなければならず、集配労働者(郵便外務)は受取人との接触機会が増え、日々感染の危機にさらされている。
 会社当局は、「配達先での接触機会を減らす」と称して、受取人の希望にもとづいてドアポストへの投函や玄関先へのいわゆる「置き配」を呼びかけてはいる。しかし、利用者への周知はホームページ等に載せるだけで、実効性を高めようとはしていない。実際、ドアポストへの投函を希望する受取人は三分の一程度でしかない。外出自粛で在宅率が高くなり対面配達の機会は増加する一方で、会社当局の「密接」を減らす対策はザル抜け状態なのだ。集配労働者たちは、感染危機にさらされながらも必死で配達労働をしている。このことをまったく顧みないのが経営陣なのだ。
 A会社当局は、八時出勤の多い集配職場で、通勤時と作業場内での「密接」を避けるためと称して、勤務時間のシフト・時差出勤(一時間程度の後ろ倒し)を提示している。
 だが現場当局者は、書留などの交付・授受がいっせいにできず業務指導・管理が煩雑になることを嫌って、さらには午前配達の遅れによる苦情や超勤増加になることを懸念して初めからやる気がなく、ほとんど実行されていない。
 B大区分の抜き出し時における「密接」を避けることもまったくできていない。
 このかんの経営陣による徹底的な人員削減によって、郵便職場では極限的な要員不足にたたきこまれている。対面配達などの郵便物が激増するなかで、配達出発時間が遅れれば時間内に郵便物を配達できなくなる。それゆえに、集配労働者たちは、始業時にいっせいに抜き出しをせざるをえなくなっているのだ。この集配労働者の切羽詰まった状況を見透かして会社当局は、「少し距離を取るように」とか「ジグザグに並んで」とかと形ばかり呼びかけるだけで、実際は見て見ぬふりをしているのだ。
 Cミーティングの「密接」を避けるための時間短縮策もまったくデタラメである。会社当局は、朝の全体ミーティングでは交通安全唱和などを取りやめたり若干短縮してはいるものの、逆に午後の班長・班ミーティングを長々とやっている。しかもお互いの距離を取ることもせず、コロナ感染対策の注意喚起を促すわけでもなく、「密接」状態で業務上の報告・指示をおこなっているのである。
 D大区分・道順組み立てなどの内務作業時には社員が隣り合わせで作業することのないようにするとか、組み立てゆうメイト(非正規雇用)の作業は作業テーブル・作業場所を確保するように会社当局は指示をだしている。だが、そもそも区分函の間隔を空ける作業スペースがない。区分函をビニールカーテンで囲い込むか、出勤者を半分に減らす以外にないのであるが、このような対策をまったくとっていない。レイアウト変更や間仕切りにしろこれらは時間と労力と経費がかかるために、会社当局は無視を決めこんでいるのである。

3 濃密接触機会が増大する窓口職場

 経営陣は、東京都内の小規模局であるエリアマネジメント局(旧特定局)において、非常事態宣言後の十三日頃から、社員を二班(A・B)に分けて交互に出勤させたり、午前午後に分けて出勤させたり、社員同士の「密接」を避ける対策をとりはじめている。二十二日からは東京都下や大阪府など七都府県、二十七日からは北海道、愛知など、一部の旧特定局で窓口開設時間を十時から十五時までに短縮したりしている。だが、この営業時間短縮が逆効果となっている。郵便やATM利用の来客数が通常期の一・五倍に増え、飛沫防止ビニールカーテンが施されているとはいえ、狭い局舎内では「三密」状態となり、感染危機は増大し、労働強化となっているのだ。
 他方、単独マネジメント(集配局)の窓口労働者は、営業時間は通常通りで、旧特定局のように時間短縮や交代出勤による特別休暇はまったくなされず、年末繁忙期並みの業務を強いられている。会社当局は、集配局の窓口労働者は交替制勤務だから営業時間の短縮はしない、特別休暇は付与しないなどと居直っている。集配局の窓口は、旧特定局の時間短縮営業の影響を受けて来客数は大幅に増加している。だが、会社当局は窓口労働者から感染者が多くでているにもかかわらず、接触機会を減らすために出勤数を減らすなどの対策をまったくとらず、窓口労働者をこき使っているのである。

4 郵政労働者を見殺しにするな!

