第2592号(2019年10月28日)の内容

<1面>
10・5沖縄
 辺野古新基地建設反対! 埋立て阻止!
 闘う労学がゲート封鎖を牽引
9・28釧路
「米海兵隊の矢臼別砲撃演習反対!」
全道の労働者・酪農民が決起
<2面>
台風19号直撃下で拱手傍観を決めこんだ安倍政権弾劾!
米軍の対中国島しょ奪取・前線基地化作戦=EABO
<3面>
トルコ・エルドアン政権のクルド人支配地域侵攻
<6面>
「泊原発3号機再稼働阻止」の怒りのデモ 10・6札幌
小松基地に演習反対の拳 10・1
<4面>
JP労組第12回全国大会
 「事業存続の危機」を呼号し経営陣に協力する本部弾劾
<5面>
Topics 「全世代型社会保障」という名の全世代負担増強策
公立・公的病院統廃合の強行を策す安倍政権・厚労省
下請け労働者を酷使するトヨタ自動車経営陣
週間日誌は2面に掲載
 「解放」最新号
























  


10・5沖縄   辺野古新基地建設反対! 埋立て阻止!

闘う労学がゲート封鎖を牽引


「辺野古を対中国の最前線核基地にしてなるものか!」800名の労働者・学生・市民が決起
(10月5日、キャンプシュワブ・ゲート前)
 十月五日、琉球大学と沖縄国際大学のたたかう学生たちは、米軍キャンプシュワブ・ゲート前において開催された「辺野古新基地建設に反対する県民大行動」(オール沖縄会議が主催)に参加し、労働者・市民の最先頭で奮闘した。
 アメリカ・トランプ政権は中距離核ミサイルを二年以内に沖縄をはじめ日本列島全域に配備することをぶちあげている。まさに、米と中・露が全面的に激突するただなかで、その最前線に位置する在沖(在日)米軍基地を、対中・対露の核戦争の拠点たらしめようとしているのがトランプ政権なのだ。この政権からの要求に応えて安倍政権は、中距離核ミサイルの配備を受け入れるはらを固めると同時に、対中国の最前線の核基地として辺野古に新たな海兵隊基地を建設しようと躍起になっている。
 断じて許してなるものか! たたかう学生たちは、結集した革命的・戦闘的労働者たちと相固く連帯し、八〇〇名の労働者・市民の最先頭で、「日米核安保粉砕!」「米―中・露の核戦力強化競争反対!」の革命的スローガンを掲げて奮闘したのだ。

琉大・沖国大生が<安保粉砕>掲げ奮闘

10・5辺野古キャンプシュワブ・ゲート前で労働者・市民と
ともにたたかう学生たち(沖縄県名護市)
 午前八時すぎ、資材搬入用ゲート前で約一〇〇名の労働者・市民が座りこむ。たたかう学生もゼッケンとハチマキで身を包み共に座りこむ。ゲートを封鎖するかたちで集会がおこなわれる。東京から参加した自治労の労働者たちは、「沖縄の人びとと連帯して新基地を阻止するためにがんばろう」と決意を表明した。座りこむ労働者・人民も拍手で応える。次々と結集する参加者でみるみるうちに歩道が埋まる。この労働者・人民の気迫におされ政府・沖縄防衛局は、この日の陸上からの資材搬入を断念せざるをえなかった。「今日も阻止したぞ!」結集した労働者・人民が凱歌をあげる。
 十時すぎ、米軍用ゲート前のテントに移動して集会は継続された。たたかう学生が「中距離核ミサイル配備阻止」「香港人民への武力弾圧許さないぞ」と書かれたプラカードを掲げて参加者を鼓舞する。平和運動センター加盟労組の労働者は、香港でゼネストをもって弾圧に抗してたたかう労働者のように沖縄でも労組の闘いを強化しようと訴えた。
 十一時、まだまだセミの声騒がしい炎天下、八〇〇名を超える参加者はテントに収まらず道の対岸にもあふれている。大集会が始まり、オール沖縄会議の代表らに続いて発言にたったヘリ基地反対協の代表は、「アメリカが核を配備するのは嘉手納基地と改修している辺野古弾薬庫だ。絶対阻止しよう」と怒りを込めて訴えた。
 日共の国会議員・赤嶺は、「今後は野党共闘にとどまらず野党連合政権をつくろう」などと発言した。議会主義的な腐敗をあらわにしたこの赤嶺の発言にたいして、すかさずたたかう学生が「安保を粉砕するぞ!」とヤジを飛ばす。
 「本部町島ぐるみ会議」の代表は、九月十七日に本部港で全港湾の労働者をはじめ一二〇名の労働者・市民が実力で米軍演習を阻止した闘いを報告した。「力をあわせれば止められる」という自信に満ちた報告に、参加した労働者・人民は割れんばかりの拍手で応え、基地建設や米軍演習を止めるぞと決意を新たにした。最後に団結ガンバローを参加者全体でおこない集会を締めくくった。
 琉大・沖国大のたたかう学生たちは、「反安保」を放棄する日共中央を弾劾しつつ、この日の闘いを<反安保>の旗幟を鮮明にしてたたかいぬいたのだ。

