第2410号(2016年3月21日)の内容

<1面>
原発・核開発反対闘争の高揚を!
東日本大震災・福島原発事故五周年
安倍政権の被災民切り捨て弾劾!
原発再稼働・原発輸出を許すな!
<4〜5面>
2016春闘の高揚を!
「グローバル経営」を楯にした生産性向上と賃金抑制の宣言
 経団連『経労委報告』批判
<6〜7面>
郵政 大幅一律賃上げ獲得!
春闘の爆発をかちとれ
Topics 学校運営体制のネオ・ファシズム的再編の企み――文科省プラン
介護保険制度の大改悪を許すな
<8面>
私鉄 「交通政策要求実現」運動への歪曲を許さず闘おう
<3面>
2・7労働者怒りの総決起集会 革マル派連帯挨拶
 安倍ネオ・ファシスト政権の〈貧困強制〉を打ち砕け
<2面>
国際短信 英トライデント反対運動が高揚
「停波」恫喝による政府批判圧殺
史上最大規模の米韓合同軍事演習

 「解放」最新号





























  


原発・核開発反対闘争の高揚を!

東日本大震災・福島原発事故五周年

 安倍政権の被災民切り捨て弾劾!

 原発再稼働・原発輸出を許すな!

 マグニチュード9・0の東日本大地震・大津波と、これに直撃されてひきおこされた東京電力福島第一原子力発電所の炉心溶融・爆発事故から五年の歳月が流れた。この地震・津波と原発事故(人災)とが重層した大惨事が日本人民にもたらした深い傷は、なお癒えてはいない。いや、いよいよ深くなっているとさえ言える。
 岩手・宮城・福島の東北三県合わせて一七万四〇〇〇人もの労働者・人民が、今なお仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされている。このうち、原発事故による放射能汚染のゆえに、福島県では最多の一〇万人の人民が避難をつづけている。大震災当時の民主党政権と、とりわけその後に登場したネオ・ファシスト安倍の自民党政権が、「東北の復興」の名において、もっぱら日本帝国主義経済の危機突破のための独占資本支援策をとり、被災人民を見殺しにしてきたことこそが、この事態を現出させているのである。
 しかもいま安倍政権は、今後の五年間を「復興・創生期間」などと位置づけ、被災人民を新たな苦難にたたきこもうとしている。福島においては、「年二〇_シーベルト以下は安全」と強弁して次々に「避難指示」を解除し・賠償をうち切るという施策を実施している。帰還して放射線被曝に脅えながら生活するのか、それとも帰還せずにいっそうの経済的困窮を耐えしのぶのか、この二者択一を安倍政権は被災人民に迫っているのだ。原発事故被災人民を帰るも地獄、帰らぬも地獄≠フ谷底に突き落とし、この犠牲のうえに安倍政権は、二〇二〇年の東京オリンピックをシンボルとした「復興の新たなステージ」(「施政方針演説」)を演出しようとしているのである。
 それだけではない。安倍政権は、福島の核惨事をもたらした歴代自民党政権の責任に頬かむりするばかりか、「原発事故の経験を生かした世界最高の技術を獲得した」などと居直り、収束のメドすらたたない福島第一原発事故の現状を隠蔽して、停止中原発の再稼働と原発輸出に狂奔している。川内、高浜、伊方の原発所在地をはじめとする原発反対の圧倒的な世論と運動を、原発の即時廃止を求める原発事故被災人民の血叫びを踏みにじるこの策動は、第二、第三のフクシマ≠もたらしかねない犯罪にほかならない。
 一流の軍事強国への日本帝国主義国家の飛躍をめざす安倍政権は、潜在的核兵器保有国としての技術的基盤の維持・強化と「エネルギー安全保障」を実現するという国家戦略にもとづいて原発推進策動にうって出ている。これにたいして、われわれは新たな決意のもとに、日共系の「エネルギー政策転換」要求運動をのりこえ、原発・核開発反対闘争の巨大な前進をもって応えるのでなければならない。
 原発事故被災人民への賠償打ち切り=帰還強制反対! 停止中原発の再稼働・原発輸出阻止! すべての原発・核燃料サイクル施設を即時停止し・廃棄せよ!