 以上見てきたように、郵便労働者の命と健康を守る感染対策を放棄して見殺しにしているのが会社経営陣なのだ。
 彼らは、「国民生活を支える社会のインフラとしての役割を果たす」などという大義名分をかかげて、業務運行を最優先にしている。経営陣はコロナ禍のなかで、かんぽ問題での信頼失墜を挽回する機会と位置づけ、また通販など大量に差し出される小型荷物を取り込み収益を拡大する絶好のチャンスととらえ、ほくそ笑んでいるにちがいない。郵便労働者にはユニバーサルサービスを担う事業としての役割をおしだし、生産性向上・収益拡大・コストコントロール(超勤削減など)に駆りたてているのだ。
 経営陣は、二〇春闘では五年連続のベースアップゼロ・一時金の据え置きを強いてきた。彼らは、新型コロナ感染危機のもとで郵便労働者に過重な労働を強いているにもかかわらず、なんの手当・一時金さえ支給することなく、事業の捨て石にしているのだ。それだけではない。労働力不足を放置し労働者が疲弊しているにもかかわらず、要員は足りている≠ニうそぶき、さらに一万人以上もの郵便労働者の削減を狙っているのだ。テレマティクスなどのICT化・合理化には莫大な資金を投入し、他方で新型コロナ感染対策の費用は徹底して抑制しているのだ。まさに労働者を見殺しにしているのが郵政経営陣にほかならない。こんなことが許されていいのか。
 JP労組本部は、社員やお客さまの安全確保を第一に会社経営陣と交渉しているという。だが、経営陣の「職場での三密リスク回避に務める」という回答を得たことをもって、感染対策の諸施策のすべてを丸呑みしたのだ。本部は、会社当局の感染対策がおざなりでまったく実行されていないことに一片の抗議すらしていない。彼らは、現場組合員が危険にさらされていることよりも、「国民生活のインフラを維持する役割を担う」ことを大前提にして、業務上の対応策の交渉に力を注いでいるのである。本部は、たたかう労働者による組合員を組織した批判の声に突き動かされて、二十七日になってようやく日本郵便会社に緊急要求を提出した。そして翌二十八日になって現場の「三密」を回避する具体的交渉に入ったのが本部なのだ。あまりにも遅いではないか。だが、それとてまともに実行されてはいない。本部も組合員を見殺しにしているのだ。
 すべての郵政労働者のみなさん! 感染危機が高まり、郵政労働者とその家族が命の危険に脅かされているときに、収益拡大に狂奔し感染防止策をおざなりにしている郵政経営陣を弾劾せよ! そして、現場労働者を業務運行に差し出す本部の対応を弾劾し、職場から郵政労働者とその家族を守る闘いを全力でつくりだそう。安倍政権の無為無策によって、多くの労働者が明日の生活さえままならない状況にたたきこまれている。安倍政権の人民切り捨てに反対する闘いを強化しよう。戦闘的・革命的労働者はその先頭に立て。ともにたたかおう。
(四月二十九日)

追記:五月十一日、日本郵便会社は、緊急事態宣言の延長を受けて、郵便業務の維持と社員の感染予防を両立するため、と称して配達社員の出勤数を一割程度減らすこと(それによる一日程度の郵便の遅れ)を発表した。だが、班ごとに配達・事故処理がすべて完了する場合にのみ、特別休暇を付与するというものであり、労働力不足のなかで人的補償はなく、実効性はまったくないものなのだ。早急に労働力を確保し労働者負担を軽減する措置をただちに実行せよ。
Top


    


医療現場から安倍政権に怒りの声を!

