第2394号(2015年11月16日)の内容

<1面>
グローバル戦争同盟の構築反対
 米・日―中激突下の戦争的危機を突き破る反戦闘争の炎を!
<4〜5面>
中国に対抗してTPP締結に突進する日米両帝国主義
 日本農業・医療破壊を許すな
<3面>
全国で反戦反安保の火柱
 10・18労学統一行動 北海道九州
<2面>
10・21国際反戦デー集会 沖縄/福岡
<6面>
全教教研を創造的に実現
Topics 「解雇の金銭解決制度」第1回検討会
<7面>
北海道電力
 泊原発再稼働のために太陽光発電つぶしに狂奔
10・10さようなら原発さようなら戦争北海道集会
<8面>
万華鏡2015――情勢の断層を読む
 ◆笑顔と握手の裏で
 ◆バイオ医薬品
 ◆グローバルホークの巣
日銀リフレ政策の破綻
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉

 「解放」最新号


































  


グローバル戦争同盟の構築反対

 米・日―中激突下の戦争的危機を突き破る反戦闘争の炎を!

 まさにいま、南シナ海・南沙諸島を焦点として、米・日―中の一触即発の軍事的緊張が一気に高まっている。「海洋強国の建設」の旗印のもとに、岩礁を埋め立てた人工島に軍事基地建設を急ピッチでおしすすめている中国。これにたいしてオバマ政権は、「航行の自由作戦」の名のもとに、米イージス駆逐艦「ラッセン」を南沙諸島・スービ礁の「領海一二カイリ」内に突入させた。しかも、この軍事行動と連動するかたちで、米海軍第七艦隊の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」と海自護衛艦「ふゆづき」を中心とする日米合同の空母打撃部隊がインド洋から南シナ海に移動し、この海域における大軍事演習を実施したのである(十月二十七日)。〔これにたいして習近平政権は、中国海軍のミサイル駆逐艦が「ラッセン」を追尾し警告を発するという対抗的軍事行動をくりひろげた。〕
 この対中国の挑発的軍事行動と符節を合わせて、安倍政権は、沖縄の労働者・人民の反対闘争にたいして凶暴な弾圧の牙をむきだしにしながら、辺野古新基地建設の本体工事に着手したのだ(十月二十九日)。今春策定された新ガイドラインにおいて、「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」において「平時から緊急事態まで」「切れ目のない」対応をとることを合意した日米両権力者は、戦争法制定以前から秘密裏に対中国の日米共同作戦計画を着々と練りあげ、満を持して対中国の威嚇的軍事デモンストレーションにうってでたのだ。
 十一月三日に日米両政府は、日米新ガイドラインに謳われた「同盟調整メカニズム」=米日共同の戦争司令部≠フ運用開始を発表した。アメリカNSC(国家安全保障会議)の指揮・統括のもとに属国軍≠ニして日本国軍を対中国侵略戦争に動員する体制を構築することに狂奔しているのだ。対米対抗の策動を強める中国(ロシア)への危機意識に燃える米日両権力者はいま、日米グローバル侵略戦争同盟を構築するための策動に一気に拍車をかけているのだ。
 だが許しがたいことに、日共の不破=志位指導部は、米日両権力者による対中国の挑発的軍事行動の強行にたいして反対の声一つあげていない。ただただ「国民連合政府」樹立のための「立憲主義守れ」を一致点とする野党共闘を自己目的化し、参院選向けの選挙カンパニアに完全に埋没しさっている。われわれは今こそ、「反安保」を放棄したうえで「立憲主義守れ」に闘いを収れんする既成指導部の闘争歪曲を許さず、日米両権力者によるグローバル侵略戦争同盟=日米新軍事同盟構築を木っ端みじんに粉砕せよ! 中国の対抗的軍事行動に反対せよ! 南シナ海を焦点とする米・日―中激突下の戦争的危機を突き破る反戦闘争の炎を噴きあげよう! わが労働者・学生は、<日米新グローバル戦争同盟の構築反対!>を高だかと掲げ、戦争法撤廃・辺野古新基地建設阻止を焦眉の課題とする反戦・反安保闘争を全国から大爆発させるのでなければならない。

