第2539号(2018年10月8日)の内容

<1面>
米・中激突下の戦争的危機を突き破る革命的反戦闘争を!
<4面>
JP労組本部による「生活実態調査」の欺瞞
<5面>
自治労連第40回定期大会
 「全体の奉仕者」の「役割発揮」を説教する日共系本部
<6面>
三菱電機
 裁量労働制の過酷な実態
「災害救援ありがとう」はお蔵入り――日共党員のぼやき
Topics UAゼンセン定期大会
<2面>
トリチウム汚染水の海洋放出
<3面>
9・19「改憲阻止」の声轟く
 札幌金沢佐賀
<8面>
南シナ海で対潜水艦戦訓練
モルディブ親中派政権が敗北
カツカレー食い逃げ事件
◇『新世紀』最新号(第297号)紹介
<7面>
万華鏡2018――情勢の断層を読む
 ◆「匿名のQ」
 ◆「公文書管理」の邪意
 ◆EU大分裂の予兆
 ◆「コア技術攻略」
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号  





































  


米・中激突下の戦争的危機を突き破る革命的反戦闘争を!


国連を舞台とした米―中露の熾烈な政治的応酬

 「われわれはグローバリズムのイデオロギーを拒絶し愛国主義の行動原理を尊重する」「外国の干渉を拒絶するのが、モンロー大統領以来、わが国の公式な政策だ」――九月二十五日の国連総会演説で米大統領トランプはこう言い放った。国家エゴイズムをむきだしにしたこの発言にたいして、中国・ロシア・イランのみならず仏・独・英など欧州諸国の権力者からもいっせいに非難が続出し、国連総会はトランプのアメリカが世界の孤児≠ノ転落していることをまざまざと浮きぼりにしたのであった。
 トランプは国連演説で、中国の習近平政権にたいして「すさまじい製品のダンピング、技術移転の強要、知的財産の略奪に従事している」などと非難した。年間七九〇〇億ドルにのぼるアメリカの貿易赤字の根拠が貿易相手国たる中国の「不公正取引」によってもたらされたという被害者意識を募らせているトランプは、制裁関税をふりかざし中国を主敵とした<貿易戦争>をより強力にしかける姿勢を明確にしている。
 翌日の国連安全保障理事会の会合においてトランプは、中国外相・王毅にむかって「中国は私の政権に反対し、選挙への干渉を試みている」とかみついた。十一月初旬の中間選挙をまえにして共和党支持層の固めに血眼となっているトランプを揺さぶることを狙って、選挙の行方を左右するとみられているアイオワ州などの大豆生産地を標的として報復関税をしかけてきたのが習近平政権である。この政権が中国政府系英字紙に中国が大豆輸入先を南米に切りかえている≠ネどとアメリカ国内で報じさせたこと、こうした事態に激怒したトランプは、習近平にたいして「もう友人ではなくなるかも知れない」(同二十六日の記者会見)と叫びたてているのだ。
 これにたいして習近平の中国は、「他国の内政に干渉することに世界で最も慣れている国はどこか」(九月二十七日、外務省副報道局長)などという皮肉をもってやり返しトランプの非難を真っ向からはねつけた。国連総会で演説にたった中国外相・王毅は、「国際貿易は互いの国が補足しあい利益を生みだすものだ」と語り、「自由貿易」と「多国間協調」の守護者として中国を全世界の権力者に宣伝することにこれ努めた。「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプのアメリカが国益ゴリ押し主義をむきだしにし、国際的孤立を深めていることにほくそ笑んでいるのが習近平の中国なのだ。