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9・28釧路   「米海兵隊の矢臼別砲撃演習反対!」

全道の労働者・酪農民が決起


「在沖縄米海兵隊の矢臼別移転実弾演習反対!」全道の労働者・酪農民が決起
(9月28日、釧路市)
 九月二十八日、釧路市で「在沖縄米海兵隊の矢臼別移転実弾演習反対 全道総決起集会」(主催 沖縄米軍実弾演習北海道移転反対対策本部)が開かれた。この集会に「連合北海道」と「北海道農民連盟」傘下の全道の労働者・酪農民のほか、全国の労働者が結集した。
 日米両権力者は、十月十五日から二十五日にかけて、矢臼別演習場で米海兵隊による実弾砲撃演習を実施すると発表した。大隊レベルの兵員約五〇〇名、車両約一〇〇両、一五五_りゅう弾砲十二門というように、いずれも昨年の二倍という過去最大級の規模で強行されようとしているこの演習を阻止するために、北教組、自治労、全水道、JP労組、JR北海道労組、私鉄そして情報労連などの釧路根室地区をはじめとする四八〇名の全道の労働者・酪農民が怒りに燃えて決起した。
 わが同盟の情宣隊はこの集会に先立ち、決起した労働者・酪農民に「米海兵隊の矢臼別実弾砲撃演習阻止!」と「習近平政権による香港人民に対する弾圧を許すな!」の二種類のビラをくまなく手渡し、安保粉砕、改憲阻止を力強く訴えた。日米安保の鎖で繋がれた安倍が改憲のトランペットを(トランプのペットとして)必死に吹き鳴らす*汢謔ェすりこまれたビラは参加者をおおいに鼓舞した。この漫画を見て「この安倍みろよ、おもしろーい、ユニークだなぁ」と思わず顔をほころばせる参加者、こぶしを握りしめ「頑張りましょう!」と応える労働者。われわれは、参加者の圧倒的な共感をつくりだしたのだ。

「訓練を認めるのか!」
「連合」役員にヤジ


 集会は、第一部の「連合沖縄」の大城会長の講演で始まった。彼は、「安倍が沖縄に来るたびに、沖縄県民によりそうなどというが、やっていることはまるで逆」「憲法を解体しようとしている安倍政権はいま、宮古、八重山に自衛隊基地をつくり、軍事力を高めて、中国との戦争準備を進めている。またしても沖縄人民を犠牲にしようとしているのは許せない」と訴えた。
 第二部で挨拶にたった「連合」中央の役員は、いま全国でやられている米軍移転訓練について、「沖縄の負担を軽減するために分散・実施されています」などと発言した。集会の戦闘的な雰囲気を前にして、「現状は『負担軽減』の名を借りた基地機能の拡大になっている」と言いながらも、矢臼別砲撃演習反対も、日米共同演習反対も、辺野古新基地建設反対もひとことも言わなかった。当然にも、会場から「訓練をみとめるのか!」「改憲に反対しよう!」とヤジが飛んだ。決起した労働者・酪農民は、「連合」中央の労働貴族にたいする怒りを断固としてつきつけたのだ。
 集会はその後、道東の安保法制違憲訴訟弁護団の弁護士が改憲反対を訴えた。農民連盟の代表は、日本政府がアメリカ政府と交わそうとしているFTA締結に断固反対する決意を述べた。
 最後に集会参加者は日本政府にたいする「移転をやめろ」という集会アピールを採択し、全員が「団結頑張ろう!」とたたかう決意をうち固めたのだ。