以下、見出し

対中国の挑発的軍事行動に狂奔する米日両権力者

「同盟調整メカニズム」=日米統合戦争司令部の始動

属国日本≠ヨの軍事的要求を強めるオバマ政権

辺野古新基地建設に血道をあげる安倍政権

「南シナ海領有」を主張する習近平中国の対米対抗策

「反安保」なき「立憲主義守れ」運動をのりこえ闘おう

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中国に対抗してTPP締結に突進する日米両帝国主義

 安倍政権の日本農業・医療破壊を許すな

 「日本の農業をここまで売り渡すのか」「『地方創生』などと口にするのはしらじらしいかぎりだ」……。日本全国において今、農業従事者・労働者・人民が、安倍政権にたいする抑えきれぬ憤怒を爆発させている。環太平洋経済連携協定(TPP)「大筋合意」(十月五日)の概要を十月二十日に発表した安倍政権は、そこにおいて、全農林水産物(二三二八品目)のうち八一%にあたる一八八五品目の関税を撤廃することを明らかにしたのである。しかも、「聖域=五項目死守」の国会決議(二〇一三年四月)さえも公然と踏みにじって、農産物重要五項目(コメ、麦、乳製品、牛・豚肉、砂糖〔甘味資源作物〕)のうち約三〇%(五八六品目のうち一七四品目)の関税を撤廃するという挙にでたのである。
 「国民との約束は守られた」「TPPは私たちの生活を豊かにする」(十月六日、安倍の記者会見)などとは、よくもほざいたものだ! TPP参加国に課せられた「守秘義務」を盾にして労働者・人民をツンボ桟敷におき、野党の臨時国会開催要求さえも傲然と蹴とばしながら、圧倒的多数の農家を経営困難・廃業の淵に叩きこもうとしているのが、このネオ・ファシスト政権ではないか。
 今年中にもアジア・インフラ投資銀行(AIIB)を設立し、これをテコとして中国主導の経済圏を構築するための政治的攻勢に一気に拍車をかけている習近平政権。これに対抗して安倍政権は、オバマ政権と結託してTPPにもとづく環太平洋自由貿易圏を構築することに血道をあげている。そのための政治交渉を一気に進展させるためにこそ、安倍政権は、アメリカの市場開放要求に唯々諾々と応え、日本農産物の関税撤廃品目を一挙に拡大する道にふみだしたのだ。
 もしも、日本のTPP参加を労働者・人民が許してしまうならば、農林水産業の壊滅をもたらすだけではなく、四季折々の豊かな風景を映しだす日本の風土、緑なす田園・山河など、われわれをとりまく地域社会の自然環境は一挙に破壊され荒廃してしまうにちがいない。台頭する中国をアメリカと共同で抑えこみ、日本独占資本家階級の海外市場における「自由な」利殖活動を確保するために、一切の犠牲を農民・労働者・勤労人民に転嫁・強制しようとしている安倍政権を、今こそ、闘いの炎で包囲するのでなければならない。

T アメリカの市場開放要求に屈従する安倍政権

 アメリカ・アトランタにおいて、九月三十日から六日間にわたって開催されたTPP参加十二ヵ国の閣僚会合。そこにおいて確認された十月五日の「大筋合意」なるものを、安倍政権は、「〔日本の〕国益にかなう最善の結果だ」などと大々的に喧伝している。「新成長戦略」の目玉商品≠ニして日本のTPP参加をおしだすことによって、現下の低迷する支持率を少しでも回復し政権延命を図ろうという安倍政権の魂胆はミエミエではないか。
 いまや、戦争法強行採決にたいする労働者・人民の怒りがますます燃えさかると同時に「アベノミクスの経済効果」などというメッキ≠ヘ完全に剥げ落ちてしまっている。二〇一二年から一五年にかけて、五六万人もの正社員が職を失い、全労働者のうち非正規雇用はついに四割に達した(二〇一四年、厚労省調査)。そのうち七八・二%(女性では九〇%近く)の労働者が月収二〇万円以下の低賃金で生活することを余儀なくされているのだ。「アベノミクスによって雇用は一〇〇万人以上増えた」だと? そんな言辞がまったくのウソ八百であることは今や誰の目にも明らかではないか。爆発寸前の労働者・人民の怒りのマグマに恐れおののいている安倍は、「アベノミクスの第二ステージ」なるキャッチフレーズで粉飾し、労働者・人民の目を欺くことに躍起になっているのである。