 トランプは総会演説で、イラン大統領ロウハニに向かって「混乱、死、破壊の種をまいている」と悪罵を投げつけ、すべての国にイランからの原油輸入を停止するという制裁措置に加わることを呼びかけた。一方的に「イラン核合意」からの離脱を宣言したトランプ政権のこの対イラン強硬策にたいしてロウハニは、「民衆の感情に訴えて人気を得る手口はナチスと同じだ」と猛然と反論した。シオニスト国家イスラエルの核保有にかんしては黙認しながら、「反イスラエル」を掲げるシーア派国家イランにたいしては「核放棄」を迫り経済的締めつけを強化するというダブル・スタンダードむきだしのトランプのアメリカ。イラン敵視・イスラエル擁護≠基調とするトランプの対中東政策の貫徹にたいして、中・露の権力者のみならず仏大統領マクロンと英首相メイもが「イラン核合意の順守」を掲げアメリカ政府にたいして公然と非難を浴びせた。
 国連総会の場においてトランプは、北朝鮮の金正恩政権が核・ミサイル発射実験の停止、発射実験施設の破壊にふみきったり、米兵の遺骨返還などを実行したりしたことに「感謝」の意を表明した。目前にひかえた米中間選挙において与党共和党の勝利≠もぎとるために、6・12米朝首脳会談によって獲得した政治的成果を最大限に誇示しているのだ。その他面でトランプは、「非核化実現まで経済制裁を継続する」と表明し、「朝鮮戦争終結宣言」を合意したければ「完全な非核化」にむけた具体的措置にただちに着手せよ≠ニ金正恩に迫っているのだ。
 北朝鮮の後盾となっている中国の王毅およびロシアの外相ラブロフは、北朝鮮にたいする「制裁緩和決議案を国連安保理に提出する」と言明しただけではない。韓国大統領・文在寅もまた、「国際社会が北朝鮮の新たな選択と努力に応える番だ」と演説した(九月二十六日)。核・ミサイル施設の一部廃棄という金正恩政権の措置にたいして、応分の見返り≠与えるべきことをトランプに要求しているのが中・露両権力者であり、朝鮮半島で戦争を起こさせない≠アとを最重要の政策にしている文在寅政権なのだ。
 習近平政権の米・韓離間政策の貫徹によって揺さぶられた文在寅政権が「行動対行動の原則」にのっとって北朝鮮への譲歩をしめし、米韓軍事同盟にきしみが露わになっている。このもとで、トランプ政権の要求に応え対中国・対北朝鮮の核軍事同盟強化に突進しているのがアメリカの「属国」日本の安倍政権である。この政権は、トランプ政権が中国への軍事的恫喝として国連総会に合わせて強行した南シナ海上空での戦略爆撃機B52の飛行(九月二十三日と二十五日)、これに直続しておこなわれたB52中心の米日共同飛行訓練(二十七日、東シナ海と日本海)に空自戦闘機十六機を参加させたのだ。
 安倍は九月二十五日の国連総会演説でも、「インド太平洋戦略」なる構想をあらためてぶちあげた。それは、「法とルールの支配」の名のもとに、南シナ海の軍事拠点構築を足がかりとして西太平洋・インド洋への進出を企む中国に対抗して、日米共同の作戦体制を飛躍的に強化することを宣言したことを意味する。
 それだけではない。安倍政権はEU諸国権力者がこぞって保護貿易主義を非難していたさなかに、トランプの自動車への関税上乗せの恫喝に屈服して事実上の自由貿易協定(FTA)いがいのなにものでもない「日米物品貿易協定」(TAG)の交渉開始を約束したのだ(二十六日の日米首脳会談)。アメリカの対日貿易赤字削減を強硬にゴリ押しするトランプ政権に応えて、安倍は、自動車のアメリカでの生産増と日本の農産品市場の開放=関税撤廃という売国的$ュ策の実施にふみきろうとしているのだ。

以下見出し

「朝鮮半島の非核化」をめぐる駆け引き

激化する米・中の核戦力増強競争

 トランプのアメリカの国際的孤立化と習近平中国の外交攻勢

 改憲阻止! 反戦・反安保・反安倍政権の闘いを!

