第2521号(2018年6月4日)の内容

<1面>
労働法制大改悪を阻止せよ!
 「働き方改革」関連法案の衆院委強行採決弾劾
 5・23
 「厚生労働委員会での採決阻止!」
 闘う労学 国会前闘争に起つ
<4面>
郵政
 手当の剥奪・賃金切り下げを許すな
<5面>
トヨタ労使
 春闘を「競争力強化の協議」に純化
<6面>
安倍政権の「幼児教育無償化」の反人民性
Topics PFI法の改定を阻止せよ!
<2面>
中東に新たな戦争の火を放つトランプ政権
全学連 米・イスラエル大使館抗議 5・18
<3面>
名古屋で安倍政権打倒の声轟く 5・19
「核のゴミ」地層処分地の選定強行を企む安倍政権
<7面>
『黒田寛一の教え』に学ぶ
<8面>
万華鏡2018――情勢の断層を読む
◆最兇の死の商人
◆二階の利用法
『新世紀』最新号(第295号)紹介
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号   




































  


労働法制大改悪を阻止せよ!

「働き方改革」関連法案の衆院委強行採決弾劾!

 五月二十三日、反戦青年委員会と全学連は、「働き方改革関連法案」の衆議院厚生労働委員会での強行採決を阻止するために、参議院議員会館前で抗議行動を展開した。安倍政権への怒りに燃えて「働かせ方改悪*@案採決阻止!」の声を国会に叩きつけた。
働かせ方改悪*@案の衆院採決阻止!
闘う労学が国会に怒りの拳 (5月23日、参議院議員会館前)

 安倍政権は、五月二十五日午後の衆院厚生労働委員会において、「働き方改革」関連法案を強行採決した。「働かせ方改悪*@案反対!」「残業代なしで時間無制限の労働を労働者に強制する『高度プロフェッショナル制度』の導入反対!」の労働者・人民の声を傲然と踏みにじって、この反動法案の採決を強行したのだ。わが同盟は、安倍ネオ・ファシスト政権によるこの暴挙を満腔の怒りをもって弾劾する! 労働者階級が歴史的闘いをとおしてかちとってきた八時間労働制を破壊するこの極反動的な働かせ方改悪*@案の衆院本会議での強行採決を絶対に許すな!
 安倍政権は、「日本維新の会」などを「高プロ制」の修正協議に巻きこむという術策に走った。この「修正」=「本人の意思で離脱できる」という規定の新設なるものは、姑息な目くらましでしかない。
 「高プロ制」法案作成の前提をなす厚労省の労働時間調査のデータは、「異常値」だらけのデタラメなものであることが、審議の最中に次々に発覚した。厚労相・加藤は、「高プロ制」を導入した場合に、月二〇〇時間を超える残業を強いても「ただちに違法とは言えない」などと答弁した。安倍政権は「誰もが能力を発揮できる柔軟な労働制度」などという宣伝文句を並べたてて、残業代なし・定額働かせ放題≠ナ労働者をこき使おうとしているのだ。労働者・人民は、労働者を無権利状態に突き落とす攻撃に狂奔するこのネオ・ファシスト政権をただちに打ち倒す闘いに決起するのでなければならない。
 「連合」神津指導部は、「働き方改革」関連法案の「早期成立」を安倍政権に要請した。これこそ、反動法案成立に手を貸す大裏切り以外の何ものでもない。不破=志位の日共スターリニスト党は、八時間労働制の破壊をはじめとする政府・独占ブルジョアジーの全体重をかけた階級的攻撃にたいして、労働者階級の階級的団結を創造するのではなく、議会における「野党共闘」を尻押しする運動に闘いを歪曲している。既成労働運動指導部の裏切りと腐敗を、怒りをこめて弾劾せよ!
 すべての労働者諸君!働かせ方改悪*@案の可決・成立を阻止するために、いまこそ全力で起ちあがれ! わが同盟はその最先頭でたたかう決意である。  

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「同一労働同一賃金の実現」と称した
手当の剥奪・賃金切り下げを許すな!

JP労組定期全国大会で18春闘妥結=協約改定を不承認とせよ!
安倍式働かせ方改革≠容認する本部を弾劾せよ!