市街をデモ、轟く怒りのシュプレヒコール

9・28矢臼別実弾演習反対に北海道の労働者・酪農民が決起
(釧路市)
 集会後、参加者は釧路市街のデモにうって出た。澄みきった青空の下、釧路港を近くに見る釧路川沿いを、色とりどりの組合旗をはためかせ、参加者ひとりひとりが怒りのスローガンを書いたゼッケンを身につけ、デモ隊は進む。中心街では「米軍の矢臼別砲撃演習反対!」「夜間の訓練反対!」のシュプレヒコールが凜として轟きわたる。多くの市民が熱いまなざしをおくるなか、デモ隊は最後のコースである幣舞橋へと向かった。参加者は米軍の矢臼別演習を阻止する意志を日米両権力者どもに突きつけたのだ。
 日米両権力者は今、今年四月の「2+2」(日米安保協議委員会)の合意にのっとり、「領域横断(クロスドメイン)作戦能力の強化」をかかげて、日米共同演習の強化に突進している。
 今回の米軍実弾演習に先立ち、日米両軍は、矢臼別演習場で陸自西部方面隊と米陸軍による日米共同演習(「オリエント・シールド19」の一部)を強行した(九月十四日から十七日)。陸自の多連装ロケット砲システム(MLRS、射程数十`b)と米陸軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS、射程三〇〇`bの戦術ミサイル発射も可能)を共同で実射する訓練は史上はじめてであった(実射は霧のゆえに中止)。
 「海洋強国」を豪語し、南シナ海、インド洋、西太平洋に軍事的に進出する中国に対抗して、戦力を強化するために、日米両権力者は陸自と米海兵隊が一体となって中国艦船を攻撃する能力をうち鍛える戦闘訓練に突進しているのだ。
 さらに、来年一月にも矢臼別をはじめ道内で、米海兵隊オスプレイ部隊と陸自北部方面隊による日米共同演習「ノーザン・バイパー(北の毒蛇)」の強行を策している。
 北海道のたたかう労働者・学生は酪農民とともに、日米新軍事同盟の強化を阻止するために、いま全力で奮闘している。

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台風19号直撃下で拱手傍観を決めこんだ安倍政権弾劾!


