第1938号(2006年10月9日)の内容

<1〜3面>
改憲・教基法改悪を企む安倍=日本版ネオコン政権の極反動攻撃を阻止せよ

10・22労学統一行動へ!  中央学生組織委員会
<4面>
「品質優良」神話の崩壊に揺らぐトヨタ
<5面>
生き残りを賭け「高付加価値生産」への特化を策す電機独占体
<6面>
公務員制度大改悪への全面協力を誓う本部を弾劾せよ
  ―自治労第78回大会―
Topics 改憲・教基法改定支持のUIゼンセン同盟労働貴族
<7面>
追悼 同志黒田寛一 同志黒田に私は誓う
植田議長・政治組織局声明に応える
生あるかぎり わが組織の前進のために
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
<8面>
『新世紀』第225号発刊にあたって
わが反スターリニズム諸理論の創造的発展のための努力を!
万華鏡2006――情勢の断層を読む
「悪魔」の悪夢
辞任に口無し
「解放」最新号
 





  


10・22労学統一行動に起て!

中央学生組織委員会

改憲・教基法改悪を企む安倍=日本版ネオコン政権の極反動攻撃を阻止せよ

<米中新対決>下の戦乱を突き破り反戦反安保闘争の爆発をかちとれ

 
「安倍政権打倒!」全学連、9・30闘争に起つ
(渋谷駅頭、詳報次号)
第二次世界大戦後の日本国首相では初の戦後生まれの安倍晋三(五十二歳)を首班とする新政権が発足した(九月二十六日)。この政権は、「戦後レジーム(体制)からの船出」をシンボル・スローガンとして掲げ、「戦争をやれる国」へと日本帝国主義国家を飛躍させる野望を、もはや包み隠すことなくむきだしにしている。
 首相・安倍は、日本国憲法と教育基本法を抜本的に改定することをみずからの至上命題として掲げるとともに、集団的自衛権行使の合憲化にふみだすことを宣言した(九月二十九日の所信表明演説)。この輩の掲げる「新しい憲法」の制定とは、その実は、ブッシュのヤンキー帝国主義国家とともに中洋イスラム圏諸国や北朝鮮さらに中国に侵略戦争をしかけるための憲法大改悪、すなわちブッシュ押しつけ憲法の制定の謂(い)い以外のなにものでもないのである。
 すべての学生諸君! そして労働者の皆さん! 安倍政権のもとで、いままさに日本は戦争と暗黒支配の暗雲に覆いつくされようとしている。これを断じて許してはならない。
 戦争狂<uッシュの「一超」軍国主義帝国を「自由と民主主義という普遍的価値を世界に広げようという使命感をもったアメリカ」などと安倍は賛美してやまない。まさにこの輩はブッシュ帝国内でも最強硬タカ派にしてアナクロニズム的「反共」主義を奉じるネオ・コンサーバティブ(新保守)一派のイデオロギーに共振し共鳴している日本版のネオコンにほかならない。
 政治的無菌室≠ナ純粋培養された十四光≠艪ヲの政治家としてのみずからのひ弱さを押し隠すために、ノミのシンゾー≠ヘことあるごとに祖父・岸信介のDNAをもちだし箔(はく)をつけることに腐心している。このネオコンかぶれ野郎の血管に流れているのが、まさに、天皇制ボナパルチズム国家のアジア侵略戦争の戦争犯罪人にして、戦後は対米追従派として米日韓にまたがる反共ロビーを形成した岸信介のドス黒い血なのである。このA級戦犯のDNAこそが、ボンボン安倍をして反中国・反北朝鮮のウルトラ排外主義の煽動と憲法改悪と日米新軍事同盟の強化とに駆りたてているかのごとくではないか。
 すべての学生・労働者諸君! われわれは、日本版のネオコン政権というべき安倍極反動政権による一切のネオ・ファシズム反動攻撃を打ち砕く闘いを、政権奪取をたくらむ小沢民主党の策謀にからめとられた「連合」労働貴族、ならびに社民党・共産党中央の犯罪性を暴きだしつつ、断固として創造するのでなければならない。
 すべての学生・労働者は、10・22反戦・反安保統一行動に決意も新たに起ちあがれ!

以下、見出し
T ブッシュ帝国盲従の日本版ネオコン政権

U 米・日と中・露との冷戦的熱戦≠フ激化

V ネオ・ファシズム大反動下の既成反対運動の危機とわが革命的左翼の闘い

W 日米新軍事同盟強化・ネオファシズム反動攻撃を打ち砕け!
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『新世紀』第二二五号発刊にあたって

革マル派編集局

わが反スターリニズム諸理論の創造的発展のための努力を!