郵政労働者委員会


◆郵政経営陣によるベアゼロ、手当の剥奪・削減弾劾!
◆「財源生みだし」=生産性向上に協力し、三年連続ベアゼロを受け入れた本部弾劾!
◆郵政版リストラ・合理化を打ち砕き、大幅増員をかちとろう!
◆労使運命共同体思想に陥没するJP労組本部を弾劾し、労働組合の戦闘的強化をかちとれ!
◆安倍政権による労働諸法制の改悪反対! 憲法改悪を許すな!

 今一八春闘の妥結はなんだ! 三年連続ベースアップゼロ、一般職の住居手当廃止、寒冷地・隔遠地手当の半減、年末勤務手当の廃止など、正社員の手当剥奪・賃金切り下げ・労働条件の大改悪ではないか! いやそればかりか長門経営陣は、定期昇給、六十五歳定年制、扶養手当などの人事賃金制度や手当の大改悪・正社員のさらなる賃金切り下げを公然と宣言しているのだ。一八春闘は序章にしかすぎないのだ。こんなことが許せるか! この経営陣に呼応したJP労組本部労働貴族どもは、郵政労働者に低賃金と生活破壊を強いるにもかかわらず、「組合員の頑張りに報いる回答を引き出した」などと破廉恥にも自画自賛し居直っている。しかも「よりシンプルな給与制度の再構成……見直しが必要」などと、一九春闘での人事賃金制度の改悪への道を掃き清めているのだ。この本部を弾劾せよ!
 わが郵政労働者委員会は、本部の「会社の未来創造のための春闘」への歪曲をのりこえ一八春闘を戦闘的にたたかおうと全国の郵政労働者に呼びかけた。これにこたえてたたかう労働者たちは、職場生産点から創意的にたたかってきた。それゆえに、本部の手当剥奪・賃金切り下げ妥結に組合員の怒りのマグマが噴出しているのだ。
 だが本部は、経営陣の差し出す資料を鵜呑みにして、「これで説得しろ」とブロック別支部長会議(五月初旬)などで現場役員を恫喝している。組合員を無視し愚弄しているのだ。
 すべての郵政労働者のみなさん! 職場から妥結弾劾の声を巻き起こそう。本部の抑圧に抗して、きたる第十一回全国大会(六月十三、十四日)で妥結を断固否決せよ!

手当の剥奪・削減、賃金切り下げを許すな!

 本部は賃下げ、諸手当・休暇の剥奪・削減という人事賃金制度、労働条件大改悪の妥結をした。これは組合員の切実な要求を踏みにじって、経営陣の意向に全面的に沿ったものだ。転居をともなう配転がないことを口実に、正社員のうち低賃金の一般職のみ住居手当廃止(最高月額二万七〇〇〇円、年間三〇万円以上!)。これでは結婚して家族をもつことすらできないではないか。非正規社員にはびた一文ださないことを正当化するために一般職を犠牲にしたのだ。
 寒冷地手当の半減(年額四万五〇〇〇円〜六万五〇〇〇円削減)も同様に生活破壊ではないか。東北・北海道をはじめ寒冷地の郵政労働者は暖房費をはじめ三〇万円もの出費が嵩んでいるにもかかわらずだ。
 さらに年末年始勤務手当の年末分(十二月二十九日〜三十一日の一日四〇〇〇円)支給の廃止、隔遠地手当の半減など「底上げ」を要求した諸手当をことごとく剥奪・大幅削減したのだ。年次有給休暇も新規採用初年度二十日発給を十五日に削減するとはとんでもない話だ。
 無期転換社員(アソシエイト社員九万二〇〇〇人)にだけに夏冬休暇を一日ずつ付与するなど非正規雇用労働者間の格差を新たに生みだし、正社員との格差を固定化したのだ。正社員と同様にこき使われている非正規雇用労働者の処遇改善はほんの雀の涙程度でしかない。
 本部の「同一労働同一賃金」は、会社(資本)への貢献を基準として、労働者の分断をうけ入れ、賃金切り下げ・労働条件改悪を容認するものだ。そもそも「同一労働同一賃金」なるものは男女差や年齢などの区別をすることなく、労働市場にあらわれた「商品としての労働力」が為すであろう同一種類(職種または職務)の労働には同じ賃金を支払う、とする考えをさす。この考えは、労働力が資本のもとにある生産過程において発現した結果の側から、支払われた賃金を「労働の対価」または「労働の価値=価格」とする俗説を前提とし根拠とする誤ったイデオロギーなのだ。
 われわれ郵政労働者委員会が提起する大幅一律賃上げ獲得、非正規雇用労働者の労働条件の抜本的改善こそが、郵政労働者が真にたたかう道なのだ。