「まずまずに収まった」とほざいた自民幹事長・二階

 十月十二日夕刻に伊豆半島に上陸し東日本を縦断した台風十九号は、労働者・人民に深刻な大惨事をもたらした。河川氾濫、堤防決壊や土砂災害によって、多くの方々が助けを求めながら無念にも車ごと住宅ごと濁流や泥流にのみこまれてしまった。犠牲者は、福島、宮城、神奈川、長野、埼玉など十二都県で死者・行方不明者を合わせ九十人余にのぼったといわれている(十月二十日現在)。いまなお被災地では、多くの労働者・人民が住宅損壊、停電、断水による生活困窮に突き落とされ、また道路の崩落や橋の流出によって孤立生活を余儀なくされている。田畑や漁港は泥や流木で埋め尽くされ多くの農漁民が廃業の危機に追いやられている。二〇一一年の<3・11>東日本大震災・東京電力福島第一原発事故によって住まいと生業を喪失しあるいは「原発難民」に追いやられてきた東北の被災人民は、再建途上にあった生活基盤を台風によって再び破壊されたのである。
 労働者・人民が救助・救援を求め避難に必死になっているそのときに、首相の安倍はいったい何をやっていたのか。台風がすでに日本列島を通過した十四日になって、官邸で開かれた非常災害対策本部の場で「被災者へのきめ細やかな支援は急務だ」などとさもさもらしく訓示を垂れた。まさに周回遅れも甚だしいではないか! 台風被害によって苛まれている労働者・人民の生命・生活など、安倍自民党政権にとっては鴻毛(こうもう)のごときものでしかないのは明らかだ。多くの労働者・人民の犠牲が報道される状況下で開かれた自民党の緊急役員会で幹事長・二階はなんとほざいたのか。――「予想に比べると、まずまずに収まった感じ」(十三日)と。この発言にその権力者的感性が露骨にしめされている。
 そもそも、安倍が非常災害対策本部を設置したのは十三日の夕方になってからである。千葉県など関東一円に甚大な被害をもたらした九月の台風十五号の上陸にさいして、非常災害対策本部も関係閣僚会議も開設しなかったことに人民からのごうごうたる怒りを叩きつけられた安倍は、これを教訓化≠オて、十一日には台風対策の関係閣僚会議を一応は開いた。こうした対応が、自己保身にもとづくアリバイづくり・やってる感≠醸しだすためのポーズでしかないことは見え見えなのだ。
 今回の台風がハリケーンスケールの「カテゴリー5」に分類されるものであることは、気象庁の発表からしても事前にわかっていたはずだ。日本上陸(十二日)の数日前には、一二〇〇人以上が犠牲となった狩野川台風(一九五八年)に匹敵する史上最強の台風が襲来する可能性が高いことがくりかえし報じられてきた。にもかかわらず、みずから災害対策の陣頭指揮をとることもなく地方自治体へのお任せ≠決めこみ、あろうことか、台風上陸の前日に前国家安全保障局長・谷内らと有楽町のフランス料理店で会食に耽っていたのが安倍ではないか。果ては、台風被害の拡大が続々と報じられるニュースなどそっちのけで、ラグビー・ワールドカップの日本チーム「勝利」にツイッター上ではしゃいでいたのがこの男だ。
 この過程で実際に安倍が心血を注いだことといえば、憲法審査会を少しでも早く始動させるために国会審議を進めることである。安倍の意を汲んだ二階は率先して地元和歌山で「憲法集会」を開催した(十八日)。
 台風が近づくなかで、「災害対策を優先すべき」という野党の要求をはねのけ、とにもかくにも予算委員会の審議をゴリ押ししたのが安倍政権なのだ。口では「防災」だの「被災者支援」だのと吹聴しながら、住居を奪われ肉親を亡くし傷ついた被災人民の苦悩などなんら顧みない安倍政権の反人民的対応を断固として弾劾せよ!

