第1980号(2007年8月6日)の内容

<1面>
安倍権力妄執$ュ権を打倒せよ!

保守二党制への転換を企む小沢・民主党に追従する「連合」労働貴族を弾劾せよ

<4〜5面>
<シリーズ>
 引き裂かれた中欧
 第1回
 欧米の半植民地≠ニ化したハンガリー

<2面>
柏崎刈羽原発の大事故弾劾!

地震の巣¥繧ノ建てられた全原発を直ちに廃炉にせよ

<6面>
リポート労働戦線
摩耗タイヤで運転強制 タクシー労働者・乗客が事故死
JAM 会社派幹部の抑圧に抗して
Topics 脆弱性をさらけだしたJITシステム
<7面>
改定介護保険制度のもとで呻吟する介護労働者・高齢者
餓死者続出 小泉=安倍式「生活保護行政」の冷酷
<8面>
◇進む南米諸国のIMF・ドル離れ
◇「世界銀行は中国を見習え」!?
◇インド 農民「自殺ベルト地帯」
『新世紀』最新号(第230号)紹介
<3面>
万華鏡2007――情勢の断層を読む
◆経験者は語る
◆中米ドミノ
◆負の遺産?
◆リニューアル
◆情報支配

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 





  


安倍権力妄執$ュ権を打倒せよ!

保守二党制への転換を企む小沢・民主党に追従する
「連合」労働貴族を弾劾せよ


 七月二十九日におこなわれた第二十一回参議院選挙において、安倍晋三の率いる自民党はわずか三十七議席しか獲得できず、一九八九年にリクルート疑獄事件と女性スキャンダルで大敗を喫した首相・宇野宗佑がただちに辞任に追いこまれたとき(三十六議席)に匹敵する歴史的大敗北を喫した。六十議席を得て参議院の議席数において与党を過半数割れに追いこみ、第一党の座を奪い取った小沢一郎の民主党は、「政権交代」をめざす攻勢を一気呵成に強め衆院の解散・総選挙を安倍政権に迫るにちがいない。
 自民党のこの山崩れ的な大敗北は、言うまでもなく、年金保険料の国家的詐取をはじめとして、安倍政権とその与党が重ねに重ねてきた反人民的悪業の酬(むく)いにほかならない。小泉式の「構造改革」諸施策を引き継いで社会的弱者切り捨て≠フ諸政策をとりつづけてきた安倍政権と与党にたいして、労働者・勤労人民はかつてない怒りを爆発させ叩きつけたのだ。そしてまた同時に、「アメリカとともに戦争をやれる国」への本格的飛躍を目論み日米新軍事同盟の強化と憲法大改悪に突進している安倍政権にたいして、労働者・人民は危機意識と憤激の意をこめて断罪したのだ。
 だが同時に、安倍政権に明確な「不信任」をつきつけたこの労働者・人民の怒りは、「生活第一」のスローガンを前面におしだすことによってタカの爪をおしかくした小沢の民主党にたいする「期待」へと収斂されかねない状況にある。独占ブルジョアジー主流の意向を受けた世論操作および「連合」労働貴族どもの画策によって、民主党中心の政権への交代が、あたかも「格差社会」と「貧困」の解決の糸口ででもあるかのような幻想に、少なからぬ労働者・人民が呪縛されてしまっている。それはひとえに、「連合」労働貴族どもと日共の不破=志位指導部、この両者の腐敗のゆえにこそもたらされているものにほかならない。今こそ、この日本階級闘争の悲劇的現実をくつがえせ! 圧倒的な労働者・人民の不信任にもかかわらず居直りをきめこみ政権の座にしがみつく日本版ネオコン=安倍政権を労働者・勤労人民の実力で打倒せよ!

