憲法審査会の始動を許すな
改憲の濁流にのみこまれる「連合」指導部と日共中央を弾劾せよ!
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10・23労学統一行動――
全学連・反戦が国会・首相官邸へ進撃 |
衆参両院において改憲発議に必要な三分の二議席を手中にしている安倍政権は、憲法審査会の開始を決定し、いよいよ憲法改悪にむけた総攻撃に突き進んでいる。「戦力不保持」「交戦権の否認」をうたった第九条の破棄と「基本的人権の尊重」などのブルジョア民主主義的理念の根こそぎの否定。――これが、ネオ・ファシスト安倍がたくらむ「憲法改正」の最大の目標にほかならない。
北朝鮮・金正恩政権は、十月十五日、二十日と連続して中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験を強行した(いずれも失敗)。アメリカ・オバマ政権に核兵器保有国として認知させ金正恩専制下の北朝鮮国家の「体制保証」を取り付けるために、核弾頭を搭載したミサイルを実戦配備することに血眼になっているのだ。尖閣諸島周辺においては、習近平の中国が、中国軍・海警局の艦船を使って挑発的示威行動をくりかえしている。
これらの事態に危機感を募らせている安倍政権は、戦争法の制定にふまえて対北朝鮮・対中国の日米共同作戦遂行能力の飛躍的高度化に血眼となっている。日本国軍=自衛隊は、米軍とともに陸海空統合実動演習「キーンソード17」や、共同指揮所演習「ヤマサクラ」などの軍事演習を連続的に強行しようとしている。オバマ政権の強力な要求に応え、対中国の最前線基地として、米軍の高江オスプレイパッド建設や辺野古新基地建設に狂奔しているのだ。
安倍政権は、南スーダンPKOへ派遣する陸上自衛隊第九師団(青森・約三五〇名)の部隊に、「駆けつけ警護」と「宿営地共同防衛」の新たな任務を付与することを、十一月上旬にも閣議決定する腹を固めている。七月に数百人が死亡する大規模な戦闘が発生しているにもかかわらず、「ジュバ市内は比較的落ち着いている」などとあくまでも強弁しながら。
安倍政権は、日本国家をアメリカとともに世界中どこででもいつでも戦争をやれる国≠ヨと雄飛させるための諸攻撃をいま矢継ぎ早に強行している。それらの総仕上げ≠ニして九条破棄を核心とする憲法改悪に突進しているのだ。
このような憲法改悪=戦争をやれる軍事強国≠ヨの突進にたいして、「連合」労働貴族はすでに実質上ひざまずき、日本共産党指導部は、反対の闘いを議会主義的かつ市民主義的に押し歪めている。こうした既成指導部の屈服と闘争歪曲をのりこえ、わが全学連と反戦青年委員会に結集する革命的労働者・学生は、「日米新軍事同盟の構築強化反対! 改憲阻止!」10・23労学統一行動を全国においてたたかいぬいた。この闘いこそは、既成反対運動の度し難い腐敗を突き破る烽火なのだ。野党共闘を自己目的化し、民進党・「連合」指導部とともに改憲の大濁流にのみこまれる共産党の不破=志位指導部を弾劾せよ!
いまこそわれわれは、日共中央の闘争歪曲と「連合」労働貴族どもによる闘争抑圧を許さず、改憲阻止・反戦反安保・日本型ネオファシズム体制強化反対の闘いを断固として創造しようではないか!