「五項目死守」=国会決議を破棄

 今回の閣僚会合の交渉において安倍政権は、アメリカ帝国主義の「関税撤廃・大幅引き下げ」要求にたいして譲歩に譲歩を重ねた。ほぼ一〇〇%の野菜・果物・水産物を、即時ないし段階的な輸入関税撤廃の対象としただけではない。「聖域」=重要五項目に指定された農産品にかんしても、コメの加工品、牛の内臓肉、ナチュラルチーズやバター調整品などの関税撤廃に踏みきったのが安倍政権なのだ。
 建前のうえでは現行関税(一`c三四一円)を維持したコメでさえも、従来のミニマム・アクセス(最低輸入量枠・七七万d)に加えて、アメリカ向けに七万d、オーストラリア向けに八四〇〇dの無関税輸入枠を設定した。牛肉にかんしては現行関税三八・五%を九%に大幅に引き下げる(発効後十六年目)とともに、豚肉も部分的に関税撤廃品目を設けた(同十年目)。麦・乳製品にかんしても、形ばかりは関税を維持したとはいえ、品目によって低関税枠を設定した。今回の「合意」においては、関税撤廃品目から除外された農産物についても、日本政府はTPP発効七年後にアメリカなど加盟諸国と再協議に応じる義務があることが、協定文書で明示されている(十一月五日発表)。日本政府は、このうえさらに、輸入関税撤廃品目を拡大する余地をものこしているのだ。
 いまや、安倍政権は、日本の労働者・人民の食生活に不可欠な農畜産物・水産物の大部分をアメリカなど諸外国からの安価な輸入品でまかなっていくことを、今後の食料政策の基本にすえていることは明らかなのである。このことは、安倍政権が、アメリカ政府のガイアツ≠もテコとして、事実上の「農水産物市場の自由化」政策に明確に舵をきったという意味をもつ。日本の労働者階級の賃金を長期にわたって低く抑えこむという独占ブルジョアジーの要求に応えるためにも、政府は、労働力の再生産および生産に必要な食料品の価格を大幅に低廉化することをもくろんでいるのだ。現在でさえ四〇%に満たない食料自給率(カロリーベースで三九%)を極限的に低下させ(農水省の試算で一三%)、日本人民の胃袋≠セけでなく生命と健康がヤンキー帝国主義に左右される事態になることをなんら憂うこともなくである。
 中国のAIIB設立とアジア・太平洋における貿易圏構築の急進展に焦りに焦っている安倍政権は、国内農業保護のための関税制度など、TPPにもとづくアメリカ主導の貿易圏をすみやかに構築することにとっては、もはや足枷でしかないと判断している。この政権は、これまでまがりなりにもとってきた農業保護政策の実質的破棄と引き替えに、アメリカなどへの自動車・機械の輸出拡大と、ベトナムやマレーシアなどへの輸出および直接投資の拡大をきりひらくための交渉を有利におしすすめることを算段しているのである。とりわけ、多国籍企業化した日本独占体の「グローバル」な展開を保証するためにこそ、それにとって高いハードル≠ニなっている「国有企業優遇」などの自国産業保護政策を撤廃することを新興国・途上国にたいして迫り呑ませていくことを策して、実質的な農産物市場の「自由化」に踏みきったのが安倍政権なのだ。

