第1839号(2004年10月11日)の内容

<1〜3面>
10・24労学統一行動に総決起せよ!
中央学生組織委員会

<4〜5面>
原油高・金融破綻下で危機を深める日本経済
<5面>
週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
<6面>
04人事院勧告 公務員賃金制度の大改悪
Topics ファブレス化の悲劇
<7面>
県立病院の放射線職場からのレポート
患者も看護師も殺される!!
―儲け第一主義に走る公立病院―
<8面>
黒田の胸の高鳴りが伝わってくる
「変革への意志」を読んで
福井水害の実相
―なぜ左岸堤防が決壊したのか
<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
そっくりでショー
天動説
砂粒≠フ抗争
戦争の負け犬たち
「ホラー小説」?
  「解放」最新号
 


























   


10・24労学統一行動に起て

今こそ〈反戦・反安保、改憲阻止〉の闘いの高揚をかちとれ!

リード
 第二次小泉改造内閣は発足と同時に、労働者人民にたいして憲法改悪と郵政民営化を柱とする凶暴凶悪な牙をむきだしにした。
 右翼タカ派の外相・町村信孝は就任早々、「国連安保理常任理事国になった時に紛れのない形の憲法にしておいた方がいいという意味で、憲法改正はすべきだ」とぶちあげた。常任理事国になりたければ憲法を変えよ≠ニいうブッシュ政権の要求に積極的に応えて、国連安保理常任理事国入りと改憲とを一挙に同時になしとげる意志を、彼はしめしたのだ。石破茂に代って防衛庁長官に就任した大野功統は、サマワに駐留するオランダ軍の撤退が迫っている(来年三月)ことに危機感を高じさせているがゆえにこそ、イラク駐留自衛隊の活動が制約されている≠ネどと不満をあらわにしながら、「集団的自衛権を行使できるように」新たな憲法解釈を明らかにするよう憲法調査会に求めた。
 そしてまた小泉は、郵政民営化担当相にアメリカ出羽守(ではのかみ)≠アと竹中平蔵を起用し(経済財政担当相は留任)、日本郵政公社を所管する総務相に麻生太郎、財務相に谷垣禎一を留任させた。この改造内閣の布陣は――自民党新三役の構成とともに――、UFJ銀行の経営危機に象徴されている金融不安に焦りをつのらせ・かつ日本金融市場のよりいっそうの「開放」を求めるアメリカ帝国主義の要求に応じて郵政民営化を強行するためにこそ敷かれたのである。
 まさしく第二次小泉改造内閣は、「一超」軍国主義帝国アメリカの同盟国として、アラウィ傀儡(かいらい)政権をついたてとしてのアメリカ帝国主義のイラク占領支配への加担すなわち多国籍軍への日本軍の派遣継続、日本の「対テロ戦争」の中枢基地化、憲法改悪、そして郵政民営化をもくろむ極反動内閣である。
 われわれは、米軍によるイラク占領の継続に反対するとともに、日米安保同盟の首輪をつけた忠犬・小泉政権が全体重をかけてうちおろしている反動諸攻撃を断固として打ち砕くのでなければならない。
 すべての労働者・学生は10・24労学統一行動に総決起せよ!

T 高揚するムスリムの反米闘争と「一超」軍国主義帝国の断末魔

U 「一超」支配に対抗する仏・独―露―中

V 日米軍事同盟の強化に突進する第二次小泉改造内閣

W 〈イラク反戦・反安保、改憲阻止〉の奔流を!
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原油高・金融破綻下で危機を深める日本経済