改憲にむけた総攻撃に突進する安倍政権
安倍は、憲法第九条の改定をなにがなんでもみずからの任期中に成しとげるために、総裁任期を延長させるのみならず、年明けに衆議院の解散・総選挙をおこない衆参両院の三分の二を再確保することをも企んでいる。
十月十九日に、自民党の党・政治制度改革実行本部の役員会は、党総裁の任期を「二期六年」から「三期九年」(ないし無期限)に延長するという党規約の変更を事実上決定した。安倍は、「任期延長」論者の二階や高村らを使って、自分が二〇二一年九月まで総裁=首相に居座れるように任期を引き延ばさせたのだ。
安倍は、総選挙での再度の圧勝≠狙って、開催中の臨時国会においては、国民受け≠キる諸課題を前面に陳列するとともに、人民の批判や反発が高まりつつある諸問題は後景におしかくすという術策を弄している。
これまで野党や「連合」指導部が掲げてきた「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」などの要求をかすめとり、「働き方改革」なるものとして前面におしだすとともに、残業代ゼロ・無制限働かせ放題の「高度プロフェッショナル制度」や資本家に解雇の自由を与える「解雇の金銭解決制度」などについてはこっそり後景化させた。さらに、「テロ等組織犯罪準備罪」という名の共謀罪新設の先送りや所得税の配偶者控除廃止の見送りをも早ばやと決めた。
それだけではない。安倍は、十二月十五日にみずからの地元・山口県で開く日露首脳会談において、「北方領土」問題をめぐってロシア権力者プーチンから何らかの「成果」をひきだすために、水面下での交渉を執拗に続けている。このかん安倍政権は、「(『北方領土』問題の)新しいアプローチ」などと吹聴しながら、日露首脳会談や外務次官レベルの交渉を幾度も積み重ねてきた。宇宙分野での協力や経済協力・援助と引き替えにプーチン政権から領土問題での譲歩をひきだし、今回の日露首脳会談において「戦後七十年にわたって続いている異常な状態を解決した首相」としてみずからをおしだす腹づもりなのだ。
安倍は国政選挙での再度の圧勝≠もぎ取るために、「働き方改革」を喧伝し「国民に寄り添う首相」としてみずからをおしだすとともに、「北方領土問題の歴史的解決」を大々的にキャンペーンする魂胆なのだ。民族排外主義を煽りたてつつ何度も「民意を問う」かたちをとって支持基盤を拡大強化していったナチスの手口そのものではないか。
他方で、この政権は、憲法審査会における改憲論議を、民進党を抱きこむかたちで本格的に開始することに躍起となっている。
十月十八日に、自民党憲法改正推進本部は全体会合を開き、民進党などが「撤回」を求めてきた自民党憲法草案(二〇一二年版)の扱いについて、「撤回しないが、そのまま憲法審査会に提案することもしない」という方針をうちだした。この決定≠ノとびついた民進党は、さっそく自民党(与党)とのあいだで衆院憲法審査会再開の日程調整に入った。
「論戦を挑み提案する党」を標榜する蓮舫の民進党は、「憲法審査会が開かれれば論議に参加する」と明言したうえで、このかんは「自民党憲法草案の撤回が前提だ」という立場をとってきた。この民進党を憲法審査会に引きずりこむためにのみ、安倍自民党は、かの草案を「棚上げ」にするかのようなポーズをとってみせたのだ。憲法審査会において、対案を提起させて摺り合わせ≠フ体裁をとり、そうすることによって民進党を改憲論議に深ぶかと抱きこむことを狙っているのが、狡猾な安倍にほかならない。
現時点で民進党執行部は、自民党との対抗上、「現行憲法が対案」(憲法調査会長・枝野)とか「九条は変える必要はない」(蓮舫)とかと主張してはいる。けれども党内では、九条改定積極推進論者たる前原・長島だけでなく、野田・細野らの生粋の改憲論者が多数を占めている。これを見た自民党は、「撤回はしないが提出もしない」という決定≠エサにして、民進党を改憲論議の土俵に引きこみ、そこにおいて民進党内の対立に楔を打ちこんでいこうとしているのだ。
「連合」の分断と労組破壊攻撃の強まり
安倍はまた、民進党の最大の支持団体である「連合」をも揺さぶり分断し、抱きこむ追求を強めている。
「憲法はしっかりと論議すべきだ」と公言している「連合」会長・神津。この輩を「強い日本」「強い経済」をシンボルとしたアベノミクス諸政策の遂行に協力させるために、安倍は、「働き方改革実現会議」に「労働者側代表」として招請し、神津は欣喜雀躍してこれに応じた。この政権は、「働き方改革」キャンペーンをも手段として、「改憲賛成」派であるUAゼンセン・基幹労連などの右派労働貴族どもをいっきにからめとり・もって「連合」そのものを分断しようとしているのだ。