「攻めの農業」という名の小規模個人経営の切り捨て

 「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」(二〇一二年秋の総選挙)などと大見得を切ったことなど、どこ吹く風とばかりの安倍政権の対応にたいして、自民党の支持基盤たるJA全中(全国農業協同組合中央会)の幹部さえもが、「国会決議を逸脱している懸念がある」と不信と怒りを噴きあげている。来年夏の参院選を控えて、「史上最悪の農業破壊」にたいする農民・労働者の怒りがこれ以上高まることを怖れている安倍政権・自民党は、一方では、「安倍さんを怒らせたら農業対策費が一円も出なくなるぞ」(農水省関係者)と反逆の封じ込めに躍起になるとともに、他方では、米価下落回避のための政府備蓄米買い上げ量の積み増し、肉牛農家にたいする赤字穴埋めのための補助金拡充を一応はうちだしてもいる。けれども、こうした農業保護策は、農業団体・農民を与党・自民党の票田としてつなぎとめておくことを狙った姑息な術策でしかない。
 安倍政権の農業政策の核心的眼目は、「守る農業から攻めの農業への転換」の名のもとに日本農業を市場競争にさらし解体的に再編していくことにあるのだ。「TPP総合対策本部」を発足させた安倍は、日本農業の「国際競争力の強化」と銘打った「総合政策大綱」を年内にもとりまとめることをぶちあげた(十月九日)。その基本骨格は、以下のようなものである。(1)「農地の集約化」、すなわち、「農地中間管理機構」(通称「農地バンク」)のもとで、個人経営の小規模農地を大規模生産法人・企業が賃借する制度の拡充。(2)農業従事者および総合商社や食品・流通・サービス業大手資本が、農産物の生産―製造・加工―販売などを一貫して取り扱うことができる制度の創設=「農業の六次産業化」。(3)大規模農家や農業生産法人の海外進出、国内消費の拡大や輸出促進。
 要するに、安倍政権は、食品産業など大手企業や大規模生産法人を主要な担い手とする大規模・大区画経営を中軸とするものへと、日本農業を抜本的に再編しようとしているのである。TPP締結=関税撤廃によって安価な海外産農産物が大量に国内市場に流通するであろうことを見越して、コメ・和牛・果物などの特定の農産品を「高級ブランド」として生産・販売・輸出することができる、ごくごく限られた専業農家を除いて、「国際競争力」をもたないほとんどすべての個人経営を淘汰するための「農業改革」に着手しているのだ。
 こうした「攻めの農業への転換」なるものを実現するためにこそ、安倍政権は農協組織の解体的再編にうってでている。各地方の農協(単協)にたいする指導権限のJA全中からの剥奪、そしてJA全農(全国農業協同組合連合会)の株式会社化――これらを柱とする「農協改革」を貫徹するためにこそ、今春いこう、安倍は、「改革」に抵抗しつづけてきた前JA全中会長・万歳を退陣に追いこみ、単協にたいする全中の監査権限を剥奪するという、まさにファシスト然とした農協潰し≠ノ狂奔してきたのである。
 安倍政権は、農協とそれを主に構成している兼業農家があたかも農業の停滞をもたらした元凶≠ナあるかのように喧伝している。だが、一九七〇年代以降の減反政策のゆえにこそ、営農意欲を失った農業従事者の離農が相次いだ。経営の先行きに不安を感じた農家の過半が兼業農家となり、後継者難にも見舞われてきたのである。農業人口の減少・農業の衰退をもたらした主要因たる歴代自民党政府の失政=「ノー政」を居直ったうえで、安倍政権・農水省は、「農業者の高齢化」だの「補助金漬け」だの「耕作放棄地の増加」だのを居丈高にあげつらっている。彼らは今や、「競争力強化」の名のもとに減反政策を廃止し(二〇一八年から実施予定)、小規模個人経営を切り捨てようとしている。まさに、それは、政府・支配階級みずからが招き寄せた日本農業の荒廃と危機を、独占資本家的にのりきるという意味をもつのである。

