第1831号(2004年8月9日)の内容

<1面>
イラク反戦・憲法改悪阻止の巨大な戦線を構築せよ! 米占領軍の共犯者=日本軍は撤兵せよ
<4_5面>
公教育のネオファシズム的再編成―石原式「教育改革」の反動性〈下〉
<2面>
米海兵隊の矢臼別実弾演習阻止! 道共闘が現地闘争に決起7・22、25
7・4「渋谷ピースパレード」への弾圧=3名逮捕を許すな
6・13労学統一行動に参加して
<6面>
トヨタでまたしても労働者が殺された!
急増するニート(若年無業者)
Topics 年金制度改悪を居直る『厚労白書』
<7面>
増設される監視カメラ群と人間Nシステムの導入
<8面>
感想文 ・鎮魂歌詠み勇気湧きたつ  ・大豆と枝豆と納豆
◆『新世紀』第212号紹介
<3面>
万華鏡2004――情勢の断層を読む
◆現代のジョージ王
◆猛暑の小咄
◆焦る死の商人
◆油のニオイ
◆ターミネーカー

週間日誌〈世界の動き・日本の動き〉
  「解放」最新号
 
































    


イラク反戦・憲法改悪阻止の巨大な戦線を構築せよ!


米占領軍の共犯者=日本軍は撤兵せよ


リード
第42回国際反戦中央集会が大高揚
(8月1日、浅草公会堂―詳報次号)
 米占領軍とその傀儡(かいらい)アラウィ政権は、七月中に開催を予定していた「イラク国民大会議」を八月中旬に延期することを余儀なくされた(七月二十九日)。「主権移譲」後一ヵ月にして、この政権は早くも倒壊の危機にたちいたっている。ムスリム人民は、拡大中東民主化構想にのっとったブッシュ政権のイラク占領支配を全面的破綻に追いこんだのである。
 全国の労働者・学生諸君! 傀儡政権打倒をめざしてたたかうイラク人民と連帯して、わが革命的左翼は、来日したイギリスの戦闘的知識人・労働者のグループ=レボルーショナリー・マルクシスツの仲間たちと腕を組み第四十二回国際反戦集会を成功裏に実現した(詳報次号)。この闘いの地平に立脚して、われわれは、「改憲」を掲げる民主党中央を支持する「連合」指導部や、かぼそく「護憲」を唱える日共中央をのりこえて、イラク反戦・改憲阻止の闘いをさらに強力におしすすめるのでなければならない。

見だし
国民大会議開催を粉砕したムスリムの闘い

ケリー―エドワーズに敗北必至のブッシュ―チェイニー

フランス・ドイツ枢軸の対抗とBRICsの台頭

「改憲反対一点での共同」にすがる日共官僚
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公教育のネオファシズム的再編成


石原式「教育改革」は何をもたらすか? <下>

見だし
W新自由主義的改革の奈落(承前)

  B 公立学校の教育ビジネス企業化

  C 教育労働の非人間化
   (1)極限的な労働強化
   (2)教育労働の電脳的疎外
   (3)教育労働組織の破壊
   (4)教育労働力の質的劣化

おわりに


目次
T 公立学校教育の破壊的再編成
U 「教育改革」のイデオロギー
V 独占資本家階級の教育要求の変化
W 新自由主義的改革の奈落
 A アメリカ製「ニューパブリックマネジメント」の模倣(以上第一八三〇号)
 B 公立学校の教育ビジネス企業化
 C 教育労働の非人間化(以上本号)
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米海兵隊の矢臼別実弾演習阻止! 

道共闘が現地闘争に決起7・22、25


リード
米軍物資を積んで入港するフェリーにシュプレヒコール
(7月22日、花咲港)
「演習阻止」「安保粉砕」の声高くデモ
(七月二十五日、別海町)
別海町での闘いに決起した教育労働者
(7月25日)
 全学連北海道地方共闘会議のたたかう学生は、在沖米海兵隊による矢臼別演習場での実弾砲撃演習(七月二十八日〜八月九日)を阻止する闘いに、たたかう労働者と連帯して現地闘争に連続的に決起した。
 今回の演習は、日米の統合司令部のもとに、日本自衛隊の北方機動演習と連携しておこなわれたものであり、イラク増援部隊となる在沖米海兵隊の「対テロ戦」能力高度化と日米共同作戦態勢の強化を狙ったものである。これにたいして道共闘の学生たちは断固たる反撃の闘いを展開したのだ。
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7・4「渋谷ピースパレード」への弾圧=3名逮捕を許すな