軍事費大増額の反面で防災予算・社会保障費を削減

 安倍政権が目玉政策の一つとしてかかげてきた「国土強靱化」政策なるものじたいが、何十年の年月を費やしてもいつ完成するともしれない巨大な堤防や護岸建設を進めるというものだ。安倍式「防災策」なるものは、もっぱらゼネコンなどの独占体を潤すものでしかなく、高齢者や障害者などの社会的弱者をはじめとする人民を災害から守るという視点は皆無なのである。こうした防災予算じたいもますます減額しながら、その他面では、日本の軍事強国化を成し遂げるために、F35だのイージス・アショアだのといったアメリカ製高額兵器の購入や米軍駐留経費には血税≠湯水のごとく注ぎこんでいるのが安倍政権なのだ。一九年度の軍事予算は過去最高の五兆二六〇〇億円であったのに比して、防災関係予算はその半分にも満たない一兆三五〇〇億円、前年度の補正予算を合わせても二兆四〇〇〇億円である。治山・治水など災害予防のための国土保全費は、実にピーク時(一九九八年)の三十分の一までに減額されているのだ。
 しかも、公務員削減と賃金切り下げ、行政サービスの切り捨てを政府から迫られている地方自治体は、災害対策や復興・復旧作業を進めたくてもすすめられない状況にたちいたっているのである。全国の地方公務員の数は一九九四年をピークとして五五万人も減少し約二七三万七〇〇〇人にいたっている(二〇一八年四月現在)。圧倒的な人員不足に陥っている各自治体当局は、災害時には現有職員をフルに動員し過労死ラインを超えて復旧作業に従事せざるをえなくなっている。〔福島県田村市と飯舘村では東電福島第一原発事故後の除染作業によって出た廃棄物を入れた「フレコンバッグ」が、今回の台風によって仮置き場二ヵ所から計十一袋が河川に流出したことが明らかとなっている。人員不足のゆえに「流出防止」の応急措置も間に合わなかった。〕
 「財政健全化」の名のもとに地方交付税の総額を削減することをたくらんでいる安倍政権は、職員数や人件費削減、経常費削減などの「行革努力」をおこなった自治体には交付税を重点的に配布し、「努力」が足りないとみなした自治体には減額するという措置をとっている。「聖域なき財政再建」などと称しながらも軍事費については「聖域」として大幅増額をする他方で、社会保障を切り捨てるとともに自治体当局にさらなる地方交付税削減の脅しをかけて一層の人員削減を強制しているのが安倍政権なのだ。

 台風十五号(九月)、十九号(十月)の日本列島への連続的襲来こそは、いまや地球温暖化が急速に進行していることを根本的要因として引き起こされたものであることは間違いないであろう。数十年に一度といわれる史上最強クラスの巨大台風が毎年のように頻発している。それは、赤道直下の太平洋域だけでなく日本近海の海水温の上昇によって、大量の水蒸気を含む高温の大気の発生と急激な上昇気流の発生によってもたらされているといわれている。こうして威力を増したハリケーン級の台風が、日本の上空でロシア方面からの寒気と衝突し雨量を爆発的に増加させているのだ。今回の台風によって、箱根は二日間で一〇〇〇ミリを超える豪雨におそわれた。いよいよ深刻化する地球温暖化を眼前にしても、温室効果ガスの主要排出国たる米・日・中各国の権力者どもは、なんら対策をとろうともせず自国の経済的利害をエゴイスティックに相互に貫徹することに血道をあげている。すさまじいペースですすむ地球温暖化への対策に背を向けつづける権力者どもを断じて許すな。