コロナ病棟≠フ過酷な日々

 いま、私の働いている病棟では、三週間ほど前から新型コロナウイルスに感染した「中等症」患者を受け入れている。新型コロナウイルスの感染拡大状況から、「いずれ来る」と思ってある程度覚悟はしていたものの、仕事のきつさは想像以上だ。にわか仕立てのコロナ病棟≠フなかで、不完全な防護具を身につけて、疲労困憊の毎日がつづいている。
 防護具は本当に足りない。まずN95マスク。配られた着脱方法のマニュアルは、カラー写真つきで、取り外したらすぐ廃棄することとなっている。しかし私の職場では、N95マスクを破損するまで使用するように指示された。フェイスシールドも毎回自分で消毒して再利用する。ガウンはあるが、いつまでもつのかわからない。事務室にはガウンが無くなった場合の代用品の雨合羽がつまれているらしい。
 防護具を身につけて働いていると、とにかく体力の消耗が激しい。N95マスクは息苦しいうえに、気密性の高いガウンを着ているととても暑くて、すぐに発汗してしまう。「中等症」の患者といっても、いつ急変して重症化するかわからない。症状の変化は本当に激しく、患者から目が離せない。高熱で譫妄(せんもう)状態の人もいる。全介助の必要な高齢患者も入院してきた。その人は耳も遠いので、ゴホゴホと咳をしている耳元に顔を近づけて、大きな声を出さなければならない。点滴の交換や、清拭、たんの吸引、体位変換――、普通の病棟ならあたりまえにやっているどの処置をおこなうときも、飛散するウイルスに感染するリスクが高いので、極度の緊張を強いられる。それに慎重にやらなければならないぶん、とても時間がかかる。
 動線も複雑で神経を使う。「レッドゾーン(ハイリスクゾーン)」と「グリーンゾーン(安全ゾーン)」を行き来するたびに着替えるのが大変だ。しかも防護具をマニュアルどおりに廃棄せずに使い回しているのでよけいに大変だ。本当に頭にくる! 病室の床や壁、トイレ、浴室の清掃も、業者にやってもらえないので、看護師の仕事だ。N95マスクをつけ、ガウンを着ての清掃作業は、汗びっしょりとなる重労働だ。病院当局もプラスアルファの人員はつけたが、それではとても足りない。
 高齢の患者さんの身のまわりのケアをもっとやってあげたいのに、それもできないのがつらい。感染対策のために入室時間を制限しなければならないのだ。何よりつらいのは夜勤だ。急変は夜間帯に起きることが多いから、とにかく緊張する。患者も夜間帯は特に不安が強く、ナースコールをひんぱんに鳴らす人も多い。呼ばれて病室(レッドゾーン)に出入りするたびに着替えをしなければならない。感染防御には一瞬たりとも気を抜くことができないが、十六時間(仮眠時間はほとんどとれない)の夜勤の間、ずっと集中力を持続させるのは本当に難しい。緊張しっぱなしの長時間夜勤がやっと終わると、頭痛がひどく、口もきけないほどぐったりしてしまう。