三年連続のベアゼロ妥結弾劾!

 経営陣は、内部留保金を三兆五〇〇〇億円も溜めこみ「資金はたっぷりある」と豪語する他方で、「経営の厳しさがある」などとほざき、郵政労働者にはびた一文ださないとばかりに三年連続ベアゼロを強制した。本部は、ベア六〇〇〇円、期間雇用社員の時給単価四〇円の引き上げ要求を掲げはしたものの、組合員の「ベアをかちとれ」の声を完全に足蹴にして、経営陣のゼロ回答を即受け入れた。郵政労働者にいっそうの生活苦・労働苦を強いる妥結をはかったのだ。組合員をばかにするのもいい加減にしろ!
 それでも本部は、初任給改善で「五〇〇円相当のベアを引き出した」とおしだしている。だが、これは、あまりにも低賃金で過酷な業務のゆえに離職する一般職社員を繋ぎ止めようと、経営陣がごくごく一部にちょっとだけ配分したものでしかない。一般職そのものの改善にはほど遠いのだ。
 一時金を四・三ヵ月に増額したというのも、長年我慢を強いられてきた労働者にとって、八年前に戻っただけで「成果」でもなんでもない。

本部の裏切り妥結と居直りを許すな!

 手当の剥奪・削減、賃金大幅切り下げを受け入れた本部は、組合員の下からの反発に恐怖しながらも、「財源を持ち出させた」「将来にわたって持続可能な制度に仕上げた」と大裏切りを正当化する言辞を吐き居直っている。本部は「将来の訴訟リスク」の回避をわがこととしてとらえ、経営陣に全面的に応えたのだ。
 本部の反労働者性は、それだけではない。「連合」内最大単組を自負するJP労組本部が「同一労働同一賃金の実現」と称して先陣を切って諸手当の大改悪に加担したことは、日本の労働運動への裏切りであり、大犯罪なのだ。安倍政権による働かせ方改革≠ヘ、独占資本家どもの意向を汲み、労働者を低賃金のもとでいっそう生産性向上に駆りたてるための「法整備」である。これを経営陣とタッグを組んで先取り的におこなったのがJP労組本部にほかならない。
 本部がうちだしている十一回大会方針は、「新たな運動の創造」=会社発展のための生産性(向上)を軸とする運動路線であり、会社の事業構造の改革と称する合理化に協力し、それに対応する働き方や人事賃金制度の全面的な改変を経営陣と一体となっておしすすめるものなのだ。
 彼らは、労使運命共同体思想(階級対立の否定)に陥没し、「生産性向上による処遇の改善」すなわち「労使が協力して生産性を向上して付加価値=成果を拡大し、資本家と労働者とが分け合う」という「パイの分け前」論にとりつかれているのだ。それは、資本家による賃労働者の搾取を隠蔽する虚偽のイデオロギーにほかならない。

一九春闘での人事賃金制度・労働条件全般の改悪阻止!

 さらに彼らは、「既得権の保守のみにこだわっていては前に進めない」と居直っている。なんたる言い草か。先輩の労働者たちが組合の団結を基礎にたたかいとってきた諸権利を「既得権」=悪と決めつけ、諸手当の改悪に協力することの宣言ではないか。じっさい彼らは、一九春闘で定期昇給のあり方、扶養手当や六十五歳定年制、多様な働き方、社宅入居基準の見直し、計画年休制度の見直し、などについて整理・妥結することを誓約している。六十五歳定年制(生涯賃金を増やさず六十五歳までこき使う制度づくり)や定期昇給の見直しは、年功による賃金引き上げを否定し、成果主義的な賃金制度に改変するものにほかならない。

人員不足の放置と「集配体制の見直し」策の強行を断じて許すな!

