第1985号(2007年9月17日)の内容
<1面>
小沢民主党を支える「連合」中央弾劾
〈戦争と窮乏化〉に抗する戦闘的・階級的労働運動への再生をかちとれ
道共闘が矢臼別米軍実弾砲撃演習阻止に起つ(写真へ)―詳報次号
<4―5面>
中・東欧の制覇をかけた米・露の新激突
<2面>
全学連123中委に結集せよ
<6面>
「政権交代可能な政治体制」を呼号する「連合」中央
日雇い派遣労働者への搾取・収奪の強化を許すな!
Topics おためごかしの中央最賃審議会答申
<7面>
賃金水準が絶対的に低下――07年版『労働経済白書』
IHIによる労災死亡事故の責任転嫁を許すな!
「市場化テスト」の本格実施に突進する高橋道当局
<8面>
水に毒・土に毒・食糧にも毒
中国の食料汚染の一断面
<3面>
万華鏡2007――情勢の断層を読む
◆砂漠の蜃気楼
◆大国発展史観
◆「国是」の崩落
◆メクラ判
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
「解放」 最新号
小沢民主党を支える「連合」中央弾劾 〈戦争と窮乏化〉に抗する戦闘的・階級的労働運動への再生をかちとれ 九月九日、シドニーで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議終了後の記者会見において、首相・安倍は、インド洋での海上自衛隊による給油活動継続に「職を賭してとりくんでいく」、それができなければ内閣を総辞職するなどと、虚ろな顔で表明した。八日の日米首脳会談において安倍は、「対テロ戦争支援」のために「最大限努力する」とブッシュにたいして誓約した。この対米誓約(「国際公約」)をなんとしても果たすなどと、参院選において「政治生命をかける」と宣言した小沢一郎の真似をして、安倍は大見得を切ったつもりなのだ。〔九月十日に政府はテロ特措法にかわる新法の法案を月末に提出することを明らかにした。〕 けれども、安倍改造内閣はすでに自壊を開始している。内閣改造からわずか一週間で、農水相・遠藤をはじめとする閣僚・自民党議員の不正会計問題が次々と暴露され、辞任や離党に追いこまれたのだ。この最中に「内閣総辞職の決意」を表明することじたい、この政権が完全に機能不全の「脳死」状態に陥っていることを如実にしめしている。 九月十日開幕の臨時国会では、小沢民主党が参議院第一党の地位をフルに生かして、安倍政権に衆院解散・総選挙を迫るために非妥協的に攻勢を仕掛けている。彼らは、テロ特措法の期限延長に真っ向から反対するのみならず新法制定についても反対している。しかも、安倍問責決議案を提出するチャンスをうかがっているのだ。 こうした情勢のもとで、十月十一〜十二日に「連合」第十回定期大会が開催される。高木執行部は、この大会にむけて、「非正規雇用労働者の支援・組織化に最優先で取り組む」ことをおしだしている。「連合」労働貴族どもは、「与党としての労働運動」を再現するという目的にのっとって、民主党政権の樹立を支えることを明確にするとともに、そのために、「生活第一」を掲げている小沢民主党と連携して「格差是正の実現」を前面に掲げ社会的にアピールしているのだ。こうしたおしだしにもかかわらず、現に今も独占資本家どもが正規雇用労働者の首を切り非正規雇用労働者に置き換えていることを「ワークスタイルの変化」の名において容認し、ワーキングプア(働く貧困層)の現状を放置しているのが、「連合」本部労働貴族どもではないか! すべてのたたかう労働者諸君!「連合」労働貴族どもは小沢民主党を全面的に支援し、「全労連」本部の日共系指導部も民主党にへばりついている。議会政党として存亡の危機に叩きこまれている日共中央は磯のアワビ≠謔しく民主党に抱きついている。既成指導部のすべてが生き残りをかけて小沢民主党にブラさがっているのだ。このことは、日本階級闘争総体が「保守二大政党制への転換」という小沢の策略にのせられたことを意味する。 「行き過ぎた市場原理主義の是正」と「国連決議にもとづく海外派兵」を主張する小沢民主党への幻想を煽りたて、民主党の応援部隊へと傘下組合員を駆りたてる高木執行部を弾劾せよ! 非正規雇用労働者をはじめとしたすべての労働者の大幅一律賃上げと非正規雇用労働者の待遇の抜本的改善をかちとると同時に、労働諸法制の改悪や年金・医療・介護などの社会保障制度の改悪=社会的弱者$リり捨ての「構造改革」に反対しよう! テロ対策特措法の期限延長にかえての民主党との妥協・すりあわせをたくらんだ新法制定の策動を粉砕せよ! 日本国軍はインド洋・イラクから撤退せよ! 今こそ、労働者・人民の総力でガタガタの極反動・安倍政権を打倒しよう! 以下、見出し 実質上瓦解した安倍政権と攻勢を強める小沢民主党 「与党としての労働運動」再現をめざす「連合」指導部 「連合」の脱構築=労働運動の戦闘的再生をかちとれ |
