第2439号(2016年10月10日)の内容

<1面>
安倍式働かせ方改革≠ニ改憲総攻撃を打ち砕け!
<4面>
私鉄総連第83回定期大会
 本部の闘争放棄を弾劾し改憲阻止の闘いの高揚を!
<5面>
自治労連第38回定期大会
 「野党共闘」を手放しで賛美する本部を許さず闘おう
Topics 「党の自力」の後退を嘆く日共・志位
<6面>
アベ式「働き方改革」に迎合するJCメタル労働貴族
「デュアルユース」の名による軍学共同研究の推進
<2面>
原発・核開発に怒りの拳 9・22 代々木公園
<3面>
辺野古新基地・ヘリパッド建設阻止 9・28 日比谷
戦争法強行1周年大集会 9・19 名古屋
改憲止めろ 5000名が結集 9・19 大阪
<7面>
「中国の深刻な変質」を非難する代々木官僚の厚顔無恥

「核兵器禁止条約」阻止に狂奔する核保有五大国
<8面>
万華鏡2016――情勢の断層を読む
◆泥船の出航
◆ボクのすごい夢
◆国交樹立150周年
『新世紀』最新号(第285号)紹介
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
 「解放」最新号




































  


安倍式働かせ方改革≠ニ改憲総攻撃を打ち砕け!

 「沖縄の闘う労・学・市民と連帯して闘うぞ!」
(9・28、日比谷野音)
 首相・安倍は、開会された臨時国会の所信表明演説(九月二十六日)において、「憲法はどうあるべきかの案を国民に提示するのが国会議員の責任だ」とぶちあげ、憲法審査会において改憲案づくりを開始することを宣言した。これにたいして蓮舫を新たな代表に選出した民進党は、「安倍政権のもとでの改憲に反対」という岡田前執行部の方針を早々に投げ捨て、憲法審査会での改憲論議に応じようとしている。「連合」の神津=逢見執行部は、この蓮舫民進党を尻押ししつつ、みずからもまた「憲法は与野党でしっかりと論議すべき」と宣言して安倍による改憲ムードの醸成に棹さしている。「野党共闘の存続」に狂奔している日共・不破=志位指導部は、「自民党の『改憲案』をベースにした議論は論外」などと、民進党にあわせて条件闘争≠フ姿勢をうちだし、ずるずると改憲論議に引きこまれている。こうした野党と既成労組指導部の腐敗に助けられ支えられて、いまや安倍政権は、第九条の破棄と基本的人権条項の改悪を最大眼目とする日本型ネオ・ファシズム憲法への改定の道を突進しはじめている。
 この改憲への道を掃き清めるために、そしてアベノミクスの惨憺たる破綻をおしかくし人民の不満をかわすために、安倍政権はいま、「働き方改革」なるものを「今国会の最優先課題」と称して前面におしだしている。これまで「連合」や民進党(さらには日共)が掲げてきた政策をそのまま掠(かす)めとって「連合」・民進党を揺さぶり分断し、その傘下の労働者・人民をみずからの支持基盤として奪いとることを狙っているのが、ナチス的政治技術を学んだこのネオ・ファシスト政権なのだ。
 「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金の実現」などを看板にして喧伝されている、この「働き方改革」なるもの。――それは、耳あたりの良いキャッチフレーズを煙幕にして定額働かせ放題≠フ日本版エグゼンプション(労働時間規制適用除外)制度の創設や解雇規制緩和などの労働法制大改悪を実現し、それをつうじて独占諸資本による生産性向上の強制や賃金制度の改悪を促進することを狙った働かせ方≠フ大改悪にほかならない。
 こうした安倍政権の働かせ方改革≠ノ、「連合」指導部は、「積極的に参加する」などといって協力を申しでている。日本共産党とそれに従属した「全労連」指導部もまた、「本気でとりくむのなら実効性ある法規制を」などと、「改革」の土俵にのったうえで尻押し的「要請」をおこなうことに終始している。
 すべてのたたかう労働者諸君。「連合」労働貴族をはじめとする既成労組指導部の腐敗を弾劾し、「働き方改革」の名による労働法制大改悪を、憲法改悪とともに阻止するために、いまただちに闘いにたちあがろうではないか。TPP(環太平洋経済連携協定)批准や社会保障制度改悪を打ち砕け。アメリカとともに戦争をやれる国をつくりだすためのあらゆる攻撃を許すな。安倍ネオ・ファシスト政権を打倒する労働者階級の戦列をいまこそ強固にうちかためよう!

