民族排外主義の嵐を打ち破れ
南スーダンPKO派兵弾劾!
憲法改悪の策動を粉砕せよ!
安倍政権は、労働者人民の反対の闘いをふみにじり、十一月二十日に南スーダンPKO第十一次派遣部隊を、南スーダンの首都ジュバに送りこんだ。われわれは、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」という戦闘任務を付与された日本国軍の、戦後初の武力行使をかまえての海外派遣を断じて許さない!「積極的平和主義」の名による南スーダン内戦への武力介入反対! 安倍政権によるこの反憲法的蛮行を満腔の怒りをこめて弾劾する!
南スーダン内戦はいま一挙に激化している。南スーダンの大統領キール(ディンカ族)の率いる政府軍と前副大統領マシャール(ヌエル族)率いる反政府軍とが、軍事的衝突をくりかえしている。いまや、いつ・どこで両派間の大規模戦闘や住民の大虐殺が起きてもおかしくない状態にあるのだ。すでに数万人が虐殺され二三〇万人もの難民がうみだされている。安倍政権はしかし、戦闘を「衝突」と言い換え、しかもそれは「首都・ジュバを除いた地域」であると言いなし、あくまでも自衛隊を戦地におくったのではないと強弁している。なんたる詭弁!
南スーダン政府軍は、国連がヌエル族を擁護しているととらえ、国連の南スーダン派遣団(UNMISS)にたいしても攻撃の矛先を向けている。PKO部隊に歩兵部隊一八〇〇人を送りこんでいる中国の習近平政権は、南スーダンの石油利権の四〇パーセントを有している。アメリカのオバマ政権も、石油利権の獲得を企んで、中国とのあいだで「国連による和平」の主導権争いに興じている。UNMISSは南スーダン人民の怨嗟の的となっているのだ。「国連施設や市民への攻撃を準備している」とみなした者にたいしては「積極的な武力行使」をおこなうという国連安保理決議を錦の御旗にかかげるUNMISSは、政府軍にたいする先制攻撃も辞さないとかまえている。派遣された日本国軍が、政府軍といつ戦火を交えてもおかしくないのだ。
アメリカのオバマ政権が日本の安倍政権にたいして、同盟国としてより大きな役割を果たせと要求している。これを渡りに舟として安倍政権は、この機に敗戦帝国主義の汚辱をぬぐいさり・一流の軍事強国たるの実を示すために、戦後初めての武力行使にふみきるハラを固めているのだ。それだけではない。「最後のフロンティア」とみなしたアフリカに中国企業の進出を促している習近平政権が、すでにアフリカ全土に一万人を超える中国兵を展開させている。この中国に対抗して安倍政権は、戦闘任務を付与した日本国軍の派遣を強行したのだ。
しかし、「暫定統一政府」の樹立をテコとしてオバマ政権がお膳立てした「和平」なるものは、ジュバにおける七月の大規模戦闘を契機にして完全に崩壊している。ケニア政府は、自国出身のPKO軍司令官が七月の大規模戦闘への対応の責任をとらされて国連によって更迭されたことに反発して、PKO部隊の主力をなしたケニア軍兵士・一〇〇〇人を撤収させた。
しかも、問題はこれにとどまらない。「アメリカは世界の警察官にはならない」と公言するトランプが、アメリカの次期大統領に当選した。「アメリカ・ファースト」をかかげる彼は、アフリカで「南スーダン和平」の主導権を中国と競い合う気などない。内戦を泥沼化させたアメリカ政府が手をひく機会をうかがっているときに、ひとりアメリカ帝国主義の属国として戦地に自国軍を送りこんだのが安倍政権なのだ。
われわれは、安倍ネオ・ファシスト政権による戦後史を画するこの蛮行に断固反対する。日本共産党の不破=志位指導部は、もっぱら自衛隊員が「『殺し・殺される』派遣」であることを問題にする。安倍政権が日米グローバル侵略戦争同盟の強化と日本の軍事強国への飛躍をかけて海外派兵にふみきったこのときに、彼らはただただ「政府は自衛隊員の命を守れ」と安倍政権にお願いすることしかできないのだ。
安倍ネオ・ファシスト政権は、南スーダン派兵を跳躍台として、憲法第九条の破棄を核心とする改憲策動に一気に拍車をかけている。われわれは、<南スーダン派兵反対><憲法改悪阻止>の闘いを、日本共産党指導部による闘争の議会主義的・市民主義的歪曲をのりこえ断固として推進しようではないか!