 全国で一万人超の人員不足と、ゆうパックの約三〇%増のもとで郵政労働者は限界を超える長時間労働を強制されている。
 経営陣は、要員の増配置は完全に無視して、あたかも要員問題の解決策ででもあるかのように「集配体制の見直し」という合理化・業務運行体制改編策を提示した(四月)。
 この「集配体制見直し」施策は、班に二輪、四輪を組みあわせて配備し、これを一体的に運用させ、増加するゆうパックや大型化した定形外郵便に対応すると同時に、住民の在宅率の高い夕方夜間帯に「対面配達」を移行することで配達効率を一気に高めるというものだ。このことによって、集配労働者には、中勤(日勤と夜勤の間の時間帯の勤務)・夜勤が増やされ、長時間の配達労働が強制されることになるのだ。
 経営陣は、「既存リソース(資源)を最大限活用」せよと叫びたてている。集荷の適正化と称して集荷コース三割削減を号令し、その結果生みだされる集荷担当の労働者を集配部門に配置換えしようというのだ。この施策が実施されるならば、集配労働者はさらなる過酷な労働を強制されるのは火を見るより明らかだ。
 すべてのたたかう郵政労働者は、「集配体制の見直し」と称する業務再編・合理化攻撃やゆうちょ銀行二〇〇〇人、かんぽ生命一〇〇〇人の人員削減にたいして、全面協力する本部を弾劾し、職場から反対の闘いをただちに巻き起こそう!

森友・加計疑獄のもみ消しを許すな! 改憲阻止! 安倍政権を打倒せよ!

 首相・安倍は、元首相秘書官・柳瀬の国会での参考人招致において、加計学園問題への安倍みずからの関与が明白になったにもかかわらず、「なんの問題もない」などと居直り、幕引きを図ろうとしている。安倍はNSC(国家安全保障会議)専制体制を強化し、ネオ・ファシストとしての本性を剥きだしにして、独占資本家どもの要求に応え、過労死ラインを超える一〇〇時間もの時間外労働や「高度プロフェッショナル制度」(定額働かせ放題・残業代ゼロ制度)を創設する「働き方改革関連法案」を今国会で成立させようと狂奔している。そればかりではない、憲法第九条を破壊する改憲に突進しているのだ。
 すべての郵政労働者は、首相・安倍による森友・加計疑獄のもみ消しを許すな! きたる六月十二日の米朝首脳会談への期待を煽り、権力者を尻押しする既成指導部の腐敗を暴きだし、朝鮮戦争勃発の危機を真に突破する反戦闘争を世界の労働者と連帯して創造しよう。改憲へと突き進む安倍政権の打倒へと攻めのぼれ!
 すべての郵政労働者のみなさん。ベアゼロ、手当剥奪・賃金大幅削減、労働条件の大改悪を許すな! 郵政労働者にさらなる貧窮と生活破壊をもたらす一八春闘妥結を断固否決せよ! 会社経営陣のお先棒を担ぐ本部を弾劾し、労働組合の戦闘的強化をかちとろうではないか。わが委員会はその最先頭でたたかう。ともに頑張ろう!
 五月二十日

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トヨタ
春闘を「競争力強化の協議」に純化した経営陣と労働貴族