アベノミクス総破綻ののりきり

 衆参両院で改憲賛成派が三分の二の議席を確保したことに傲りたかぶる安倍は、憲法審査会の論議を今月中にも開催しようとしている。「自民党改憲草案を撤回せよ」という民進党や共産党の要求を表面上は突っぱねながら、「そのまま通るとは思っていない」「まとめていくのが政治の技術だ」などとほざいて民進党を揺さぶり、緊急事態条項の新設を突破口として改憲案づくりの現実的第一歩を踏みだそうとしているのだ。それとともに安倍は、みずからの手での九条改憲をなしとげるために、来年早々にも解散・総選挙にうってでて「三分の二」を再確保し、もって自己の自民党総裁任期を延長することをも狙っている。そのためにもこの今ヒトラーは、人民を騙し政権への「支持」を広げるために、インチキきわまりない「働き方改革」なるものを大々的に喧伝しているのだ。
 いまやアベノミクスの破綻は完全にあらわになった。日銀総裁・黒田は、「物価上昇率二%」の数値目標が達成できなかったのは「外的要因」のせいだと居直り、その達成を「時間がかかる」と「長期目標」にすり替えざるをえなくなった。黒田が新たにうちだした「長短金利操作付き量的質的金融緩和」と称する「新しい政策枠組みの導入」なるものは、みずからの「異次元の金融緩和」策、その破綻のりきりの窮余の一策として採ったマイナス金利政策の凄絶な破産を自認するものにほかならない。
 こうした金融緩和政策(アベノミクスの「第一の矢」)のパンクのゆえに、アベクロ・コンビは、いまや日銀とGPIFによる大量の日本株購入(日銀はETF=上場投資信託購入というかたちでのそれ)によって日本企業の株価下落をおしとどめ人為的につりあげることに躍起となっている。〔それによって日銀とGPIFなどの公的機関が日本の大企業の多く(東証一部上場企業の四分の一)で筆頭株主になる、という前代未聞の事態が生みだされてもいる。〕
 マイナス金利によって銀行から資金を借りやすくなった企業の設備投資が増加し、雇用も改善されて個人消費も拡大する、という彼らの宣伝文句の虚偽性は、いまや誰の目にも明らかとなった。
 政府の優遇策でボロ儲けした大企業は、内部留保を貯めるだけ貯めて(総計四〇〇兆円近く)、海外での投資やAI(人工知能)・IoT(あらゆるモノをインターネットで結びつけて管理する技術)などの新たな技術の研究開発に莫大な資金を投入している。その他面で、政府の「賃上げ要請」に応えるかたちをとって、「企業に大きな付加価値をもたらす」とみなしたエリート的な正社員にだけ少しの賃上げをほどこし、その他の大半の正社員にたいしては賃金を徹底的に抑制してきた。また正社員を削減し非正規雇用労働者に切り替えることをもつうじて人件費総額を削減してもきた。このゆえにいまや非正規雇用は全労働者の四〇%を超え、労働者間の賃金格差はますます拡大している。貧困率は先進国のなかで最悪の水準に達し、貯蓄ゼロ世帯や生活保護受給世帯が激増している。
 このようにアベノミクスの破綻がおしかくすこともできないほどに歴然としているなかで、この政権は、なおも「アベノミクスを加速化させる」と強弁しながら、大企業・独占体を全面的に支援する諸施策を続行している。
 第一には、リニア新幹線の前倒し建設などへの財政投融資の大盤振る舞いなど、膨大な国家累積債務を顧みない二八兆円もの大規模財政資金の撒布(低金利融資を含む)であり、第二には、軍需・原子力産業へのてこ入れと国家的なセールスの推進である。そして第三には、少子高齢社会・人口減少のもとで生産性を向上させていくための「第4次産業革命」の呼号であり、「欧米にくらべて立ち後れている」とみなしたIoT・AI・ビッグデータなどの技術開発・導入のための国家的プロジェクトの推進である。
 第四には、グローバル企業と化した日本の大企業が海外市場で荒稼ぎできるように、TPP――クリントンもトランプも口をそろえて反対しているがゆえにその発足が宙に浮いているそれ――にかんする協定の批准を急いでいるのだ。国内農畜産業を犠牲にすることをいとわず、大企業の参入をつうじて農業の第六次産業化(一次プラス二次プラス三次)をはかれば生き残れる≠ネどと叫びながら。
 そして第五に、日本経済の停滞を突破する「第三の矢・構造改革の柱」としてこの政権がおしだしているのが、「働く人の視点に立つ」などとウソ八百を並べたところのアベ式「働き方改革」なのである。

生産性向上のための働かせ方改革

 安倍政権は、九月二十七日に「働き方改革実現会議」の第一回会合を開いた。安倍は、この会議においては、もっぱら「長時間労働の是正」と「同一労働同一賃金の実現」をとりあげ、労働者・人民の「反対」にさらされている「高度プロフェッショナル制度」や「解雇の金銭解決制度」は「議題にしない」という姑息な術策を弄している。明らかに解散・総選挙のタイミングをはかって人気とり政策を前面におしだしているのだ。
 だが、安倍の言う「働き方改革」とは、人口減少下の日本において一億人民を「総活躍」という名でトコトン働かせ、生産性の向上を強制するための、そのための政策以外の何ものでもない。「働き方改革こそが労働生産性を改善するための最良の手段である」、「働き方改革は社会問題であるだけでなく経済問題である」――このような安倍の発言(九月二十七日)に、彼の狙う「働き方改革」なるものの本質がむきだしになっているではないか。

 エグゼンプション制度とワンセットの「長時間労働是正」策

 安倍は、「長時間労働の是正」のために三六(サブロク)協定(時間外労働にかんする労使協定)についての法的規制を講じる、とほざいている。
 日本の資本家どもは、現行労基法では「一日八時間・一週四〇時間」が労働時間の上限と定められているにもかかわらず、御用組合化させた企業内労働組合を手先とし同三六条の例外規定を最大限に活用して、先進資本主義諸国でも群を抜く長時間労働を労働者に強制してきた。政府・厚労省のザル規制をよいことに、大企業の多くが御用労組とのあいだで、月八〇時間から二〇〇時間(!)などというむちゃくちゃな「特別条項付き三六協定」を結んできたのだ(註)。安倍政権は、このような長時間労働の野放しがILOからも批判され社会問題化しているなかで、これを逆手にとり働く人の味方*ハをするために、「特別条項付き三六協定を規制し残業時間の上限を法律に明記する」と言いだしているのだ。
 これにたいして経団連の独占資本家どもは、「労働者保護と事業の継続性の両面から考える必要がある」、「一律に上限を規制すると問題が生じる」(会長・榊原)と一律規制≠ノ難色をしめしている。こうした独占資本家どもの意見を尊重≠オて、安倍政権は、製造業などの特定業種については適用除外にすることを検討するとともに、上限をなんと「月八〇時間〜一〇〇時間」前後に定めることを企んでいるのだ。なにが「長時間労働の是正」だ。八〇時間は厚労省認定の「過労死ライン」そのものである。まさに、「是正」の名による長時間労働へのお墨付き≠ノほかならないではないか。
 いやそもそも安倍政権は、これらの「規制」策を、「高度プロフェッショナル制度」という名の日本版エグゼンプション制度の創設や裁量労働制の適用対象の拡大(広範な営業職への拡大)などの労働時間法制の歴史的大改悪(それらを盛りこんだ労基法改定案をすでに国会に提出済み)をなしとげるためにこそ、いま鳴り物入りで宣伝しているのだ。
 経団連は、「働き方改革」の中心として「高度プロフェッショナル制度」の導入を強く求めている。「長時間労働の是正」などの「連合」も野党も反対できない(というより野党から丸ごとパクった)政策を前面に掲げつつ、それをエサにして、この資本家どもの要求どおりに労働時間規制の破壊=時間無制限・定額働かせ放題≠フ新制度を導入するというのが、わがネオ・ファシストの手口なのだ。
 しかも、すでに多くの大企業は、間接部門を中心にして、「労働生産性向上」と一体のものとして「ノー残業運動」を進めてもいる。「ダラダラ残業の根絶」・「メリハリのある働き方」などの標語のもとに彼らがおしすすめているのは、ICT(IoT)を活用しての労働過程の技術化であり、それをテコとしての人員の極限的な削減であり、AIやネットを使った労務管理強化とそれにもとづく労働強化にほかならない。いまやインターネットとモバイル端末(タブレットやスマホ)の普及によって、オフィスとそれ以外の場所との区別、労働時間と非労働時間との境目は限りなく曖昧にされつつある。テレワーク(在宅勤務)などは、ICTに縛られた疎外労働を、それにもかかわらず「自己裁量的・自律的な労働」などと労働者に思いこませて二十四時間自主的≠ノ働かせるものにほかならない。労働過程のICT化とそれにともなう就業・勤務形態の改変、これをつうじて労働者を徹底的にこき使い、生産性を高めると同時に賃金コストを引き下げる。――このような働かせ方改革≠独占諸資本はいまこぞってすすめている。こうした日本大企業の「労働生産性向上のための働き方改革」の追求を見据え、それを促すためにこそ、安倍政権は、残業割増賃金が発生する長時間労働の「是正」を叫びながら、それとセットで、こうした新たな就業・勤務形態にふさわしいとみなした「高度プロフェッショナル制度」の新設や裁量労働制の対象拡大をおこなおうとしているのだ。