<アジアの孤児>に転落した安倍政権
「アメリカ・ファースト」を叫びたてるトランプが次期米大統領に決定したことを契機として安倍政権は、あらゆる場面において間抜けぶりをさらけだしている。
選挙戦の最中に「TPP(環太平洋経済連携協定)から脱退する」、日本が金を払わなければ「在日米軍を撤退する」とくりかえし叫んだトランプの当選がきまるやいなや、首相・安倍は大あわてでトランプ詣で≠決行した。習近平政権が「二十一世紀の超大国」にのしあがる野望を抱き、中国主導の経済圏づくりに狂奔しているいま、これに対抗するために日米主導のTPPを推進すべきこと、またアメリカが「航行の自由」作戦を展開するためにも対中包囲網の最前線基地である在沖縄米軍基地は「必要不可欠」であること、日本はそのための「応分の負担」をしていること、などなどを、僕が説明すればわかってもらえる≠ニばかりに次期アメリカ権力者への「信頼感」を胸に抱き渡米した首相・安倍。この輩は、ゴルフクラブを貢ぎ物≠ノ、いそいそとキンキラキンのトランプ・タワーに赴いたのだ。
しかし、安倍の「陳情」をトランプは一蹴した。安倍のお坊ちゃま宰相≠ヤりをあざ笑うかのようにトランプは、首相・安倍がAPEC後の記者会見で「TPPは米国ぬきでは意味がない」と表明した(二十一日)そのタイミングを見計らって、「TPP離脱を(大統領就任初日に)通告する」と明言したのだ。
アメリカがTPPに参加しつづけると考える参加国はもはやいない。ベトナム政府はすでにTPPの国内批准手続きを取りやめた。ペルーの大統領クチンスキは、ロシアと中国を加えた「米国ぬきの似たような協定」をつくろうと主張しはじめている。ただひとり日本の安倍政権のみが、なおも「米国に国内手続きの早期完了を働きかけていく」などとトランプにすがりついているのだ。
安倍政権のこの周章狼狽ぶりを横目でみながらほくそ笑んでいるのが中国の習近平政権だ。トランプが当選するやいなや、「われわれはみずからの自由貿易区戦略を積極的におしすすめる」(十一月十日)と宣言した。すでにアジア・ヨーロッパ諸国権力者をまきこんでAIIB(アジアインフラ投資銀行)を創設した習近平政権は、TPPが自壊するとみてとり、中国主導のアジア地域包括的経済連携(RCEP)を基礎としたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想にもとづく新たな貿易ルールづくりを、みずからのヘゲモニーのもとで推進しようとしている。
日米主導の経済圏・TPPを創設し、中国に対抗しようと企てていた安倍政権は、習近平に完全にしてやられたのだ。
トランプの当選にロシアのプーチンも、習近平政権と同様にほくそ笑んでいる。
これまで日本にたいして北方四島の部分返還の可能性をチラつかせていたプーチンは、十一月十九日の日露首脳会談で対日交渉の態度を豹変させた。北方四島はロシアの領土であることを前提とした「北方四島での共同経済活動」を提案したのだ。オバマ政権の対ロシア強硬姿勢・経済制裁に風穴を開けるために、これまでプーチンは領土問題を取り引き材料にして、安倍政権を取りこもうとたちまわってきた。しかし、トランプはロシアによるクリミア併合を容認するとともに、対ロシアの経済制裁も解除する姿勢を示している。このトランプが大統領になると決定した今、プーチンにとっては、もはやその必要もなくなったというわけだ。
しかも会談直後の二十一日には、択捉島と国後島にロシア軍の新型地対艦ミサイル「バスチオン」と「バル」を配備したと発表。「クリール諸島は国防上、非常に重要な地域」(軍関係者)であるとぶちあげた。旧ソ連邦の版図回復をかかげるプーチンは、北方四島を日本に絶対に返還しないと裏から宣言してみせたのだ。