 世界に冠たる反スターリン主義革命的共産主義運動の創始者であり、最後の一瞬までわが同盟建設の最先頭でたたかい抜いてこられた前議長・黒田寛一が逝去された。この時にあたり、同志黒田の世界史的事業を受け継ぎわが革命党建設・革命運動を雄々しく前進させる決意をこめて、『新世紀』第二二五号をここに贈る。
 (1)
 同志黒田の死去にあたって、わが同盟議長・植田琢磨と政治組織局は「高き遺志を受け継ぎ強大な前衛党の建設に邁進せよ!」と題した追悼声明を発表した。五つの節からなるこの声明において、わが同盟中央は格調高く宣言した。同志黒田が全生涯をかけておこなってきた営為の「最高の所産」こそはわが同盟組織そのものであり、スターリン主義の自己崩壊後の現代世界において名実ともに唯一かつ真実のプロレタリア前衛党としての地位を獲得し確立したわが同盟をいっそう強靱なものに打ち鍛え発展させていくことこそを、ほかならぬ同志黒田の遺志を受け継いでいく事業の根幹たらしめねばならない、と。
 同志黒田の死は、われわれにとってきわめて重い。人間の個の生命の有限性への無念が、むせびあがる悲痛が、われわれの心をかきむしってやまない。だが、「後継者は『わが党』そのものだ!」と生前に語った同志黒田のこの遺志をわれわれは全身で受けとめ、この己れの内に湧きあがる悲痛をも甘えと断じ、<いま・ここで>新たな飛躍を為すのでなければならない。
 わが同盟議長・政治組織局は、己れ自身とわが同志・同胞全員に決然と呼びかけた。「われわれ一人一人がわが革命的前衛党の創造主体たるにふさわしい組織的主体性をもつ共産主義者として己れを形成し確立するために、みずからのうちになお存している怯懦(きょうだ)や依存心や甘えなどの相互依存的組織関係に堕しかねないものを根本的に唾棄し止揚せん」と。そうだ!これこそ、五十年前のかのハンガリー労働者蜂起の血叫びを共産主義者としての主体性をかけて受けとめ・スターリン主義を根底から超克し打倒しうる革命的前衛党の創成へと決起した同志黒田の闘いを学びとり、この日本反スターリン主義運動の《原始創造》の拠点をわが革命的=組織的実践につらぬいていく途にほかならない。
 この「声明」においては、ブッシュ帝国とその属国≠ニ化した日本の権力者どもがしかけてきたわが同盟中枢破壊を狙った攻撃を敢然と打ち破り、敵権力が謀略をも駆使してしかけつづけた三十年余にわたる組織破壊攻撃からわが同盟と黒田その人を守りとおし、唯一の前衛党としての地位を確固として築きあげてきたこと、このわが闘いの意義が万感の想いをこめて表明されている。そして、このような強靱な組織の創造を導き可能にした同志黒田の理論的=組織的指導、その根幹をなすものが、@反帝・反スターリニズム戦略の理論的創成、A組織現実論の創造、B組織成員の人間的資質の変革という領域への踏みこみの三点に集約的に示される、革命理論・組織実践論の探求にあることが、簡潔に明らかにされている。
 マルクスやレーニンさえもがなお踏みこみえなかったといえる革命理論・組織実践論の領域における同志黒田のこうした探求こそは、彼が生涯にわたって探求し磨きあげてきた<実践の場所の哲学>、人間実践の主体的=唯物論的究明を根幹としたところの・その輝かしい精華にほかならない。このことを「声明」は明らかにしている。
 このような同志黒田の営為を受け継ぎ二十一世紀現代に創造的に適用していくことは、なまやさしいことではない。しかし、わが黒田の革命的マルクス主義の立場、<実践の場所の哲学>の探求を、わがものとし血肉化するための営為を拠点として、われわれはこれを為すのでなければならない。なによりも<戦争と暗黒支配>に覆われたこの二十一世紀現代世界を<プロレタリア革命の第二世紀>へと転じる事業のために!「声明」にみなぎるこの決意を全同志・同胞がわがものとし、いま・ここで奮起し奮闘しようではないか。
 (2)
 中央労働者組織委員会の追悼=決意表明においては、日本労働運動の破滅というべき現実を根底から覆しうる強大な革命的労働者党としてわが同盟を確立・強化するために、このかんの内部思想闘争の教訓が明らかにされている。近い過去において一部に生みだされた個別オルグ主義的偏向と、これの克服の過程で一部に生みだされた「組合内力学を変えるための有効な方針提起」の自己目的化という偏向。これらを克服するために、組織現実論を適用して徹底的に切開し克服の拠点を打ち固め、同志黒田の遺志に全力で応える決意が明らかにされている。