医療体制強化のサボタージュは許せない

 五月四日、首相・安倍は緊急事態宣言の延長を発表した。「医療現場の過酷な状況を改善するために」延長が必要、などと言っている。なんて白々しい! この「過酷な状況」をつくりだしているのはいったい誰だ! お前じゃないかと、はらわたが煮えくり返る。
 コロナ病棟≠ナ働く看護師や医師の最大のストレスは、感染の恐怖だ。自分が感染するのが怖い、というだけではない。自分が感染源となって、家族を感染させたり、病院内の別の医療従事者や患者に感染させて、院内感染を引き起こすのが怖いのだ。そのためにみんな神経をすり減らしている。
 私たち看護師は感染防御のためには、標準的な防護具を正しい手順で着脱して、そのつど廃棄するように教わり、訓練もされてきた。それなのに、いまは毎日毎日ウイルスに汚染された防護具を自分で消毒して使いまわすのだ。これじゃあ感染しろっていうようなもんじゃないか! 自分が感染しているかどうかわからないのも不安だ。定期的にPCR検査を受けさせてもらえるならば、それだけでも気持ちはずいぶん楽になる。しかしPCR検査を自前でできる大病院以外は、それもやってもらえない。
 日本国内で最初の感染者が確認されてから三ヵ月以上。安倍政権は感染封じ込めに失敗しただけでなく、防護具をすべての病院に十分にいきわたらせることやPCR検査体制を拡充することをサボタージュし、医療現場の過酷な状況を放置してきた。補正予算でも、「経済のV字回復」に一七兆円、医療体制強化の予算はたったの一四九〇億円。PCR検査拡充のための予算は一円も組まれていない。しかも、地域医療構想=急性期病床のダウンサイジング推進のための予算に六四四億円!「コロナ危機」に直面し、集中治療室をはじめとする急性期病床の不足がつきつけられているいまこのときに、安倍政権が「地域医療構想」をあくまでも推進しようとしていることには、本当に頭にくる。厚労相・加藤は国会答弁で「コロナは別、(地域医療構想は)予定通り進める」と言い放った。安倍政権は私たち医療労働者をこき使うだけこき使い、新型コロナウイルス感染症の蔓延が終息すれば予定通り急性期のベッドを減らして、医師も看護師もさらに減らそうとたくらんでいるのだ。本当に許せない。

職場から「反安倍政権」のうねりを!

 たたかう仲間たちの奮闘により、私が働いている病院の労働組合は、少しでもこの過酷な状況を改善させようと組合員から集めた声をまとめあげ、病院当局に要求した。十分な防護具と安全を守れる人員を確保すること、コロナ病棟≠ヨの配置にあたっては、看護師ひとりひとりの事情を丁寧に聞き、決して強制はしないことなど。また、医療労働者が感染しても「自己責任」には絶対にしないこと。これは看護師にとって一番切実な要求だ。病院当局のなかには、看護師が感染したことについて、病院の感染対策に問題はないと、あたかも感染したのは本人の責任であるかのように発表するところもある。このような発表に、多くの看護労働者が怒っている。
 そんななか、今年は新人の看護師のほとんどが労働組合に加入した。労働者を守るのは労働組合しかないという力強い切実な訴えが、新人に共感をもって受けとめられたのだと思う。
 いま病院で働く多くの医療労働者たちが安倍政権にたいする怒りをたぎらせている。日々、身を削られるようなこの過酷な現実に私たちをたたきこんでいる元凶は安倍なんだという組合の訴えが、組合員たちのなかに共感を呼びおこしている。私は、今だからこそ労働組合の団結をさらに強くし、「反安倍政権」のうねりを職場からつくりだしていきたい。
 医療現場から安倍政権にたいする怒りの声を広げるためにがんばるぞ!
Top
 

  


保健所労働者に犠牲を転嫁する安倍政権を許すな!