安倍はプーチンが北方領土の部分返還に応じると期待して、十二月の日露首脳会談の舞台をわざわざ地元・山口にしつらえた。だが、突然に手のひらを返したプーチンのこの対応によって、「北方領土の部分返還」の「成果」を宣伝して総選挙にうってでようという安倍の目論みはもろくも打ち砕かれたのだ。安倍の思惑とは裏腹にプーチンは、山口でおこなう首脳会談を、日本に一方的に経済協力を約束させる場たらしめようとしているのだ。安倍はプーチンに完全に手玉にとられたのだ。
「アジアへのリバランス」戦略をかかげるアメリカのオバマ政権のもとで、安倍政権は米日韓三角軍事同盟の再構築に狂奔してきた。しかし、この追求は早くも頓挫した。
韓国の朴槿恵政権は、すでに倒壊寸前だ。十一月二十六日には、大統領・朴の「機密情報漏洩」と特定財団への「資金援助強要」疑惑に怒る一五〇万人のデモが、「朴退陣」をかかげてソウルを埋めつくした。政府と結びついた特定財閥に富が集中する韓国では、労働者の六割以上が低賃金の非正規雇用におとしめられ、生活苦にあえいでいる。彼らの怒りがいま、朴を包囲しているのだ。これに押されて与党のセヌリ党内部からも、大統領を強制的に辞任させる弾劾決議に賛成すると表明する部分が続出している。大統領・朴が解任されるのは時間の問題だ。
オバマ政権は、かねてより朴政権に要求していた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を急ぎ締結せよと大統領・朴に押しこんだ。しかし、それも朴政権の延命には役立ちはしない。逆にこれが仇になって米日韓の軍事同盟に反発する一部の政治エリートが一気に中国・習近平政権に接近することにしかならないのだ。
アメリカ帝国主義の属国としてひた走ってきた日本帝国主義の安倍ネオ・ファシスト政権は、いまや完全に<アジアの孤児>と化した。アメリカ主導の<アジア太平洋版NATO>構想の一角として位置づけられていたフィリピンの新大統領ドゥテルテは、トランプが次期大統領に決まる前から、早々にオバマに見切りをつけて習近平政権と握手をかわした。安倍政権が「日本再興戦略」の目玉商品として位置づけているベトナムへの原発輸出も頓挫した。十一月二十二日にベトナムが、この計画を白紙撤回したのだ。ただインドとのみ、核兵器開発を実質上容認し原子力協定を締結することをテコとして、「経済協力」をすすめることで一致したにすぎない。
日米安保同盟の鎖につながれることに慣れ親しんだ日本帝国主義の安倍政権はいまや、完全に四面楚歌なのだ。
巨大な地殻変動は、アジア地域にとどまらない。
ユーラシアの西ではロシアのプーチン政権が、米民主党クリントンの敗北をみてとるやいなや、シリア空爆を再開した。この機にオバマ政権ならびにEU諸国権力者が支援してきた反アサド武装勢力を、ISもろともに壊滅させる挙にでたのだ。プーチンは、トランプが政権に就いたならば、シリアのアサド政権を延命させることに同意するのではないかという感触を得ている。この間隙をぬって一挙にシリア政府軍支配地域を拡大しようと企てているのだ。戦争と飢えに苦しむシリア人民をさらなる血の海にたたきこんで。
「EU離脱」を首尾良くすすめたいイギリスのメイ政権は、トランプ次期米政権との関係を強化することを展望して、トランプへの対応を協議するために招集された緊急EU外相非公式会議を欠席した。いち早くEUと一線を画す態度を鮮明にしたのだ。他方のフランス・オランドやドイツ・メルケルらEU諸国権力者どもは、足もとで極右政党・勢力が勢いを増していることにすくみあがり、オバマとクリントンの姿に明日のわが身を見ることしかできない。
それだけではない。いまや世界をおおう国益ナショナリズムと排外主義の濁流は、世界中の労働者人民をまきこみながら一挙に加速している。
民族排外主義の嵐に抗してマルクス主義の再興を!
