第2448号(2016年12月12日)の内容

<1面>
ネオファシズムの嵐を突き破れ
 日米新軍事同盟の構築強化と憲法改悪の総攻撃を粉砕せよ
<2面>
朴政権打倒をめざす韓国人民と連帯し闘おう
<4面>
高齢者・病弱者に犠牲強いる「地域医療構想」
<5面>
北京官僚の民族政策
 ――その歴史的犯罪
<3面>
改憲阻止! 南スーダン派兵反対!
 首都圏の学生が渋谷デモ 11・26
学園だより 国学院大 若木祭 11・3〜5
憲法審査会参加に踏みきった日共中央を弾劾せよ
<6面>
全教組合員が改憲阻止の声 11・5 日比谷
「技能実習制度は国際貢献」と居直る安倍政権を許すな
Topics 安倍式「教育再生」の濁流にのみこまれる日共御用学者
<7面>
宮崎県立病院で「違法当直」
走狗残党・中野一派の「11月集会」の惨状
<8面>
万華鏡2016――情勢の断層を読む
 ◆ハイル・トランプ
 ◆人生いろいろ
 ◆改憲への糸口
 ◆「賊軍合祀」
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号  





































  


ネオファシズムの嵐を突き破れ

日米新軍事同盟の構築強化と憲法改悪の総攻撃を粉砕せよ

憲法改悪阻止! 南スーダン派兵を許すな!
闘う学生のシュプレヒコールが渋谷に轟く
(11月26日、東京・渋谷)

 次期米大統領トランプが「アメリカ・ファースト」を呼号しつつ、「TPP離脱」をはじめとした国家エゴイズムと民族排外主義をむきだしにする政策実施「百日計画」を発表した。新政権の担い手には、「狂犬」の異名をもつ元米軍司令官マティスを次期国防長官に指名するなど、名うてのネオ・ファシストどもを次々と任命している。この新政権の二〇一七年一月発足をまえに、アメリカを震源地とする政治的地殻変動の波が全世界を駆けめぐっている。
 「移民排斥・反グローバリズム」を掲げる極右諸政党が跳梁跋扈するヨーロッパでは、ネオ・ファシストどもが権力奪取に突進している。オーストリア自由党ホーファーは大統領選で敗れたが、フランス国民戦線のルペンをはじめ、彼らはEU主要国で第二、第三のトランプ≠めざしている。
 排外主義的ナショナリズムの気運がますます高まるアメリカとヨーロッパをまえにして、ロシアのプーチン政権がNATO軍の対ロシア増配備にたいする巻き返しにうってでている。同時に彼らは、シリアのアレッポへの大空爆に狂奔している。トランプが新政権の政策の筆頭に「TPPからの離脱」を挙げたことにつけこんで、中国の習近平政権が「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」づくりの主導権をがっちりと掌握した。南シナ海島しょでの一大軍事基地建設も着々と進めている。これを拠点として南シナ海の制海権を確保するのみならず「太平洋の半分」をアメリカと分有する「世界の超大国」にのしあがるという野望を彼らはますます膨らませている。
 核超大国のアメリカを先頭にして、全世界が国家エゴイズムをむきだしにして衝突する危機の時代が到来し世界大的大戦勃発の危機さえもが高まっているといわなければならない。この激動のただなかで、日本をアメリカとともに侵略戦争をなしうる<軍事強国>へ飛躍させようと、ますます血眼になっているのが安倍政権だ。彼らはその決定的な第一歩として、南スーダンPKO第十一次派遣部隊に「新任務」を付与して派兵した。
 日米グローバル戦争同盟の構築・強化と憲法の明文改定に向けて猛突進する安倍政権。このネオ・ファシスト政権に、いまこそ反戦反安保・改憲阻止闘争の大高揚をもって反撃せよ!