以下見出し

続く放射性物質の流出――危機を深める福島第一原発

避難指示解除・賠償打ち切り=新たな棄民政策

軍事強国化を企み原発・核開発に突進する安倍政権

すべての原発・核燃施設を即時停止し・廃棄せよ!

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「グローバル経営」を楯にした生産性向上と賃金抑制の宣言


経団連『一六年版経労委報告』批判

A アベノミクス破綻のもとでの労働者への犠牲転嫁

 二〇一六年春闘の集中回答日を目前にして、世界同時不況の深刻化とアベノミクスの破綻はいよいよ露わになり、安倍政権が捏造してきた「賃上げ」ムードは完全に消し飛んだ。独占資本家どもは、口ぐちに「経済の先行きは不透明だ」と叫びたて、「連合」系諸労組の超低額の「賃上げ要求」をも大幅に下まわる回答で抑えこもうとしている。
 中国経済の減速、原油安・資源安による新興諸国経済の危機、シェールガス企業の相次ぐ倒産などによるアメリカ経済の失速、これらによる世界同時株安・同時不況の一挙的亢進のもとで、安倍に指示された黒田日銀当局は、円安と株高を維持するために「マイナス金利」という窮余の一策をうちだした。だが、その効果は三日ともたず、円高への逆ブレと株価低落を招いて大失敗に終わった。いまやアベノミクス(アベクロミクス)は凄絶な破綻を刻印されたのだ。GDP成長率はふたたびマイナスへと転じ(一五年第4四半期速報値マイナス〇・四%)、「アベノミクスの第二ラウンド」と銘うってうちだされた「GDP六〇〇兆円」というアドバルーンは一瞬にして泡と消えた。
 露骨な大企業支援策を次々に繰りだしてきた安倍政権を最良の政権≠ニみて支えてきた独占ブルジョアども。彼らは、当初は安倍の「賃上げ」要請(アベノミクスの破産を覆い隠すためのそれ)にたいして「デフレ脱却という社会的要請を考慮する」「昨年以上の賃上げを」と応えてはみせた。だがいまや、世界的同時不況の進展とアベノミクスの破綻を突きつけられた独占資本家どもは、そうしたリップサービスをおこなう余裕すら失っている。
 米・欧・中の政治的軍事的=経済的角逐――経済的には中国によるAIIB創設とアメリカ中心のTPP創設との激突≠ニして象徴的にあらわれているところのそれ――のもとで激化するグローバルかつボーダレスな企業間競争。この競争に生き残るために独占資本家どもはいま、国内での事業展開に見切りをつけつつ、海外市場で競り勝つための新規設備投資・M&Aや研究開発投資にしゃにむに資金を投入するとともに、安倍政権にたいして兵器・原発・インフラ(新幹線等)などのトップセールスによる海外売り込みを求めている。そして国内においては、「このままでは外国企業と戦える競争力を維持できない」と脅して法人税減税や解雇規制・労働時間規制の緩和=撤廃などを政府にたいして強く求めながら、みずからは事業の整理・再編と「総額人件費」の削減に狂奔している。それゆえに今春闘では、膨大な内部留保を貯めこんでいる「好業績」の独占体の経営者さえもが、わずかばかりの「賃上げ」もどきに抑えこもうとしているのだ。