以下、見出し
噴出した年金問題と安倍式「改革」への労働者人民の怒り

「タカの爪」を隠した小沢民主党の伸張

改憲を目論み政権にしがみつくボロボロ安倍

小沢民主党への幻想を断ち安倍政権を打倒せよ!
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シリーズ 引き裂かれた中欧

 ブッシュの「一超」軍国主義帝国がおしすすめようとしているポーランド、チェコ両国へのMDシステム配備の策動は、ロシアの現代版雷帝<vーチンの猛烈な反発を招き、米・露両国間の政治的・軍事的角逐が一挙に激化している。この米・露の角逐が欧州に「新たな冷戦」をもたらすという懸念を募らせていることからして、独=仏両国が主導するEU委員会は、ポーランド、チェコ両国政府にたいして「EUの共通安全保障」の観点からの「慎重な協議」を求めている。それにもかかわらず、それぞれ反ロシア・反ドイツ≠フ政治的旗幟を鮮明にしMD配備の受け入れを表明しているのが、ポーランドのカチンスキ政権とチェコのクラウス=トポラーネク政権なのである。
 まさにいまMDシステム配備を焦点として噴出している右のような諸国間の角逐は、ヤンキー帝国主義とロシアおよび独=仏枢軸の大陸EU連合との<三極間角逐>のもとで、これに翻弄されながら、いずれに与(くみ)するのかをめぐって政治的混乱に叩きこまれている中欧諸国の苦悶≠如実かつ象徴的に浮き彫りにするものにほかならない。それというのも、ポーランド、チェコだけではなく、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどの中欧諸国のいずれもが、<三極間角逐>への対応をめぐって、右派民族主義者を含む擬似ブルジョア政党と転向スターリニストの社民党との政策的対立が、経済政策上の対立とも結びつきつつ、惹き起こされ激化している状況に叩きこまれているのだからである。
 アメリカ帝国主義主導のNATO同盟に加盟しながら、同時に対米自立≠めざす独=仏主導のEUにも加盟している中欧諸国。倒壊した旧スターリニスト官僚専制国家の廃墟のうえで、擬似ブルジョア政党と転向スターリニストの社民党との政権交代がくり返され、支配階級内の権力抗争の激化によって政治的危機におちいってもいる中欧諸国。――こうした惨状を決定している根拠とその歴史的根源はなにか? こうした危機のもとで、労働者階級・勤労人民はいかなる状態におかれているのか? これらの問題を、各国ごとに<本シリーズ>は明らかにする。
 〔編集局〕

シリーズ<第1回> 欧米の半植民地≠ニ化したハンガリー

 今〇七年の三月十五日、「ハンガリー一八四八年革命記念日」にあたるこの日に、社会党政権の首相ジュルチャーニの辞任を要求する労働者・人民のデモが首都ブダペストで巻き起こされた。ベンチやゴミ箱に放火し暴動化を煽ったデモ隊の一部を警察権力が暴力を発動して取り締まり、数十人を拘束したことによって、デモは鎮圧された。この反政府デモは、昨年秋から勃発した一連の闘争を引き継いで組織された。かつてオーストリアからの独立闘争が決行された日を闘争日に設定したこの反政府デモは、右派民族主義者たちによって組織されたことを如実に示している。
 まさに現在、ジュルチャーニ政権は、昨〇六年の秋以降、フィデス市民連合などの野党諸党派に牽引された労働者・勤労人民の大規模なデモに連続して見舞われてきたことのゆえに、政権倒壊の危機におちいっている。かつてハンガリーを専制的に支配していたスターリニスト党=社会主義労働者党の末裔にして転向スターリニスト党たる現社会党のジュルチャーニ政権は、二期連続して政権を担ってはいるものの、労働者・人民から厳しい辞任要求を突きつけられており、彼らを強権的に弾圧することによって、そしてまた独=仏枢軸のEU諸国権力者に支援されることによって、かろうじて政権の座を維持しているにすぎないのである。
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柏崎刈羽原発の大事故弾劾!