「グレイト・アメリカの再興」を叫ぶトランプ

 新政権発足後ただちに実施する重要政策を、トランプが「百日計画」と銘打って発表した(十一月二十一日)。この「計画」は、就任初日から大統領令で実行する政策十八項目と、就任後百日以内に法制化をめざす十項目からなる。前者は「TPPからの離脱」を筆頭に、中国を「為替操作国に指定」することなどのアメリカ国内産業保護政策を基軸にしている。それとともにアメリカ人の雇用や安全を守るという口実のもとに、移民規制策として「テロの恐れのある地域からの移民の禁止」や「二〇〇万以上の不法移民の国外追放」などを列挙している。
 法制化を要するものとしては、「法人税の三五%から一五%への引き下げ」「米企業の海外移転への関税実施」「十年間で一兆ドルのインフラ投資」などの経済振興策だけでなく、「メキシコ国境の壁の建設」も明記されている。そして、それらの大前提として、「世界最強の軍」を「再建」すること、である。
 これらはすべて、トランプが選挙公約として宣伝してきた政策を具体化したものであって、「アメリカ・ファースト」の国家エゴイズムと民族排外主義、ムスリムへの憎悪につらぬかれている。これらの政策をもってトランプが実現せんとする目的はただひとつ、「世界一の軍隊をもつ偉大なアメリカの再興」にほかならない。
 中国やメキシコの安価な商品には法外な関税をかけ、海外移転をはかる米企業にも関税をかけて妨害し、法人税大減税を断行する。製造業の振興のためにインフラ投資のバラ撒き政策をとる。世界中から「強いアメリカ」への投資を呼びこみ、それらの資金を調達する。このレーガノミクスならぬトランプノミクス≠ノよって空洞化したアメリカ製造業をよみがえらせ、核軍事力もロシアや中国の追随を許さぬ最高レベルに引き上げることができるにちがいない。――このような夢=妄念にとりつかれているのがトランプなのだ。
 「百日計画」では、外交や軍事にかかわる具体的政策はまだ明示されていない。しかし、「オバマ大統領が出した憲法違反の大統領令をすべて廃止する」という表現をもって、キューバとの国交樹立交渉やイランとの核問題合意を白紙撤回することを明確に宣言しているのだ。これは、オバマ・レガシーの全否定にほかならない。大軍拡や「対テロ戦争」の無慈悲な遂行は大前提である。「狂犬」を国防長官にすえることに象徴されている新政権の顔ぶれからしても、トランプのアメリカが「テロリスト」「イスラム国家」「共産主義国」とみなす国家や勢力にたいして、「アメリカの国益」をふりかざしながら軍事的強硬策をとるであろうことは火を見るよりも明らかだ。
 大統領首席補佐官に任命されたプリーバスは、フィデル・カストロの死去(十一月二十五日)にさいして、キューバの「全体主義制度が変革されないかぎり国交樹立はない」と明言したファナティックな反共主義者であり、首席戦略官・上級顧問に抜擢されたバノンは白人至上主義集団「オルタ・ライト」のリーダーである。(この集団は十一月十九日にホワイトハウス前で集会を開き、「ハイル・トランプ!」を絶叫するパフォーマンスを演じた。)次期CIA長官のポンペオは、拘束したアルカーイダ・メンバーへの「水責め拷問」の禁止に反対した冷血漢であり、国防長官マティスは、アフガニスタンとイラクで住民皆殺し作戦の指揮をとった元司令官だ。トランプ新政権がいかなる行動をとるかは、推して知るべし。
 「アメリカは世界の警察官にならない」とトランプはくりかえす。しかしそれは、アメリカ政府が世界秩序を維持する労をとらず、アメリカの「国益」にかなわないと判断した「紛争調停」や「和平交渉」から手を引いて、アメリカの都合で誰からも束縛されずに自由に戦争を遂行する、という意志表明以外のなにものでもない。
 政権発足に先立って、トランプはプーチンとの電話会談(十一月十四日)で「国際テロリストとの戦いでの米露協力」を合意した。その翌日にプーチンがシリア空爆再開に踏みきったのだ。この事態は、「対テロ戦争」にはロシアであろうとも利用するというトランプの姿勢を如実にしめしているといえる。

大ロシア・ナショナリズムをむきだしにするプーチン

 トランプの対露政策をみてとり、またEU分解の危機進行と対ロシアでの結束の緩みをみてとって、プーチン・ロシアはロシア勢力圏拡大の策動を一気に強めている。トランプの大統領当選を見とどけた彼らはまっさきに空母をも初投入してシリア空爆を再開した。このロシアの全面的軍事支援に支えられて、アサド政府軍がシリア全土支配の回復をめざして、反政府派の最後の拠点都市アレッポに総攻撃をしかけている。九〇万人といわれていた残留住民は虐殺され、また脱出して難民となり、すでに二〇万人に激減している。この住民皆殺し作戦を、プーチン・ロシアは中東唯一の同盟国の死守という国益にかけて強力にバックアップしているのだ。トランプから同意≠とりつけ、拱手傍観するほかのないEU諸国権力者を尻目にして。
 つづいてプーチンは、カリーニングラードへの中距離弾道弾「イスカンデル」などの配備方針を決定したと、テレビ・インタビューで発表した(十一月二十一日)。この配備計画はすでに、米・NATOによるMDシステム配備を核とするNATO軍四〇〇〇人のバルト三国とポーランドへの増配備(七月)への対抗措置としてプーチンが宣伝してきたものである。米政権の交代の時期を狙いすまして、彼は配備方針を発表したのだ。
 トランプや彼のとりまきどもが、共産主義国でもないロシアと争って東欧を守ることはアメリカの国益にならない≠ニ吹聴してきたことを、プーチンは承知している。これを絶好のチャンスとみてとり、プーチン政権は東欧へのNATO軍の増配備に軍事的に対抗することを中心としてロシアの核軍事力の一挙的強化に突進しているのである。
 カリーニングラードはバルト三国とポーランドに挟まれたロシアの飛び地であり、ここに配備を予定している核搭載可能な「イスカンデル」(射程五〇〇キロ)は、四国に展開するNATO軍の全部隊を標的にしうる。同時に配備される地対艦ミサイル「バスチオン」(同三〇〇キロ)はバルト海に展開するNATO軍艦船を射程におさめうる。これらミサイル・システムの配備はNATO軍と東欧諸国権力者にたいする最大級の恫喝にほかならない。
 プーチン政権は、NATOの尖兵たるバルト三国・ポーランドの権力者をすくみあがらせ、他方では、トランプ政権になればアメリカが助けてくれないかもしれない≠ニ動揺する東欧諸国権力者を抱きこむ策動をも同時にくりひろげている。モルドバとブルガリアで同じ十一月十三日に大統領選挙がおこなわれ、両国とも親露派候補が勝利した。この機に乗じて、反露派の東欧諸国権力者を孤立化させ追いつめることを彼らは策しているのだ。
 歯舞・色丹の「二島返還」の感触をちらつかせつつ北方四島の露日共同開発をもちかけ、安倍政権との交渉をくりひろげてきたプーチン政権。彼らはトランプが勝利するやいなや、掌を返したように、カリーニングラードへのミサイル配備方針の発表と同時に、国後・択捉両島へのミサイル配備を公表した。「二島返還」なしに共同開発の「合意」を要求するというロシアの姿勢をダメ押し的につきつけるために。そもそも、G7こぞっての対露制裁に風穴をあけることを狙って、日本から経済援助をひきだすエサとして「二島返還」をブラ下げてきたのがプーチン政権であって、彼らには返還の意志など端からありはしない。北方四島は、ロシア艦船が日本海・オホーツク海から太平洋に進撃する海域に位置するのであり、ここに米軍基地やMDシステムなどを置かせることなどは、彼らには絶対に容認できないことなのである。
 しかも、在韓米軍へのTHAAD配備を推進してきた朴槿恵政権が倒壊寸前にたちいたっている。この韓国で近い将来に新政権がTHAAD配備決定を撤回する可能性も高まっている。これにつけこんで彼らは東アジアにおいてもロシアの核軍事力を一挙に増強することに踏みきったのだ。