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JP労組本部による「生活実態調査」の欺瞞

手当剥奪・人事給与制度改悪を許すな

 JP労組本部は、一九春闘にむけて組合員との「問題・課題を共有する」と称して、「組合員生活実態調査」(アンケート)を昨年より一ヵ月以上も早い七月から実施した。一八春闘において本部は、郵政経営陣による三年連続のベースアップ・ゼロ回答や「同一労働同一賃金」と称しての手当・休暇の剥奪を唯々諾々と受け入れた。この本部の裏切り妥結にたいして、革命的・戦闘的労働者の下からの闘いに支えられて組合員の怒りの声が燃え広がり、本部はあせりと危機感を募らせている。一九春闘ではこの二の舞を避けるために、本部は、先の定期全国大会(六月)で「丁寧」な「三回の往復運動」なるものを提起した。扶養手当の見直しや六十五歳定年制、人事給与制度の改変および「多様な働き方」――これらの経営陣からの提案を、本部は、一九春闘で全面的に受け入れる腹づもりなのだ。
 だからこそ本部は、組合員を欺瞞しみずからの意向を貫徹するために、「丁寧な往復運動」なるものを提起しているのであり、その一環として「生活実態調査」を位置づけているのだ。
 われわれは、手当剥奪・人事給与制度改悪を断固阻止しよう。そのためにも手当剥奪を容認しようとしている本部の「生活実態調査」の欺瞞性を徹底的に暴きだしていくのでなければならない。三十六項目におよぶ設問のうち、恣意的に設定された扶養手当制度や六十五歳定年制など新たな設問項目に絞ってその反労働者性を暴きだしていきたい。

T JP経営陣の手当削減・人事給与制度改悪の容認
 (1)扶養手当にかんして
 (2)六十五歳定年制にかんして
 (3)給与制度にかんして
 (4)「働き方改革」に関連して

U 「丁寧な往復運動」の欺瞞を暴き一九春闘の高揚を!

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「全体の奉仕者」の「役割発揮」を説教する日共系本部

自治労連第四十回定期大会

 二〇一八年八月二十六日から二十八日にかけて、大阪府堺市で自治労連第四十回定期大会が開催された。安倍政権がいよいよ憲法改悪に突進し、また地方自治のネオ・ファシズム的再編というべき大攻撃が振り下ろされているただなかにおいて本大会は開催された。だが自治労連本部は、もっぱら来たる統一地方選・参院選にむけて下部役員・組合員を駆りたてるために、さまざまな術策を弄することに終始したのだ。

以下、見出し

「自治体労働者=全体の奉仕者」を改めて強調

「三〇〇〇万人署名」を空叫び

「経済闘争と政治闘争の結合」の名による票田開拓へのひきまわし

 悲惨さを増す自治体職場

 「野党共闘」を呼号する日共副委員長・山下

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最新号紹介

新世紀
The Communist

第297号
2018年11月

改憲阻止の一大闘争を!
 米―中・露角逐の激化――
 われわれはいかに闘うべきか

 自民党総裁選挙において三選をはたした首相・安倍は、今臨時国会に自民党改憲案を提出し、来春にも改憲発議・国民投票にもちこもうとしている。本号は巻頭に「安倍政権の憲法大改悪攻撃を打ち砕く一大闘争を!」(無署名)と題するわが同盟の檄を掲載した。「日共中央の議会主義的・市民主義的な闘争歪曲を許さず、改憲阻止の一大闘争を全国各地のあらゆる戦線から創造するために決意も新たに奮闘しよう」と呼びかける。
 第九条の破棄と緊急事態条項の新設を核心とする憲法改悪は、アメリカとともに戦争をやる国≠ヨと日本国家を飛躍させるために安倍政権がしかけてきている攻撃であり、中国・ロシアを主敵とする日米核軍事同盟強化の策動と一体のものである。東アジアにおいては、「朝鮮半島の非核化」をめぐる米―朝(中)のかけひきを焦点として米―中・露の政治的・軍事的角逐が激化している。熱核戦争の危機をはらむ現代世界の特徴を東アジア情勢を中心として明らかにし、この危機をうち破る反戦闘争の創造を呼びかけているのが、第五十六回国際反戦中央集会の基調報告である「米・中激突下の戦争的危機を突き破れ」(武元巌男)だ。
 日本列島を対中国・対ロシア・対北朝鮮の最前線基地化しようとしている米・日両権力者は、沖縄辺野古新基地建設を策して十月初旬にも土砂投入を強行しようとしている。わが同盟の方針として「<全基地撤去・安保破棄>めざし闘おう」(無署名)と「辺野古土砂投入を阻止せよ」(沖縄県委員会)の二本を掲載した。また、革命的・戦闘的労・学が領導した八月の闘いの息吹を、「辺野古新基地建設阻止闘争が大高揚」(無署名)と巻頭グラビア「辺野古新基地建設阻止の雄叫び」が熱く伝える。
 ◆「トランプが仕掛けた中国主敵の<貿易戦争>」(大沼実)は、この<戦争>が「AI開発・活用など次世代の高度先端技術の覇権≠めぐる争いとしてくりひろげられて」おり、この争いは「AI兵器などの軍事技術開発競争と直結」していると鋭く暴きだし、現代世界の危機を浮き彫りにする。

