米日共同の対中国戦争遂行体制の構築を許すな
在日米軍基地―再編・強化の実態
イスラム・ファシストは共産主義者やナチスの末裔だ!=\―アメリカ大統領ブッシュは金切り声で叫んでいる。「テロとの戦い」を、「全体主義か民主主義か、二十一世紀を決するイデオロギー闘争」などとおしだし、あくまでも正当化することに躍起になっているのだ。これこそ、国際的に孤立化し、国内においても支持率低下にさいなまれている「一超」軍国主義帝国の大統領の悲鳴にほかならない。
中国・胡錦濤政権とロシア・プーチン政権が結託をますます強めつつ、SCO(上海協力機構)を中核とするBRICs・途上国連合=反米の国際的包囲網を拡大・強化している。とりわけ、彼らの後ろ楯を得つつ反米の旗手≠ニして躍りでているイランのアフマディネジャドとベネズエラのチャベス。彼らが中心となって、キューバのハバナで開催された非同盟諸国会議(一一八ヵ国)の首脳会議は――フィデル・カストロの病気欠席にもかかわらず――反米の総決起集会≠ウながらに実現されたほどであった。
イラク軍事占領の完全破産――反米・反占領のレジスタンスにたいする米軍の軍事的敗退、友邦同盟諸国軍のあいつぐ撤退、そしてシーア派主導マリキ政権のイラン政府との関係強化。アフガニスタンにおけるタリバンの逆襲。ブッシュ帝国がけしかけたイスラエル・オルメルト政権によるパレスチナ・レバノン侵攻にたいする国際的非難の噴出とイスラエル軍の敗北。……
これらのゆえにアメリカ国内においてブッシュ政権にたいする非難が噴出している。十一月の中間選挙においてブッシュ共和党は民主党に大敗することが必至の状況に追いこまれているのだ。
こうした窮地をのりきるために、ブッシュ政権は、「テロリズムにたいする長期戦争(ロングウォー)」の正当性をあくまでも叫びたてつづけるとともに、新たな戦争挑発(ウラン濃縮を続行しているイランへの制裁の叫びたて)およびアメリカ同盟体制の再編に血眼になっている。新ブッシュ・ドクトリンにもとづくNATO再編と日米新軍事同盟の強化およびこの両者の結合(「グローバル・パートナーシップス」の創設)=対中・対露の攻守同盟としての再編・強化――この策動こそ、ヨレヨレの「一超」軍国主義帝国の前方への遁走≠意味するのである。
アングロサクソンの血盟≠誇ってきたイギリスのブレア政権さえもが、ブッシュ追随の姿勢の軌道修正をはかるブレをいよいよ大きくしている。偽情報を根拠としたイラク戦争参戦やイスラエルのレバノン侵略に反対しなかったことにたいする英国人民の猛反発のゆえに、ついに「一年以内の辞任」を表明せざるをえなくなり、今や政権崩壊の危機にたたされているのだからである。ブッシュのポチ公・小泉の治政下でアメリカの属国≠ニ化してきた日本においても、対米追従一辺倒の政策・対中対韓強硬政策にたいして日本独占ブルジョアジー主流が不満・反発をつのらせている。これを見てとった小沢一郎の民主党が「対等な真の日米同盟」という名で対米自立≠フ志向を鮮明にし、「アジア外交の重視」を前面におしだしつつ安倍自民党≠ノたいする論戦を挑んでいる。このゆえにブッシュ帝国は、小泉後継の次期安倍ボンクラ政権を安保同盟の鎖でますます締めあげ、己れにたいする忠誠を誓わせているわけなのだ。
小泉政権下で最後の『防衛白書』(〇六年版)においては、白書としては初めて「日米安全保障体制の強化」と題した章(第4章)を設けている。そこにおいては、日米安保協議委員会(2+2)で決定された三つの文書〔〇五年二月の「共同発表」=「共通の戦略目標」、同十月の「日米同盟―未来のための変革と再編」、〇六年五月の「再編実施のための日米のロードマップ」〕および〇六年六月のブッシュ・小泉共同文書「新世紀の日米同盟」、これらの内容を詳述し、そこで謳われた米軍および自衛隊の「再編」を「速やかに、かつ、徹底的に実施していく」ことが明記されている。これはまさに日本のアメリカ属国化の綱領≠ノ忠実に沿うことを次期安倍政権の安保・外交政策の基軸として引き継ぐことの宣言にほかならない。
現に、北朝鮮・金正日政権による弾道ミサイル発射実験の強行(七月五日)にたいして、米日両国は臨戦態勢に突入した。これを踏み台として、米日両権力者は、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの在日米軍基地および日本国軍基地への配備を前倒し的に開始している。この米日共同のMDシステムの配備をはじめとして、在日米軍の飛躍的強化と日本国軍の米軍への組み込みが急速にすすめられているのだ。同時に安倍新政権は、日本国憲法第九条の破棄=「集団的自衛権の行使」の合憲化をなしとげる野望をたぎらせている。
われわれは、今こそ日米新軍事同盟の強化=米日共同の対中国戦争遂行体制の構築を阻止する反戦・反安保闘争の高陽を切り拓くのでなければならない。「自治体ぐるみのたたかい」の名において「保守層」に媚を売ることを自己目的化し、「反安保」を完全放棄した代々木官僚、この徒輩に指導された日共系平和運動をのりこえるために奮闘せよ。
この闘いを推進するための一助として、現段階の在日米軍基地の再編・強化、その実態を暴露する。今回は、横須賀および座間の両基地にかんして明らかにする。
以下、見出し
横須賀 MDシステム搭載イージス艦と原子力空母の配備
座間 対中国戦争・「対テロ戦」の前線司令部基地化