一、金額を公表しない異例の回答

 「トヨタ春闘」の慣習の打破

 一八春闘の集中回答日であった三月十四日、トヨタ経営陣は、組合側の「一万三〇〇円(賃金改善分三〇〇〇円)、一時金六・六ヵ月」という正社員の「賃金改善要求」にたいして、「賃金改善分は前年実績を越える」とだけ明らかにし金額は公表しない異例の回答(「日本語回答」などと揶揄されている)をおこなった。しかも来年以降も「改善分の金額を公表しない」ことを合わせて表明した。これとともに、一般組合員だけでなく非正規労働者も含め、さまざまの手当などすべてを網羅した全組合員平均の「賃金改善分」が「一万一七〇〇円、率にして三・三%」であるなどと発表した。
 組合が「賃金改善分」の金額を明示する要求方式に変更した〇二年春闘以降、トヨタの会社回答の形式は「(正社員)組合員一人平均、基準内賃金で〇〇円とする」というものであった。たとえば昨一七春闘の回答は「一人平均九七〇〇円、内訳は賃金制度維持分七三〇〇円、賃金制度改善分一三〇〇円、子育て手当一一〇〇円」であった。今回、経営陣はこのような回答の形式の大転換をはかったのだ。
 さらに経営者どもは、「トヨタ、マイナスアルファからの脱却」などと称して、従来の「トヨタ春闘」の慣例を打ち破ることを画策した。回答日の数日前にトヨタ本体の回答=妥結額を系列企業の経営者および労組幹部に流し、これを受けて系列各社が賃上げを回答するという方式からの脱却をはかったのだ。「誤りの無い回答に向け、今一度悩み抜いていく」(豊田章男)などとほざきながらギリギリまで回答を引きのばし、十二日に系列大手企業のデンソー、アイシン、自動織機の経営陣に、十三日にはジェイテクトなど四社に、トヨタに先行して「賃金改善分一五〇〇円」をうちださせるという演出をほどこしたのである。
 このように例年と異なる方式で回答した理由について社長・豊田章男はつぎのように語った。「トヨタの回答を見てから自社の回答を決めるという習慣が、各社労使の競争力強化の話し合いを阻害している」と。
 これはまたなんともフザケタ言い草ではないか。トヨタ経営陣の統制のもとで、トヨタ本体の回答を上限にしてつねにこれを下回る超低額の賃上げ水準に抑えられ、トヨタとの賃金格差の拡大を押しつけられてきたのが、われわれ下請け企業の労働者なのだ。トヨタを上回る回答を出せばさらなる原価低減を迫る口実にされる、と自企業の経営者どもに言いくるめられている労組幹部の裏切りのゆえに。
 このようなことは百も承知でトヨタ経営陣は、みずからがつくってきたグループ企業間の慣習≠最後的に破壊し、トヨタグループ各社が一体となって「競争力強化に向けた労使の真剣な話し合い」をおこなうべきだとぶちあげたのだ。それは、「競争力強化」のための生産性・技術性の向上についてこられない企業は容赦なく切り捨てる、という宣言でもあるのだ。