 四月十一日、東京都において、単身赴任中の五十歳代の男性が社員寮で死亡しているのが発見された。この男性は一週間以上前から地域の保健所の「帰国者・接触者相談センター」に複数回電話をかけ続けたがつながらず、二日前にようやくPCR検査を受けて、その結果を待つあいだに亡くなった。新型コロナウイルスによる肺炎が死因であった。この悲劇は、安倍政権による新型コロナウイルス感染症対策が徹頭徹尾デタラメであることを満天下に暴露したのだ。
 だが安倍は、PCR検査は「主治医の判断」で受けられる、問題は「人的な目詰まり」にある(五月四日の記者会見)と、保健所職員に責任をなすりつけた。ふざけるな! 若者や持病のない人でも重症化することがわかった後にも、「三七度五分以上の発熱が四日以上持続」の者などに受付対象をしぼりこんだ通達(二月十七日)を変えようともしなかったのは政府・厚生労働省だ。政府・厚労省は、あくまでもこの通達にのっとって業務をすすめることを保健所職員に指示・命令してきたではないか。
 保健所の労働者は、少ない人員で膨大な件数の電話に対応している。しかも電話は、深刻な病状の具合の悪い人やただ不安に駆りたてられてかけてくる人などさまざまな人たちからのものであり、病状や接触感染の状況をしっかり聞かなければ生死に直結する判断はできない。機械的には対応できない相談内容であるがゆえに、一件の電話に長い時間を要するのである。保健師は、職務中は住民の生死を背負っているという緊張感で電話に対応し、退勤後も「相談してきた人はどうなったろうか」とか「自分の判断は正しかったのか」とか電話が頭から離れないという。連日深夜にまでおよぶ長時間の労働と心身への大きな負担も加わり、不眠症に陥っている保健師も少なくない。
 しかも保健所職員は、「帰国者・接触者相談センター」での相談業務に対応するだけではない。「帰国者・接触者外来」への受診調整・相談、検体の搬入、感染(疑い)者の経過観察、積極的疫学調査(感染経路)、濃厚接触者の調査等々の業務を保健所職員総出でとりくんでいる。今日、保健所では保健師をはじめ職員の誰が倒れてもおかしくない極限状態が続いている。保健所機能はパンク状態に瀕しているのだ。
 にもかかわらず政府・厚労省は、具体性のない、現場からうきあがった観念的な内実の通達をたれ流すことをしかやらない。まさに昔から言われてきた「ああせい、こうせい、厚生省」の姿そのままを示しているのが政府・厚労省ではないか!「帰国者・接触者相談センターを外部委託せよ」とか、「元保健所職員の雇用」「非常勤職員の活用」をしろとか、「全庁的な対策を講じろ」とかというように。「不要不急の業務を精査して新型コロナウイルス感染症への体制をつくれ」というが、すでに乳幼児の検診をはじめとして、通常事業をすべて先延ばししているのだ。しかも、「体制をつくる」ための人員もない、予算もださない、研修もなにもやっていない。厚労省はすべてを保健所の現場に丸投げしているのだ。厚労省は通達のなかでくりかえす――「遅滞なき支援」をする、と。だが、その「支援」の内容についてはいっさい明らかにしない。あまりにも第三者然とした指示に現場労働者の怒りは渦巻いている。

「行革」で保健所半減、防疫体制縮小

 そもそも保健所は、公衆衛生行政の第一線機関として人口一〇万人に一ヵ所という国の基準のもとに、一九九三年には全国八四八ヵ所に設置されていた。しかし一九九四年以降、この保健所を政府・厚労省は、いわゆる「行政改革」の一環として、保健所法を地域保健法に改定し、この地域保健法にもとづいて、従来の保健所の機能を二つに分化した。広域・専門的かつ技術的拠点と位置づけた保健所と、保健と福祉の統合を旗印とした「住民に身近な保健・福祉サービスを一元的に実施する」市町村保健福祉センターというように。その結果、保健所はいまや四六九ヵ所にまで激減させられてきたのだ。結核をはじめとした伝染病などは「制圧した」として、保健所の一部門である感染症領域の公衆衛生部門は「無駄」と烙印し、縮小につぐ縮小を重ねて現在にいたっている。一つの保健所に配置されている保健師も衛生検査技師もぎりぎりまで人員を減らされてきた。
 いま猛威をふるう新型コロナウイルスの感染拡大に直面して、防疫体制縮小のツケ≠ェ保健所機能のパンク状態をうみだしているのである。文字通り不眠不休で業務にあたっている保健所の現場労働者に、長時間労働・労働強化を強いながら、しかも保健所機能のパンクの責任をおしつけているのだ。許せないではないか!
 保健所労働者に犠牲を転嫁するな! 反人民的施策を続ける安倍政権を弾劾してたたかおう!
Top