「中華民族の復興」を旗印とした「超大国」への突進

 トランプの「TPP離脱」宣言にほくそ笑み、ここぞとばかりに中国主導の経済圏構築のための策動を強めているのが、習近平政権にほかならない。
 「百日計画」発表に先立って開催されたAPEC首脳会議と関連諸会議(十一月十九日〜二十日)の場を活用して、習近平は、FTAAPをアメリカ抜き・中露主導で形成することをめざす指針を示すだけでなく、根回しをもAPEC諸国権力者を相手にくりひろげた。彼は首脳会議で演説し、「確固たる意志で経済グローバル化プロセスを牽引する」などと中国の姿勢をアピールした。「早期にFTAAPを完成させ」る追求への参加を諸国権力者に呼びかけると同時に、発展途上国の利害に配慮する「公平・公正」な「開放型経済」として中国ルールを宣伝することも忘れなかった。こうして彼は、「東アジア包括的経済連携(RCEP)をつうじてのFTAAP形成」という中国主導のコースをAPEC主催国ペルーの大統領クチンスキーをはじめとする権力者たちに受けいれさせ、FTAAP形成の主導権をアメリカから奪取したのである。
 中国権力者は同時に、トランプが対中国保護貿易政策の脅しをかけたり、人民元切り上げを要求する「為替操作国指定」を就任第一日に実行すると宣言したりしていることにたいする警戒心を高め、対米の対抗措置をとると応酬している。「百日計画」には中国製品に四五%の関税をかける政策はさしあたり盛りこまれてはいないけれども、トランプの対中国の経済政策が実行されるならば、慢性的生産過剰を抜本的に解決する方策をもたない中国が大打撃を受けることはまちがいないのだからである。国内では、党=国家官僚や企業経営者などと労働者・農民との貧富格差がますます拡大し汚職が蔓延している。このことへの勤労人民の怨嗟・不満がうっ積し、噴出している。この人民の反発が政府・中共党中央に向かうことを何よりも恐れているからこそ、彼らは、中国共産党内に向かっては「党規律厳守」をがなりたてるとともに、党外の反政府的な知識人などを手当りしだい逮捕・投獄しているのである。
 それだけではない。彼らはトランプ新政権が対中軍事強硬策をとるであろうと警戒している。トランプは対中外交においても従来の歴代政府の対中政策を見直すかのようなそぶりを見せている。米中国交回復いごは「一つの中国」原則を守ってすべての歴代大統領が自制≠オてきた台湾総統との直接対話を、トランプは蔡英文との電話会談(十二月二日)というかたちでおこない、不文律を踏みやぶった。
 トランプ新政権が対中強硬策をとるであろうことに備えて、習近平政権は、一方では米中国交回復の立役者<Lッシンジャーを北京に招き、「衝突、対抗せず相互に尊重する新型大国関係を築こう」(習近平)などと米中友好≠アピールしている(十二月二日)。他方では、南シナ海の南沙・西沙諸島に中国の一大軍事基地を建設することに邁進している。そのためにこそ、中国と南シナ海での領有権争いをくりひろげてきたフィリピンやベトナムなどの権力者を抱きこむための外交を、精力的にくりひろげている。フィリピンのドゥテルテ政権にたいしてはスカボロー礁の領有権問題を棚上げにし、ここでの漁業権を保障すると約束した。これを受けてドゥテルテは、米比軍事同盟の「縮小」にのりだしている(来年からの米比合同演習の規模縮小にかんする米比合意、十一月二十三日)。このフィリピン方式をベトナムにもあてはめようと、習近平はAPECでベトナム国家主席のチャン・ダイ・クアンに「領土問題の棚上げ」をもちかけた。彼らはさらに、韓国を米日韓の三角軍事同盟から引きはがしTHAAD配備を撤回させることを狙って、朴政権倒壊後を射程に入れた対韓政策を練りあげているにちがいない。
 南シナ海に一大軍事拠点を築きあげ、「太平洋の西半分」をもアメリカから奪いとって「世界の超大国」にのしあがり君臨する、という野望をますます膨らませ大中華ナショナリズムを鼓吹しているのが習近平政権なのである。