 じっさい「日本のリーディング企業」を自任するトヨタ、その御用労組の指導部は、「連合」の要求基準の「二%程度」を大幅に下回る「三〇〇〇円」(率にして〇・八%程度)という超低額要求をうちだし、グループ傘下諸労組(トヨタ労連)にこの数字をおしつけた。二兆八〇〇〇億円という史上空前の営業利益(内部留保は約一六兆円!)をむさぼり、「世界一の自動車メーカー」たることを誇示しているトヨタの経営陣は、この十分に御主人様≠フ意志を忖度した労組の超低額要求を「高すぎる」と一喝する、というかたちをとって、「二〇〇〇円」前後の回答で終結させようとしている。
 だがこれでは、またしても実質賃金の低下を強いられるではないか。われわれは、労働者を愚弄するこのような賃金抑制の儀式を絶対に許してはならない。
 アベノミクス諸政策とそれに尻押しされた独占諸資本の強搾取のもとで、労働者・人民はかつてない貧困と労働苦を強制されている。日銀・黒田当局の「異次元の金融緩和」なるものによって促進された円安と株高は、輸出関連独占体と外国の機関投機屋、一部の富裕層だけに莫大な富をもたらした。法人税減税などの安倍政権の徹底した独占体優遇策のもとで、トヨタをはじめとする諸独占体は莫大な利益を積み上げ、大企業の内部留保は三五〇兆円超にまで達した。怒りなくして語ることのできないこの巨利・暴利の貯めこみは、じつに独占資本家どもが無慈悲に強行してきた労働者にたいする首切り・雇用形態改悪・賃金切り下げと徹底した労働強化の産物にほかならない! 労働者・人民は、独占資本の強搾取にさらされただけでなく、消費税増税や社会保障費負担の増大、円安誘導による輸入産品価格の値上げなどの収奪強化によって、耐え難い貧窮化を強いられている。実質賃金は四年続けて下がり、名目年収は、ここ十五年間で平均五〇万円以上も削られた。いまや非正規雇用が全労働者の四〇%を超え、貯蓄ゼロ世帯は三割以上(二十代〜三十代)に達している。
 「世界で一番企業が活躍しやすい国をつくる」と宣言した安倍政権のもとで、日本はまさに大企業パラダイス≠ノ改造され、アメリカに次ぐ過酷な超格差社会≠ェもたらされた。デタラメな「トリクルダウン」ストーリーの誰の目にも明白な崩壊をつきつけられた安倍は、人民の不満をかわすために、なおも「一億総活躍社会」「GDP六〇〇兆円」「希望出生率一・八」「介護離職ゼロ」、はては「同一労働同一賃金」といった、スーパーの大売り出しのごとき粗悪なキャッチコピーを次々に乱発してきた。おまけに万策尽きはてた日銀の「マイナス金利」策によって、自己防衛に駆られた市中銀行は個人預金の利率引き下げ・実質上のマイナス金利(手数料引き上げ)に走り、勤労人民はさらなる収奪にさらされている。
 世界同時不況とアベノミクスの破綻のもとで、日本帝国主義経済はいま、絶体絶命の袋小路に突きあたっているのである。まさにそれゆえにこそ独占資本家どもは、この危機からの脱出を求めて、賃金抑制をはじめとする労働者・人民への犠牲転嫁になりふりかまわずうってでているのだ。
 こうした現時点における日本独占資本家階級の身勝手きわまりない情勢の脚色と危機突破の策略を、とりわけ悪らつな賃金抑制と生産性向上強制の手口を全面的に披瀝したもの。――それが、経団連『二〇一六年版 経営労働政策特別委員会報告』(以下『経労委報告』と記す)にほかならない。