T まだら模様の景気回復=\―二極分岐の進行

 ついに露呈したUFJの経営破綻。いまや一バレル=五〇ドル台へと突入した国際原油価格の高騰。これらの事態に直撃されて日本経済は、いま一挙に危機を深めつつある。二〇〇二年ころから日本経済はゆるやかな景気回復という様相を呈してきたものの、ふたたび不況への反転をもたらすであろう危機が胚胎している。
 四〇二八億円の連結赤字(二〇〇四年三月期決算)と厖大な不良債権を抱えこんで経営破綻に追いこまれた日本第四位のメガバンク・UFJホールディングスは、この危機をのりきるために三菱東京フィナンシャルグループとの経営統合に生き残りの道を求めている。UFJとの統合に合意した三菱東京はUFJにたいして破綻救済のための七〇〇〇億円の増資を決定した。ところが、この三菱東京に真っ向から対抗して三井住友フィナンシャルグループが、UFJとの統合を――統合比率一対一をエサにして――呼びかけるという泥仕合が演じられている。
 この統合劇がどのような結末になろうとも、UFJの危機の根源は、ダイエーやゼネコンをはじめとした大口の融資先諸企業・諸独占体の経営危機・破綻にあるのであって、銀行間の統合によっても容易に解決するような性格のものではありえない。UFJの経営破綻は、日本の金融システムの機能不全と長期大不況からの脱出不能・その困難性を浮き彫りにしているのだ。
 それだけではない。国際原油価格の高騰が日本経済を直撃し、その影響がじわじわと出はじめている。イラク情勢のいっそうの泥沼化・アメリカの軍事占領支配の歴然たる破産にくわえて、世界最大の産油国たるサウジアラビアやベネズエラ、ナイジェリアであいついで政情不安が惹起したことによって、世界的な石油需給逼迫への懸念が一挙に高まり、ついに初の一バレル=五〇ドルを突破した(九月二十七日、ニューヨークのマーカンタイル市場)。この原油高による景気後退への不安の高まりのゆえに、日本の株価は低落し長期金利も低下している(株価は一万一〇〇〇円を割り込み、長期金利は六ヵ月ぶりに一・四%割れ)。
 これまで値上げをひかえたり最小限に抑えてきた石油関連業種の諸独占体は、原油高騰による利潤量の低落に耐えきれずに、いまや原油価格の上昇分を次々と商品価格に転嫁しはじめた。このことが全産業の諸独占体・企業の経営のみならず、労働者・勤労人民の生活を圧迫し、不況圧力として作用することになるのは必至である。――九月のレギュラーガソリンの店頭価格は、前月比五円上昇し一リットル当たり一一九円と九年半ぶりの高値となり、ポリエチレンなどの石油化学製品も今年三度目の値上げが決定された。燃料価格の高騰をうけて貨物船やフェリーの運賃も十月から三〜六%引き上げられる。航空各社は七月に国際線運賃を五%引き上げたのにつづいて、来年一月からさらに五%引き上げる。
 政府・独占ブルジョアジーがふりまいている「景気回復」なるものが、実はまったく底の浅いものでしかないことが、いまや歴然となっている。内閣府が発表した二〇〇四年四―六月期のGDP(実質国内総生産)成長率の改定値(下方修正)が、わずかな伸びにとどまったことにも、そのことが示されている(前期比〇・四%増、年率換算で一・七%増。これは、二期連続で年率換算七%増前後を記録していた〇三年十―十二月期、〇四年一―三月期に比して大幅な減退といえる)。しかも、名目成長率では、5四半期ぶりのマイナス成長に転落しているのだ(同〇・三%減)。
 こうしたGDP成長率の鈍化は、直接的には、これまで景気の上向きをもたらしてきた企業の設備投資の伸びが横ばいになり(前期比〇・〇%、一―三月期は同一・七%増)、GDPの六割を占める個人消費の伸びが低下している(同〇・六%、一―三月期は一・〇%)ことに規定されている。個人消費が低迷しているのは、なによりも労働者の賃金が徹底的に切り下げられているからである(「雇用者報酬」が前年同期比〇・九%減)。辛くも実質でプラス成長になったのは、いわゆるデジタル家電の国内需要がなお旺盛であるとともに、輸出が好調を保持しているからである(同三・五%増、一―三月期は同四・五%増。七月の貿易黒字は前年同月比四二・八%増)。