 非正規という言葉をなくす「同一労働同一賃金」≠ネるもの

 安倍はまた、「非正規という言葉をこの国から一掃する」などとほざきながら、「同一労働同一賃金の実現」を喧伝している。だがそれは、「わが国の雇用慣行には十分に留意」し、「合理的理由のある賃金格差」を是認するという、労働者を愚弄する羊頭狗肉のそれでしかない。
 独占資本家どもは、産業別的・企業横断的に「職務内容が同一の労働者にたいして同一の賃金を支払う」ような「欧州型同一労働同一賃金」は「わが国の雇用慣行」にふさわしくない、とくりかえし叫びたてている。そのうえで、同一企業内に限って、「将来的な仕事・役割・貢献度の発揮期待」や「職務遂行能力」を加味したうえで「同一の付加価値を企業にもたらすと評価される労働にたいして同一の賃金を支払う」ことを「基本的考え方」として明示し、これを図々しくも「日本型同一労働同一賃金」などと称しておしだしている(経団連文書『同一労働同一賃金の実現に向けて』二〇一六年七月)。
 みずからが導入してきた「仕事・役割・貢献度」を基準とした賃金制度(や職能給制度)、これをむりやり「同一労働同一賃金」の「日本型」であるとこじつけているのが、独占資本家どもなのだ。たとえ同じ職務を担っているとしても、正社員と非正社員では役割や責任の重さが違い、企業の付加価値増大への貢献度も異なるのだから、両者の賃金に格差があって当然だ=\―このように傲然と開き直っているのである。
 独占資本家どものこうした傲岸な主張に応えて、「わが国の雇用慣行に十分留意」する、と確約しているのが、安倍政権なのである。その内実は、「合理的な格差」を認めるためのガイドラインを提示するというものであり、資本家どもの言うとおりに、「役割」・「責任度」・「会社への貢献度」・「キャリアコース」などを「加味」するということにほかならない。
 そもそも、すでに多くの大企業が、このかん「仕事・役割・貢献度賃金」の名において、幹部候補や研究開発・企画部門などの中核的正社員層にたいしては「成果・業績」に応じての賃金を支払い、企業業績の向上に大きな影響を与えないとみたてた非中核的な正社員層にたいしては、職務給型の賃金(同じ職務についているかぎり何年勤続しようとも賃金が上がらないようなそれ)にきりかえる、という賃金制度改革をこぞっておこなってきている。それをつうじて独占資本家どもは、企業としての賃金・人件費総額を劇的に減らしてきたのだ。彼らは、このような賃金制度改革をつうじて、圧倒的多数の正社員の賃金を非正社員並みの水準へと切り下げ、これを「均衡待遇への道」などとほざいているのである。このような独占諸資本の賃金制度改革に「留意」しつつ・それを促進するかたちでの「同一労働同一賃金の実現の法制化」を進めようとしているのが、安倍政権なのである。
 それだけではない。再び安倍政権のブレーンとして登用された竹中(未来投資会議)や八代(規制改革推進会議)などの新自由主義者たちや『日本経済新聞』などは、――日本の大企業が「希望退職」や「追い出し部屋」などの悪らつなやり方で正社員の首を切りまくってきたことには口をつぐみながら――企業が社員に長時間労働を強いたり非正規労働者を増やしたりせざるをえないのは、日本の正社員にたいする解雇規制が厳しすぎて業績の変動に対応して柔軟に正社員の首を切れないからだ≠ネどと黒を白と言いくるめるデマゴギーを吹きまくっている。この連中は、「長時間労働を解消し賃金格差を是正するためにも、正社員の解雇規制を緩和せよ」などと叫びたてているのだ。御用デマゴーグにこのような屁理屈を唱えさせながら、この政権は、「解雇の金銭解決制度」の法案作成をいま着々と進めているのだ。「格差是正」の名において「正社員の既得権益」なるものを剥奪する。――これこそが、安倍の言う「非正規という言葉を一掃する」ということの真意なのである。
 「労働生産性向上のための働き方改革」と称して、@形ばかりの「残業規制」とワンセットでの定額働かせ放題・残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の対象拡大)の導入、A「同一労働同一賃金」と銘うっての正社員の賃金支払い形態改悪とそれをテコとしての賃金水準の切り下げ、B限定正社員制度の普及やテレワークと称する柔軟な働かせ方≠フ拡大、C「解雇の金銭解決制度」の導入などを、まさしくワンパッケージ≠ナ一気に進めようとしているのが、「世界で一番企業が活躍しやすい国をつくる」を公言してきた安倍政権なのだ。それは、アベノミクスのパンクの果ての日本経済のデフレへの再突入と労働力人口の減少のもとで、「一億」人民を労働力として総動員し生産性向上を強制するための働かせ方=搾り取り方改革≠ニいうべきものにほかならない。

安倍政権に抱きこまれる「連合」指導部を弾劾せよ

 「連合」指導部は、安倍が設置した「働き方改革実現会議」に「連合」会長が「民間有識者議員」として招請されたことに欣喜雀躍し、このアベ式労働改革への参加と協力を申しでた。第一回会合に出席した会長・神津は、「法律をつくる前に審議会〔公労使三者方式の労働政策審議会〕できっちり詰めるべきだ」という注文≠つけつつも、「長時間労働是正」や「同一労働同一賃金」については「実現計画」策定に協力するという態度を表明した。安倍に一本釣りされた過去をもつ事務局長・逢見は、「政府が言う『働き方改革』が、私たちの求める方向と一致するなら、その議論にも積極的に加わっていきたい」と表明して、先頭を切って積極協力≠宣言した(九月七日のUAゼンセン大会)。JCメタル議長であり、自動車総連会長でもある相原は、「来春闘では働き方改革に重点を置く」という資本家どもの言い分に寄り添って=A早くも一七春闘において賃上げ要求を控える姿勢をちらつかせてもいる。「連合」労働貴族はいまや、「働き方改革」をつうじて「連合」をからめとり民進党の支持基盤としてはぶち壊す、という安倍の策略に完全にのせられつつあるのだ。
 他方、日本共産党指導部は、「長時間労働の是正に本気でとりくむのなら、残業時間の上限規制を法定化せよ」と尻押ししたり、「長時間労働をなくすと言うのなら、財界の理不尽な要求をはねのけ〔!〕、『残業代ゼロ法案』を撤回すべきです」(副委員長・市田の参議院代表質問)などと安倍にむかってひたすら哀願したりしている。「全労連」指導部も同様だ。彼らは、「政府が『同一労働同一賃金』の実現に踏み出されたことは一歩前進である」と誉めたたえ、それを「実効あるもの」にするための「要請」文書なるものをわざわざ安倍政権に提出しているほどなのだ。「同一労働同一賃金」にせよ「長時間労働是正」にせよ、みずからの要求をことごとく安倍政権にパクられたことのゆえに動揺し困惑し、ただただ尻押し的注文≠つけることしかできなくなっているのだ。まさに修正資本主義路線のなれのはて! そうすることによって彼らは、安倍政権による生産性向上のための働かせ方改革≠左から補完する存在になりはてているのである。
 アベ式「働き方改革」に棹さし、それを補完する対応に終始している既成労組指導部の腐敗を弾劾せよ。

改憲阻止・労働法制改悪反対の奔流を!

