「一超」帝国の没落をうつしだすアメリカ大統領選挙
<戦争と貧困>の強制に抗する全世界の労働者人民と連帯し闘おう!
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<9・19> 国会前に「南スーダン派兵阻止! 戦争法撤廃!」
2万3千人の先頭で闘う学生が奮闘 |
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9・14沖縄・高江 自衛隊ヘリ投入を弾劾し起つ |
アメリカ大統領選挙は、十一月八日の投票日まで二ヵ月を切った。民主党候補ヒラリー・クリントンと共和党候補ドナルド・トランプの支持率は拮抗している。
今日のアメリカ帝国主義国家は出口のない経済危機にはまりこんでいる。巷には、生活苦にあえぐ労働者人民の資産家・富裕層にたいする怨嗟の声があふれている。外にあっては、「二十一世紀の超大国」に成りあがりつつある習近平の中国、およびこれと結託したプーチンのロシアによる挑戦に揺さぶられ、またISその他のムスリム武装勢力による反逆にさらされてもいる。クリントンとトランプとの泥仕合にひとしい対立は、歴史的没落にあえぐ老帝国主義国家アメリカの生き残りをめぐっての支配階級内部の対立をうつしだしているのだ。
従来のアメリカ大統領選挙では、独占資本家階級の特定部分や保守的白人層などの利害を体する共和党候補と、資本家階級内のリベラル部分や労働組合指導部や黒人などの利害を体する民主党候補とが対立してきた。この対立図式そのものがこわれつつある。既成の共和党主流派の政治家たちに対抗して予備選に立候補した成金資産家のトランプが共和党候補に成りあがった。この男が、民主党のクリントンを「大企業と大手メディアと大口献金者の操り人形だ」と烙印し、自分こそが「既成政治家」にかわって民衆の側に立つ者であるかのようにおしだしているのだ。かたやクリントンは政治家としての「実績と経験」を宣伝するが、オバマ政権下で生活苦にあえいできた労働者人民にとって、それは逆に反発をかきたてるものでしかない。かくして、労働者階級の一部は、みずからの虐げられた現状を打開する道をトランプの大統領就任にみいだしつつあるかにみえる。移民やムスリムにたいする排外主義的言辞をトランプがくりかえしてきたにもかかわらず! そして、トランプもまた大富豪であり支配階級の代弁者であるにもかかわらず! これは、アメリカ労働者階級の悲劇である。
われわれは、<戦争と貧困>の強制にあえぎ怒りをたぎらせているアメリカ労働者階級と連帯し、労働者階級の利害を守る闘いの創造を呼びかける。と同時に、わが日本における反戦反安保の闘いをいっそう力強く推進するのでなければならない。
アメリカ人民の被害者意識をナショナリスティックにかきたてるトランプ
生活苦にあえぐ労働者人民
AFL‐CIO執行部の腐敗を弾劾せよ! アメリカ労働者階級は今こそ起ちあがれ!
一二五〇万人の労組員を擁するAFL‐CIOの執行部は、クリントンを「労働運動の擁護者だ」と称して、大統領候補に推薦した。こうしたAFL‐CIO執行部の「指導」に、多くの下部組合員たちは、もはや愛想をつかしている。そもそも、ブッシュのイラク戦争を公然と支持したのがAFL‐CIO執行部だ。リストラにともなう人員削減・賃金削減・労働強化・等々の資本家の諸攻撃を、階級協調路線にもとづいて、何もたたかうことなく受けいれてきたのも彼ら労働貴族だ。
こうした執行部の「クリントン支持」に反旗をひるがえし、またトランプの排外主義的煽動にも危機意識をたぎらせて、一部の労組員たちは、自称「民主社会主義者」の上院議員バーニー・サンダースを「大統領候補にふさわしい人物」として民主党予備選挙で擁立した。サンダースは、クリントンを「ウォール街の代弁者」と断じ、「富裕層への課税強化」「最低賃金の時給七・二五ドルから一五ドルへの引き上げ」「TPP反対」「公立大学の学費無料化」等々の「公約」を掲げた。「草の根」からの運動に支えられて、サンダースはクリントンに迫る勢いを示した。しかし、民主党大会では、(権謀術数を駆使した予備選運営をもつうじて)クリントン推薦が最終的に決められた。サンダース自身も、「反トランプの党内団結のため」と称して、最終盤で「クリントン支持」を表明した。(これに反発したサンダース支持者のなかには、クリントンではなくトランプの選挙運動をはじめる者さえあらわれた。)
こうした経緯をたどった「サンダース旋風」を継続させることに、労働者たち、とりわけ若い労働者や学生が期待をよせているかのようである。(サンダースの提唱のもとに、「私たちの革命」という運動体が組織されつつある。)
だがしかし、「時給一五ドル」などの諸要求を実現するために、それを実現してくれそうな政治家を大統領候補にかつぐというのは、「多数決」原理にもとづくブルジョア民主主義とその選挙制度の虚偽性にかんする、あまりにも底抜けの幻想にみちた願望である。労働者階級は、クリントンやトランプに、またサンダースにみずからの未来を託すのではなく、帝国主義国家による<戦争と貧困>の強制をみずからの階級的団結にもとづく闘いをもって打ち砕くべきなのだ。かの「ウォール街占拠(オキュパイ)」運動と同様に、「サンダースを大統領に!」運動もまた、階級闘争の萎靡沈滞のうえに咲くあだ花にすぎない。
今日のアメリカ労働者階級は、共和党にも民主党にも愛想をつかしている。しかし、みずからの虐げられた現状をみずからが主体になって突破するための指針と精神的武器を喪失しているがゆえに、トランプに未来を託したり、トランプよりはクリントンの方がマシと考えたり、あるいはまた第三の候補≠ノ望みを託したりしているのだ。こうした脱イデオロギー化≠ノもとづく混迷を突破し、労働者階級の自己解放の武器としてのマルクス主義を今こそ根づかせるのでなければならない。AFL‐CIOの腐敗した労働貴族をのりこえる・革命的マルクス主義でみずからを武装した・前衛を、労働者階級の内部に確固として創造することが絶対に必要だ。このことをわれわれはアメリカのたたかう労働者たちに呼びかけるとともに、日本の地で国際的に連帯してたたかわなければならない。
アメリカ国家が大統領選挙の喧噪につつまれているすきをついて、中・露の権力者は、南シナ海で合同軍事演習を開始し(九月十二日)揺さぶりをかけている。北朝鮮・金正恩政権は五度目の核実験を強行した(九月九日)。こうした動向に危機感を募らせている日本帝国主義権力者・安倍は、「安保関連法に今こそ血を通わせる」「世界の平和と安定にこれまで以上に貢献していく」と宣言した(九月十二日、自衛隊高級幹部会合)。安倍は、次期大統領が誰になろうとも、没落帝国主義アメリカにひたすらつきしたがって、対中(露)・対ISの侵略戦争を米日共同で遂行しうる軍事強国に日本国家を飛躍させる決意をあらためて表明したのだ。
われわれは、苦悶するアメリカの・全世界の・労働者人民と連帯して、この日本の地において反戦・反安保闘争をさらに力強く推進してゆかねばならない。
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