危険極まりないGM食品表示義務廃止・安全基準緩和

 それだけではない。「大筋合意」では、「三十一分野ルール」の「衛生植物検疫(SPS)」の項目において、「人、動物、植物の生命や健康を保護しつつ、各国の衛生植物検疫が貿易の不当な障害とならないことを確保する」ことが謳われている。日本政府は、食品安全基準にかんする制度変更が必要となることはない≠ニ一応は国内に向けて強調している。今回の「合意」においても、遺伝子組み換え(GM)食品の表示義務廃止や残留農薬などにかんする安全基準の変更がふれられているわけではない。とはいえ、GM種子や化学肥料、農薬、除草剤の生産・販売を一括して手がけているアメリカのアグリビジネス大手大企業・アメリカ政府の日本市場参入要求に応えて、早晩、日本政府が「貿易の不当な障害を除去する」という名のもとに門戸開放に踏みきろうとしていることは明らかである。
 現に、TPP協定文書のSPSにかんする規定には、輸出国の貿易に悪影響をおよぼす可能性がある場合に「協力的な技術的協議を開始することができる」と明記されている。明らかに、「協力的な技術的協議」と称してアメリカなどの外国政府が日本の食品安全政策の策定・執行過程に干渉し、基準見直し・撤廃を求めることが可能なとりきめ≠あらかじめおこなっているのだ。
 それだけではない。参加十二ヵ国全体の合意とは別に日米二国間でとりかわした「交換文書」には、SPSにかんして「両国政府は収穫前及び収穫後に使用される防かび剤、食品添加物……に関する取組につき、認識の一致をみた」という一文が盛りこまれているのだ。すでに、アメリカ政府やアグリ・フードビジネス独占体の資本家どもは、GM食品の表示義務や発がん性物質が含まれている残留農薬・防腐剤・防カビ剤・食品添加物にかんする日本の安全基準を「非関税障壁だ」などと言いつのり、その撤廃・緩和を日本政府に要求してきた。
 これに応えて今年五月、日本政府・厚労省は、――EUの農薬規制強化の趨勢とは正反対に――農薬の食品残留基準の緩和に踏みきったのであって、日本の食品安全基準をアメリカ並みに緩和することを虎視眈々と狙っているのは明白なのだ。

人民の命と健康を犠牲にする混合診療の全面解禁

 医療・保険分野についてもオバマ政権の要求に応えて、日本市場の開放を策しているのが安倍政権なのである。たしかに、今回の「大筋合意」においては、「公的医療保険を規制緩和の対象外とする」と謳われてはいる。だが、これもまた表向きのことでしかない。「大筋合意」と並行して日米両政府が二国間でとりかわしたところの・「保険等の非関税措置に関する並行交渉」という文書の「投資」の項目には次のように明記されている。「規制改革について外国投資家からの意見等を求め、これらを規制改革会議に付託することとした」と。医療・保険にまつわる「規制改革」のプロセスに「外国投資家」=アメリカの保険・金融企業や多国籍製薬企業の独占資本家が介入し「市場開放」をおしすすめていくことを、外交文書において誓約≠オているのが安倍政権なのである。
 このかんすでに、アフラック(保険)やファイザー(製薬)などの多国籍企業やアメリカ政府は、公的健康保険を使える保険診療と保険対象外の自由診療を併用する混合診療の全面解禁や薬価制度の見直しを、日本政府にたいしてしばしば要求してきている。この圧力を受けて、今年五月に「医療保険制度改革法」を成立させた日本政府・厚労省は、これを踏み台として混合診療の全面解禁をもたらす「患者申出療養」を創設することを急いでいる。「患者の申し出」さえあれば、新薬や先端医療機器による治療を自由診療としておこなうというのである。
 従来の公的保険制度は残しながらも、一方では、「国保の財政危機」なるものを意図的に煽りたてつつ、医療費を抑制するために公的保険適用対象をできるだけ絞りあげ、他方では、がん治療や再生治療、そのための高額な新薬や先進医療機器を保険適用対象外=自由診療のままに固定しさらに拡大していく。――国民皆保険制度を実質上は空洞化することを意味するこうした諸施策を、「医療を成長産業にする」という名のもとに日米の医療関連諸企業・保険諸独占体などの金融独占ブルジョアどもの利潤獲得を保障することを狙ってうちだしていることは明白なのだ。
 かつて小泉政権のもとで規制改革・民間開放推進会議の議長をつとめた宮内義彦(元オリックス会長)は、いみじくも言った。「金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも(治療を)受けるという選択をする人もいるでしょう」と。まさに冷血非道! 莫大な資産を所有し私腹を肥やしつづけているブルジョアや富裕層の脂ぎった体には存分の手厚い医療を、自己負担能力をある程度もっている労働者・人民には、ささやかな蓄えが底をつくまで高額医療費を支出させることと引き替えに自由診療を、医療費を負担できない貧しい労働者・人民には公的保険適用の枠内で最低限の診療を施す、というわけだ。地獄の沙汰も金次第≠ニはこのことではないか。貧乏人は死ね≠ニ言うに等しいこの「医療保険制度改革」につらぬかれているのは、明らかに「健康=自己責任」論あるいは「社会的弱者=国家にたかる金食い虫」と見下す優勝劣敗のファシスト・イデオロギーにほかならない。
 たとえ、安倍じしんが「世界に誇るべきわが国の国民皆保険制度は今後も堅持いたします」などとぬけぬけとほざいているのだとしても、現にいま日本政府が「患者申出療養」=混合診療全面解禁を拡大しつつあることを絶好の条件として、アメリカの医療関連および保険・金融諸独占体が日本の医療・保険市場における利殖拡大を狙っているのは明らかなのである。