 中国経済の失速と新興諸国経済の危機の深まり、世界的同時不況への突入、円高の昂進とインバウンド需要の減退などのなかで、日本の諸独占体は、労働者の強搾取によってたんまり貯めこんだ膨大な資金(内部留保)を国内設備投資には回さず、国内労働者の人件費・賃金を引き上げることをあくまでも拒否している。こうした諸独占体のビヘイビアを見ながら安倍政権は、日本帝国主義の「稼ぐ力」を復活させ、もって軍事強国たるの経済的基盤をつくりだすために、金融緩和・株価つり上げ・財政資金撒布・税負担軽減・そしてTPP加盟などによって、大企業=独占体を全面的に支援する政策を矢継ぎ早に実行している。そして少子高齢化・人口減少のもとで労働参加率を高め生産性向上を実現する、そのための「第4次産業革命」を叫びながら、「一億総活躍」という名の<一億総搾り取り(福祉にかんしては一億総自助努力強制)社会>を構築しようとしているのが、このネオ・ファシスト政権なのだ。こうした政策の当面の最大環≠ニして位置づけられているのが「働き方改革」という名の生産性向上のための働かせ方改革=搾り取り方改革≠ノほかならない。
 われわれは、このような安倍政権による労働法制の歴史的大改悪を絶対に許してはならない。日本版エグゼンプション制度の導入や解雇の金銭解決制度の新設を阻止しよう。
 労働者・人民から諸権利を剥奪しさらなる貧窮と労働苦を強制するアベ式働かせ方改革=§J働法制改悪は、労働者・人民から基本的人権を剥奪し、侵略戦争とファシズム支配を強制する憲法改悪と完全に一体のものである。すべてのたたかう労働者は、既成指導部の闘争放棄・闘争歪曲をのりこえ、<労働法制大改悪反対・社会保障制度改悪反対・TPP協定批准反対・原発再稼働反対・アベノミクス粉砕>の政治経済闘争を、憲法改悪反対の闘争とともにただちにつくりだそうではないか。また沖縄の労働者・人民と連帯して、辺野古新基地建設・高江オスプレイパッド建設阻止の反戦・反安保の闘いを、ともにつくりだそう。すべてのたたかう労働者は、安倍政権によって支援された独占諸資本による首切り・賃下げ・賃金支払い形態改悪・労働強化などの攻撃を打ち砕くための創意的な闘いを創造しよう。安倍政権と独占資本家階級の反動総攻撃を打ち砕くために、いまこそ労働者階級の階級的団結を強化せよ!

(註)労働基準法第三六条では、使用者と労働者代表(過半数代表または過半数組合)が労使協定(いわゆる「三六協定」)を結ぶかぎり、使用者は第三二条で定められている「一日八時間・一週四〇時間」の上限を超えて労働者を働かせてよい、とされている。そのばあい、三六協定で決めることのできる残業時間の限度は、厚労省告示によって「月四五時間・年三六〇時間」とされてきた。だが同告示においては、「特別の事情」がありさえすれば一定期間この限度時間を超える残業についての三六協定を結ぶことができる、ともされている。これを「特別条項付き三六協定」と呼ぶ。
 八時間労働規制の例外条項としての労基法三六条と、その運用にかんする告示の「特別条項」規定。――この二重の仕掛けによって、日本政府は、資本家どもの労働者への超長時間労働の強制をすべて合法化≠オてきたのである。
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本部の闘争放棄を弾劾し改憲阻止の闘いの高揚を!


 私鉄総連第八十三回定期大会

 衆参両院で憲法改定発議可能な三分の二議席を獲得した安倍政権は、今、われわれの頭上に次々と反動諸攻撃をかけてきている。安保法を初適用した「駆けつけ警護」の実戦訓練の開始、テロ対策に名をかりた共謀罪の新設の企み、沖縄における辺野古新基地や高江へリパッドの建設強行。そして、九月二十六日に召集される臨時国会で憲法審査会を開催し、憲法第九条の破棄を核心とする明文改憲にむけて一気に突進しようとしているのだ。安倍政権の暴挙を許すな!
 このような危機的状況のなかにおいて、私鉄総連第八十三回定期大会は開催された(八月三〜四日、福島県郡山市)。私鉄総連本部は、このかん「憲法の立憲主義を守る」ことをまがりなりにも掲げてきたにもかかわらず、ネオ・ファシスト安倍政権がまさに改憲に突進せんとしているこんにちこのときに、反撃の闘いをまったく呼びかけていない。彼らは、改憲勢力が三分の二議席を確保したことに危機意識を何ひとつ表明することなく、参院選での組織内候補・森屋某の落選に意気消沈し、ただただ「反省」と「お詫び」を述べているだけなのだ。しかも「反省」の内実たるや、「組合役員のみが取り組みを先行する選挙戦だった」、このままでは「どのような候補者を擁立しても、私鉄総連の選挙闘争は勝利することはない」「方針を決めても何もできない、何もしない労働組合へと弱体化していく」(『私鉄新聞』第五十九号)などと、本部方針どおりに動かない傘下諸労組・組合員を、ダラ幹の高みから恫喝しているしろものなのだ。
 彼らは、タガのゆるんだ組織の現状に愕然とし、組織の立て直しのために「今後は組織対策・強化を最優先」し「たたかう私鉄総連」を取り戻す、と強調している。だがこれは空語でしかない。私鉄資本による低賃金と長時間労働の強制を粉砕するために、そして安倍政権の反動諸攻撃を打ち砕くために、私鉄諸労組・組合員の団結を強化したたかうのではなく、「私鉄産業の維持・発展のための交通政策」を政府にお願いするものへと私鉄労働運動の基本をねじまげてきたことこそが、私鉄総連の「弱体化」をまねいてきたのではないのか。にもかかわらずこのことを一顧だにせず、「たたかう私鉄総連」を取り戻す、と称して、「交通政策要求実現」運動をさらに徹底化し、国政選挙などで組織内候補を当選させることのできる組織へと私鉄総連をつくりなおすことを願望しているのが総連本部なのだ。彼らは今定期大会を、その第一歩たらしめようとしていたのだ。
 しかし大会では、代議員から、「今こそ、先輩たちがやってきた私鉄の平和運動の歴史と伝統にふまえた闘いを強化していかなければならない」と、安倍政権の改憲攻撃にたいする危機感を表明する発言があいついだ。このかん、「連合」指導部の抑圧に抗して、全国各地・各単産の職場において、革命的・戦闘的労働者たちが<戦争法反対・改憲阻止>の闘いを地道につくりだし、闘いの全国的な高揚をかちとってきた。こうした闘いに鼓舞され支えられながら、参加した代議員も「たたかう私鉄総連」としての取り組みを総連本部に迫ったのである。
 全国の私鉄の仲間たち! 定期大会での議論にふまえて、安倍政権による改憲攻撃を打ち砕くために奮闘しようではないか。

