第2165号(2011年4月25日)の内容
<1面>
菅政権の被災人民見殺しを許すな
核大惨事回避に全力をつくせ!
今こそ原発・核開発阻止のうねりを!
<4面>
大震災の独占資本家的のりきり
日本経団連の破廉恥な居直り
<5面>
大震災に思う
「自然との共生」願望の超克
◆うた 東日本大震災に詠める
<3面>
福島第一原発事故―核惨事の拡大を回避せよ
・1号機の冷却材喪失は津波襲来以前に始まっていた!
・米軍CBIRFが日本国軍と合同実戦訓練
・労働者に大量被曝を強制する東電・菅政権を許すな!
・「原発振興」を叫ぶロシア権力者
<2面>
「すべての原発を直ちに止めろ!」
首都圏の学生が怒りのデモ 4・10東京
G・ワシントンが佐世保に退避=$i駐
<6面>
全道庁組合員197名への高橋道当局の処分弾劾!
指定都市市長会が生活保護「有期化」を提言
Topics 「連合」指導部の支援ボランティア
<7面>
「大阪維新」の旗を振る新自由主義者の妄言
<8面>
投稿
被災人民の悲しみと怒りとともに
東日本大震災から1ヵ月被災者支援報告
週間日誌は3面に掲載
「解放」最新号
菅政権の被災人民見殺しを許すな 核大惨事回避に全力をつくせ! 今こそ原発・核開発阻止のうねりを! 東日本大震災・福島第一原発事故発生から一ヵ月余の現在、日本帝国主義は、この歴史的大事件への対応不能をさらけだし危機を深めている。原発事故の未曽有の深刻さとこれを収拾できない菅政権にたいして、「チェルノシマ」と呼ばれるほどの不信感が国際的に蔓延している。震災の直接的被害による日本の経済的な地盤沈下があらわになると同時に、その打開をめぐっての「日本の不確実性」(G20)が各国に悪影響を及ぼしかねないものとして警戒されるにいたっている。国内的にも菅政権は、その無能・無策ぶりと無責任さがますます鮮明になり、挙国一致≠ヌころか民主党内においても小沢一派が反乱の姿勢を見せるほどに混迷を深めている。 窮地にたたされている菅政権は、アメリカ帝国主義オバマ政権にすがりつく姿勢をいよいよ露骨に示すとともに、内に向かっては「がんばれ日本」の標語を掲げてナショナリズムを鼓吹しつつ「国難突破」=「復興」の旗をふりかざして政治的のりきりを策している。「震災復興」を錦の御旗にして「復興税」という名の大衆課税を創設することを、菅は当面の危機のりきり策として画策しているのだ。大震災・原発大事故への無為無策をさらけだし被災人民を見殺しにしている菅政権は、そのうえさらに独占資本への支援を第一義とする「復興」策を、労働者・人民から絞りとった税金を財源として強行しようとしているのである。まったく許しがたいではないか! 独占資本優遇、労働者・人民への収奪強化を策す菅政権の犯罪性を暴きだせ! 政府・東電は福島第一原発の事故拡大回避に全力をつくせ! 被災人民および原発避難人民の生活と将来を保障せよ! すべての労働者・学生は苦難を強いられている被災人民と連帯し、全力で支援しよう! 以下見出し 事故評価「レベル7」への引き上げの衝撃 引き続く放射性物質大量放出の危機 菅政権による反人民的な「棄民」政策を許すな 大衆収奪を目論む「震災復興特別税」創設の策略 「原発促進堅持」を叫ぶ独占資本家と御用学者の欺瞞 被災人民を全力で支援しよう |
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大震災に思う 「自然との共生」願望の超克 千年に一度の巨大地震の発生と東北地方沿岸部を呑みこんだ大津波の襲来。そして福島第一原発の1〜4号機が次々と炉心溶融・水素爆発を引き起こし、地震から一ヵ月を経た今なお大量の放射能をバラまき続けているという、戦後最大・最悪の連鎖的な大災害。――この事態に直面して、いま多くの知識人・文学者・思想家・科学者らは、一様に驚愕し、茫然自失し、後悔の念にかられたり、また鉄面皮に開き直ったり、というように、総じては混迷を深めつつ、七花八裂状況をさらけだしている。