第1842号(2004年11月1日)の内容

<1面>
没落ブッシュの命運
<4〜5面>
特集 トランスフォーメーション
米軍再編を斬る 許すな! 日本の「対テロ戦争」中枢基地化

<2面>
佐世保女児殺害事件の深層
「キレる」子を生み出す文科省の「教育改革」

<6面>
トヨタ・中部電力・JR東海が超エリート校設立を画策
大阪府の「行財政計画の見直し案」
労働者を使い捨てにする民間職場
Topics 技術流出は自業自得
<7面>
リストラの新たな方式 「アウトプレースメント」の残酷
「解放」(第1793号)掲載の日共批判論文について
<8面>
うた 「おお、友よ!」/「同志 出雲よ」
   詩  「赤木への鎮魂歌」
<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
現代のコロンブス?
◆ゲバラ前史
◆韓流ブーム・異聞
◆ICタグ大安売り

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 































   


没落ブッシュの命運

首輪の色はアンポ色

 ハロー。ああ、こっちは順調だ。なんだ、頼みって? ナニナニ?国連安保理の常任理事国に入りたい? ウーム。それで例のアレは抜かりないのか?
――それはもう。第二次改造内閣も首尾良く発足させました。狂牛病で名を売った武部幹事長に「ブッシュ大統領に勝ってもらいたい。ケリーなんてとんでもない」って再三吹かせておきました。ですから、日本の世論もバッチリです。
 米軍司令部を座間に移転する件、トランスフォーメーションはどうなった。
――ご心配くださいますな。大野防衛庁長官に「座間キャンプの使用は極東条項の解釈でOK」と公言させました。それだけでなく、日本国内で「安保条約の再定義」のムードをどしどしつくりだしております。ご指示どおり憲法第九条を骨抜き化して改憲にむけて突き進んでいますよ。おまけにミサイル防衛(MD)システム構築のために、わが国の技術的貢献を果たそうということで、「武器輸出三原則」の廃止も鋭意検討しているところでございます。ただちょっと、沖縄の学生や「たたかう労働者」ってのがやっかいで……。
 ナニ? ヘリが落ちたくらいでグズグズ言うなよ。あれはパイロットの操縦がオリンピック並みに上手だったからケガ人の一人も出ずにすんだのだ。アリガタク思え!
――は、はい、町村外相にも同じことを発言させておきました。「操縦技術が見事だった」と。おかげ様で私もあのとき最後まで歌舞伎見物ができたというのものでございます。感動したー! へへへ。
 日米は安保同盟の固い絆で結びついているのだ。
――はい、その務めを十全に果たしておりますですよ。おかげで「日米アンポの首輪をつけた忠犬ポチ公」なんてありがたいレッテルも頂きました。
 まだまだ足りんわ! スーパー・ダイエーをアメリカ最大のスーパー・ウォルマートにちゃんと明け渡せよ。それから郵便貯金をアメリカのバンクに開放するのだ。
――はい、おっしゃるとおりに、アメリカ型「構造改革」の目玉として郵政民営化をどしどし進めております。
 フム、もつべきものは友だなぁ、ジュンよ。まぁ、事と次第によっては常任理事国入りのこと、考えてやってもいいよ。
――は、はい。何でもお申しつけください、ダンナ、いや、大統領閣下。
 うん、じゃあな。〔ガチャン〕
 ヒヒヒ、日本の常任理事国入りをエサにすればポチはオレの言いなりだ。日本が常任理事国になるということは、プエルトリコが入るのと同じなのだ。安保理でのわがアメリカ票を一票増やすにすぎないってことだ。オレって頭いい。オレは世界一の大統領だ。世界はオレを待っている。グローバリズムの旗手のオレ様を。そうだ、ライスに聞いてみよう。
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特集 トランスフォーメーション

米軍再編を斬る 許すな! 日本の「対テロ戦争」中枢基地化

リード
 ムスリム武装勢力・人民の反米・反占領の闘いに、米占領軍は敗退と後退を強いられている。今や米軍のイラク占領支配は全面崩壊に瀕している。
 こんにちこのとき、「反米・反シオニズム」の炎(ほむら)立つ中洋イスラム圏から朝鮮半島までを「不安定の弧」と烙印し、あくまでもこの地域における「対テロ戦争」=ちんば戦に勝ち抜くことを思い描いているのが、落日のブッシュ=ラムズフェルドである。そのために彼らは、「米軍変革」とも呼称されている米軍の全世界的規模での再編(トランスフォーメーション)計画をうちだした。この計画において在日米軍基地は、「対テロ戦争」の中枢(ハブ)基地として位置づけられている。安保同盟の首輪をつけた小泉政権の全面的協力・加担によって、それは支えられているのだ。米軍と一体化した日本軍も、「対テロ戦争」の名のもとに、侵略戦争の泥沼に深ぶかと足を踏み入れつつある。日本の「対テロ戦争」中枢基地化を許すな!
 本特集では、米軍再編とりわけ在日米軍基地再編の全貌を明らかにすることをめざした。イラク反戦・反安保、改憲阻止の闘いの前進をかちとるために、職場、学園などでの討論・学習に活用されんことを!