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中・東欧の制覇をかけた米・露の新激突 上海協力機構(SCO)の第七回首脳会議が、二〇〇七年八月十六日にキルギスの首都ビシケクにおいて開催された。この会議こそは、SCOを反米の軍事同盟へとおしあげたことを誇示するセレモニー以外の何ものでもない。しかも、この会議には、〇五年にSCOに準加盟≠オたイラン、インド、パキスタンおよび〇四年に準加盟≠オたモンゴルの各首脳・代表に加えて、トルクメニスタン大統領ベルドイムハメドフ、アフガニスタンのアメリカ傀儡政権首班カルザイが「ゲスト」として招待された。 この首脳会議は、ロシアのウラル地方チェリャビンスク州で八月九日からおこなわれていたSCO初の合同軍事演習の最終日の前日に設定された。会議を終えた六ヵ国の権力者は、翌日にはイランのアフマディネジャド大統領をもひきつれ、こぞってウラルへ移動して、軍事演習の場に列席した。ここにおいて、今後は合同軍事演習を定例化することまでもが決定された。 それだけではない。首脳会議において六ヵ国は善隣友好条約を締結した。この条約名は、旧ソ連邦が近隣諸国と結んだ軍事協力をふくむ最高ランクの同盟関係に冠せられていたものである。この名称を今日あえて用いることにより、中露両国権力者は、SCOを文字どおり軍事同盟として確立したことを対外的にも明示したのだといえる。 さらに、六ヵ国権力者は、SCOの安全保障上の「原則」を明示する「ビシケク宣言」を採択した。そこでは、「中央アジアの安定と安全保障は、第一に域内国の連携によって確保される」ことが宣言されたのだ。明らかにこれは、「テロ対策」を口実にして「域外国」がこの地域に軍事介入することをいっさい許さない、という共同意志の表明にほかならない。これはまた、SCO諸国のなかで米軍がなおも駐留している最後の一国たるキルギスから米軍を撤退させる、という意志表示でもある。 宣言では、「テロ、過激主義、分離主義の防止対策を強化する」ことも謳われた。「テロ防止」は米欧諸国権力者も認めざるをえない表向きの口実であって、SCO六ヵ国が軍事的にも協力しあって撲滅すべき真の敵≠ヘ、「過激主義」と「分離主義」の方にある。前者はいうまでもなく、SCO諸国やCIS(独立国家共同体)諸国にたいして「民主化の輸出」を画策するブッシュ帝国によって育成された反政府分子をさす。後者は、とりわけロシアと中国において分離・独立をめざしている少数民族グループをさす。SCOを内部から撹乱し切り崩すことを狙ってこの両者にテコ入れしているブッシュ帝国に対抗するために、SCO六ヵ国権力者が政治的のみならず軍事的にも協力しあうこと、このことが宣言されたのだ。 さらに、公式の文書には盛りこまれなかったとはいえ、ブッシュ帝国がおしすすめようとしているチェコ・ポーランド両国へのMD(ミサイル防衛)システムの配備についても――イラン大統領アフマディネジャドが「MDはSCOに敵対するものだ」と発言するかたちで――明確に反対の意志が表明された。 中露を中軸とし、旧ソ連邦構成国であった中央アジア四ヵ国(カザフスタン・ウズベキスタン・タジキスタン・キルギス)を加盟国とするSCOの、文字どおりの軍事同盟としての確立。そして反米最強硬派たるイランの正式加盟にむけての交渉の開始。さらに新たな招待国としてのトルクメニスタンの初参加。これらの事態こそは、<米―中露新対決>下における世界的戦乱の危機を、これまでにもまして深化させずにはおかない。 しかも今日、中東および中央アジアに加えて、中欧と東欧の両地域が米露角逐の新たな舞台として浮かびあがっている。かつては旧ソ連邦の「衛星国」の汚名に甘んじ「東欧」と称されたが、いまやブッシュ帝国の属国として「中欧」を自称している諸国群。他方、かつては旧ソ連邦の構成国をなしたが、ソ連邦崩壊後はCISに加盟しながらもこれからのなしくずし的離脱を画策してきた諸国群――新たに「東欧」と称されはじめたそれら。この両地域において、「NATOの東方拡大」を策すブッシュ帝国と旧ソ連邦の版図回復を宿願とするプーチン・ロシアとがいまや火花を散らしているのである。しかも、SCOの版図をなすとともにカスピ海石油資源争奪戦の舞台でもある中央アジアにおける米―中露の角逐が、またイランを尖兵とするロシア・中国とアメリカとの中東における角逐が、これとからみあい相乗している。まさしく米―中露角逐の全球的規模での激化! このゆえに、世界各地域における戦乱が一気に世界的規模の新たな大戦へと発展転化しかねない危機が深まっているのである。 (以下、各章の見出し) T 中欧へのMDシステム配備をめぐる米露の激突 U 東欧におけるプーチン・ロシアの大攻勢 V 国家的利害をかけての米―中露の新たな核軍事力増強競争 |