以下見出し

B 人口減少下の一億総搾り取り$骭セ

「産業衰退」への独占資本家的危機感

「労働力の『量』と『質』の両面からの確保」!?

C 「人件費抑制」の詐術と詭弁

賃上げ抑えこみのための屁理屈

「グローバル基準」をふりかざした賃金制度改革

D 「労働生産性向上」の大号令

付加価値生産性至上主義

アメリカ式の「働き方改革」

E 「良好な労使関係」への傲りと過信

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大幅一律賃上げ獲得!

 
 郵政16春闘の爆発をかちとれ

 今春闘にあたって西室郵政経営陣は、賃上げどころではない、という姿勢を露骨に示している。経営陣は、アベノミクスの破産にもとづく株価の下落と日銀のマイナス金利政策に直撃されて、郵政グループの収益性の悪化が明らかとなり、動揺をあらわにしている。この難局をのりきるために彼らは、賃金抑制攻撃を強めると同時に、リストラ・合理化に拍車をかけているのだ。
 この経営陣の窮状を察して超低額要求を掲げたのが、JP労組本部労働貴族にほかならない。正社員の基準内賃金一人平均たった六〇〇〇円の引き上げ要求なのだ。本部は、非正規雇用労働者の処遇改善を「今春闘の目玉」とおしだしてはいる。だがそれらは、「人材確保の壁」にぶち当たっている会社当局の労務政策を下支えするかたちで、要員確保に結びつくように、時間給四十円アップや一時金の改善要求を掲げたにすぎない。まったく非正規雇用労働者をバカにしきった要求ではないか。本部の春闘要求は、極限的な生活苦・労働苦のもとで呻吟している郵政労働者の現実とはあまりにもかけ離れているのだ。
 本部は、今春闘を事業発展のため≠フものへと歪めるだけでなく、今夏の参議院選で組織内候補・なんばを当選させることを今春闘の最重要課題として位置づけ、賃上げ交渉は早ばやと(三月中旬に)終わらせようとしている。これを断じて許すな。
 世界大的戦乱勃発の危機が高まり、安倍政権による憲法改悪などの極反動攻撃が吹きあれている今こそ、郵政のたたかう労働者は、<戦争と貧窮とファシズム>の強制を突き破るために、一六春闘を渾身の力でたたかおうではないか。本部の超低額要求を弾劾し、大幅一律賃上げをかちとろう。そして本部による参議院選挙カンパニアへの歪曲を許さず郵政春闘の戦闘的爆発をかちとろう。

(以下、見出し)

T アベノミクスの破産に直撃され賃金抑制攻撃を強める郵政経営陣

合理化の推進と「新人事・給与制度」の徹底化

「支払い能力」論を持ちだし経営陣に呼応する労組本部

U 会社発展のための春闘≠ヨと歪曲する本部労働貴族弾劾

労働者の生活実態を無視した超低額要求

「格差是正」要求の欺瞞性

「職場課題の解消」方針のインチキ

安倍政権のネオ・ファシズム的攻撃を容認

V 選挙運動への収斂を許さず一六春闘の戦闘的高揚を!

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私鉄春闘


「交通政策要求実現」運動への歪曲を許さず闘おう

 一月十五日深夜に軽井沢で発生したスキーツアーバス事故――バス運転労働者二人と乗客の大学生十三人が死亡し、残りの乗客二十六人も全員が重軽傷を負ったこの惨事は、「安全」を無視し利益第一主義に走るバス運行会社と旅行会社の資本家どもと、こうしたデタラメ極まりないバス運行の横行を黙認し、「規制緩和」諸政策をおしすすめてきた安倍政権・国土交通省によってひきおこされたものにほかならない。「観光立国」を叫び「インバウンド(訪日外国人旅行客)戦略」を「成長戦略」の重要な柱に位置づけている安倍政権・国交省は、小泉政権が開始した規制緩和政策をさらに拡大し、バス運行会社や旅行会社の過当競争を煽りたててきたのだ。
 二〇一六春闘の直前にひきおこされたこの悲惨な事故は、こんにちのすべてのバス労働者・交通運輸労働者が強制されている超長時間拘束・不規則労働と低賃金の過酷な現実をうきぼりにした。低賃金のゆえに深まる生活苦をしのぐために、交運労働者は資本家が強制する過労死ライン≠超えるほどの長時間・超強度労働をうけいれざるをえず、危険と背中合わせの運転労働を強いられていることが社会的にも照らしだされている。今こそ、この現実を変革するために、交運労働者は一致団結し一六春闘を戦闘的にたたかうのでなければならない。大幅でしかも一律の賃上げと労働諸条件の抜本的改善をたたかいとるのでなければならない。
 にもかかわらず私鉄総連本部ダラ幹どもは、このような悲惨な事故を目の当たりにしてもなお、わずか「定昇分二%+ベア分五六〇〇円」の超低率・超低額な賃上げ要求を掲げ、「人材確保」「魅力ある産業づくり」のために認めてほしい、などと私鉄資本家どもに哀願している始末なのだ。いや軽井沢事故そのものを彼らダラ幹は、「訪日旅行者の増加により、貸切バス事業に明るい兆しが見え始め」たときに、これに水をさす私鉄産業にとってまずい事態が起きた、と感覚していることを隠そうともしていない。バス労働者・交運労働者が私鉄資本家に過酷な労働を強いられていることを熟知しているにもかかわらず、労働条件の抜本的改善のためにたたかうのではなく、「私鉄産業の発展」の観点から「貸切バス事業発展のための規制強化」を政府・国交省にお願いしているにすぎないのが総連本部ダラ幹なのだ。彼らは、産業・企業が発展することによって労働者の生活も改善しうる、という反労働者的なイデオロギーにいまやどっぷりとつかり、一切の闘いを「交通政策要求実現」運動に歪曲してしまっているのである。われわれは、こうした私鉄総連本部による「交通政策要求実現」運動への歪曲を許さず、一六春闘の戦闘的高揚のために奮闘するのでなければならない。
 安倍ネオ・ファシスト政権はいま、「在任中の改憲」を公然とぶちあげ衆参同日選挙にむかって突進しはじめた。にもかかわらず総連本部は、「交通政策要求」実現のために参議院に組織内候補・森屋某を送りこむこと、そのための集票活動に組合員をひきまわすことに、一切の闘いを解消してしまっている。総連本部のこの腐敗を弾劾し、<憲法改悪阻止><安倍ネオ・ファシスト政権打倒>の闘いを、職場深部から創造しよう!