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トルコ・エルドアン政権によるクルド人支配地域への侵攻

激変するシリア内戦をめぐる構図


米軍撤退の直後にトルコ軍がシリア北東部への侵攻を強行

 トルコ・エルドアン政権が、シリア北東部のクルド人支配地域にたいする軍事侵攻にふみきった(十月九日)。アメリカ大統領トランプとの電話会談(十月六日)でこの作戦の実行を通告し、「トルコの軍事行動にアメリカは一切かかわらない」という言質をとりつけたトルコ大統領エルドアンは、シリア北東部に駐留していた米軍特殊部隊が撤退を開始するやいなやトルコ軍をシリア領内に突入させたのだ。クルド人武装組織YPG(人民防衛隊)に空と陸から攻撃したトルコ軍は、国境線より数十`b以内の町と村を次々に占領している。
 トルコを訪問したアメリカ副大統領ペンスらと会談したエルドアンは「五日間の戦闘停止」に合意した(十月十七日)。だがトルコ政府はハナから「これは停戦合意ではない」(外相チャブシオール)と言明している。YPGは五日以内に武器を捨て撤退せよ、さもなくば総攻撃する≠ニ宣告するものであって、侵攻したトルコ軍は、少しでも抵抗する部分にたいしては容赦なく攻撃を加えつづけているのだ。
 アメリカ大統領選向けにおのれの成果として宣伝するためにシリアからの米軍撤退を急いでいるトランプには、もはやトルコ軍のクルド人勢力支配地域への侵攻をくいとめんとする意志も力もないと見切り、これを「クルド独立」を志向する武装勢力を壊滅する絶好の機会ととらえてシリア越境攻撃にうってでたのがエルドアン政権なのだ。<9・14サウジアラビア石油施設攻撃事件>によって軍国主義帝国アメリカの力の衰退≠ェ浮き彫りにされたもとで、シリア北東部からの米軍撤退とトルコ軍の侵攻が、シリア内戦をめぐる合従連衡の構図の激変を呼びおこしているのである。
 シリア北東部への侵攻作戦をエルドアンから通告されたトランプは、この電話会談の直後にトルコ軍が侵攻してくる、ただちに撤退せよ≠ニいう命令を国境付近にいた米軍部隊に発した〔その後シリア北東部全域からの米軍撤退を命令〕。トルコ軍のクルド人支配地域への侵攻をまえにした米軍の撤退は、アメリカ権力者がシリアにおけるIS掃討戦の主力部隊≠ニして利用してきたクルド人武装勢力を見捨て・トルコ権力者に売り渡したことを意味する。来たる大統領選挙で再選をかちとるために、みずからの支持基盤を固めることを最優先にしているトランプは、もっぱら「中東から米兵をすべて撤退させる」という一六年大統領選挙における公約を守る態度を示すことに腐心したのだ。
 このトランプの「選挙ファースト」とでもいうべき対応にたいして、アメリカの与野党の政治エリートや国防総省・国務省の官僚たちが、ごうごうたる非難をトランプにあびせている――トルコの軍事侵攻にお墨付きを与え、アメリカの国際的威信を失墜させた≠ニ。みずからの足もとの共和党のなかからも非難の合唱がまきおこったことに慌てたトランプは、トルコに停戦を迫っている≠ニいうポーズをとるために、ペンスと国務長官ポンペオをトルコに急きょ派遣してエルドアンとの交渉にあたらせた。
 この米・トルコ会談における「合意」の内実たるや、トランプ政権がエルドアン政権の要求を丸呑みしたものでしかない。トルコ・シリア国境線のシリア側に幅約三二`bの「安全地帯」を設置する(全長については明記されていない)、戦闘を停止する五日間にその地域からYPGを撤収させる、「安全地帯」はトルコ軍が管理する、などのそれは、もともとエルドアン政権が軍事侵攻によって実現しようとしていた構想とほとんどかわりがないのだからである。これをもって「素晴らしい合意ができた」などと自画自賛しているのがトランプだ。そうすることによってトランプ政権は、ますますアメリカの政治的・軍事的の力の喪失を露出しているのである。

以下、見出し

 プーチンとの結託強化に走るエルドアン

中東の秩序構築≠フ主導権奪取を狙うプーチン政権

トランプの失政≠めぐり激化するアメリカの権力抗争

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「泊原発3号機再稼働阻止」の怒りのデモ 10・6札幌
    
 十月六日、「STOP再稼働! さようなら原発北海道集会」(主催「さようなら原発一〇〇〇万人アクション北海道」実行委員会)が札幌市の大通公園西八丁目広場で開催された。安倍政権と電力資本による原発再稼働を阻止するために、怒りも新たに一五〇〇名の労・学・市民が本集会に続々と結集した。たたかう学生たちは「原発・核開発反対!」をも掲げ集会・デモをつうじて奮闘したのだ。
全道から結集した労組員が各組合旗・幟を林立させ、いざ市街デモに出発だ!
(10月6日、札幌市・大通公園西8丁目広場)
「原発・核開発反対!」を掲げ学生が奮闘
(10月6日、札幌市)
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小松基地に演習反対の拳 10・1

 「日米共同訓練に反対するぞ!」――十月一日、航空自衛隊小松基地に労働者・市民・学生のシュプレヒコールがとどろいた。金沢大学のたたかう学生は労働者と連帯して学園から決起し、この日の早朝緊急集会を最後までともにたたかったのだ。
小松基地ゲート前で奮闘する労働者・学生・市民
(10月1日)
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