 諸手当の新設による「賃上げ」の水増し

 「三・三%の賃金改善」がうたわれているとはいえ、それはおよそ賃上げなどといえる代物ではない。月例賃金の引き上げを徹底して抑えこみ、かわりに組合が要求すらしていない・会社のつごうにあわせた諸手当の新設や増額に賃金原資が配分されているのだ。
 「全組合員の一人平均一万一七〇〇円=三・三%の昇給」なるものの中身は、一般組合員、スキルド・パートナー(六十歳以上の再雇用者)、シニア期間従業員などの非正規を含み、諸手当などすべてを合算して水増しされたインチキな数字でしかない。しかも「賃金改善分は前年実績を越える」とされているが、その実態はまったく不明である。シニア期間従業員の賃上げ額は日給一〇〇円(一ヵ月二〇〇〇円)、咋年の日給一五〇円(一ヵ月三〇〇〇円)から切り下げられている。またパートタイマーは時給十円、スキルド・パートナーは一ヵ月一〇〇〇円と、昨年と同額のスズメの涙ほどの賃上げでしかない。
 このように月例賃金の引き上げを徹底して低く抑えつつ、これとは別にとうてい賃上げとは言えないような諸手当が新設されている。上級スキルド・パートナーを増員するための賃金原資の増額や、シニア期間従業員への「家族手当」(一般組合員と同額の子ども一人当たり二万円)の新設。また「人への投資」と称して、一定期間固定で夜勤に従事する労働者を確保するための「常夜勤手当」四万円の新設や、事技職(事務系・技術系の総合職)を対象に「新たな分野にチャレンジ」させるために「自己研鑽費用補助」なるものをあらたに導入したのである。
 右のような諸手当を新設するのは、トヨタが欲する技術性・技能をもつ労働者を確保することに迫られているからである。
 とりわけ今トヨタは、生産現場の要員不足は待ったなしの深刻な状態におかれている。期間工の募集を毎週のように新聞紙上に掲載しても、週に数十名程度しか集まらない。五年継続雇用した労働者の「無期雇用への転換義務」を回避するために六ヵ月間のクーリング期間を設けるなど、期間工を使い捨てにするトヨタの悪名は全国に知れわたっているのだからである。しかも定着率は極めて低い。それゆえに、愛知県内だけでなく全国の工場や部署の垣根を越えた応援に頼らなければ生産ラインはストップしてしまう。それほど生産要員の確保は喫緊の課題になっているのである。
 トヨタ経営陣が数字あわせまでして「賃上げ額」を「率にして三・三%」などと大々的におしだしたのは、いうまでもなく安倍政権が「三%の賃上げ実現に期待する」などと経営者諸団体に要請し、経団連が「賃上げの勢いを続けていく」と応じたことにふまえて、この要請に応えていることをアピールするためである。
 トヨタの稼ぎ頭≠ナあるアメリカ国内の新車販売が八年ぶりに減少に転じるばかりでなく、トランプ政権は鉄鋼やアルミ製品への輸入関税引き上げをはじめ保護主義色を強めた通商政策を実施した。さらに日米のFTA交渉が開始されるならば日本市場の自動車の「非関税障壁」が槍玉にあげられることは必至となる。〔五月二十三日にはトランプは、自動車・部品に二五%もの輸入関税を課すことを検討するように指示した。〕今日、日米間の自動車貿易摩擦が再燃する可能性が高まっていることのゆえに、トヨタ経営陣は安倍政権とこれまで以上に密接な関係をつくろうとしている。トランプ政権の圧力をすこしでも緩和してもらうことができるのではないか、と考えて。

二、企業生き残りへの献身を号令

 「危機感を共有せよ」と恫喝する豊田章男

 労使一体での「競争力強化」の大合唱

三、「人間力を磨く意識改革」に唱和する労働貴族を弾劾せよ

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米大使館移転・「イラン核合意」離脱強行
中東に新たな戦争の火を放つトランプ政権

パレスチナ人民の血に染まった新大使館開館式典

燃え広がる〈反米・反シオニズム〉の怒り
 大使館移転を黙認したエジプト・サウジ権力者

制裁強化を呼号し「イラン封じこめ」に狂奔するトランプ
 闘う中東人民と連帯し革命的反戦闘争に起て!

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最新号紹介
新世紀 The Communist 第295号
2018年7月

朝鮮半島情勢の新展開――
いかに読み対決すべきか

 ◆本号の巻頭には「朝鮮半島情勢の新展開とわれわれの任務」(無署名)を掲載した。史上初の米朝首脳会談を目前にひかえて、朝鮮半島情勢は平和∴齔Fに塗りつぶされつつあるかにみえる。しかも、北朝鮮・韓国・アメリカおよび中国の権力者の一連の動きのなかで、来たるべき米朝会談なるものは、「朝鮮半島の非核化」(朝)または「北朝鮮の非核化」(米)をめぐる協議にとどまらず、いまや朝鮮戦争の六十五年ぶりの歴史的決着の儀式の場となるかにみえる。だがはたしてそうか? 激変する情勢をいかに読みそれといかに対決すべきか? 本論文は、こうした問いに明快に応え、唯物論的分析をいかになすべきかを教えてくれるであろう。
 いま「朝鮮戦争の終結」なるものが権力者によって謳われているなかにあって、第二次世界大戦後にアメリカ帝国主義とスターリン主義ソ連によって南北に引き裂かれた朝鮮人民の悲劇に想いを馳せ、かの朝鮮戦争は何であったのかを問い直すのでなければならない。われわれ反スターリン主義者の矜持にかけて、今このときこそ自称「社会主義」のエセ・マルクス主義性を暴きだしていくのでなければならない。本論文はそのための思想的武器となるにちがいない。
 ◆「改憲阻止! 朝鮮核戦争阻止! 安倍政権打倒の闘いに起て」(中央学生組織委員会)は、今春・今夏の闘いの一大前進をかちとるための基本的指針が明らかにされている。「改憲阻止・日米核安保反対の一大闘争を」(無署名)、「森友・加計疑獄もみ消しを許すな」(無署名)、「米・英・仏のシリア空爆弾劾 アサド政権の人民虐殺を許すな」(無署名)、さらに「軍国主義帝国アメリカの生き残り戦略」(藤沢浩市)を掲載した。あわせて検討していただきたい。

