第1991号(2007年10月29日)の内容

<1面>
こそ反戦反安保の大奔流を!

テロ特措法新法制定阻止! 日米新軍事同盟の強化反対!
小沢民主党にすがり腐敗を深める既成反対運動をのりこえて闘おう

<4〜5面>
シリーズ 引き裂かれた中欧 第4回
<反露・反独>の民族排外主義を濃化するポーランド

<2面>
大阪市街に反安保の声轟く
関西学生反戦ウォーク(10・6)写真へ
海自給油継続阻止闘争の拠点固める
全東共大会を開催(9・24)
<6面>
連続32時間労働が常態化―沖縄県立病院の実態―
金沢市当局が終業時間を延長
Topics 労働法制改悪を補完する「連合」幹部
<7面>
生き残りをかけて「営利追求」に突進する国立大
刑務所に溢れる高齢者、障害者
<8面>
黒田さんに教わったこと

<われわれが実践的立場にたつ>ということ

<3面>
万華鏡2007――情勢の断層を読む
◆今がチャンス
◆ラスト・プードル
◆きく8号
◆「首都爆破計画」?!

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 





  


今こそ反戦反安保の大奔流を!

テロ特措法新法制定阻止! 日米新軍事同盟の強化反対!

小沢民主党にすがり腐敗を深める既成反対運動をのりこえて闘おう

「新テロ特措法の制定阻止!」10・21闘争に決起した労学
(芝公園23号地――詳報次号)


力強く都心をデモをする反戦青年委の労働者部隊
(10月21日)
 十月十七日、福田政権は、海上自衛隊のインド洋上での給油作戦をあくまでも継続する意志をむきだしにして、新テロ特措法案を国会に上程した。この新テロ特措法制定=アフガニスタン参戦継続の策動とともに、日米新軍事同盟を「グローバル・アライアンス」として強化するというブッシュ政権との合意にもとづいて、史上かつてない規模の日米共同統合実働演習が十一月五日から強行されようとしている。まさに「ブッシュの戦争」への協力・加担を惜しまないという日本帝国主義国家権力の姿勢をブッシュ政権に示すために、福田は十一月中旬に訪米しようとしているのだ。
 これにたいして小沢の民主党は、防衛省前事務次官・守屋の軍需商社・山田洋行との癒着を追及し、証人喚問に政府・自民党が応じないならば新テロ特措法案の審議拒否をも辞さないことを宣言している。彼らの狙いはあくまでも新テロ特措法案を廃案に追いこみ、もって政府・自民党に衆院解散・総選挙を余儀なくさせることにある。彼らは「アメリカの戦争」のために国軍=自衛隊を動員することに反対しながらも、アフガニスタンに展開している国連の国際治安支援部隊(ISAF)への自衛隊の参加を当面は「民生・復興支援」に限定するとする代案を策定しようとしているのだ。
 このような状況のもとで、既成反対運動指導部はますます民主党依存・小沢頼み≠ヨと傾動している。新テロ特措法の制定をはじめとした日米新軍事同盟の強化を阻止することが労働者階級の死活的利害となっているこのときに、先に開かれた「連合」第十回大会において労働貴族どもは、「連合は平和を守る姿勢をきちんと出すべきだ」(私鉄総連)という諸産別・諸労組の声を傲然と踏みにじった。彼らの支持する民主党が「反対」の姿勢を鮮明にしているにもかかわらず、「自衛隊の給油活動がテロの根絶に貢献したのか(政府に)説明を求めていく」などという一句をもってゴマかしつつ、労働貴族どもは新テロ特措法案にたいする態度表明を意図的におこなわなかったのだ。反対運動の組織化はいっさい放棄したうえで、「長年の悲願は政権交代可能な二大政党をつくること」(「連合」会長・高木)とぶちあげながら、「連合」労働貴族どもは「民主党支持」の集票活動に傘下の労組員を動員しているのである。
 他方、不破=志位の日共指導部は、小沢の民主党がISAFへの自衛隊の参加という代案を当面は「民生支援」に限定したことに安堵の胸を撫でおろしている始末なのだ。小泉=安倍式の対米盲従≠拒絶し、「普通の国」の名のもとに独・仏並みの軍事強国に日本国家を飛躍させるという小沢の腹の内を代々木官僚は十分に知りながらも、これを不問に付して民主党は対決路線に転じた≠ニ礼賛しつつ、ますます民主党依存を深めているのだ。われわれは、こうした腐敗の度を深めている既成反対運動指導部を弾劾し、日本階級闘争の危機を突破するために全力を傾注するのでなければならない。