挑発・ひっかけ逮捕に狂奔

 参院選の真っ最中の七月四日に、警察権力は、ワールド・ピース・ナウ実行委員会が主催した「渋谷ピースパレード」にたいしてさまざまの挑発をくりかえし、抗議した三名のデモ参加者を「公務執行妨害」容疑で逮捕した。二日後の七月六日には、警視庁公安部が三名の自宅と、ワールド・ピース・ナウ実行委員会の連絡先の一つである「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の事務所を家宅捜索した。
 「非暴力」を前面に掲げたワールド・ピース・ナウ実行委員会の集会・デモに、機動隊が部隊として公然と警備につくことはこれまでなかったにもかかわらず、この日は、警視庁が初めて二〇〇名の機動隊を動員し、始めから集会場入り口で検問態勢をしいて威圧した。そして、特定のデモ隊列を選別して並進規制し、「行進が遅い」と称して盾でデモ参加者の背中を押したりこづいたりし、これに抗議した二名を「警告」もぬきにいきなり「公務執行妨害」容疑で逮捕した。
 さらに、デモの解散地入り口で故意に規制を加え、抗議した主催者実行委員のA氏に機動隊員がよってたかって暴行を加え、裸にして路上をひきずり回し負傷を負わせたうえで「公務執行妨害」容疑をデッチあげて逮捕した。
 警察権力が、挑発的にデモ規制をおこない、いわゆるひっかけ逮捕を計画的に実行したことは明らかである。
 小泉政権は、自衛隊の多国籍軍への参加という明白な違憲行為を、国会審議すらおこなうことなく閣議決定で押し通した。これにたいする労働者人民の怒りの声の高まりを恐れ、「反戦平和」の運動を力づくでおしつぶすことを狙って、弾圧攻撃にうってでたのだ。「非暴力」をモットーとし、デモを「パレード」と言いかえることによって「ふつうの若者」の参加をある程度なしとげてきたワールド・ピース・ナウ実行委員会、デモ終了時には警備の警察官にたいして「お巡りさん、ありがとう」と声をかける「チャンス」を中核にしたこのワールド・ピース・ナウ実行委員会の運動をすら、あえて弾圧するという姿勢をしめしたのが、わが小泉政権=日本型ネオ・ファシズム国家権力なのだ。
 そもそも、本年二月に日本国軍地上部隊としての陸上自衛隊を初めて戦地に派兵して以降、小泉政権は、戦時にふさわしい治安弾圧体制を一挙に強化してきたのであった。「対テロ対策」と称して、鉄道会社が各駅からゴミ箱を撤去し、大量の警察官が駅構内や繁華街を常時パトロールする首都東京は、今や「警察都市」さながらの様相を呈している。
 警視庁公安部は、二月二十七日に、防衛庁立川宿舎に自衛官向けのビラを配布した市民団体のメンバー三名を、一ヵ月以上も経ってから「住居侵入」容疑で逮捕し、六ヵ所に家宅捜索を加え、全員起訴した。
 三月三日には、「憲法第9条は日本国民の宝です」と書いた「しんぶん赤旗」号外を自宅周辺の住宅のポストに配布したかどで、社会保険庁職員を、「国家公務員法」の「政治的行為の禁止」という死文化していた条項への「違反」として事後逮捕し、共産党千代田地区委員会や同党区議宅などを家宅捜索した。
 これまでは商品広告の各戸配布などと同様に、不問に付してきた「反戦平和」を訴えるビラ配布を選別的にとりだし「違法」として逮捕するというこの攻撃は、戦時下の言論封殺というべきである。これは反戦平和運動の根絶を狙って、一部の市民活動家や共産党員をみせしめとして弾圧したものにほかならない。