日本国軍の南スーダンへのPKO派兵を許すな

 トランプの大統領当選後の世界の激動のただなかで、日本帝国主義の安倍政権は「アジアの孤児」と化している。
 就任まえの米大統領に日本国首相が会談をお願いする、という前代未聞のトランプ詣で≠十一月十七日に決行した安倍。「日米主導のTPP推進」をトランプに訴え、これが受けいれられたと思いこんで「アメリカぬきのTPPは意味がない」とAPEC後の記者会見で表明した彼は、まさにその三十分後にトランプの「TPP離脱」の声明をつきつけられたのであった。
 G7こぞっての対ロシア経済制裁に風穴をあけ日本から経済援助をひきだすためにプーチン政権がもちかけた「北方四島の日露共同開発」。プーチンが「二島返還」のアメ玉をちらつかせたことに食いつき、それが叶えば解散総選挙を強行できるという願望を膨らませていたのが安倍である。けれども、これはプーチンによってひっっくりかえされてしまった。それどころか、国後・択捉両島へのミサイル配備をつきつけられて、彼は十二月十五日の首脳会談で共同開発の経済協力だけを約束させられる破目に追いやられている。
 TPPの破産が露わとなったいま、RCEPを「道筋」にしてFTAAPを形成するという中国の提案にアメリカを除くAPEC諸国権力者が応じつつある。アメリカぬきでもTPPを発足させようと呼びかけつづけた安倍は、APECで完全に孤立してしまった。
 それだけではない。オバマ政権のテコ入れによって米日韓の三角軍事同盟を再確立したものの、韓国の朴槿恵政権が倒壊寸前であるがゆえに風前の灯となっている。朴弾劾決議が採択され解任されてからでは遅いとばかりに、オバマ政権に尻を叩かれた朴政権は日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の締結に応じた(十一月二十三日)。けれども、「犯罪者が屈辱的協定を結んだ」として朴を弾劾する韓国人民の怒りが一気に高まっている。
 ドゥテルテのフィリピンは中国との紛争を避けるためにスカボロー礁の領有権問題を棚上げにし、米比軍事同盟の「縮小」をアメリカと合意した。韓国とフィリピンのこれらの動向のゆえに、<アジア太平洋版NATO>形成の展望は当面、頓挫したといわなければならない。
 このように、アメリカ権力者につき従ってきた安倍はボンボン宰相≠ヤりをさらけだし、「アジアの孤児」と化している。だが諸君、警戒せよ。四面楚歌のこの政権は、ますます必死になって日米グローバル侵略戦争同盟の構築・強化の道をひた走っている。この道以外に日本帝国主義が生き残る道はない、とばかりに、だ。
 何にもまして安倍政権が急いでいるのが、日本国軍に戦闘任務を付与して海外へ派兵することである。そのためにこそ安倍政権は、十一月二十日から開始された南スーダンPKO第十一次隊の派遣をまえにして、この部隊に「駆けつけ警護」と「宿営地共同防衛」の二つの戦闘任務を付与する閣議決定を強行したのだ。
 日米グローバル侵略戦争同盟の構築・強化のために、海外で戦闘任務を遂行しうる帝国主義軍隊として確立するために、その現実的一歩として、安倍政権は南スーダンPKO第十一次派兵に踏みきったのだ。同時に彼らは、憲法第九条の制約を現実に踏み破って第九条を破壊するという狙いも、この派兵にこめている。南スーダン派兵をステップにして彼らは、いまや全野党を「憲法審査会」にひきずりこんで改憲論議をまきおこしている。
 だが、今日このときに既成反対運動指導部は何をしているのか。「連合」中央は改憲論議の積極的推進をほざいているではないか。民進党との野党共闘=選挙共闘を解消したくない一心で日共中央もまた、「憲法審査会」にいそいそと参加しているではないか。しかも彼らの審議会での改憲反対の議論たるや、自民党改憲草案が立憲主義に反していると指摘する、ただそれだけのものでしかない。
 南スーダン派兵について、日共中央はこれを「自衛隊員の命」が危険にさらされる問題に一面化し、派兵反対の運動を「自衛隊員の命守れ」運動に歪曲している。われわれはこのような既成指導部翼下の反対運動を根底からのりこえ、<南スーダンPKO派兵反対、辺野古・高江の米軍基地建設反対><改憲阻止>の闘いの高揚をかちとるのでなければならない。

