日米新軍事同盟強化を打ち砕け
辺野古新基地建設を阻止せよ
排外主義の濁流に抗し闘おう
辺野古海上工事の強行弾劾!
「狂犬」来日――トランプ政権に忠誠を誓った安倍政権
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「辺野古埋立工事を絶対に阻止するぞ!」
安倍政権が海上工事を強行した2月6日、沖縄の労・学・市民は朝からキャンプシュワブ工事用ゲートを封鎖、工事車両の進入を阻止した |
トランプ政権発足後はじめての閣僚の外遊として韓国につづいて日本にやって来た「マッド・ドッグ」こと米国防長官マティスを、安倍政権はトランプの名代として元首級のもてなしで迎えた(二月三、四日)。ブッシュ政権が強行したイラク侵略戦争において占領米軍にたいする抵抗闘争に起ちあがったファルージャの人民を無差別的に大量殺戮するせん滅戦を指揮した、イラクのムスリムにとって憎みてあまりある戦争犯罪人、それがこの男だ。
マティスは笑みを浮かべつつも獲物を狙う冷酷な目つきで、三拝九拝する首相・安倍と防衛相・稲田を見下ろしながら、「尖閣諸島は(アメリカの日本にたいする『防衛義務』を定めた)安保条約第五条の適用範囲だ」と恩着せがましく表明した。「(米軍駐留経費の)分担について日本は他国が見習うべきお手本だ」などともちあげさえした。対中国・対北朝鮮の攻守同盟として日米新軍事同盟を強化するために日本に軍事的役割を拡大させる見返りとして、「在日米軍駐留経費を全額払わないのなら米軍を撤退させる」とトランプが口にしてきたことを是正≠キるかのような姿勢をしめしたのだ。安全保障分野にとどまらず、日米首脳会談(二月十日予定)にやってくる安倍に「貿易不均衡」是正策などの手土産をどっさりと用意させるためにも、マティスは撒き餌を投げ与えたのである。
日米防衛相会談においてマティスは、「中国の南シナ海における挑戦的な行動」を「北朝鮮の核と弾道ミサイル開発」とともに「安全保障上の脅威」としてやり玉にあげた。中国を主敵として軍事的包囲網を形成・強化するために日本は役割を拡大せよと発破をかけたのだ。「出会う相手は誰であれ殺す準備をしていろ」を海兵隊員の心得とするマティスに見据えられ、すくみあがった稲田は、求められるがままに「日本は防衛力を質も量も強化し、役割の拡大をはかっていく」と誓約し媚態を見せた。
「米日の南シナ海への関与強化」=対中国の臨戦態勢強化、辺野古の米海兵隊新基地の早期建設、金正恩政権がアメリカ本土を直接攻撃しうるICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を予告していることを口実にしての米日韓共同のMD(ミサイル防衛)システムの強化など――これらの合意を日米両政府は誇示した〔米韓国防相会談では在韓米軍へのTHAAD(高高度地域防衛)システムの年内配備を再確認〕。とりわけ辺野古新基地建設にかんしてマティスは、「選択肢は二つ、一に辺野古、二も辺野古だ」などと居丈高にほざいた。わが革命的・戦闘的な労働者・学生を先頭にして激烈にたたかいぬかれている沖縄の阻止闘争をなんとしても踏みつぶして新基地を「一日でも早く」完成させよ、と安倍政権におしこんだのだ。「狂犬」のひと吠えにせきたてられた安倍政権は、ただちに海上工事の強行的再開に踏みきり大型コンクリートブロックの投入作業に着手した(二月六日)。強権的弾圧の刃を労・学・市民にふりおろしながらの本体工事の開始を絶対に許すな!