反戦・反改憲運動の根絶をたくらむ国家権力

 そして、参院選での「自民党劣勢」の予測が流布されていた状況のもとで、「若者のデモ参加」の象徴としてマスコミに喧伝されているワールド・ピース・ナウの「パレード」に向かってしかけられたのが7・4弾圧なのだ。まさにこれは、小泉政権のイラク参戦に反対するすべての労働者人民に向けられた弾圧攻撃にほかならない。7・4弾圧を断固として弾劾せよ。
 しかも、逮捕した三名の自宅とともに、ワールド・ピース・ナウ実行委員会の連絡先(数ヵ所ある)のうち、「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の事務所が家宅捜索された。この事務所は、九条改憲反対を唱えて六月十日に結成された「九条の会」の事務局の連絡先ともなっている。警察権力は、「九条の会」のもとで改憲反対の国民運動≠ェ盛りあがることを恐怖して弾圧の矛先を向けたのだ。われわれは、警察庁公安部による改憲反対運動をおしつぶすことを狙った「許すな!憲法改悪・市民連絡会」事務所への不当な家宅捜索を徹底的に弾劾する。
 ところが、ワールド・ピース・ナウ実行委員会の中心メンバーの一人であり、市民運動の代表的人格でもあるA氏が、狙いうち的暴行をうけ、負傷までして逮捕されているというのに、「自分たちの方が不慣れであった」などとつぶやきながら、7・4弾圧に抗議する声をおさえようとしたのが、一部の市民運動幹部(高田健ら)であった。もしも、市民運動の中心メンバーが警視庁公安部のデカと飲食をともにする行為を実質上擁護してきたこれまでの態度の延長線上で、新たにしかけられた弾圧攻撃にも弱腰で対応するとしたら、市民運動の指導部失格といわなければならない。
 すべての労働者・学生・市民のみなさん! 市民運動の一部指導部の及び腰的対応を許すことなく、反戦・反改憲の運動にたいする弾圧をうち砕くために断固として反撃していこう。
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増設される監視カメラ群と人間Nシステムの導入

以下リード
 「スーパー防犯灯(註1)設置記念パレード」なるものが六月五日に東京都中央区銀座でおこなわれた。この以前にも、昨年末いらい都内では、新橋・池袋・渋谷などで、たてつづけに「防犯カメラ設置」を祝い宣伝するイベントが挙行されてきた。今や、監視カメラは、政府の指導のもとに各自治体・警察・企業・住民が一体となってその設置をおしすすめ、実現を盛大に祝う対象に祭りあげられている。
 こうした地域ぐるみの祝賀行事≠も組織化しながら、政府・警察権力(生活安全警察)は、全国の隅ずみにまで、監視カメラの網の目を抜け目なく張りめぐらしつつある。そしていよいよ、彼らは、張りめぐらした監視カメラ網に顔認識システムを組みこみ、ターゲットに設定した人間の行動をリアルタイムに追跡する人間Nシステム=i註2)の構築を公然と開始したのである。

見だし
A 人間Nシステム構築の公然たる開始

B 生体認証とネットワーク技術の利用

C 電子監視網の一挙的強化

D 「防犯」「テロ対策」を口実とした国民総監視・総管理体制の強化を許すな!
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『新世紀』第212号紹介


反米・反占領のイラク人民蜂起、その教訓は何か

教育・医療・郵政―労働の実態に迫る第二特集!