生産性向上春闘≠ヨの歪曲を突破する闘い

 ◆本号は「一八春闘――労働貴族の大裏切り弾劾」と題した特集を企画した。朝鮮半島情勢の新展開と安倍政権の憲法改悪・労働法制改悪の総攻撃がしかけられているもとで、日本労働者階級は二〇一八春闘をたたかった。だがこの闘いは、「生産性向上」を号令する独占資本家どもに呼応する「連合」労働貴族どもによって、総体として生産性向上のための春闘≠ニいうべきものへとおし歪められた。わが革命的・戦闘的労働者は、<労使政運命共同体思想>に冒された労働貴族どもの裏切りを弾劾し、「『連合』を脱構築し戦闘的労働運動を創造せよ」と提起したたかいぬくと同時に、そのただなかで革命的ケルンを各職場に確固としてつくりだした。こうした闘いの意義を、「生産性向上春闘≠ヨの歪曲とそれを突破する闘い」(鷲尾洸平)は明らかにしている。郵政戦線からは「三年連続ベースアップ・ゼロ―JP労組本部の裏切り妥結」(赤竹真二)、「『会社の未来創造』への献身を強要」(高口春夫)、金属戦線からは「『労使一体で競争力強化を』と誓ったトヨタ労働貴族」(無署名)、「『現場力向上』を叫び春闘を歪曲する全トヨタ労連指導部」(紅善行)、「『生産性向上』運動への協力を号令するJCM労働貴族」(保志一鉄)を掲載。さらに、「NTT労組中央・企業本部の超低額妥結」(花形哲)をおさめた。「『働き方改革』の名による搾取強化の宣言」(白嶺聖)では独占資本家の攻撃の本質を暴きだしている。
 ◆「『世界同時好況』の虚妄」(幌尻岳夫)は、今年二月の世界同時株安の分析を切り口として、「世界同時好況」なるものが労働者・人民を戦争と貧困と失業と過酷な労働の奈落に突き落とすことによってもたらされたものにほかならないことを鮮明に突きだしている。今号の<シリーズ わが革命的反戦闘争の歴史>は「一九六七年 砂川基地拡張阻止闘争」(真地五朗)を収録した。

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5・18全学連
米大使館のエルサレム移転弾劾! イスラエル軍のパラスチナ人民虐殺弾劾!
 米・イスラエル大使館に抗議
 五月十八日、全学連のたたかう学生たちは、トランプ政権によるエルサレムへの在イスラエル米大使館の移転とネタニヤフ政権によるパレスチナ人民虐殺を弾劾する緊急抗議闘争に決起した。
トランプ政権の暴挙弾劾! アメリカ大使館前に決起し怒りの拳を突きつける全学連
(5月18日、東京・虎ノ門)
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5・19名古屋
「安倍政権打倒!」の声轟く
800名の労働者・学生・市民が結集 
 五月十九日、名古屋市・栄の久屋大通公園・光の広場において「安倍内閣の暴走を止めよう共同行動実行委員会」が主催する集会・デモがおこなわれ、八〇〇名の労働者・学生・市民が結集した。わが同盟の情宣隊は、集会に参加した労働者・学生・市民にたいして「憲法改悪阻止!」「労働法制の大改悪を許すな!」と大書きしたビラを配布し、檄を発した。
「安倍政権打倒!」闘う学生がのぼりで訴え
(5・19、名古屋・久屋大通公園)
名古屋大・愛知大の学生が労働者・市民とともにデモに出発
(5月19日、名古屋)
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