 このかん、「新三種の神器」といわれる薄型テレビ、デジタルカメラ、DVD(デジタル多用途ディスク)レコーダー、この増産にともなってシステムLSIやフラッシュメモリーなどの需要も急増してきた。このデジタル家電の国内需要の盛りあがりに支えられて、電機諸独占体は活況≠とりもどした。また鉄鋼、建設機械、電子機器、金属、化学、自動車、海運などの諸独占体は、中国特需にあずかり対中輸出および対米輸出を伸ばしてきた。(鉄鋼部門の大手独占体は、中国や東アジア諸国および日本国内需要の拡大のゆえに鋼材価格が上昇していることを条件にして〇五年三月期の連結業績は最高益となる見通し。)
 とはいえ、いまやデジタル家電は販売のペースが下がっており、デジタルカメラ・液晶・半導体の関連業種企業は徐々に在庫の増加をきたしている。諸独占体の対中輸出も、バブル経済化を恐れている中国政府が金融引き締め・総需要抑制政策を展開していることのゆえに、輸出が減退しはじめる業種がうみだされている(セメント・建設機械など)。
 デジタル景気≠竭ホ中国および対米の輸出増によって企業収入を伸ばしている産業部門・業種いがいの諸独占体――主に建設、繊維、流通・小売り、サービス、住宅、商社など――ならびに中小諸企業の多くは、なお国内での消費低迷などの不況圧力をうけており、業績不振や経営危機をいっこうに打開しえてはいない(たとえば、百貨店の八月の売上高は前年同月比四・八%減、スーパーは同四・六%減といずれも六ヵ月連続の前年割れとなった。今夏の猛暑も、ごく一部の商品を除いては個人消費をおしあげる効果をもたらさなかった)。
 業績不振にあえぐ諸独占体や中小企業諸資本は、生き残りをかけての様ざまのリストラ施策の実施に躍起になっている。業績を向上させている製造業の諸独占体にしても、内外諸企業との激烈な競争にかちぬくために、さらに生産コストをいっそう削減するための苛烈なリストラをおしすすめている。まさにこのゆえに失業率はなお高水準にある。このかんの景気のゆるやかな回復は、請負・派遣労働者という形態での雇用をわずかばかり増やす方向に作用したのだとしても、総じては大リストラによって多くの労働者が路頭に放りだされているのだ(七月の完全失業率は四・九%、前月比〇・三ポイント上昇。完全失業者は公表されているだけでも三一八万人)。
 勤労人民・労働者は、業績好調の企業のもとにあろうが、経営不振の企業のもとにあろうが、おしなべて資本の苛烈なリストラ強行によって、首切り・配転・転籍や賃金切り下げや極限的な労働強化を強いられているのだ。請負・派遣・パートなどの非正規社員の労働者たちは、低賃金で短期雇用され、いっさいの社会保障をあたえられることもなく、資本にこき使われたあげくの果てに使い捨てにされている。過労死・過労自殺・リストラ―失業に追いやられた労働者の苦悩の自殺が激増している。また苛酷な労働強化にさらされていることのゆえに労災事故死も増大している。わけても、未熟練のままに安全管理も杜撰(ずさん)で危険な労働現場に投げこまれている請負・派遣労働者が事故の犠牲となっているのである。
 こうして、デジタル景気≠竍中国特需≠ノ助けられて業績を伸ばしてきた諸独占体と、いまなお不況圧力をうけ業績不振・経営危機にあえいでいる諸独占体・中小諸企業とへの分極化が促進されるとともに、それらのいずれもが大リストラを強行してきたことのゆえに、政治経済構造の奇形化が一段と進行してきた。UFJ破綻と原油価格高騰を引き金として不況への反転がもたらされつつあるもとで、日本経済の根底にある諸矛盾が早晩顕在化するであろう。
 郵政事業の分割・民営化を「本丸」と位置づけている小泉政権の「構造改革」という名の諸政策の強行実施によって、経済危機がいっそう深刻化することは必至である。リストラ促進や、「不良債権処理」を謳う「金融システム改革」や郵貯・簡保事業の民有民営化などの「構造改革」諸施策の強行的展開は、企業倒産と金融諸独占体のさらなる淘汰・再編と公的諸部門のいっそうのリストラを不可避とし、不況への再突入を加速するにちがいない。これまでの「ゆるやかな景気回復」なるものは、まさに消し飛ばされようとしているのである。