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朴政権打倒をめざす韓国の労働者人民と連帯し闘おう

 「朴槿恵政権打倒」の人民の闘いは今、韓国全土を揺るがしている。朴槿恵とそのとりまきどもによる特権の行使・財閥企業との癒着にもとづく利益の享受にたいしての韓国労働者人民の怒りは、「崔順実疑惑」が公然化して二ヵ月を経た今日、いやましに高まっている。土曜日一斉行動日六回目の十二月三日には、一〇〇万人をゆうに超える人民が各地からソウルに結集し「朴槿恵退陣」「朴下野」を叫んで大統領府・青瓦台から一〇〇メートルに肉迫する波状デモを終日くりひろげた(全国で二〇〇万人が決起)。ソウルで、そして各都市で、過去の「民主化運動」、米軍車両による「女子中学生轢殺」事件や「BSE牛肉輸入問題」にさいしての大衆的決起をもはるかに上まわる史上空前の規模での集会・デモが、回を追うごとに大きく広がっている。朴槿恵の支持率は五%そして四%へと下落、若年層や野党支持層の強い全羅南道などでは〇%が続き、伝統的な保守層の地盤である慶尚北道などでもがた落ちしている。いまだに大統領の職に就いているとはいえ、圧倒的な人民からの不信任を突きつけられて朴槿恵は完全にレイムダック状態におちいり政権は機能停止状態をさらけだしている。
 同じ十二月三日未明には野党三党が共同で大統領弾劾決議案を国会に提出した。この日のデモは、弾劾回避の策として「国会の合意のもとでの早期退陣」を表明(十一月二十九日)した朴槿恵にたいしてだけではなく、退陣時期の引き延ばしを策す与党セヌリ党本部にもおしかけ「弾劾に反対するなら党を解散せよ」と怒りをたたきつけた。国会での弾劾案採決をめぐってセヌリ党は主流派=朴派と「非朴派」とへの分解の淵に追いつめられているのだ。
 われわれは、朴政権打倒の闘いをくりひろげる韓国の労働者人民と連帯してたたかうのでなければならない。

爆発する労働者人民の怒り

 女ラスプーチン≠ニも称される怪しげな「友人」崔順実(チェスンシル)による大統領の職務への介入と、この公的な地位をもたない私人への利益供与が大統領の権威を武器にして日常的におこなわれていたこと、さらにこれが財閥大企業との癒着のもとに構造的に続けられていたことに、韓国人民は怒りを爆発させている。朴槿恵の行為は「一九八七年の民主化以降の民主主義的ルールの冒涜」であり「国家のシステムを破壊」する「権力濫用」だとして、弾劾の声が高まっているのだ。この政治的不正への怒りがかくも広範にかつ激しく噴出しているのは、「崔順実ゲート」と称される今回の事件が韓国の政治経済構造に深く根ざしているからであり、その矛盾の象徴的な現れだと多くの人民が感じとっているからにほかならない。
 韓国経済において圧倒的な比重を占めているサムスン、現代、ポスコ(鉄鋼)、大宇(造船)などの大企業を擁する財閥(十大財閥)は、輸出産業を重視し育成してきた朴正熙以来の歴代保守党政権と結びついて利権にありついてきた。しかも九〇年代以降、全世界的な経済のグローバル化にともなって、韓国の独占諸企業もまた中国をはじめとしたアジア諸国へと生産拠点を移転し自国内の労働者をぎりぎりにまで削減してきた。韓国のGDPの半分にのぼる輸出部門、その過半を占める財閥系大企業は、政府の庇護のもとで税制上・許認可の面などで圧倒的に有利な条件をあたえられてきた。その反面で韓国においては中小企業の発展が独占的諸企業の支配と収奪そして日本の独占資本や中国企業との競争のもとで阻害されつづけてきた。
 こうして企業規模間で収益において桁違いの格差が生みだされ、中小零細企業の労働者は低賃金であるだけではなく企業の存続すら絶えず危ぶまれているような状況から逃れることができないのだ。相対的に高賃金の財閥系企業のエリート的労働者となるためには苛烈な受験競争に勝ち抜き高学歴を手に入れなければならない。労働者のおよそ一〇%を占めるにすぎない財閥系大企業労働者とそれ以外の中小零細企業労働者の賃金の差は二〜三倍となり、また民間労働者の半数を占める非正規労働者の賃金は正規労働者の半分以下におしとどめられ、格差は年々拡大するばかりだ。こうした企業規模間、雇用形態間、学歴差などによる賃金・労働条件の格差は日本と同様、あるいはそれ以上に苛烈なものなのだ。五年前には若者たちのあいだではやった「三放世代」(=食べていくのが精一杯で恋愛、結婚、出産をあきらめた)という言葉が、いまや「七放世代」(=就職、マイホーム、夢、希望をあきらめた)と自嘲的に語られているほどである。
 そもそも朴槿恵は、李明博前政権のもとで拡大した種々の経済格差とその根拠となっている財閥支配の解消を謳い「経済民主化」のスローガンを掲げて大統領の座についたのであった。だが、グローバル競争≠ナの生き残りを第一義にする朴政権は、財閥にたいする規制や中小企業育成の追求を早々と投げ捨てた。この二十年間タブーとされてきた大統領と財閥トップとの会談をみずから積極的に開始し財閥優遇策を次々とすすめると同時に、その見返りとしての財閥依存を深めてきた。
 こうして朴槿恵が財閥との腐りきった癒着につかりきっていたときに、財閥創業一家による不祥事が次々と社会的に明らかになってきた。現代や三星、ロッテなどの世代間継承をめぐる骨肉の争いと不正の暴露。創業一家の一員であることを振りかざして飛行機の出発を中止させた大韓航空のナッツ姫℃膜盾ネど。財力にまかせて傲慢な行為を平然とおこなう財閥一家にたいする嫌悪が労働者人民のあいだに渦巻いているのだ。「財閥との決別」を掲げ兄弟とも実質上縁を切るなど清廉潔白≠演出していた朴槿恵じしんが、その裏側で自己と盟友のために財閥に寄付を要求し密接な関係を築いていたのである。死者・行方不明者三〇〇名を超したセウォル号沈没事件(一四年四月)にさいしての海事警察庁の数々の不手際と朴の七時間の行方不明≠ノよって、就任一年余で支持率は急落した。そして今回の崔順実疑惑≠フ露呈。いまやコンクリート支持層≠ニいわれる父・朴正熙以来の年配支持層すら国家への裏切り行為≠ニ朴を非難しているほどなのだ。
 韓米FTA締結をつうじた在来農業の解体・農民層の窮状ともあいまって、韓国社会の貧富の格差はこの政権のもとでますます深刻なものになってきた。しかも朴政権は、勤労人民に恩恵をあたえるかのような美辞麗句にもかかわらず、解雇規制の緩和や公務員などへの成果給の導入といった労働者への犠牲を強制する施策を次々とうちだしてきている。矛盾のしわ寄せを強いられてきたことにたいする勤労人民のつもりつもった怨念、「ヘル朝鮮(地獄のような朝鮮)」と若者たちが吐露するほどの閉塞感に満ちた韓国社会への絶望が、いまや政権の不正暴露を契機に一挙に爆発した。まさしく朴槿恵打倒を掲げた韓国人民の闘いは、経済のグローバル化の進展の反面で犠牲をこうむってきた労働者人民の反乱≠ニいう意味をもっているのだ。
 朴槿恵とそのとりまきによる独断的政策決定をこととしてきたこの政権は、対北朝鮮政策においても、金正恩政権の核実験やミサイル発射に直面して、政権発足当初に掲げていた「朝鮮半島信頼プロセスの推進」という政策を投げ捨て、対決一辺倒≠ヨと百八十度反対の方向に転じた。北朝鮮の挑発的行動に強硬姿勢を示すことによって支持率を高める、という手口を(日本の安倍政権と同様に)恒常化してきたのだ。「北韓は崩壊目前」と強弁して金正恩指導部への直接攻撃を含む作戦計画を誇示し、また開城工業団地を撤収するなど、過去の政権が積み重ねてきた「南北和解・統一交渉」の一切を破棄する行為に踏みきってきた。他方で朴は、日本帝国主義の過去の占領支配・従軍慰安婦問題の「最終的・不可逆的解決」を(外相・尹炳世(ユンビョンセ)の抵抗すらおしきって)安倍政権と合意する道を選択した。反共・親日≠フ姿勢と、国内における反対運動への強権的弾圧策とがあいまって、「(父親)朴正熙の再来だ」という朴槿恵にたいする労働者人民の嫌悪と警戒感がいやましに高まってきていたのである。