以下見出し

一、「インバウンド需要」取り込みに狂奔する私鉄独占資本

二、「交通政策要求実現」運動に一切を解消する総連本部

Aスキーツアーバス事故への反労働者的対応

B「交通産業発展」のための賃上げ自制

C参院選に埋没する総連本部

三、一六春闘の戦闘的高揚のために奮闘しよう!

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安倍ネオ・ファシスト政権の<貧困強制>を打ち砕け

 2・7労働者怒りの総決起集会 革マル派 連帯あいさつ

 全国から結集したすべての労働者のみなさん! 全学連の学生のみなさん! 革マル派から一六春闘をたたかうみなさんに熱烈な連帯の挨拶を送ります。
 本集会の二つの基調報告で今一六春闘におけるたたかう労働者の任務は鮮明になりました。私は、安倍政権による貧困の強制にどのように対決していくべきなのか、その基本骨格についてごく簡単に述べていきたい。

ボーダレスエコノミー下で日本―世界を覆う貧困の連鎖

 跳梁する多国籍企業

既成労働運動指導部の腐敗した対応をのりこえ闘おう

「個人の尊厳」を原理化する日共中央の腐敗を暴きだそう

 われわれは今春闘を戦闘的に高揚させるために「全労連」幹部を突き動かしている日本共産党・不破=志位指導部の腐敗した対応を暴きだす必要がある。彼らは昨秋の侵略戦争法の制定に反対する闘いの高揚を「労組の動員型ではない新しい国民運動」などというように手放しで賛美している。冗談ではない! 闘争放棄を決めこんだり役員動員でお茶を濁そうとする「連合」労働貴族や「全労連」ダラ幹を突きあげ、職場から労働組合を主体とする闘いを創造してきた闘う仲間の実践的感覚、あるいは「一市民」として参加せざるをえなかった仲間のくやしさからすると、まったく真逆の実に許しがたい総括≠ナはないか。
 しかも今日では志位は、この「新しい国民運動」なるものを「理論」的に基礎づけるために、直接には「国民連合政権」構想をブチ上げた代々木共産党にたいする「共産主義=全体主義」という自民党や民主党の一部からの非難にたいする弁明として、「個人の尊厳」とか「個人の尊重」なるものを原理化している。彼らはいまや、「『個人の尊厳』『個人の尊重』というのは、近代民主主義の最も中核的な概念の一つですが、それをマルクスはまっすぐに引き継いで豊かにしています」などという反マルクス的な言辞を恥知らずにもふりまいているのだ。
 何が「まっすぐに引き継いで豊かに」だ! 若きマルクスは近代ブルジョア的個人が公人と私人とへの、市民としての人間と国家公民としての市民とへの、自己分裂に陥っていること、資本制社会における人間の疎外を明らかにしたのである。そして、「政治的解放」の限界を明らかにし、「人間的解放」へ永続的に突き進むべきこと、その主体はプロレタリアートにほかならないことを明らかにした。