以下、見出し
イラク・アフガン占領の破産に怯えるブッシュ帝国

「連合」指導部・日共中央による闘いの抑圧・歪曲を許すな
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シリーズ 引き裂かれた中欧 第4回

<反露・反独>の民族排外主義を濃化するポーランド

カチンスキ・ボナパルチズム政権下の政治的・経済的混迷

 ポーランドの右派連立政権が崩壊の危機におちいっている。首相ヤロスワフ・カチンスキは、八月十三日にみずからが党首をつとめる「法と正義」が連立を組んでいた極右の「自衛」と「ポーランド家族連盟」の二政党に所属する四閣僚を解任し、連立の解消を宣言した。それと同時に、近く下院議会の解散を決定し十月中に総選挙をおこなうというプランを発表した〔九月七日、下院で上下両院の解散を決定。十月二十一日に総選挙を実施〕。
 連立与党「自衛」の党首として副首相兼農相をつとめてきたレッペル、この男を女性スキャンダルと農地転用許可にからんだ汚職疑惑とを理由に解任したことに端を発した政局の混乱を収拾すべく、カチンスキは強硬策にうってでたのだ。しかし、その真の理由は別のところにある。
 レッペルは、「公約違反」という観点からではあれ、自国軍のイラク駐留の期限延長に反対しており、ブッシュのアメリカによるMDシステム配備の受け入れにかんしても明確な態度をしめしていない。また、もう一つの連立与党である「ポーランド家族連盟」はMD配備受け入れには反対している。カチンスキは、あくまでもMDシステム配備の受け入れとイラク駐留延長というブッシュ帝国追従政策を護持し貫徹するために、これら政権内の反対派を切って捨てることをこそ策して今回の強硬策にうってでたのである。
 二〇〇五年の総選挙で、「連帯」系政党と転向スターリニスト党たる社民党の二大政治勢力をおしのけ議会内第一党になるとともに、弟のレフ・カチンスキも大統領に当選し、政権を獲得したのがカチンスキ双子兄弟の「法と正義(Pis)」であった。このカチンスキ政権は、弱体な政権基盤を補強するために、「道徳革命」をシンボルとして極右民族主義の「自衛」や「ポーランド家族連盟」の支持をとりつけ、もってこれらと連立政権を樹立したのであった。
 反ロシア・反ドイツの民族排外主義を国民統合のシンボルとして鼓吹するのをこととするこの政権は、今日の中欧においても特異な地位を占めている。政権発足以来、国内的には「非共産化法」によって旧スターリニスト官僚専制国家時代の秘密警察協力者の摘発・公職追放などを手段にして強権的支配を布くとともに、対外的には、ブッシュ帝国の「NATO東方拡大」の尖兵として立ち回りMDシステム配備の積極的受け入れやイラク駐留延長などの対米追随政策をとってきた。それゆえにまた同時に、EUのなかにあって<反独=仏枢軸>の旗幟を鮮明にしてきたのが、この政権なのである。
 一九八九年の旧東欧「社会主義国家」群のドミノ的崩壊から十八年、当時において「民主化」の先陣を切ったポーランドは、「連帯」系政権と転向スターリニストたる社民党を中軸とした「左翼民主連合」の政権とによる「市場経済化」の試行錯誤的促進のもとで社会経済的矛盾を深め、今日では欧米帝国主義の半植民地≠ニいうべき惨状に落ち入っている。こうした状況のなかで、鬱積(うっせき)している労働者・農民の不満・反発を反ロシア・反ドイツの民族排外主義の鼓吹によって吸収≠オ、もって二大政党による政権タライ回し≠突き破って登場したのがカチンスキ政権なのである。だが、この政権も今や内部からの崩壊の危機に瀕しており、ポーランドはふたたび政治的大混乱に叩きこまれようとしている。ブッシュ帝国によるMDシステム配備の受け入れを焦点として一気に噴出したこの政治的混乱は、中・東欧における米・露・EUの三つどもえの政治的・軍事的角逐の激化に根本的に決定されたポーランド支配階級内の各政治諸勢力の分岐・分裂を意味するものにほかならない。

(以下、各章の見出し)
T ブッシュ帝国の属国≠ニしてのMD配備受け入れ

U 政治的混迷と経済的危機の相乗的深まり

V 資本主義化<|ーランドの危機の根源
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黒田さんに教わったこと