その他方で、「連合」内でまがりなりにも「九条改憲反対」を掲げてきた日教組や自治労など平和フォーラム系の諸労組を破壊するための攻撃をふりおろしてもいる。先の参議院選挙に際して、自民党はみずからのホームページに偏向教育をおこなう教員≠フ通報を呼びかける密告フォーム≠掲載しただけではない。「中立性を逸脱した教員」に罰則(三年以下の懲役または一〇〇万円以下の罰金)を科すとする教育公務員特例法の改悪を彼らは狙っており、密告フォーム≠ナ収集した情報をこの教員弾圧法案≠策定する材料にするとほざいているのだ。
そしてなによりも、憲法改悪にたいして、その階級的本質を暴露しながら仁王立ちになって反撃の闘いをつくりだしてきているわが革命的左翼にたいして、憎悪をむき出しにして弾圧にのりだしてきているのが安倍政権にほかならない。
それだけではない。ネオ・ファシスト安倍とその手兵たる極右集団=「日本会議」は、「憲法改正の国民的世論の盛り上がり」なるものを捏造することを狙って、「草の根改憲運動」を着々と組織している。――「日本会議地方連盟」に所属する議員が主導しての都府県議会における「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」の決議。神社本庁などが中心になった「改憲賛同一〇〇〇万人署名」なるもの。そして左翼や労組を破壊することを狙った右翼ファシスト・ゴロツキ集団の組織化などだ。
先の参院選直後に安倍は、「わが党の案をベースにしながら三分の二を構築していく。それがまさに政治の技術だ」とうそぶいた。権謀術数を駆使した野党や産業報国会幹部のからめとり、「九条改憲反対」の労働組合や左翼・平和運動諸団体にたいする弾圧強化と破壊攻撃、ネオ・ファシズム運動の組織化――いまやナチスばりのあらゆる「政治の技術」を駆使して、九条破棄を最大の眼目とした憲法改悪に一路突進しはじめたのが、今ヒトラー=∴タ倍なのだ。
危機と腐敗をさらけだす既成反対運動
安倍政権が憲法改悪にむけて突進しているにもかかわらず、既成の反対運動は極めて危機的である。「連合」会長の神津は、「憲法はしっかりと議論すべきだ。改憲勢力が三分の二を占めたなかで、いっさい議論しないという方がおかしいだろう」と、民進党にたいして憲法審査会での論議に積極参加すべきことをうながしている。神津は、民進党の憲法政策や原発政策にタガ≠ェはめられることを恐れて、次の総選挙における民共共闘の放棄≠、民進党執行部に強力に迫ってもいる。
先の参院選において「連合」内の右派、とりわけ電力総連やUAゼンセンなどの労働貴族は、組織内候補に「改憲賛成」「九条を改憲すべき」と公然と表明させたうえで、傘下の組合員を官僚統制によってフル動員してその上位当選を実現した。彼ら右派労働貴族は、民進党内での相対的な地位の向上を基礎にして、蓮舫執行部にさらなる右方向への脱皮≠求めているのだ。新潟県知事選挙においては、電力総連に牽引された「連合新潟」は、「柏崎原発再稼働支持」の自民党推薦候補を公然と支持した。この「連合新潟」の決定に反して、終盤で「原発再稼働反対」の野党推薦候補の応援に踏みきった蓮舫執行部にたいして、「連合」中央や電力総連労働貴族は――みずからが支持した自民党推薦候補の敗北にいきりたち――「信義違反」を声高になじり、あからさまに恫喝している。
このような悪質右派労働貴族どもの制圧下で、「連合」内の旧総評系の諸労組指導部は総じて腰砕けになっている。自治労執行部は、八月に開かれた定期大会において「安倍政権や自民党が企図する『憲法改悪』を阻止するため、協力野党や協力国会議員との連携のもと……憲法審査会をはじめ、国会における取り組みを強化」すると提起したにすぎない。自治労がこのかんまがりなりにも掲げてきた「九条堅持」という文言すら消し去ったのだ。質疑において、「大衆運動の強化」を要請する代議員にたいして、「連合に意見反映をおこない、〔選挙にむけての〕野党共闘を強化する」という対応に終始したのが本部ダラ幹にほかならない。
また私鉄総連本部も今夏の定期大会において、改憲問題にかんしてまったくの無対応を決めこんだ。この総連本部への危機感に満ちた発言が次々となされたことに押されて、ようやく本部は「改憲・労働法制などの取り組みを平和フォーラムと協力してすすめていく」とアリバイ的に答弁したにすぎない。
「連合」指導部が、民進党を突きあげつつ、安倍政権のつくりだしている「改憲」の濁流にみずから身を投じようとしているなかで、「護憲」を掲げてきた平和フォーラム系諸労組の指導部は、完全に反発力≠喪失しているのだ。