MDシステム強化にかんしても日米両政府は、日米共同開発を進めてきた次世代型迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの初の海上発射実験を、マティス来日に合わせてハワイ沖で強行し、「標的の迎撃に成功した」と誇ってみせた(現地時間二月三日に実施、四日に防衛装備庁が発表)。
安倍政権は、中国を主敵として(さらには対IS絶滅戦への日本の参戦をも展望して)日米グローバル侵略戦争同盟を飛躍的に強化する国家意志をトランプ政権と確認するや、即座に実行にはしっている。トランプ政権がTPPからの「永久離脱」を大統領令で決定したり「日本は為替操作をしている」と無理押し的に非難したりしていることには周章狼狽しながらも、安倍政権はあくまでもトランプ政権にすがりつく道を選び忠誠を誓ったのである。トランプ政権が布告した中東・アフリカ七ヵ国からの入国禁止・すべての国からの難民の受け入れ停止の大統領令にたいして全世界の人民のみならず各国権力者さえもが抗議の声をあげている真っ只中で、この問題についてはおくびにもだすことなく、だ。
「日本は他国の手本」とマティスが言明したことへの謝礼として、かつ日米首脳会談でつつがなく「日米同盟の深化」を謳い「ドナルド・シンゾーの個人的関係」をむすんでもらうための貢ぎ物として、安倍政権は「日米成長雇用イニシアチブ」なるものを献上しようとしている。アメリカ国内のインフラ整備に十年間で一五〇〇億ドルもの資金を日本から供給し六五万人の雇用を創出することをはじめとして「四五〇〇億ドル規模の市場を創出し七〇万人の雇用をうみだす」ことを約束しようとしているのだ。日本の労働者・人民の年金資金を対米インフラ投資に活用することすらたくらんでいる(安倍は否定してみせているが、GPIF理事長は「あり得る」と認めている)。大盤振る舞いをもってトランプのご機嫌をとると同時に、アメリカ「高速鉄道プロジェクト」でのリニア新幹線の採用をうながすという、虫のいい一石二鳥を狙っているのだ。
アジア太平洋で激突する米・日―中
トランプが脅える「プーチンゲート」
入国禁止大統領令――ムスリム排斥を煽るトランプ
ネオ・ファシズムに抗する階級的連帯を
ムスリムのみならず同盟諸国政府(日本を除く)からも、マケインら共和党主流派からさえも、入国禁止の大統領令の撤回を求める声が噴出しているにもかかわらず、これを傲然とはねのけて、トランプは「アメリカはより安全になった」などと胸を張っている。抵抗した司法省長官代理を即座にクビにし、ワシントン州連邦地裁の「差し止め」決定にたいしては即時抗告し、国務省職員にたいしては「命令に従うか、さもなくば辞めよ」と恫喝している。アメリカの労働者・人民の相当数がトランプの移民・難民入国制限措置を「支持」している(ロイターの世論調査では四九%、CNNで四七%)ことを背景にして。貧窮と失職に怒れる白人労働者たちの少なからぬ部分が、痛苦にも排外主義を煽動するネオ・ファシスト政権を支える基盤と化してしまっているといわなければならない。全米で約一二五〇万人の労組員を擁するAFL‐CIO(アメリカ労働総同盟産別会議)の既成指導部が「アメリカ人第一の雇用」「製造業の雇用拡大」というトランプの甘言にからめとられ、「マニファクチュア・ジョブス・イニシアチブ(製造業雇用促進会)」なる政・使・労の会議のメンバーとしてGEやUSスチールなどの大独占資本家どもと肩を並べて欣喜雀躍しているという腐敗を露わにしていることのゆえに、だ。
「移民の国」を表看板としてきたアメリカは、トランプが発した中東・アフリカ七ヵ国出身者と難民の入国禁止およびメキシコ国境への壁建設を命じた大統領令を号砲として、いまや見る影も無く引き裂かれ真っ二つに分断されている。全世界を覆いつくそうとしている宗教的・民族的な排外主義の津波の震源になってさえいる。トランプが煽りたてている反イスラム・反移民の排外主義がこれほどまでにやすやすとアメリカ社会に浸透してしまっているという現実――これこそは、アメリカ製造業独占体のグローバル競争における敗退と工場の海外移転=「産業空洞化」を物質的基礎として失業・貧窮に突き落とされた白人労働者(中間層)の鬱積した不満・反発が、「不法移民」の労働者にたいする排外主義的な怒りと人種的・民族的・宗教的な差別意識の増幅へと、大富豪の詐欺師によって誘導された結果なのだ。こうした排外主義の拡がりの根底は、資本主義的階級分裂に決定されたところの極度の所得格差と労働者階級内の階層分化も著しい階級社会の矛盾なのである。トランプ政権は、アメリカ社会の階級的矛盾を「自由・人権・民主主義」の金看板でおしかくそうとすらせず、怒れる白人労働者を、外敵≠ニして描きだした移民・難民・ムスリムにぶつけて排外主義的に統合してゆこうとしているのだ。
アメリカ資本主義の最末期を象徴しているともいえるこのネオ・ファシズムの濁流を打ち破るために、アメリカ労働者の内部に階級的連帯を覚醒させるとともに国際的な労働者階級の団結を創造するのでなければならない。スターリン主義ソ連邦の自己崩壊によって全世界を覆いつくした階級的観点の喪失にもとづく脱イデオロギー化状況を根底から覆し、衰滅せるプロレタリア階級闘争の全世界的蘇生をかちとるのでなければならない。
さし迫る中東大戦乱の危機
国家エゴイズムの相互衝突を階級的団結で突破せよ!
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