第2136号(2010年9月20日)の内容

<1面>
米・中の相互対抗的軍事演習弾劾!
日米軍事同盟の改良≠自己目的化する日共を弾劾し反戦闘争の爆発を!

<4〜5面>
「税制改正」の名による反人民的大増税の強行
民主党政権版「税制改正大綱」の虚構

<2面>
北九州市立大 現職自衛官が授業の講師
■中国の対艦弾道弾開発
<6面>
石綿被害者救済を拒否する民主党政権を許すな!
札幌市当局が「事業仕分け」の名でリストラ攻撃
外食産業労働者に過労死続出
Topics 労働審判制度の利用者が急増
労働貴族が牛耳る労組の無対応の帰結
<7面>
中洋イスラーム圏の大国をめざすエルドアンのトルコ(下)
<8面>
原発輸出推進・新増設の呼号
2009年版『原子力白書』の反人民性
<3面>
万華鏡2010――情勢の断層を読む
◆偽エクソシスト
◆流浪の民≠フ受難
◆核燃大本営
◆連敗阻止の秘策
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」 最新号































  


米・中の相互対抗的軍事演習弾劾!

日米軍事同盟の改良≠自己目的化する日共を弾劾し反戦闘争の爆発を!

 中国・北朝鮮の目と鼻の先に位置する黄海において、アメリカ帝国主義オバマ政権は、九月下旬にも米海軍第七艦隊と韓国軍とを動員し米韓合同軍事演習を強行しようとしている。中国軍を総動員して米軍部隊の黄海への侵入を阻止する強硬姿勢をとった中国の胡錦濤政権のまえに、七月の時点においては黄海での軍事演習の延期に追いこまれたオバマ政権。この「世界最強の軍隊を保持している」と豪語している政権は、「超大国」の威信と面子にかけて、増長する胡錦濤・中国の「玄関口」において一大軍事演習を強行しようとしているのだ。このオバマのアメリカにたいして胡錦濤の中国もまた、黄海侵入を阻止する軍事的阻止線を張るために軍事演習を対抗的に実施しようとしている。まさに、黄海・東シナ海・南シナ海において、米・中両軍が対峙し対抗的に軍事演習をくりひろげていることによって、米・中の直接的軍事衝突の危機がいよいよ高まっているのだ。
 菅の民主党政権もまた、十月から実施予定の米・韓両軍を中軸とするPSI(大量破壊兵器拡散防止構想)海上封鎖訓練に海上自衛隊を参加させることを決定した(オーストラリア軍も参加)。アメリカのオバマ政権につき従って米・日・韓の三角軍事同盟の再構築・強化に全面的に協力するとともに、オバマが企むアジア・太平洋版NATOの創設に積極的に加担する姿勢を鮮明にしているのだ。
 まさに東アジアで米・中が激突し合い戦争勃発の危機が高まるとともに、とどまるところを知らない円高の打撃を受けて日本経済が奈落の底に沈みこむという危機的な状況のまっただなかにおいて、民主党代表選挙がおこなわれようとしている(九月十四日)。「国民の生活が第一」をシンボルとする鳩山=小沢政権の政策をことごとく否定しているだけではなく、「現実主義に立脚した外交」の名のもとに対米自立≠志向した安保・外交政策をも後景に退けている菅直人を首班とする民主党政権。この菅と、「対等な日米同盟」と「国民の生活が第一」を掲げる小沢一郎とが、民主党代表=首相の座をかけて熾烈な抗争をくりひろげたのだ。〔九月十四日の民主党代表選出選挙において、現代表にして首相の菅直人が小沢一郎を破って代表に選出された。国会議員票でも菅が小沢を僅かに上回り、党員・サポーター票および地方議員票では菅が小沢に大差をつけた。〕
 「連合」の古賀指導部は基本的には小沢支持にまわりながらも、自動車総連の出身の直嶋(経産相)などが菅支持にまわったことによって、「連合」労働貴族どももまた菅支持と小沢支持に真っ二つに割れた。このゆえに「連合」指導部は、身動きもとれずに、ただひたすらに「民主党政権を全面的に支える」ことに徹しているのである。
 他方、日共の不破=志位指導部は、いままさに米・中軍事衝突の危機が切迫しているにもかかわらず、これに断固として反対する闘いを放棄している。彼らは、相も変わらずみずからのデッチあげた「平和の激流」などという幻想に浸りきっている。財政再建のための「建設的提案」をなしえなかったことが参院選敗北の教訓≠ニかとほざきつつ、菅政権にたいして「建設的提案」の名のもとに「平和のための外交力の発揮」を求めるというように、代案のいっそうの右翼的緻密化にいそしんでいるのだ。「対等・平等な軍事同盟」を理念化し、日米軍事同盟の改良≠自己目的化するにいたった日共指導部を断じて許すな!
 すべての労働者・学生諸君! われわれは、こうした既成反対運動指導部の度し難い腐敗を満腔の怒りをこめて弾劾し、米・中による軍事演習の応酬に反対する反戦闘争を<日米新軍事同盟の現実的強化反対><米―中・露の新たな核軍事力増強競争反対>の革命的スローガンのもとに断固として推進しようではないか! 米・中の臨戦的対峙♂コの戦争勃発の危機を突き破る革命的反戦闘争の爆発をかちとろう! この反戦反安保闘争を、消費税増税反対などの政治経済闘争とともに同時的一体的に推進せよ! 反戦・政治経済闘争の爆発をもって、<戦争と貧困>を強制する菅民主党政権の打倒をめざしてたたかおうではないか!