U 中国特需・対米輸出に依存した独占体の業績回復

V 危機突破をかけた大リストラの強行
   
セル生産方式の普及
   高度技術製品の国内生産への傾斜
   金融機関の淘汰・再編


W 米・中・日同時不況の到来
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天動説

自然への興味≠ェ湧かないのはなぜ?

 最近の調査によると、全国の小学四年生から六年生のうち「太陽が地球の周りを回っている」と考える子供が五六パーセントにのぼるとか。時は二十一世紀だが、小学生の世界ではいまだ十六世紀の「コペルニクス的転回」を経ていないというわけ。今日び、子供の「理科嫌い」が言われて久しいとはいえ、一年生ならともかく小学校高学年の六割までが「天動説」だった……いや、「月の形が変わるのはなぜか」と問われて「いろいろな形の月があるから」と答える児童もけっこうな割合だというから、天動説以前的というほかないかもしれない。
 調査にあたった縣秀彦・国立天文台助教授らはこの結果に色を失い、「子供の自然にたいする興味が失われている」と危機感もあらわ。だが、この現実にもっと慌てているのは、「教育改革」を声高に叫んできた政府権力者どもや文部科学省の官僚どもにちがいない。「科学技術立国・日本」はどこへゆく、と。
 だが、今回浮き彫りにされた事態は、直接的には政府・文科省が、ツメコミ教育の弊を正すと称して導入した「ゆとり教育」なるものの成果≠ナはないのか。なんでも、現行の学習指導要領では、教える月の形は「二つまで」、教える星座の種類は「二つまたは三つ」と規定しているそうな。もちろん、地球の自転・公転は教えない。「ゆとり」の名のもとに、一握りのエリートだけを早期から養成し、残りの「非才・無才にはせめて実直な精神さえ養ってもらえばよい」(教育改革国民会議の一員だった三浦朱門の言)という精神ですすめられてきた「教育改革」の現時点における産物がこれだというわけだ。
 問題は、政府・文部科学省が子供たちから「科学の目」を奪っていることにある。早い話、「月の形が変わるのはいろいろな形の月があるから」などと――教えられたとおりに――答える子供は、そもそも実際に月を眺めてその美しさに心奪われたり、広大無辺の宇宙への憧憬にとらわれたりした経験が皆無なのだろう。そうした経験を基礎としない限り、「なぜ月はこんなに明るいのか」「月の欠けている部分はどうなっているのか」「月はどれほど遠くにあるのか」と問う目も養われないというもの。だが、「非才・無才」には「読み・書き・ソロバン」で十分と考えている政府権力者とそのブレーンどもは、そうした子供の自然に向き合う実践的立場を育むことなど露ほども考えない。
 なぜなら、自然にたいする探究心や、「なぜ」と問う好奇心は、子供たちが成長してやがてこの現存社会の科学的な分析を深め、その矛盾に目覚めてゆく、その萌芽となるかもしれないのだから。そのような芽を早めに摘み取ることは、政府・支配階級にとっては、個を超えたもの=「公」=国家に無批判的に随順する「臣民」を養成することと、まさに表裏をなしている。
 「習熟度別学習」の導入によって追いたてられ選別されるなかで、このままでは子供たちが即自的にではあれ抱いているはずの自然への、そして社会への関心はどんどん奪い去られてしまいかねない。イラク侵略を十字軍の遠征と公言してはばからないブッシュにつき従う忠犬¥ャ泉のもとで、時ならぬ天動説の蔓延……。近い将来わが革命的左翼の隊列に結集すべき子供たちのこの現実は、われわれも見過すわけにはいかない。
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