 このプロレタリアの自己解放の立場を貫くかたちで経済学研究に突き進んだマルクスは、「自由・平等・友愛」という民主主義の理念の本質をも明らかにしたのである。労働市場における労働力商品の所有者であるプロレタリアと商品としての貨幣の所有者とのあいだの自由・平等な交換関係が、じつは賃労働者と資本家との階級的敵対関係にほかならず、資本制的搾取の前提的諸条件をなすのである。にもかかわらず社会的直接性においてこの本質的な資本関係をおしかくしているところのもの――それが、自由・平等・人権にかんするブルジョア的原理なのである。このことをマルクスは明らかにしたのではなかったか。したがって「個人の尊厳」なるものを謳うブルジョア民主主義の根底には賃労働と資本との物質的敵対関係があり、この資本関係に決定された・人間の資本制的自己疎外ないしブルジョア的市民的人間の自己分裂を隠蔽する形式的原理が、ほかならぬブルジョア民主主義なのである。
 このマルクス思想の輝かしい意義を主体的にとらえ受け継ぐかたちで、わが反スターリン主義運動の創始者・黒田寛一は、ブルジョア・アトミズムを否定し、ブルジョア的個人主義の止揚形態としての個人意識、つまり階級的全体性を体現したプロレタリア的人間の主体性を不断の階級闘争をつうじて確立することこそが現代的課題であると明らかにしたのである。
 現在、政府・独占資本は、労働者階級を、さまざまなかたちで分断し「対立」を煽りつつ、お互いに競わせて低賃金と「生産性向上」に駆り立てている。こうして肥大化した資本、すなわち死んだ労働が労働者階級をして極限的な貧困と戦争の淵に立たせているのだ。たたかう労働者は、今春闘のただ中でこのことを明らかにし、賃金奴隷制の撤廃をめざしてたたかうべきことをも労働者に呼びかけていく必要がある。
 だが、末期症状を呈しながらもいまだに生き残っている独占資本ならびにこれを支えている帝国主義国家権力の専横は、一九九一年のソ連邦崩壊としてあらわれたスターリン主義の歴史的犯罪によってもたらされているのである。「社会主義の母国=ソ連邦」という神話が崩れ去っている現在、脱イデオロギー化がはびこり、「階級闘争」は時代錯誤という風潮が跋扈(ばっこ)して、「階級」という用語は死語となっているかにみえる。こうしたなかで「連合」指導部が牛耳っている労働運動は、支配階級と一体化さえしている。この屈辱的な事態を克服するために労働者階級の団結と連帯こそが求められているのだ。このとき、「個人の尊厳」なるものを原理化し民主主義イズムを吹聴する転向スターリン主義者・日本共産党の主張ほど反労働者的なことはない。それは安倍政権によるネオ・ファシズム反動攻撃に労働組合を主体として対決していくうえでも、また根本的には労働者の階級的自己組織化を促していくうえでも、まったく許しがたいイデオロギーである。日共中央に盲従する一部の「全労連」指導部の反労働者的な対応をのりこえ、一六春闘において大幅一律賃上げの獲得をめざして奮闘しよう。
 すべての労働者・学生のみなさん。今年は同志黒田が逝去してから十年、そしてハンガリー革命から六十年。そして来年はロシア革命百年、『資本論』発刊一五〇年です。同志黒田は、スターリン主義と対決するために革命的マルクス主義の立場に立って、マルクス・エンゲルス、そしてレーニン・トロツキーの思想を受け継ぎ発展させるために奮闘してきた。この同志黒田の追求を引き受けたたかっているわが同盟と革命的・戦闘的労働者こそが全世界を覆っている現代の貧困の強制と唯一たたかうことができる。すべてのたたかう労働者・学生がわが革マル派に結集することを心から呼びかけて連帯挨拶を終わります。ありがとうございました。

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