 中央学生組織委員会の追悼=決意表明においては、「若い世代から次世代を担う革命家を育てよ」という同志黒田の遺志に全力で応える烈々たる想いと意志が、パトスが、あふれでている。若い同志たちが直面している組織実践上・自己変革上の課題をいかに解決すべきかが、わが黒田の遺訓≠ひとつひとつかみしめながら、力をこめて論じられている。とりわけ、みずからが犯した誤謬を反省しようとするさいにも陥ってしまいがちの結果解釈主義や答のおぼえこみなどの諸欠陥を、「場所の哲学」を主体化することによって根本的に突破すべき途が明らかにされている。
 (3)
 わが同盟革マル派の結成いらいの闘いを最先頭で切り拓いてきた三人の同志の追悼=決意文も、本号に掲載した。
 同志朝倉は、「既成性」を不断に突き破る革命家魂を燃やしつづけた同志黒田の烈々たる変革の意志をわがものとするために、ハンガリー労働者の血叫びを受けとめた黒田の<命がけの飛躍>、その実践的かつ哲学的の拠点をこと改めて探求する決意を力強く表明している。
 同志前原は、わが組織の生命線をなす内部思想闘争をおしすすめるためには、われわれ一人ひとりが<反省=反照の論理>を主体化して相互批判と自己批判を真摯にくりひろげるべきことを、自身の反省にそくして強く訴えている。
 同志西條は、組織現実論の創造過程を担った一人として、「三つののりこえ」の機能的連関づけや「<のりこえ・おしあげ・めざす>の論理」の究明における「おしあげ主義的偏向」などの、みずからがおかした誤謬を今日的にふりかえり、教訓と決意を打ち固めている。
 (4)
 想えば、今から四十七年前、一九五九年一月創刊以来、革共同第二次、第三次分裂にいたる過程での政治局内多数派(のちのブクロ官僚一派)による歪曲の一時期を除いて、本誌(前身名称『共産主義者』)は一貫して同志黒田の強力かつ創意的な指導のもとに刊行されてきたのであった。本誌所収の諸論文の大半が、わが黒田の直接的指導のもとで、その時々の組織内の・および彼と各筆者との・精力的な内部思想闘争や耳読≠ニ補修をつうじて生産され、わが革命的マルクス主義の思想の絶えざる磨き上げと発展の足跡をプロレタリア階級闘争史上に克明に刻みこんできたのであった。このようなものとして本誌は、姉妹機関紙『解放』とともに、マルクスのマルクス主義の二十世紀・二十一世紀的歴史的諸条件への創造的適用による理論的発展を刻み、現代プロレタリアート・被支配階級人民の永続的解放のための羅針盤としての実践的意義を博してきたのである。
 同志黒田が亡くなられた今、われわれの個々のうちになおそれぞれが抱えている非力のゆえに、マルクス主義の現代的発展を切り拓く事業における困難に直面していることを、われわれは隠そうとは思わない。だが、われわれは確信している。わが黒田の革命的マルクス主義の立場をわがものとし、かつ同志黒田の生涯にわたる営為の最高所産たる・ほかならぬわが党組織の全力を内部思想闘争の絶えざる推進を基礎として結集し発揮していくかぎり、われわれは同志黒田の理論的事業を引き継ぎ必ずや発展させていくことができるのであり、またそれを為すのでなければならない。
 わが日本の、かつ全世界の労働者階級・被支配階級人民の永続的解放の事業に資するための、かかる使命と責務の自覚に立ち、己れがうちにたぎる革命的パトスをいっそう燃えたたせつつ、われわれ革マル派編集局は、労学両戦線のすべての同志・同胞たちとともに、その組織的=実践的営為の精華を理論的に集約する作業に、全力を傾注して奮闘する決意をここに表明する。
 同志黒田の為事(しごと)を引き継ぎ、わが反スターリン主義革命的共産主義運動の新たな前進を切り拓くために、すべての同志・仲間たちが本号を活用されんことを、われわれは熱願する。
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「悪魔」の悪夢