議会内の取引による収拾を許すな

 朴槿恵政権そしてこれと癒着している財閥資本家どもへの怒りを、韓国人民は「みずからの力で不正をただし、政治を変える」という烈々たる意志と情熱にもとづいて爆発させている。「財閥支配の資本主義そのものを変革しなければならない」と主張する労働者たちから、生活苦にあえぐ非正規労働者や農民・自営業者、受験競争にさいなまれているがゆえに特権層の不正入学への怒りに燃えてデモに参加している高校生まで、さまざまな色合いを帯びた労働組合や市民グループなどがともに「朴退陣」を要求して闘いに参加している。とはいえ、反政府の大衆闘争としては、一九九〇〜二〇〇〇年代のような戦闘的な闘争形態は影を潜めている。巨万の人民が激しい怒りを露わにしながらも、実に整然と集会とデモをくりひろげている。その最大公約数となっているのは、権力者による特権行使への怒りであり「民主主義的ルールの回復」という要求なのである。
 労働者人民の大衆的決起にたいして、盧武鉉元大統領の流れをくむ野党第一党「共に民主党」、市民の代表≠任ずる「国民の党」(および極小の「正義党」)といったリベラル保守≠ニいうべき野党は、闘いの方向性を示し指導するどころか、ただただ朴退陣を掲げ要求する運動の高揚の後を追い、みずからの政治的利害にもとづいて利用するためにのっかることに汲々としている。「共に民主党」は、野党第一党の地位を利用して早期に国会での朴弾劾の決議をつうじて退陣を実現し、もって次期大統領選での文在寅(ムンジェイン)に有利な情勢を切り開くことを策している。今年いっぱいで国連事務総長の任期が終わる潘基文、今日でも次期大統領候補としての支持率が文在寅を上まわりつつあるこの国際的有名人が大統領選に向けた準備をすすめる前に、選挙実施にこぎつけることをめざしているのだ。〔大統領選に大いに色気を示している潘基文は、外務官僚出身者として盧武鉉政権の外交通商相を務めたとはいえ、もともと保守の現セヌリ党に近い人物である。〕これにたいして「国民の党」は、セヌリ党内反主流・非朴派や「共に民主党」内の右派部分を糾合して政界再編のイニシアティブを握ることを企んでいる。大衆的な闘いの高揚の裏側で、野党二党は相互に足を引っ張りあっているのだ。
 二つの労組ナショナルセンターとりわけ民主労総は、今闘争のなかでも中心部隊のひとつとしてたたかっている。しかも民主労総は九月以降、公務労働者への「成果年俸制導入・拡大」の攻撃に反対して長期のストライキ(部分的ストライキ)をたたかいつづけてもいる。李明博政権と朴槿恵政権の二代の保守政権の弾圧・組織破壊攻撃のもとで雌伏を強いられてきた民主労総としては(今夏の現代自動車労組の賃金闘争に続いて)久びさの実力闘争をとりくんでいる。
 ただし鉄道労組中央の成果給導入・拡大=既得権剥奪の攻撃にたいする闘争方針は、「公共交通の安全性の破壊に結びつく」ことを問題にする内容に終始している。搾取の強化と労務管理強化・労組破壊を狙うこの攻撃をそのようなものとして分析し対決する武器を彼らが持ちあわせていないことがここには露呈している。
 民主労総(その内部の戦闘的な部分)にしても、現在の朴槿恵政権打倒の闘いを議会での取引への圧力に利用されることなく労働者階級の階級的団結の強化を基礎に反権力の闘いへとおしあげていく展望をうちだしてはいない。かつては民主労総の内部に一定の基盤を有していた統合進歩党(「北朝鮮派」が多数を占めていた)が、北朝鮮の核実験・ミサイル発射などの反人民的挑発のゆえに労働者人民の支持を失い、そのうえ「内乱準備」の容疑で権力によって解散に追いこまれていこう、労働運動や市民運動の内部では、「反北」のナショナリズムに抗する部分はほとんど消滅(息を潜めて)している。北朝鮮・金正恩体制の反プロレタリア性を暴きだすとともに労働者階級の階級的自己組織化を促し、もって南北朝鮮の革命的統一をめざすべき真実の前衛党の不在。そのゆえのこうした反対運動の否定的現状からして、反朴槿恵の運動の巨大な広がりは、基本的には「民主主義守れ」という質のものとして、したがって政党間の取引の圧力手段に利用されかねないものとなっているのだ。