いま全世界で帝国主義権力者は、労働者人民を貧困と隷従、圧政のもとにたたきこんでいる。ほんのひと握りの富める者がいる他方で、多くのもたざる者≠ェ貧困と重労働にあえいでいる。いわゆる古典的貧困≠ェ全世界的に露わとなっているのだ。
米欧諸国では極右勢力が、職を奪われ・貧困に苦しむ労働者の怒りと不満を組織している。彼らは、移民が労働者から職を奪った≠フだと、排外主義を煽りたてている。見よ! アメリカ労働者の味方づらをしたトランプが、「メキシコからの移民を追いだせ! 壁をつくれ!」とわめきちらし、民主党と労組ナショナルセンターAFL‐CIOの牙城であった伝統的工業地域の労働者の票をかっさらった。
ヨーロッパ諸国の極右政党・勢力は、排外主義を煽りたてるトランプの勝利に拍手喝采した。フランスの「国民戦線」党首ルペンは、「われわれの国にとって良いニュースだ」とトランプの当選を賛美。「ドイツのための選択肢」党首ペトリは、「今回の結果はドイツと欧州を勇気づける」と、オランダの「自由党」党首ウィルダースも「歴史的勝利だ。革命だ」などと狂喜した。世界各国の今ヒトラー≠ヌもが、労働者に被害者意識をすりこみ・ナショナリズムを煽りたて、勢力を伸ばしている。民族排外主義者どもの移民排撃・反イスラームのアジテーションが、かくも広く・急激に労働者人民に浸透してしまっているのは、ひとえに既成の労働運動指導部が腐敗しきっているからだ。
ソ連邦の自己崩壊以降、共産主義は「全体主義」の別名とされ、ブルジョアどもによって「マルクス主義の死滅」がまことしやかに語られた。スターリン主義諸政党とこれに指導された既成の労働運動指導部は、ブルジョアジーのイデオロギー攻勢に総屈服した。いまや彼らは、ブルジョア政府の補完物へと成りさがっている。帝国主義諸国の労働貴族も、ブルジョアジーと歩調をあわせて労働者人民を抑圧している。労働運動指導部のこの堕落! 彼らこそが、労働者を絶望においやり、排外主義的ナショナリズムの浸透を許しているのだ。ブルジョア政府による反労働者的諸政策の貫徹を許しているのだ。
われわれは声を大にして訴える! マルクス主義が死滅したのではない。マルクス主義を騙るスターリニストどもが、マルクス主義を投げ捨てたのだ。こんにちほどマルクス主義が労働者階級の自己解放の武器として光彩を放っているときはない。全世界労働者の悲惨は、スターリニストどもが独占ブルジョアジーとその政府の補完勢力として延命しているがゆえなのだ。今こそマルクス主義の再興をかちとれ!
安倍政権打倒へ突き進もう
吹き荒れるナショナリズムの嵐に抗して、われわれ日本の反スターリン主義革命的左翼は全世界の労働者と連帯し、日本ナショナリズムを煽りたてる安倍ネオ・ファシスト政権の打倒へと突き進もうではないか! 安倍政権による改憲策動を断固として打ち砕こう!
日本では、今ヒトラー≠フ安倍が上から労働者人民をからめとろうと企てている。民進党やその支持基盤である「連合」を改憲の土俵に引きずりこむために、安倍政権は自民党改憲草案を前提にはしない≠ネどと言いなしながら、衆参両院で憲法審査会を再開した。
また安倍政権は、労働者を自民党の支持基盤へと組み入れるために、民進党や「連合」が政策として掲げていた「同一労働同一賃金」などの政策をかすめとりながら、「働き方改革」なるものを進めている。しかし同時に、年金支給額を抑えるための「新ルール」(物価、賃金のうち大きく下がった分に合わせて年金支給額を下げる)と「マクロ経済スライド」(景気がよくなったとしても支給額をできるだけ上げない)の二点を特徴とする年金改革関連法の制定や社会保障の大幅削減をすすめているのが安倍政権なのだ。
それだけではない。安倍政権は、みずからの基盤とはなりえず、改憲にとっての障害とみなした「平和フォーラム」系の労働組合などにたいしては、徹底して弾圧の刃を振りおろしているのだ。
「連合」指導部は、この安倍政権にみずから抱きつき、完全にからめとられている。二〇一七年春闘にかんして、経団連に「二%の賃上げ」を要請した安倍に、「お願いします」と「働き方改革実現会議」で頭をさげたのが「連合」神津執行部なのだ。
他方で「野党と市民の共闘」を自己目的化する日本共産党の不破=志位指導部は、次期衆議院選挙にむけての「野党共闘」実現のために、自党の安保=外交政策などの右翼的緻密化に腐心しているのだ。
われわれはいまこそ、安倍政権による改憲を断固阻止すべくたたかおうではないか! 代々木官僚による議会主義的・市民主義的歪曲をのりこえ、<日米グローバル侵略戦争同盟の構築・強化反対、日本の軍事強国化反対><米―中・露の核軍事力増強競争反対>の方向性を鮮明にしたたかおう! われわれは腐敗を深める既成の労働運動指導部の闘争歪曲を断固のりこえ、全世界に吹き荒れるナショナリズムの嵐を突き破る闘いを、プロレタリア・インターナショナリズムの立場にたち、この日本の地で推進しようではないか!
12・4革共同政治集会に総結集せよ!
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