「戦争と爆撃の彼方に新時代の夜明けが…」

 「昨日ここに悪魔が来て演説しました」――国連総会の演壇からこう語りかけたベネズエラ大統領チャベスに、発展途上諸国を中心に各国の政府代表から万雷の拍手がおくられた(九月二十日)。アメリカ大統領ブッシュを名指しで「悪魔」「悪魔」と連呼されて、アメリカ国連大使ボルトンは憤然として退席。これを尻目に、さらにチャベスは続ける。「おお、この辺にまだ硫黄の臭いが漂っている」(天を仰いで十字を切る)。クリスチャンであるチャベスは、悪魔は地獄の硫黄の臭いがするという聖書の教えと火薬の硫黄臭とをダブらせて、戦争キチガイ・ブッシュを弾劾したのだ。ムスリム人民がブッシュを「大悪魔」と烙印していることに呼応しつつ。
 国連演説にたった反米の旗手<`ャベスの舌鋒は、まさにさえわたっていた。
 「米国大統領はレバノンの人々に、交戦に巻きこまれてお気の毒≠ニ語った。慎ましやかに嘘をつく、たいした才能だ。ベイルートに撃ちこまれた精密誘導爆弾。これが交戦≠ゥ。西部劇の撃ち合いじゃあるまいし。現実は、アメリカとイスラエルとがレバノン人民にむかって発砲したのだ。」
 「銃でおしつけられる民主主義を、アメリカの力による平和を、信じる者は今やいない」「戦争と爆撃の彼方に新時代の夜明けが見える」「世界の独裁者サマ、貴方は悪夢にうなされる余生をおくるだろう。われわれアメリカ帝国主義に対抗するすべての者が起ちあがっているのだから!」
 規定時間を大幅にオーバーしたにもかかわらず、演説の終了後は、他の諸国権力者の演説よりもはるかに長く盛大な拍手がおくられた。
 しかもチャベスは、演説の冒頭に「アメリカ人に読んでほしい」と言ってノーム・チョムスキーの著書『覇権か生存か――米国の世界戦略と人類の未来』を掲げてみせた。すると、「アメリカ帝国主義の覇権主義」を批判するこの本が、とたんにアメリカのオンライン書店でベストセラーに躍りでたほどの大反響。
 さて、このチャベスのベネズエラが、十月十六日におこなわれる国連安保理の非常任理事国改選選挙で議席を得る可能性が高まっている。中南米枠二ヵ国のうち二〇〇六年末で任期の切れるアルゼンチンの後任として、多くの国がベネズエラを推しているからである。当選すれば、チャベスじしんがことあるたびにニューヨークにやって来て安保理の席に座り発言するであろう。これはブッシュにとってはまさに「悪夢」。国連安保理が、反米アジテーションの演壇に転化されるのだから。イランと北朝鮮への制裁決議案審議においても、ベネズエラが反対論の急先鋒になることまちがいなし。
 そうであるがゆえにブッシュ帝国は、ベネズエラの当選を阻むために狂奔している。窮余の一策は、対抗馬としてグアテマラを推すこと。選挙で勝つためには一九二の国連加盟国中三分の二(一二八)の支持が必要と定められている。したがって、グアテマラに六十五票入ればベネズエラの当選を阻止できる、という皮算用なのである(投票はどちらかが三分の二に達するまでくりかえされる)。
 中南米の主要国中でグアテマラを支持しているのはメキシコとコロンビアだけ。これにたいしてベネズエラは、キューバとボリビアはもちろんのこと、ブラジルやアルゼンチンその他の支持を獲得している。七月のメルコスル(南米南部共同市場)首脳会議はベネズエラ支持を共同宣言に謳った。
 中南米以外の国にかんしても、チャベスは、すでにアラブ連盟の支持を得、またアフリカ連合の大半の支持をも得たと豪語している。
 この九月、キューバの首都ハバナで開催された非同盟諸国会議において、チャベスはイランのアフマディネジャドとともに牽引役を果たした。総括宣言には「ユニラテラリズム反対」「先制攻撃反対」が明記され、全体としてアメリカに対抗しての発展途上諸国の結束が謳われた。非同盟諸国会議加盟国は一一八ヵ国、オブザーバー参加が中国やブラジルをはじめとして十五ヵ国。もしもそのほとんどがベネズエラに票を投じるとしたら……。「悪魔」ブッシュは、夜な夜な悪夢にうなされている。
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