朝鮮<南北分断>の悲劇
 ――その意味を問う
 われわれがいま「朝鮮戦争阻止」の革命的反戦闘争をおしすすめていく際に、「朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)とは何であったのか――帝国主義とスターリン主義に引き裂かれた朝鮮人民――」(烏丸猛史)の提起を省察する必要がある。「あらゆる意味で、われわれがそこにおいて生き・たたかっている暗黒の二十一世紀現代世界のよって来たる由縁(ゆえん)をつかみとることにつながってゆく」からである。本紙に掲載された論文に補筆・修正を加えた力作である。
 ◆「西日本豪雨―被災人民を見殺しにした安倍政権」(水上合作)と「『ソフト防災』の名による水害対策の放棄」(山河治)は、安倍政権の反人民的な「防災対策」を弾劾する。
 「中教審『教員の働き方改革』を美化する日共小官僚」(草津洋)は、文科省版「働き方改革」の攻撃がふりおろされる教育労働戦線においてもこれに棹さす日共の腐敗がいよいよ進行していることを明らかにしている。「郵政集配部門の一大合理化攻撃を打ち砕け」(高山徹)は、歴史を画する郵政経営陣の合理化攻撃の全面的分析と闘いの指針を提起している。「郵便局窓口営業部門における労働を考える」(日野春径)は、「サービス労働と商業労働との混同」に陥っていたと筆者じしんが自己を切開しつつ、これを武器にしてたたかう決意をみなぎらせている。
 「『史的唯物論入門』を学習して」(西尾初音)は、二〇〇一年の9・11事件の分析・評価をめぐる論議の過程でわれわれの内部に一部うみだされた歴史存在論主義への陥没、これをいかに克服すべきかについても、様ざまに思索している。
 発売元の「あかね図書販売」が「KK書房」に社名を変更して第一号となる今第二九七号を、十全に活用されんことを!

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9・19「改憲阻止」の声轟く
 札幌 自民党道連に抗議のデモ
 戦争法の強行成立から三年目の九月十九日、「戦争をさせない北海道委員会」主催の「総がかり行動」が全道各地で開催された。ネオ・ファシスト安倍は自民党総裁選での勝利をステップに、臨時国会での改憲発議をねらっている。この画歴史的攻撃を打ち砕く決意に燃えた革命的・戦闘的労働者の奮闘を基礎に、十九日には札幌・函館・帯広で、十七日には旭川で「改憲反対」を前面に掲げて集会やデモ行進が一斉におこなわれた。
闘う学生が集会を鼓舞
(9・19、札幌市)
 
自民党道連にむけてデモ
(9・19、札幌市)
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 金沢 戦争する国づくりに怒り
 九月十九日、石川県金沢市の四高記念公園において、「安倍改憲NO! 金沢中央集会」(主催:安倍改憲NO! 市民アクション・いしかわ)が開催された。金沢大学のたたかう学生も集会に参加し、闘いの戦闘的高揚のために奮闘した。
闘いの方向性をさししめし奮闘する金沢大の学生たち
(9月19日、金沢市)
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 佐賀 「オスプレイの配備容認弾劾!」
     労・漁・農・市民三〇〇が集会 
 九月十九日、佐賀市内で「安保法制廃止! 県知事のオスプレイ受け入れ容認撤回を求める9・19佐賀県集会」がおこなわれた(「戦争をさせない佐賀県一〇〇〇人委員会」と「くらしを守る共同行動佐賀県実行委員会」の主催)。会場の佐賀市役所前公園に登場したわが同盟情宣隊は、結集してくる労働者・漁民・市民一人ひとりに「佐賀空港へのオスプレイ配備絶対阻止!」と大書したビラを配布した。「反改憲・反戦反安保の闘いの一大高揚をかちとろう!」と熱烈に訴えた。
オスプレイ配備阻止の決意に燃える労働者・市民
(9・19、佐賀市)
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