以下見出し

改憲攻撃にたいする危機感あふれる発言あいつぐ

本部に「改善基準告示」の改善を求める声が集中

「交渉重視の徹底化」で成果をあげたと強弁する本部

職場深部から安倍政権の総攻撃に反撃する闘いを!

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自治労連第38回定期大会

「野党共闘」を手放しで賛美する本部を許さず闘おう

 八月二十一日から二十三日の三日間、岡山にて自治労連第三十八回定期大会が開催された。改憲勢力が参議院の三分の二議席を制することを許してしまった危機的な情勢のもと開催された本大会において、自治労連本部は、危機感のカケラもなく「野党共闘」をひたすら賛美した。そして次なる選挙に向けて、組合員をさらなる「共同の拡大」に動員していくことを目論んで、各地方組織の役員に号令を発したのだ。

以下見出し

新たに「特別な任務」を提起


「野党共闘は不可避」と開き直り

「憲法をいかす」運動の悲惨な実態

賃金闘争を地域宣伝運動に解消

本部の闘争歪曲に抗し改憲を阻止しよう

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「中国の深刻な変質」を非難する代々木官僚の厚顔無恥


「覇権主義」となじりあう日共と中共

「中国はもはや平和・進歩勢力ではない」と断言

 日共の不破=志位指導部が中国共産党にたいする非難を声高に叫びはじめた。九月一日〜三日にマレーシア・クアラルンプールで開催された「第九回アジア政党国際会議(ICAPP)総会」の「宣言」をめぐって、日共が提起した「核兵器禁止条約の国際交渉の開始を呼びかける」という文言を加える修正案に頑強に反対した中国共産党にたいして「道理ない横暴なふるまい」だと公然と罵倒する記事を、九月五日付の『しんぶん赤旗』で大々的に掲載。『しんぶん赤旗・日曜版』九月十一日号の志位インタビューおよび日共六中総の幹部会報告(九月二十日)において、「少なくとも核兵器問題については、中国はもはや平和・進歩勢力の側にあるとはいえない」「覇権主義的なふるまいそのもの」だと断じるにいたったのだ。
 過去二回のICAPP総会では「宣言」に盛りこまれた「核兵器禁止条約……」の文言が、いったんは今回の「宣言」案にも書きこまれたにもかかわらず、中共の横車押しによって削られた。この事態に直面した志位らは、「国際会議の場で核兵器廃絶などの課題について協力する」という二〇〇八年の志位―胡錦濤会談での「合意」なるものを葵の御紋≠フつもりで中共代表団に示しつつ翻意を懇願したが、まったく聞きいれられないどころか逆に「自分たちの意見を押しつけるのは覇権主義だ」などと責めたてられる始末であった。
 三十五ヵ国・八十七政党(日本からは日共と民進党)が参加したICAPP総会を国際政治で活躍する晴れ舞台≠ニして位置づけて日共代表団団長としてのりこんだのが委員長・志位。総会に同席していた日本の民進党代表団の面前で、この中共の「道理ない横暴なふるまい」を黙認してひきさがるわけにはいかない。〔民進党代表・大野(参議院議員)はベトナム共産党代表団とともに、領土紛争問題を「国際法を基礎として解決する」という文言を「宣言」案から削除させようとした中共代表団にたいして猛抗議した。この部分については中共が折れて削除を撤回。〕志位はおのれの政治的メンツをかけて、中共を正面きって非難することに踏みきったのだ。

中共との区別だてに躍起の官僚的自己保身

 直接的には、次期衆院選挙に向けて民進党との「野党共闘」を「発展」させていくためにも、日共の票田を開拓していくためにも、代々木官僚は、安倍政権とそれに操られた右派マスコミによる「中国にたいして日本共産党がモノが言えない≠ゥのような宣伝」を打ち消し中共との区別だてをおしだすことに躍起になっている。それだけではない。二〇〇四年いらい中国を「社会主義をめざす国」と規定し、あたかも国際政治場裡で中国が平和勢力≠ニしての中心的役割を果たしているかのように描きだしてきたのが不破=志位指導部だ。このことの犯罪性をわが同盟が満天下に暴露し、中国の核軍事力増強を免罪する代々木官僚の反労働者性を徹底的に批判してきた。わが同盟の批判に多くの日共党員たちが共鳴している。代々木官僚がもっとも恐れているのは、党中央にたいする反逆の炎が下から燃えひろがることなのだ。
 官僚的自己保身にかられている彼らは、このかんなしくずし的に中国にたいして批判めいた態度をおしだしてきた。今回のICAPPの以前から、とりわけ昨秋の国連総会で「核兵器の禁止・廃絶に関する法的措置を議論する作業部会(OEWG)」を設置する決議案に中国が「断固反対」の姿勢をとったことを契機として、代々木官僚は、中国が他の核兵器保有国とともに「核兵器廃絶の条約化」にむけた「流れ」に「敵対する姿勢をいっそう強めている」と公言してきた(今年の原水禁大会・国際会議での副委員長・緒方の発言など)。南シナ海問題をめぐっても、中国「管轄権」を全面否定した仲裁裁判所の「裁定を受け入れること」、南シナ海での軍事演習や岩礁埋め立て・軍事施設建設の中止を中国政府に要求してきた。
 こうした代々木官僚の対応は、参院選などの選挙向けの票田開拓のために「中国にきっぱりモノを言ってきた党」として日共を売りこむための政治的宣伝としてなされてきた。いま彼らが開始したICAPPにおける中国共産党代表団のふるまいにたいする大々的な非難は、もはやそれにとどまるものではない。一九九八年の日・中両共産党の「関係正常化」以後の中共との関係を見直すことの公然たる宣言にほかならず、不破=志位指導部はまさにルビコンを渡った≠ニいうべきなのである。