見出し
狙いは中洋イスラム圏での「対テロ戦争」の遂行

「不安定の弧」における「脅威」

非対称戦争――ラムズフェルドの構想

財政赤字の削減と石油資源支配の企み


非対称戦争を遂行するための日米共同作戦体制の強化

アジア・中東有事に即応するための在日米軍の再編

「戦争のできる国」への飛躍を策す小泉政権
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佐世保女児殺害事件の深層

「キレる」子を生み出す文科省の「教育改革」


リード
 六月一日、長崎県佐世保市の小学六年生女児(以下A)が、同級生(以下M)の首を斬りつけ殺害するという悲惨な事件が起こった。Aは給食準備中に校内の学習ルームにMを呼びつけ、いすに座らせたうえで手で目隠しし、後ろからカッターナイフで右頸部を斬りつけ失血死させたのである。
 この事件は、マスコミ報道や教育関係者が論評するようにAの人格的異常性やインターネットモラル指導の不備、「心の教育」の不足などを原因として引き起こされたものでは決してない。
 文科省の反動的「教育改革」が強行され、能力主義教育が徹底されるなかで、子どもたちの精神的ストレスは高まっている。「学力」競争の渦にたたきこまれることによって、子どもたちは差別・選別され、歪められた対人関係のなかで、息をひそめて生きることを強いられている。彼らはこの息苦しさの解消をもとめて、自宅にこもりゲームやインターネットなどにおける仮想現実の世界へと逃避して解決し、電脳的疎外を深め頭脳を破壊させている。文科省の進めるIT・情報教育によってパソコン活用が奨励され、子どもたちは長時間にわたりパソコン操作やチャット(パソコンを使っての会話=jに埋没している。家族や友人との会話もなく、ある者は「ゲーム脳」に陥って「キレ」やすくなり、また、ある者は「仮想現実」と「現実」を区別する力さえ失っている。このような深刻な電脳的疎外のもとでつくりだされた疎外されきった社会的諸関係のなかにこそ、この事件が引き起こされた社会的要因があるのだ。

見出し
「キレる」子が増加している学校

なぜ事件は起きたのか

「命の教育」の徹底を号令する文科省

管理体制の強化を許さずネオ・ファシズム的教育再編を打ち砕け!
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現代のコロンブス?

抵抗するはムスリムのみにあらず

 十月十二日は、一四九八年にコロンブスが今日のベネズエラの地にはじめて上陸した「新大陸発見の日」とされている。中南米の多くの国ではこの日を「先住民の日」と呼び、ベネズエラ大統領チャベスは「先住民抵抗の日」と命名した。コロンブスによる南米大陸発見は、先住民の血をひく人びとからすれば、銃をもって侵入したスペイン人が住民を大虐殺して、三千年におよぶアンデス文明の精華であるインカを滅ぼし金銀財宝を掠奪し五百年にわたってこの地を植民地支配した、その始まり以外のなにものでもなかったからだ。
 今年のこの日、ベネズエラの首都カラカスで、チャベス支持派の若者たちが広場にそびえ立つコロンブス像を引き倒した。彼らは、たんに過去の先住民大虐殺を弾劾したのではない。「ブッシュはコロンブスと同罪だ!」――「現代の植民地主義帝国」アメリカにたいする怒りをこめて、ブッシュのかわりとして、植民地支配の象徴を倒しトラックで引き回したのだ。
 この光景をまえにして大統領チャベスは思ったにちがいない。
 「ブラボー! よくやった。わが国の若者たちは、ベネズエラだけでなく全ラテンアメリカ民衆の怒りを体現しておる。八月十五日の大統領信任国民投票に勝利したときにわしもはっきりと言った――『この勝利は、ホワイトハウスにたいするラテンアメリカ、カリブ人民の勝利である』とな。『今ヒトラー』にして『今コロンブス』であるブッシュのアメリカ帝国主義を追いつめているのは、イラクをはじめとする中洋のムスリム人民だけではない。わがラテンアメリカ民衆もそうなのだ。ベネズエラが生んだラテンアメリカ独立の英雄シモン・ボリーバルの思想を受け継ぎつつ、貧困の鎖から人民を解き放つ経済的独立をめざしてわしは闘いつづける!」と……。
 中南米随一の石油産出国であり、原油輸出において世界第五位をしめるベネズエラ。アメリカ合衆国の全石油輸入量の四分の一を供給し、アメリカ帝国主義権力者からは「裏庭の石油貯蔵庫」とみなされてきたこの国において、「ボリーバル革命」を唱えキューバのカストロを尊敬する元空軍大佐チャベスが大統領に就任したのは、一九九九年初頭のこと。以来ヤンキー帝国主義は、「民主主義のための国家基金(NED)」(レーガンの時代に米国議会が設置)をつうじて反チャベス派の政党や国営石油公社幹部、労組幹部に多額の資金を公々然と供与し、CIA要員や米軍将校を秘密裏におくりこみ、チャベス政権転覆をはかってきた。
 その第一弾は、二〇〇二年四月の軍部内親米派を中心にしたクーデタ。一時はチャベスを拘束したものの、三日天下どころかたった二日で失敗。第二弾は、同年十二月から〇三年一月にかけて、NEDで買収された労働組合総連合幹部が石油公社経営陣とアベックで実施したゼネラル・ストライキ。しかし、チャベスの支持基盤をなす貧しい労働者・農民・漁民たち――その多くはインディオや黒人、メスティーソ(インディオと白人との混血)、チャベスもその一人であるムラート(黒人と白人との混血)――は、ヤンキー権力者およびこれと結託した特権階層の策謀をうち砕いた。
 第三弾が、親米野党・親米団体による大統領罷免の国民投票要求。この挑戦をチャベスは受けてたち、その結果は六〇%の信任を得てのチャベスの勝利。ヤンキー帝国主義のチャベス政権転覆策動は、すべて失敗におわった。
 今や一バレル=五〇ドルを突破した原油国際価格で、ヤンキー権力者どもは、親米派経営者が一掃されたベネズエラ石油公社から高い高い石油を買わなければならない。石油資源の独占的支配の野望をむきだしにする現代の新植民地主義者は、チャベス打倒の第四の牙を研いでいるにちがいない。「今コロンブス」にたいする中南米民衆の怒りはいよいよ高まっている。
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