▼本号は「イラク解放闘争の展望」と題して一大特集を組んだ。巻頭は「イラク人民を愚弄した『主権移譲』の茶番」(無署名)である。イラク「暫定政府」の首相アラウィ自身がれっきとしたCIAのエージェントであり、この「政府」の最初の仕事は米英占領軍の占領継続を要請したことであった。この一点に「イラク人への主権移譲」なるものの欺瞞性がしめされている。許しがたいことに、国連安保理は、このアメリカ傀儡政権を承認し、米英占領軍を「多国籍軍」として認知した。国連決議一五四六をデッチあげるために、ブッシュはいかなる手練手管を弄したのか?「非戦組」の仏・独(そして露・中)は、なぜアメリカに妥協したのか? シーアイランド・サミットや国連の場における諸国家権力者の角逐を、本論文は鮮やかにえぐりだしている!
 「四月反米蜂起――結果と展望」(久住文雄)、「サドル派蜂起の意義と限界」(長岡重夫)の二論文は、反米・反占領闘争の画期をなした四月の闘いを、イラク人民の立場に、実践主体としてのわれわれがわが身を移し入れて革命理論的に分析し、その教訓を導きだしている。住民総武装で精鋭の米海兵隊の重包囲を撃退しついに勝利をかちとったファルージャの闘い、武装決起しつつも後退を余儀なくされたムクタダ・サドル率いるマフディ軍の闘い――この両者を対比させつつ、闘いを総括しているのが久住論文である。ファルージャの四月蜂起の勝利を基礎に旗揚げされた「イラク建設国民会議」が、全国的な統一戦線の萌芽となりうるものとして意義をもつことが、その構成諸党派・諸宗派のイデオロギーや戦略の分析にふまえて提起されている。他方、長岡論文は、サドル派の蜂起が早漏≠ナあるゆえんを、シスターニ師のイラク革命にかんする戦略・戦術への批判の一面性をも突きだしつつ、明らかにしている。
 これらの論稿は、ムスリム人民の闘いを全世界で唯一、マルクス主義の観点から総括し、先進国労働者人民がこの闘いに連帯すべきことを呼びかけている。わが革共同議長・植田琢磨同志の「全世界人民へのアピール」(前号掲載)の英訳も同時掲載した。
▼第二特集は、「教育・医療・郵政――労働現場は今」である。「荒れる『子ども―教師』関係を変えるために」(波多野玄)は、教育のネオ・ファシズム的再編と子どもたちの電脳的疎外の深まりのもとで、教育労働者に、みずからの教育実践をどのような内容において展開すべきかを問いかけている力作である。イラク戦争をとりあげて生徒に討論をうながした若い教師、テーマを与えられて真剣に考え、この教師が考えてもいなかったような疑問を発した生徒、さらに両者のやりとりを聞いた先輩教師が若い教師とくりひろげた教育をめぐる討論――この生き生きとした討論は、子どもたちの眠りこんでいる諸能力を覚醒させ、教育労働者じしんが子どもたちに教えられながら彼らを教育していくことについて、考えさせてくれる。
 「電子カルテ導入と医療労働過程の変貌」(高原進)は、電子カルテ・システムの導入によってパソコンの入力作業などを強制された医師・看護師のすさまじい労働強化を、また医療労働そのものの疎外の深まりを、リアルに論じている。「郵政民営化」攻撃のもとで、過労死者が続出している職場の実態を暴きだしているのが、「郵政生き地獄――われわれは許さない」である。東京だけでも、この二月以降五月までで八人もの労働者が殺された。掲載している三本の短文は、この現実を覆していく決意を込めた革命的労働者の戦闘宣言でもある。「『成果主義賃金制』の破綻」(吉本龍司)では、鳴り物入りで導入されたこの賃金支払い方式にもとづく「労務管理・人事管理」が頓挫したのはなぜなのか、独占資本はこれをどのようにのりきろうとしているのか、これらのことを理論的に考察することがめざされている。
 小泉政権の新自由主義を理念とする反動的諸改革や独占資本の大リストラ攻撃によって、日本の労働者は身も心もボロボロにされている。この現実を突破するために苦闘しているすべての仲間に、本特集を贈る!
▼北朝鮮核問題をめぐる六ヵ国協議、在韓米軍の削減と米核軍事体制の再編、南北朝鮮の民族的統一≠フ機運の高まり――揺れ動く東アジア情勢をわれわれはいかにとらえるべきか。
 「『南北統一』への道を突き進む盧武鉉の韓国」(鎌田敏勝)は、与党ウリ党の総選挙での大勝利が韓国の戦後史を画する転換点であることを浮き彫りにしている。大統領・盧武鉉が反共軍事ボナパルチズム国家の残滓を最後的に一掃し、南北統一という民族的悲願達成のために対外対内の諸政策を実施しているさまが、ダイナミックに描かれている。他方、北京官僚を後ろ盾にしつつ、国家崩壊の危機を「南」との国家的統一によってのりきる腹を固めた自称「社会主義国家」の金正日政権の動向を論じているのが「金正日のなりふりかまわぬ延命策」(吉富信夫)である。「尖閣諸島=釣魚島をめぐる中・日の角逐」(高崎澄夫)も合わせて熟読されたい。
▼最後に、「デマゴーグ安倍晋三の『第三の憲法』論」(四阿三太郎)は、自民党幹事長の改憲論を一刀両断に批判している。小泉政権が、ついに日本国軍をイラクの「多国籍軍」に参加させ、これをテコにして改憲策動を一挙に強めている今、必読の論文である。
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