日共を使い捨てにした中共・習近平指導部

 ICAPP総会で日共の「宣言」修正案をかたくなに拒みつづけた中共代表団は、彼らじしんが言明しているように、習近平指導部から「核兵器禁止条約の交渉開始」には絶対に賛成するな≠ニ厳命されていた。現在開会中の国連総会において「核兵器禁止条約について交渉する国際会議を二〇一七年に招集する」との決議案が提起されている。世界最強の米軍にキャッチアップすることをめざして核軍事力の増強に突進している習近平指導部は――核兵器保有五大国の他の諸国権力者と同様に――この提案をなんとしても葬りさろうとしている。このゆえに、たとえ中共じしんが前回・前々回のICAPP総会では「宣言」に「核兵器禁止条約」を支持する文言を盛りこむことに賛成してきたのだとしても、こと今回のタイミングでは、従来と同じ文言であったとしても断じて容認できなかったのだ。至上命令をくだされみずからの首がかかった中共代表団の小官僚どもは、刃向かってきた日共代表団に敵愾心を燃やして排撃することに躍起になったのだ。
 中共指導部にとって代々木共産党は、米・日離間政策を貫徹するために利用する駒≠ナしかなかった。とりわけ二〇〇二年に訪中した不破を当時の総書記=国家主席・江沢民が籠絡して以降、代々木共産党を戦争狂ブッシュのプードルであり靖国参拝を強行した小泉の政権を追及する尖兵たらしめた。胡錦濤の時代にはさらに、日中理論会談をおこなうなどして不破を北京に招き「先生、先生」などとおだてあげてきた。「マルクス主義理論家」として国際的に名を残すという妄執にとりつかれている老党首・不破の俗物根性をくすぐり、不破の号令一下で動く代々木共産党を中国の対外政策貫徹を日本において補完する下僕として最大限に利用してきたのだ。
 ところが、日・中両党は「良好な関係が発展している」から「言うべきことはきちんと言う」ことができるかのように錯覚した不破=志位指導部が、中国の対外政策・とりわけ尖閣諸島問題をめぐって干渉≠キる態度をとりはじめた。二〇一二年には、民主党政権下で日共を中国に顔が利く¢カ在として民主党・保守層に売りこむという魂胆にもとづいて「尖閣諸島の問題を解決するためには、外交交渉によって日本の領有の正当性を堂々と主張する」ことが「唯一の道である」などという「提案」をうちだした。尖閣諸島の国有化は「必要だ」と言い、これにたいする「中国側の対抗措置」を非難したり、中国の「防空識別圏」設定にたいしても「抗議」し「撤回」を要求するなどした。ちょうどこの時期に胡錦濤に代わって総書記の座についた習近平は、代々木官僚が中国の「核心的利益」に反する言動をとりはじめたとみなして業を煮やし、もはや政治的利用価値がなくなったと断定したといえる。江沢民・胡錦濤の時代におこなってきた「理論交流」をはじめとして日共にたいする一切の便宜≠烽ニりやめた。もはや日共にたいして聞く耳をもっている≠サぶりをする必要などみじんもない、というわけなのだ。

中国の「積極外交」を賛美し核軍拡を黙認してきた犯罪

 北京官僚にソデにされ逆上した不破=志位指導部が声高に中共批判をぶちあげたとしても、今のいままで中国の核軍事力増強に正面から反対せず、中国を平和勢力であるかのように描きだしてきたことの犯罪は消えはしない。このことの自己批判をぬきにした中国非難は、官僚的自己保身のための方便でしかないのである。
 中国が今になって「深刻な変質」をきたしたかのように言いなすことじたいがまったく噴飯物ではないか。不破=志位指導部はいったいこの十数年間、中国について何と言い・何をしてきたのか。
 「私たちは、この間の交流と研究の成果にもとづいて、中国が社会主義をめざす発展の軌道をすすんでいることを、日本共産党自身の自主的な判断として確認しています」(不破『党綱領の理論上の突破点について』、二〇〇五年)と不破=志位指導部は高らかに謳ってきた。両党関係の「正常化」をはかる交渉とその後の交流のなかで「中国の指導部の真剣さ、誠実さを確認」し、「中国の現在の指導部が社会主義の事業を真剣に追求できる勢力だという判断に到達」したのだ、と。
 核兵器問題にかんしては、二〇〇二年の不破訪中の際に、当時の総書記・江沢民から「中国は一貫して核兵器廃絶を主張してきた国だ」と言われたことをうのみにして、「原水爆禁止世界大会に、中国は毎年代表を送り、核兵器廃絶の国際的な運動の一翼を担っていることに、お礼をのべたいと思います」(不破『北京の五日間』、二〇〇二年)などとゴマをすってきた。〔最近では中国は原水禁大会に代表を送ってすらいないが、代々木官僚は右の評価を公式には変更してこなかった。〕中国権力者が「核兵器廃絶」とか「核兵器禁止条約の国際交渉を」とかをたまに口にしていたということをもって、代々木官僚が中国を「平和・進歩勢力」と描きだしていたまさにそのとき、当の江沢民指導部も胡錦濤指導部も核弾頭搭載の各種弾道ミサイルや戦略原潜やステルス戦闘機や空母などの大増強に一貫して突き進んでいたではないか。中国の対米対抗の核軍事力増強に反対することをぬきにして代々木官僚が掲げてきた「核兵器廃絶」なるものこそ、空語であり欺瞞なのである。
 不破=志位指導部は、「世界の平和のための積極外交」を発展させ「アジアでの平和の流れ」を大きく前進させている(不破『いまこの世界をどう見るか』、二〇〇五年)などと胡錦濤政権の外交政策を絶賛してきた。アメリカ帝国主義の「一超」世界支配を打ち破り「二十一世紀の超大国」に中国国家を飛躍させるという国家戦略にのっとって反米国際包囲網をつくりだしていくための「積極外交」を、右のように描きだすほどまでに中国の走狗の役割を果たしてきたのが代々木官僚なのである。