反権力闘争へおしあげるためにたたかおう

 日本においてわれわれ革命的左翼は、米日韓三角軍事同盟の再構築・強化に反対する闘いをくりひろげてきた。とりわけ金正恩政権の核・ミサイル実験の強行を契機として米日韓の権力者どもが「対北」の臨戦態勢に突入したことに反対して、反戦反安保の闘いを推進してきたわれわれは、朴槿恵打倒闘争をたたかう韓国の労働者人民に、断固として連帯の意を表明する。そして同時に、彼らの闘いが保守勢力のあいだの首のすげ替えというかたちで収斂されかねないことへの警鐘を打ち鳴らすのでなければならない。たたかう韓国人民、とりわけ労働組合に結集してたたかう労働者にたいして、この闘いを民主主義擁護の枠内にとどめることなく、反政府闘争からさらに反権力の闘いへとおしあげるためにたたかうことを訴える。財閥企業による搾取強化と政府のこれへの全面的支援に反対し、また「対北」の臨戦態勢の恒常化、米軍のTHAAD配備や日本とのGSOMIA締結というかたちでの韓米日の三角軍事同盟の再構築・強化に反対してたたかわれている闘いとも結びつけつつ、これらを朴槿恵政権打倒に集約し・さらに闘いのおしあげをめざすべきことを訴える。
 われわれはまた、韓国労働者人民に、北朝鮮・金正恩政権の核実験・ミサイル発射などの戦争挑発と人民弾圧を弾劾し、韓国の労働者人民が北朝鮮指導部の専制に抗してたたかう北朝鮮の人民と連帯し南北朝鮮の統一をめざしてたたかうべきことを呼びかける。
 一昨年以降われわれは、韓国において米軍基地反対闘争をたたかう諸君との交流をつくりだし、彼らと連帯しつつ辺野古・高江の米軍基地新設に反対する闘いをくりひろげてきた。今こそわれわれはTHAAD配備反対、韓日GSOMIA締結反対を掲げてたたかう韓国の仲間との連帯を強化し、ともに米日韓三角軍事同盟構築・強化反対の反戦反安保の闘いの戦闘的高揚を実現するのでなければならない。こうした闘いのただなかで、わが闘いの根底を貫いている革命的マルクス主義の思想の韓国労働者階級への波及をかちとるために奮闘しよう。朴政権打倒をめざす韓国の労働者人民と固く連帯してたたかおう!