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砂漠の蜃気楼 「治安回復」したので帰りまショウ 「諸君のおさめた成果のおかげで、諸君を国に帰し始めうる日が近づいている」「われわれが軍を引き始めるのは、われわれの強さと成功のゆえであり、恐れと失敗のゆえではない」。 誰が聞いても空ぞらしいこの言辞の意味することはただ一つ。イラク占領の完全破産のゆえに、ブッシュが「段階的撤退」方針をついに公言せざるをえなくなったこと。そして、この撤退を、「成功のゆえ」の撤退、すなわち名誉ある撤退≠ニしておしだすことに汲々となっているということである。 ブッシュ政権は、議会の反対をおしきって今春に強行したイラク駐留米軍増派の「目標達成状況」にかんして、九月十五日までに議会に報告することを義務づけられている(現地米軍最高司令官とイラク駐在大使とが議会で証言し、しかるのちにブッシュが報告を出す)。これは、民主党が多数を占める議会で五月に制定された「イラク戦費支出法」にもとづくもの。この報告後に民主党は、共和党の一部議員をも巻きこんで、「早期撤退法案」を再び提出する構えをみせている。議会の調査機関であるGAO(政府監査院)は、増派の成否の評価基準とされる十八項目のうち達成されたのは三項目にすぎないという報告を、九月四日に発表してもいる。 こうした民主党の大攻勢にさらされているブッシュは、増派が成果を上げているかのようにおしだすことに躍起になっている。ファルージャやラマディといったスンナ派武装勢力の拠点を擁するアンバル県を訪問してみせたことはその一環。この訪問にブッシュは、国務長官ライスと国防長官ゲーツを同行させた。統合参謀本部議長と中央軍司令官をも列席させ、これを「戦時内閣の閣議を現地で開いた」などと仰々しく発表した。政府と軍のトップが一ヵ所に集まっても危険でないほどに現地の治安が回復したとPRするために。 「当地のスンナ派部族は、かつてアルカーイダと組んで米軍を攻撃したが、今は米軍に協力してアルカーイダを一掃しつつある」「アンバル県はイラクで最も安全な地に変貌した」などとブッシュは大見得を切った。だが、これはまったくの虚構。かつてアルカーイダ系武装勢力と共に反米ゲリラ闘争を展開したアンバル県のスンナ派部族・武装勢力は、今日ではアルカーイダ系勢力と訣別した(一部で彼らを米軍に引き渡したりもしている)。これは、アルカーイダ系勢力が攻撃の標的を米軍やイラク政府軍・警察からシーア派大衆にまで拡大し、大規模な爆弾テロルを強行していること、このゆえに内戦をひきおこしていることに反発したからであって、米占領軍に服従・協力せんがためではない。 ファルージャの蛮行にたいする憤怒を今もたぎらせているスンナ派武装勢力は、米軍との戦闘を当面控えているのだとしても、占領軍を最終的に叩きだすことをめざして、シーア派内反米最強硬派たるサドル師派と連携してもいる(五月に共同声明を発表)。このスンナ派系武装勢力の面従腹背的対応を熟知しながらも、「治安の改善」を宣伝するというだけでなく、イランに助けを求めるマリキ政権にタガをはめるという思惑から、アルカーイダと訣別した彼らにワラをもつかむ思いですがっているのが今日のブッシュなのだ。そのために、スンナ派部族への武器供与・経済支援をおこなっているほどだ。 「治安回復」といっても、ブッシュ政権の面々が訪れたのは、最も近い集落まで一五`bある、人も通わぬ砂漠の中の米軍基地。周囲の町や村がすべて反米レジスタンスの拠点であるがゆえに、彼らは、防壁に囲まれた基地の外に一歩も出ることができなかった。しかも、わずか数時間の滞在。ブッシュのイラク「電撃訪問」なるものは、まさに砂漠の蜃気楼のように空しいパフォーマンス。それは、イラクに混乱と内戦だけを残して撤退した大統領≠ニいう汚名を着せられたくないというブッシュの見苦しいあがき以外のなにものでもない。 |
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道共闘が矢臼別米軍実弾砲撃演習阻止に起つ ―詳報次号 |
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(9月2日、中標津) | |
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