地震の巣¥繧ノ建てられた全原発を直ちに廃炉にせよ

原子炉本体も損壊!
 ――隠蔽された重大事故


柏崎刈羽原発の大事故弾劾! 
全学連、経産省・東電本社に緊急抗議
(7・28、経産省前)
 M(マグニチュード)6・8の直下型地震に直撃された東京電力柏崎刈羽原子力発電所において発生した損壊事故の重大かつ深刻な実態が、次々とあかるみにだされている。東京電力は、原子炉建屋・原子炉格納容器には異常がなく、「七基とも安全に停止している」(七月二十七日)などとおしだしている。これこそ、耐震・安全設計のズサンさを隠蔽し、事故をできるだけ小さく見せるための欺瞞にほかならない。
 そもそも、耐震設計上A(ないしAs)クラスで「絶対安全」の耐震構造物であるとおしだしてきた原子炉建屋において重大事故が発生している。6号機では、大型クレーンの移動用車軸二本が破断していたことが判明した。このクレーンは原子炉のフタを開閉したり、原子炉建屋の外部から燃料棒を入れたりする際に使用している。このクレーンの損壊からして、6号機のみならず全七基の原子炉建屋内とりわけクレーンの真下にある原子炉圧力容器=炉心に、変形やひび割れなどの重大異変が生じていることは明らかなのだ。このことについては、経産省調査対策委員長の班目(まだらめ)(東大教授)も、「主要機器での変形の可能性」を認めざるをえなくなっている。事実、7号機の主排気筒からは放射性のヨウ素、コバルト、クロムなど三億ベクレルの放射性物質が検出されたのだ。
 東電や経産省は、格納容器の点検内容については隠蔽したままなのだ。七月二十八日には、3号機原子炉建屋内が公開された。これは「最も整備が進んでいる」からにすぎない。制御装置などの核心部分を公開しようとしていないのだ。明らかに、炉心溶融につながりかねない重大損傷・事故が隠されているにちがいない。