「不破綱領」の根幹を掘り崩すパンドラの箱

 代々木官僚が現在の習近平中国を核兵器固執勢力と実質上規定し・覇権主義的にふるまっているとまで断じたことは、「不破綱領」そのものの根幹を揺るがすパンドラの箱≠開けたことをも意味する。「覇権主義や大国主義が再現」され「社会主義への道から決定的に踏み外す危険」(志位『綱領教室 第2巻』、二〇一三年)が現実のものとなったと判断するのかどうかが、つまるところ中国国家を「社会主義をめざす国」と規定しつづけるのかどうかが、ただちに問われるのだからだ。「不破綱領」においては、「市場経済を通じて社会主義へ」という「(中国とベトナムの)社会主義をめざす新しい探求」が「二一世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとしている」と謳われている。中国を「覇権主義」と断罪することは、「不破綱領」に現実性があるかのように基礎づけるために描きだされているところの、この「世界史の重要な流れ」なるものがじつは虚構にほかならないことの自認に直結するのである。
 不破=志位指導部は、わが同盟の断固たる批判に感化された多くの日共党員たちが中国を「社会主義をめざす国」と規定することに断固として反対していることに揺さぶられている。このゆえに、中国の「市場経済を通じて社会主義へ」という路線は「世界的な普遍性がある道」であり「日本の未来、世界の未来のためにも、期待を持って注目してゆく」とほめそやしてきたことを、最近になってなしくずし的に軌道修正している。「中国の現状は、社会主義をめざす国としての典型的な姿を示しているものではない」「市場経済のもとでの資本主義の導入がおこなわれ、利潤第一主義が持ち込まれた」「社会的な格差の拡大や公害の深刻化をはじめ、さまざまな複雑な問題を生んでいる」(不破『党綱領の力点』、二〇一四年)などと言いなして、厚顔無恥にも「中国の現状は社会主義のモデルにはならない」ということをおしだしてすらいるのだ。
 こうしたなしくずし的な軌道修正は、「不破綱領」のパンクは認めることなくあくまでも護持し、つじつまあわせをしながらのりきるための、官僚主義的な保身術いがいのなにものでもない。修正資本主義に転向してもなおかつスターリニスト官僚の三つ子の魂百まで≠ニいうわけだ。不破=志位指導部がいかに中国非難をがなりたてようとも、「市場経済」への讃歌を奏でるネオ・スターリン主義者としては同じ穴のムジナでしかない。労働者人民に貧窮と圧政を強いながら核軍事力大増強に突進する北京スターリニスト官僚を弾劾せよ! 中共との区別だてを隠れ蓑にしながらイデオロギー的・路線的変節を深める日共・不破=志位指導部を追撃せよ!

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最新号紹介


新世紀The Communist第285号
2016年11月

改憲阻止・反戦闘争の高揚を! 闘いの指針をおくる

 ◆秋の臨時国会の冒頭、首相・安倍は、今国会で憲法審査会の審議を開始すると宣言した。日本を軍事強国へとおしあげていく野望に燃えて、九条破棄を本丸とする改憲攻撃にうってでている。民進党は、「ゼロベースでの審議」なる注文≠つけているにすぎない。日共中央は、「自衛隊解消」の基本政策をなしくずし的に放棄する道へとふみだした。今こそ、改憲の大濁流にのみこまれる既成反対運動をのりこえ、改憲阻止・反戦の闘いの大爆発をかちとろう。この闘いの武器として、本号を、すべてのたたかう労働者・学生におくる。
 ◆「憲法改悪・戦争同盟強化を阻止せよ」(無署名)は、北朝鮮・金正恩政権による核実験・ミサイル発射と中国による南シナ海の軍事要塞化の策動、これにたいする米日韓による対北朝鮮・対中国の臨戦態勢への突入――このことを的確に分析し、アジアにおいて激突する米(日)―中・露の相互対抗的な核軍事力増強競争に反対する反戦闘争を断固として推進せよと訴えている。
 「安倍政権の改憲総攻撃粉砕! 米―中・露角逐下の大戦勃発の危機を突き破れ」(山門鉄男)は、第五十四回国際反戦中央集会の基調報告だ。安倍政権の改憲総攻撃を打ち砕く闘いの指針を提起し、同志・山門は熱く訴えている。憲法改悪反対闘争は、「階級 対 階級の白熱的な政治闘争、反権力の闘いとして組織され推進されなければならない」、この黒田さんの提起を現在的にうけつぎ、「野党と市民との共闘」にうつつをぬかす日共の腐敗を弾劾し、議会主義・市民主義の錯誤をのりこえたたかおう、と。
 ◆「『違憲の自衛隊解消』を解消≠キる代々木官僚」(無署名)は、「自衛隊の段階的解消」政策をなしくずし的に放棄するにいたった日共の右翼的変質を徹底的に暴きだしている。不破=志位指導部は、「自衛隊を否定する日共」という安倍政権の政治的非難に屈服し、憲法九条の理念=専守防衛にふさわしい自衛隊の改革・活用≠党の代案として具体化する方向にふみだした。そのために、彼ら党官僚は、「戦闘部隊としての自衛隊の活用」を提言する日共御用学者を活用している。この右翼的腐敗は、参院選や都知事選で民進党にしがみつき政策的に迎合してきたことの帰結だ。理論的には「国家」や「国民」の階級性についてのマルクス主義的把握を完全になげすてていることをその根拠としている。論文はこのことを暴きだしている。
 ◆七月参院選での安倍政権の「勝利」と改憲反対運動の危機という否定的現実と対決し、これをくつがえすために、労働戦線から階級的反撃の闘いを創造する指針を提起しているのが、「労働者階級の団結でネオ・ファシズム的総攻撃を打ち砕け」(無署名)である。労働者・人民は、ブルジョア選挙とブルジョア議会の虚偽性にめざめ、階級的観点を喪失しアトミズム化した市民的個のつながり≠フ無力性を自覚しなければならない。日共官僚が吹聴する「野党と市民の共闘」の欺瞞性を暴きだし、「『自立した』バラバラの市民の投票行動≠ネどではなくして、労働者階級の階級的に団結した力」を現実に創造することこそが改憲を阻止することができるのだ。――このように力強く呼びかけている。
 「高江ヘリパッド建設・辺野古陸上部の工事再開を粉砕せよ」(沖縄県委員会)は、参院選直後に安倍政権が高揚する闘いへの階級的憎悪をむきだしにして強行した米軍基地建設を阻止する闘いの指針だ。七、八月と怒りに燃えた労働者・学生・住民が大結集したたかいぬいた高江現地での激闘の迫真にみちたドキュメントをあわせて掲載した。