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高齢者・病弱者に犠牲強いる「地域医療構想」推進を許すな


 病床削減ありきの政府「ガイドライン」

 憲法改悪に突進する安倍ネオ・ファシスト政権は、<軍国日本>再興のための財政基盤確立を狙って、社会保障費の「自然増」を、「予想」される一兆円の半分にあたる毎年五〇〇〇億円に抑えること(三年間で一兆五〇〇〇億円削減すること)をうちだした(二〇一五年「骨太方針」)。そのために安倍政権・厚労省は、国庫からの出費を高く費やすことになっているとみなす「高度急性期」・「急性期」の(急病・重篤な患者にたいして高度な医療技術・先進的機器・高額な医薬品を使用する)病床の数を大幅削減しようとしている。また「慢性期病床」(=療養病床)は「社会的入院が多く無駄」と称して、廃止を含め大削減に踏みきろうとしている。「病院」から「地域」へ、「病院完結型から地域完結型へ」などと称しながら。
 そのために、安倍政権は、「超高齢社会到来」といわれる二〇二五年にむけて、医療機関の性格・機能を明確にしつつ「急性期」対応の病床を減らすことを眼目にした医療サービス提供体制の機能別再編を何が何でも成しとげようとしている。それを実現するために診療報酬の引き下げと同時に、以下の三点にわたる「行政的手法」ともいえる法的整備を着々と進めてきたのだ。
 その一つは、都道府県自治体当局に、政府の「ガイドライン」にのっとって「地域医療構想」を作成させることを、二〇一四年四月に成立した「地域医療・介護の総合確保法」に盛りこんだことである。「地域医療構想」とは、都道府県内の「二次医療圏」ごとに二〇二五年のあるべき医療提供体制を構想したもので、高度急性期・急性期・回復期・慢性期別の病床数を示させたものである。二〇一五年三月には、政府・厚労省が「地域医療構想策定ガイドライン」を発表、六月に、内閣府の専門調査会が「二〇二五年の必要病床数―目指すべき姿」を公表した。政府・厚労省は国家財政からの支出を要する医療費のうちの高額な部分・ムダ≠ニみなした部分などを徹底して削減したいというみずからの思惑を貫徹するために、このガイドラインを使って都道府県自治体当局に「地域医療構想」を作成させているのである。
 その二つは、二〇一五年三月、総務省が「新公立病院改革ガイドライン」を発表したことである。現在約八〇〇の公立病院の半数が赤字であるといわれている。政府・総務省は、自治体が赤字の公立病院におめおめと補助金を注ぎこむことは許さない≠ニいう姿勢をあらわにしている。総務省は、この公立病院を統括する地方自治体当局に、公立病院を「地域医療構想」でのポジション≠示した持ちゴマ≠ノするのか・さもなくば廃棄するのかも含めた「改革案」を、二〇一六年度中に作成することを強要している。
 その三つは、二〇一五年五月に成立した「医療法一部改定」に「地域医療連携推進法人制度」の創設を盛りこんだことである。「二次医療圏」での各病院・診療所および介護施設を束ねて統合していく法人を認めるこの制度は、医療・福祉サービスの提供主体を、これまでの医療法人や社会福祉法人などと異なる営利企業的な性格のものも認める「規制緩和」なのである。医療・福祉事業を経営する法人の性格を抜本的に変えてしまう「地域医療連携推進法人制度」が創設されたのである。本稿では、以上三点の反人民性を暴きだすこととする。

以下見出し

(1)「二〇二五年の必要病床数」の発表
 ――病床再編を狙う「地域医療構想」


(2)赤字をなくし「地域医療構想」の持ちゴマにせよ
 ――「新公立病院改革ガイドライン」

(3)「医療の産業化」への道
 ――「地域医療連携推進法人制度」の創設

 安倍政権の社会保障制度改悪を許すな

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北京官僚の民族政策――その歴史的犯罪

中国領土へのくみこみを正当化する「民族区域自治」政策


以下見出し

1 中華ナショナリズムを宣揚する習近平指導部


2 「民族自決・連邦制」の否定
 中央政府の政治的・軍事的統轄下での「自治」
 国境線の護持を狙った「革命の輸出」の旗印
 「統一戦線工作」の名による少数民族支配層の抱き込み

3 「民族自決・連邦制」にかんするレーニン的原則の破壊

 スターリン主義的ナショナリズムの露頭

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走狗残党・中野一派の「11集会」の惨状

 国家権力の走狗集団・中核派残党中野一派は、今年の「11月労働者集会」を「日韓共同行動の一環」という新たなふれこみで開催した。十一月六日の日比谷野音での集会に韓国の労組を招き、十一月十二日のソウルでの「民衆総決起闘争」には中野一派の活動家がおしかけ参加することをもって、この二つの集会を「共同行動」とおしだしたのだ。
 だがこの「日韓共同行動」などという新たなおしだしは、このかん中野一派がとりくんできた「動労総連合全国結成」なるものの惨めな破産、これを隠蔽するための、残存官僚どもの欺瞞的術策いがいのなにものでもない。
 ときあたかも安倍政権は、倒壊寸前の朴槿恵政権を支えGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の締結を急ぐ一方、いよいよ憲法改悪に踏みだすための憲法審査会の始動に突進していた。この安倍政権の一大攻撃について、集会において中野一派は誰ひとり何ひとつ触れも語りもしなかった。日本階級闘争の重大な局面などどうでもいいという、まさに権力の走狗にふさわしい態度をきめこんだのだ。国家権力によって廃物利用されるだけのスパイ組織の気息奄々たる姿を、中野一派はさらけだしたのである。

(以下、見出し)

「日韓共同行動」のフエ吹けど誰も踊らず

「動労総連合」デッチあげの破産を自己暴露

廃物=中野一派をすみやかに一掃せよ

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11・26渋谷 「憲法改憲阻止! 南スーダン派兵反対!」
 首都圏の闘う学生がデモ 
  早稲田大学、国学院大学をはじめとする首都圏のたたかう学生は十一月二十六日、東京・渋谷において「とめろ! 憲法改悪 許すな! 南スーダン派兵 11・26学生デモ」を実現した。武力行使をかまえての南スーダンPKOへの自衛隊派兵強行、改憲項目絞りこみをねらった衆院憲法審査会の再開――まさにいま日本の安倍ネオ・ファシスト政権は、日本を「戦争をやれる軍事強国」に飛躍させる策動に拍車をかけている。ドナルド・トランプのアメリカ次期大統領当選をインパクトとした全世界の激動、そのまっただなかで安倍政権がうちおろす極反動攻撃を木っ端微塵に粉砕すべく、たたかう学生たちは意気高く決起した。
改憲阻止! 南スーダン派兵阻止! 闘志みなぎらせ駅前スクランブル交差点に進撃
(11月26日、渋谷)
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