「原爆」で自爆 焼け石にメギツネ
「謝罪するならしゃべるな」、「久間は選挙期間中は土下座行脚すべきだ」（参院議員・舛添）……。自民・公明の政治エリートたちはいよいよ参院選での大敗という悪夢におそわれヒステリー化。久間の後任に小池百合子（首相補佐官）を泥縄的に起用しイメージアップをはかろうとしたものの、焼け石に水。そもそも、この女はその時々の権力者や実力者に、とっかえ引っかえとりいってきた牝狐（メギツネ）。化けるだけがとりえ。皇居での認証式の時は紺のドレス、次の自衛隊観兵式では黒いドレス。でも、「国際情勢によっては日本も核武装すべき」と語ったこともある小池。ドレスの下からシッポが見えている。 久間発言につづいて米政府特使ジョセフ某が言い放った暴言――「原爆が終戦をもたらし、何百万人もの日本人の命を救った」（七月三日）。これにたいして小池は「アクション？ 今のところありません」と当然にも容認。 これまで「女は産む機械」の厚労相・柳沢をかばい、「ナントカ還元水」の前農水相・松岡をも最後までかばいつづけた安倍は、今回も例によって「彼は米国の考えを紹介しただけ」などと久間を弁護し、野党の非難にたいしても久間への「厳重注意」をもってお茶を濁そうとした。けれども、党内から辞任論が噴出しただけではなく、頼みの綱の公明党からも見切りをつけられてしまった。こうなってはもはやどうしようもない。辞任以外に道はなし。すっかり脱力した様をさらしていたのが安倍だ。 「安倍君が任命した人なんだ、結局そこに行き着く」と、明確に安倍を非難したのは参院自民党のドンでありＸ０グループ＝現津島派の領袖である青木幹雄。そもそも青木は、自分の反対をおしきって安倍が公務員制度改革関連法などを制定すると称して参院会期を延長したことについて、怒り心頭に発していた。そんなことをすれば逆に国民の反発を買ってしまうと焦ったのだ。専横を極めるＸ１＝町村派政治エリート主導の安倍内閣をゆさぶるために、青木は久間発言を利用して安倍非難のトーンを強めている。久間の辞任によって津島派の閣僚がついに一人もいなくなった内閣などは、とっととひきずりおろしてしまえというわけだ。そもそも久間のかの発言じたいが、Ｘ１主導の安倍執行部へのゆさぶりの意図がこめられていたのではないのか。 久間発言・辞任をもインパクトとしてますます激化する権力抗争にゆさぶられ、安倍内閣はもはや沈没寸前の泥舟と化している。久間問題につづいてさらに農水相・赤城の事務所経費の架空計上が発覚。開き直った安倍は赤城を留任させることを言明。破れかぶれの心情をニタニタ顔でおし隠す。参院選で負けたって衆院があるさ、と……。 六〇年安保のさいにジジイ岸信介邸をデモ隊が連日とりまいたときに、満五歳にして水鉄砲でデモ隊に反撃したと自慢≠ｷるボンボン安倍。この男はもちろん、「アメリカが原爆を落としたおかげで日本はソ連に占領されないで済んだ」という久間発言の内容に違和感など抱いていない。「自由の拡大」のためには核兵器の使用も当然とするブッシュ政権の論理をオウム返しにした久間の発言は、いままさに日本をアメリカとともに＜戦争をやれる国＞に飛躍させることを狙う日本版ネオコン安倍政権の本音をあらわしている。安倍じしんも、「核兵器使用は合憲」（二〇〇二年四月、早稲田大学での講演）を持論としているのではないか。 進退窮まりながらも破れかぶれで＜戦争をやれる国＞づくりに突進する安倍政権をぶっとばせ。 |
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