菅政権の無為無策と東京電力経営者どもの犯罪を弾劾し現地被災人民を支援するとりくみのただなかにおいて、われわれは、多くの文化人の混迷をも超克して、今回の大震災の思想的にして階級的な意味をも鮮明に突きだしてゆくのでなければならない。 (中略) 梅原猛が明言したように、今回の震災によって「地球の怒り」と言うべきものに直面した「近代文明」は、たしかにその理念を大きく揺るがされたと言える。けれどもここで問われているのは、まさしく現代の科学技術文明の、その独占ブルジョア的な階級性にほかならない。そして梅原が言ったように「マルクスの思想」に「科学技術文明への批判」が欠如していたわけではまったくない。若きマルクスの「疎外された労働」論に裏づけられた「自然主義」と「人間主義」の統一としての共産主義思想こそは、同時に科学技術文明を超克する拠点なのであり、『資本論』とそこに貫かれている「自然史の哲学」こそは、その批判の武器にほかならない。明らかに梅原は、「科学技術の超階級性」論にのっとって「原子力の利用」を推進してきたかつてのスターリニスト官僚を念頭において、これを「マルクスの思想」に直結して非難しているにすぎないのだ。 そもそも暴走≠オた福島第一原発をつくりだしたのは、政府によって庇護された東京電力資本であり、福島原発はこの独占資本の現実形態にほかならない。東電の経営陣が最後まで原子炉への海水の注入に抵抗したのは、彼らが資本の本性を体現して、あくまでも原子炉を廃炉にするのを拒否し、巨大な固定資本を維持しようとしたからなのである。その他面では、東電の、そして下請け・孫請け企業の原発労働者には、線量計の装備さえ不十分なままに被曝覚悟の復旧・汚染除去作業が強制された。したがって現代の科学技術の粋を集めたとされるこの原発の暴走≠誰も制御できなくなったという事態は、たんに「自然の猛威」にたいして「人間の無力」が露わになった、ということを決して意味しない。「創りだされた科学・技術をそれを創りだしたものがコントロールできず、前者が後者を支配し後者が前者に従属する、という現代科学・技術のこの転倒性は、『労働者が生産手段を使用するのではなく、逆に生産手段が労働者を使用する』という資本制技術の本質的性格の今日的あらわれ」(黒田寛一『ソ連のジレンマ』一九二頁)なのであった。福島原発事故は、まさしくこのことを極限的な形で露わにした、と言えるのだ。 およそ右のようなことをも省察しないかぎり、未曽有の大震災・原発大事故に直面して湧きおこる小市民的な良心≠ヘ、「現代の開発万能主義の裏返し」としての、科学技術ニヒリズムにつらぬかれた素朴な「自然との共生」願望にすべり落ちないとは限らない(前掲『二十世紀文明の超克』一九一頁)。いや現に今、自然の猛威≠体感させられた以上は、この「共生」願望さえいよいよ袋小路に入ってしまう。それは「日常性を破るものとして観念される自然現象」すなわち「地震・雷・暴風雨・洪水・渇水・火山噴火などの自然災害」にたいする「神頼み」(前掲『実践と場所』第一巻二二六頁)の心境にまで後退するか、さもなければ「日本は強い国」という上から垂れ流されるナショナリズムに共鳴したり、ネオ・ファシストによる「文明に対する大自然の挑戦との戦い」の呼号によって喝を入れられやすやすとからめとられるほかはない。まさしくこの錯誤をのりこえてゆく思想的=理論的武器こそは、わが革命的マルクス主義にほかならないのである。 <参考文献> 黒田寛一著・こぶし書房刊 ・『二十世紀文明の超克』V「現代危機と科学技術ニヒリズム」 ・『実践と場所』第一巻・T「実践の場所」A「場所の現在性」4「生死の場所」、C「場所の社会性」4「自然の破壊」 ・『ソ連のジレンマ』V「原発の謀叛」 ・歌集『日本よ!』など |
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4・10東京 「すべての原発を直ちに止めろ!」 首都圏の学生が怒りのデモ