日共の不破=志位指導部は、「立憲主義否定の自民党改憲案をベースにした議論など論外」ということをくりかえすだけで、臨時国会において憲法問題にかんする追及をほとんどおこなっていない。(もっぱら『しんぶん赤旗』紙上に民進党議員の発言を掲載しているだけなのだ。)
志位は言う。「この国会での野党共闘としては、国会論戦の中身で連携を強めていきたい」「そして総選挙での選挙協力を実現していく」と。憲法問題の追及に踏みこんでいけば民進党との違いが明らかとなり、「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対」を一致点とする四野党共闘に亀裂が生じかねない。――このような姑息な計算をおこなっているがゆえに、日共・不破=志位指導部は、安倍政権にたいする改憲問題での追及を意図的に手控えているのだ。いわんや「改憲阻止」の大衆運動の組織化などはまったく放棄し、衆院選挙にむけての学習運動と集票活動に党員・支持者を引き回しているだけなのだ。
「全労連」の日共系指導部もまた、日共中央の「市民と野党との共闘」という方針につき従って、労働組合運動をも「市民の運動」に解消している。「全労連」傘下の諸労組指導部は、「改憲反対のストライキ」などと叫びながらも、改憲反対の闘いを職場から組織し創造することを放棄している。衆院選にむけての「野党共闘維持」に狂奔する日共中央と「全労連」指導部は、このように「改憲反対」の闘いを自己規制≠オ、労働組合の闘いを議会主義的・市民主義的におし歪めているのだ。
まさにこの危機的な現実のなかにあって、あらゆる職場・地域・学園において、既成指導部の腐敗をのりこえ、「改憲阻止」の闘争を粘り強く大胆に創造しているのは、わが革命的左翼とたたかう労働者・学生のみなのだ。
いまこそ改憲反対闘争を階級的に強化せよ
安倍政権は、民進党を抱きこんで十一月中にも憲法審査会の論議を開始しようとしている。九条の改定を大目標としつつも、それにむけた入り口=突破口として緊急事態条項や選挙区の「合区解消」問題などをめぐる論議から開始することをたくらんでいるのだ。
「このままでは審議に応じられない」とほざいてきた日共も、速やかな審議開始に応じる姿勢をしめしている民進党の動きに合わせてズルズルと審議開始に引きずりこまれつつある。
われわれは、国会内でのかけひき・とりひきに終始するこれらの野党・とりわけ日本共産党指導部の腐敗を弾劾し、「改憲阻止」の闘いを、職場・学園から大きく力強くつくりだしていこうではないか。「市民と野党との共闘」をくりかえし叫びたて、そうすることによって、労働者階級の改憲阻止闘争の創造に敵対する日共中央を弾劾せよ!
安倍政権の改憲攻撃は、日本をアメリカとともに戦争をやれる国≠ヨと飛躍させるための攻撃そのものにほかならない。東アジアにおいては、朝鮮半島をめぐって、南シナ海をめぐって、米・日・韓―中・露・北の軍事的・政治的角逐が激化している。アメリカ帝国主義の権威失墜と統制力の喪失が露わとなるなかで、安倍政権は日本を一流の軍事強国へと飛躍させるための攻撃にいま突進しているのだ。
自衛隊PKO部隊への「駆けつけ警護」「宿営地共同防衛」などの任務付与を許すな! 南スーダンPKOへの派兵反対!
国家権力・機動隊による強権的弾圧に抗してたたかう沖縄労働者・人民と連帯して、高江オスプレイパッド・辺野古新基地建設を絶対に阻止しよう!
米・日・韓の対北朝鮮・対中国の臨戦態勢構築反対! 北朝鮮の核実験・ミサイル発射を弾劾せよ! 米―中・露の核軍事力増強競争に反対しよう!
安倍政権はまた、グローバル企業と化した日本の独占体・大企業の資本家どもの意を体して、TPP協定の批准・関連法の月内成立にしゃにむにつきすすんでいる。日本の農畜産業を壊滅に導くTPP協定批准を絶対に許すな!
安倍政権が人気取りのために掲げる「働き方改革」なるものは、労働者にさらなる生産性向上を強制するための働かせ方=搾りとり方改革∴ネ外の何ものでもない。残業代ゼロ・定額働かせ放題の日本版エグゼンプション制度の導入や「解雇の金銭解決制度」の新設を核心とする労働諸法制の大改悪を許すな! 安倍式働かせ方改革≠ノ協力する「連合」指導部を弾劾せよ!
「テロ等組織犯罪準備罪」という名の共謀罪創設を許すな! 日本型ネオ・ファシズム支配体制を強化する一切の反動諸攻撃を粉砕せよ!
労働者・人民の闘いを市民主義的に解体する日共指導部を弾劾し、いまこそ労働者階級を中軸とした反ファシズム統一戦線の創造のために奮闘しよう。日本型ネオ・ファシスト政権による戦争と貧困と暗黒支配の強制を許すな! <軍国日本の再興>に突進する安倍政権の打倒をめざしてたたかおう!
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