以下、見出し

U 各国間の利害対立を棚上げにした薄氷の「合意」

V AIIB創設目前――加速する人民元経済圏の構築

W 対中包囲網強化と一体での米主導の貿易圏創出

 新植民地主義的侵略の強化を企む日本帝国主義

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全国で反戦反安保の火柱
 10・18労学統一行動 北海道/九州
    

10・18全道労学統一行動
 十月十八日に、全道のたたかう労働者と全学連北海道地方共闘会議のたたかう学生たちは「侵略戦争法撤廃! 日米新軍事同盟の強化粉砕!」の決意も固く、自民党道連にむけ札幌市中心部を戦闘的デモンストレーションで席巻した。

市民の注目と共感を集めデモ行進
(10月18日、札幌市)

力強いシュプレヒコール
(10月18日、札幌大通公園西十一丁目)
      
10・18全九州労学統一行動
 全学連九州地方共闘会議の学生と反戦青年委員会のたたかう労働者は、<戦争法撤廃! 日米グローバル侵略戦争同盟の構築反対!>を掲げて、福岡市のド真ん中を席巻する戦闘的デモンストレーションを果敢に展開した。
「安倍ネオ・ファシスト政権打倒!」の声高く進撃
(10月18日、福岡市)
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10・21国際反戦デー集会 沖縄/福岡
 十月二十一日、那覇市の県庁前広場で沖縄県議会与党五会派(社民、共産、社大、県民ネット、うまんちゅ)と沖縄平和運動センター・統一連・平和市民連絡会・ヘリ基地反対協議会の主催で「10・21国際反戦デー県民行動」が開催された。五〇〇人の労働者・学生・人民が「戦争法廃止! 辺野古新基地建設阻止!」を訴え、国際通りをデモ行進した。
「新基地建設絶対阻止!」労働者・学生・市民が怒りのシュプレヒコール
(10月21日、那覇市県庁前広場)
 十月二十一日、福岡市天神の須崎公園において「10・21国際反戦デー福岡地区集会」(主催:原水禁福岡地区実行委員会、共催:平和・人権・環境福岡県フォーラム、戦争への道を許さない福岡県フォーラム)が開催された。極反動の安倍政権への怒りをたぎらせて、福教組や自治労などの平和フォーラム系の労組員を中心に三〇〇名が結集した。
選挙カンパニアへの歪曲に抗し労働者が奮闘
(10月21日、福岡市須崎公園)
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