以下、見出し
「リスク管理」の名による泥縄式のりきり策

活断層上に並ぶ危険な原発
 ――浜岡、伊方、女川、志賀……

危険な原発の全世界への輸出を許すな
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新号紹介

新世紀
The Communist
第230号 2007年9月

同志黒田一周忌

わが革命的共産主義運動の一大飛躍を誓う

<米―中露新対決>の時代への転回、その構造と意味を明らかに

 わが反スターリン主義革命的共産主義運動の創始者・黒田寛一が逝去されてから一年。わが同盟議長・植田琢磨と政治組織局は、全党全同志とたたかうすべての仲間に、新たな決意と構えのもとに革命的共産主義運動をいっそう飛躍させることを訴える熱烈な檄を発した。「現代プロレタリアの永続的解放に向けて強大な革命的前衛党建設の道を切り開け」と題したこの声明は、呻吟する全世界労働者階級の自己解放のための思想的=組織的拠点がいかなるものであるべきかを明らかにしている。
 第一に、同志黒田逝去いご一年の現代世界の大激変を、すなわち軍国主義帝国アメリカの世界「一超」支配の崩落と<米―中露新対決>の時代への劇的な転回を一点の曇りもなく分析し、その意味を暴きだしている。同志黒田はすでに二〇〇四年十一月の時点で、<米中新対決の時代>への転回という洞察を提示した。彼のこの直観力・洞察力に学びつつ、われわれは、昇龍£国と死復活≠遂げつつあるロシアとの同盟的結託にもとづく対米挑戦という事態の現出にふまえて、分析を深化してきたのである。
 第二に、<反帝・反スターリン主義>世界革命戦略の今日的な内容的具体化とその実践的適用にもとづいて、場所的にはわが党組織を強化するかたちにおいてわが革命的共産主義運動の前進を切り開くべきことを、声明は力強く呼びかけている。<スターリン主義の負の遺産>を超克し根絶する闘いの創造こそは、現段階のわれわれの「戦略的任務」をなす、と。スターリニスト・レジーム(政治経済体制)の根幹からの崩壊=国家資本主義への変質を画した自称「社会主義」の中国、プーチン専制下でFSB強権型国家資本主義へと転換を画したロシア、そして転向した世界各国の旧スターリニスト党の腐敗――これらは自己崩壊したスターリン主義の負の遺産、その三形態にほかならない。
 反スターリン主義の革命的諸理論を二十一世紀現代世界に創造的=実践的に適用していくために、同志黒田の革命理論=哲学を追体験的に主体的に把握するべきこと、これが第三である。声明は、反スターリン主義の革命的前衛党創造の実践に踏みだした同志黒田の<ハンガリー事件との対決>を、みずからの体験≠も自己省察しつつ<共体験>に高めていくための思想的営為を、すべての同志・仲間に問い訴えている。
 声明はいう、「同志黒田が率先垂範してくりひろげてきたこの組織内思想闘争は、たとえ彼の身体が滅びようとも、われわれ一人一人の内に・かつ相互間に至高の財産として脈うち、今もわれわれを鼓舞しつづけている」と。まったくその通りだ! 革命的共産主義者としての敢闘精神にみなぎったこの声明に、すべての同志・仲間は全身全霊をもって応えていこうではないか。
◆本号では「<米―中露新対決>下の世界的大劇変」と題して、四本の論文を特集した。
 「憲法改悪阻止! 今こそ反戦・反安保の奔流を!」(中央学生組織委員会)は、宇宙空間をも含む米(日)―中露の新たな核軍事力増強競争の開始に警鐘を乱打し、ブッシュ帝国の隷属国に成り下がった日本の安倍政権による改憲総攻撃にたいする断固たる反撃を呼びかけている。既成反対運動の瓦解、とりわけ反安保と切り離して「改憲反対の一点での共同」を自己目的的に追い求めている日共中央翼下のインチキ「護憲」運動をのりこえる闘いの指針である。
 「グローバル経済下の中国経済の危機」(立風浩志)は、人民元相場をめぐる米・中の攻防や初の中国発世界同時株暴落(二月)に示されている現代中国の政治経済構造の変質と胡錦濤政権の危機突破策とをダイナミックに・かつ政治経済学的にえぐりだしている。<ドル支配>への挑戦とアメリカとの冷戦的熱戦≠フ激化、中国版資本の根源的蓄積≠フ加速のもとで深まる社会の階級的分裂・階層間格差の拡大――こうした胡錦濤中国が直面する困難さえもが、本論文では洞察し予見されている。
 プーチン専制下のロシアの「大国としての復権」なるものがスターリン主義者の末裔どもによる強権的なのりきり形態にほかならないゆえんを暴きだしている「愚公<Gリツィンの恥多き死」(石垣次郎)、ソ連邦崩壊以後のカストロによる経済建設のジッグザッグの歩みを「独立採算制」導入を焦点にしてわれわれの観点から現在的に総括している「変質と混迷を深める『社会主義』キューバ」(丹後夏子)、この両論文を含めた本特集をつうじて、読者は、現代世界の危機の深層にあるものを鮮明につかみとるであろう。
◆「<戦争と窮乏化>を突破する労働運動への再生を!」(中央労働者組織委員会)は、またしても敗北させられた〇七春闘の総括である。日本労働運動の破滅というべき屈辱的事態はなぜもたらされているのか、この危機をいかに突破すべきか。苦闘する労働者のこの切実な問いに、「連合」労働貴族および「全労連」の日共系ダラ幹の反労働者的な運動路線への壊滅的な批判をつうじて答えている必読の論文!「数十兆円の年金の国家的詐取を弾劾せよ」(御堂蓮司)は、新自由主義にもとづいて公的年金制度の再編を策した小泉―安倍式の「年金改革」と、この問題の責任を労働者と労働組合に転嫁することを狙った社会保険庁解体・民営化の攻撃の反人民性・ネオファシズム的本質を徹底的に暴きだしている。
 最後に、「『新福祉国家』の虚妄」(河内音哉)は、代々木系「ゆとり社会」論者の今日的腐敗を根底的に批判した論文である。「現金給付型から現物給付型の社会サービス保障へ」(二宮厚美)とか「中央集権型から分権型へ」(重森暁)とかという彼らの「新たな福祉国家」理念なるものは、実は新自由主義に屈服し、小泉=安倍政権による公的社会保障制度解体などの反動攻撃を補完するものでしかない。本論文は、彼らのこの腐乱ぶりを赤裸々に暴きだしている。
 本号の諸論稿を武器にして、闘いの前進を切り開いていこうではないか。
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