まさにこうした決定的局面において、<原発・核開発阻止>の闘いの巨大な爆発をかちとるために、たたかう学生たちは断固として起ちあがった。四月十日、いまこそ全原発の即時停止をかちとるという固い決意のもとに、「すべての原発をとめよう! 被災者を支援しよう! 首都圏学生ネット」に集う学生たちが政府・東電にたいする怒りのデモに起ちあがり、このデモに直続して、「浜岡原発すぐ止めて! 4・10東京―市民集会とデモ」に参加し、起ちあがった労働者市民の最先頭でたたかいぬいたのだ。 原発・核開発反対のうねりを創造せよ! この集会・デモには、原発事故発生以降では最大となる二五〇〇名もの労働者・市民が結集した。 「連合」指導部は、福島原発事故について、「一部の原発の事故も国民に不安を生じさせている」としか言わない。彼らはこれまで原発推進≠唱え、「平和フォーラム」加盟労組の労組員たちの「原発反対」の闘いを押しつぶしてきた。この彼らは、福島原発事故に直面してなお民主党政権を支え「原発推進」の立場を護持しようとしているのだ。日共の不破=志位指導部にしても、菅政権にたいして「安全優先の政策」「原子力・エネルギー政策の転換」の代案の採用を求めているだけであって、「原発開発反対」の大衆運動をいっさい組織していないのだ。
こうして結集した人々とともに「首都圏学生ネット」の学生たちはたたかった。学生たちは、原発事故対策においても震災対策においても危機管理能力の喪失と無責任ぶりをさらけだし、あまつさえ情報隠蔽にうつつをぬかす菅政権の犯罪性を暴露し、これにたいする怒りの声を力強くあげた。この学生の闘いはデモ参加者たちを強く鼓舞したのである。 たたかう学生たちは、日共翼下の「安全対策」要求運動をのりこえ、今こそ奮闘する原発労働者や被災人民、放射能被害を被った農民・漁民と固く連帯し、「福島原発事故弾劾! 日本のすべての原発をただちに停止せよ!」の闘いの爆発をかちとるためにさらに奮闘するのでなければならない。 |
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投稿 被災人民の悲しみと怒りとともに 東日本大震災から一ヵ月 被災者支援報告
こんなところまで津波が襲うことがありうるのか、こんなに破壊されることがありうるのか……。写真や彩電映像で切り取られた断片では見えない何か・感じられない何かに私は圧倒された。犠牲になった方や避難している方のことを想うと胸が締めつけられた。 余りの惨状を目にして私は、被災した人々にかける言葉がなかなか見つからなかった。それでも意を決して話しかけると彼らは、支援活動にとりくむ私たちに「本当にありがたい」と述べ、みずからの体験や「こんな生活は続けられない」という避難所での生活にかんする悲鳴や「ここはほったらかしにされている」という不安と怒りを訴えつづけたのである。 私は労働者の仲間たちとともに、東日本大震災の発生から約一ヵ月後の四月上旬、大地震と巨大津波の被害が甚大であった宮城県と、原発事故も加わって遠方への避難を強いられている福島県にむかった。被災した人々を支援するためである。仲間からのカンパを元手に購入した新鮮な野菜・果物、ゴム長靴、トイレット・ペーパー、ガムテープなどを満載して……。これらの支援物資と自分たちの食糧・寝袋などを積んで車を北へ走らせ各地で配布した。そして、少しでもお役に立ちたい、とボランティアとして登録し、連日、汗を流した。そこで私が見聞きし感じたことを皆さんに伝えたい。私は、大地震・巨大津波によって甚大な被害を受けた宮城県沿岸部の現状とそこでの支援活動について報告する(原発事故被災地域についての報告は、仲間に譲る)。〔訪れたのは、宮城県の南三陸町(志津川や戸倉など)、石巻市(北上川流域、日和山(ひよりやま)周辺域など)と、福島県の相馬市・南相馬市(福島第一原発から三〇キロ圏内の原町区や二〇キロ圏内の小高区)・飯舘村である。また、この過程で塩竈市・多賀城市・仙台市若林区荒浜・名取市・岩沼市・亘理町などの惨状も目のあたりにした。〕 |
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