タヒチでの熱き闘いの報告
 全学連派遣団

 ◆「ポリネシア独立をめざすマオイ人民と熱く連帯」は、全学連タヒチ派遣団の六月末から七月初めにかけての文字通り熱気にみちた闘いと交流の記録だ。フランス帝国主義による苛酷な植民地支配のもとにおかれ、度重なる核実験によって悲惨な核被害を強いられたマオイの人民。わが全学連派遣団は、彼らと腕を組み、歩き、語り、たたかった。マオイの、そして全世界の労働者・勤労人民と連帯し、革命的反戦闘争の炎をさらに赤々と燃やし波及させていく闘いを大きく前進させたのである。
 本号では、国際反戦集会にむけて世界各地の政党・団体・個人におくった海外アピール(英文)と、このアピールにこたえて寄せられた海外からのメッセージ(欧文)を掲載した。
 巻頭には、高江現地の激闘とタヒチにおける全学連派遣団の闘いを記録したカラーグラビアを掲載した。
 ◆「メガ物流局新設にともなう郵政大合理化を許すな」(赤司哉七)は、「統括局」の新設と「次世代区分機」の大量配備にともなって郵便内務において吹き荒れている首切り・強制配転・労働強化の一大合理化攻撃の実態を、構造的かつ全面的に暴きだしている。合理化攻撃に全面協力するJP労組本部労働貴族を弾劾し、職場から反撃の闘いをまきおこそうと呼びかけている。
 今秋の改憲阻止・反戦のわが闘いを創造する武器として、本号を大いに活用しよう。

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9・22 代々木公園 「原発再稼働阻止!」「戦争法撤廃!」
原発・核開発に怒りの拳 
「さようなら原発 さようなら戦争 大集会」

 九月二十二日、「さようなら原発 さようなら戦争 大集会」が代々木公園において開催され、「平和フォーラム」系の労働組合を中心に、九五〇〇名の労働者・学生・市民が結集した。
 まさにいま原発・核開発、安保強化、憲法改悪の反動総攻撃をふりおろす安倍政権への怒りと危機感に燃えて、結集した労働者・市民は、「原発再稼働阻止!」「戦争法撤廃!」「辺野古新基地・高江ヘリパッドの建設阻止!」の声を轟かせた。早稲田大学、国学院大学などの「首都圏学生ネット」の学生たちは、「原発・核開発阻止!」「日米グローバル侵略戦争同盟の構築反対!」の旗幟を鮮明に、集会の戦闘的高揚のために奮闘したのだ。
闘う学生が集会に戦闘的息吹(9月22日、代々木公園)
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9・28 日比谷
辺野古新基地・ヘリパッド建設阻止 
二五〇〇名の怒り声轟く
 九月二十八日、日比谷野外音楽堂において「日本政府による沖縄への弾圧を許さない集会」が開催された(主催は「止めよう! 辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会)。
 九月十六日に、安倍政権・国交省が沖縄県知事を相手どって提訴した「辺野古違法確認訴訟」の判決が下された。「普天間飛行場の被害を除去するには(辺野古)新施設等を建設する以外にはない」、「(埋め立て承認を)取り消すことによる不利益は日米間の信頼関係の破壊」だ、などと書きなぐられたこの判決文は、日米グローバル侵略戦争同盟を構築・強化せんとする安倍政権・NSCの意を受けて、福岡高裁那覇支部が作成した極反動的なしろものにほかならない。同時に安倍政権は、国家権力・機動隊を総動員して、高江で座り込み闘争をたたかう労働者・人民を暴力的に弾圧しながら、自衛隊ヘリによる資材搬入をも強行し問答無用でヘリパッド建設をおしすすめている。
 まさにいま反動性をむきだしにする安倍政権への怒りに燃えて、集会には二五〇〇名の労働者・人民が結集し、沖縄でたたかう労働者・人民と連帯して「辺野古新基地建設阻止!」「高江ヘリパッド建設阻止!」の声を轟かせた。早稲田大学、国学院大学などの「首都圏学生ネット」のたたかう学生たちは、「日米グローバル戦争同盟の構築反対」「ファシズム反対」の方向性をさししめしつつ、この日の集会・デモを反戦反安保の闘いとして燃えあがらせるために奮闘したのだ。
「基地撤去・安保破棄!」闘志みなぎらせ銀座に向けて進撃する学生デモ隊
(9月28日、東京)
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9・19 名古屋
労・学・市民二千名が決起
戦争法強行一周年大集会・デモ 
 戦争法制定から一年の九月十九日、名古屋市・白川公園で「安倍内閣の暴走を止めよう共同行動実行委員会」主催の、「安倍内閣の暴走を止めよう! あいち集会 9・19戦争法強行一周年大集会・デモ」がおこなわれた。安倍政権が憲法改悪と安保強化に突進するただなかで、二〇〇〇名の労働者・学生・市民が結集した。
 デモにおいてたたかう愛大・名大生は、労働者・市民とともに横断幕やのぼりを掲げ、憲法改悪や日米グローバル戦争同盟の構築・強化、日本型ネオ・ファシズム支配体制の強化に反対すべきことなどを訴えてたたかった。このたたかう学生の横断幕や「辺野古反動判決弾劾! ファシズム的弾圧を許すな!」と書かれたのぼりなどを立ち止まって見ながら、労働者が次々に仲間と話を始めるという光景もうみだされたのだ。
闘う学生が改憲阻止・安保粉砕を訴えつつデモ
(9・19、名古屋)
労働者と共に奮闘する愛大・名大の闘う学生
(9・19、名古屋)
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9・19 大阪
改憲止めろ 5000名が結集 
 「おおさか総がかり集会」
 戦争法の強行採決一周年にあたる九月十九日、安倍ネオ・ファシスト政権が、改憲発議に必要な三分の二議席を改憲勢力≠ナ制圧し、いよいよ改憲に向かって突進しようとしているただなかで、「改憲許すな! 戦争法を廃止へ! 9・19おおさか総がかり集会」が開催された〔戦争をさせない一〇〇〇人委員会(大阪平和人権センター)と大阪憲法会議、諸市民団体などで構成する「おおさか総がかり実行委員会」が主催〕。
 集会場である大阪市内の靱(うつぼ)公園に、労働者が組合旗を手に続々と結集してくる。わが同盟情宣隊は、「改憲を容認する『連合』神津指導部弾劾!『自衛隊の解消』を解消≠キる日共・不破=志位指導部の階級的裏切りを許すな! 改憲阻止・反戦反安保闘争をたたかおう!」「反ファシズム統一戦線を構築し、安倍政権を打倒しよう!」と訴えるビラを、集会に参加する労働者にくまなく手渡していった。わが全学連関西共闘のたたかう学生は、本闘争の方向性をさししめす「改憲阻止! 戦争法撤廃! 安倍政権を打倒しよう!」と大書した大横断幕を掲げ断固として登場した。
 この日の闘いを、全学連関西共闘の学生は「日米グローバル戦争同盟構築・強化反対」「安倍政権を打倒せよ!」と闘いの方向性をさししめし断固としてたたかった。労働戦線の深部でたたかうわが仲間たちは、既成労組指導部の抑圧に抗して、改憲阻止・戦争法撤廃を課題とする組合運動を創造し、この日の集会に多くの組合員とともに結集した。
結集した労働者・市民に闘う学生が大横断幕を掲げて檄
(9月19日、大阪・靱公園)
会場の靱公園を埋めつくした労働者・学生・市民(9・19)
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