<われわれが実践的立場にたつ>ということ


「わからなくても、あきらめずに、さっさか読みすすめる

 黒田さんが亡くなって、一年が過ぎた。……そして、梅雨がおわり、暑い暑い夏がやってきた……。

 うだるような暑さのなかで汗を拭きふき机に向かっていると、私の脳裏に、十年ほど前に黒田さんに教えてもらった一つの情景が浮かびあがる。若き黒田さんは、暑い夏の日、ステテコ一丁で団扇(うちわ)を片手に、座り机に向かって、西田幾多郎や田辺元を大きな声で音読していたそうである。
 「『西田・田辺哲学』と称されていたものを読者として私が読んだのは、敗戦後の極短い間のことであって、この時から四十数年間私は、彼らの著作を勉強したことはない。大東亜戦争の末期(一九四四年)の講義を原爆投下に撃たれた田辺元が公にした『懺悔道としての哲学』。この哲学的内容を理解しえずに、坊主がお経を読むように音読したにすぎなかったのが、当時の私であった。……」(田辺元著『歴史的現実』こぶし文庫版の解説、二二七〜八頁)
 若くして苛酷な肉体的運命を背負った黒田さんが、絶望の淵からはいあがる覚悟を決めて、生きるためにマルクス主義者になろうと決意し、すさまじい独学を積み重ねていった、その初めの頃の夏の場面なのではないだろうか。
 この話を私が聞かせてもらったのは、武市健人の『ヘーゲル論理学の体系』がこぶし文庫として発刊されたとき(一九九五年六月)だった。黒田さんから電話で、「武市をどう読むか教えてあげるから、最初のところを読んでみろっ!」といわれ、第一章の冒頭から二頁くらい音読したことがあった。黒田さんは、黙って聞いた後、「武市の文章はやさしい。こういうのは理解しようとしないで、さっさっさーっと読んだほうがよい」と教えてくれた。黒田さんは続けて教えてくれた。
 ぼくが田辺元を読んでいたときには、近所の人はお経を読んでいるのかなと言っていたんだ。大きな声で読んだからね。わからないで読んでいると眠くなるだろ。だから、西田の本も、みんな声を出して読んだ。講談みたいな調子で、「個物的自己限定即一般的自己限定、一般的自己限定即個物的自己限定、弁証法的一般者の自己限定!」と。こうやると忘れないんだ。どんなものを読むときでも、さっさっさーっと、読むべきだ。一度読んでわかろうとするのを助平というんだよ。ぼくが十九歳の時に読んだ本なんて、自分が理解できたところだけ、線が引いてある。わからなくても、さっさか、さっさか読まなければだめですよ。ただただ慣れなんだ。
 「たとえ理解できなくとも、読みはじめたものはあきらめずに読む。わからないことは脇において、どんどん読む。わからないのが当り前である。いつかは何らかの形で役立つはずだ。論文の筆者や著者に遠くおよばないのは当然。学問の蓄積度が違うのだから。理解できなかったことを確認すること自体が成果なのだ……」(あかね図書販売刊『黒田寛一のレーベンと為事』一二六頁〔なお同書一〇四〜五頁にも学習のしかたについての黒田さんの話がある〕)。
 「一九四六年三月 西田幾多郎著『善の研究』を、学友の網野善彦から借りて、七〜十九日に筆写するも理解しえず……」(『黒田寛一初期セレクション 中巻』所収の年表「運動の足跡」一六四頁)とも記録されている。「わからなくとも、あきらめずに、さっさか読みすすめる」という勉強のしかたは、若き黒田さん自身が積み重ねていった独学の歩みそのものなのである。
 私は、若き黒田さんの精進の姿をつねに眼前に浮かびあがらせながら、「黒田さんから教わったこと」を以下にまとめようと思う。


(以下、各章の見出し)
「清算主義ともなじられるような形で」

見ようとする意志

「梅本と逆」?

みずからを党員に高めていく立場にたって

「十年一日の如く」
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大阪市街に反安保の声轟く


関西学生反戦ウォーク(10・6)
 十月六日、関西のたたかう学生たちは、奈良女子大学自治会委員長と「改憲・安保強化NO! 神戸大生の会」代表の呼びかけのもとに、テロ特措法新法の制定を絶対に阻止する決意に燃えて「関西学生反戦ウォーク」に勇躍決起した。

10月6日、米総領事館前

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