以下、見出し

日本帝国主義の生き残り策をめぐる抗争の激化

東アジアで激化する米・中の政治的・軍事的角逐

<人民元経済圏>構築に狂奔する胡錦濤中国

<反安保>を完全放棄した代々木官僚を弾劾せよ!
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「税制改正」の名による反人民的大増税の強行

 民主党政権版「税制改正大綱」の虚構

 首相・菅は、八月三日の衆院予算委員会で、「社会保障にかんする費用をどのようなかたちでまかなっていくのか。消費税を引き上げることをも含めて議論は当然だと思っている」と言い放った。消費税税率引き上げの意向を公然と掲げた菅の発言が労働者・勤労人民の反発を呼び民主党の参議院選挙での大敗の要因となったにもかかわらず、菅は傲然と居直り、なおも消費税税率の引き上げの機会をうかがっているのだ。
 消費税増税にかんする菅のこうした言動・企みは、民主党代表選における菅支持グループと小沢一派・小沢支持グループとの対立=権力抗争の一因となっている。とはいえ、小沢グループにしても、消費税増税がいずれは必要となるとしているかぎりでは、同じ穴のムジナ≠ネのである。昨二〇〇九年十二月二十二日に鳩山前政権のもとで閣議決定された「平成22年度税制改正大綱〜納税者主権の確立へ向けて〜」(以下、「大綱」と略記)において、すでに消費税税率引き上げの意図がうちだされているのだからである。
 菅は、消費税税率の引き上げはあたかも社会保障費の財源捻出のためであるかのようにおしだしている。「大綱」においても、消費税の「福祉目的税化」などということがおしだされている。だが、こうしたキャンペーンは、歴代の自民党政権と同様に、福祉のためには消費税税率の引き上げもやむをえない≠ニ労働者・勤労人民をたぶらかしながら大増税を強行するためのイデオロギー的小細工でしかない。
 政府と各地方自治体をあわせて一一〇〇兆円もの累積債務を抱え国家財政が破綻の危機に陥りかねない現状をのりきるためにこそ、「景気に比較的左右されない税目」(!)などとうそぶきながら消費税大増税を目論んでいるのが、菅の民主党政権なのである。しかも、未曽有の大不況のもとで国家財政の赤字がますます膨張しているにもかかわらず、民主党政権は今年度も四兆八〇〇〇億円にのぼる巨額の軍事費を「聖域」とするのみならず、独占ブルジョアどもの強い要請に応じて法人税税率の引き下げの大盤振る舞いにさえ突き進もうとしているのだ。税収の激減をもたらしている主因こそ、大企業や富裕層にたいする優遇税制であることをおし隠しながら、である。ここに、この民主党政権の階級的本質が如実にさらけだされているではないか。
 現にいま、民主党政権は、「平成22年度税制改正大綱〜納税者主権の確立へ向けて〜」にもとづいて、ガソリン税などの「暫定税率」の維持、また扶養控除の廃止など、労働者・勤労人民にたいする大衆課税=増税の攻撃をかけている。それだけにとどまらず、消費税税率の引き上げをはじめとする税制全般の反人民的再編成を企んでいる。われわれは、この「大綱」の反人民性を暴きだすのでなければならない。〔なお、本稿中の引用は、断りなき場合はすべて同「大綱」からである。〕

(以下見出し)
T 消費税大増税に向けての策略

U 大衆課税の一挙的強化

V 「抜本的改正」を名目とする税制・社会保障制度一体の大改悪
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中洋イスラーム圏の大国をめざすエルドアンのトルコ

目  次
T <脱米・反シオニズム>への政策的転回
U イスラーム経済圏形成の主導権確立に向けての策略
 ・ECO(経済協力機構)の再構築・拡大
  (第二一三五号)

 ・EU依存経済からの脱却と奇形的な産業構造の再編の追求
V 「政教分離」にもとづく擬似民主制のイスラーム的改革
  (本 号)
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